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25 ポケモン情報コラム:旅人のつぶやき ラクダ


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 雨の降り続く毎日ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか? じめつく季候に気分も沈みがちですが、外で元気一杯にはしゃぐ水ポケモンを見ると癒される気がしますね。

 さて、今日このコラムで紹介するのはイッシュに広く伝わる眠りの妖精「サンドマン」です。
 リゾートデザート周辺に住むというこの妖精は、大きな袋を持った小柄な老人の姿であるとされています。袋の中には眠気を誘う魔法の砂が詰まっていて、それを瞼の上に振りかけられるとたちまち眠り込んでしまうのだそうです。
 夜になると、サンドマンはイワパレスの背に乗り、沢山のイシズマイ達を引き連れて砂漠を歩き回ります。夜が更けても眠らない子供やトレーナーを見つけると、こっそり近づいて目に砂を振りかけ、あっという間に深い眠りに引き込んでいくのです。なぜ誰も止められないのかというと、あまりの早業であるために人もポケモンも彼の仕業に気づかないからなのだとか。ちなみにこの砂をかけられてぐっすり眠ると、翌朝すっきりとした気分で目が覚めるとの事で、神経の昂りや不安を抱えた人々の中には彼の訪れを心待ちにしている方も多いそうです。
 地域によっては、サンドマンは老人ではなくイシズマイの姿をしているのだと伝えられています。石の殻の中に眠りの砂を蓄えたイシズマイが家々を巡り、眠ろうとしない子供の目に砂をかけて回るのだそうです。この妖精は姿を見られるのをひどく嫌うとの事で、いつまでも寝ようとしない子供たちを叱る際、『早く寝ないとイシズマイが来るよ、寝ない子の目玉をハサミで突っつくよ!』と言うのだとか。ただし「サンドマンに襲われた」という伝聞がない事、そして老人のサンドマンは眠りに導く優しい妖精であるとされている事から、これは言いつけに従わない子供たちを脅すための後付けなのかもしれません。実際イシズマイは臆病かつ大人しいポケモンであり、この種の飛び出した目と尖ったハサミが印象的なために「目玉を突く」という想像に結びつけられたのではないでしょうか。恐らくサンドマン伝承自体が、育ち盛りの子供や旅人たちへの「早めに休んで体調を整えよ」という戒めの物語なのでしょう。
 とはいえ、上記の逸話からイシズマイを敬遠する傾向もあるので、地域によってはこのポケモンを連れているトレーナーの皆様は多少の注意が必要でしょう。しかし逆に安眠をもたらす使いとして歓迎される事もあり、一概に嫌がられるだけではないとも明記しておきます。そういった情報はポケモンセンターの掲示板や図書館などで得られますので、興味のある方は一度確認される事をお勧めいたします。
 なお完全に架空の存在である、とは言いきれませんので、旅をする方は無理をしすぎてサンドマンのお世話になる事のないよう気をつけましょう。でないと目を突つかれて怒られてしまいますよ!
 
 それでは今回はここまで。皆様の旅路が実り多きものでありますように!