マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ
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  •   [No.3090] ズミさんに会ったときの反応 投稿者:奏多   投稿日:2013/10/30(Wed) 15:09:37     50clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    すみません、セリフだけです。




    スタイリッシュな女主人公の場合



    水を全身から被った主人公と、四天王ズミが対峙している。

    「……わからない。そこのお方、お尋ねしたいことがあります。ポケモン勝負芸術足りえるものでしょうか?」

    (え、この人コックさんみたいな格好して、何言ってるのかしら。とりあえず、こういう時は「いいえ」って言っておこう)
    「いいえ」


    「この痴れ者が!!!!」

    「!?」

    「胃袋にモノを収めること、ただそれだけが目的ならば、なぜ料理人がいるのだ!
    食べればなくなるものを、よりおいしくするため苦労する。それが料理人の心意気。
    トレーナーも同じであろうが!」

    主人公はうつむきながら、震えている。


    「この……痴れ者がああああああっ!!!」

    「!?」

    「いきなりエレベーターに乗ったらでかい剣が降ってくるし!!
    好きなところから選んで挑戦すればいいって言われたから、ドラゴンを二番目に選んだら怒られるし!
    炎に焼かれるかと思いながら進んだら、別に悪いことしてないのに、あなたが憎らしくてとか言われるし!!

    それと!!
    ポケモンリーグ制覇のために、わざわざミアレで髪型を変えて、メゾン・ド・ポルテで全身コーディネートしたのに、この部屋入ってきた瞬間に、ずぶ濡れにするとは、何考えとんじゃああああああ!!!!
    あの店で全身買うとなぁ、50万は軽くかかるのに、全部濡れたじゃないかあああっ!!!

    うわああああん」

    「あ、ま、まぁ、とりあえずバトルしよう。君もそのために来たのだろう?」

    「ぐすん」



    バトル後……

    「竜舞ギャラに6タテされた……。対人のテンプレみたいなのに、ホントに潰された……」



    結構実話です。
    今回の四天王って、キャラが濃い気がします。
    私はズミさんに怒られるためだけに、リーグに通い詰め、いいえを選択し続けてます。


      [No.3089] クロ(4) 投稿者:Skar198   投稿日:2013/10/30(Wed) 00:11:12     74clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:鳥居の向こう

    4.

     久しぶりにスマホに届いたメールは父からだった。それは今月の「食事会」の告知で「ぜひ来て欲しい」旨が書き記してあった。というのもポケモンを押し付けられた腹いせに先月はさぼってしまっていたからだ。今月はという催促のメール。父が針の筵(むしろ)に座らせられるのも悪い気がして、了承の返事を送った。
    『誰からだ?』
     ショッピング街からの帰り道、隣を歩く月光ポケモンが尋ねてきた。寂しい路地、周りには誰もいない。
    「親父から」と答える。すると、
    『ほう……』
     とても関心がある風に声を発した。最近クロはよく俺と行動したがった。できる限りボールから出てきて、できる限りの場所へついてくる。それは俺の欲望を叶えるという自らの命題の為だった。その為には俺、スズハラカズキを知る必要があると考えるようになったようだ。
     大学の授業はポケモンがおとなしくしている限りにおいてポケモン同伴も可能だった。ブラッキーの同伴は心なしか女子達に好評でよく休み時間に触りにくるようになった。このシチュエーションもスレのどこかで見た気がする。
    『そういえばお前の家族にはまだ会った事がなかったな』
     月光ポケモンはいかにも欲望の糸口を掴めそうだという期待を口調に込め、言った。
    「え、だめだぞ」
     俺は慌てて答えた。母にも父にも弟にも、クロを見せるつもりは毛頭無かった。俺が引き取り早々にラルトスを交換してしまった事は家族の誰も知らない。欲しい人がいれば譲っていいと言われたとはいえ、まだ二ヶ月だ。心証が悪くなる事は明らかだった。何よりそれによって「特典」が終了になる事が俺には痛手だった。クロは食にうるさく、最近のお気に入りはエレガントニャルマーだ。高級カリカリは高いのだ。
    「お前、毎日ビタポケ食わされるのはいやだろ?」
     俺がフードを理由に説得にかかると『ならボールでいい』と返事があった。いわく、ボールに入った状態でも近くにいれば会話は聞こえるし、だいたいの様子も分かるから、という事らしい。
    「分かった。ボールなら」
     俺は了承した。
     食事会の会場はやはりカナズミシティだった。ホウエン有数の企業、デボンコーポレーションのお膝元であり歴史もあるこの町には老舗が多い。母がとっかえひっかえ店を変えても選べる所はたくさんあるという訳だ。最寄り駅は偶然にも前に使った兼澄天神だった。父から貰った住所をスマホで地図検索し、俺は歩いて目的地へと向かう。徒歩で三十分程度かかる場所だったが、歩くのは嫌いじゃなかった。それに新曲のアイディアは移動中に浮かぶ事が多いのだ。
     ふと、鞄がもごもごと動いて赤い光がファスナーの間から漏れた。クロがモンスターボールから出てきたところだった。
    『どうにも退屈でな。食事会とやらまではまだ時間があるんだろう?』
     すっかり暗くなった夜の道、額と足、耳にかかった金の輪と赤い目を光らせたクロはそう言った。暗闇の中の月光ポケモンは美しく、悪くないと俺は思った。
    『そういえばお前、なんでボカロPになったんだ?』
     人通りの少ない道中、クロは遠慮なく話しかけてきた。この質問は初めてだな、俺は思った。今まで再生数が欲しいか、マイリストが欲しいか、それとも弾幕を盗ろうかなどとは散々に聞いてきたクロだったが、方向性を変える事にしたと見える。そういえば理由、誰にも話したことがなかった。積極的に話すような機会が無かっただけで、隠すような事でもなかったから、アスファルトを踏みしめながら語り始めた。
    「好きな曲があったんだよ」
     俺は言った。
    『好きな曲?』
     月光ポケモンが聞き返す。
    「そう。高二の時だった。たまたまスマイル動画で見つけたんだ」
     俺は頷き、続きを語った。マイリストも再生数もすごく少ない埋没動画だったけど、好きだった、と。そうして続けざまにこうも言った。
    「大げさかもしれないが、あれは俺の人生を変えた曲だ」と。
     するとクロは訝しげに『初耳だな』と言った。そして、
    『お前のマイリストはだいたいチェックしたが、そこまでヘビロテしてる曲なんてあったか?』
     と質問した。
    「いや、マイリストには無いんだ」
    『無い?』
    「ああ、もう無い」俺は答えた。
     削除された。投稿者削除ってやつさ、と。
    『……いわゆる引退か』
    「たぶん……」
     そこまで会話してから、しばし俺達は無言で歩いた。何個かの街灯の下を通り過ぎ、自動車が二、三度、横を走り抜けていった。横断歩道の前に立った時に再び会話が再開された。
    「はがねのつばさって曲なんだ」
     俺は横断歩道のボタンを押して、言った。
    「他の動画サイトに転載が無いか探したんだけど、どこにも見つからなくてそれっきり。再生数も少なくてマイナーな曲だったからね」
     突然に動画が消えてしまった時はショックだった。投稿者の名前はヨロイドリと言った。ヨロイドリ氏は自分の投稿した動画をすべて消して、姿を消してしまった。今でも後悔している。どうして曲をダウンロードしておかなかったんだろう、どうしていつでも聴けるなんて思い込んでしまったんだろう、と。せめてコメントをしていれば。今でも時々考える。
    「俺のアーティスト名、Skar198だろ。ぶっちゃけそれ」
     はがねのつばさ――ヨロイドリ――すなわちエアームド。198はエアームドの全国図鑑ナンバーで、Skarはエアームドの英語名Skarmoryからだ。ミミが歌うボカロ曲「はがねのつばさ」無しに今日のSkar198は存在しない。
     信号は青に変わった。俺達は歩き出した。
    「だから、あえて言うならそれが理由。いつか「はがねのつばさ」みたいな曲を作りたい。それが俺がボカロPをやってる理由」
     まあ、作曲センスからしてぜんぜん違うんだけどな、と付け加えた。
    「それに続けてればいつかどっかで会うかもしれないじゃないか。確率は低そうだけど」
     気まぐれに「はがねのつばさの作者を探せないか」と聞いてみた。だがクロは首を振った。自分の能力は「どろぼう」だ。「どろぼう」は盗む対象がはっきりしていないなければ使えない、と。
    「あ、ここ、ジムがあるんだ」
     約束の場所に向かう途中にはやや大きめのポケモンセンターがあった。そのすぐ隣にはポケモンジムとスクールが並んでいる。看板を見るとカナズミジム、と刻印されていた。とうに日は沈んでいたが、中にはまだ人がいるらしく屋内の運動場からドタドタと音が漏れている。ポケモンの技だろうか? そこから漏れる明かりでシルエットになった人影、ポケモン達の影が行ったり来たりする。あそこで互いに手を振っているのはスクールの学生達だろうか。十二、三歳くらいだろうか。彼らは自分のポケモンと共に家路についていく。
    『どうかしたか?』
     しばし足を止めていた俺にクロが尋ね、ふと我に返った。
    「なんでもない」
     俺は言った。
    「……そろそろ時間だ」
     そう言ってクロをボールに戻す。鞄の中に仕舞い込んだ。
     スクールを過ぎて何十メートルか歩く。約束の店の明かりが見えた。

     今月の食事会の会場はカロス料理店だった。
     ゴーゴートのミルクで作った特性のバターをパンにぬりつけ、俺達はメインディッシュを待った。
    「ラルトスは元気か?」
     父が聞いてきて元気だと嘘をついた。そのうちに人に譲ったと言うつもりだが、今はまだ時期ではない。まるで俺の嘘を見破っているみたいにフタキのサーナイトの赤い瞳がじっと見つめてきたが無視をした。それどころかサーナイトは俺が連れてきたものに気がついている風だった。テーブル横の籠に俺達は持ってきた鞄を入れたが、時々視線がそこへ移動する。こんな落ち着きの無い素振りを見せる彼女は初めてだった。
    「どうしたの? ミドリ」
     もう一匹のポケモン、その存在に気づいていない弟がそう言うと、ミドリと名付けられたサーナイトは何でないです、というリアクションを取った。ふうん、こいつミドリって言うのか。名前は初めて聞いた気がする。
     そんなやりとりの一方、母は父に「ねえ、あなた」と声をかける。聞けばフタキの進学の相談だった。そうか来年はフタキも受験生になるのか。
     仕事の忙しい父は昔から仕事の帰りが遅かった。だから込み入った相談をこういう場で母は始めてしまう事がよくあった。ポケモン引き取りの件しかり。食事くらいゆっくり楽しめばいいのにと思う。
     やっぱりカナズミ大がいいかしらね、などと母は言った。あそこは家から近いし、校舎も建て替えて配慮した設計だから、と。フタキは何も言わない。ただ黙って聞いている。まだ歩ける頃からあまり主張の無い奴だったけど、歩けなくなって母がつきっきりになってからはますますそうだ。介助ポケモンの導入で、母のやるべき事は激減しているはずだが、精神的にはどうなのだろうか。
     フタキはどうするつもりなのだろう。やはり母の言うままにカナズミ大を目指すのだろうか。いつの間にかそんな事ばかり考えている事に気が付いた。料理を楽しめばいいのに。俺も人の事は言えない。
    「予備校もいくつか回ってるのよ。個別指導の所はちょっと遠いのが悩みどころで……」
     母は尚も話し続けている。予備校か。俺の時は一人で見学に行ったっけ。母は任せると言った。何校か回って、父に了承を得た事を思い出す。
     フォークを持つ手が止まる。次第にイライラし始めている自分に気が付いた。
     関係ない事じゃないか。俺には関係ない。そう念じた。
     関係ない。関係ない。俺はもう家を出たのだ。今更母が弟をどうしたいだとか、フタキ自身がどうしたいだとか、俺の知った事ではない。それなのになぜこんなにイライラするのだろう。
    「ねえ、あなた。どうかしら」
     母が言う。その視線は俺には向けられない。最低限必要な時にしか。食事会に呼ぶのだって、家族を揃えるのだってフタキの為という名目だ。母は父に話しかける。フタキの為に。
     フタキが、フタキが、フタキが。母の口から弟の名前が出る度に俺はイラついていた。
     ――お前は何が欲しい?
     唐突にクロの声が聞こえた気がした。
     思わず鞄のほうを見る。目線を戻すとき、向かいのほうようポケモンと目があった。彼女の赤い瞳はクロのそれと重なった。
     違う! 俺は念じた。違う。これは違うんだと。
     もう乗り越えたんだ。もう関係ない。もうそんな年齢(とし)でも無い。もう俺は何も期待しない、求めはしない。
     だから嫌だったんだ。こんな茶番に付き合うのは。
    「お待たせ致しました」
     ウェイターの声が響いた。メインディッシュの魚料理が運ばれてきた。皆が一斉にナイフとフォークを入れたけれど、味はよく覚えていない。ただ、頭の中で動画が再生されていた。遠い日に撮影したあの動画が。投稿日は俺の十歳の誕生日の、その十日後だった。
     「追憶02」。動画タイトルはそう題されていた。再生されるのは少々ノイズが入った映像。あまり画質はよくないし、音質もよくないけれど、あの頃の感情というものを思い出すには十分なものだった。
     ――なんでだよ! 約束したじゃないか!
     動画に映る十歳の俺はひたすらにそう叫んでいた。
     十歳。それは特別な歳だ。ポケモンの所持を正式に許され、子供でありながらにしてある種の大人と扱われる年齢。たとえばカントーのある田舎町では子供達は最初のポケモンを貰い、全員がトレーナー修行の旅に出るという。俺の住む町ではそこまではやる家庭はめったにいなかったけれど、これを機にポケモンを与えられる子供は多く、地元ジムをクリアするくらいにはトレーナー修行もする。
     俺もずっとその時を待っていた。あらかじめこれと決めていたのはアチャモ。ポケモンセンターでのお見合いは日に日に迫っていて、カレンダーに×をつけながらその時を待っていた。もう少しでお誕生日ケーキ、そこからもう少し経ったらアチャモ。
     けれど、弟が落石に遭い、誕生日祝いは流れてしまった。そして。
     ――カズキ、ちょっと来なさい。
     あの日、学校から帰った時に珍しく病院から戻ってきた母いて、そして言った。ちょっとここに座りなさい、と。そしてフタキが歩けなくなった事、これからは車椅子生活を余儀なくされる事、だからいろいろ協力して欲しい事などを告げた。
     俺は頷いた。けれど、次の言葉はすぐには受け入れがたいものだった。
     ――カズキ、ごめんね。ポケモンは諦めて欲しいの。
     母は言った。
     その弁はこうだ。フタキはもう歩けない。十歳になってもポケモンを持つのは難しいだろう。お兄ちゃんのあなただけがそれを持っていたら、あの子があまりにも不憫だから、と。
     俺はゴネた。なんで? 約束したじゃないか。もう貰うポケモンだって決めているのに。なんで。
     けれど最終的には受け入れた。受け入れざるをえなかった。数ヵ月後にフタキは退院し、車椅子姿で戻ってきた。その姿を見てとてもポケモンが欲しいとは言えなくなった。
     俺はポケモントレーナーにはなれなかった。手元には登録済みのトレーナーカードだけが身分証としてだけ残された。


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