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  [No.3271] 悪の組織・二つの見解 投稿者:WK   投稿日:2014/05/19(Mon) 13:05:21   59clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
タグ:ポケモン】 【きっとどの組織にも言えると思うのよ

 ――これでいいんだ。俺は、間違っていない。

 あいつらが存在したから、こんなことが起こったんだ。カラカラはお母さんを失ってこれ以上ないくらいに悲しんだ。ガラガラは息子を守って惨い殺され方をした。
 それでも、あいつらはその遺体を放置して、他のカラカラを襲いに行ったんだ。
 俺が止めたけれど、もしあの時俺が止めなかったら、タワー内に住んでいたカラカラは皆殺されて、頭蓋骨だけの状態になって売られていたと思う。
 それだけじゃない。各地のポケモンを奪っては実験に使い、その数は数えきれないくらいになってる。ポケモン達と、奪われたトレーナー達の嘆きの声が、あいつらには聞こえないんだ。
 俺、タマムシゲームコーナーの地下にあったあいつらのアジトで、ボスとバトルしたよ。あいつは外道だ。
 ポケモンを金になる道具としか見ていない。そのせいでどんな悲劇が起きても、あいつは何も感じやしないんだ。
 そして、あいつをボスと呼んで崇め讃える奴らも、皆同じなんだ。
 犯罪者は、何処まで行っても犯罪者なんだ。俺はあいつらを絶対に許せない。
 
 どんなことをしても、絶対に潰してやる。それが、俺の正義だ!


 

 ――本当に、こんなやり方しかなかったのかな。

 あたし、確かにロケット団は悪いことをしたと思う。いいや、悪いこと、の四文字で終われるような、そんな単純な物じゃないことじゃない。
 彼らのせいで、人もポケモンも沢山傷ついた。数えきれないほどの涙が流れ、悲劇を生んだ。
 お母さんを亡くしたカラカラにも会ったよ。
 大分時間は経っていたけれど、それでもまだ前へ進めないでいた。
 その時はあたしも、何て奴らなんだ、許せないって、心の底から考えてた。
 でもさ、それが揺らいだ出来事があった。
 カンパニーを占拠した時。あたし、なんとか中のポケモン達を助けたくて、ポケモン達と一緒に殴りこんだ。
 下っ端が沢山いて、沢山バトルした。
 皆倒したけど、彼らは必ず言った。
『俺が負けても、ボスが必ずお前を倒してくれる。 お前が勝てる相手じゃないんだ。 ボスは、すごい人なんだ』
 皆同じようなこと言うんだ。ゾッとしたけど、それだけボスのことを尊敬してるってことが伝わってきた。
 そして、思った。
 ここのボスは、皆に慕われるような頭脳と力、そして引っ張っていけるカリスマがあるってこと。
 

「姉ちゃんは何も分かっちゃいない。 昔からそうだった。 あいつらが解散して、団員や幹部が逮捕されて、やっと安心できた人がどれだけいるか、分かってない。
 もう大切なポケモンを奪われるかもしれない、っていう不安に駆られることはなくなったんだ」


「でも……。 ボスに拾われて、やっとまともな扱いを受けるようになった人、沢山いるみたいだよ。 皆はぐれ者で、親にさえ疎まれるような存在。
 彼はそれを全部一つにまとめて、組織を創り上げた。 解散したことで、また彼らは居場所を失った」


「あの組織が無ければ、彼らは犯罪者のレッテルを貼られることはなかったかもしれないんだ! まともな職業に就いて、安らげる人と出会うこともあったかもしれない」


「あたし、トキワのジムで彼とバトルした。 確かにシルフで戦った時の雰囲気のままだったけど、それでも彼が使うポケモンはよく育てられていて、もう少しで負けそうになった。
 すごいコンビネーションだった。ポケモンと信頼し合ってなければ、あんなバトルはできないよ」


「そんなの、数えきれないほど色んなトレーナーを叩きのめしてきたからに決まってる」


「根っからの悪党なんて、そうそういないと思う。 きっと彼にも、こうなってしまった理由があったんだよ」


「じゃあ、どうしてあいつは団員を置いて逃げたんだ!? 本当にその組織を大事にしているなら、潔くあの時に逮捕されるべきだったんだ」


 あたしと弟。世間からは、『ロケット団を壊滅させた英雄姉弟』と絶賛された。
 でも、その後で考え方が違う理由で衝突した。
 結局二人別々の地方に旅をして、そこでも騒動に巻き込まれた。
 その度にそれぞれのやり方で止めたけど、やっぱりお互いの考え方を変えることはできなかった。

 どこからどこまでが正義なのか。
 どういう経緯で悪になってしまうのか。

 あたしは、分からない。


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