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  [No.1982] Coming soon 投稿者:CoCo   《URL》   投稿日:2011/10/11(Tue) 00:32:52   77clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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※青年のぼんくら頭が現実を読み込み中です。一拍お待ちください。

「……で? なんだって?」
『だから! もうすぐ来るの! 来るのよ! 来て!』
 夜中に彼女から電話がかかってきた。彼女というのは僕の親戚の友人のいとこの双子の妹の知り合いの姪で、去年の今頃ハンバーガーショップにて邂逅した。注文を伺う僕に対して、丁寧な自己紹介の後「タダ券をください」と言ったので、追い返した。後で気がついたが彼女はスーパーシングルトレイン常連の、ライモンでも名の知れたトレーナーだった。サインを貰っておけばよかった、というちょっとした後悔をよそに、彼女は翌日もやってきた。僕がサインをねだる前に彼女は「あなたの心をください」と言ってきた。あげた。そして僕は彼女のマネージャーになった。
 彼女の通り名はタイフーンという。毎度傍らで暴風を繰り出し記者陣やしつこいファンを吹き飛ばしているエルフーンはほとんど公式試合には出場しないが、タイフーンという名は彼女によく似合っていると思う。なぜなら彼女自身がとても暴風な女性だからだ。友人には「あの淑やかな人が?」と惚気の裏返しを疑われるが残念ながら事実なのである。どの辺りがというと、こういうところがだ。
『起きてる? 起きてないなら今すぐ起きて。もうすぐ来るの。だから早く来て』
 受話器は彼女の声で早口に言った。ベッドルーム兼PCルーム兼リビング兼キッチンの六畳間は真っ暗で蛍光時計は零時付近を指していた。頭ががんがんした。
「今起きた。もうちょっと落ち着いて話せないかな……」
『ごめんなさい、夕御飯食べるのが遅かったせいで落ち着けないの』
 今期一番の落ち着いた声で彼女は言った。
『ほんともう、来ちゃうの。目の前なの。はやく来て!』
 危機迫る声で言うが、ポケモンがいる限り力ずくで彼女に勝てる奴なんてそうそういないと思う。危険はないんだろうがだんだん焦ってきた。僕は首で受話器を押さえ、寝巻きを適当な普段着に着替え始めた。手元にあった青緑ストライプのYシャツを羽織る。
「なにが来るんだ? 今どこにいるの?」
『来るの! 世界中に! ええと……今はサンヨウシティのサンヨウじゃないところにいる』
 どこだよ。
「とりあえずサンヨウのあたりにいるんだね? 行くけどいい?」
『早く来て! ほんとに、あと四十秒ぐらいで』
 そりゃ無理だ。
 携帯に掛け直すように伝えてから受話器を置き、靴下を履いて外へ飛び出す。ガレージへ行って自転車に鍵を差そうとしたところで気がついた。
 青緑のマウンテンバイクが真っ黒になっている。
 しかもなんだかひしゃげている。
「なんだこれは……」
 自転車は真っ黒こげだった。触ったら崩れそうなぐらいだ。
 とっさに旧友の顔を思い出した。先週、やつに貸したものだ。なかなか返さないので催促したら、あとでガレージに戻しておくと言われたっきりだった。あのしどろもどろの原因はこれだったのか。
 電話すると、ガヤの向こうから陽気な奴の声が「やあ!」と聞こえた。
「どうしたんだい、辛気臭い声なんか出しちまって。いい夜だぜ、ライモンは……」
「黙れよクソ野郎。誰が自転車をウェルダンに頼むなんて言った?」
「ああ、あの自転車か。ハクがついたろ?」
 絞め殺してやろうか。
「俺の新しい相棒が気にいっちまってな。遊んでたら、いつのまにかああなってた」
 このままだと思わず非合法な方法で友人を失ってしまいそうだと思ったので黙って切った。
 しょうがない。タクシーでも取るか。と思って飛び出した表の道路は脅威の大渋滞だった。警官がひっきりなしに笛を鳴らしていた。
「どうかしたんですか、この車の数は……」
 声を掛けると、警官はため息をついた。
「この通りを真っ直ぐ行って、二つ目の信号を曲がったところにあるポケモンセンターの前に案内板がある。それで分からなきゃとりあえずあの、見えるだろ、あのドームのところまで歩いていきなさい。あとは人の流れに乗れば会場に着く。だがしかしだね、君のような若いやつには言ってもわからんと思うが、ルールとは守るためにあるものだよ。本来徹夜で列をつくるのは禁止されているんだ。それがなんだ、君らはまるでルールに基づいて市民を守ろうとする我々を説教臭い親父を見るような目で――」
「あの。すみません。この渋滞はいったいなにがあったんです?」
 警官は目をぱちぱちする。
「なにって、そりゃ、ライモン万博さ。明日から一週間やるんだ。半年も前からニュースでやっていただろう?」
 そういえばそうだった。あんまり頻繁にテレビで見るもんで結局のところ開催がいつなのかよくわかっていなかった。
「開場は朝の十時だってのに、このザマだよ。まったく、非常識な人間が多すぎるんだ。いったい何人いるんだ? え? ライモンの人口超えるんじゃないのか。どれ数えてみるか、ひー、ふー、み」
 僕は警官に背中を向けて携帯を取り出した。いま流行りのアイフォンだ。生みの親を亡くした彼は哀悼の色をしている。創始者のスピーチはすばらしいと評判だが、多くの成功者が語ったこととあまり相違ないような気がする。
 画面をスライドさせてニュースを見る。万博開催まであと十時間。トップニュース、地下鉄では総勢十五匹のマルマインによる自爆テロか。スーパーマルチでもなければ死者が出ていたな。おっと、スカイアローは封鎖されているじゃないか。カビゴンなんか誰が置いてったんだ。ポケモンの笛なんて持ち合わせがないぞ。
 僕はすっかりまいってしまった。なにせ八方塞りだ。彼女がほんとうにサンヨウに居るなら、もうどうにもしようがない。地下鉄は線路が吹き飛んで封鎖されているし、南部へ向かう橋は封鎖を食らっているし、道路は大渋滞だし、あとは空を飛んでいくぐらいしか方法がない。しかし飛行機は論外だし、僕はトレーナーではないからポケモンでの飛行を許可されていないし、そもそもポケモンを持っていない。唯一手持ちに居たヨーテリーは素質があるとかなんとか言われて彼女に強奪されてしまった。今はムーランドとして砂パでの活躍を期待されているそうだ。
 アイフォンが震えた。天の声だ。
『遅い! もう来ちゃった!』
「いったい何がだよ」
『いいの』
 何が何なのか知らないが、彼女は少しふてくされたようだ。
『いいから早く来て。いまさら来たって遅いのよ』
 頭がこんがらがってきた。
「でも、行きたいのはやまやまなんだけど、行けないんだよ。自転車は黒こげだし、道路は渋滞してるし、地下鉄は大爆発してるし、僕は空を飛べないし」
『じゃあ手配するわ。ちょっと待ってなさい』
 電話を切られた。手配するったって、何をだ、いったい。
 彼女が何を手配したのかについて考えながら、薄曇りの夜空を見上げ、しばらく壁に寄りかかって貧乏揺すりをしていると、ふいに視界へ黄色いものが割り込んできた。目前の空間へ物理法則を越えて滑り込んできたのだ。
 そいつはケーシィだった。ケーシィは座り込んでこっちを見ている。
 そうか、彼女が手配したのはこいつか。テレポートでサンヨウまで呼び寄せようって言うんだな。
「よしきた!」
 ケーシィを抱き上げようと傍に寄ると、突如、彼は目に見えて慌てだし、ヒュンとテレポートした。
 あれっ、と思って見ると、閉じたガレージの前に移動している。
「おい、待てよ」
 捕まえようと手を伸ばすとまたぎくっとしたような感じで、今度は街灯の下だ。
「待てってば!」
 何がしたいんだお前は! トレーナーがトレーナーなら、ポケモンもポケモンだってんだ!
 僕はケーシィを必死に追いかけた。彼はクラクションが大合唱する表通りをヒュンヒュンとテレポートしていく。焦っているのかうまく移動できていないらしい。そんなに長い距離をワープしていないし、ともすれば【ケーシィはくるまのなかにいる!】となりかけている。具体的には体が半分ボンネットの中とか。
 そしてついに移動距離が2mもなくなり、30cmになり、最後にはぐったりとしてしまった。PP切れだ。
 ライモンの交差点は昼間のように明るい。歩道で力尽きているケーシィを抱き上げると、僕はほっとしたが、すぐに大変なことに気がついた。PPが切れてしまったら、僕が移動できないぞ!
 すぐさまフレンドリーショップに駆け込む。
「すみません、ピーピーエイドは」
「当店ではお取り扱いしておりません」
 そうでした。
 しょうがないので家へ戻って、彼女の荷物の中からきのみ入れを漁った。彼女のポケモンなんだから彼女のものを使ったって構いやしないだろう。たしかPPを回復するのはヒメリの実だ。僕はちょっと大げさなサクランボみたいなそいつをケーシィにやった。ケーシィは喜んで食べた。
 すると、にまァーッ、と笑った。
 さて、僕はとても平々凡々で、BMIからルックスまで平均から外れない特筆することもない人間だが、ひとつ人に負けないことがある。それは”むしのしらせ”とでも言えばいいのか――、とにかく、予感が当たるのだ。
 この能力というか、なんというか微妙なシロモノは、主に彼女に対して発揮される。彼女の脈絡のないおねだりや厄介ごとを判別するのには非常に有効だ。悪い予感がするときはなるべく理由をつけて避ける。僕の鞄にはそのための屁理屈ストック帳なるものまで入っている。
 その予感が、すさまじい勢いで警鐘を鳴らしていた。ケーシィの微笑みに。
 僕はものすごい速さで部屋を飛び出した。しかしケーシィは空間を飛び越えて玄関に先回りしてきた。口もとからヒメリの汁が滴っている。悲鳴が喉に凍りついた。
 途端、目の前が真っ暗になった。周囲の空気が粘質になってぐにゃりと歪むような感覚があった。エレベータの動くのに似た浮遊感を感じた。なんらかのサイコパワーが働いていることは間違いなかった。やばい、僕はまだ死にたくないぞ!
 すると僕は、どこかの屋上に立っていた。
 見渡す限り闇に沈んだ森と、石づくりの屋上。間違いなくライモンシティではない。ここはどこだ。足を滑らせかけて思わずアウティッみたいな声が出て内股になってしまった。と、どこからかヘンな音が聞こえる。ヒュラララーッ。空気を震わす音で全身に鳥肌が立った。だめだ、夜にこんなところにいたらいけない。振り向くと、ケーシィ。
「このやろう! ここはどこだ!」
 叫ぶと彼はまたにィーッと笑う。なんなんだいったい。なんなんだお前は。あんまり苛立ったのでぶん殴ってやろうと、助走をつけて飛びかかった。拳が奴の頬をとらえる、と思った瞬間奴は消えた。ちくしょう貴様テレポートか!
 アッ、と足を踏み外し、落ちる。落ちる、落ちる――
 眩暈がした。熱い。まだ落ちてる。あれ、そんなにむちゃくちゃ高い場所から落ちたわけでもないはずなんだ、が。
 凄まじい風が吹き上げた。熱風だった。熱い、ヤケドする、無理やりに目を開く、すると。
 見渡す限りの溶岩。
 ドロドロに溶けた灼熱の土が大地から滾々と湧き出し、ゆるやかな川をつくっている。
 なんだこれ。なんだこれよ!
 やめろ! まじ ほんとに
 おい
 焦げるとかもはやそんな話じゃ
 ね
 おい








***


1.ポケスコ〆切一時間前。
2.突然「いま書いてんのこれおもろないんとちゃうやろか……」という疑念に襲われる
3.というかまだ1000字ちょっとしか書いてない。
4.しょうがないので30分前に突然即興で書き始める。(血迷った)
5.10分前に「これじゃマズイ」と正気を取り戻してもともと書いてたのに取り掛かる。
6.間に合うはずがない。
7.やけっぱちでポケストに投げる。 ←イマココ!


 即興で血迷った結果がこいつです。今は反省している。
 続きは あたまのなかから にげだした!


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