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  [No.1541] 星夜の連れ歩き 投稿者:クロトカゲ   投稿日:2011/07/08(Fri) 18:02:18   53clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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 空を漂うジラーチを追いかけて、暗い山道を抜けてゆく。
 周りに明かりはないけれど、空に輝く星々を見ながら進む。
 後ろには相棒がついてくる。相棒の尻尾の火はまだ小さくて、道案内には頼りない。
 山道を抜け、麓にたどり着くとそこは海岸。浪の音しかしない、時間から取り残されたような海辺だ。
 水しぶきが反射して、海中の中の何かが煌めいて、天の川まで来てしまったのかもしれない、と一瞬思う。
 そうだ、ジラーチだ。
 夜空見上げると、瞳をとじたままのジラーチは海の向こうへと流れていく。

 ポケギアを見る。もう七夕は終わっていた。

「そっか、ジラーチは起きなかったね」

 相棒に言うが、姿が見えない。探してみると、相棒はジャブジャブと海の中に足を入れて駆け回っていた。
 おいおいお前はヒトカゲじゃないか。海水は苦手なはずだろうに。
 やれやれと肩をすくめると、相棒を追いかける。
 僕が近づくと、ヒトカゲは誇らしげに右手を差し出す。
 黄色い欠片だ。そうか、これが光ってたのか。
 驚く僕を見た相棒は、満足そうに一鳴きすると、さらに奥に行こうとするので慌てて捕まえる。とっさに尻尾を握ってしまったせいで火傷をしかけて、両手を海水につけると今度は冷たくて、思わず声を上げてしまう。

「ヒット、お前は砂浜にいろよ。すぐに拭いてやるから」

 ジラーチはもう見えない。

「そういえば、願い事、何だったんだっけ?」

 僕の願いはジラーチに願いを叶えてもらうこと。
 あれ? おかしいぞ?
 ジラーチを追いかけるのに夢中になるうちに、目的を見失っていたみたいだ。
 また一年すれば、七夕が来る。その時までに願い事を見つけておこう。
 今年、願い忘れた分、他の人の願いが叶ってるかもしれないじゃないか。
 そんなくさいセリフを言って笑われようとしたら、相棒が大きな星と向かい合っていた。野生のヒトデマンにちょっかいを出したらしい。お前、ヒトカゲじゃないか。水タイプは苦手だろうに。

「ヒット! お前が悪いんだから、早く逃げるぞ!」

 相棒が追いついてから僕も走り出す。
 星を撒いたら帰ろうか、夜空の果てから僕らの街へ。

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七夕に乗りそびれたので、Tekoさんに倣って翌日の話。
来年までさよなら七夕。

しまった、ヒトデマンが現れるのは「うみのむこう」じゃないか(笑)


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