※この作品は男が書いた♀同士の友情話です。
昔々あるところに、ユキワラシとチュリネがいました。
雪の多い北の土地に暮らす好奇心旺盛なユキワラシと、太陽が照らす暖かい南の土地に暮らす内向的なチュリネ。住んでる場所も性格も正反対な二匹だけれど、小さいころからずっと仲良し。
雪の冷たさに驚く様子を笑ったり、雪国ではなかなか咲かない花を頭に飾ってあげたり、襲ってきたポケモンに噛みついて追い払ったユキワラシをチュリネが治してあげたり。時が過ぎユキメノコとドレディアに進化しても、二匹は仲良く過ごしていました。
ある朝のこと。突然ドレディアがいなくなってしまいました。南の土地に住んでいる他の草ポケモン達に聞いても、誰も行方を知りません。当初は内気なドレディアのことだからそのうち帰ってくるだろうと思っていましたが、一日経ち、二日経ち、三日経ち、一週間が過ぎ、いてもたってもいられなくなって、行く先に心当たりなんてないけれど、ユキメノコは探しに飛び出しました。
街へ行って、海へ行って、山を越えて、時には人間に捕まりそうになったり、グラエナに囲まれたりもしたけれど諦めません。どうしても会いたかったのです。
住み慣れた土地から遠い遠いところにある療養地になっている静かな森で、やっとドレディアを見つけました。どうして急にいなくなったのとか、いない間ずっと寂しかったとか、恨みごとの一つでも言いたかったけれど、ここまでの道中で起きた出来事も話したかったけれど、痩せ細りすっかり色褪せてしまったドレディアを見て、ぎゅっと抱きしめることしかできませんでした。
ドレディアはぽろぽろ涙を流しながら、観念したように話しはじめました。自分は命と共に色が抜け落ちてしまう病気になってしまったこと、命がもうすぐ尽きてしまうのだということ、こんな自分を見られたくなくて何も言わずに出ていったこと。それをずっと後悔していたことを。
その日は久しぶりの再会を祝って食べて飲んで、いっぱい話して、いっぱい笑って。
次の日。ユキメノコと同じくらい白く冷たくなったドレディアは、優しい陽射しをその身に受けて柔らかく微笑んでいました。まるで、会いに来るのを待っていたかのように。
ユキメノコは声を上げて咽び泣きました。けれど、空っぽの彼女にはそれが愛だとは、ついにわかりませんでした。
その後また雪の土地へ戻ってきたユキメノコは、生涯洞窟に籠り誰にも会わなかったといいます。
氷壁に、純白のドレディアを閉じ込めて。