マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ
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  [No.2819] ゆったりまったりおおみそか 投稿者:巳佑   投稿日:2013/01/01(Tue) 00:06:56   161clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
タグ:ブイズ】 【若干】 【タイム】 【オーバー】 【だけど】 【気にしない】 【本年も】 【よろしく】 【お願いします


【AM7:00】
 黒い四肢をしっかりと床に置くブラッキーを一番下に、紫色のしかめっ面を見せるエーフィに、葉っぱのような尻尾を力なく垂れさせているリーフィア。苦しそうに下を出しながら青い瞳で睨みつけているグレイシアに、心配そうなオレンジ色の顔をしているブースター。早くしろ言わんばかりに鳴いているサンダースに、バランスを崩しそうな足の震えを見せるシャワーズと順番にそれぞれの背に乗っていた。
 そしてそんな可愛らしいタワーの一番上にいたのは、茶色の体にクリーム色のもこもこな毛を携えたイーブイで、「ぶい!」と鳴き声をあげながら思いっきりジャンプした。
 踏み台にされたシャワーズはイーブイの踏ん張りに耐え切れずバランスを崩し、連鎖的に上からタワーが崩れていく。
 それと同時にイーブイはベッドの上で眠っている青年の顔へと思いっきりダイブした。
 ぽすんと柔らかい音が立ち、イーブイはベッドの上へと跳ねると、青年がむくりと起き上がった。
「おはよう、みんな」
 そんな青年の声は届かず、ベッドの下ではサンダースのを睨みつけでシャワーズが泣きそうになっていたり、はたまたブースターに文句を言っているグレイシアにリーフィアがどうすればいいのか分からずオロオロしていたり、それを楽しそうに眺めているエーフィに、我関せずといった感じに目をつむっているブラッキー。
 その光景を見届けて、青年はひとつあくびをすると再び布団に潜るのを見て、慌ててイーブイが青年の耳たぶを噛んだ。
 青年の断末魔に似た悲鳴が部屋中に響き渡った。


【AM8:00】
 耳たぶに大きいバンドエイドを貼り、着替えをし、イーブイ達にポケモンフーズを与え終えた青年はリビングの机に置いてあった置き手紙を見る。どうやら青年の両親は初日の出デートに行くから今夜は帰らないそうだ。年越しそばセットを冷蔵庫に入れておいたから好きに食べてもいいとのこと。置き手紙を読み終え、相変わらずのバカップルだなと思いながらイーブイ達の食事風景を眺める。
 隣同士、体をピッタリとくっつけながらエーフィとブラッキーがポケモンフーズを口にしている。
 青年はリア充爆発しろと心の中で唱えた。
 

【AM10:00】
 季節が大晦日ということもあって、テレビは特別番組でいっぱいであった。とりあえず去年のバラエティー系のスペシャルに番組を合わせて青年は居間のこたつでダラダラすることにした。
 青年が入っているこたつの近くではイーブイがぬくぬくと気持ち良さそうにブースターの横で丸まっており、リーフィアもブースターの横にいた。冬のブースターは人気である。あのもふもふはまさにこの季節では天国である。
 ちなみに青年の隣ではエーフィとブラッキーが仲良くこたつに入っており、向かい側ではシャワーズとサンダースがオレンの実をつついていた。
 やることもないなぁと青年が適当にこたつの上からミカンを取って向いていると、グレイシアがくいくいと青年の服のすそを口で引っ張った。
「もしかして水浴びか?」
「ふぃ」
 こたつから抜け出したくないといったような顔を見せた青年に、グレイシアが思いっきり息を吸い始めた。冷気がその小さな口に集まっていく。青年は慌てて止めた。分かればよろしいとグレイシアが鼻息を一つ。青年は仕方なくこたつから抜け出してお風呂場へと向かうことにした。グレイシアがぴったりと青年の足元に寄りながら歩く。この冬の季節、グレイシアは冷水に浸かるというのに悦びを見出したらしく、一日一回は冷水浴びをしないと気が済まなくなっていた。
 お風呂場に到着した青年はポケモン用に買った木製の桶(おけ)に冷水を入れると、グレイシアがそこにダイブした。飛び跳ねる冷水に青年が目をつむる。グレイシアが水の中から顔を出してご満悦な笑顔を見せた。しかし真冬のお風呂場の冷気に青年の方は早く出てくれとばかり願っていた。


【PM2:00】
 昼時も過ぎて、相変わらずテレビからはバラエティーの楽しそうなトークが繰り広げられている。
 青年はこたつに頬杖つきながらテレビを眺めている中、番組はクイズコーナーに入った。一問目が出てきてCMになる。
 すると、青年の向こう側にいたサンダースとシャワーズがなにやらもめだした。サンダースが身振り手振りでシャワーズに説明した後、シャワーズが首を横に振りサンダースに説明し出す。あーでもないこーでもないが二匹の間で反復横飛びをしている。やがてCMが明けてクイズの答えが出るとサンダースが飛び上がり、シャワーズがガックリとうなだれながら泣いた。
 青年もガックリと肩を落としていた。


【PM4:00】
 この季節は日が沈むのが早い。
 青年が窓の方へと顔を向けるともう空は夕方になっていた。こうしちゃいられないと青年はこたつから出てテレビの電源を消す。実は昼に今夜食べる予定だった年越しソバを食べてしまったので、夕食の食材を買いに行くことにしたのだ。せっかくの大晦日だから一人鍋というのも悪くないと思いながら、青年はコートを羽織ってサイフと携帯電話をポケットの中に忍ばせた。それから買い物ついでに一緒に散歩しようとイーブイ達に声をかける。するとわらわらと青年の足元にイーブイ達が集まってきて、早く早くと前足をぽんぽんと青年の足に当ててせがんだ。分かった分かったからとイーブイ達を落ち着けさせた後、青年は出発した。
 外の風は冷たく、吐く息は白い。けれど空は綺麗な夕焼けを見せており、雲間からこぼれるオレンジ色の光がなんとも素敵だった。一日中、家でぐうたらしていたからか、青年もイーブイ達も楽しそうに歩いていた。
「こら! サンダース! 勝手に先に走って行くなって! こら、イーブイも!」
 あまりにも賑やかさが増して、青年の手が焼かれていたが。


【PM5:30】 
 近くのスーパーで一人鍋用セットと、偶然見かけたポケモン用鍋セットを購入し終えた青年は近場の公園のベンチに座っていた。隣にはイーブイとエーフィとブラッキーが座っており、他の皆は駆け回って遊んでいた。
 道中、自販機で買った暖かい缶コーヒーに青年は口づけて、息を吐き、それから空を仰ぐ。夕日はもう沈む一歩手前で辺りはもうまっくらであった。今年もあっという間に過ぎていったと青年がもう一口暖かいコーヒーを飲んだときだった。青年のポケットから『オレン! オレン! オレン! オレン! オレン! オレン!』と歌が鳴り響いた。青年は慌ててポケットの中から携帯電話を取り出し、画面を開いた。するとそこには一通のメール着信があり、青年はそのメールの送り主の名前を見て顔を真っ赤にさせた。鼻息を荒くさせながらメールを開き、その文章を読んでいく内に青年の顔が真っ青になり、やがて肩を落とし力尽きたかのように携帯電話が手からするり抜けて地面に落ちた。青年が大きなため息をついた、そんなときだった。
 イーブイが青年の肩に乗り、心配そうな顔を向けてきた。それからチロチロと青年の頬を舐める。
「イーブイ……」
 青年が今でも泣きそうな顔をしながら言ったとき、イーブイが乗った逆の肩にブラッキーが乗り、その二匹を一番下にエーフィ、リーフィア、グレイシア、シャワーズ、ブースター、サンダースと順に乗っかってきた。
「そうだよな……俺にはお前たちがいるもんな、ありがと――」
 最後の『う』はイーブイ達の体重でバランスを崩したことによってかき消された。
 前のめりでベンチから落ちた青年はイーブイ達の愛が重かったとうめいていた。


【PM7:30】
 こたつの上には二つの鍋がカートリッジ式のガスコンロでぐつぐつと音をたてていた。
 一つは青年用で、もう一つはイーブイ達用だ。ポケモン用の鍋は八匹使うので、青年が使うのよりは若干大きい。
 こたつを青年とイーブイ達で囲む。無論、イーブイ達は箸を使えるわけがなかったので青年がよそうつもりだったが、エーフィが念力で巧みにおたまを動かし、立派に鍋奉行を務めていた。サンダースとブースターが早く食べたいとせがむように鳴くが、エーフィはキッと睨みつけを一発かまして二匹を黙らした。まさに鍋奉行エーフィなり。
 テレビから流れる国民的な歌番組をBGMに青年はゴホンと咳払いを一つした。
「あー。今年も一年、お世話になりました。また来年もよろしく。いただきます!」
 イーブイ達がノリノリで前足を天井に向けて上げ、青年が箸を手にして鍋をつつこうとしたときだった。青年の手が動かない。そして気がつけばおたまが一人で青年の鍋をかき回していた。まさかと思いながら青年がエーフィを見やると、案の定、睨みつけをもらった。
 エーフィを除く一同が空腹でうめき声を上げまくっていたのは言うまでもない。


【PM10:00】
 一通り鍋を食べ終わり、片づけを終えた青年が居間にこたつの方に戻ると、エーフィとブラッキーがこたつに潜りながら二匹仲良く眠っていた。ぬくぬくと気持ち良さそうな顔を浮かべている。特にエーフィなんかは鍋奉行という立派な勤めを果たしたからか、余計に輝いて見えた。
 そして、シャワーズとサンダースは笑っちゃいけない系のテレビを見ており、とあるシーンでサンダースが思わず笑ってしまった。すると、二匹の後ろに立っていたグレイシアが目を光らせたかと思うと、サンダースに『つららばり』を発射した。二匹ともいつまで続けるつもりなんだろうか、頼むからマジケンカに発展しないでくれと青年は願った。
 一方、こたつ外ではうつぶせでぐてーんと寝ているブースターの背を机代わりに、イーブイとリーフィアがトランプで遊んでいた。ルールを分かってやっているのだろうかと青年は見守っていた。


【PM11:50】
 やがて、イーブイもリーフィアも眠ってしまい、笑っちゃいけない系のテレビを見ていたシャワーズ、サンダース、グレイシアも遊び疲れたのか眠ってしまっていた。
 青年はふと携帯電話を取り出すと、それぞれの寝顔を写真に収めた。
 それからメール画面を開くと、送信先は両親に設定し先程の写真を添付した。
 本文にはこう軽く綴っておく。
『今日も無事に終わったよ。明日からもよろしく』
 イーブイに耳たぶを噛まれたり、メールでフラレたり、おでこに傷ができたり、無事ではなかったところもあったような気もするが……青年はおでこに貼ったバンドエイドをさすりながら、イーブイ達の寝顔を見て改めて思った。

 今日も楽しかったな、と。


【書いてみました】
 明けましておめでとうございます。
 本来なら大晦日が終わるギリギリに投稿したかったのですが……間に合いませんでした(苦笑)
 
 本年もよろしくお願いします。


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