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101 天使と悪魔 奏多


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 フェアリータイプという区分が出来たのは、ここ最近の話だ。この新しいタイプは、学会において重大な新発見だった。しかし、カロス地方には、昔から妖精といったものの話が多く残されている。
 妖精と聞くと、羽の生えた小人や、いたずら好きの子供のような姿をしているものを考える人が多いのではないだろうか。だが、実際は妖精というものはそういった可愛らしいものばかりではなく、そういったものは伝承の中ではごく僅かである。動物の姿をとるものや、幽霊のような風貌のもの、更には人を殺そうとするものなども多くいる。
 そんな怖い一面も持った妖精のことを、カロス地方の民間の伝承では「ノ・ボンヌ・メール・エト・ボンヌ・ダム」と呼んでいる。これは、我が善き母親たち、といった意味である。カロスの人々は妖精の話をする時、妖精の名前を直接呼ぶのでなく、この俗称で呼ぶことがほとんどだという。
 なぜわざわざ、このような呼び換え名で呼ぶのか?
 それには、カロスの人たちの妖精への畏怖が見え隠れしている。妖精というものは、先ほども言ったように様々な種類のものがある。昔の人はそれを、自然の化身や、人間と神の中間的な存在、天使のような存在などと考えていた。特にサーナイトなどのエスパータイプを併せ持つポケモンや、トゲチックなどの飛行タイプを持つポケモンは、神聖なる神の代理人、天使のようなものだと考えられていたという。そのような、大いなる力を持った妖精の名を気軽に口にすることは、恐れ多いと考えられた。また、軽い気持ちで妖精の名を呼ぶことで、妖精を呼び出してしまうことを防ぎ、怒らせて仕返しをされることを防ぐためでもあったという。カントーやシンオウでも、大きな力を持つ存在のことを、「……様」と呼ぶのと同じことだと考えられている。
 そんなフェアリータイプの技が、効果抜群になるので最も注目されているのは、ドラゴンタイプであろう。ドラゴンというのは、カロス地方やイッシュ地方では、悪魔を意味する存在である。それに反して、妖精というものは天使というイメージも持っていた。そのことを考えると、タイプ相性がとても納得のいくものだと考えられる。
 ところで、カロスのチャンピオンロードでは、空から低確率でサザンドラが出現することがある。このことには、ある言い伝えがあった。カロスで、天使と悪魔の戦いがあった時、悪魔はその戦いに敗れた。そして、悪魔を監視するために天使は、聖なる城に悪魔を閉じ込めた。しかし、悪魔は長い年月をかけて、その城から抜け出しことに成功した。悪魔は、天使が自分たちがこの城を脱したことに気付かないように、城を出るときはドラゴンの姿をして出ることにしたのだ。
 その城というのが、ポケモンリーグであり、悪魔の姿を変えたドラゴンが、野生で出現するサザンドラだといわれている。