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  [No.1756] あの子がマイナンと出会った訳 投稿者:akuro   投稿日:2011/08/16(Tue) 14:40:59   71clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 夕日が輝く午後5時。 ホウエン地方、110番道路。 カイナとキンセツを結ぶサイクリングロードがあるこの場所に、ひとりのトレーナーが、マイナンをつれてやってきた。

「まったく、なんで私がこんなことを……」

 トレーナーはそう呟き、傍らのマイナンと共に草むらに入っていった。

 このトレーナーの名はエンジュ。 ホウエンでも5本の指に入る凄腕のトレーナーである。 そんな彼女がこの場所にいる理由。 それは……



 時は2日前に遡る。 ミシロタウンにあるエンジュの家に、あるトレーナーから電話がかかってきた。
 プルルル…プルルル…
「はい、どちらさまですか?」
「あ、エンジュ! ヒバナだよ〜」
 相手はジョウト地方に住むトレーナー、ヒバナ。 エンジュのトレーナー仲間であり、現在はウツギ博士の助手でもある。
「ヒバナ? なにか用?」
「あのね、シンオウにいる私のいとこが来週旅に出るんだって」
「シュカだっけ? ふーん、それで?」
「でね、シュカにポケモンをプレゼントしようと思って。 それでエンジュにも手伝ってほしいの!」
「……はい?なんで私が……」
「今度の土曜日にホウエンに行くから、ポケモン捕まえておいて! じゃあね〜」
 プツ、ツー、ツー……
「ええ!? ちょっと、ヒバナ!?」
 エンジュは受話器に叫んだが、時すでに遅し。
「……はぁ」
 エンジュは呆れたようにため息をついた。


 ……そんなこんなで、現在。 エンジュの前には数種類のポケモンがいた。

「どんなポケモンがいいのかしら……」

 ポチエナ、ラクライ、ゴクリン。そのどれも、女の子(と聞いている)であるシュカには不釣り合いだ。

「うーん、どうしよっか、らいむ……ん?」
 傍らにいたマイナンの側にもう1匹、マイナンがいた。
「マイナンか……らいむ、その子に捕獲していいか聞いてくれる?」
 らいむは頷くと、側のマイナンと話し初めた。
「マイマァーイ、マイ?」
「マイマイ♪マーイー♪マーイ!」
 突然そのマイナンが飛び上がった。そしてらいむに向かって無数の星型の光をとばしてきた。
「スピードスターか…らいむ、まもる」
 らいむは体をまるめ、守りの体制にはいった。 
ーーやがて光がやんだ。
「でんこうせっか」
 らいむは目にもとまらぬ速さで、マイナンにタックルをした。
「……ッ! マイー……」
 マイナンは地面に着地したが、その足取りはふらふらと重い。
「よし、ハイパーボール」
パシュン!と音をたて、マイナンはボールに入った。 ボールはしばらくゆらゆらと揺れ、カチッという音が響いた。

「……よし、捕まえた。 あとは明日、ヒバナに渡すだけか」

 そういうとエンジュはらいむをモンスターボールに戻し、代わりにトロピウスを出した。

「…ひでんトロ、ミシロまでお願い」

凛とした顔で手の中のボールを見つめる少女が、輝く夕日を背に飛び立った。



[何してもいいのよ]
[たぶん続く]


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