覗き込む双眼鏡に入ったのは、1、2、3、4、5匹のピジョン。なにやら木に止まっておしゃべりしているような。ここらで鳥用のピピリンガルを取り出す。そしてマイクを鳴き声のするように向けた。
「ねーねー、ちょっと最近いいオトコいなくなーい?」
「そーそー。この間なんてさー、イケメンみつけたわけえ。んでぇ、そのオトコにさー、奥さんと子供いるのよー!でもそのオトコはアタシのがよかったみたいでぇ、奥さんと子供捨ててきたわけよー!まじウケルー!んでぇ、奥さんショックで子供おきざりとか、ありえなくない!?」
「ちょっとそれは貴方が悪いよ…」
「でもこの前、その子のチルットとエアームドが仲良く飛んでたよ」
「そういえば、さっきアンタを送りに来たエアームド、ちょーイケメンじゃん。今度紹介してよ!」
……人間の女子も真っ青の会話だ。どうやらあのピジョンたちはみんな雌らしい。さらにピジョンたちはおしゃべりを続ける。
「えー、貴方に紹介するとみんな取って行くでしょー」
「彼氏いない私勝ち組!!」
「はー?」
「うそー?」
「ありえなーい」
一匹のピジョンに一斉に視線が集まる。彼氏がいないといったピジョンか。中々の体格で、特性は多分鳩胸の方か。
「昨日もおっきートゲキッスと喋ってたじゃん!」
「そうそう、何かあるごとに一緒に行く人がトゲキッスしかいないとか言っちゃって!」
「いやでもそれは私がすぐ呼び出せる友達がトゲキッスくらいしかいないから」
「いやいや、あのイチャッぷりはおかしくない?」
「いっそ結婚しちまえYO!」
なんか変な方向になっている。一匹のピジョンがうろたえて仲間と喋ってる。
「いやいや、だからトゲキッスとはそういう仲ではない!確かに遊び仲間ではあるが、そういうトキメキなど一切ない!!」
「ふーん、その割にはうろたえてる」
「えええ、まじぃ?まさかの結婚とかー!余興はいつもの集団フェザーダンスぅ?」
「ってかまじトキメキ感じないならまずは付き合ってみるべし」
「それにまんざらでもなさそう」
ピジョンの結婚式にはフェザーダンスでお祝いするのか。これまた一つ勉強になった。そしたらこのピジョンには悪いが、結婚式が見てみたい。集団フェザーダンス……攻撃力が残るやついないだろう。
おや、何か違う鳴き声がする。確かに大きめのトゲキッスがいる。ああ、あのピジョンの彼氏と言われたトゲキッスだろうか。ピジョンたちに取り囲まれて、何やら言われてる。全部翻訳しきれず、大きく鳴いたトゲキッスの声だけが翻訳できた。
「いやあ、はははは……」
こいつもまんざらじゃないな。よし、あのピジョンには悪いけれど、少し見張らせてもらおう。そして、ピジョンの結婚式を撮影し、学会へと発表するのだ。そうすれば……
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「ピジョン5匹が条件」
「女子会で」
二つのネタが合わさってカオスができた。
【好きにしていい】【え、何の事?】