マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ
このフォームからは投稿できません。
name
e-mail
url
subject
comment

[もどる] [新規投稿] [新規順タイトル表示] [ツリー表示] [新着順記事] [留意事項] [ワード検索] [過去ログ] [管理用]
  • 以下は新規投稿順のリスト(投稿記事)表示です。
  • 48時間以内の記事は new! で表示されます。
  • 投稿者のメールアドレスがアドレス収集ロボットやウイルスに拾われないよう工夫して表示しています。
  • ソース内に投稿者のリモートホストアドレスが表示されます。

  •   [No.2459] 【改稿版】廻り道は雨 投稿者:朱烏   投稿日:2012/06/15(Fri) 19:30:56     111clap [■この記事に拍手する] [Tweet]




     人間、時には落ち込むことだってあるさ。以前、父さんが電話口で言っていた言葉だ。たぶん、会社の部下あたりにでも電話していたんだろう。父さんの座右の銘もどきであるその言葉は、僕に対しても頻繁に使われた。
     例えば、友達と喧嘩したときに。例えば、学校のテストで失敗したときに。
     入試で結果が出ず落ち込んでいた際に言われた時は、その無神経さにティッシュ箱を投げつけて反抗したが。
     父さんの言葉は特別に僕を救ってくれたわけではないが、一人暮らしを始めて半年経った今でも、しっかりと耳にこびりついている。
    『人間、時には落ち込むことだってあるさ』
     カーテンを閉め切った部屋の中、朝起きたあとに片付け忘れた布団の上で、仰向けになりながらその言葉を思い出す。
    「落ち込む……ねぇ」
     友達と喧嘩しても、テストでいい点数が取れなくても、それはそれで、落ち込みながらも前に進むことができる。仲直りしたり、勉強に励んだりすれば解決できるものだからだ。
     今現在、学校生活は順調で、友達もそれなりに作れ――いわゆる「普通」の生活を送れている。にも拘わらず、休みの日の真っ昼間からカーテンを閉じて部屋を暗くしている理由は、解決とはほど遠い場所にあった。
     ちゃぶ台に乗っていたノートパソコンを布団に引き込んで、電源をつける。僕はうつ伏せになり、枕を退けてノートパソコンをセットした。
     控えめに設定された音量の起動音とともに、デスクトップの明かりが僕の顔を照らす。
    「はぁ……」
     そこに映った父さんと母さん、そしてもう一匹の家族であるニューラのチヅル(雌である)を見て、僕は嘆息する。
     僕の家族は、茶色の革のソファに仲良く並んで座っていた。数日前に電子メールで送られてきた写真だが、それをデスクトップに配置するほどに、僕の心は沈んでいた。
     俗にいうホームシックだが、気がついたのはつい最近だった。
     ここに引っ越してくる前、チヅルを連れていかないかと父さんに言われた。父さんは、僕が家族と離れて寂しがっている姿が見えていたようだった。僕もチヅルを連れていくことを考えたが、彼女の世話をしていたのは僕よりも父さんや母さんの方だったから、チヅルの気持ちを考えて連れていかなかった。断りを入れておくが、僕とチヅルは仲が悪いというわけではない。
     今の僕の気持ちを考えれば、チヅルを連れて来なかったのは失敗だったのかもしれない。でも父さんの腕に抱かれながら、ご自慢の白く磨かれた鉤爪でピースサインを作っている彼女を見ると、やっぱり連れて来なくて正解だったと思う。いや、思いたい。
     僕は静かにノートパソコンを閉じて、外出用の服に着替える。暗い気分を一新するために、公園にでも行こうと思い立ったのだ。


     ◆◇◆◇◆


     公園までは歩いていった。自転車を使った方がもちろん早いのだが、この長い道のりも含めて気分を一新する旅だ。時間なんて有り余っているのだから、何も急ぐ必要はない。
     空は曇っていた。といっても、薄曇りが空全体を覆っている程度だ。ラジオで聞いた天気予報通りの雨が降るのは、もう少し先のことらしい。
     町中から離れていくほど、歩くスピードは遅くなった。元来、変わりゆく景色を眺めて楽しむなんて粋なことはしない性分だ。
     だが、灰色の機械的な人工色がどんどん消えて、記憶の隅へと追いやられていた自然色豊かな地元の景色――に似た緑が顔を出してくることに、不思議と心が躍る。
     今住んでいる場所は、地方都市としてそれなりに発展している場所だ。駅の近くにはビルが立ち並んでいるし、人もポケモンも沢山行き交っている。僕の生まれ育った辺鄙な村とは大違いだ。
     ある程度、此処の暮らしにも慣れてきたつもりだ。しかし、十数年間暮らしてきた村にはなかった息苦しさがこの町にはあって、それが僕の生活に影を落としていた。
     郊外に延びる道路を進む。僕の両側は、ごちゃごちゃした住宅街から、黄金色の猫じゃらしの生える草叢に変化していた。電信柱と街灯だけはいつまで経ってもなくならない。白い自動車がすれ違って、僕は草叢へ体を寄せた。
     そうしてしばらく歩いていると、右手に草叢を拓いたような小道を見つける。一見すると小さなポケモンが行き来を繰り返しているうちにできた獣道のようだが、一応は人が作った通路である。ただ、小道の両脇に生える秋草は伸び放題で、管理は行き届いていないようだった。とてもじゃないが公園の入り口とは思えない。
     例えるなら、まるで秘密基地。僕の背丈の倍ほどもあるすすきが公園全体を囲っているから、『一見さん』にはまず見つけられない。故郷で友達と作った秘密基地も大人たちにはなかなか見つけにくい場所に作ったが、目立ちにくさに於いては此処もそれに匹敵する。
     手で邪魔な草を掻き分けながら小道を進む。すすきの縁で腕や手を切らないように注意した。その途中、何かのポケモンの尻尾が、右手の深いすすきの群生からひょっこりと出ているのを見つけたが、すぐに引っ込んでしまった。クリーム色と茶色の縞模様が印象的だった。
     公園に辿り着くと、以前見た時と変わり映えのしない景色に、心なしか安堵を覚えた。広さはそこそこの円形の公園。公園の真ん中には直径三十メートルほどの丸い池がある。つまり、この公園はドーナツ型なのだ。
     池の水底からは綿毛を飛ばさんとする蒲が自生していた。池の周りには何本か灌木が植わっており、また小さなベンチが三つほど適当な位置に設置されている。
     ベンチはそれぞれ、小さな東屋の下にあった。長い年月を経たせいなのか、東屋の柱は削れ、色は剥げ落ち、屋根はぼろぼろで見る影もない。ただの木の塊にしか見えないが、雨を防ぐには事足りるようだった。
     人はいなかった。子供を集めるような遊具もなければ、池があるせいでボール遊びもできないのだから仕方ない。時期が時期なら、ヘイガニ釣りに勤しむ子供も見られるのだが、季節が秋ではどうしようもない。此処は公園とは名ばかりの、広い休憩所のようなものだった。
     一つのベンチにゆっくり腰掛ける。ぎし、と腐った木が軋む音がしたが、壊れるようなことはなかった。改めて公園全体を見渡す。すすきなどの背丈の高い秋草に囲まれて、公園の周りには何も見えない。そして、ふと、水面に沢山の蓮の葉が浮いているのに目が留まった。まだ晩秋には差し掛かっていないが、いくつかはもう萎れかけていて、全てが敗蓮(やれはす)となってしまうのは時間の問題だった。
     あの中に、もしかするとハスボーが紛れ込んでいるのかもしれないと思った。そのうち、一枚の蓮の葉がすっと水面を滑って移動すると、蒲の群生に入り込んだ。
     僕は、ベンチに仰向けになった。東屋の腐りかけた屋根は、所々穴が開いていた。木目に沿って細く割れている隙間からは、ペールブルーの空が見えた。白い雲が流れてきて、青色が隠れたり、現れたりした。天気予報は外れるのかもしれない。
     目を瞑る。思い出すのは家族のこと。デスクトップに飾った写真の中で笑う、父さんと母さん、そしてチヅルの顔が、真っ黒なスクリーンに焼きつく。なんだか、涙が出てくる。
     しばらくぼんやりとして、目を開け、屋根の隙間の空を眺めた。それから目を閉じて、深呼吸して落ち着くと、そのまま眠りに落ちてしまった。


     ◆◇◆◇◆


     額に冷たさを感じて、僕は目を覚ました。屋根に開いた穴から、水滴が落ちてきたようだった。――水滴?
     僕は飛び起きた。土砂降りだった。天気予報が雨だということを忘れて眠ってしまった。あの青い空は何だったのだろう。
     とりあえず、屋根の穴の下から避難した。が、依然東屋の下からは出られない。
    「参ったな……」
     どうしたものかとしばし思案する。空の色は見事なまでに濃い灰色に染まっている。雨が止むのを待っていたら、帰るのはかなり遅くなってしまいそうだった。
     池の水面は大粒の雨に打たれて激しく揺れていた。蒲の穂先の綿毛は濡れて、その白さは萎れていた。
     気紛れで傘も持たずに遠出するのも考えものだ。そう思った矢先のことである。
     きゅう、と、僕の後ろで何かが鳴いた。振り向くと、実家の周りでも何度か見たことのあるポケモンが、後ろ足で器用に立っていた。
    「……オオタチ?」
     また、きゅう、と鳴く。短い手足に、長い胴、茶色とクリーム色の縞模様が体から太い尻尾の先に掛かっている。そして特徴的な二本線の頬にある模様と、円らな瞳がとても印象的だった。雨に濡れて、艶のありそうな毛は寝てしまっていた。
     多分、さっき公園に入ってくるときに見えた尻尾は、このポケモンのものだろうと思った。
     オオタチは一度ベンチに飛び乗ると、そのまま池の方へ駆けていった。その動きはせわしく、泥を撥ねて体を汚すことも厭わないようだった。
    「……何する気なんだろう」
     池のほとりに立ち止まったオオタチを、注意深く観察する。オオタチの目の前にあるのは、水辺に生えている蕗。大きな葉が特徴の植物だが、オオタチはそれを根元からもいでしまった。それも二本である。
     突飛なことをするもんだなあと、僕はその様子を面白可笑しく眺めていた。しかしそれよりも驚いたのは、オオタチがその蕗の葉を携えて僕の元にやって来たことである。
     オオタチは、きゅう、と鳴くと、蕗の葉の一つを僕に渡してきた。茎も長く、葉もかなり大きい。立派な蕗だった。
    「くれるの?」
     オオタチは無言だったが、僕はそれを受け取った。しかし、これを何に使えと言うのだろうか。
     オオタチは僕から離れ、東屋の外に出た。そして、持っていた蕗の茎の部分を持って頭の上にかざした。
    「ああ、成程」
     つまり、傘として使えということだろう。オオタチは雨宿りしている僕を見かねて、傘をプレゼントしてくれたのだ。土砂降りにはちょっと頼りないかもしれないが。
     僕も同じように蕗の葉を頭の上にかざして、東屋から出た。オオタチの作った傘は、もちろん人工のそれよりも防雨機能はない。でも、雨にされながら寂しく帰るよりは幾分かましな気がした。
    「ありがとな、じゃ」
     僕はオオタチにお礼の言葉を述べて、その場を立ち去ろうとした。しかし、オオタチは僕のあとをついてくる。僕は立ち止まって、後ろにぴったりとついているオオタチに話しかけた。
    「どうした?」
     オオタチはただ、きゅう、と鳴くだけだった。物言わぬ野生のポケモンに、僕は一体何をしているのだろう。
     ものは試しと、冗談半分で訊いてみた。
    「見送ってくれるのか?」
     今度は、嬉しそうに鳴いた。変わったポケモンもいるものだ。
    「そっか……。じゃあ、一緒に行こうか」
     そう言うと、オオタチは僕の横にぴったりとくっついた。僕はオオタチに泥を撥ね飛ばさないように、ゆっくりと歩いた。
     小道を塞ぐ草を、傘を持っていない右手で掻き分ける。道は細いので、この時のオオタチは僕の後ろを歩いていた。
     道路に出る。辺りは暗くなり、街灯が点き始める時間だった。自動車は通らず、雨がアスファルトを打ち付ける音だけが響く。僕とオオタチは、水溜りに足を入れないように並んで歩いた。
     傘が受け止めきれなかった雨水が、僕の肩にかかる。オオタチの、傘に収まりきらない尻尾は、すっかり濡れてしまっていた。
    「君は本当に野生のポケモンなの?」
     野生のポケモンにしては随分と人に慣れている様子のオオタチを、僕は不思議に思った。人間の元で暮らしたことのあるポケモンなのかもしれないと、何となしに感じた。オオタチは僕の顔をじっと見つめていたが、問いの意味が理解できなかったのか、再び前に向き直った。
     しばらく、無言のまま歩いた。街灯に照らされながら、蕗の葉を叩く雨の音を聴く。心地よかった。
     オオタチは、傘の柄を回して遊んでいた。葉の上に溜まった水が弾き出され、僕の足にかかる。オオタチはとても楽しそうな顔をしていた。僕と一緒に歩くのがそんなに楽しいことなのだろうか。
     ふと、後ろから何かが迫ってくる気配に気づく。自動車が僕たちのそばを通りかかろうとしてした。そのとき、僕たちのそばに大きな水溜りがあることに気づいた。
     咄嗟にオオタチを抱き上げる。意外な重さに戸惑っているうちに、自動車の車輪が水溜りを撥ね上げた。僕のズボンはびしょびしょに濡れてしまった。じっとりとした冷たさが両足に滲みる。オオタチの方はと言えばは尻尾が少し濡れただけだった。
     あまりに突然のことだったから、傘は落としてしまった。おかげで、頭からシャワーを浴びるような格好になる。僕の両腕に挟まれているオオタチが、僕の頭の上に、持っていた傘を被せる。
    「……ありがとう」
     僕は屈んで、落とした傘を拾う、その傘の汚れを軽く払うと、それをオオタチに被せた。僕はオオタチを抱きかかえながら歩いた。でも、その重さに耐えきれなくなって、大した距離も歩かないうちにオオタチを降ろしてしまった。もう少し体力をつけなければ、と身に染みた出来事だった。


     ◆◇◆◇◆


     随分と長い距離を歩いた。街の灯りが見えてくる。民家も疎らに現れて、オオタチの棲む自然溢れる世界は遠くなってゆく。
    「そろそろ僕の家に着いちゃうけど……来るの?」
     オオタチがまた、きゅう、と鳴いた。一応家までは見送ってくれるらしい。変に律儀な所があって、ちょっと可笑しかった。
     幸いにも、雨の勢いは弱まってきていた。東の空に、雲から透けた、朧な月明かりが見えた。
    「家に着いたら、体拭いてやるよ」
     僕を見送ってくれたのだから、それくらいの恩返しはしなければ。オオタチがそれを望んでいるかどうかはわからないけど。
     泥水だらけの僕たちは、ようやく町の中に入る。さっきまで雨が強かったこともあり、出歩いている人もポケモンも殆どいなかった。
     細く曲がりくねった道を突き進み、見えてきたのは僕の棲むボロアパート。客を招待するのはかなり抵抗があるが、多分このオオタチはそんなことは気にしないだろう。
     ポケットから鍵を取り出し、一○二号室のドアの鍵穴を回す。オオタチはその所作を興味津々に見つめていた。雨はすっかり止んでいた。
     濡れた靴と靴下を脱ぎ捨て、部屋の中に入る。照明からぶら下がっている紐を引っ張って、灯りを点けた。オオタチは玄関先に留まって、家の中に入ってこなかった。僕が何かを言ったわけではないが、躊躇いがあるようだった。
     箪笥の中を乱暴に探ると、バスタオルが一枚出てきた。オオタチの大きく長い体を拭ききるのはこれが最適だろう。
     オオタチの元に向かうと、オオタチは鳴きながらぴょんぴょんと飛び跳ねていた。体を拭いて貰えるのがそんなに嬉しいのだろうかと思って、笑みが零れる。
     頭から順番に優しく拭いてやる。体毛が吸収した水分を吸い取り返すように、ゆっくりと拭いてゆく。拭き終わった部分はまだ若干水分が残り、一瞬ビロードのような艶やかな光沢が見えた。
     足の裏の肉球まで拭き終わると、気持ち良さそうに太い尻尾を振りながら、きゅう、と鳴いた。この鳴き声は、いつしか僕にとって心地よいものとなっていた。オオタチが嬉しいことは、僕も嬉しいのだ。
     何だか、このまま別れてしまうのが名残惜しい。けれども、もう夜の闇はすぐそこまで来ている。オオタチは棲み処に帰らなければいけない。オオタチもそれをわかっているようで、僕に抱きついて甘えてきた。
    「ははっ、重いよ……」
     何もない、平凡な一日の至福の時は、静かに幕を下ろそうとしていた。


     ◆◇◆◇◆


     オオタチの棲み処まで見送ることはできない。だから、オオタチの姿が見えなくなるまで、僕はずっと手を振っていた。途中、オオタチは何度か僕の方へ振り返って、その度に鳴いた。また遊びに来てね、絶対だよ。そう言っているような気がした。
    「また遊びに行くよ」
     近所迷惑も省みずに、僕は大きな声でオオタチに向かって言った。
     見送りが終わって、玄関のドアを開ける。そこには散らかった靴と共に、土で汚れた大きな蕗の葉と、それよりも一回り小さい蕗の葉が、逆さまに置かれていた。



    ------------------------------------------------------------

    以前書いたやつをところどころ修正して投稿しました。
    オオタチかわいいよオオタチ


    【書いてもいいのよ】
    【描いてもいいのよ】
    【オオタチぃいぃぃぁああぁああ!!】


      [No.2458] そらをとぶが遅すぎます 投稿者:小春   投稿日:2012/06/15(Fri) 18:55:24     131clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    そらをとぶが遅すぎます

    フワライドのそらをとぶは遅すぎてまともな移動手段になりません。
    デートで颯爽と空から登場、のようなことをしたかったのですが、フワライドに乗っていったところ約束時間をかなり過ぎてしまいました。彼女に振られました。気分が沈んだのでそらをとぶで帰ったのですが、夕暮れ時にぷかぷか浮いているのが心にしみました。
    リーグ戦でも空から颯爽と登場がしたかったのですが、あまりにもゆっくりすぎるそらをとぶで遅刻しました。不戦敗で夕日が心にしみました。

    フワライドに乗り続けたいです。でも遅すぎます。フワライドをそらをとぶ要員にしている方は、どんな対策をとっているのでしょうか?
    お答え、よろしくお願いします。

    補足
    鳥ポケモンに乗ってそらをとぶと酔います。


      [No.2457] G-Cis 投稿者:ことら   《URL》   投稿日:2012/06/13(Wed) 21:46:55     143clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

     ああやはりワタクシの不安は的中してしまいました。
     伝説の再現がしたいとNが言い出した時からそんな不安はありましたが、レシラムが負けるなど微塵も思っていませんでした。それにしてもあの子供の仲間たちがこの奥までやってくるとは。
     事前の小細工もあって、なんとかNのイメージは保たれているようですが、時間の問題です。

    「それでもワタクシと同じハルモニアの名前をもつ人間なのか? ふがいない息子め」

     Nの後ろにはレシラムがいます。子供の後ろにはゼクロムがいます。もうプラズマ団の敗北は濃厚なのです。それならば最後のあがきです。
     Nの顔が驚きに満ちていました。そうですね、アナタにはこんなことを言ったことすらありません。むしろ言うわけがありません。けれどもう背に腹は変えられないのです。

    「もともとワタクシがNに真実を追い求めさせ伝説のポケモンを現代によみがえらせたのは『ワタクシの』プラズマ団に権威をつけるため! 恐れおののいた民衆を操るため!」

     その場はシーンとしています。Nはもう反論できないでしょう。負けたショックとワタクシの言葉のショックで。それでいいのです。ワタクシに喋らせなさい。

    「その点はよくやってくれました……だが伝説のポケモンを従えたもの同士が信念を懸けて闘い自分が本物の英雄なのか
    確かめたい……と、のたまったあげくただのトレーナーに敗れるとは愚かにもほどがある! 詰まるところポケモンと育った歪な不完全な人間か……まさかアナタのようなトレーナーが伝説のポケモンに選ばれるとは完全に計算外でしたよ!」

     ゆっくりとその場にいる全員に聞こえるように言います。いいのです、Nに届いてください。Nの心に届いてください。

    「ですがワタクシの目的はなにも変わらない! 揺るがない! ワタクシが世界を完全に支配するため! なにも知らない人間の心を操るため! Nにはプラズマ団の王様でいてもらいます」

     隠れた右目は見えません。けれど左目で見た光景は曇ります。
     子供の敵意はNから完全にワタクシに移っています。ゼクロムと共に睨んできます。ゼクロムほどのポケモンに攻撃されたらさすがのワタクシも蒸発してしまうでしょうか。ああそれでもいいですね。

    「だがそのために事実を知るアナタ……ジャマなものは排除しましょう」

     一歩踏み出します。ゼクロムが庇うように子供の前に出ました。そしてその子供の友達……チェレンとか言う強さを求める子供が鋭い目つきでワタクシを見ます。ひるんだら負けです。終わりです。

    「……支配だって? プラズマ団の目的はポケモンを解放することじゃ……」

     その通りですよ。プラズマ団はその為に集めた組織。プラズマは高音の炎と高い電圧の電気で発生する綺麗な現象です。ああ話がずれましたね。

    「あれはプラズマ団をつくりあげるための方便。ポケモンなんて便利なモノを解き放ってどうするというのです?」

     そうです、ワタクシのポケモンたちを解き放ってどうするのですか。そんなことをしたら、ワタクシに頼って生きて来たこの子たちを見殺しにするというのですか。全くおかしな子供です。

    「確かにポケモンを操ることで人間の可能性はひろがる。それは認めましょうだからこそ! ワタクシだけがポケモンを使えればいいんです」
    「……きさま! そんなくだらぬ考えで!」

     チャンピオンが激昂します。殴り掛かる勢いですね。しかし、今ワタクシが殴られて気絶するわけには行きません。

    「なんとでも」

     マントの中でワタクシはボールを取りました。

    「さて神と呼ばれようと所詮はポケモン。そいつが認めたところでアナタなど恐るるに足らん。さあ、かかってきなさい! ワタクシはアナタの絶望する瞬間の顔がみたいのだ!」

     誰が何をしようと! ワタクシをとめることはできない! ここで止まることなどできない!
     さあ行きなさいデスカーン。あの子供の足止めをするのです。
     N、何をやっているのです。
     ぼーっとワタクシをみていないで
     ぼーっと子供の方をみていないで
     そのレシラムと共に逃げなさい。ワタクシがこんなアナタを道具扱いした親になりきっているのです。
     アナタがプラズマ団の首謀者として裁かれても、ワタクシに洗脳された子供として罪がかなり軽くなるのですよ!
     逃げてください。逃げなさい。そしてワタクシをとんでもない親だと訴えなさい。アナタだけでも逃げるのです!
     なにを、しているのですか! どうしてワタクシが戦っているのか解らないのですか!

    「それぐらい計算済みですとも!」

     この子供は強いです。バッフロンもガマゲロゲもキリキザンもシビルドンもあっという間に倒されてしまいます。残るはサザンドラのみです。ワタクシの持つ一番強いポケモンです。
     サザンドラが倒れる前に逃げなさい。なぜそこで見ているのです!? 早く逃げなさい。アナタはプラズマ団の王様なのですよ!

    「ワタクシの目論みが!」

     倒れるサザンドラは、ワタクシにごめんなさいと言いました。ああすみません、アナタ方にまで悟られて。いえ解っていたのですね、最初から捨て駒になること。全てNのために、プラズマ団の王様のために。

    「……どういうことだ? このワタクシはプラズマ団をつくりあげた完全な男なんだぞ! 世界を変える完全な支配者だぞッ!?」

     サザンドラはもういいよと言いました。よくありませんサザンドラ。確かにアナタから見ればワタクシが悪者になるのは面白くないでしょうが、そうじゃないとならないのです。誰かが首謀者としての責任をとらなければならないのです。
     そしてそれはNではなくワタクシの役目なのですよ。昔からいるでしょう、影武者というのが。本当に上に立つべき人間を守るためには、そうするしか方法がないのです。

    「さてNよ……今もポケモンと人は別れるべきだと考えるか?」

     チャンピオンはNに話しかけます。Nは話しかけられてやっと気付いたようです。
     ああもう遅いのです……今からでも逃げられるところに逃げてください。

    「……ふはは!」

     ボールにサザンドラを戻しました。サザンドラはゲーチスが嫌われるのを見たく無いと言ってくれました。ありがとうございます。ワタクシもサザンドラたちに嫌われたくありません。サザンドラたちに真実を知っていてもらえればワタクシは満足です。

    「英雄になれぬワタクシが伝説のポケモンを手にする……そのためだけに用意したのがそのN!! 言ってみれば人の心を持たぬバケモノです」

     その場にいる人間全てがワタクシをバケモノとしてみる目に変わりました。

    「そんな、いびつで不完全な人間に話が通じると思うのですか」
    「アデクさん。こいつの話を聞いてもメンドーなだけです。こいつにこそ心がないよ!」

     チェレンという子供はワタクシを指差して言います。犯罪者を見るような哀れみの目をしています。

    「そうだな……本当に哀れなものよ」

     ワタクシの手に手錠がかかります。チャンピオンはワタクシを連れて行こうとします。
     最後にワタクシは振り返りました。
     ああ、最後までアナタは逃げなかったのですね。ワタクシが連行される姿を見たかったのですか? アナタを虐待した酷い親の無様な最後を見たい気持ちはよくわかります。
     けれどアナタにはやる事があるのですよ。何をぼーっとしているのですか。
     N、逃げてください。遠くに逃げてください。本当の名前を知られないうちに。
     しかるのち、ワタクシは警察から逃げましょう。しかしアナタがいなければ意味がないのですよ!
     N、逃げないならワタクシを精神的虐待をした親と訴えなさい。その親に異常に育てられたと訴えなさい。

    「Nというのは、ナチュラルのイニシャルです。プラズマ団の王様なので、本当の名前を知られることは不利益となります。今日からアナタはNと名乗りなさい」
    「解ったよ。でもゲーチスはゲーチスのままなの?」
    「ワタクシは王様の摂政ですので、このままでいいのです。影から支えるものは、本当の名前があろうとなかろうと変わりはありません」

    ーーーーーーーーーーーーーーーーー
    ゲーチスがあそこで本性をつらつら語り始めた意味はこうでもあってると思う。
    間違ってはいないと思う。
    たくさんある説の一つとして。

    【好きにしてください】
    【異論、反論大歓迎なのよ】


      [No.2456] とある執筆家のラブレター 投稿者:神風紀成   投稿日:2012/06/13(Wed) 18:39:42     92clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    今、貴方達に一番言いたいことがあるんだ。
    ……何か、分かる?

    ユエ。
    貴方は一番最初の人で、私にとっては初めて完成させた長編の主人公。懐かしいね。高一の今頃だっけ。
    相棒にハマってたせいか、色々ぶっ飛んだ話だったし資料も皆無だったから、今読むとすごく恥ずかしいけど、私にとっては貴方が一番初めの主人公です。
    ここに出してからはいつの間にか成人してて、外見だけでなく中身も素敵に成長していました。マグマラシをバクフーンに進化させたのも、貴方の背丈とバイクにピッタリだったからです。
    今のところ恋人を作る予定はありませんが、それっぽい設定の人はいます。そうなるにはまた幾つか話を経なければいけないようですが……
    マスターといつ再会させられるか分からないけど、いつまでも頼もしい、素敵なGEK1994のマスターでいてください。

    ミドリ。
    『小さな家と大きなステンドグラス』『海辺の崖の小さな家』でデビューを飾りました。その時はまだ名前も出していなかったし、レギュラーにする気もありませんでした。
    引っ込み思案で、周りに合わせないと仲間はずれにされるという、中学生女子にありがちな性格だった貴方がこんなに成長するなんて、私も思ってもみませんでした。ある意味一番成長が激しい子だと思います。
    色々辛い思いをさせてしまいましたね。でもそれら全て、貴方の今までとこれからの成長にプラスされていくことなので、たとえこの先どんなことがあっても、受け止められる覚悟を持った大人になって欲しいと思います。
    そして、本当に愛し、愛される男性にめぐり合えますように。

    ミスミ。
    知らない人が多いことを嘆いているようですね。ごめんなさい。作家という設定のため、普段はほとんど家にいることになっているのです。
    横でまとめた長いポニーテール、汚れが目立たないくらいビビットカラーのジャージ、そして蓮の髪ゴム。絵で描くことが多い(描きやすい)ためこれは決まっています。
    外に出さないことが多いため、全然異性との遭遇が少ないようですが、まだ貴方に恋をさせるわけにはいかないのです。貴方は友人のために、仕事をしてもらいたいのです。
    作家という仕事をする貴方にしか出来ない、大仕事です。どうかそのまま、物語を紡ぐ人でいてください。

    ミコト。
    名前のモデルは『壬琴』です。彼の場合は特異と言うほどではありませんが、そのせいでずっと孤独でした。トキメキを求め、戦いを続ける。それは体を蝕み、最後は――
    女である貴方にこんな設定を付けてしまったのにもきちんと理由があります。貴方は異常がつく怪力です。両親にも恐れられ、ずっと自分を見てくれる何かを探していましたね。
    もうすぐ、貴方に人生の転機と言って良いほど大きな事件が訪れます。自分に愛を向けてくれた者を守るため、仲間以外全ての人間を敵に回すのです。
    どんな判断をするのか、私にも分かりません。ですが、後悔はしないでください。たとえどんな結末が待っていようとも、自分に向けられた愛を裏切るような真似だけは―― 決して、しないでください。

    カオリ。
    こう呼ばれると貴方は複雑な顔をするでしょう。姓で呼んだわけではないので、怒ることはないでしょう。でも捨てた名前で呼ばれるのは、誰だって気分の良い物ではないでしょう。
    貴方は誰よりも大きな運命を背負っています。生きるか死ぬか…… ギラティナに焦がれているのは今も変わりません。彼に会う時は、死ぬ時です。
    ストイックで冷めた貴方のことですから、心配する顔も声も一瞥してただ前に進むのでしょう。それでいいのです。貴方は、今はそのままでいてください。
    ただ、貴方を影から見守り、愛してくれている者の存在を、心の片隅でいいので入れておいてください。


    このへんで筆を置きます。
    自分が作り出した者に手紙を書くのは、いささか不思議な気分です。でも、書いておきたかった。
    貴方達の背中を押し出す代わりに、貴方達も私の背中を押してください。
    二回目の人生の転機となる鍵が、あと少しでやってきます。今回は一人です。一人で目的地へ向かわなければなりません。
    心臓が破裂しそうな時、不安で仕方ない時、側にいてください。

    そして、こんな拙い文章しか書けない私と、二年間一緒に歩いて来てくれて、
    ――ありがとう。


    紀成 改め 神風紀成


    ――――――――
    早いもので二年です。
    今まで私が踏んで作ってきた道を振り返りながら、新しい道を作って行きたいと思います。


      [No.2455] Re: 【ポケライフ】ダゲキの衣服作り 投稿者:   投稿日:2012/06/09(Sat) 21:56:38     94clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    確かにかかとのあたりは白くなっていますが、足袋のようなものだと思うことにします……w
    あと、服を脱いでいる絵が支部に投稿されていることなどから、服をどこかで作っているという設定に落ち着きました。
    そして、素材はモンメン系統もしくはハハコモリ系統くらいしかおらず、それでいて草食系のポケモンは格闘タイプが天敵という事から考えると、共生関係にあってもおかしくないのではないかと思ったのがこのお話を作る上でのきっかけでした。

    ポケモンでは共生関係にあるポケモンは少ないですが、図鑑に書かれていないことでもこういったつながりがあってほしいものだと思います。


      [No.2454] Re: 誰もダゲキとヤグルマメンツをからませてくれない 投稿者:   投稿日:2012/06/09(Sat) 21:52:34     82clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    ヤグルマの森では、実はクルミル系統が好きな私です。

    確かに、ヤグルマの森のポケモンは人気があるのに、あまり絡みがないのですよね。良くも悪くも外見が異質なことと、ダゲキナゲキの二人だけで絡みが完結してしまっていることに原因があるのだと思います。

    応援ありがとうございます、これからもがんばりますね!


      [No.2453] Re: 【ポケライフ】ダゲキの衣服作り 投稿者:あつあつおでん   投稿日:2012/06/09(Sat) 20:15:45     90clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    ダゲキとナゲキの胴着ってどこで手に入れているんですかね? と今まで思ってたんです。立体ポケモン図鑑によれば、ダゲキとナゲキの足の裏はつまさきより後ろが白いそうですが、もしかしたら体色なのかもとも考えました。こういう関係があっても面白そうですね。


      [No.2452] つがい 投稿者:紀成   投稿日:2012/06/09(Sat) 13:57:56     92clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    ねえ、きみはどこにいるの?

    じめじめした空気。狭くて暗い空間。足元は水と何か細くて糸のような物が纏わり付き、歩くことも難しい。
    そんないるのも嫌になるこの場所を、一匹のペンドラーがゆっくりゆっくり這い上がっていた。
    彼には、時間の経過という物があまり感じられない。
    いつからここにいるのか、どうやってここに来たのか、それすらも覚えていない。
    それでも、ただ一つだけ理解していることがあった。というよりそのためにここにいるのだということを忘れてはいなかった。

    (こっちから匂いがする)

    毒タイプ独特の匂い、と人間は言うだろう。特に湿っているこの空間では、それは普段以上に効力を増す。
    そのペンドラーは、相棒を探していた。生まれた時から一緒で、いつも隣にいた。フシデ、ホイーガと進化して最終進化のペンドラーになっても、常に一緒にいた。
    性別うんぬんではなく、相手と一緒にいれば幸せだったのだ。
    だが、数日前――既に彼は記憶していないが――彼の相棒は、珍しく一匹で散歩に出ていた。いつもは森しか散歩しない彼だったが好奇心に負け、森から出てしまった。
    そしてそのまま行方不明となり、何処へ行ったのかも分からないまま数日が過ぎた。だがある日――雨が降った日だった――湿り気のおかげで相手の匂いを突き止めることができ、残された彼は相棒である彼を探しに出たのだ。

    だんだん薄暗くなってきた。自分の目線数センチ先まで見えるようになった。ふと上を見ると、光がいくつか隙間から差し込んでいるのが見えた。
    ――もうすこしだ。きっとあの隙間を通り抜ければ、彼に会える。
    ペンドラーは糸のような物がついた足を振り払うと、そこへと向かう。

    やがて、視界が開けた。と同時に、ガチャという音がした。
    空気が、凍りついた。


    「おかーさん、またペンドラーが風呂場にいるんだけどー」
    「やっぱり?」

    若い娘がうんざりした声を出した。高校生くらいだろうか。悲鳴も上げなければ、恐がりもしない。慣れているのだろう。
    風呂掃除をしようとそっとドアを開けた瞬間、めざわりな姿が目に入る。流石に一人では対処できないため、母親を呼ぶ。
    ほどなくして彼女は来た。ティッシュを大量に持って。

    「やっぱり、ってことは前に出たの?」
    「うん。一週間前くらいにね。ほら、ペンドラーってつがいで行動するから、近いうちにもう一匹出るんじゃないかなって踏んでたのよ」
    「ふーん」

    しばらくして、トイレの方から水音が聞こえてきた。

    「ところで母さん、ご飯まだ?」
    「今作るからもう少し待ってなさい。それよりも、志望理由書今週の金曜締め切りよー」
    「うわっやばっ」

    娘の方がそそくさと階段を上がっていった。その頭には、無残に死んだペンドラーの影などこれっぽっちも無い。


    ――――――――
    久々に書いた物がこれか!ちなみにこういうことがよく家で起きています。
    でかいペンドラーやマダツボミがいるなら、ちまっこいペンドラーがいてもいい気がしたのですよ。

    【何をしてもいいのよ】


      [No.2451] 誰もダゲキとヤグルマメンツをからませてくれない 投稿者:aotoki   投稿日:2012/06/08(Fri) 23:28:57     95clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    と思ったらやって下さっていた神がいた・・・・!

    作品読ませていただきました。まさに「その発想はなかった」でした。
    おもえばダゲキナゲキさんって、オタマロとかエルフーンとかドレディアとか(なんだかんだで)人気のあるポケモンと同居してるのに・・・・どうしてそこをネタにする人が少ないんでしょうね。
    私もBWではヤグルマ周辺の人々(ポケポケ)が好きなので、面白かったです。私もこうすっきりとまとめた短編をかけるようになりたいものです。


    これからも創作がんばってください^^



    P.S 私はダゲキ派です


      [No.2450] 【ポケライフ】ダゲキの衣服作り 投稿者:   投稿日:2012/06/07(Thu) 23:26:12     128clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

     あまり知られていないが、ダゲキナゲキとエルフーンは共生関係にある。と、いうのもエルフーンのモコモコしたあの綿は、上質なセルロースで出来ており、人間には理解できないが、メブキジカやバッフロンにとっては甘いらしいのだ(一応、ビリジオンなど三獣士達にとっても甘いらしい)。
     何言っているのかよくわからねーと思うが、ありのままに説明するとそれらのポケモンにとってはエルフーンのモコモコはおやつ代わり。綿あめのようなものなのだという。
     けれど、エルフーンにとってあのモコモコはファッションだとかクッションだとかそんなチャチなものでは断じてない。外敵が襲ってきたら、それを後ろに向けて身を守るという、有用な使い方があるのだ。

     実際、モコモコに噛みつかせて、相手が絡まった綿を取ろうともがいている最中に、綿を千切って逃げたりする姿もよく確認されている。すり抜けの特性も、そうして生き残った個体が積み上げてきた遺伝子の賜物なのである。
     戦っても敵わない相手にはそうしてやり過ごし、痺れ粉などをばらまいてエルフーンだが、草食の特性を持つバッフロンやメブキジカにはヤドリギの種も痺れ粉も効かない。だから、普通に考えればエルフーンはモコモコを根こそぎ喰われるしかないのである。
     そこで登場するのがダゲキとナゲキだ。彼らは、真っ白な胴着を見に纏い、草で作った帯を締めて気を引き締めることで知られるポケモンだ。彼らは格闘タイプのノーマルタイプに対する優位性を活かしてエルフーンを草食の特性のポケモンから守る代わりに、体毛の薄い身体を傷から守るために綿の衣服を纏うのだ。

     そんなエルフーンのセナがやってきて、もう4か月。夏の頃には薄かった背中のモコモコも、だんだんボリュームを増してきているようだ。
     その薄かったモコモコというのは、ムーランドやチョロネコのように自然に抜けていくことで薄くなるだけではなく、原因はうちで飼っているポケモンのもう一人、ダゲキのタイショウのおかげだ。
     もともとは、お祝いのためにセナをゲットしたのだが、捕まえ方が原因だったのか、最初は俺に心を開いてくれなかった。そんな時でも、本能的に味方だと認識できるのか対象に対してだけは落ち着いて接しており、タイショウの服の修理のために綿を分け与えていた
     タイショウは綿を少量つまんで、それをより合わせて糸にする。その糸を、ほつれた胴着と同化させ、繕って穴を塞ぐ。セナを家に迎えるまでは、わざわざ専用の綿を購入していたが、いつでも新鮮な綿が手に入る今の状況を、タイショウは気に入ってくれたようである。
     日中の鍛錬を終えると、その過程で傷ついた部分を、夜な夜な修繕する。セナと暮らすうちにそんな習慣が出来てゆき、それが高じた今となっては、暇な時間に他のポケモンの胴着も作ってしまう始末。ダゲキやナゲキは、上手く胴着を作られない子供に対して胴着を作ってあげる習性があるが、その習性の賜物なのだろう。
     今日は、数日前に進化したコジョンドのアサヒに対して、一週間かけての進化祝いのお披露目だ。人間と暮らしているうちに、記念やお祝いという概念も覚えたポケモンたちは、アサヒを中心にお祝いのムードを楽しんでいる。
     着せてもらった胴着を、鬱陶しいと思いながらもまんざらではないのか、開いた胸元を気にしながらアサヒは照れた顔をしていた。それを作るために体を張ったセナと、腕を振るったタイショウは満足げに微笑んでいる。

    「ほら、アサヒ。これが今のお前の姿だぞ?」
     みんなが幸せそうな表情になる中、鏡を持ってきてアサヒ自身にもわかりやすく披露目を。人間の俺にとってみれば妙に似合っているその立ち姿。それがポケモンにはどう映るのかわからないけれど、タイショウのためにも喜んでくれるといいな。


    ――――
    ダゲキナゲキとエルフーンの関係は、私の脳内ではすでに鉄板になっている……ドレディアよりも好きなんです。
    野生の本能や習性と人間の文化の融合。そんなものがポケモンにあるのならば、こんな光景もあるんじゃないかと思います。


    | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 | 32 | 33 | 34 | 35 | 36 | 37 | 38 | 39 | 40 | 41 | 42 | 43 | 44 | 45 | 46 | 47 | 48 | 49 | 50 | 51 | 52 | 53 | 54 | 55 | 56 | 57 | 58 | 59 | 60 | 61 | 62 | 63 | 64 | 65 | 66 | 67 | 68 | 69 | 70 | 71 | 72 | 73 | 74 | 75 | 76 | 77 | 78 | 79 | 80 | 81 | 82 | 83 | 84 | 85 | 86 | 87 | 88 | 89 | 90 | 91 | 92 | 93 | 94 | 95 | 96 | 97 | 98 | 99 | 100 | 101 | 102 | 103 | 104 | 105 | 106 | 107 | 108 | 109 | 110 | 111 | 112 | 113 | 114 | 115 | 116 | 117 | 118 | 119 | 120 | 121 | 122 | 123 | 124 | 125 | 126 | 127 | 128 | 129 | 130 | 131 | 132 | 133 | 134 | 135 | 136 | 137 | 138 | 139 | 140 | 141 | 142 | 143 | 144 | 145 | 146 | 147 | 148 | 149 | 150 | 151 | 152 | 153 | 154 | 155 | 156 | 157 | 158 | 159 | 160 | 161 | 162 | 163 | 164 | 165 | 166 | 167 | 168 | 169 | 170 | 171 | 172 | 173 | 174 | 175 | 176 | 177 | 178 | 179 | 180 | 181 | 182 | 183 | 184 | 185 | 186 | 187 | 188 | 189 | 190 | 191 | 192 | 193 | 194 | 195 | 196 | 197 | 198 | 199 |


    - 以下のフォームから自分の投稿記事を修正・削除することができます -
    処理 記事No 削除キー

    - Web Forum Antispam Version -