84 白の物語
No.017(HP)
今も昔もその希少価値から珍重される色違いのポケモン達。これには一般に言われる色違いポケモンの他に白い色の個体がいる事をご存じだろうか。それらはアルビノとか白子とか呼ばれ、メラニンの合成に係わる遺伝情報の欠損により 先天的に色素が欠乏する事によって身体が白くなった個体の事である。大きな特徴としては肌や毛皮が白くなり、目は血液が透けて見える為に赤く見える事が多い。彼らは古来よりその美しさや希少価値により神の使いであるとか吉兆の前触れであるとか言われてきた。特に有名なのは白いイーブイや白いアーボであろう。
イーブイはいわゆる色違いも白っぽい色をしているが、こちらは目が赤く無い為、アルビノとの違いは容易につける事が出来る。一説によれば古事記に見られる因幡の白ウサギとはアルビノのイーブイではないかと言われている。彼は淤岐島(おきのしま)から本土に渡る為に仲間の数比べをしようと言ってサメハダー達を海上に並ばせて、その背中を渡ったが、欺いた事がバレて、毛皮を剥がれてしまい、泣いていた。そこへさる女神のもとへ求婚へ行く途中の神々が通りかかるが嘘の治療法を伝授され、さらに苦しむ事になってしまう。すると最後にやってきた大国主神が「真水で体を洗い、蒲(がま)の穂の粉をつければ、元に戻るだろう」と教え、助けた。白イーブイは「求婚して女神を得るのはあなたでしょう」と予言したという。
またホウエン地方に近い、イワグニと呼ばれる地域では白いアーボが多く見られ、「岩国のシロヘビ」と呼ばれる。通常白い個体は外敵に見つかりやすい為、生き残るのが難しいとされているが、この地域では白化が子孫の代にも受け継がれている。この背景には昔から地域の人々がシロヘビを神様の使いとして大切に扱ってきた事があると推察される。人々は白いアーボを弁天様のお使いと見なし、商売繁盛・金運・開運の守り神としてあがめてきた。シロヘビが飢えれば食べ物を与え、殺生および捕獲は固く禁じられてきた。現在は国の天然記念物指定を受けている。
シロヘビはいわゆる妖怪の類としても多くの地域に伝承が残っている。多くは家に住み着く事でその家に財をもたらすが、シロヘビが出て行くと没落してしまうという。
またホウエン地方ではごく稀に湖などで黄色いナマズンが見つかる事がある。これもまた色素欠乏の結果でアルビノの一種で、地元の釣り人達の間では弁天様の使いだとか近いうちに大金が入るという前触れであるとか言われているようだ。
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