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  [No.3860] ぼくのかんがえたぐらーどんせんまえのあれこれ 2.5本立て 投稿者:砂糖水   投稿日:2015/11/29(Sun) 20:54:35   120clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
タグ:ハルカちゃん】 【グラードン】 【いろいろひどい

夏前にぷらいべったーにあげたやつそのままです。
注意書き必読。


その1
「泣き崩れるハルカちゃんが書きたかった話」


ORのグラードンが起きた後辺りからめざめのほこら前の会話を元にしてますが、だいぶ改変が入っています。
ネタバレを含みますので未プレイの方はご注意ください。





 正直言うと、どうしてこうなったのかだいぶ前からわからなかった。
 どうしてわたしがマグマ団を止めることになったんだろう、とか。
 そもそもホウエンを救うなんて、そんな大それたことは他の誰かがするものだと思っていた。

 グラードンが目覚めた後、マグマ団のマツブサとホムラ、それからアクア団のアオギリ達が事態の収拾に動くのはわかる。マグマ団を追っている理由が自分でもよくわからないけど、マグマ団を止めるため海底洞窟に行ったわたしが避難するために外に出るのもわかる。でもなんでアオギリはわたしにルネに来いって言ったのだろう。
 こんな、足の竦んでいる子どもに、何ができるっていうんだろう。だって、目の前でグラードンが目覚めるのを見た。あんな、あんな恐ろしい存在に対して何ができるの。
 わたしに力を貸せ? いやいや、何言ってるの。あとは自分たちで始末を付けようよ。どこまで子どもに頼る気なの。そりゃたしかに散々マグマ団の邪魔をしておいて、今更関係ないと言い張るのは無理があるかもしれない。
 でも、わたしの行く先々で邪魔をしてきたのはマグマ団の方なんだけど、とわたしは言いたい。アオギリの方こそ自分で止めればいいじゃない。自分じゃ止められなかったくせに。
 なんて思って、どうしたものかと行動を決めかねていると、突然ダイゴさんが現れた。というか来るのが遅い。もっと早く来てマツブサを止めて欲しかった。そしてダイゴさんまで、わたしを頼りにしてるとか、ルネに来いという。
 なんで? なんでこんな子どもにそんなこと言うの。
 異常な暑さもあって、もう訳がわからない。
 ここまできたんだから最後まで見届けようと言われても、はあそうですか勝手にやってくれません? としか思えない。
 わたしは断る理由を探して、ルネには行ったことがないし行き方がわからないから、と説明した。
 わたしの言い訳を聞いたダイゴさんは、「飛行タイプのポケモンはいるよね。じゃあ、ぼくの後について来ればいい」と言ってエアームドを出す。にっこり笑ったダイゴさんの笑顔は、わたしを連れて行く気満々だった。
 そんな訳でわたしはルネへ行くことになってしまった。
 本当になぜだろう。後は全部大人に任せて安全な場所にいたいのに。

 全てを焼き尽くすような灼熱の太陽の下、辿り着いたルネシティは不思議な街だった。壁に囲まれている、というと人工的なものをイメージするかもしれないけど、違う。大きな山か何かがえぐれて、窪んだところに街がある、といえばいいのだろうか。
 それから、街が白い。ほとんどの建物が白い材質でできているようだ。光を反射してとても眩しい。中心には大きな木、そして街を二つに分ける大きな水路が通っていて、水の街と言った風情。こんな非常時でなければゆっくり観光したいところだ。今はルネ上空に出現した太陽のような何かのせいで暑くてそれどころじゃないけど。
 それにしてもなんか変だなやけに静かだなと思ったら、外には誰もおらず、そのせいで綺麗なはずの街はやたらと不気味だった。
「こっちだよハルカちゃん」
 ダイゴさんが呼ぶ方へ行くと、そこには綺麗な顔立ちなのにそれを打ち消すほどの変な格好をした男の人がいた。なんだろうこの人。わたしが不思議に思うと同時に、彼もまたわたしを不思議そうに見た。なぜここにいるんだろうと思ったに違いない。わたしもそう思う。
 その人自身の説明によると、どうやら彼はルネシティのジムリーダーらしい。変な格好なのも納得がいった。しかも、目覚めの祠、というものを守っているということだ。
 場違いなわたしをどうしたものかと考えていたようだけど、時間もないからまあいいかとなったらしく、ミクリさんはダイゴさんとおまけのわたしを目覚めの祠の前へと案内してくれた。

 目覚めの祠の前にはマツブサ、ホムラ、アオギリの三人がいて、何やら話し合っていた。
 グラードンは目覚めの祠に蓄えられたエネルギーが目的らしい、というのはルネに来る前に聞いていた。彼らの話によると、グラードンを止めるには地底まで行かないといけないようだけど、どうも立ち往生しているようだ。もともとグラードンとの接触のために、マグマ団はマグマスーツなるものを開発してはいたみたいだ。けれど、予想以上に激しさを増したマグマの中を進み、無事にグラードンの元へ辿り着けるかどうかは怪しくてどうしたものかと話し合っていた、ということだった。
「……藍色の珠があれば、もしや」
 ミクリさんの言葉にアオギリが反応した。送り火山の老夫婦によると、紅色の球はグラードンに力を与え、逆に藍色の球はそれを抑える力があるらしい。
「我々が送り火山から奪ったのは紅色の珠だけだ。今から送り火山へ行っても間に合うのか……?」
 万事休す、とばかりに黙り込んだ大人達を前に、藍色の珠という言葉にわたしは思わず息を呑んだ。ある。鞄の中に。
 マグマ団が紅色の珠を奪った後になぜかわたしに託された藍色の珠。正直、わたしが持っていていいんだろうかとずっと思っていた。でもそれが今、役に立つ。
 子どもが簡単に口出しできるような雰囲気じゃなかったけど、なんとか声を絞り出す。
「あり、ます」
 わたしの発言に大人達は一斉にこちらを見た。視線が集まってわたしは思わず縮こまる。
「今、なんて」
 彼らのすごい剣幕に気圧されながらも、わたしは必死に声を出す。
「藍色の珠、持ってます。預かったんです」
 震える手で鞄から藍色の珠を取りだした。
「これ……」
 みんなに向かって差し出した藍色の珠は、ふわりと青い光を放ってわたし達を包み込んだ。それと同時に暑さが和らぐ。大人達は信じられないという目で、藍色の珠を見つめていた。
「無礼を承知で頼む……それを貸してくれないか」
 一番初めに我に返ったマツブサがわたしに頭を下げた。あれだけ敵対していた、しかも大人の男性が頭を下げるだなんてとわたしはおろおろとするしかない。
「もともと私がしでかしたことだ。自分で始末を付けたい。君に託されたものだとはわかっているが、貸してはくれないか」
 もちろん嫌だなんて言わない。緊急事態だし、わたしがグラードンを止めろと言われても困る。わたしは頷いてマツブサに藍色の珠を手渡した。けれどその瞬間、青い光は消えて暑さが戻ってきた。
「な……わたしでは認められないというのか! 紅色の珠を奪った私では駄目なのか!」
 その後ホムラ、アオギリがそれぞれ持ったけど駄目で、ダイゴさんも試したけどやっぱり光は消えたまま。掟で中に入れないからと渋るミクリさんも持ったけど光らない。ミクリさんから返された藍色の珠をわたしが持つと、先ほどと同じように青い光を放ち、暑さが和らいだ。
 嘘、でしょう。
 思わず手の中にある藍色の珠を落としそうになる。どうしてわたしなの。
 震えが止まらない。信じられない、信じたくない。
 助けを求めるように視線をあげると、その先にいたマツブサが真剣な目をしてわたしを見ていた。
「頼む……! こんなことを頼める立場ではないとわかっているが、それでも……。今グラードンを相手に立ち向かえるのは、君と君のポケモン達だけなのだ。世界を、我々の世界を……頼む!」
 そして続けてアオギリがわたしに頭を下げる。
「……ガキンチョよう。テメエにだけ重い荷物を背負わせちまってすまねえ。だが、俺からも頼む」
 アクア団は他の人の救助に行くとかどうたらなんて話は、聞こえた端から頭の中をすり抜けていった。
 ミクリさんまで、君は行かなければならない、とか言い出している。

 みんな何を言っているの。
 ただ藍色の珠を持っているというだけのわたしに、何を期待するの。
 いや、そんなのわかりきっている。
 だから。



 その瞬間、英雄が生まれた、とその場に居合わせたものは思った。おどおどとしていた少女はピンと胸を張り気丈にも笑って見せた。その手が震えていることに皆気がついていたが、気づかないふりをした。
 少女ならできる、とその場の誰もが口にした。
 そうして少女は堂々と祠の中へ入っていった。



 扉が閉じられた瞬間、貼り付けた虚勢は剥がれ落ちてわたしは泣き崩れた。なんでわたしなの。
 怖い。怖いよ。だってグラードンは伝説のポケモンで、ホウエンどころか世界を滅ぼせるくらいの力を持っているんだよ。死にたくない。
 でも、わたしが嫌だと言ったらどうなるかなんて考えるまでもなくて、首を縦に振る以外の選択肢なんてなかった。無理矢理笑って虚勢を張らなければ、足が竦んで中に入ることもできなかっただろう。
 いきなりわたしに降りかかった責任は重い。
 わたしが行かなきゃみんな死んでしまうし、わたしだって死ぬ。失敗してもみんな死ぬ。責任重大すぎて潰れてしまいそうだ。むしろ今潰れかかっている。
 もしうまくいってもわたしだけ死ぬかもしれない。そんな考えが浮かんで涙が止まらなかった。
 藍色の珠はなんでわたしを選んだの。こんな弱虫を。死にたくないよ。
 ねえ、どうしてわたしだけが危ない目に遭わないといけないの。大人が勝手にやったことなのに、わたしは巻き込まれただけなのに。子どもに任せないでよ。無責任だ、身勝手だ、あんまりだ。謝るくらいなら代わってよ! 大人ってずるい。自分のやったことなのに子どもに押しつけないでよ。
 外で喚いておけばよかった。結局行かされるのは変わりなかっただろうけど。死ぬかもしれないなら、強がって平気なふりなんてしなきゃよかった。文句言っておけばよかった。でも今更だ。
 死にたくない、死にたくないよ。
 座り込んだままわんわん泣いていると、ぐらぐらと地面が揺れた。
 ああ、泣く暇もないんだ。そんなにわたしを死なせたいのかな。
 涙をぐい、と拭ってわたしは立ち上がった。死にたくないなら、行くしかなかった。震える足を無理矢理動かして、奥へと進む。

 ホウエンを救う? とんでもない。
 わたしはただ、死にたくなかった。



**********

目覚めの祠に主人公が行かされるのは、祠には子どもしか入れない(穴の大きさ的に、もしくはそういう掟)って言ってたくろみさんの考えに今更ながら超納得しつつ、自分なりに理由を捏造してみたら藍色の珠がーになった。
藍色の珠がハルカちゃんを選んだ理由は知りません。

ほんとは主人公らしく、気丈に振る舞いつつも実は怖くて震えていて、それでもみんなのためにと危険に立ち向かう子のはずだった。
でも実際プレイしたとき、あんまりにも大人達にむかついた気持ちを思い出してたらこうなった。
ゲームではいきなり主人公に行けって言うし…。大人は行くふりくらいしようよ…。

あと、せっかく物を取り出すモーションがあるのにポケセンくらいでしか見かけないのもったいないと思った。
イベントであるかと思って期待してたのに全然そんなことなくてずっこけた。

とりあえず、中に入った途端に泣き崩れるハルカちゃんが書きたかった。
え?ユウキくん?入れる隙がなかった…。




+++++++++++++

その2
「悪堕ちハルカちゃんを書こうとしたらただの性格と口が悪い子になった話」


これは悪堕ちじゃない…。
大人を土下座させて踏みつけたりとやりたい放題です。
いわゆるヘイト創作っぽいです。
参考:ヘイト創作 とは【ピクシブ百科事典】
http://dic.pixiv.net/a/%E3%83%98%E3%82%A4%E3%83%88%E5%89%B5%E4%BD%9C
ご注意ください。
流れ的には↑の話から分岐した感じです。





 わたしに頭を下げる大人達を見て、真っ先に湧いてきた感情は怒りだった。
「土下座」
 わたしの口から出てきた言葉に、みんなぽかんとしていた。
「え?」
「土下座して。地面に頭擦り付けながら、お願いしますって、土下座してよ」
 ふざけるなふざけるなふざけるな。どうしてわたしがやらなくちゃいけないんだ。わたしは巻き込まれた側じゃないか。こういうのは大人が勝手にやってよ。
 あまりにも理不尽な流れに、わたしは少しも納得がいかなかった。納得がいかない、なんて生温い言葉じゃない。わたしは明確に怒っていた。苛立っていた。だって、あんまりじゃないか、おかしいじゃないか。
 たしかにわたしは藍色の珠に選ばれたけど、だからといって行かなきゃいけないの? 藍色の珠の件がなければわたしが行く理由もないし、そもそもここにいる必要もない。客観的に見れば、よくわからないまま連れてこられて、巻き込まれただけの子ども。それがわたし。
 こんな子どもに全てを託すなら、それなりの態度をするべきじゃないだろうか。だからこそわたしは土下座を要求する。
 土下座してよとわたしが繰り返せば、一瞬の躊躇いの後、マツブサは膝をつきわたしの前にひれ伏した。
「お願い、します」
 ああ、いい気味だ。元凶のくせに、いや元凶だからか一番潔い。ホムラ、アオギリがそれに続いた。そのままの姿勢でいろと言っておく。太ってるホムラはちょっと苦しそうだけど。
 ぽかんとそれを見ていたダイゴとミクリにあなた達も土下座して、と告げたらなぜ自分がという顔をされた。
「え、何。文句あるの?」
 この場にいて、わたしに行けと言っているのはマツブサ達だけじゃないでしょう。お前らもだよ。二人の反応に苛立ちが募っていく。
「わたしさあ、ジムリーダーの娘なんだよね。うん、ミクリさんもジムリーダーなのはわかってるよ。さっき聞いたし。お父さんはジムリーダーになったばっかだから発言力はそんなにないかもしれないけどさ。あ、発言とか行為をお父さんにもみ消してもらうって話をするつもりじゃないよ。
 なんていうの? その辺の子どもよりは信用あるんじゃないかな。そりゃあ、ぽっと出のお父さんより、ホウエンで生まれ育ったジムリーダーのミクリさんの方が信用あるかも知れないけど。
 でも子どもが泣きながら震えて、『死ぬかもしれない危険なところへ無理矢理行かされました!』って言ったらどうかな。しかもその子どもの父親はジムリーダーだったら、本当のことかなって思いそうじゃない? そしたら可哀想な子どもの味方したくなるんじゃないかなあ。全員でなくとも、さ。
 全部終わった後ならみんな言いたい放題だろうしね。子どもを無理矢理危険な目に遭わせるなんて! とか、他に方法はなかったのか! って。責めるだけなら簡単だもんね。
 まあ、もし現場に居合わせたらみーんな、あなたたちと同じ選択をするだろうけど。でも終わった後なら何とでも言えるでしょ?」
 脅すつもりなのかと聞かれて、脅してるつもりだけど? と返した。
「だけど状況としてはそのとおりじゃない。無理矢理、死地に行かせるようなものでしょ? それをさあ、土下座で済ませてあげるんだよ。ねえ、土下座くらい簡単じゃん。土下座してくれるならあとでぎゃーぎゃー騒がないからさ。二人とも大人なんだし、つまんないことで信用失うことになるの嫌でしょ」
 ジムリーダーとデボンの御曹司である二人の社会的信用は、この程度で揺らがないかもしれないし、そもそも私が言うようなことが起きるとは限らないけど。それでもわたしは強要する。
「わかったら土下座して」
 先に動いたのはダイゴだった。それを見たミクリは観念したように地面に膝をつき、ついには地にひれ伏した。そんなに信用を失うのが怖かった? それとも死ぬのが怖い? まあ理由なんてどっちでもいい。
「あ、ははははは! 大の大人が! 土下座! こんな子どもに、土下座! あっはははははははははは! ……ばっかみたい」
 土下座土下座と連呼している自分になぜだか笑いがこみ上げてきて、あまりの馬鹿らしさに吐き気がした。そもそもこの状況が馬鹿馬鹿しい。大人が子どもに全部押しつけて、子どもは大人に土下座しろって言って、大人はそれに従って土下座して。とんだ茶番だ。
「誰が頭上げていいって言ったんだよ、大人しく地面とキスしてろよ」
 思わず顔を上げてしまったミクリに、わたしは容赦なくそう言った。馬鹿みたいな状況だからって、顔を上げることを許した覚えはない。
 それからわたしは自分の前に晒されたマツブサの無防備な後頭部を躊躇いもなく踏みつけた。
「アンタのせいだ。アンタのせいだアンタのせいだ。なんでわたしが行かなきゃいけないの。アンタが行けばいいのに、どうしてわたしじゃなきゃだめなの。なんでよどうして」
 ぐりぐりと地面に押しつけるようにマツブサの頭を踏みにじる。ミクリのお綺麗な顔にも同じことをしたかったけど、さすがにそれはやり過ぎだから我慢した。マツブサはわたしを巻き込んだから容赦なく踏む。ホムラとアオギリが何か言いかける声や、マツブサからうめき声のようなものが聞こえたけど、無視。お前らの言い分なんか聞くものか。
 ああむかむかする。大人達を土下座させた上に、マツブサを足蹴にしてもちっともすっきりしない。そりゃそうだ。命をかけるのはわたしだけで、あっちは土下座するだけなんだから。もしかしたら多少はプライドが傷つくかもしれないけど、命に支障はないじゃん。
 もういいやと思って足をどけると、みんな頭上げていいよと言ってあげた。でも立つのは許してあげなかった。ぐしゃぐしゃになったマツブサの顔を見ても、罪悪感は欠けらも湧いてこなかった。
 ダイゴとミクリは何で自分たちが、と納得のいっていない顔を未だにしていた。隠しているようだけど、わかってしまった。
 お前らだってわたしに押しつけているくせに。ちっともわかってない。
 イライラする。何か報いを受けさせたい。半ば八つ当たりなのは自覚していたけど、だからどうしたっていうの。
 その時ふと、片方はジムリーダーであることを思い出す。もう片方はデボンの御曹司だ。ならきっと彼らは強いトレーナーだろう。
「ね、ダイゴさん、ミクリさん。ポケモン貸して? ミクリさんはジムリーダーなんだから強いでしょ。ダイゴさんもきっと強いよね。だから、貸してよ。
 あ、ちゃんとわたしの言うこと聞くように言い含めてね。まさかこんな子どもに、バッジ七つ取っただけの子どもに、そのまま行けなんて言わないよね。なんせ伝説のポケモンを止めに行くんだもの、それ相応の強いポケモンが必要だよね。ねえ貸してよ。……貸せよ」
 反応は返ってこない。ふうん、いいのかなあ。人の悪い笑みを浮かべてわたしは言った。
「ルネの人間は中に入れないんでしょ。今から外の人呼ぶ時間あるかなあ。しかも藍色の珠の力が使える人間を探さなきゃいけないでしょ。そんな人いるのかなあ。間に合うかなあ」
 さっきから最低なことばかり言っているのに、青い光は弱まることはない。むしろ、わたしの感情に合わせて強くなっている気がした。涼しいどころかいっそ寒気がするくらいだ。
「ねえ。ねえったら」
 わたしが了承以外受け付けない返事を強要すると、ダイゴが恐る恐るといった様子で訊ねてくる。
「ハルカちゃんは、お父さんやお母さんが死んでもいいのかい?」
 はあ? と思ったわたしは苛立ちと共に言葉を吐き捨てる。
「そうだね、お父さんにもお母さんにも死んで欲しくないし、わたしだって死にたくない。で? だから? このまま大人しくあなた達の言うことを聞いて一人で地底に潜ってグラードンと戦えって? わたしはこのままだと成功率低いから、成功率上げるために協力してよって言ってるだけだけど?
 自分で言うのもなんだけど、わたしはポケモンに好かれる質だし、バトルの腕もなかなかだよ。多分将来有望。でもさすがに四天王やチャンピオンの域には達してないよ。グラードンみたいなやつには、そういう強い人が立ち向かうべきじゃない? その代わりをトレーナーになったばかりの子どもがするんだから、それ相応に協力してよ。理解した? ならさっさとポケモン貸して」
 そうして二人から半ば奪うようにポケモンを借り受けたわたしはあっさり目覚めの祠の中へ入っていった。去り際に、じゃあいってきますと言ったら、みんなぽかんとしていた。
 そりゃわたしだって死にたくはないからね。あんまり駄々こねて時間切れになったら嫌だもの。

 ぐらぐら揺れる地面に苦戦しながらも奥へ進むと、いきなりマツブサから通信が入った。グラードンの背中に飛び乗れって? 自分のことじゃないからって無茶振りしやがって。あとでもっかい踏んづけてやろうか。
 そんなこんなで辿り着いた最深部。
 ミクリ達から奪った、もとい借りたポケモン達をボールから出した。嫌な相手から借りたからって、ポケモンを死なせるようなことはしない。でもわたしのポケモンより鍛えられてて強いのは確実だから頼りにする。その結果、ちょっと危険な目に遭わせるかもしれないけど。ごめんね。
 でも大丈夫。みんなで生きて帰る気しかないから。
 わたしは藍色の珠を握りしめて、絶対に帰るんだから、と呟いた。

 激闘の末、わたしはグラードンを倒した――ことになっている。

 みんなにグラードンは倒したって言ったけど、実はちゃっかり捕まえた。やってみたら何とかなるものだね。グラードンはそのまま眠りについたことにした。どうせ誰も祠の中には入らないからばれないでしょ。
 マツブサから自分の代わりに返却して欲しいと頼まれた紅色の珠はまだ返してない。もちろん藍色の珠も。これで何しようかなあ。あ、借りたポケモン達もどさくさに紛れてまだ返してない。返す気はあんまりない。大丈夫、大切にするから。


 世界の存亡を握ってるっていい気分。わたしがその気になれば全部壊せるんだもの。
 わたしに酷いことしてもいいよ? その代わりぜーんぶ壊すけど。

 さあ、いつ壊そう?



**********

悪堕ちじゃなくてこれじゃあただの性格悪い子ですね。
作者の性格が悪いから仕方ない。
別にこのキャラが嫌い・憎いなんて気持ちは全くなくて、たんに悪者にしやすいからというダメダメな理由。
悪者にしやすければ誰でもよかった
(あとオチが行方不明すぎて酷いことになって申し訳ない。

ダイゴって呼び捨てにするの超違和感あった。
「ダイゴさん」で一つの単語だから…刷り込まれてるから…(主にくろみさんによって)

ユウキくんは来てなかったことにしてください…これに巻き込むのはあんまりだわ…。



+++++++++++++

その2.5
「足して二で割ったらいいかも思ったけど堕ちてないし途中で飽きた話」


書いた話を足して二で割ればちょうどいいのでは?と思ったものの、同じような話を3パターンも書くのに飽きたので、途中で投げました。(読む方も飽きたのでは…)
一応、オチまで書いたけど文章スカスカです。





「……むり、です」
 そう言った瞬間、空気が凍り付いた。
「無理です。わたしには、できない……」
「君以外に誰ができるんだ。みんなの命がかかっているんだ」

「……だ、やだ! 何でわたしなの! わたし何もしてないじゃない!」

「マグマ団に立ち向かってきた勇気はどこに行った!」
「そんなの、最初からなかった! わたしの行く先で邪魔をしてきたのはそっちじゃない!」

 どうして誰も彼もわたしに行かせようとするの。無理だよ。わたしには荷が重すぎる。

「ハルカちゃん、君が行かなければみんな死んでしまうんだ。ハルカちゃんのお父さんやお母さんも」
「……知らない。知らない知らない、知らない! そんなの知らない! 聞きたくない!」
 耳を塞いだところで無意味なのはわかっている。

「行け! 行くんだ!」
「嫌! なんでわたしが行かなきゃいけないの! あなた達が引き起こしたことなのに!」


 大人の力には逆らえなかった。暴れるわたしをアオギリが羽交い締めにする。
「……すまない」
 誰かの言葉と共に、わたしは目覚めの祠に放り込まれた。続けてマグマスーツがどさりと私の隣に落ちた。
「え」
 そして無情にもわたしの目の前で扉は閉じられる。
「出して! 開けて!」
 何度も叩くけど開く様子はない。
「なんでえ……」
 わたし悪いことした? なんでこんな目に遭わなきゃいけないの。
 閉ざされた扉に縋りつきながらわたしは泣き崩れた。
 行きたくないよ、死にたくないよ。危ない目になんか遭いたくない。どうしてわたしなの。嫌だ。嫌だよ。

 誰も彼もわたしの味方なんかしてくれない。大人なんて大嫌い。

 汗と涙のせいで脱水症状でも起こしたのか、頭が痛くて意識が朦朧としていた。動かなければと思うのに、座り込んだまま動けない。
 ぐらぐらと揺れる地面に、もう時間が少ないことを悟る。仕方なしに、マグマスーツを抱えて奥へと進んだ。


 地底で対峙したグラードンはあまりにも強かった。
 みんな必死で戦ってくれた。でも、みんな倒れてしまった。誰ももう、戦えそうにない。
 ああ、もうダメだ。わたし、ここで死ぬのかな。この子達も道連れだ。
 そう思ったら、いったんは止まった涙がまたあふれ出して目の前がにじむ。
 どうしてわたしだったの。こんなにも弱いのに。勝てなかったのに。
 あれだけ頑張ったのにグラードンは弱っている様子もなくて、暑さは一向に収まる気配はないし、それどころか増すばかり。藍色の珠がなければきっととっくに死んでいるだろう。もしかしたらこのままだと藍色の珠があってもダメかもしれない。
 ああ。暑い、暑い、暑い暑い暑い暑い暑い暑い。
 ぼんやりとした頭にふと、ポケモンなら捕まえられるんじゃないか、という考えがよぎった。無理だな、と思いつつ、わたしは今まで何度となく繰り返してきた動作をなぞる。

 気がつくと暑さが和らいでいた。あれ?
 前方にタイマーボールが転がっている。グラードンは、いない。


 帰還したわたしを、誰もが英雄だと言ってもてはやした。わたしはそれに対してにこやかに応じる。けれど心は凍ったまま。どうせみんな、いざとなったらわたしを犠牲にするんでしょう?



 あるとき、なんかもう何もかもに疲れてしまって、どうでもよくなって。
 ふと、グラードンの入ったボールに話しかけた。
「全部壊しちゃおうか」
 その言葉に、ボールがかたりと揺れた。




**********

地の文書く気力とかなかった。
大人達が酷いですね。
まあ、本気で拒否したらきっとダイゴさんや四天王が何とかしてくれるでしょう。タブンネ。
なぜタイマーボールなのかというと、RS時代は一定ターン以上経過したときのタイマーボールが最強だったから(マスターボール除く
…ですよね?



全編にわたりユウキくんを除け者にしているのは嫌いとかじゃなくてただの技量不足です…。
ユウキくんごめん。

ていうかハルカちゃん、主人公にあるまじき性格ですね…。


以上です。
お粗末様でした。


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