はるか昔より、陽昇りくる国に奇しき者ども住みたりはべりき。 ある者獣の形成し、ある者魚の鱗持ち、ある者翼つけ空を飛びき。 ある者火を吹き、ある者波起こし、ある者雷落としき。 陽昇りくる国の南、豊かなる緑を抱き、豊かなるたよりを結ぶ土地あり。 わたりはかの地、豊(ほう)縁(えん)と呼びき。 この地にも奇しき者ども住みたりて、ここらの色で溢れてゐはべりき。 されど、いつのころよりか二つの色啀み合ひき。 この土地より多くの色、消えにき。 今より語る物語、忘れ去なれきこの地の昔なり。