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  [No.2648] 【愛を込めて】Happiness 【花束を】 投稿者:NOAH   《URL》   投稿日:2012/09/26(Wed) 13:34:23   84clap [■この記事に拍手する] [Tweet]


「なあ、聞いたか?」

金髪の男が、フードを被り、顔を隠す男に話しかけていた。ここは、喧騒と欲望の渦に沈むブラックシティ。黒く染まった大都会である。

「……何かあったのか。」
「ほら、あの単独で動く女裏ハンター!!名前は確か……。」
「キャシディ・マーニー?」
「そう!そいつ!毒蛇キャシディ!!」
「組んだのか?」
「らしいぜ。」
「……厄介なのが増えた。」
「何か言ったか?」
「何も……持ち場に戻ろうぜ。」

フードを被った男は、金髪の男を急かすように先に進む。金髪の男は戸惑いながら付いていく。その中で、フードを被っていた男は焦っていた。 気付けば、金髪の男は居なくなっていたことに気付いた男は、被っていたフードを取って息を吐いた。そしてそのまま座り込む。

(はあ……警察官も楽じゃねえな……これ終わったら、有給むしり取ってやる。)

浅く息を吐いて空を見上げた。何時の間にか、エルフーンが頭に乗っていたが、男は気にせず腕に抱いた。この男は、裏取引の情報を嗅ぎ付け、潜入捜査を行っている、国際警察官の刑事、シュロである。腕の中に移動させたエルフーンの♀、フォンは、彼の手持ちの一匹である。

「フォン、これ終わったら、必ずヒウンアイス食べような。」
「える!」
「……約束な。」

彼女が差し出した右腕に、自身の右手小指を当てて、指切り拳万と呟くと、彼女をボールの中に戻し、フードを被り直した。

「待って。」
「…………。毒蛇?」
「怪しいと思ったら……あなた、ヘリオライト?」
「あんたにも、俺のコードネームが伝わってるとはね……光栄だよ、キャシディ・マーニー。」

苦虫を潰したような、険しい顔付きで、現れた女を思いっきり睨み付けた。女、キャシディの隣には、こちらでは珍しいアーボックが威嚇している。キャシディは、アーボックを撫でて落ち着かせると、シュロの方へと向き直った。

「探している子はこの子かしら?」
「!あんた、知っててわざと……!!」
「この子がほしくて取り入ってたけど……興が剃れて、あんたのターゲット、眠らせちゃった。この子はそのお詫びの品よ。」

彼女がシュロに差し出したのは、一匹の、色違いのヒトモシ。恐らく♀である。福寿草の花が咲く、小さな鉢植えに寄り添って、ぐっすりと眠っていた。花が燃えないと言うことは、恐らく特性はもらいびだろう。お詫びの品と述べた彼女に不信感を募らせたシュロだが、大人しく色違いのヒトモシを受け取った。

「……辺りが騒がしいわね。起きちゃったかしら?」
「かもな……さて、暴れ時かな。」
「逃げないの?」
「残念ながら、ここの連中を全員しょっ引くつもりさ…………あんたの分の手錠は、残念ながら今回は持ち合わせていないけどね。」
「そう、それは残念……ああ、そうそう。その福寿草、私からその子への贈り物よ。」

それだけ告げて、毒蛇、キャシディ・マーニーは、フワライドに掴まり、アーボックをボールに戻すと、ブラックシティのビル群に囲われた空へと、ゆっくりと上昇して行った。シュロはそれをそのまま見つめると、自分が一番信頼する相棒・ワルビアル(♂)のヴィックと共に、黒の街へと舞い戻って行った。




「痛ってえ!?」

消毒液が突然、たっぷりと傷口に付けられて、シュロは思わず声を上げた。消毒液を付けた張本人は、彼の弟のようだった。

「兄さんのばか野郎!なんであんな無茶するのさ!!」
「ちょっ、リンドウ、うるさい!シンフーが起きる!!」
「……え?誰のこと?」
「ん。」

指さす先には、未だぐっすりと眠る、色違いのヒトモシ。ケージから出されて、椅子に座り込む、彼の相棒のワルビアルの膝の上にいる。そのヒトモシの近くには、ケージの中に一緒に入っていた、福寿草の植木鉢。エルフーンが、ジョウロで水を上げていた。

「シンフー?」
「そう。幸福って書いてシンフーね。」
「へえ……随分と深い意味合いで。」
「まあなぁ、『色違いは全部私の物だ!!』とか何とか言って、虐待死させたりしてたヤツだったからなぁ。」
「え……じゃあ、この子も?」
「おそらくな……まあ、ちょっとずつ、彼女の傷を癒してやるつもりさ。」
「だからって、父さんの二の舞にはならないでね?ヴィックも何とか言ってやってよ。」

そう告げたリンドウに、それは無理だと言わんばかりに、彼のワルビアルは首を振って、ヒトモシの顔を優しく撫でた。

「父親みたいだぞ、ヴィック。」
「!?」
「本当だね……兄さんを頼むよ、お父さん?」

そこで俺のことを言うのは違うだろう、とか、じゃあ誰が兄さんのストッパーになるのさ、とか、いろいろと言い合いを始めた主とその弟を見つめて、ヴィックは福寿草の鉢植えの土に刺さっていた、小さな紙を手にとった。それを見つめて、ヴィックはふ、と笑うと、黄色い愛らしい花の近くにそれを置き、このあと正式に、6匹目の仲間となるであろう、小さな小さなロウソクの霊を愛で始めた。



「福寿草:キンポウゲ科の多年草 アジア北部に分布。シンオウのテンガン山とジョウトのシロガネ山にも咲いている。季節は2〜5月。花の色は黄色。花言葉は、回想・思い出・幸福を招く・永久の幸福。」


*あとがき*
最後はヒウンアイス食べながら終わらせるつもりが違う形になった!
ですが、結果的にほのぼのになったのでいいです。

ずっと書きたかった話がようやく書けました。
福寿草の花言葉を見た瞬間「これだああ!!」 と思いました。

色違いのヒトモシって可愛いですよね。
私の書くワルビアルが本当にお父さんみたいですよね。
他にもツッコミどころ満載かもしれませんが触れません。

感想、お待ちしております。


【書いてもいいのよ】
【描いてもいいのよ】
【批評してもいいのよ】


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