マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ
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  •   [No.2419] 晴れの座談会 投稿者:あつあつおでん   投稿日:2012/05/14(Mon) 07:45:45     65clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    キュウコン「さあ、今日は私の先輩との座談会です。お、来ましたね。グラードンさん!」

    グラードン「おお、久しぶりだねキュウコン君。しかし先輩はいいよ。自分の初登場は君より遅いんだから」

    キュウコン「そんなことはありませんよ。私は特性『ひでり』を後からもらいましたから、れっきとした先輩です」

    グラードン「そ、そうか。ではさっさと始めようか」

    キュウコン「はい。まずはグラードンさん、2010年の世界大会はお疲れさまでした」

    グラードン「いきなり古い話題だな、おい」

    キュウコン「確かに。でも優勝者の手持ちにいたそうじゃないですか」

    グラードン「その通り。決勝は確かルギア君が相手だったね。お互いその大会では中々人気がなかったから、なんとも言えない気分だったよ。まあ、自分は後半から増えたけど」

    キュウコン「バンギラスやメタグロスをはじめとして、一般ポケモンにはかなり強かったですからね。ホウオウさんも似た境遇だったはずです。グラードンさん自身はルンパッパと組むことが多かったようで」

    グラードン「本当は、ワタッコと組みたかったんだけどね。かわいいし。ルンパッパには雨対策兼サポートとして戦ってもらったが、非常に助けられた。カイオーガが腰巾着にするのもうなずけるな」

    キュウコン「そう言えば……2004年の全国大会でもグラードンさんは優勝しましたよね」

    グラードン「カイオーガと一緒にな。あやつは敵に回せば恐ろしいが、味方にすれば頼もしい限りだった」

    キュウコン「カイオーガさんとの仲はどうなんですか?」

    グラードン「悪くはない。ついこないだも、うっかり現れたレックウザを一緒に撃退したしな」

    キュウコン「へえ、それは意外ですね。てっきり犬猿の仲なのかとばかり」

    グラードン「それは使う側の偏見だ。そういう周りの声が我々の仲を険悪にするのだよ。他にもこういう奴がいるな、晴れは弱いから嫌い、雨は強いから好き。コンセプトがまるで違うせいでよく嫌われるが、使わないポケモンを勝手に毛嫌いするなと。迷惑極まりない」

    キュウコン「その話、実によく分かります。私は最近ニョロトノ、バンギラスとユキノオー、カバルドンと仲良くなったんですが、きっかけが主人同士の言い争いなんですよ。お互い全く譲らないので、こちらは愚痴ばかりでした。私の友人のキュウコン、は同じパーティに天候変化役が何匹もいるので恵まれていると言えますね」

    グラードン「なんと、そのようなパーティがあるのか。自分もかつてカイオーガに背中を預けた経験があるせいか、とても懐かしい」

    キュウコン「異常気象パと言われるパーティですね。ほとんど全員が天候を変えられるので、他のポケモンの邪魔にならないのが魅力とのこと。私もあのようなパーティで戦いたいです」

    グラードン「自分も、今一度カイオーガと肩を並べたいものだよ」

    キュウコン「……おっと、そろそろお時間ですね。ここからは一杯やりながらということで、一旦お開きにしましょうか」

    グラードン「そうだな。今日はありがとう、久々にゆっくりできたよ」

    キュウコン「こちらこそ、ありがとうございました。では行きましょうか」









    お題が晴と聞いて即座に思いついた。本当はキマワリとかチェリムとかワタッコもおあつらえ向きだろうけど、それはまた別のお話。


      [No.2418] 晴れ晴れ不快。 投稿者:朱烏   投稿日:2012/05/14(Mon) 07:38:17     81clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    晴れた。
    快晴。
    遥か西方の山に、雲はかからず。
    遥か東方の海は、水平線を描かず。

    史上最悪の天気だ。頭のアンテナが萎れた。
    三日降り続いた雨の代償は、これか。
    土砂降りの中で小躍りしている場合じゃなかったんだ。
    たっぷりと溜まっていた水たまりも、悉く消失してゆく。俺の居場所が消えてゆく。
    なんなんだ、もう。太陽、お前のことだ。さっさと西の山の向こうに隠れてしまえ。

    でも、憎たらしいほど時間の流れは遅くて、南中の時刻すらまだまだ来そうにない。
    しようがないから、木陰に隠れて、空を呪った。
    あーした、あーめに、なーあれ。


    アメタマ



    10分ででっちあげました


      [No.2417] にほんばれ 投稿者:紀成   投稿日:2012/05/13(Sun) 14:29:10     82clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    あめが ふりつづいている

    あめが ふりつづいている

    あめが ふりつづいている

    あめが ふりつづいている

    ハスブレロの あまごい!
     
    あめが ふりつづいている

    あめが ふりつづいている

    あめが ふりつづいている

    あめが ふりつづいている

    オタマロの あまごい!

    あめが ふりつづいている

    あめが ふりつづいている

    あめが ふりつづいている

    あめが ふりつづいている

    あめが ふりやんだ!

    キレイハナの にほんばれ!

    ひざしが つよくなった!

    ひざしが つよい

    ひざしが つよい

    ひざしが………


      [No.2416] 晴れ狐 投稿者:穂風奏   投稿日:2012/05/12(Sat) 23:58:28     65clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

     心までどんよりしそうな雨雲をどこかへ飛ばしたくて
     誰よりも早く飛び出してみる

     吹雪で凍えそうなときも、砂嵐で目が開けられないときも
     私がいればすぐに太陽が顔を出す

     天気がいいと気分も晴れて
     いつもより元気に駆け回りたくなって
     いつもより強くなれたような気がして

     お日さまのあたたかい光が気持ちいいから
     みんなの笑顔を見られることが嬉しいから
     私は「晴」が大好きだ

     雨の方が好きだなんて言わないで
     砂に紛れて隠れたいと逃げないで
     せっかくの「晴」なんだから

     誰もが笑って過ごせる
     そんな「晴」が、いつまでも続きますように


    ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

     「晴」と言ったらキュウコンさん! ということで書いてみました
     晴れパを使う自分としては、ほぼ毎回出てくるバンギやニョロトノのおかげで、キュウコンを活躍させてあげられないのが残念です。私の力量不足もありますけど

     さて、今回のような形は初めてでした。詩っぽい形式もまた小説とは変わった良さがあって、難しさもありますね。またいつか挑戦してみたいと思います
     それでは失礼いたしました


      [No.2415] 晴空の理 投稿者:巳佑   投稿日:2012/05/11(Fri) 14:17:58     98clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

     
     むかしむかし、その世界の空はまっくらでした。
     まるで黒い紙がべったりと貼られているようなもので、消える気配は一つもありませんでした。

     それより以前は、その世界の空は綺麗な青で澄んでいました。
     しかし、この世界の人やポケモンが何かに悲しんだり、誰かに憎しんだりすると、その気持ちが風に乗って空にたまっていくことがありました。
     それがつもりにつもって、最初はにごったような灰色に、だんだんと黒いまだら模様が広がり、最後はまっくらになってしまいました。

     もう、このまま笑うこともなく、その世界は終わってしまうのかと思われたときのこと。
     もふもふとした白い毛を乗せた龍が一匹、この世界にやってきました。
     人々やポケモンたちはその龍がこの世界にトドメをさしにきたのかと恐れていました。

     誰も手を出せないままでいると、白い龍は青い焔を吐きながら踊り始めました。
     大きな翼をはためかして、右にくるりと回ったり、左にくるりと回ったり、または空をおおきく泳いでいました。
     
     枯れ堕ちた空に青を咲かせましょう
     凍え堕ちた空に青を咲かせましょう
     人の子や
     獣の子や
     笑えや笑え
     喜べや喜べ
     枯れ堕ちた空に青を咲かせましょう
     凍え堕ちた空に青を咲かせましょう

     白い龍の青い焔が空に登っていくと、なんと不思議なことに黒い空が燃えていきます。
     そこから一筋の光が現れたかと思えば、その焼けた隙間からは青い空が顔を覗かせていました。
     人々やポケモンたちは手を取り合って喜びあい、手をたたきあって笑いあいます。
     その感情が幾重(いくえ)にも青い焔に乗って、どんどんと青い空が広がっていきました。

     やがて全ての黒い空が焼き払われ、空は一面、綺麗な青が澄んでいました。
     
     その青には人々とポケモンたち、そして白い龍の笑顔が咲いていました。
     
      

    【書いてみました】
     お久しぶりです、巳佑です。
     テーマが晴れということで、何を書いてみようかなぁと思って、『晴』という字をよく見たら……日と青という文字が出てきて、想像を膨らませたのが今回の物語です。レシラムが花咲じいさん的なことになっておりますが、『あおいほのお』と『晴れ』がうまく組み合わさっていたら幸いです。

     ありがとうございました。

    【何をしてもいいですよ♪】
    【一ヶ月ぶりに投稿させてもらいました】 


      [No.2414] ゴーヤロック神からアドバイスを頂いただと…… 投稿者:moss   投稿日:2012/05/07(Mon) 17:10:49     105clap [■この記事に拍手する] [Tweet]



    > ヒロイン(と呼んでいいのか……)の窪田さんは、一見勇敢で生き物への思いやりを持つ少女のような印象を受けますが、
    > その実態はとんでもない性質を持つ、狂人と呼ぶに相応しい存在だった、という展開が面白かったです。


    ありがとうございます! 実はヤバイ人という展開をやってみたかっただけでもありますがw

    > 欲を言うなら、
    >
    > >植物に向かって謝らせたり。それだけでも十分変人なのに、彼女は死んだ生き物ーーつまり死骸までもを大切にした。あの事故の多い電信柱の前を通ったとき、車に轢かれた可哀想なポケモンの死骸を見つけると、彼女は駆け出して僕に埋めてあげようと言いだす始末である。
    >
    > 上の文のある段落で初めて窪塚さんの名前が出てくるわけですが、結構早い段階で「変人」というネガティヴな印象を与えるワードが出てきています。
    > これは読者に「窪塚さんは普通じゃ無さそうだ」と警戒心を与える結果になっているので、後半の狂気的なシーンのインパクトが若干薄れているように思います。

    確かに展開がある程度予想できてしまいますね。ありがとうございます。


    >
    > 上二つで言いたかったのは、後半の窪塚さんの狂気染みたシーンをさらに活かすために、直前まで窪塚さんをまっとうな人間に"偽装"しておいた方が面白いんじゃないか、ということです。
    >
    > 参考になれば幸いです(´ω`)


    参考になりすぎてヤバイですありがとうございます!!
    面白さを私ももっと追求しなきゃ駄目ですね。

    ありがとうございましたっ!!


      [No.2413] 血桜舞う季節 投稿者:   《URL》   投稿日:2012/05/06(Sun) 22:47:47     98clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    すっかり桜は散ってしまいましたが感想を。

    ヒロイン(と呼んでいいのか……)の窪田さんは、一見勇敢で生き物への思いやりを持つ少女のような印象を受けますが、
    その実態はとんでもない性質を持つ、狂人と呼ぶに相応しい存在だった、という展開が面白かったです。

    欲を言うなら、

    >植物に向かって謝らせたり。それだけでも十分変人なのに、彼女は死んだ生き物ーーつまり死骸までもを大切にした。あの事故の多い電信柱の前を通ったとき、車に轢かれた可哀想なポケモンの死骸を見つけると、彼女は駆け出して僕に埋めてあげようと言いだす始末である。

    上の文のある段落で初めて窪塚さんの名前が出てくるわけですが、結構早い段階で「変人」というネガティヴな印象を与えるワードが出てきています。
    これは読者に「窪塚さんは普通じゃ無さそうだ」と警戒心を与える結果になっているので、後半の狂気的なシーンのインパクトが若干薄れているように思います。

    また、

    >だが窪田結衣はとある事件を引き起こし、小学五年生のときに転校してしまった。それ以来彼女に会ったことは無いし、何の噂も聞かなかった。

    同じ段落にこの文も入っていますが、これは別の段落へ移動させて、かつ引っ越した理由をぼかしてみると、より面白い展開になると思います。

    上二つで言いたかったのは、後半の窪塚さんの狂気染みたシーンをさらに活かすために、直前まで窪塚さんをまっとうな人間に"偽装"しておいた方が面白いんじゃないか、ということです。

    参考になれば幸いです(´ω`)


      [No.2412] 走馬灯 投稿者:   《URL》   投稿日:2012/05/06(Sun) 22:22:29     92clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    短めですが感想を。

    私は「ゼルダの伝説」シリーズの中でも、64の「ムジュラの仮面」が一番好きです。
    三日後に滅びてしまう世界の中で、人々はそれぞれの形で死と滅亡に向き合おうとします。
    人によってその姿勢は多種多様ですが、どれもとても人間らしく、記憶に残るシーンばかりでした。

    このお話も、回避できない滅びを前にした二人の心情をつぶさに描いたものになっています。
    二人の安らかな語りと、行を追うごとに壊れていく世界の対比が、悲しくも美しい模様を描いています。

    二人の死という結末は変えることができず、読者はかなり早い段階でその事実を知ることになります。
    ずっと前にどこかで書いた記憶があるのですが、結末の読める物語というのは通例、つまらないものになりがちです。
    しかし、このお話のように「結末(=滅び)を前提とした」形を取る場合は、結末が明確に、かつ動かしようが無いと分かっているほど、かえって強い印象をもたらします。

    以前、同じように「滅亡を前にした人々」をモチーフにして一本書いて、今一つ綺麗に決まらなかった経験があるので、
    いずれどこかでリベンジを決めてやりたい、そう思わせてくれるお話でした。

    今後の更なるご活躍を期待しております(´ω`)


      [No.2411] 世界で一番の貴方へ 投稿者:ことら   《URL》   投稿日:2012/05/05(Sat) 23:03:12     119clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

     爆発音が聞こえる。

    ダイゴさん。
    どうしたの?久しぶりにそう呼ばれたな、ハルカちゃん。
    ダイゴさんに会ったのは、ちょうど今の私くらいの時で、石の洞窟でしたね!
    ああ、そうだね。真っ暗なところに手紙届けに来たのがハルカちゃんだったね。女の子一人ですごいなぁと僕は思ったよ。

     続くコンクリートが崩れ落ちる音。

    私、その時なんてかっこいいんだろうって思いました。一目惚れっていうんですかね、とにかく好きです。
    ふふっ、知ってるよ。僕もハルカちゃんが大好き。
    でもそれ以降、全く会えなくて寂しかったんです。だから川の向こうで会えた時は凄い嬉しかったんですよ!
    ハルカちゃんが僕を好きでいてくれたから、とても嬉しいよ。
    その頃からではないですよね?
    知ってたのか。もう少し後だったけどね。でもとにかくハルカちゃんは僕のことを一人の男として好きになってくれたことは嬉しかったよ。
    前にも言いましたけど、ダイゴさんを好きって言って、ダイゴさん以外のどこを見ればいいんですか。
    ハルカちゃんは本当に人を見るんだね。世の中には人ではなくて、お金とか地位しか見ない人間が多いんだ。

     異変に気付いた人々が次々に通報する。

    それからカクレオンにぶつかった時は、道具くれましたよね。デボンスコープ、もう動かないけど。
    ものはいつか壊れてしまうものさ。あれから長いこと動いたし、長持ちした方だよ。
    でも私がダイゴさんからもらった初めてのプレゼントはあれなんですよ。だから大事にしてたんです。
    そうだったの。もう少し気の利いたものをあげれば良かったね。

     集まってきた人は、モンスターボールからポケモンを繰り出した。

    次にもらったのも、トクサネのダイゴさんの家に行った時の秘伝マシンです。
    あれ、そうだっけ?ハルカちゃんにはたくさんプレゼントしたから覚えてないな。
    もう、ダイゴさんはどうして私の気持ちを考えてくれないんですか。女の子が好きな人から貰ったものは、全部覚えてるものです。
    そうなんだ。やっぱり僕は幸せだな。こんなに好きな人に愛されてるなんて。
    …愛してますよ。ずっと。初恋は実らないとか言いますが、私が好きになって愛した人は生涯でダイゴさんだけです。

     それぞれ状況にあった技を指示する。

    それから、グラードンと戦った時もカイオーガと戦った時も、ずっと側にいてくれた。私はダイゴさんが側にいてくれるだけで頑張れました。
    僕は本当に何も出来なかった。空をみて現状を嘆くくらいしかできないのに、ハルカちゃんは惨事に立ち向かっていったね。なんて強い子だろうって思った。同時に勝てない、いつか負けるって思ってたよ。でもその頃から好きだったのかもしれない。ずっと気になってた。
    だから私が帰って来るまで待っててくれたんですよね。凄い嬉しかった。

     人だかりになっていた。

    でもチャンピオンって黙ってたのは今でも思い出すとムカムカします。
    前も言ったけど、怖かったんだよ。ハルカちゃんが僕自身を好きになってくれても、チャンピオンっていう地位に目移りしちゃうんじゃないかって。
    だから私はダイゴさんの元カノじゃないんですから!ダイゴさんの役職を知ったところで、目移りするわけないじゃないですか!それに…

     上空にはヘリコプターが飛んでいた。

    何も言わずダンバルおいて行っちゃうし!
    だからちゃんとエントリーコール出たじゃない。
    出ればいいってもんじゃありません。おいてかれた私の気持ちはどうなんですか!
    だからシンオウの珍しい石をお土産に…冗談だよ。知ってたから怖くて逃げ出した。僕は臆病だからハルカちゃんより弱い男なんて受け入れてもらえないんじゃないかって思ってたんだよ。
    ずっと思ってましたが、ダイゴさんは考えすぎです。考えたことを話してくれないから不安になるんです。
    そうだね。付き合うようになってから会話の数は増やしたつもりだったけど、やっぱり不足だったかい?
    私は欲張りだから、ダイゴさんともっと話したかったです。ダイゴさんと恋人になれて嬉しくて、たくさんダイゴさんのこと知りたいと思いました。初めての夜は、最後までできなかったこと覚えてますか?
    そんなこともあったね。あの時は僕も緊張しててね、隠すのが大変だったよ。

     それでもこの状況は変わらなかった。

    ダイゴさんがプロポーズしてくれた時は凄い緊張してたのを覚えてます。ダイゴさんは緊張すると物凄い早口になりますから。私の聞き違いかと思いましたもん。
    そりゃあ緊張するよ。ハルカちゃんは解らないかもしれないけど、受け入れてもらえなかったら僕はただのロリコンじゃない。それに結婚した当時でさえ出来たから結婚したって散々陰口いわれてさ。3年後に一人目が出来た時は僕の容疑も晴れて嬉しかったな。
    妊娠したって一番喜んでくれましたよね。不安で仕方ない時もずっと励ましてくれた。そのことを友達に言ったら、有り得ないって言われたんですよ。
    えっ、なんで?
    旦那がそんな優しいのは有り得ないんだそうです。
    そうなの?だって僕がハルカちゃんの青春を全部持って行っちゃったようなものなのに、優しくしないのがおかしいと思うんだよなぁ。
    ダイゴさん。だから私はダイゴさんが好きです。初めて会った時からずっと好き。
    ありがとう。僕も大好きだ。ハルカちゃんが僕の妻で、とても嬉しい。

     さらに人は集まるが、事態は一向に収まらない。

    子供が大きくなって、ポケモンが欲しいって言われた時、ユウキに頼みましたよね。ユウキは自分の子供の面倒も忙しいのに、大変そうでしたよ。
    ああ、ユウキ君には悪いことしたね。いきなりポケモンが欲しいって言って、困らせた。けどお世話になってるからって最優先で用意してもらえて。僕はとてもいい人たちと知り合っているんだね。
    あの子たちも大きくなって、世界大会まで行きましたね。やっぱりダイゴさんの子なんだなぁって思いました。
    ハルカちゃん、自分の功績も忘れないでね。ハルカちゃんも強いよ。僕たちの子だもの、強いに決まってるさ。

    「父と母がいるんです!」

    私たちを必要としない年齢になった。ポケモンたちも支えてくれる。
    もう行こうか。僕たちはここに留まってはいられない。
    ねぇダイゴさん。世の中にはどんなに愛し合っていても、最期は一人だって言うじゃないですか。私は違う。最期の瞬間までダイゴさんの隣で、ダイゴさんの顔を見て。
    僕も同じだよ。最期の瞬間に愛してる人を見ながら死ぬことが出来る。残された方はこんな事故で悲しいかもしれないけどね。
    あなた。
    ハルカ?
    ううん、やっぱり何年経っても、ダイゴさんはダイゴさん。呼び方が変わっても、ダイゴさん。
    そうだね。ハルカちゃん。僕たちはずっと一緒だ。…もう行こう。ここではないどこか遠くへ。幸せな人生だった。だからこそ次の人たちも幸せであるように。
    はい。ダイゴさんと一緒で、私は幸せでした。


     リニアが爆発した。ほとんど原型を留めずに散っていた。
     テロと思われたが、原因は整備不良によるもの。
     乗客乗員全員が死亡。大惨事に連日新聞のトップを飾る。
     その中に大企業デボンコーポレーションのトップとその夫人がいたことは、マスコミがいち早く嗅ぎ付けたが、その子供たちは毅然と彼らを避けたという。

    ーーーーーーーーーーーーー
    スパコミで手に入れたダイハル小説があまりに感動しすぎて、その勢いで書いたもの。
    【好きにしてください】


      [No.2410] 川原の石 投稿者:ことら   《URL》   投稿日:2012/05/03(Thu) 01:23:53     129clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    やぶ蛇とはこのことだろうか。ゴーヤロック神に「ダイゴさんくださいいい!!!」と頼み込んだら、同じようで神の方が深く読み込んだダイゴさん像ができていた。しかしこのままでは引き下がれない。一度消えたこの話、もう一度書くべし。評価なんぞ知らん。書きたいからかく。

    前書き:ロンスト「流星をおいかけて」の前の話。読んでなくても解る。


     平日の穏やかな晴れの日は、道行く人もまばらだった。春の風がダイゴのスプリングコートを撫でる。首筋から入る風に、思わず身を縮めた。春とはいえジョウトはまだ肌寒い。薄い手袋では指先が冷たい。
     それでもこの大きな川沿いの道が一番好きだ。人でごった返していないし、野生のポケモンをたまに見ることができる。都会の鬱蒼とした人の中にいると、息が詰まりそうになる。対岸では暇なおじさんが釣りやゴルフをしていた。ガーディの散歩をしている人もいる。
     ダイゴは足を止めた。まだ平日というのに真新しい制服を着た女の子が川を見つめて座っている。
    「こんな時間からサボりかい?」
     なぜ声をかけたのか解らなかった。ただ何となくかけなくてはいけないと思った。ダイゴの声に、女の子は顔をあげる。横から見たときは気付かなかったが、左頬に大きなガーゼがあって、涙で濡れていた。
    「学校はどうしたの?」
    「行かない」
     手に握られていたくしゃくしゃになった紙を見せて来た。その要約はーー二度と来るな。
    「またどうして?」
     ただ黙って女の子は座ったまま左側にあった石を掴む。ダイゴは信じられなかった。その体格からは想像できないくらいに強い力で石は飛んだ。そしてそれは普通の人間ではとても届かないような川幅を越えて対岸にめり込む。
    「普通の人は対岸に石なんて届かない。届く私は異常なんだ。異常だから必要ないんだ」
     たまにポケモンと同じような力や特性を持つ人間がいるとは聞いたことがあった。集団行動を好む学校からすれば、こんな強い力を持つ人間は不穏分子でしかないのだろう。
     ダイゴは黙って足元の石を拾う。手首をひねってそれを投げた。水面に落ちるとぱしゃんと跳ねて、生き物のように水上を進む。そして対岸の草むらに消えて行く。
    「向こうに石が届くのが異常なら、僕も異常だね」
     驚いたように女の子がダイゴを見上げていた。
    「こんな真っ昼間から君を見てる先生は授業中だ。つまり君がどこ行こうが関係ない。それにもうすぐお昼だ」
     ダイゴの差し出す手を掴んだ。その時、初めて彼女が笑った。

     昼間から制服を着た中学生の女の子を連れてる男は、不審者とうつっているようだ。コガネシティですれ違う人の視線が言っていた。けれどダイゴは気にもせず、たわいのない話をしながら歩く。そして都会の中の静かなレストランへと入った。
    「そういえば君の名前聞いてなかったね。僕はダイゴだよ」
    「ダイゴさんですか」
     彼女の視線はやや下を向いた。そして消え入るような声で話しだす。
    「私は……その、ガーネットです」
    「へぇ」
     宝石や鉱物の話になると聞く名前だ。それが人の名前になると、ガーネットの反応を見る限り苦労してきたのだろう。
    「変な名前なのは解ってるんですけど、生まれた時からこの名前ですし」
    「いや、いい名前だよ。努力、友愛、勝利を意味する石だ。赤く燃える美しい色をしている。気高い宝石だね」
    「あっ……そう、ですか?」
     少しだけガーネットの顔色が明るくなった。
    「うん。僕はそう思うな。僕の友達がね、宝石の名前を持つ子はとても大切な役割があって、どんな困難にも立ち向かうんだと言ってた。古いホウエンの昔話なんだけどね」
    「ホウエン?」
    「僕はホウエン地方に住んでるんだ。普段はポケモントレーナーをやっているんだけど、たまにこうしていろんなところに出向くんだよ。ガーネットちゃんはホウエンに来たことあるかい?」
    「ないです。私のお父さんもトレーナーなんですけど、あちこちの大会にいっててほとんどいませんし、お母さんは仕事に行ってるので」
    「なるほど。ホウエン地方はね、とにかく海が綺麗なんだ。家の近くの海も、ポケモンが多くてね。緑も豊かでね、とにかくおいしい木の実が多いんだ。一度来てみなよ。本当にいいところだから」
    「私のお父さんもホウエン地方の出身らしくて、昔はそっちに住んでたらしいんですけどあんまり覚えてなくて」
     料理が運ばれてくる。デミグラスソースの乗ったおいしそうなオムライスが二人分。スプーンを左手で取るガーネットを見て、ダイゴもスプーンを持った。彼女はちゃんと食べるか気になったが、心配は無用のよう。
    「ガーネットちゃんの名前は、その昔話にあやかってつけたのかもね」
    「へ? 昔話ですか? 宝石の名前ってやつですか?」
    「お父さんがホウエンの人なら知っててもおかしくないだろうしさ。紅玉と青玉という名前を持った人たちがいてね、その人たちは陸と海とつながっているっていう話だよ。今で言えばルビーとサファイアって名前かもしれないし、違う国の言葉での名前かもしれない」
    「ルビー、ですか」
    「そうだよ」
    「私が生まれた時、お父さんはルビーにしたいって言って来たらしいんです。でも突然、絶対だめだ、っていきなり言い出したらしくて」
    「ああ、やっぱりその話を知ってるのかもね」
    「だからって、こんな名前ないと思ってたんですけど、ダイゴさんが初めていいって言ってくれたし、少し自信もてました」
     普通に笑うんだな、とダイゴは思った。中学生にしては淀みきった顔だったのに、今では年相応の女の子にしか見えない。
     それにしてもただ力が人より強いというだけで、学校が来るなと言うのだろうか。それと頬のガーゼのことも。出会ったばかりで深くは聞けない。話したくなるまでは聞かない方がいいとダイゴは思った。

     食後のコーヒーを飲む頃には、すっかり打ち解けてしまっていた。初対面であるはずなのに、そんな事を思わせないくらいに。ガーネットはフルーツの乗ったおいしそうなケーキを食べている。それを正面からダイゴは見ていた。じろじろ見ていたら失礼かなと目をそらすけど、自然と彼女も見ている気がする。そして目が合うとガーネットの方からそらした。
    「もうこんな時間なんだね」
     ダイゴは左腕にしている時計を見た。すでに午後2時になってしまっている。
    「ガーネットちゃんは家に帰るんだよね」
     帰りづらいのだろう。ガーネットは今までのテンションから一段落ちたトーンで話す。
    「あんまり帰りたくないです」
    「けどちゃんと今のことは話さないとね。一緒に説明しよう。きっと解ってくれるよ」
     店を出る。小さな子供と歩くように、ガーネットの手を握って。すれ違う人々は相変わらず怪訝な視線を向けるけれど、二人は気にしていなかった。

     不審者を見るような目で見られる。それはそうだ。娘が知らない男を連れて来て、親が警戒しないわけがない。特に父親が見る目は、敵を近づけまいとする目だった。その警戒を解くには、まずダイゴは自分から情報を出す。
    「ホウエンでポケモントレーナーをしているダイゴと言います」
    「これはどうも。私はトレーナーのセンリです。それで、ホウエンのトレーナーがうちの娘に何のようですか」
    「川原で会いました。さっきのことですよ。僕はそれを伝えにきました」
     センリに伝えるのは、ガーネットのこと。学校のこともそう、特性のこともそう。トレーナーがポケモンを語るのと同じくらいにダイゴは話す。事件のことは知っていたが、ガーネットに来た紙は知らなかったようだ。
     話して行くうちに、センリはかなりガーネットの特性のことは注意していて、絶対に人を叩いたり掴んだりしてはいけないと言っていたことが解る。それが例え嫌なことを言われても、絶対にダメだと。それなのに……
    「集団で金銭を?」
    「カツアゲっていうのかな。新入生だからやりやすいのだろうって学校の先生も言っていたね」
     生徒を正しく指導できない学校ではよくあること。集団で自分より大きな人間に囲まれ、銀色の刃で斬りつけられて、どんなに禁止されていてもそうするしか自分の身を守れなかった。見た目からは全く想像できない力で、一人一人を殴り、骨を折って戦闘不能にさせる。
     その時のガーネットは必死だったのだろう。左の頬から血が流れてることも気付かなかったと言った。自分の血か相手の血か解らないけど、床は赤く鉄の匂いがしていた。物音に気付いた先生が来た時には、ガーネットはそこに立ち尽くしていた。
    「とにかく娘がお世話になったようで。どうもありがとうございます」
     これ以上は出会ったばかりの人間が関わることではない。ダイゴは一礼すると玄関に向かう。ノブに手をかけると、それは勢いよく外に開いた。
    「ただいま!」
     ダイゴは目を疑う。ガーネットを一回り小さくしたような女の子が入って来たのだ。
    「あれ、おきゃくさん!? こんにちは!」
     使い込まれたランドセルを背負って、にこにことダイゴを見ている。ガーネットの妹で、くれないという名前らしい。すっと家の中に入って行く。
    「くれないちゃんとそっくりなんだね」
    「違いは身長と性格だけってよく言われます」
     さっき家に入ったばかりのくれないは、ダイゴを見送るようにガーネットの隣にいた。見送るというのは口実だろう、どちらかといえば姉の側にいたいといった感じだ。
    「じゃ、僕は帰る。今日は楽しかったよ、ありがとうねガーネットちゃん」
    「いえ、こちらこそ、ありがとうございました」
     ガーネットが一礼する。それに倣ってくれないもお辞儀をした。
    「あの、また会えますか?」
    「そうだね」
     ダイゴは鞄から予定の書かれた手帳を取り出す。
    「もう少しジョウトにはいるから、また会えるかもね。よかったらこれが連絡先だから、渡しておくよ」
     この日はそうして別れた。くれないが最後まで嬉しそうな顔でダイゴとガーネットを見ていた。

     ジョウトでの用事は忙しく、コガネシティからエンジュシティを往復する毎日だった。空いた時間をみつけては、観光のためにスズの塔や焼けた塔の近くまで行く。スリバチ山を歩いて気に入った石を集める。
     石はその土地の神様が宿っているという。だからこそ持ち帰ってはいけないと言われていた。それを信じるわけではないが、どうしても気に入ったものは手に入れたくなってしまう。
     ダイゴは半分あの時のことを忘れかけていた。石をながめ、ジョウトに来た時のことを思い出していた。突如、突き上げるようにガーネットの顔が浮かぶ。予定は空いている。帰るまでにもう一度会っておきたい。ダイゴはモンスターボールを取り出した。鋼の翼エアームドがあらわれる。
     コガネシティに降りると、わずかな記憶を頼りにダイゴは歩き出した。一度行っただけだが、何となく道は覚えてる。この川を上流に沿って歩いて、そしてウバメの森が遠くに見える橋を……
    「なにするのよ!」
     激しく言い争う声が聞こえる。
    「俺たちにこんなケガさせといて、なんでお前が平気で歩いてんだよ! 金くらいだせ」
     白い包帯を巻いた集団が、女の子の髪を引っ張っている。
    「こいつ校長にもう二度と人を殴らないって誓約書かかされたんだぜ」
     抵抗しない相手を殴りつける。それが上級生のすることなのか。
    「エアームド」
     鋼の翼から風の刃が飛んだ。数人の髪の毛を切り落とし、空へ消える。
    「うわっ!」
    「なんだ!?」
    「んだよおっさん」
     振り向いた不良たちがダイゴに気付く。
    「ダイゴさん!?」
     驚いたようなガーネットの声がした。
    「知り合いかよ」
    「うぜえよおっさん、ナンパに」
     再びダイゴは命令する。エアームドは固い翼を振り切った。エアームドの抜けた固い羽が地面をえぐりとって落ちる。
    「ナンパって言うのね、誘う側を不快にさせないことを言うんだよ」
     ポケモントレーナーがポケモンを使って人間に攻撃することなんてまずない。不良たちもそうくくっていたから、ダイゴの行動には誰もが黙った。
    「と、トレーナーのくせに」
    「そうだそうだトレーナーが人間攻撃したら」
     ポケモントレーナーが意図的に人間を傷付ければ、その資格は簡単に剥奪される。そんなことは常識だからこそ、不良たちはダイゴを挑発したのだ。
    「……想像以上に頭の悪い人間っているんだね」
     もう一つボールが開く。そこから出て来たのは土偶ネンドール。目のようなものがたくさんあり、その場が静かになる。
    「ポケモンは攻撃するだけじゃないんだよ。お家に帰って、パパやママから常識を学んでおいで」
     ネンドールはダイゴの意図を汲み取った。まばたきしている間に不良と共に姿は消え、数秒後にネンドールだけダイゴの元へと戻ってくる。
    「大丈夫かい?」
     ガーネットは何が起きたか解ってないようだった。誰もいないことを確認して、ダイゴの顔をみた。
    「いや、あの、ダイゴさんまさか・・・」
    「ああ、彼らはそれぞれの家に帰しておいたよ。大丈夫だ、あれなら傷付けたわけじゃないから責任は問われない」
     ネンドールとエアームドがボールに戻っていく。そしてガーネットを抱き起こした。
    「一緒に帰ろう」
     ガーネットは何も言わず下を向いてダイゴの少し後ろを歩く。ダイゴが声をかけても、生返事しか返ってこない。
    「さっきのやつ」
     ガーネットが消え入りそうな声で言った。
    「昨日家にも来ました。親つれて、こうなったのは私のせいだから治療費はらえって、なんで私はこんなにまでされても何にもできないんですか?」
     ダイゴは何も言わずポケットからハンカチを取り出して、ガーネットの涙をぬぐう。彼女がハンカチをつかむと、肩を優しく叩いた。
    「ガーネットちゃんは何も悪くない。あんなことされても我慢していたのは本当に偉いと思う。僕だったらできない。何があっても絶対に手を出してはいけないなんてことは、僕はあり得ないと思う」
    「ダイゴ……さんっ!ダイゴさん!」
     今まで押さえていたものを一気に爆発させたかのように、ガーネットが声をあげていた。小さな子をあやすかように、ダイゴはガーネットを抱きしめる。

     対岸では暇なおじさんが釣りやゴルフをしていた。ガーディの散歩をしている人もいる。野生のペルシアンが川の魚を狙っていた。その後ろではニャースが見ている。どうやら子供に狩りを教えているようだ。
     その様子を見ながら、ダイゴはガーネットと一緒に川原で話していた。いつの間にか世間話になっていて、あのことなどなかったかのようだ。
    「ダイゴさんってポケモントレーナーなんですよね」
    「うん、そうだよ」
    「ポケモンってかわいいですか?」
    「かわいいよ。愛情をこめた分、期待に応えてくれる。言葉は話せないけど、僕にとっては人生のパートナーだ」
     自分のポケモンを持っていないとその辺りはいまいちピンと来ないのだろう。ガーネットは目の前のポッポを見て、不思議そうな顔をしている。
    「そうだ、ガーネットちゃんもポケモンもってみたらどうかな?」
    「えっ、私育てたことないですし」
    「大丈夫、ポケモンだって色々いて、懐いてくれる……そうだ実家にエネコっていうかわいいピンク色の猫がいるんだけど、どうかな?」
    「そんな、もらっちゃ悪いような……」
    「大丈夫だよ。会社の近くにはよくいるんだ。大人しいポケモンだからすぐ慣れてくれるよ」
     そうと決まったら。ダイゴは立ち上がる。

     ポケモンセンターでエネコの入ったボールを受け取った。そして外に出ると早速ボールから出してみる。
    「これがエネコなんですね。笑ってるみたいでかわいい」
     喉をごろごろ鳴らし、エネコはガーネットに甘えた。エネコをおそるおそる抱き上げて、頭をなでている。ふんわりとした猫の毛がガーネットの腕に収まる。
    「でも、もし力いれすぎてつぶしちゃったりしたら……」
    「考え過ぎだよ。技もそんな強いの覚えないから扱いきれなくなることはないよ。大切にしてね」
    「はい。ありがとうございます」
     ガーネットはとても嬉しそうだった。ダイゴからの贈り物、それを今までで一番大切というように。
     完全には打ち解けきれてないコンビではあった。帰り道、エネコはずっとガーネットの後ろをついていく。主人だと認めているかは解らない。途中、目につくもの全てに飛び掛かろうとしたり、ガーネットの髪にじゃれつこうとしたり、それはもうイタズラの大好きなエネコだった。
    「おかえり!」
     家につくと、元気よく向かえたのはガーネットの妹のくれないだ。身長差がなかったら、見分けはつかないだろう。
    「あ、おねえちゃんのせんせい!」
     ダイゴに向かってそう言った。くれないからはそう見えるようだった。けれど興味はダイゴからすぐに違う方に行く。そう、エネコだ。
    「かわいいーーー!!おねえちゃんどしたのそのこ!」
    「エネコだよ。ダイゴさんからもらったの」
     エネコも大きな声にひるんだが、くれないに捕獲され、なで回されては逃げ場はない。
    「ねえねえおねえちゃん、エネコかうの!?かわいい!」
     頭をなで回され、細い目で一生懸命助けてくれと訴えてるようだった。
    「くれないちゃん、エネコはぎゅっと抱くんじゃなくて優しく抱いてあげて。それから喉を撫でてあげると喜ぶよ」
    「え?そうなの?」
     ダイゴに言われた通りに抱くと、先ほどの苦しそうなエネコの顔から、普通のエネコの顔に戻る。
    「わあ、ほんとうだ。きもちよさそう!」
     エネコはくれないの腕の中でゴロゴロと喉をならしていた。
    「エネコまで区別ついてないのかな」
     ガーネットが小さく言ったのを、ダイゴは聞き逃さなかった。

     明日にはホウエンへ戻る。長い休暇が終わり、また現実へと戻るのだ。帰ってしまう前に、一言つたえた方がいいだろうとダイゴは道を歩く。
     家の近くまで来ると、ガーネットがギャロップを連れた同い年くらいの女の子ととても楽しそうに話している。最初はダイゴのことを気付いていなかったが、視界に入ると大きく手を振った。
    「ダイゴさん!こんにちは!」
    「やあ!こんにちは。ガーネットちゃんのお友達かな?凄い立派なギャロップを連れてるね」
     角は太く、蹄は固そうだ。そしてなにより燃え上がるようなたてがみ一つ一つが美しい。撫でようとしたら、ギャロップに睨まれてしまった。
    「はいそうです。ネネが言ってたトレーナーさんですよね!私はキヌコです。ネネと小さい時からの友達!」
     とても嬉しそうにキヌコは今度から一緒の学校に通えると話していた。ダイゴはそれを聞いて安心する。この短期間ではあったけど、妹のように思っていたガーネットと仲良しな子が同じ学校へ通う。誰にも助けを求められない性格だからこそ、キヌコの存在は救いに思えた。
    「あ、ディザイエの散歩の途中だから、じゃね」
     キヌコはギャロップを連れてそのまま去っていく。最後までギャロップはダイゴを睨んでいた。
    「ダイゴさん、キヌに先越されましたが、私は転校できることになったんです!」
    「うん、みたいだね。仲良さそうなお友達だね」
    「はい。中学が別で不安だったけど、一緒になってよかった!」
     ガーネットはとても嬉しそうに話している。何も進まず、完全につまったかのように思えた現状は、とてもよい方向に向かっているようだ。
    「良かった。僕も心置きなくホウエンに戻れるね」
    「あ、そうか……」
     少し曇りかけた表情を隠し、笑顔でガーネットは続ける。
    「ダイゴさん、ホウエンのトレーナーなんですよね。あの、連絡してもいいですか?」
    「いいよ。次は夏にジョウトに来る予定なんだけど、その時また連絡するよ。その時また元気な顔みせてね」
    「……はい!」
     ガーネットはダイゴに手を振る。ダイゴはまたね、と言って笑顔で去っていく。まだ春の寒い日だった。


    ーーーーーーーーーーーーー
    そして流星プロローグへ続く
    初恋は実りません。
    ゴーヤロック神に勝負を挑んだ事自体が間違ってると言われても気にしない。かきたいものをかくんだ!
    【好きにしてください】


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