61 ガラスの竜 リング(HP)
ジョウト地方のヒワダタウンから、海を南に行った場所には、海の上の干潟に建てられたアルトマーレと呼ばれる街があります。
『遥かなる海』を意味するこの街は、『水の都』という別名の通り、迷路のように入り組んだ運河や水路が発達し、水と共生する美しい景観が特徴の観光都市です。
中世初期のころから貿易の要となったこの街では、独自の産業としてガラス工芸が発達し、今現在でもガラス工芸品の地域ブランドとして世界に通用するクオリティを誇っています。
このガラス工芸の起源は古く、そして謎に包まれています。一説には中世半ばにおける交易品の中でも特に珍重され価値の高いガラス工芸品を自国でも生産出来れば多大な利益を得られるからと始まったという説がある一方で、中世初期の頃にはガラス工房やガラスの跡があったりなど、起源は定かではないというのが実情です。
海の上に建てられた街ですので、アルトマーレでは原材料やガラスを溶かすための燃料を自力で産出できないため、職人が原材料な豊富な国へと移住しないようにと、職人や役人たちの間で強力な保護政策がとられました。
すべての工房を本島に集め、職人、家族、販売者を一ヶ所に集める。功績をあげたり売り上げの目覚ましい攻防には報酬を与え、逆に技術の流出を防ぐために、島から逃亡しようとする職人には罰を与えるなどの法令が、それに挙げられます。
こうして職人を囲った甲斐もあり、このアルトマーレでは沢山の工房がせめぎ合い切磋琢磨していたために、技術は成長を続け様々な名品が生まれるに至ったわけです。
もちろん、厳しい保護政策に嫌気がさして逃亡する技術者もいて、そう言った者達が各地にガラス細工の技術を伝えていきました。
「観光客に人気なのは、ラティアスとラティオスをあしらった商品ですね。装飾品なり、食器なり、形や用途は違っても、ポケモンモチーフになるとこれが一番です」
一〇〇年以上続く工房の主人であるサレさんは、そう語ります。
アルトマーレには、ラティオスとラティアス、二種の守り神が外国から侵攻する外敵や災害を跳ね除けてこなければ、今頃アルトマーレという街は存在していなかったといわれています。
それほど強力な力を持ったポケモンゆえ、その二種のポケモンを模したものや、二種のポケモンの力を引き出す『心の雫』という宝石を模した装飾品は、魔除けや厄除けとして扱われているのです。
赤い下半身と白の上半身を持った竜がラティアス。青い下半身と、白い上半身を持った竜がラティオス。同じ一つの製品に描かれているものもあれば、それぞれの竜が描かれたペアグラスのようなセットで意味を成すものもあり、そういったものは恋人や夫婦に売れ筋だそうです。
高い造形技術と美しい色合いで、見る者を魅了してくれるアルトマーレのガラス工芸品。アルトマーレに訪れた際は、是非お土産に一つ購入してみてはいかがでしょう?
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