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73 三羽の鳥の伝説 奏多


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 冬に見かけられ、雪を降らせる能力を持つといわれるフリーザー。そして、春の訪れを告げるため、南国から飛んでくるといわれているファイヤー。この二羽の鳥ポケモンの他に、もう一羽。サンダーを交えて、「伝説の鳥ポケモン」と区分する考え方がある。サンダーは、雷を操る能力ばかりに注目されるが、フリーザーやファイヤーと同じように、季節を司る言い伝えが残っている。羽ばたく度に雷を落とし、夏の嵐を巻き起こす、といったものだ。カントーやシンオウ地方では、フリーザーが冬、ファイヤーが春、サンダーが夏を司っている季節の神であり、秋はその神々が休息をとる季節だと考えられていた。そのため、伝説の鳥ポケモンを氏神とする神社などでは、神が社で休むことのできるように儀式を執り行うという。
 そんな伝説の鳥ポケモンたちだが、海外にもその伝承がある。それは、カントーやシンオウから遠く離れた、イッシュ地方での話だ。イッシュの中央部の先住民には、空を覆うような巨大な鳥ポケモンの伝承がある。そのポケモンは、羽から稲妻を発することが出来、赤い体を持ち、美しい銀の尾を持った鳥ポケモンだという。だが、とても大きい体を持つため、いまだその姿を全て見たものはいないという。そのポケモンの雷を操る力を聞くとサンダーを思い浮かべるが、ポケモンの赤い体や銀の尾は、ファイヤーとフリーザーを彷彿させる。学者は、この伝承のポケモンの姿は、サンダー、ファイヤー、フリーザーの姿が合わさって考えられたポケモンなのでは、と考える者もいる。カントーやシンオウから伝わった、神としての伝説の鳥ポケモンが、先住民の巨大な鳥ポケモンの伝承に姿を変えたというものだ。
この鳥ポケモンは、神に近い存在であるとされ、自然界の化身であるといわれている。だが、人間やポケモンを守るだけでなく、時には自然の厳しさを教えていた。その力で天候を変えることが出来たため、飢饉などを起こすこともあったそうだ。だが、人間の味方として、巨人たちと戦ったという逸話も残されている。先住民にとっては、この鳥ポケモンは自然そのものであり、畏怖の対象であったようだ。
 学者の中には、このポケモンは伝説の鳥ポケモンの合わさったものではなく、先住民とかかわりの深かった、ウォーグルの大きい個体だったのではないか、と考える者もいる。
 どちらにしても、鳥ポケモンと言うものは、昔から人々を魅了する存在で、多くの伝説が残されていることは、明らかだろう。