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真っ白で塗りたくられた場所に僕はいた。
自慢の尻尾で大好きな色を使って絵を描き続けている。
だけどね、いつも僕が描いているのはただの絵だけじゃないんだ……おや、ウワサをすればなんとやら。お客さんが来たよ。
僕の目の前に現れたのは一つのまーるい光。
ぽわぽわと淡い光を漂わせながら、ふよふよと浮いている。
やぁ、いらっしゃい。どのようなご要望で?
ふむふむ、まずは体を黄色にして欲しいと。
耳は長い方がいい? それとも短い方がいい? 聞こえやすさはまたオプションでつけておくよ。
それと、赤いほっぺたね、分かった。
あぁ、尻尾はつけるかい? 今のところ、キミの話を聞いていると、尻尾はつけておいた方が似合うと思うなぁ……オッケー、つけておくよ。
さてと、後はオプションとかだけど……能力はどうする? ほう、電気を出せる能力ね。中々かっこいいのを選ぶじゃないか……え、そんなの可能だって? 任させておいてよ。今のところ、僕に不可能なことはないからさ、多分ね。
この後も色々と僕は丸い光のお客さんに質問を投げかけていく。
涙とか汗とか出せた方がいい?
丸い光のお客さんはお願いした――涙を流したときとか、汗をかくときとか、その一瞬で生きているという感じが好きだと答えた。
言葉はどうする?
丸い光のお客さんは返事した――言葉は欲しいけど、ニンゲンの言葉以外がいい。自分がこれから産まれる姿にきっとその言葉は似合わないだろうからと答えた。
確かにそうだねと僕は相づちを打った。
それに見世物にされたら大変だしねと僕が言うと、丸い光は苦笑いしながらそれだけは勘弁と返事をした。
こんな感じで全部の質問が終わると、僕はいよいよ絵を描く作業に移し出す。
ひたすら、丸い光のお客さんの望む姿を造り出していくのさ。
まずは丸い光のお客さんが望んでいる姿を線描きで、だいたいの形を造る。これが土台になる作業なんだ……って言わなくても分かるか。
線描きが終盤にさしかかるところで、丸い光にこれでいいかどうかを答えてもらう。オッケーならこのまま本線を描き、駄目なら気になったところを指摘してもらってそこを直していくっていう感じ。
こんな感じでいいかな? 僕は丸い光に尋ねた
丸い光のお客さんは感心したような声を上げた――うん、これでいいよと。
一発オッケーをもらった僕は本線を描き始める。要らない線は消して、必要な線をしっかりと残しての繰り返し。ここで一つでもずれると、ほら、耳が大きくなっちゃったぁ……なんてことはないと思うけど。まぁ、ずれないようには意識して描いていく。
無事、本線を描き終えると、ここから色塗りである。
自慢の尻尾を使って、お客さんの希望通りに色を線だけの姿に乗せていく。
僕の尻尾は便利でね、多種多様な色を使えるんだ。
色って不思議だよね、一色一色が相手に違う世界を見せていくんだから。
簡単な例えだけど、赤だったら……熱血とか、こうやる気が湧いてきそうな感じがしない? あぁ、逆に怖いというイメージとかもありそうだよね。
後は青はなんとなく落ち着く感じかな……暗そうなイメージもあるけど。
黄色は明るくなれる感じ?
ほらね、適当に挙げていくだけでも、こんなに相手を分岐させていくでしょ?
だから、色はいわば入り口なんだ。
そして、僕はここで命の入り口を作っているんだ。
おまたせしました、できあがりましたよ。
ようやく僕が完成させた姿に丸い光のお客さんは満足したようだった――とても可愛くて自分好みと。
ほめられた僕は尻尾を左右に揺らしながら、丸い光にその姿に向かうように促した。さぁ、どうぞと左手を完成させた姿に向けて。
それから、丸い光はふよふよと相変わらずゆっくりと漂いながらその姿に入っていき、やがて、その姿は動き出した。
黄色の体に、先端が真っ黒な長い耳、そして顔に浮かぶ赤いほっぺた、そしてイナズマ形の尻尾。
目の前にいるその子は両手を胸に寄せ付けて力を込めてみる。すると、赤いほぺったから青い光の線がピリピリという音をたてながらほとばしった。
どうやら希望通り、電気は使えていそうでなによりなにより。
その子も電気が使えることを認識すると、また満足そうな笑顔を浮かべ、ぴかと鳴き声を上げる。
僕はその鳴き声に応えるようにベレー帽の形をした頭に右手を置いて、告げた。
いってらっしゃい、お気をつけて。
その言葉に背中を押されたかのように、その子は鳴き声をもう一つあげると、まっすぐ歩いていった。
何歩か歩いたところでその子が振り返ると、手を振っている。
僕が応えて、手を振ると、その子はもう一度前を向き、そのまま今度は振り返ることもしないで、そして、その小さな背中は徐々にぼんやりとなっていき、やがて僕の視界から消えていった。
これでまた、僕に一匹だけの時間が訪れる。
とりあえず僕は尻尾を再び握って、適当におもむくままに絵を描き始める。
まぁ、絵を描ければそれでいいし、この一匹だけの時間なんてあんまり気にしてない……と言ったら嘘になるかな。
いや、もちろん最初はそうだったよ? 気がついたらここにいて、絵を描いてて、ときどきさっきの丸い光のお客さんから依頼を受けたり、なんとなく過ごしていたんだよ。
でもね、ここで過ごしている内に僕は思うようになったんだ。
僕はどこから来たのだろう。
それから僕はどこへも行くことはできないのかなって。
だってさ、あの丸い光のお客さんだって、どこから来たのかが分かっていて、そして、どこかへと向かっていくんだよ?
僕にもそれは可能なんじゃないかなと思ったりするわけなんだよ。
……なんだろうね、丸い光のお客さんと接している度に、僕の中で何かを求める気持ちが強くなっていくんだ。あの丸い光のお客さんが話していたことはとても面白そうなことばかりでね、そりゃあ話したらキリがないくらいさ。それは旅路の思い出話だったり、それは不器用で素直になれない恋話だったり、それはおなかが痛くなるほどの笑い話だったり。
その話とともに僕の心の中に浮かんでくるのは様々な色。
初々しい感じは桃色、涙を流した気分は水色、手に汗を握る赤色。
僕には新鮮だったんだよ。
色を作ることはあっても、そんな風に色と出逢うことなんて、少なくともここにはなかった。
だからさ、会いに行きたくなったんだよ。
ここから旅立ってみたくなったんだよ。
それがどういう意味を示しているのかは今の僕には分かる。
伊達にここで絵を描き続けていないしね。
そんなことを考えていたら、また丸い光のお客さんがやってきた。
ちなみに丸い光のお客さんは毎回、別の方でね。それだけに絵の依頼も色々と分かれていくわけなんだけど。
僕は右手を上げてこんにちはと告げると、丸い光のお客さんは早速お願いしたいことがあると答えた。
さて、なんでしょう?
丸い光のお客さんが声をあげた――自分を神様にして欲しい、神様になって、世界を色々と覗きたいと。
これはまたすごいお願いが来たもんだと、僕は驚いた。なんかの冗談かなと一瞬思ったりしたけど、丸い光のお客さんから漂う真剣な空気にそれはないかと苦笑を漏らした。
なんで笑ったかって? そりゃあ、あんなことを考えていた矢先にこんな依頼が来たからさ。なんてタイミングがいいんだろう。もしかして、これが旅立ちの合図なのかなって思いながら、僕は今度は微笑みを浮かべて、丸い光のお客さんに告げた――おやすいごようと。
姿形はご自由にと任されたので、とにかく描いてみることから始めてみる。
大きな四肢の体、そしてその背中に浮かぶのは宝石をはめ込んだ神秘的な金具か何か――なんか威厳がありそうな顔つきにして、一回、丸い光のお客さんに見せた。結果はこれまた運よく一発オッケー。後は色を塗るだけ。
大きな四肢の体は殆ど白に染まり、顔の部分は黒、例の金具には金色を塗り、宝石には深緑を溶けさせて、瞳には赤を込めた。
こうして出来上がった、姿に丸い光のお客さんはうんうんと満足そうな声をあげた。
後は丸い光のお客さんがその絵に飛び込むだけになったとき、僕はちょっと待つようにと声をかけた。
神様になろうというキミに僕から贈り物。
そう言って、僕は自分の尻尾の先を引きちぎった。
不思議と痛みはなく、尻尾の切れ間からは血が流れることもなかった。
丸い光のお客さんが驚いた様子を見せるなか、僕はこの尻尾にはなんでもできる力を持っていることを告げた。
姿を作るだけではなく、その姿に色々なもの――力といったようなものをつけてあげられることも教えてあげた。神様になるキミにはピッタリの品物だよと僕が言うと、僕の尻尾を受け取った丸い光のお客さんが心配そうに尋ねてきた――そんなことをしてお前は大丈夫なのかと。
もちろん、力を失くした僕にもうここに留まることは許されないのか、僕の体は足から少しずつ消えていく。
一か八か賭けみたいなものだったけど、通用して良かった。
この先、僕は丸い光のお客さんみたいにどこかへと向かうんだろうなと思いながら、僕は右手をベレー帽の頭に乗せて笑顔で言う。
生まれ変わるんだ、僕もキミも。
新しい色になって、たくさんの色と出逢って、この先の世界を描いていくんだ。
それぞれの場所で。
それぞれの体で。
それぞれの命で。
【書いてみました】
とある曲を聴いていたら書いてみたくなった今回の物語……ようやく書けました。
多分、お分かりだと思いますが、語り部はドーブル君です。
ハハゴモリさんで命を編むとかも素敵かなと思ったのですが、やはり、ドーブル君の持つスケッチの力とかも考えると、ドーブル君の方がいいかと思いまして、このようになりました。
ドーブル君のスケッチって本当に不思議だよなぁ、一体どういう原理で技を会得する流れになるんだろう……と思ったり(
ありがとうございました。
【何をしてもいいですよ】
もしご子息が旅に出られる年齢でしたら、1ヶ月くらいでも良いので旅に出させてはいかがでしょう。
持ちポケはもちろんヌマクローです。
旅に出たはじめの内は1体でも多くのポケモンが必要です。他のポケモンを捕まえてもヌマクローを逃がすということは難しいです。
そうしている内に、ヌマクローの良さも分かるでしょうし、そうでなくともラグラージに進化するでしょう。
それでもなおヌマクローやラグラージはいやだ、とおっしゃるようでしたら仕方ありません。
ポケモンにとってもトレーナーの間には好き嫌いも含めて相性があります。
親御さんのお気持ちも分かりますが、親の気持ちを押しつけることだけが教育であるとは思えません。
逃がすのはあまりおすすめしませんが、ご子息が望むポケモンとの交換に出すという手もあります。
P.S.
交換するとき、相場にあわないポケモンを望むようでしたらそれはないものねだりの類だと思います。
老婆心ながら、その場合は親御さんがぴしりと言うべき場面であると付言致します。
まだか? まだなのか? いや、きっともう少しだ。
ネジ山の奥、氷に覆われた岩の側。俺は戦い終えたイーブイを一旦ボールへと戻し、再び野生のポケモンを探してうろつく。
今まで何匹倒しただろうか。後何匹倒せば良いのだろうか。確かに今のイーブイにとってここら辺のポケモンなら楽勝だ。だがこれだけ倒したんだ。そろそろ、そろそろ進化しても良いはずだ。
うろつく内にクマシュンを見つけた。俺はボールからイーブイを出し、今まで通り突進を指示する。イーブイがクマシュンに向かって走り出す。今回もこれだけで倒せるはずだった。
――が、こけた。イーブイが。躓いたのだろう。突進の勢いのまま転がって行く。
驚きと心配から、咄嗟にイーブイに駆け寄ろうとする。しかしそれより早くイーブイの体が輝き始めた。
その輝きは今までに何度も見た事のあるものだった。進化だ。イーブイが進化するのだ。しかし何故だ? 通常は相手を倒した後に進化するものだ。バトル中に進化したという話も聞いた事が無い訳ではないが、何れも何かしらきっかけがあったという様な話だ。それらに対し今はまだ何もしていない。イーブイがこけただけだ。実力差も大分あるからこけた位じゃピンチにもなりやしないし、きっかけになるとも思えない。進化する理由が無いのだ。クマシュンの方も突然の事に戸惑っている様子だった。
まぁ良い。理由なんてどうでも良い。イーブイがグレイシアに進化するんだ。これをどれだけ待ち望んだ事か。これまでの苦労が報われるというものだ。
イーブイの輝きが収まり、新たな姿を現した。だがそこに、期待していた姿は無かった。赤い体に素晴らしいまでのもふもふ。可愛い。凄く可愛い。だがグレイシアじゃない。どう見てもブースターだ。
何故だ? 何故だ? どうしてだ? 炎の石は使ってないはずだ。ここはネジ山の奥だし、側にはちゃんと氷に覆われた岩が存在している。本来ならグレイシアに進化するはずだ。ブースター自身もグレイシアに進化するものと思っていただろう。自身の前足を見つめては首を傾げている。何故ブースターに――。
ふとバトルの最中であった事を思い出し、慌てて先程と同じ指示を出す。今度はこけずにクマシュンへと突っ込む。クマシュンが吹っ飛ばされ壁に叩き付けられる。動かない所を見ると気を失っている様だ。今まで通り気が付き次第逃げて行くだろう。
ブースターがこちらへ戻って来る。ボールへ戻す前にまじまじと観察する。可愛い。素晴らしく可愛い。だが進化した理由は分からなかった。ブースターをボールへ戻し思考を続ける。
何故だ? グレイシアに進化するはずなのに。そもそも何故あのタイミングで進化したんだ? いや、結果としてブースターになったんだ。という事は炎の石で進化したという事だ。それなら相手を倒したかどうかなんて関係無いからその点に関しては説明が付く。しかし炎の石なんて使った覚えが無い。
念のためバッグの中身を確認する。やはり炎の石の数は減っていない。まぁ色々な洞窟を探し回って見つけた貴重な石だ。使った覚えも無いのに勝手に減っていても困――
そうか、そういう事か。
それから数週間経ち、俺は再びイーブイを育てている。今度こそグレイシアに進化させる為に。そして今日、これからネジ山へと向かう。このイーブイもあの辺りのポケモンは楽勝だろう。注意すべきはただ一つ。グレイシア以外への進化だ。
俺はイーブイに靴下を履かせ、ネジ山へと向かった。
――――――――――――――――――――――――
と言う訳で進化の石のお話その2。触れると即進化なのは同じです。というかそこが要点です。洞窟で石踏んで進化って案自体は投げ付けるよりも先に出てはいたんですけれども。
一応数戦した後はちゃんと回復させてます。主に突進の反動分。ガントルには別の技使ってますが。
締め方がどうもしっくり来なかったり。どう書けば良いんですかね。分からなかったので妥協してます。案が思い浮かび次第修正したいですが多分思い浮かばないでしょう。あと靴履かせてないので靴下という表現にも違和感があったり。靴下と言いますか足袋と言いますか、何と言ったら良いんですかね。まぁ何にしても多分ホームセンターで買ってきたんでしょうけど。
主人公がどれだけグレイシアが好きか書けなかったのも心残り。グレイシアかわいいよグレイシア。ブースターもかわいいよブースター。ブイズかわいいよブイズ。
【書いてもいいのよ】
【描いてもいいのよ】
【好きにしてもいいのよ】
【ブイズかわいいよブイズ】
2013/8/4追記: 後書きの脱字を修正。
> ちなみにポケモンはヌマクローです。
進化させましょう。二段階進化のポケモン、とりわけ最初の三匹の中盤は見た目的にも能力的にも微妙な物が多いです。
ただしジュプトルは別ですが。
進化させてラグラージにしてしまえば、見た目がキモイとかキモクナイとか以前にバトルで使えるようになります。ただし草タイプ対策はきちんとしておきましょう。
息子さんに言ってあげてください。キモかろうがなかろうが、所詮ポケモンは強さなんだと……
あれ、違うか?
もしどうしても、というなら貴方が育てればいいと思います。荷物持ってくれるし、波乗りはしてくれるし、日常生活の中でも役に立ちますよ?
【そんなキモイかねえ】
【サファイアが初プレイ・ミズゴロウが相棒の私涙目】
もしあなたが鳥ポケモンをお持ちなら、「おいかぜ」と「そらをとぶ」を覚えさせることをお勧めします。
おいかぜをしてもらいながら併走(併飛行?)してもらえば、かなり早くなるかと思います。
あなたを乗せて飛べなかったポケモンも、きっと満足してくれるはずです。
・・・・ただし飛ばしすぎにはご注意を。
【併飛行してもいいのよ】
【おいかぜのPPはたしか5だったのよ】
息子がポケモンを進化させたのですが、かっこよくないので逃がしたいといっています。
親の私としては初めてプレゼントしたポケモンなので根気よく育ててほしいのですが・・・
どういったら考えを変えてくれるでしょうか?
ちなみにポケモンはヌマクローです。
イラコン参加予定の皆様! 何かいいネタは見つかりましたか!
「なかなかいいアイディアが浮かばなくて…」という声も聞きますので、今回は017流、ポケライフネタ出しの仕方をご紹介いたします。
●職業からの発想
●場所からの発想
●日常生活からの発想
●世代による発想
●時代を変えての発想
視点の置き方として5つほどご紹介したいと思います。
●職業からの発想
人間の仕事をアシストするポケモンがいるのではないかという発想。
人間が主体でアシストしている場合もあるし、ポケモンの能力に多くを依存している場合もあるだろう。
ポケセンにラッキー、高所作業にウツボットのつるのむちとかいうそういう発想だ。
職業名を挙げてみて、どんなポケモンの組み合わせると面白いか考えるとよい。
【具体例】
八百屋、魚屋、肉屋、ベーカリー、本屋さん、花屋、家具屋、お寿司屋、家電屋、床屋、消防士
居酒屋店員、ウェイター、バス運転手、タクシー運転手、車の整備士、パイロット、船乗り、船長
ビジネスマン・OL(新人、課長、部長、社長、秘書)
工事現場の職人、家政婦、掃除夫、神父、住職、葬儀屋
漫画家、小説家、ライター、イラストレーター、芸能人、役者、司会、
道化師、手品師、奇術師、演奏家、ギタリスト、ボーカル、指揮者、舞踊家(ダンサー)、DJ、
映画監督、カメラマン(写真家)、スタイリスト、デザイナー、バスガイド、人力車を引く人
薬剤師、医師、看護婦、学芸員、図書館司書、先生、大学教授、研究員、塾講師、
税理士、議員、SE、ハッカー、お水のおねえちゃん、ママ、サンタクロース
(暴走族、ヤクザ、マフィア、泥棒、空き巣、下着泥棒、窃盗団)etc
【使用例】
陶芸家の叔父、焼き物を焼くのは飼ってるブーバーンの役目です
下着泥棒が捕まりました。犯人はマンキーに盗らせていたと供述しており……
鉄くず屋ですが、ココドラが毎晩食いにくるので困っています
私、凄腕宝石鑑定士! どんなイミテーションも見破るよ! ……うちのヤミラミが
●場所からの発想
発想方法としては職業人に近いが、1人というよりはその場にいる何人か、人々とポケモン達、商人とお客さんという「複数」の発想が沸きやすい。
会社とう単位ならばそこで飼われてるポケモンや、その場にたまたま紛れ込んでるポケモンもいるかもしれない。
【具体例】
保育園、幼稚園、学校、小学校(教室、校庭、校舎裏、保健室)、中学校(部活)、高校(受験)、塾、予備校、大学(理系、文系、情報系、美術系、農業系、工業系)
会社(オフィス、屋上、応接室、商談室)
農場、田んぼ、畑、果樹園、ビニールハウス、牧場
工事現場(墨出し、高所、夜間工事、水道工事、神社の遷宮)
水場(海、川、ダム、ドブ川、埋め立て地)
市場(野菜、果物、木の実、魚、肉)
店(パン屋、コンビニ、八百屋、豆腐屋、魚屋、肉屋、惣菜屋、花屋、衣料品店、文房具店、画材屋、骨董品店、本屋、雑貨屋、ドラッグストア、ホームセンター、デパート、商店街、宝石屋、銀行、CDショップ、楽器店、カーショールーム、不動産屋、モデルルーム、マッサージ屋、ホームセンター)
飲食系(食堂、レストラン、カフェ、バー、居酒屋、蕎麦屋、うどん屋、うなぎ屋、ラーメン屋、ラーメン屋台、アイス屋台、ヤキイモ屋)
工房(油絵、彫刻、ガラス工芸、陶芸、裁縫、編み物)
博物館、画廊、美術館、劇場(コンサートホール、コンテスト、芝居小屋、映画館)
公園(ベンチ、噴水、水飲み場、砂場、すべり台)、植物園、水族館、動物園
ホテル、旅館、プール、温泉、銭湯、病院、接骨院、介護施設、
交通機関(タクシー乗り場、バス停、鉄道、港、船(ボード、フェリー、水上バス、豪華客船))
キャンプ場、ゴルフ場、ボーリング場、カラオケ、スケートリンク
遊園地(コースター、回転木馬、コーヒーカップ、観覧車)
神社、寺、遺跡、史跡、城跡、墓所
郵便局、市役所、裁判所、議会、マンション、ボロアパート、一軒家、テナントビル
etc
【使用例】
近所の花屋の看板娘(リーフィアとかドレディア)がかわいいものだからつい買いにいってしまう
今日はデッサンのモデルがミミロップなので、普段サボってる美大生もしっかり授業に参加しています
●日常生活による発想
第三に日常生活における発想である。
我々が日常生活でしてる動作や使用アイテムとポケモンを関連付ける方法。
一番わかりやすいのはポケモンと食う、寝るを共にするパターンだ。
【動作】
朝ごはん、昼ごはん、おやつ、夕ごはん、夜食、つまみ食い、料理、お菓子作り
起床、洗顔、入浴、睡眠、昼寝、洗濯、洗濯物たたみ、布団干し
新聞を読む、雑誌を読む、メールする、インターネットする、ツイッターをする
花に水をやる、ゴミを出す、皿を洗う、ラジオ体操、ジョギング、買い物
傘を差す、掃除機をかける、埃をはたく、ゴミを出す、粗大ゴミを出す、引越しする
庭いじり、家庭菜園
【アイテム】
キッチン、ダイニング、食器、グラス、コップ、マグカップ、鍋、泡立て器、ボール、しゃもじ、フォーク、
スプーン、はし、まな板、包丁、冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、ちゃぶ台、コンロ、
トイレ、トイレットペーパー、洗面台、歯磨き、バスタオル、お風呂、メガネ、コンタクトレンズ
掃除機、ホウキ、洗濯機、物干し竿、布団、布団たたき、ベッド、絨毯
自転車、バイク、車、机、こたつ、ソファ、テレビ、ラジオ、パソコン、インターネット、
窓辺、ベランダ、玄関、靴、傘置き、新聞
CDプレーヤー、レコード、トランプ、カードゲーム、ボードゲーム
アロマ、葉書、手紙、ポストカード、写真立て、仏壇
【使用例】
毎朝ポケモンとジョギングしてます
ベッドに一緒になって寝ます
風呂場でカラナクシを飼ってるんです
てんぷらを揚げたそばからポケモンがつまみぐいするので困っています
●世代による発想
第四に世代による発想である。
人生のライフステージによってポケモンとの関わりか方は変わるはずである。
赤ちゃん、幼稚園児、小学生、中学生、高校生、浪人生、大学生、社会人、新婚、妊婦、主婦、中年、引退後(老人)
では違いますね?
【使用例】
ゴーストのベビーシッター、サーナイトの老人介護
●時代を変えての発想
最後に時代を変えての発想を紹介。もしかしたらこっちのほうが得意な人もいるかも知れない。
早い話が、職業の昔バージョンである。ファンジックかつ、エキゾチックな雰囲気に仕上げられるかも。なかなかポテンシャルが高いと思う。
【職業】
武士、お殿様、お姫様、騎士、衛兵、貴族、王様、行商人、旅一座、楽団、歌舞伎役者、能楽者、雅楽、歌人、巫女(シャーマン)、神官
【場所】
日本の民家、城(東洋、西洋)、農村、都市、戦場
【使用例】
どっかの国の王様はエネコを大変にかわいがっており、宮廷のお抱え絵師に愛猫の姿を描かせているのだ
いかがでしたでしょうか。
何かいいネタが思いついたり、何かヒントになりましたなら幸いです。
人間、時には落ち込むことだってあるさ。以前、父さんが電話口で言っていた言葉だ。たぶん、会社の部下あたりにでも電話していたんだろう。父さんの座右の銘もどきであるその言葉は、僕に対しても頻繁に使われた。
例えば、友達と喧嘩したときに。例えば、学校のテストで失敗したときに。
入試で結果が出ず落ち込んでいた際に言われた時は、その無神経さにティッシュ箱を投げつけて反抗したが。
父さんの言葉は特別に僕を救ってくれたわけではないが、一人暮らしを始めて半年経った今でも、しっかりと耳にこびりついている。
『人間、時には落ち込むことだってあるさ』
カーテンを閉め切った部屋の中、朝起きたあとに片付け忘れた布団の上で、仰向けになりながらその言葉を思い出す。
「落ち込む……ねぇ」
友達と喧嘩しても、テストでいい点数が取れなくても、それはそれで、落ち込みながらも前に進むことができる。仲直りしたり、勉強に励んだりすれば解決できるものだからだ。
今現在、学校生活は順調で、友達もそれなりに作れ――いわゆる「普通」の生活を送れている。にも拘わらず、休みの日の真っ昼間からカーテンを閉じて部屋を暗くしている理由は、解決とはほど遠い場所にあった。
ちゃぶ台に乗っていたノートパソコンを布団に引き込んで、電源をつける。僕はうつ伏せになり、枕を退けてノートパソコンをセットした。
控えめに設定された音量の起動音とともに、デスクトップの明かりが僕の顔を照らす。
「はぁ……」
そこに映った父さんと母さん、そしてもう一匹の家族であるニューラのチヅル(雌である)を見て、僕は嘆息する。
僕の家族は、茶色の革のソファに仲良く並んで座っていた。数日前に電子メールで送られてきた写真だが、それをデスクトップに配置するほどに、僕の心は沈んでいた。
俗にいうホームシックだが、気がついたのはつい最近だった。
ここに引っ越してくる前、チヅルを連れていかないかと父さんに言われた。父さんは、僕が家族と離れて寂しがっている姿が見えていたようだった。僕もチヅルを連れていくことを考えたが、彼女の世話をしていたのは僕よりも父さんや母さんの方だったから、チヅルの気持ちを考えて連れていかなかった。断りを入れておくが、僕とチヅルは仲が悪いというわけではない。
今の僕の気持ちを考えれば、チヅルを連れて来なかったのは失敗だったのかもしれない。でも父さんの腕に抱かれながら、ご自慢の白く磨かれた鉤爪でピースサインを作っている彼女を見ると、やっぱり連れて来なくて正解だったと思う。いや、思いたい。
僕は静かにノートパソコンを閉じて、外出用の服に着替える。暗い気分を一新するために、公園にでも行こうと思い立ったのだ。
◆◇◆◇◆
公園までは歩いていった。自転車を使った方がもちろん早いのだが、この長い道のりも含めて気分を一新する旅だ。時間なんて有り余っているのだから、何も急ぐ必要はない。
空は曇っていた。といっても、薄曇りが空全体を覆っている程度だ。ラジオで聞いた天気予報通りの雨が降るのは、もう少し先のことらしい。
町中から離れていくほど、歩くスピードは遅くなった。元来、変わりゆく景色を眺めて楽しむなんて粋なことはしない性分だ。
だが、灰色の機械的な人工色がどんどん消えて、記憶の隅へと追いやられていた自然色豊かな地元の景色――に似た緑が顔を出してくることに、不思議と心が躍る。
今住んでいる場所は、地方都市としてそれなりに発展している場所だ。駅の近くにはビルが立ち並んでいるし、人もポケモンも沢山行き交っている。僕の生まれ育った辺鄙な村とは大違いだ。
ある程度、此処の暮らしにも慣れてきたつもりだ。しかし、十数年間暮らしてきた村にはなかった息苦しさがこの町にはあって、それが僕の生活に影を落としていた。
郊外に延びる道路を進む。僕の両側は、ごちゃごちゃした住宅街から、黄金色の猫じゃらしの生える草叢に変化していた。電信柱と街灯だけはいつまで経ってもなくならない。白い自動車がすれ違って、僕は草叢へ体を寄せた。
そうしてしばらく歩いていると、右手に草叢を拓いたような小道を見つける。一見すると小さなポケモンが行き来を繰り返しているうちにできた獣道のようだが、一応は人が作った通路である。ただ、小道の両脇に生える秋草は伸び放題で、管理は行き届いていないようだった。とてもじゃないが公園の入り口とは思えない。
例えるなら、まるで秘密基地。僕の背丈の倍ほどもあるすすきが公園全体を囲っているから、『一見さん』にはまず見つけられない。故郷で友達と作った秘密基地も大人たちにはなかなか見つけにくい場所に作ったが、目立ちにくさに於いては此処もそれに匹敵する。
手で邪魔な草を掻き分けながら小道を進む。すすきの縁で腕や手を切らないように注意した。その途中、何かのポケモンの尻尾が、右手の深いすすきの群生からひょっこりと出ているのを見つけたが、すぐに引っ込んでしまった。クリーム色と茶色の縞模様が印象的だった。
公園に辿り着くと、以前見た時と変わり映えのしない景色に、心なしか安堵を覚えた。広さはそこそこの円形の公園。公園の真ん中には直径三十メートルほどの丸い池がある。つまり、この公園はドーナツ型なのだ。
池の水底からは綿毛を飛ばさんとする蒲が自生していた。池の周りには何本か灌木が植わっており、また小さなベンチが三つほど適当な位置に設置されている。
ベンチはそれぞれ、小さな東屋の下にあった。長い年月を経たせいなのか、東屋の柱は削れ、色は剥げ落ち、屋根はぼろぼろで見る影もない。ただの木の塊にしか見えないが、雨を防ぐには事足りるようだった。
人はいなかった。子供を集めるような遊具もなければ、池があるせいでボール遊びもできないのだから仕方ない。時期が時期なら、ヘイガニ釣りに勤しむ子供も見られるのだが、季節が秋ではどうしようもない。此処は公園とは名ばかりの、広い休憩所のようなものだった。
一つのベンチにゆっくり腰掛ける。ぎし、と腐った木が軋む音がしたが、壊れるようなことはなかった。改めて公園全体を見渡す。すすきなどの背丈の高い秋草に囲まれて、公園の周りには何も見えない。そして、ふと、水面に沢山の蓮の葉が浮いているのに目が留まった。まだ晩秋には差し掛かっていないが、いくつかはもう萎れかけていて、全てが敗蓮(やれはす)となってしまうのは時間の問題だった。
あの中に、もしかするとハスボーが紛れ込んでいるのかもしれないと思った。そのうち、一枚の蓮の葉がすっと水面を滑って移動すると、蒲の群生に入り込んだ。
僕は、ベンチに仰向けになった。東屋の腐りかけた屋根は、所々穴が開いていた。木目に沿って細く割れている隙間からは、ペールブルーの空が見えた。白い雲が流れてきて、青色が隠れたり、現れたりした。天気予報は外れるのかもしれない。
目を瞑る。思い出すのは家族のこと。デスクトップに飾った写真の中で笑う、父さんと母さん、そしてチヅルの顔が、真っ黒なスクリーンに焼きつく。なんだか、涙が出てくる。
しばらくぼんやりとして、目を開け、屋根の隙間の空を眺めた。それから目を閉じて、深呼吸して落ち着くと、そのまま眠りに落ちてしまった。
◆◇◆◇◆
額に冷たさを感じて、僕は目を覚ました。屋根に開いた穴から、水滴が落ちてきたようだった。――水滴?
僕は飛び起きた。土砂降りだった。天気予報が雨だということを忘れて眠ってしまった。あの青い空は何だったのだろう。
とりあえず、屋根の穴の下から避難した。が、依然東屋の下からは出られない。
「参ったな……」
どうしたものかとしばし思案する。空の色は見事なまでに濃い灰色に染まっている。雨が止むのを待っていたら、帰るのはかなり遅くなってしまいそうだった。
池の水面は大粒の雨に打たれて激しく揺れていた。蒲の穂先の綿毛は濡れて、その白さは萎れていた。
気紛れで傘も持たずに遠出するのも考えものだ。そう思った矢先のことである。
きゅう、と、僕の後ろで何かが鳴いた。振り向くと、実家の周りでも何度か見たことのあるポケモンが、後ろ足で器用に立っていた。
「……オオタチ?」
また、きゅう、と鳴く。短い手足に、長い胴、茶色とクリーム色の縞模様が体から太い尻尾の先に掛かっている。そして特徴的な二本線の頬にある模様と、円らな瞳がとても印象的だった。雨に濡れて、艶のありそうな毛は寝てしまっていた。
多分、さっき公園に入ってくるときに見えた尻尾は、このポケモンのものだろうと思った。
オオタチは一度ベンチに飛び乗ると、そのまま池の方へ駆けていった。その動きはせわしく、泥を撥ねて体を汚すことも厭わないようだった。
「……何する気なんだろう」
池のほとりに立ち止まったオオタチを、注意深く観察する。オオタチの目の前にあるのは、水辺に生えている蕗。大きな葉が特徴の植物だが、オオタチはそれを根元からもいでしまった。それも二本である。
突飛なことをするもんだなあと、僕はその様子を面白可笑しく眺めていた。しかしそれよりも驚いたのは、オオタチがその蕗の葉を携えて僕の元にやって来たことである。
オオタチは、きゅう、と鳴くと、蕗の葉の一つを僕に渡してきた。茎も長く、葉もかなり大きい。立派な蕗だった。
「くれるの?」
オオタチは無言だったが、僕はそれを受け取った。しかし、これを何に使えと言うのだろうか。
オオタチは僕から離れ、東屋の外に出た。そして、持っていた蕗の茎の部分を持って頭の上にかざした。
「ああ、成程」
つまり、傘として使えということだろう。オオタチは雨宿りしている僕を見かねて、傘をプレゼントしてくれたのだ。土砂降りにはちょっと頼りないかもしれないが。
僕も同じように蕗の葉を頭の上にかざして、東屋から出た。オオタチの作った傘は、もちろん人工のそれよりも防雨機能はない。でも、雨にされながら寂しく帰るよりは幾分かましな気がした。
「ありがとな、じゃ」
僕はオオタチにお礼の言葉を述べて、その場を立ち去ろうとした。しかし、オオタチは僕のあとをついてくる。僕は立ち止まって、後ろにぴったりとついているオオタチに話しかけた。
「どうした?」
オオタチはただ、きゅう、と鳴くだけだった。物言わぬ野生のポケモンに、僕は一体何をしているのだろう。
ものは試しと、冗談半分で訊いてみた。
「見送ってくれるのか?」
今度は、嬉しそうに鳴いた。変わったポケモンもいるものだ。
「そっか……。じゃあ、一緒に行こうか」
そう言うと、オオタチは僕の横にぴったりとくっついた。僕はオオタチに泥を撥ね飛ばさないように、ゆっくりと歩いた。
小道を塞ぐ草を、傘を持っていない右手で掻き分ける。道は細いので、この時のオオタチは僕の後ろを歩いていた。
道路に出る。辺りは暗くなり、街灯が点き始める時間だった。自動車は通らず、雨がアスファルトを打ち付ける音だけが響く。僕とオオタチは、水溜りに足を入れないように並んで歩いた。
傘が受け止めきれなかった雨水が、僕の肩にかかる。オオタチの、傘に収まりきらない尻尾は、すっかり濡れてしまっていた。
「君は本当に野生のポケモンなの?」
野生のポケモンにしては随分と人に慣れている様子のオオタチを、僕は不思議に思った。人間の元で暮らしたことのあるポケモンなのかもしれないと、何となしに感じた。オオタチは僕の顔をじっと見つめていたが、問いの意味が理解できなかったのか、再び前に向き直った。
しばらく、無言のまま歩いた。街灯に照らされながら、蕗の葉を叩く雨の音を聴く。心地よかった。
オオタチは、傘の柄を回して遊んでいた。葉の上に溜まった水が弾き出され、僕の足にかかる。オオタチはとても楽しそうな顔をしていた。僕と一緒に歩くのがそんなに楽しいことなのだろうか。
ふと、後ろから何かが迫ってくる気配に気づく。自動車が僕たちのそばを通りかかろうとしてした。そのとき、僕たちのそばに大きな水溜りがあることに気づいた。
咄嗟にオオタチを抱き上げる。意外な重さに戸惑っているうちに、自動車の車輪が水溜りを撥ね上げた。僕のズボンはびしょびしょに濡れてしまった。じっとりとした冷たさが両足に滲みる。オオタチの方はと言えばは尻尾が少し濡れただけだった。
あまりに突然のことだったから、傘は落としてしまった。おかげで、頭からシャワーを浴びるような格好になる。僕の両腕に挟まれているオオタチが、僕の頭の上に、持っていた傘を被せる。
「……ありがとう」
僕は屈んで、落とした傘を拾う、その傘の汚れを軽く払うと、それをオオタチに被せた。僕はオオタチを抱きかかえながら歩いた。でも、その重さに耐えきれなくなって、大した距離も歩かないうちにオオタチを降ろしてしまった。もう少し体力をつけなければ、と身に染みた出来事だった。
◆◇◆◇◆
随分と長い距離を歩いた。街の灯りが見えてくる。民家も疎らに現れて、オオタチの棲む自然溢れる世界は遠くなってゆく。
「そろそろ僕の家に着いちゃうけど……来るの?」
オオタチがまた、きゅう、と鳴いた。一応家までは見送ってくれるらしい。変に律儀な所があって、ちょっと可笑しかった。
幸いにも、雨の勢いは弱まってきていた。東の空に、雲から透けた、朧な月明かりが見えた。
「家に着いたら、体拭いてやるよ」
僕を見送ってくれたのだから、それくらいの恩返しはしなければ。オオタチがそれを望んでいるかどうかはわからないけど。
泥水だらけの僕たちは、ようやく町の中に入る。さっきまで雨が強かったこともあり、出歩いている人もポケモンも殆どいなかった。
細く曲がりくねった道を突き進み、見えてきたのは僕の棲むボロアパート。客を招待するのはかなり抵抗があるが、多分このオオタチはそんなことは気にしないだろう。
ポケットから鍵を取り出し、一○二号室のドアの鍵穴を回す。オオタチはその所作を興味津々に見つめていた。雨はすっかり止んでいた。
濡れた靴と靴下を脱ぎ捨て、部屋の中に入る。照明からぶら下がっている紐を引っ張って、灯りを点けた。オオタチは玄関先に留まって、家の中に入ってこなかった。僕が何かを言ったわけではないが、躊躇いがあるようだった。
箪笥の中を乱暴に探ると、バスタオルが一枚出てきた。オオタチの大きく長い体を拭ききるのはこれが最適だろう。
オオタチの元に向かうと、オオタチは鳴きながらぴょんぴょんと飛び跳ねていた。体を拭いて貰えるのがそんなに嬉しいのだろうかと思って、笑みが零れる。
頭から順番に優しく拭いてやる。体毛が吸収した水分を吸い取り返すように、ゆっくりと拭いてゆく。拭き終わった部分はまだ若干水分が残り、一瞬ビロードのような艶やかな光沢が見えた。
足の裏の肉球まで拭き終わると、気持ち良さそうに太い尻尾を振りながら、きゅう、と鳴いた。この鳴き声は、いつしか僕にとって心地よいものとなっていた。オオタチが嬉しいことは、僕も嬉しいのだ。
何だか、このまま別れてしまうのが名残惜しい。けれども、もう夜の闇はすぐそこまで来ている。オオタチは棲み処に帰らなければいけない。オオタチもそれをわかっているようで、僕に抱きついて甘えてきた。
「ははっ、重いよ……」
何もない、平凡な一日の至福の時は、静かに幕を下ろそうとしていた。
◆◇◆◇◆
オオタチの棲み処まで見送ることはできない。だから、オオタチの姿が見えなくなるまで、僕はずっと手を振っていた。途中、オオタチは何度か僕の方へ振り返って、その度に鳴いた。また遊びに来てね、絶対だよ。そう言っているような気がした。
「また遊びに行くよ」
近所迷惑も省みずに、僕は大きな声でオオタチに向かって言った。
見送りが終わって、玄関のドアを開ける。そこには散らかった靴と共に、土で汚れた大きな蕗の葉と、それよりも一回り小さい蕗の葉が、逆さまに置かれていた。
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以前書いたやつをところどころ修正して投稿しました。
オオタチかわいいよオオタチ
【書いてもいいのよ】
【描いてもいいのよ】
【オオタチぃいぃぃぁああぁああ!!】
そらをとぶが遅すぎます
フワライドのそらをとぶは遅すぎてまともな移動手段になりません。
デートで颯爽と空から登場、のようなことをしたかったのですが、フワライドに乗っていったところ約束時間をかなり過ぎてしまいました。彼女に振られました。気分が沈んだのでそらをとぶで帰ったのですが、夕暮れ時にぷかぷか浮いているのが心にしみました。
リーグ戦でも空から颯爽と登場がしたかったのですが、あまりにもゆっくりすぎるそらをとぶで遅刻しました。不戦敗で夕日が心にしみました。
フワライドに乗り続けたいです。でも遅すぎます。フワライドをそらをとぶ要員にしている方は、どんな対策をとっているのでしょうか?
お答え、よろしくお願いします。
補足
鳥ポケモンに乗ってそらをとぶと酔います。
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