132 王の剣 リング(HP)
王剣ポケモンのギルガルド。このポケモンに王の素質を認められ、従える者はやがて王になると言われていました。歴代の王はギルガルドを連れ、もしくは背負い、傍らにトリミアンを置くという立ち姿で自らの権力を誇示しておりました。カロス地方に残るさまざまな美術品に、これを示すような作品がいくつも現存しております。
そんなギルガルドですが、彼らの忠誠心は非常に高く、いかなることがあっても主の元を離れずに付き従い、戦を勝利に導いたという、いかにも高潔な記述が一般的ですが、それらのギルガルドはむしろあまりすぐれた個体ではなかったとか。そういった者達に仕えるギルガルドは、むしろより多くの血を吸うために王たちを戦いに駆り出させ、民を疲弊されたと言われています。
しかし、このギルガルドの所有者の中でも、もっとも偉大な存在である円卓の騎士の王に仕えた個体とされるギルガルドは、むしろ自由奔放に主を代えることが往々にしてあったそうです。ギルガルドが王の素質を見極めると言っても、選んだ人物はまだまだ種の段階。育てなければ芽吹くことはありません。そのために、ギルガルドは霊力で人やポケモンの心を操ることで、自主的に誰かに盗まれ、王の素質を見出された者と戦わせるのです。
王となるものは盗んだ相手と戦ってギルガルドを取り戻さねばならず、強大な力を相手に何度も戦い、試練に生き残った者のみが晴れて王となれるのです。そして逆に、盗んだ者は自らが王の器に値しないことを証明し、命絶えてゆくのでした。
ギルガルドは、時に剣として敵を両断し、敵を打ち抜く矢になりました。その重さと鋭さは、人間が死体を振るうだけでも相当な威力ですが、それに加えてギルガルド自身の力も加わるために、使いこなせばいかなる人間より、いかなるポケモンよりも強大な戦闘力を持つのです。
また、ギルガルドはそれを納める鞘であり、身を守るための盾である部分にも強い魔力が秘められており、その盾を身に着けている者はいかなる傷を負うこともなくなります。キングシールドと呼ばれる技がそれに当たり、その技は敵の攻撃をすべてはじき返し、その刃を折り取り、抵抗する力を奪う技です。
円卓の騎士の王を見守った魔術師は、ギルガルドの攻撃力よりも、この盾の力を高く評価するように王へ助言しておりました。それは王国が侵略的であってはならず、剣を振るうのはあくまで防衛目的であることが望ましいという王へのメッセージなのだそうです。
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