【034】偽りの鏡 作:砂糖水

 ☆19 ☆☆11 ☆☆☆0 =41



 お題:鏡(ポケモンを自分の鏡とする)読んでいて胸にツンとくる作品。でも、「ポケモンを鏡とする」というのは、言いたいことはわかりますが、鏡……なのか?と思ってしまいました。自分は実は人間ではなくポケモンだ、と思い込むのはわかるのですが、それが「偽りの鏡」という表現になるのはもうすこし噛み砕いた方が個人的にはいいかなと思います。
レイニー


 作中で使われている鏡の存在を十分に理解できませんでした。 物語の構成だとかキャラクターだとか、比喩的な鏡の作り方などは良いと思うので、もう少し偽りの鏡について詳しく書いて欲しかったです。 人間が嫌いな別の種族+人間という構図はよくある王道ストーリーですので難易度は高かったと思いますが、それでもおもしろい作品に仕上がったのは好評価でした。



・鏡の入れ方が無理やり過ぎて、何がどう鏡なのか良く分からないことになっている気がします。あずさが手に入れた鏡って何なんですか?
・虐げられた者同士が寄り添う、と言うのはいいのですが、あずさの気持ちは一体どこに? それが伝わってこなくて、ただサーナイトが一方的にあずさへのエゴを押しつけているようにしか見えず、共感できなかったです。
 もっと考える余地はあるはず。人間の生々しい感情から目を逸らさないでください。
乃響じゅん。


 唐突に話が始まり、状況の説明だけで終わった印象が強かった。あずさとポケモンたちの強い絆の訳を描写してくれるともうすこし感情移入がしやすかったと思う
西条流月

☆☆
 グッと来た文【あの子はこうして鏡を手に入れた。ポケモンこそが真実を映す鏡だと。ポケモンを鏡とすることであの子は心の安寧を得た。けれど、その鏡は偽りのものでしかない。】あずさちゃんの境遇を想像してみると……胸が切なくなりました。その境遇から来るミオの図書館にあった、人の皮をかぶったポケモンの話でのあずさちゃんの捉え方には更に胸が詰まりました。(汗)そして、最後の一文ですが……これは、サーナイトさんとバシャーモさんの瞳が本当の人間としてのあずさちゃんを映していくという強い意志の表れなのかな……と思いました。
巳佑


 テーマは鏡と思われる。まず重大なミスとして、ホドモエシティを西、ワンダーブリッジを東としている。イッシュ全体を見てもライモンシティから見ても真逆である。また、「ポケモンこそ真実を映す鏡だと。」という部分の説明が足りない。「なぜそうなるのか」という点が書かれてないのだ。テーマの鏡自体は使われていた(上記は全て5/20時点)。以上の点から☆とした。作品の舞台となる地方の地理など、必要最低限の資料を準備したうえで書いてもらいたい。仮にうっかりミスだとしても、推敲でチェックしてほしい。
あつあつおでん

☆☆
 ◇突き付けられた真実に戸惑う弱い人間のあずさがそこにいた。 ポケモン視点でトレーナーを描くという手法がとても好みです。サーナイトの心情の変化はほんの僅かですけど、すごく大事な変化ですよね。そしてあずさちゃんにしっかり「パートナーたちとの共通点」とか「弱さ」が設定されているのが魅力的です。 ただ本当にすげーと思ったのは、あずさが「人間ということ」を受け入れてハッピーエンドに流れるかと思いきや――というところですかね。この後もしかしたら少しずつ「人間」を受け入れて、大人になっていくのかもしれませんが、この物語はそこまで進めず、絶望のところで切り出しているところにセンスを感じました。
リナ


 あれ、肝心の物語は!? あずさの説明だけですやん。説明だけならWikipediaで済みます。
 そして過去を語りすぎなためかダイジェスト形式になり、躍動感がありません。特にプラズマ団と戦うところ。
 でもプラズマ団の使い方が上手い。見事だと思います。……しかしこんな外道なことしながら脅されただけで気絶するなんて深夜42時アニメの某主人公並みにメンタル弱い(笑)。というより気絶しながら夢って見れるんでしょうか。私は気絶経験一回しかありませんがそんなことはなかった。
>東のホドモエシティは
 ひ、東!? あれ西じゃないんですか?
>あの子はこうして鏡を手に入れた。
 これは突飛。結局鏡が一体何かがまったく分かりませんでした。わたしの読解力不足なのか、あずさが自分はポケモンだと思い込むとかなんか? どういうこと? そもそも鏡じゃなくて良いのでは? なんか仕方ないから鏡にしようとした風に感じ取れます。っていうか本当にこれ鏡要素入りません。鏡邪魔。
 それと文と文の接続が粗い箇所があります。
 直前の文と直後の文が何の接続もなかったりして、思わず立ち往生して読むリズムが悪くなりました。
 でも話の流れ自体は綺麗ですし、こんな終わり方なのかというインパクトは得られました。
でりでり


 救いの無い物語である。悲劇的な物語を否定はしない。(個人的な好みで言えばハッピーエンドが一番ではあるが)しかし、世界の醜い面だけを見つめ、それだけが描かれて、何も解決せず、何も変化せずに物語が終わることに意義を見出すことができない。また、物語としてもいま一つまとまりを感じることができない。未完の作品の一部なのだろうか?救いの無い物語というより、救われるところまでたどり着いていない物語と評するべきなのかもしれない。
サトチ


<作品情報>
テーマ種別 →鏡作品
タグ →【観念的な鏡】【バッドエンド】【攻撃的な文体】
ポケットモンスターシリーズの二次創作としての意義 →問題ないレベルにある。
テーマの消化度合い →使い方としてはやや弱い感もあるが、こちらも問題ない。
<講評>
 全編がサーナイトの一人称語りで進んでいて、読者はそれに応じて状況を描写していく必要があります。その上で、サーナイトが(これはキャラクター付けとして当然の部分ではありますが)「人間」に対してとても攻撃的かつ敵意を持っていて、文章の端々にその断片がそれこそ鏡の破片の如く登場します。この手の文章はそれだけ訴えかけるものが強いことは十分理解していますが、読むほうはやはり「人間」なので、読み進める間ずっと攻撃される立場に置かれることになります。それが良い・悪いかは個々の読者の判断に任せるとして(よく文章を読む方にとっては「心地よい」という方もいらっしゃるでしょう)、私はちょっと居心地の悪いものを感じました。
 ストーリーそのものは大きな破綻もなく、展開も「読める」範囲で収まっています。話の〆は非常に後味の悪いものですが(何せこれからどうなるのかが一切示されていないので)、これはこの物語の〆として必要なのだ、と解釈します。ただ、やっぱり最後には何か新しい方向を提示してもらえたらな、とも思いました。今後の更なるご活躍に期待しております。
586

☆☆
一読目:まさかのネタかぶり。いや別にそこまで深刻に被ってるわけじゃないんだけど。ただシンオウのこの話引きずり出されたら俺どうしようもないじゃん!と作者にしか分からない絶望を語ってみる(爆)これ破壊力大だよ、結構。うへーってなる。
二読目:手持ちのサ―ナイトもバシャーモも人間大嫌い子だけども理由もまたえぐい。ハサミギロチンとナイフぶっ刺しはどっちがきついだろう。両者とも後に救われてるからマシだけども、バシャーモさん目ぇやられとるってそれやばいのでは…。とか二回目なのにあちこち同情ポイントがある。まぁ、なんじゃかんじゃ言いながらこの子たちあずさちゃんLove(というレベルじゃないんだろうが)ですね。結構なバットエンドじゃない。俺の大好物。バットエンドでもないか。空気だけバットエンド的な。とりあえずこのサ―ナイトさん好きよ。しかしプラズマ団の辛め具合が上手いですなぁ。ところで人間嫌いな割には引きこもるのではなく果敢にジムなどにも行ってるあずさちゃん、バトルとかは大丈夫なの?形式的なモノはオッケーだけど野良試合とかで他者との友好とか深めるとかはしないの?バトルは受けるけどつっけんどんとかなのかなぁ。うーん、そこらへんどーよ?
三から八読目:自分をポケモンと思いこむという発想は上手いと思う。俺より上手い。人間の弱さってこうだよなぁ、ってしみじみ思う。ような作品、かな?なんか自信なくなってきた。
九から十読目:結論。俺は結構好きですこういうの。文章もたのしい。サ―ナイトさん格好良いです。けども☆2つ。ただすごくこれ続編みたいなのよみたい。むしろコラボりたい。ドーブルくん見たいに。個人的願望です、すんません。
音色


 突飛で、思い込みの強い作品。
 あずさが人間を受け入れないため、あずさは人間に受け入れられない。あずさが人間を理解しようと努力しないため、あずさは人間に理解されない。視野の狭さが致命的である。(バシャーモの左目の話ではない。)
 人間の悪意と、あずさらの人間への敵意は鏡に映ったお互いの姿だ。それに気付かないため、あずさたちは人間に対して独善的である。
 例えば冒頭の森では、“どうしてこの森は進みにくいように木が生えているのだろう。”などと、笑えるほど世界を利己的に批判している。進みやすい森とはどんな森だろう。地元の山男かボーイスカウトと獣道を歩いてみるといい。とても楽に歩けるものではない。(それでも闇雲に歩くよりは、やはり道なのだなとは感じるが。)
 左翼過激派のメタファーだったのだろうか。そのうち内ゲバでも始まりそうな、追い込まれた悲壮感を感じる。
渡邉健太


 今回集まった作品の中では、唯一完全なバッドエンドを迎える事になる一作。シンオウ昔話関連の三作目でもある。 やはり、あのネタの刺激力は相当に強いですね。読んでいて一番に引っ掛かったのは、句読点が少な過ぎる事です。 一文に一つも無い事もざらでしたが、特にそれで伝えたい事柄が無い場合、出来るなら控えめにでも打ち込んで置く事をお奨めします。
 ……でないと、やっぱり読み辛いですからね。後もう一つは、確かに伝えたい事を描き切ってはいるのですが、全体的にちょっと、表現性が乏しいように見受けられます。 ……特に、情景描写が足りなかった感じ。なんと言うか、受けた感触は一つの完成された作品ではなく、その作品を描く際の過程――もっとはっきり言えば、肉付け途中のプロットのような印象を受けました。
 最後に行くに従って描写が直線的になっており、意図的にやっているのか手が届かなかったのか、ちょっと判別が付かなかったもので……(汗)募集期間最終期に投稿されたものですから、ひょっとしたら時間に追われて無理矢理応募されたのかとも思いましたが、まぁその辺の事情は闇の中ですね…… 失礼致しました。ただ、やっぱり残念な感じではあります。 素のお話自体はとても興味深かったので、出来れば一度時間をかけて、ゆっくりペンを入れ直して見て下さると嬉しいかも。
 …個人的に、続きが気になる形で終わっておりますし……(汗)
クーウィ


 題材のとり方が非常に面白い。ポケモンの世界ならば、「私は人間じゃなくてポケモンなんだ」「周囲が私を疎外するのは、私が人間ではなく別の種族だからなんだ」と、この手の疾患(というのが適切かはわからないが)を抱えた人間はいかにもいそうである。そしてこの手の設定は小説とするには魅力的である。何らかの形でり扱ってみたいと思わせる題材だった。
 ただ、肝心の物語は中途半端なところで終わってしまった感が否めない。ではどういう形がいいかと言われれば、終わり方としては2パターンあるように思う。
・シンオウ神話に触れ「ああ私は人の皮をかぶったポケモンだったんだ!」で嘘を貫いて終わる
・人間であることを認めさせた上で、最期には肯定にもっていく
 ただし、後者の場合は素敵な男の子を登場させるのが必須であろうと思われる。というのも本作はアシタカのいないもののけ姫だからだ。サーナイトとバシャーモの役回りは山犬なので、人間的な意味で彼女を幸せにすることが出来ないのだ。後者を選び、彼女を幸せにするにはアシタカを出してあげる必要があるだろう。乙女よ恋をしなさい。そんでもって、サーナイトとバシャーモと三角関係になるといいと思うよ!
お題:鏡
タグ:一人称、サーナイト、バシャーモ、シンオウ神話
地方:ホウエン、シンオウ、イッシュ
死亡:なし
No.017

☆(作者の為、参加点のみ)
 自作につき星はひとつ。ただ、客観的に見ても星ひとつ、できれば星ゼロにしたいくらい。時間がないからとあちこち削ったら何の話か分からなくなった。出さない勇気も必要と知った今回のコンテストでした。もともと違うネタから生まれた話に鏡を無理やり入れたので凄く不自然なのがよく分かる。前回から成長どころか退化している…。次からは無理そうなら出さないです。ちゃんとしたもの書けたときだけ…タブンネ。
砂糖水







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