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読ませていただきました。この図書館、すごい行きたいです。リアルに。
私も「ポケライフ」用に図書館ネタを考えてたのですが・・・・穂風さんの方が数百枚上手です。参りましたm(_ _)m
ポケモンの特性をこうからめようとは一切考えたことがなかったので、これからの参考にさせていただきます。
確かにエーフィは、本読んでても違和感が全くない気がします。
現実でもポケモンでも、犬系は主人の読んでる本を眺めてそうですが、猫系は自分で読んでそうですし。やっぱり図書館には猫ですね。
あと個人的には記者さんが可愛いな、と思いました。
とある休日。私は巷で噂の大図書館を訪れていた。
なんでも、今まで来館者がほとんどいなかったのが、近頃急に多くの人が来るようになったらしい。
そのわけを知るべく、雑誌記者として館長に話を伺うことにした。
「どうぞ、おかけになってください」
通された部屋は、二階にある小会議室だった。ソファが八つとテーブルが一台だけというシンプルな場所だ。
ゆったりとしたスーツに身を包んだ女性――館長は私を中に入れると、ドアを半開きにしたままで私の向かいに座った。館長の隣ではエーフィが大人しく座っている。
「さて、単刀直入に訊きますが、なぜ多くの人が訪れるようになったんですか?」
「やはりその質問ですね。では逆にお聞きしますが、記者さん。この図書館を訪れた感想はどうですか?」
「えっと、とても広くて多くの蔵書があり、さすが地方一の図書館だと思いました。ですが、ここから目当ての本を探すのは一苦労しそうですね」
「そうでしょう。一生費やしても読めないほどの本の量がここの自慢ですから。そのおかげで、『探すのが面倒だ』なんて言われて、全然人が来てくれなかったんです」
「それは今でも変わらないんじゃないですか?」
「いえ、違うんです。――その秘密がこの子でして」
そう言うと、館長はあくびをしていたエーフィを抱え、テーブルの上――私の正面に乗せた。
「話すより実際に体験した方が早いでしょう。何か悩み事はないですか? 早起きできるようになりたいとか、手軽な運動法を知りたいとか」
「悩み事ですか。そういえば、何か楽器ができたら、と最近思ってるんです」
「わかりました。それじゃフィフィ、いつものお願いね」
フィフィと呼ばれたエーフィは面倒そうにもう一度あくびをすると、一歩私の方へ近づいた。
薄紫の瞳が淡く光り、じっと私を見つめる。「ねんりき」だろうか。
「何が始まるんですか?」
「もうすぐわかりますよ」
「はあ……」
よくわからないまま見つめられるのは落ち着かないが、こらえてエーフィの両目を見つめ返す。
そうして、不思議なにらめっこがしばらく続いた後、エーフィは扉の方へ体の向きを変えた。まだ瞳は光っている。
「そろそろですね」
館長がそういったのとほぼ同時に、半開きにされていたドアから二冊の本が現れた。正確に言うと宙に浮いてやってきた。
「この本はフィフィが今、本棚から『ねんりき』で持ってきたものです。どうぞ手に取ってみてください」
館長に言われた通り、二冊のうち少女とオカリナの写真が表紙の本を手に取ってみる。
タイトルには『フルーラの簡単オカリナ入門講座』とあった。
数ページめくってみると、オカリナの持ち方から音の出し方、簡単な練習法などがイラスト付きでわかりやすく書かれていた。
「どうですか? 今のあなたにピッタリな本でしょう」
「これは……驚きました。ちょうどオカリナに興味があったんです。しかし、私はオカリナとは一言も口にしてませんよ」
「それがこの図書館が人気の理由なんです」
「というと?」
「エーフィの特性はご存知ですか?」
「はい。『シンクロ』――それと最近『マジックミラー』のエーフィも確認された、ですよね」
「その中でこの子は前者の特性を持ってるの。『シンクロ』を使って相手の気持ちになり、その人の目線からぴったりな本を選ぶ。これがフィフィの図書館でやってることなんですよ」
「『シンクロ』にそんな使い方もあるんですか。――けどそれは、エーフィが図書館のどこに何の本があるか把握していないとできないのでは?」
「フィフィは本が大好きで、毎日本を読んでるんですよ。繰り返し読むうちに本の位置を覚えてしまったんでしょうね」
「人間の文字で書いた本をですか?」
「ええ。最初は絵本を楽しそうに読んでいたんですけど、そこから字を覚えていったのか、今では『多角的視点創世論』なんていう難しい本まで読んでいて」
「聞いただけで頭が痛くなりそうな題名ですね」
「ええ、前までは読み聞かせをしてあげられたんですけど」
「さすがに、そんな本は読み聞かせできませんね」
「フィフィがシンクロを使うと体力を消耗するので、一日1〜2時間ぐらいしか仕事はさせてないんですが、睡眠・食事以外はずっと本を開いているんです」
「本当に本が好きなんですね。私も帰ったらこの本を読んでみることにします。返却期限はいつですか?」
「二週間です。きちんと返しに来てくださいね。本に触れる人が多くなったのは嬉しいことなのですが、延滞や返しに来ない人も増えているので」
「わかりました。記事でも借りた本は返すように伝えておきたいと思います。それでは、本日は取材に協力いただきありがとうございました。フィフィもありがとうな」
フィフィの顎の下をなでると、彼女は気持ちよさそうに喉を鳴らした。
「では、受付で貸し出し手続きをしましょう。私についてきてください」
「お願いします」
「そういえば、こっちのもう一冊は?」
「あら、フィフィったら。記者さんが独身だと知って気を利かせてくれたみたいですよ」
「はは……。そっちの方も頑張らないと、ですね」
「応援してますよ。そうそう、オカリナの本の作者さん知ってますか? オレンジ諸島では結構有名なオカリナ奏者で――」
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こんばんは、穂風です
「特性「シンクロ」をうまく使って、図書館のお手伝いをしてるエーフィ」を書いてみました
エーフィがおすすめの本を選んでくれたらどんな本でも読んでしまいそうです
毎日エーフィに会いに行って、おやつあげようとしたり、なでなでしたりしようとして館長さんに怒られる人がたくさん出そうですね
数年ぶりにマサポケに投稿しました、天城のるあです。
はじめましての方は初めまして、久しぶりの方は久しぶりです。
しばらく二次創作から離れてましたが、今年からレジギガスさんのスピードでスロースタートしました。
久々に書いた結果がこの作品だよ!
それにイシツブテを投げられる覚悟は出来てます。
ちなみに作中の「僕」と名乗るポケモンは、伝説系や幻系以外で各々の想像にお任せしたいと思い、あえてはっきりさせないことにしました。
今回はポケストのお題とは異なるが、重圧と責任、すれ違いと迷走とか混ぜたものになりました。
ということで次はギャグでも書こうかと思ってます。
天城のるあ
僕の主人の名前はルセア、ポケモンリーグのチャンピオンだ。
全てのポケモントレーナーの高みに上り詰め、僕も共にその栄光と祝福を受けた。
殿堂入りしたあの日から2年の時間が過ぎた今でも、主人はスタジアムに立ち続けた。
「チャンピオンのルセア。これで68連勝です!」
今日もスタジアムの実況が、僕の主人の勝利を伝えている。
しかし、今は僕達がスタジアムで戦うことは無くなっていた。
今の彼女がスタメンに使うポケモンは、殿堂入りした日とは全く違うからだ。
海の神と呼ばれるルギア、超古代ポケモンのカイオーガ、夢幻のラティオス、
天空の神と言われるレックウザ、北風の化身スイクン、時渡りポケモンのセレビィ、
そう、全て伝説のポケモンとか幻のポケモンが、今の主人の戦力だ。
今の僕達は控え席に座る、単なる傍観者でしかなかった。
「連勝記録を重ね続けるルセアさんが、今や観客に向けて手を振っています」
多くの観客の前で手を振る主人は、表向きでは喜びの表情を見せるが、
僕は心の中ではそのような気持ちがあるように見えなかった。
試合が終わった後、僕はチャンピオンに与えられる豪華な控え室で、同じくベンチに座って観戦していた仲間達に、今の主人に対する不満を告げる。
「今の主人は楽しそうに見えない。それに奴らも調子に乗っているよ」
「でも俺達がここまで来られたのは、ルセアのお陰だぜ」
「野生ポケモンでしかなかった私達を、ここまで強くしてくれたのはルセアさんだもん」
僕の不満を聞いた、最初の一匹であるリザードン先輩と、後輩のサーナイトは主人に対する不満は無かった。
主人が勝ち続けるのなら、傍観者でもいいという立場に甘んじている。
「僕も主人に感謝しているのだが、今の主人には昔の主人にあったものが見えない」
「それはお前の気のせいだろう」
「ひょっとして、奴らに対する嫉妬?それもとスタメンの椅子取られて悔しいのか?」
初めて殿堂入りした仲間、ドサイドンやアブソルも、僕の不満を違う意味で取っている。
もちろん、僕は今のスタメンの奴らばかり出るという不満もあるが、それが本当にいいのか、今の主人が道を間違えていないのかというのが僕の不満だ。
「もういい。お前達より奴らに話をした方が早い」
「ちょっと待ってよ」
僕はベンチ入りした仲間達に話しても無駄だと思って、この場を立ち去る。
そんな僕の姿を見たピカチュウが、後ろを追ってくる。
「お前達が来てから主人が変わったんだ!」
「お、落ち着いて!」
僕は感情をむき出しにして、主人が変わった原因が奴らにあるとして強い口調で迫る。
ピカチュウは冷静さを失った僕を必死に止めるが、怒りに任せて静止を振り切る。
「俺達はルセア様に忠誠を誓っている」
「ルセア様を思う気持ちは我々も同じ。我々が信じることが出来た唯一の人間だ」
「だったら、お前達が本当に主人のことを思って戦っているのか?」
僕は主人に忠誠心を示すカイオーガとスイクンに、その言葉の意味に対して苛立つ。
奴らの忠誠心は伝説のポケモンである故の傲慢さが見えてくる。
彼らの言葉が信頼の意味があるとしても、今の僕には聴く耳は一切持たない。
「我々が居なければ、今でも勝ち残ることは無かった」
「ひょっとして、スタメンを外されたことでの不満ですか?
僕達より実力が無いポケモンの嫉妬が一番見苦しいことですよ」
レックウサの言うことも事実だし、悪意の無い子供のように振舞うルギアの言葉も一理ある。僕は奴らと比べても実力も能力も差がある。
僕の感情や不満は嫉妬だけではないことは、奴らには全く伝わっていない。
「お前達に僕の何が分かる!?お前達新参者が本当に主人を理解しているか!?」
「新参も古参も関係ない!それにお前が主人の心境を理解していないだけだろう!」
「仲間同士、ケンカはやめようよ。落ち着いて」
もう奴らの話を冷静に聴く耳を持たない僕は、ラティオスを強く睨みつける。
仲間割れの危機を避けるため、ピカチュウはお互いに宥めるのだが、この状況をとめることは出来ない。
「仲間同士でやめなさい!」
一触即発の危機に陥ったその時、主人が大声で僕達を一斉に制止させる。
彼女の声で、ハイパーボールにトレーナー登録されているポケモンの条件反射に従い、
人知を超える伝説のポケモンであっても一気に大人しくなる。
「一体何が原因でこうなったの?」
控え室にいるポケモンの誰もが、僕に原因があるとして一斉に指を刺す。
この騒ぎの原因が僕なのは確かだが、こんな事態にするつもりは無かった。
「あなたが何に不満があってこういうことをしたの?」
僕は主人に対する不満を声のトーンを変えつつ、身振り手振りで必死に伝える。
主人に言葉が通じるなら、僕もジェスチャーという回りくどい遣り方はしない。
人間とポケモンの間で言葉が通じないのは不便だ。
それに、気持ちというものは伝わりそうで、すれ違う厄介なものだから、共通言語があるというのは偉大なことだと思う。
僕は昔のように旅をしていた頃が一番楽しかった。
常に主人と共に苦楽を共にして、競争とか勝利数とか関係なく、ゆっくり高みを目指す。
ポケモンリーグも世界一のポケモントレーナーになるという通過点の一つで、
主人が世界一のポケモントレーナーになれるなら、僕達は全力に走ることが出来た。
でも、今の主人はポケモンリーグチャンピオンとして、戦っているだけだ。
旅の中で仲間になった伝説のポケモン達も、最初は同じ志を持つ仲間だったが、
今はチャンピオンとして勝ち続けるために必要不可欠な力となった。
強いポケモンと弱いポケモンがいるのは、弱肉強食の世界である限りは必然的。
旅をしていた頃の主人は、そんな道理は一切関係なく僕達と接してきた。
今の主人を見ていると、ポケモンリーグチャンピオンであり続けることが目標となり、
強いポケモンと弱いポケモンの関係でしか、僕達を見ていないのかと疑うようになった。
僕は表現できるあらゆる手段で、今の主人に対する不満や疑問を投げ続ける。
これで通じるのなら、僕の気持ちを分かってくれるはず。
僕は主人を信じてメッセージを放ち続ける。
「あなたが言いたいことは分かった。私は目的のために今を頑張っているの。
でも、私はみんなのことを平等に愛しているつもりよ。
私は旅していた頃と同じ気持ちを持って、チャンピオンであり続けたい。
私は・・・目標のために強いポケモンの強いトレーナーとして強くならなきゃいけない」
僕は主人の放つ言葉に強い絶望感を抱いた。
主人は表面上では楽しくポケモンバトルというスポーツをしても、内面ではチャンピオンとして勝ち続ける義務と重圧が、戦うことを強いられている。
「私は勝ち続けなければいけないの!
勝たなければみんなに認められない。負けたら何もかも失うのよ!
だから私はチャンピオンとして、戦い続けるの!それが分からないの!?」
そんなこと僕は分かりたくも無いし、理解したくも無い。
それでも主人は負けること、戦いをやめることが怖いことだけは分かった。
勝利の美酒という快楽と、それを享受できなくなる日を恐れるジレンマ、敗北が喪失と同じ意味になって、ウィナーホーリクともいう依存に完全に陥っている。
主人にとっての勝利は、薬物やギャンブルと同じ嗜癖を齎してしまった。
僕のウィナーホーリクに苦しむ主人を見たくないという想いが、伝わっていない。
伝わったとしてもチャンピオンとしての責務から拒絶する姿を見せる。
主人に対する苛立ちが募ったことで、僕の中の何かがキレた。
僕は主人に対して反抗の意志を示すように、技を放った。
「何するの!あなたは私の気持ちが分からないの!」
僕の気持ちが分からない癖に、自分の気持ちを分かれというのはおかしい。
今まで溜めてきた不満が、主人への力づくの反抗という形として表に出た。
もうこれ以上は、僕は主人の言葉を聞きたくなかった。
些細な考え方の僅かなすれ違いが、大きな想いのすれ違いとして変質する。
主人も僕もお互いの言葉や意志に、耳も心も傾ける気は無くなっていた。
手持ちのポケモンとしてやってはいけないこと、主人に対する反抗を行った僕は、
制御できない危険なポケモンとして、処分されることになったが、主人の最後の温情からか、野生のポケモンとして野に放たれた。
手持ちの仲間が反抗したことで、野生に帰してから半月も経たない中、私はポケモンリーグチャンピオンとして再びスタジアムに立っていた。
「四天王を破って、ポケモンリーグチャンピオンを目指すチャレンジャーの前に、
ポケモンリーグチャンピオンのルセアが姿を見せる!
彼女は王座を守りきることが出来るか!?」
会場全体に響くアナウンスと観客の声に、私は落ち着いた素振りを見せて、チャレンジャーの目の前に立つ。
《ルセア様、我々の力で愚かな挑戦者を退けましょう》
《この程度の相手、ルセア様と私の敵ではない》
《僕が最初に戦いたいな。ルセアさん、早く出してよ》
伝説のポケモンと呼ばれる手持ちポケモン達は、中で控えているハイパーボールを振動させる。これは自分達が戦いたいという合図だ。
「私の最初の相手はこれよ」
私は強い意思表示を示す一匹が納められたハイパーボールを選び、宙で円弧を描くようにスタジアムの中央に放った。
私は戦う意志を強く示したものを戦わせ、私は今日も勝ち続けなければならない。
負けたら全てを失い、彼らも弱いトレーナーと見なして離れていくだろう。
だから私はチャンピオンであり続けなければならない。
「ねえお父さん。ルセアさんカッコいいよね」
「ああ、カッコいいな」
子供と一緒にポケモンリーグを観戦して、運良くチャンピオン戦を見ることが出来た。
子供はルセアと手持ちポケモンに、目を輝かせて強者に対する憧れを見せたが、
私は彼女が伝説のポケモンによって、戦わされているようにしか見えなかった。
私のように周囲の熱気に呑み込まれず、彼女を冷静に見つめるものは少ないだろう。
「僕もルセアさんのようなトレーナーになれるかな?」
「お前も本気でポケモントレーナーを目指す日が来れば、その時に分かるよ」
今の私の子供にはルセアがヒーローに見えるのだが、彼がポケモントレーナーになったとき、彼女がどのような想いで戦っていたのか分かる日が来るだろう。
あの事件から主人と袂を分かち、野生に還った僕はさ迷い続ける。
ポケモンリーグチャンピオンのポケモンだったから、大抵の野性ポケモンには負けない。
僕は野生ポケモンという不安定な道を歩み、主人もまた勝ち続けるという綱渡りの日々を送っているだろう。
僕もまた負けたら死という生存競争という綱渡りを通して、あのときの主人の気持ちが少しは分かってきた。
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コメントありがとうございます。感謝感激アメモースです。
そして拍手をしてくださった皆さんも、ありがとうございます。感謝感激(ry
>あんな状態であっても活気にあふれている「息子」の行動が良い意味で子供じみていて、微笑ましいです。
今思ったのですが、デスマスの特性って・・・あれ、おかしいなおとうさん大丈夫だったのか・・・
・・・愛と可愛さがあれば特性は乗り越えられる、はずです。
>あと、観覧車と時間の例えが上手だなあ、と思いました。どうしても止めようがないですものね。そのことを自覚したお父さんが今後どうなっていくかが気がかりです。
おとうさんは書いているこちらとしても「この後どうするんだろうこの人」となっていました(笑)
観覧車は本編でも(いろんな意味で)印象強かったので、もうすこし掘り下げたかったのですが・・・あくまで「ポケモンのいる日常」なので割愛してしまいました。
今度きっちり書いてあげたいです。
>それでは、また次の作品にも期待しております。
あ り が と う ご ざ い ま す
・・・おやカイオーガがやってきたようだ
最近ポケモンが減って来た。原因など解っている。戦争が始まったからだ。
優秀なポケモンはもちろんのこと、その辺にいる適当なポケモンだって戦力になると捕獲された。
そんな戦争の初期、優秀なトレーナーはみんな徴兵された。この男もそろそろ自分の番とおびえている。
殺し合い、奪い合い。なぜお上の決めたことに命をかけなければならない。いや原因は向こうの国が無茶難題を押し付けるからだ。そうでないと、今の裕福な生活はまもれない。そんなことは解っている。それでも殺される恐怖や徴兵される恐怖におびえていた。
いつもならポケモンの鳴き声が朝からけたたましい。けれど最近はめっきり静かだ。静寂の朝を迎えて男は郵便受けを確認する。
良かった、今日も来ていない。徴兵を知らせる紙が。
「ぽぽくるぽー」
男は上を見上げた。聞こえるはずのない声がする。
この声は誰だ。確か、そうだハトーボーだ。ポケモンがまだいる。まだ鳴いている。野生のポケモンはまだ生きてる!
しかし屋根を見ても空を見ても、ハトーボーの姿はなかった。鳴き声だけがそこにある。姿は見えなかった。
「くるぽぽぽぽぽ」
男はハトーボーに呼びかける。降りてきてくれ、と。
野生のポケモンはいなくなった。朝も昼も夜も静寂。ひとたびその姿を見せればすぐに捕獲される。だからこそ男はハトーボーの野生に生きる姿を見たかった。
「ぽぽぽぽ」
ずっと右から聞こえる。どっちを向いても右から聞こえる。相当姿を消すのが上手いハトーボーだ。だからこそこんな時代でも野生で生きていられるのだろう。
通りすがりの人が不思議そうな目で見ている。男は答えた。ハトーボーが鳴いている、さっきからずっと鳴いている、と。その人は何も聞こえないよ、と言った。
「くるぽっぽー」
姿は相変わらず見えない。けれどそこに確かにハトーボーが存在している。
昼になってもハトーボーは鳴いている。増えてきたようで、さらに鳴き声はざわざわしている。
ああそうだ、ハトーボーが集まるところには平和の国があると聞いたことがある。
戦争しているこの時代に、ハトーボーが集まるのであれば平和に導かれているのかもしれない。そうだとしたらハトーボーたちを保護して住みやすいところにしてやりたい。
平和の国のハトーボー。ああそうして戦争が終わって、平和な国になって。またポケモンたちが朝に鳴いて一日が始まるのに。
「くるぽぽぽぽっぽー」
なんだって、よく聞こえない。男はそう言った。
男のまわりには常にハトーボーの鳴き声がしていた。心配になった家族が病院に連れて行く。
「ぽぽぽくるるっっぽぽぽー」
突発性難聴。そう診断された。
ハトーボーの鳴き声もその症状だと。
男は認めなかった。このハトーボーの声は確かに存在している。存在しているのに否定するのか、と。
平和はそこまで来ているんだ。そんな病気ではない。
邪魔するな。ハトーボーは確かにいる。姿は見えないけど確かにいるんだ!
「ぽっぽー」
戦争はやがて酷くなり、侵攻されるようになっていった。
それでもハトーボーの鳴き声は止まらなかった。
いつかこのハトーボーたちが戦争をとめて平和に導くと信じている。
男の家も戦地となり、凶悪なドラゴンポケモンに焼かれるまで、ずっと。
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覚えてますか、エイプリルフールという名のマメパト襲来を。
乗っ取られたタイトルを一つずつ見ていって爆笑したのが「ポッポ嫌い」と「よわむしピジョット」だったのはよく覚えてます。
そして漏れず乗っ取られたのがマメパト。
Tranquillは英語でハトーボーです。そろえた方がいいかと思ってこっちにしました。
意外に冗談通じないかもしれません。
外語ポケモン楽しいですね。
ハトーボーの平和の国はいつか使いたいと思っていました。
【なにしてもいいですよ】
はじめまして、稲羽(いなば)と申します。
初投稿お疲れ様です。作品読ませていただきました。
あんな状態であっても活気にあふれている「息子」の行動が良い意味で子供じみていて、微笑ましいです。
あと、観覧車と時間の例えが上手だなあ、と思いました。どうしても止めようがないですものね。そのことを自覚したお父さんが今後どうなっていくかが気がかりです。
父親も「息子」も、そしてゴーストポケモン達も同じ世界で暮らしている生き物、これからも一緒に楽しく生きて行ければ良いですね。
それでは、また次の作品にも期待しております。
寝起きの体を、誰かに揺さぶられている、気がする。
「・・・・うさん。おとうさん。ねぇ起きてってば。もう8時半だよ。」うすぼんやりとしたままの聴覚に、鋭い光のような声が刺さる。
閉じているはずの瞼越しに、なぜか真っ青な空が見えた。どこまでも澄み渡った、真昼の青空が。
「・・・・・んん」
俺は黙って寝返りを打った。青空の代わりに、眠りの世界の入り口が見える。・・・もちろん入るつもりは無いけれど。
「もー。起きてよー!遊園地しまっちゃうよ?ねぇだから早く早くー!」すぐ近くに”誰か”の気配。もちろん、俺の背中はわざと”誰か”に向けられている。
「ぁー・・・大丈夫だから・・・あと30分・・・」「だーめ!」
ドスッ、と背中に”誰か”が乗る。暖かみのある、幸せな重さ。予想通りの反応と予想外の重さに、自然と顔がほころぶ。
「おとーさん起きて!いっつもそれでお昼まで寝ちゃうでしょ!」
「だいじょーぶだって「だいじょーぶじゃない!!」
そして手が俺の肩にかけられて・・・
「うをうぉうぉ?!」肩ごとダイレクトに頭を揺さぶられた。「おーーきーーてーーよーー!おーーきーーてーー!!」おまけに耳にもダイレクトに大絶叫。容赦なく寝起きの頭は前へ後ろへ右へ左へ「わかったわかったわかったわかったから1回手ぇ離せ!!一旦降りろ!!」
「あ、うん」
ひょいと重みが無くなると同時に、俺の頭は枕に叩きつけられる。長年愛用の煎餅枕は、残念ながら衝撃を吸収してはくれなかった。
「いっ・・・てぇ・・・」
俺は背中を振り返る。
さんさんと窓から降り注ぐ日差しに映る、小さな、真っ黒い影。
「おはようおとうさん!!」
「あぁ・・・おはよう・・・・また力強くなったな」
俺は背中に乗った息子に、苦笑いで挨拶を返した。
窓の向こうからは誰かの笑い声。
今日は日曜日。どんな人も、ポケモンも、大切な人と思い出を作る、特別な日だ。
***
想像以上だった息子からのモーニングコールのおかげで、しばらくまともに歩けなかった。
おまけに当の本人は「じゃあ先朝ごはん食べてるね!」と無常にもリビングへ。
なので、おれはまだ布団の上で怠惰にゴロゴロとしている。少しだけ開いたドアの隙間から、パンの焼ける匂いがしてくる。
もちろん作っているのは俺ではないし、息子でもない。
「朝飯作ってくれてたのはありがたいんだけど・・・な」
俺は煎餅枕の枕元、オムスターの目覚まし時計を手に取る。7時にセットした目覚まし時計は、ジャスト6時59分59秒で針が止まっていた。
「・・・あいかわらず手の込んだイタズラを」苦々しい気持ちを噛み締めて、俺は布団から体を跳ね上げた。
少しだけふらつく足で、洗面所へ向かう。もちろんオムスター時計も一緒に。右手からカチカチという振動は伝わってくるものの、針が進んでいる気配は無かった。
真っ暗な洗面所では、洗濯機が回されている。ガタ、ガタ、と一定のペースで振動が伝わってくる。
もちろん、セットしたのは俺ではないし、息子でもない。
「親切なんだか不親切なんだか、な!」
俺は右手のオムスターを洗濯機に投げつけた。オレンジ色のボディに当たって跳ね返り、タオルの山にぼすりと埋まる音。衝撃で針がずれたのか、ジリリリリリリリリとオムスターが鳴き出した。
「おいロトム!何回目覚ましにイタズラすんなって言ったら分かるんだよお前は!」
キシシシシ!と洗濯機が洗濯機にあるまじき音で回った。喜ぶかのごとくガタンガタンと揺れも大きくなる。
「せっかくカントー土産で貰ったのによ・・・お前のイタズラで壊れたらどうすんだよ」
未だにオムスターは洗面所の奥で鳴き続けていた。タオルの山に埋もれているはずなのに、かなりの音量を保っている。そしてその山の中から、蓄光仕様の目玉がこちらを見つめている。
カントーの友人から貰ったこの時計は、寝起きの悪い俺にはそのうるささと不気味さが絶妙に丁度よかった。夜中、たまにこれとふっと目が合って、飛び起きることもある。
ちなみにカブトのデジタル時計もあるのだが、こちらはそれほどベルがうるさくなかったので普通の時計として俺の机に乗っていた。こいつも夜中、つい机でうたた寝をしてしまったとき、ふっと目が合って飛び起きる事がある。
一つため息をついて、俺は嬉しそうにガタガタと揺れ続ける洗濯機に言った。
「ベル止めて、時間も戻しとけよ。・・・今度やったら芝刈り機買ってくるからな」
慌てたように、背後でベルと洗濯機の音が止まる。一瞬の間の後、洗濯機は何事も無かったかのように静かに回り始めた。
「・・・さすがに庭のない家の芝刈り機は嫌か」
ロトムの慌てぶりが可笑しくて、思わず笑ってしまった。
そういえば着替えるのを忘れていたな、と昨日履いたジーパンを探していたが、洗面所に置きっぱなしだったことに気付いた。
さすがにまた洗面所にいくのは癪なので、仕方なくもう一本のジーパンを引っ張り出す。あれはまだ一日しか履いてなかったよな、と一瞬思ったが、ふと今朝の息子の笑顔を思い出し、洗い立てのジーパンに足を通した。
あんなに楽しみにしてくれていたんだ。こっちもそれなりの格好で行かないと父親として失礼だろう。
それじゃあもう少しよそいきでも着るか、と俺はこの間買ったシャツを探し出す。シンオウだかどこだかのデザイナーがデザインした、グレーと赤と金のチェックのシャツ。
向こうの伝説のポケモンをイメージしたらしいが、残念ながら俺はそっちのほうに明るくないのでどんなポケモンなのかは分からない。けれど金のラインのあしらい方と濃さの違うグレーの使い方がやけに格好よかったので、服に無頓着な俺にはしては珍しく、それだけを買いに店まで行った。
しかし、それが見当たらない。
「あっれ・・・おかしいな・・・」とりあえずクローゼットやらタンスやらの引き出しを、片っ端から開けていくが、どこにも無い。
「1回は着たから、袋のまんまってことは無いはずなんだけどな・・・・・・ん?」目の端に何かが映り、俺はふと机の上に目をやった。
そこには探していたシャツが、きれいに畳まれて置いてあった。その隣には昨日履いたばかりのジーパンも。俺は部屋のドアを振り返るが、もちろんきっちり閉まっている。
もちろん、持ってきたのは俺である訳がないし、息子でもない。
いや、この場合は息子でも出来るけれど、そんな事にわざわざ気付いてくれるほど繊細な心はまだ持っていない。
「あぁ・・・洗面所に置いてたのか、どっちも」シャツに袖を通しながら、俺は心当たりを探った。「・・・なるほどね」バッ、と襟を整える。
持って来てくれた奴には申し訳ないが、昨日のジーパンはタンスに戻した。
***
リビングのドアを開けると、朝のあわただしい匂いが飛び込んできた。
「デラッ!!」キッチンからはシャンデラの声。
「あ、やっとおとうさん来た」息子は既に朝飯を食べ始めていた。口の端にパンくずが付いているのが目立つ。
「シャンデラもおはよう・・・朝飯ありがとな」「デラ〜♪」フライパンを持ったまま、シャンデラがターンした。
もともと料理には興味があったらしいが、最近俺が寝坊がちになり朝飯を作れない日が増えたのを期に、どんどん腕を上げてきた。
もしかしたら今朝のアレはコイツが朝飯を作りたいあまり、ロトムと共謀したのかもしれない。そう一瞬思ったが、心のうちにとどめておいた。
俺は息子の向かい側に座る。カウンター越しにシャンデラがコーヒーを出してくれる。「おい、流石に今朝のはやりすぎじゃなかったか?しばらく立てなかったぞ」
「ごめーん。あんまりにも楽しみで、つい調子乗っちゃった」
謝る気の一切無い顔で、息子はパンをほおばる。「だって久しぶりのお出かけだよ?」
「あぁ・・・そうだな。でもお前もおっきくなってきたんだから、力の加減には気をつけるようにしろよ」俺はコーヒーを一口すする。「はーい」息子はもう一口パンをほおばる。
シャンデラが用意してくれた朝ごはんは、なかなかに豪勢だった。
焼きたてのパンに、赤色のミックスジャム。ホットサンドにも出来るようフルーツまで切ってある。おれならジャムかフルーツかの二択だから、こうはいかないだろう。
一口大のクッキーはポケモン用だろうか。上に少しずつブリーのジャムが乗せられているあたりに、俺は普段の適当ぶりを反省する。
真ん中には多めのサラダ。焦げがないから、こっちはヨノワールが作ってくれたのだろう。
サラダボウルを置いてから、隣に座ったヨノワールが視線だけこちらに寄こす。俺の格好を一瞥すると、何も無かったかのようにパンに手を伸ばした。
「ヤッミ〜♪」
ヤミラミが焼きたてのハムエッグを運んできてくれる。もちろん、焼き加減は黄身が流れないくらいの半熟。息子はパンの上に固焼きのハムエッグを乗せようとしていた。
「・・・サイズ的に無理じゃないか?」「いいの!」バターロールになんとか卵は乗ったが、案の定ズルリと滑り落ちた。「ああー!」ヨノワールが少しだけ笑った。
「今笑わなかった!?ねぇ!」プイとヨノワールは明後日の方を向いた。おどけたようなその素振りに、ますます息子は怒り出す。「なんなんだよー!」
「今のは無理したお前が悪い。な?」「ヤミ。」「デラ。」席に着いたヤミラミとシャンデラも頷いた。
「おとうさんたちまでそういうこというの!?もー・・・」ぶすくれた顔で、息子はひしゃげたハムエッグを口に入れた。
「・・・おいしい」
シャンデラが満足げな顔を浮かべたのが分かった。
さすがに全部皆に任せて出かけてしまうのは忍びなかったので、俺は後片付けをしていた。息子は部屋で遊園地に持っていく荷物でも考えているのだろう。
そんなわざわざ支度するほど特別な場所ではないはずだけれど、息子に言わせれば「久しぶりのお出かけだから」らしい。
俺の脇を皿を抱えたヤミラミが通り過ぎようとする。
「あーあーいいいい。そこは俺がやっとくから」「ヤミ?」「お前たちに任せてばっかじゃ、俺の気が済まないんだよ。ただでさえ今日は留守番頼んだし、寝坊しちまったんだからさ」
俺はベランダに目を向ける。
「・・・まぁ寝坊したのは俺のせいじゃないけどな」ベランダには洗い立ての洗濯物が翻っている。
もちろん、干したのは俺ではないし、息子でもない。
「だからいいよ。休んでな」「ヤミィ・・・」それでもヤミラミは、皿をしまってから向こうへ行ってくれた。リビングでは、言ってもいないのにヨノワールがテーブルを拭いてくれていた。
「あ」「・・・・・・・ヨノ」こちらと目が合った瞬間、すうっと姿を消す。既にテーブルはきれいに拭かれていた。
「・・・やれやれ」そういいながらも、俺の頬は自然に緩んでいる。
周りの奴らには、お前の手持ちはゴーストばっかりで怖いだとか不気味だとか言われるが、そんなに恐ろしい事をされたこともないし、毎晩うなされる訳でもない。
他の奴らは幽霊は夜しか動かないと勘違いしているらしいが、幽霊だって早起きするし、朝ごはんまで作ってくれる。
魂や命のために一緒にいるのかもしれないが、あちこちさりげなく手伝ってくれているあたり、本気で魂を奪おうとはしていないらしい。
たまに妙なイタズラも仕掛けてくるが、それもまた一興だ。
ゴーストとの暮らしが一番いいとは言わないが、こういうすこし奇妙な奴らとの生活のほうが俺には合っている気がする。
もしこいつらのせいで早死にしても、俺は文句を言わないだろう。あれだけ手伝ってくれているんだ。”お小遣い”くらいケチるつもりはない。
「・・・よし。終わりっと」
最後の皿を戸棚にしまってから、俺は息子の部屋に向かって声をかけた。
「おーい。片付け終わったからそろそろ出るぞー」
「あ。待って!」部屋から息子が飛び出してくる。
時計を見れば、もう9時半過ぎ。窓の外には抜けるような晴天。
遊園地に出かけるには、最高の時だろう。
***
「わぁーーーーーー!!」ゲートをくぐって第一に、息子は大声で叫んだ。
ジェットコースターに、大観覧車。
メリーゴウランドにコーヒーカップ。
カラフルなテントの前にはピエロと相棒のキルリアが一匹。
おんなじように笑い、駆け回る子供とポケモン達。
誰かの飛ばした風船を、ハトーボーが捕まえて戻っていく。
一緒にアイスを食べる親子のポケモン。
手を繋いで歩く人のカップル。
空にあふれるさまざまな鳴き声と喚声と笑い声。
「おとうさん!一緒に観覧車乗ろうよ!あ、でもジェットコースターにも乗りたい!!」握った手を離さないまま、息子は走り出そうとする。
「そんなに焦るなって。丸一日あるんだぞ?ゆっくり楽しめばいいじゃないか」
「えー?でも、こんなにいっぱい遊ぶとこあるんだもん。回りきれないよ!!ねぇだから!」
「わかったわかった。じゃあ初めは観覧車な。その次は・・・そうだな。コーヒーカップでも行くか」
「うん!」
息子の手を離さないよう、俺は大きな円に向かって歩き出した。
たくさんのものがせわしなく動く中で、ゆっくりと回リ続ける観覧車。
何者にもとらわれず、淡々と一定の法則にしたがって回るその円に、どうしても俺はある姿を重ねてしまう。
そのとき、誰かが手を引っ張った。
「・・・おとうさん?」
「あ・・・あぁ。なんだ?」俺は息子に顔を寄せる。
「あのね。さっき向こうに黄色いのが見えたんだけど・・・」息子は観覧車の脇―ポケモンを模したテントの方を指差した。「すぐ隠れちゃった」
「ん?・・・あぁ、ピカチュウか」テントの前の人だかりの隙間から、確かに黄色い耳が見え隠れしていた。
「うそ!?ねぇ、おとうさん、握手してもらいに行ってもいいかな?」息子は大きな目で見上げてくる。
「いいぞ。お父さんはここで待ってるから、すぐ戻ってこいよ」
「うん!」
そう言って、小さい三本指の手が俺から離れる。
「じゃあおとうさんはここで待っててね!迷子になっちゃだめだよ!」
黄色いぬいぐるみへ、走り出した息子の真っ黒な後ろ姿は、たちまち人とポケモンの波の中に消えていった。
一人になった俺は、近くのベンチに腰を下ろした。ここから見上げる観覧車は、想像以上に大きい。
たくさんの部屋が、誰かを降ろし、また乗せて回っていく。
ゆらゆら揺れながら回る窓の人影に、また俺は息子の姿を重ねていた。
小さな女の子が二人だけで、観覧車に入っていく。
じゃあおとうさん、いってくるね。
そう、俺に手を振らないまま、息子は観覧車に乗ってしまった。
一度動き出した観覧車の中は、1周して戻ってくるか、鳥にでもなって覗き込むかしないと見ることは永遠に出来ない。
だから観覧車が一回りしてくるまでの10年間、俺はただ観覧車を見上げる事と、その部屋の中の風景を想像することしか出来なかった。
「・・・いや、それすらもしていなかったかもしれねーな・・・」
とべない翼を求めて、存在しないチケットを求めて、当ても無く無駄な方向に歩いていき、いつの間にかだれにも探されることもない迷子になっていたのだろう。
もしかしたら観覧車の1周は、俺が思っていたより短かったのかもしれない。
そして小さな部屋の中で回り続けた息子は――。
観覧車から、男の子とポケモンが降りてくる。
生前と同じ顔のマスクを持つという、小さな幽霊。かつては人間だったものがなる、ゴーストポケモン。
俺はいつのまにか自分の影を見つめていた。空に反比例するように黒さを増す影から目を離し、観覧車を見上げる。
相変わらず、円は同じ速さで回り続けている。抱いた部屋に誰が入ろうとも、出口で誰が待っていようとも、その速さが変わる事は無い。
「・・・それはこっちも同じ、か」
こちらがどんなに頑張ろうとも、足掻こうとも、努力しようとも、世界の巡る速さは変わらない。
この瞬間を、この風景を、ずっと留めておきたい。そう思っても、部屋の中から観覧車は止められない。
だから、人は、ポケモンは、思い出を作るのだろう。永遠には続けられないその日常の中に。
息子が俺のいる方へ走ってくる。
「おとーさーん!!ピカチュウに会えたー!!」「おぉ!そりゃよかったな」俺は息子の手に自分の手を重ねた。
「・・・じゃあ、乗るか。観覧車」「うん!」
今日は日曜日。どんな人も、ポケモンも、大切な人と思い出を作る、特別な日だ。
"Sunday with theme park & my son" THE END.
[あとがき]
初めまして。aotokiと申します。
初の企画&BBS&小説サイトで恐れ慄きオノノクスです。
こんな拙い文ですが宜しくお願い致します。
「朝ごはんを作るゴーストポケモン」「ポケモンと一緒に遊園地」
ここまではよかったのですが、あのポケモンを思い出した瞬間何故かこんな展開になっていました。ナンテコッタイ
でもこの親子とゴーストポケモン達は個人的に気に入っているので、またどこかで出したいと思っていますΦ(・ω・ )
[追記 6/16]
はじめましての方ははじめまして。
また読んでくださった方は、ありがとうございます。aotokiと申すものです。
誤字脱字が酷かったのと、すこし書き換えたい箇所があったので修正させていただきました。
ていうかまずきちんと確認しとこうぜaotoki!
初投稿でマジオノノクスとか言うなら確認しとこうぜaotoki!
話の大筋は変わっていませんので、この修正はまぁ作者の自己満だと思ってください。
【なにしてもいいのよ】
始まりは、一輪の向日葵だった。出かけた先で親切な人から偶然一輪もらったのだ。
家に帰って一輪ざしに挿してみたら、彼女が反応した。草タイプであるチュリネにとって、やはり花に対して何か思うところがあるのだろうか。
日課の水やりは、気がついたら彼女がするようになっていた。時折一方的に花に話しかけたりしていた。その姿は花を愛でるというより、共に日々を過ごしているようだった。
そんな向日葵はあっけなく最期の日を迎えた。
しょげている彼女を片目に見ながら、枯れた向日葵をゴミ箱に捨ててしまうのは忍びなかった。
向日葵が去ってから、彼女はすっかり元気をなくしてしまった。
彼女がふさぎ込んだ姿を見るのがあまりにも辛かったので、僕は嘘をついた。
彼女のために新たに買ってきたのは、作り物の花。
紙で出来た偽物だということを知らない彼女は元気を取り戻した。
この枯れない花のように、彼女の笑顔が枯れなければいい。そう思っていた。
しかし、僕は彼女に優しい嘘をついたことを後悔することとなる。
彼女は花に水をやりつづけたのだ。かつて本物の向日葵にそうし続けたように。
僕がこっそり水を捨てても彼女は水がないことにすぐに気づき、水をやっていた。
紙で出来た花は水を吸い、枯れないはずの花はどんどんやつれていった。
彼女は造花が弱っているという不自然な状況には何も気づかず、かつて生きた向日葵に与えたそれと同じように、ちょっと悲しそうな瞳をしながら、それでも水をやり続けた。
ふと、昔テレビで観た物語を思い出した。
親がこの世を去ってしまったことを言いだせず、優しい嘘をついた兄。親が戻ってこないことを知らず、帰らぬ親を思い続けた妹。
ああ、優しい嘘は、何も事態を解決しやしないんだ。
僕はもう限界が来ていた美しかった紙を捨て、新たな命を購入し、花瓶に挿した。
今度は命の終わりをきちんと彼女に語ろうと心に決めて。
時が過ぎ、そんな彼女も今はドレディアになった。自らもいずれ枯れるのだということを理解しながら、そしてその時が近づきながらも、今でも花に水をやり続ける日々だ。
そして僕も、いずれ枯れる日が来るまで、彼女が花と共に生きるように、彼女と共に生き続けよう。
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最近文章書きから遠ざかってしまっていたので、リハビリのための習作。
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追記:投稿久しぶりすぎてタグ付けるの忘れてました(汗)
【書いてもいいのよ】
【描いてもいいのよ】
【批評していいのよ】
――次のニュースです。
本日正午頃、他人のポケモンを無断で進化させる事件が起き、ポケモン保護法違反の容疑でニビシティ在住、自営業のコッペ容疑者(26)が逮捕されました。
コッペ容疑者は本日正午頃、トキワのもり付近にてピカチュウを連れた少年にバトルを持ち掛け、そのバトル中に容疑者のライチュウのなげつけるを用いてかみなりのいしを投げつけ、少年のピカチュウをライチュウに進化させた疑いが持たれております。容疑者は、「故意にライチュウに進化させずにピカチュウのまま冒険するトレーナーが多いと聞いていた。もっと皆にライチュウの魅力を分かって貰いたかった。ライチュウを使って貰えれば魅力が伝わると思った」等と供述しており、容疑を認めています。
続いて明日のお天気です――
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らーい。らいらーい。ライチュウかわいいよライチュウ。らーい。因みに被害者の少年がすっかりライチュウにはまった為結局不起訴になったとか。らーい。
当初はイーブイに炎の石を投げつける王 唯一(おう ただかず)容疑者(36)とか考えてましたが、ブースターが大好きでブースターを広める事が目的なのにブースターを使わないのは少し違和感があったのでなげつけるを使えるポケモンに変更したり。
進化の石って触れただけで進化するんですかね。アニメだとクチバジムの回でピカチュウが尻尾ではたいてましたから瞬間的なら大丈夫なんですかね。よく分からないのでとりあえず触れただけで進化する旨で書きましたが。
あとこの行為を違法とするならばどういった法律が適用されるんでしょう。器物破損が適用される関係でもなさそうですし。良く分からない時はポケモン保護法とか愛護法にしておけば大体誤魔化せる気はしますが。
とにかくライチュウかわいいよライチュウ。インドぞうを気絶させたり手の感触がコッペパンみたいだったり。らいらーい。
【書いてもいいのよ】
【描いてもいいのよ】
【お任せするのよ】
【ライチュウかわいいよライチュウ】
【コッペパンチ】
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