34 木々を届ける神 リング(HP)
ホウエン地方では陸の神を信仰するものと、海の神を信仰するものとの間で長い間対立がありました。
その対立は根強く、今でも水面下で続いており、それが表に出たアクア団とマグマ団の争いは記憶に新しいことです。
かつてもあったその争いの煽りを受けて、山にある集落が村ごと焼き払われるなどして滅びると、ほとんど更地になっていたその場所にはいつしかコドラやボスゴドラがその場所に下りてきます。滅びた村にある血の匂いに惹かれてきたのか、そこにある鉄器や武器の鉄という食料が魅力的だったのか、そこを縄張りとしたその子はいつしかボスゴドラに成長していき、そこに木を植え始めます。
ボスゴドラが縄張りとしたその場所は、本来ならば何十年と経たねば緑は蘇る事のない荒地となっていたことでしょう。灰だらけの地面から草が生え、ススキのような背の高い草が生え、その隙間を縫うように背の低い草が生え、最終的に背の高い木々が生えるまでは気が遠くなるほどの時間が掛かるものです。
ただ、そういった集落に幸か不幸か多くの人間が死に絶え、それに合わせて大量の鉄が残されている場合。豊富な鉄を目の当たりにした個体は、そこを縄張りにすべきと確信して住み着くのです。
そうして出来た森は、家屋の残骸やお地蔵様、コケが生えて朽ち果てた石段など、人間の生活の跡が残されていて、それを飲み込むように食料になる木が生い茂り、人間が作った杉林やヒノキの人工林に引けを取らない不自然な印象を与える場所となるのです。求愛のために火花を立てる練習をしたおかげだろう、そこらじゅうの岩が破壊されている跡からもかつて存在したボスゴドラの存在が伺えます。
湧き水があり、まだ他のポケモンの縄張りになっていない場所で、なおかつ鉄が豊富に取れる場所であれば、コドラは住み着いてしまうため、かつてのホウエン地方ではコドラとその進化系(ココドラはまだ親元にいるため)が乗っ取った廃村がそこら中に存在しています。
それらの個体は、やがて散乱していた武具や鉄器が枯渇すると共に死んでしまうか他の場所へ移ってしまうため、ホウエン地方ではふらりと現れては山に緑をよみがえらせて消える精霊や神として崇められていました。
もしも貴方が旅に出て、食料になりそうな木ばかりが生える廃村を見つけた時は、一度目を閉じてかつてのその場所に思いを馳せてみてください。きっとこの周囲では戦乱があり、そしてそこにボスゴドラが住み着いた場所なのだと想像してみると、なんだか感慨深くなりませんか?
|
|