80 フェアリータイプではなかった妖精 その2 リング(HP)
フェアリータイプ。それは民間伝承に多く残されている『妖精の仕業』とされていた現象や事件の犯人の多くがこのタイプに属していたことから、名を与えられたタイプです。
しかし、ドラゴンタイプだと思われていたポケモンがドラゴンでなかったり、草タイプだと思われていたポケモンがそうでなかったりというように、妖精タイプであると思われていたが、そうではなかったポケモンも数多くいます。
今回は、そんな一例としてかつて『ノッカー』と呼ばれていたポケモンについて紹介しましょう。
ノッカーと呼ばれたポケモンは、鉱床などに住む小さな妖精で、鉱夫達が穴を掘っているときに、彼らがコンコンと壁をノックして、良質な鉱脈のある場所を伝えていたとされています。このポケモンは、鉱物をたべる鉱食の食性を持つポケモンで、もちろん本来は自分が餌をとるために穴を掘っていたというわけです。
しかし、人間がその鉱床に入ってくると、人間の目を盗んで穴を掘るしかなく、人間がツルハシを持ってきて穴を掘りだせば、彼らは一目散に退散してゆきました。要するに、親切心から教えているわけではなく、自分たちの生活のためにやっていたことが、人間に利用されていただけというわけです。しかし、自分たちの食糧が取られていくのを、そのポケモン達も黙ってみているわけにはいきません。彼らは、後手に回って相手の出方を伺う気弱なポケモンが多かったのですが、人間の介入によって新たな特性を得るに至りました。
それが、『悪戯心』と呼ばれる珍しい特性です。これを発現出来る個体は稀でしたが、しかしもしも発現できれば、人間の収穫をただの石とすり替えたり、人間を妖しい光で惑わして、その間に仲間たちに盗ませるのも自由自在。ここまで聞けば、ポケモントレーナーの皆様は、もう種族は特定できたでしょうか? そのポケモンとはヤミラミです。
カロス地方では主に映し身の洞窟にて発見されるこのポケモンは、洞窟の事なら人間よりもはるかに敏感であるため、落盤の危険があればいち早く寝ている仲間に伝えて避難したりもしました。その時立てる音も、激しくコンコンとノックする音。昔の人は、それが人間に危険を知らせてくれるノッカーの親切だと信じて疑わなかったのです。
ヤミラミは時々、その姿を見せる時もありますが、ノッカーは私生活を覗かれるのを嫌っているので、姿を見ると鉱床が枯れると言いう言い伝えも残っています。ですがこれもヤミラミが餌場を移しただけの事。昔の人は自分に都合をよく考えていたのか、それともよほどヤミラミが人間に都合のよいポケモンだったのか。
皆さんは、野生のヤミラミがコンコンと壁を叩いていても、邪魔しないであげましょう。彼らも生きるために必死なのです。あまり邪魔すると、もっと恐ろしい特性をひっさげかねませんよ。
え、望むところですか?
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