金タライにホースで水を張っていると、ぷにゃぷにゃ言いながらエネコが寄ってきた。
飛び散る水しぶきに猫パンチを繰り出しては楽しそうに走り回る。
っておいちょっと待て爪出したまますり寄るなイテテテ!
ホースが宙に放り出されていく。
弧を描く冷たい水。
びちょびちょのシャツが身体に張り付く。
怒りに任せてエネコを追っかけまわすが両手をすり抜けて逃げていく。
やっと捕まえたころには、小さな庭は池と化していた。
すっかり濡れたエネコを左手で鷲掴みにしたまま蛇口に向かい、かたくひねる。
あーあ派手にやったね、笑い声に振り向くと幼馴染がカットカイスを手に縁側で涼んでいた。
あっ勝手にタライに足突っ込んでる。
エネコが両手両足しっぽまでばたばたさせて暴れ出したので、幼馴染に向かって放り投げた。
狙いが外れてタライにダイブしたエネコを横目で見て、ホースを片付け始める。
お前いつ帰って来たんだよ、エネコを救い出しながら幼馴染が訊いてくる。
別に、お前に関係ねえだろ、呟きながら太陽を煽いだ。
去年の夏はシンオウにいたから、こんなに暑くなかったな。
縁側まで走り寄る。
エネコが不満そうに毛づくろいをしている。
砂だらけになったサンダルを脱ぎ捨てながら乾いた縁側に座ると、カイスの甘い匂いがした。
あー、暑い。
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氷ポケモンが欲しい…
【なにをしてもいいのよ】