こんにちは、小樽ミオと申します! 掲示板ではお初にお目にかかります。
作品、拝読いたしました! 実はこういう雰囲気の小説がたまらなく大好きなのです。随所でツボを突かれた気分でございました(笑)
あちらこちらに散りばめられた対比、そして脳裏にキャラクターたちの動きが浮かびさえするような細やかさ…… あれ、私はブラックシティに迷い込んだんだっけ……
> 「そうですか? 私は逃げる必要は無いって、さっきわかりましたから」
敬語のピカチュウに惚れ惚れとした瞬間でありました(笑)
読めば読むほど、彼には敬語以外は似合いそうにもない気がしてきてしまうので不思議です。
> 「カァーッ!」
> 空気も震えるその光に彼は仰天して悲鳴にも近い甲高い鳴き声を上げてしまった。それを見るとピカチュウは満足そうに警戒を解き、再び玉を磨き始めた。
ヤミカラスも私の好きなポケモンの一匹なのですが、こうやって懲りない感じが素敵ですね!(笑)
光ものを集める習性からどうしても他人の物を奪うことが起こりうると思うのですが、奪おうとすることをそこまで不快に思わない人物にほどほどにやられる感じに、なんとも和やかな印象を覚えます。
> 「あのケチで恐ろしい奴らが、それを気前良くくれたっていうのかっ?!」
> 「私の住んでいた森ではニンゲンがお祭りをしていて、そこでは楽しい音楽や、綺麗な光や、美味しいもので溢れていたんですよ。さっきの歌や踊りもそこで教えてもらったんです。この玉もそこで貰って――」
森と街と――恐らく「ブラックシティ」に対する「森」はひとつしかありませんね――の対比。思わず原作を想起しました。正反対の環境で過ごし、人間には正反対の感情を抱き、そしてその背景で下地色のようになっているのが原作のイメージ。思わず唸ってしまいました。
> 「凄い……。ほんとに……」
自分がこれまで、いろんな街でいろんな光を見てきたのが重なります。
瞳に飛び込んでくるあたたかな光、ときには悲しげな光、……いろいろな明かりの前に思わず息を呑んで、言葉を失ってしまうのですよね。
最後まで拝読したときにこのあたりの盛り上がりが蘇って、……うむむ、この感動をどう言葉にすればよいのやら……
> 「まるで貴方の羽みたいに黒く美しいですね」
> 「お前の電気みたいに黄色く光ってるだろ」
きっとその羽のような輝きを秘めた玉を「烏羽玉」と呼ぶのですね。
古典的な烏羽玉のきらめき、現代的な街の明かり。色味のみならず、もしやここまで計算なさっていらっしゃる……?
> しかし彼の嘴から出る言葉は違った。彼は根っからのへそ曲がりなのだ。
> 「ああ下手くそだ。下手くそ過ぎて、欠伸が出らぁ」
> 怒りのあまりピカチュウの頬から電気が流れる。闇の夜空に一羽と一匹の悲鳴が響いた。
思わずにまにましながら読み終えてしまいました(笑)
正直じゃない彼、宝を奪ってしまうような彼に、ピカチュウが怒って懲らしめるように電撃を加える……
立場的にはヤミカラスがピカチュウからさんざんにものを奪ったり、もしくはピカチュウがヤミカラスをさんざんに痛めつけて追い払ってもおかしくはないのですけれど、ふたり仲睦まじく互いの宝物を見せ合って語り合う……とってものほほんとしていて、とてつもない余韻です。お世辞抜きに、「定期的に読み返したくなる一作」というのはこういう作品のことを指すのだと思いました。
最近クロトカゲさん作品のファンという自覚が芽生えました……(照)
『稲妻の道』でその自覚が顕著になって、本作品でほぼ確信に至った次第です^^;
また新たな作品とともにクロトカゲさんのお名前を目にすることができるのを、楽しみにお待ち申し上げておりますね!
ここまで長文失礼いたしました、どうもありがとうございます!
追記:
> ブラックシティを眼科に一羽と一匹は優雅に飛んでいた。
「眼科」は「眼下」の誤字と思われます、ご報告まで!