いつまでメソメソ泣いてやがるこのガキ
吠えた。森にこだまし、涙を流していたシキジカはピタリと止めた。
「たかが親いねぇくらいで泣いて何になるんだよ!言ってみろ、説明してみろ!できねぇならメソメソしてんじゃねぇ!」
全く種族が違うゾロアーク。その牙と威圧感にシキジカは完全に黙った。
ゾロアークは知っている。このシキジカが生息地と全くかけ離れたところにいる理由、そして泣いてる理由。
大人しくて草食。強いメブキジカを必要とされる人間から逃がされた。いらないから。
だからこそ、ゾロアークは気に入らない。生まれた直後に親に会えないまま放り出され、途方にくれるのも仕方ない。
が、そんなものは生きる上で必要ない。
ゾロアークとその兄弟も、同じだった。捨てられ、人間を恨み、復讐を決意し、返り討ち。残ったのはそこまで人間に興味なかったゾロアークだけ。
捨てたことを後悔させてやる。そのこと自体、「人間が好きでたまらない」と証明してることだ。
捨てられた、ショックだ…騒ぐのは自由だが、これからどう生きていくかを考えないとならない。途中で死んでいった捨てられたポケモンたちは、いつまでも人間のことを考えていたから全滅した。
「でも、でもぉ」
まだ渋るシキジカにゾロアークは背を向ける
「死にたいならいつまでもメソメソしてな。」
「…待ってよぉ」
シキジカが勝手についていく。ゾロアークは振り切ろうともせず、森の奥に歩いていく。シキジカには大きな段差を、ゾロアークは手伝ってやった。
そうして、ゾロアークは自分の住まいについたのである。勝手に増えた住民と共に。
「迷いの森にキャンピングカーがあるでしょ?お姉さん喋れないみたいなのよ」
「それでもシキジカとはとても楽しそうだけど」
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以前、逃がされたポケモンの行方をテーマにしたSS投稿スレに投稿したものです。
見直すと、携帯から書いたからか、とても軽い感じがしまくります。
絶対にあのお姉さんは廃人を見てるはず!
そのスレにあった、ヒウンでゾロアークが会社員として生きていく話とかもあって、平成たぬき合戦ぽんぽこを思い出した次第です。
多摩の狐は全滅しました。だから化け学が使えるものだけこうして人間になって生きている
イッシュにたぬきっぽいやつはいないですが、そんな背景があるような気がしました。
【なにしてもいいのよ】