|
Twitterで突発的に行った【バトル描写書き合い会】の作品投下スレッドです。
指定されたポケモン同士のバトルを1週間で書き、同じ対戦カードで作者ごとにどれだけの違いが出るのかを楽しむ企画です。
ルール
・オオタチVSゾロアーク の勝負を書く
・シングル1VS1のトレーナー戦で書く
・自分らしさが出ていればどう書こうが自由
任意事項
・オオタチのトレーナー名はレットもしくはセント
・ゾロアークのトレーナー名はコタロウ
・ゾロアークが何に化けているかは自由
――この町には、ゾロアとゾロアークのみが所属する劇団があるらしい。
まるで人と見分けがつかない外見と演技。イリュージョンで彩られる演出の数々。
劇場を訪れた観客は、夢幻のようなひと時を過ごすであろう。
「そこのチケットを貰った」
と上司が言った。
「貰えるものなんですか、それ」
とキランは一度は驚いてみたものの、目の前の上司はゾロア使いと呼ばれる人である。チケットを貰っても不思議ではない。
「そこのゾロアは私が育てたから」
そんなところだろうと思った。
「二枚、もらった。この後空いてたらいっしょに行こう」
「いいですよ」
キランが安請け合いした後で。
「もしも、チケットを貰ったのに行かなかったら、大変なことになるからな」
そう言って、上司はすっと目を細めた。
「大変なことって」
キランが唾をのむ。
「具体的に、何が起こるんです?」
「劇団のゾロアとゾロアークたちが、一斉に」
「一斉に?」
「スネる」
◇
演じるは幻影劇団、演目はかの有名な『ロミオとジュリエット』。
愛し合う二人は家のために結ばれない。バルコニーから愛を叫ぶジュリエットの姿は幻影と溶け、ロミオは心によぎるジュリエットの姿を振り切ってその場を去る。
特性“イリュージョン”を最大限利用した演劇鑑賞は、3D映画を生で見ているよう。
ジュリエットが仮死毒の小瓶を呷る。手から滑り落ちた小瓶が砕け散り、キランの耳元でガシャリと小瓶の割れる音がする。
青白いジュリエットの体を抱いて、ロミオは慟哭する。冷たい夜の墓場は土の匂いでむせ返る。
後を追おうとロミオが短剣を自らに突き立てようとしたその時、両家の大人たちが止めに入る。若き二人の悲恋を知った両家は仲直りし、ジュリエットも仮死から起き上がって大団円。
「こんな話でしたっけ」
「まあ、いいんじゃないか」
あの子たちはハッピーエンドが好きだから、と上司は満足そうに笑っていた。
本文終わった所でイラスト入れたかったので返信する形であとがきとか。まずはハワイティ杯お疲れ様でした! ハワイティ杯の参加作を少し改稿したものです。具体的には改行増やしたのと最後の方を少し変えたり。タイトルも変えました。改行する位置これでいいか不安たっぷり。
あと挿絵的なイラスト描いてみました。改稿したきっかけがその方がイラスト映えしそうだと思ったからなんですけどもね、描いてみたら吹雪かせたせいであまり目立たないという。吹雪の中の光の描写とか私の画力じゃ難し過ぎましてね。まぁ私なりに満足はしてます。キュウコンもイーブイもかわいい!
ハワイティ杯終了後色々語ってた方々に便乗してチャットで一人自作語りしてましたのでその時のログを以下に貼っておきます。語った事をまとめるのが面倒なもんでログをそのまま。何か質問とかありましたらお気軽にどうぞです〜。
お知らせ:門森 ぬる(Win/Edge)さんが入室しました。(20:13)
門森 ぬる:さてハワイティ杯も終わりましたし自作品について適当に語ってみようかと(20:14)
門森 ぬる:何から語るかなー(20:15)
門森 ぬる:まぁ自作の感想欄にも書きましたが、浮かんだかっこいいシーン+夏の終わりにの没案+ブイズリョナ案=今作品 的な感じです(20:17)
門森 ぬる:夏の終わりにの没案は特性がひでりのポケモンが居座るようになったので何とかしましょう的な(20:18)
門森 ぬる:夏を終わりにする的な解釈をしてみようかなーと(20:19)
門森 ぬる:まぁそうすると「夏の終わりに」じゃなく「夏を終わりに」になっちゃうという(20:20)
門森 ぬる:タイトルを「夏の終わりに」にするには夏の終わるタイミングでイベントを起こさなきゃならないなーと(20:20)
門森 ぬる:それで没(20:21)
門森 ぬる:で、今回レギュレーションでアローラのポケモン出す必要がありまして(20:22)
門森 ぬる:アローラキュウコンがゆきふらし持ってるらしいと(20:22)
門森 ぬる:使い回せるのではないかと(20:22)
門森 ぬる:で、使い回しましたと。原案の時辻褄合わないなーと考えていた部分もいくつかはこっちなら解決しましたし(20:24)
門森 ぬる:ブイズリョナ案はキュウコンの尻尾の数とブイズの現時点の数が一緒という事は、つまり尻尾で全ブイズを同時に拘束できるじゃないかと(20:26)
門森 ぬる:で、キュウコン対ブイズという構図がありまして(20:27)
門森 ぬる:https://twitter.com/cadomori/status/794768568969629696 モーメント見返しててこのツイートみてそんな案があったの思い出しまして(20:28)
門森 ぬる:で、夏の終わりにと組み合わせてブイズが村の近くに住み着いたキュウコンを追い払う話になりまして(20:30)
門森 ぬる:あ、タイトルもブイズリョナ案からそのまま持ってきたんですよね(20:31)
門森 ぬる:確か 死んだポケモンが進化の石になる話を読む→ゲーム内じゃひらがなだし進化の石を進化の遺志として解釈できるのではないか→ブイズ石進化だし組み合わせてみよう(20:34)
門森 ぬる:そんな感じで https://twitter.com/cadomori/status/740417216517115905 を経て(20:36)
門森 ぬる:https://twitter.com/cadomori/status/740417216517115905 まで発展しまして(20:36)
門森 ぬる:URL間違えた(20:36)
門森 ぬる:https://twitter.com/cadomori/status/814679349999718400(20:36)
門森 ぬる:後者はこっちやね(20:37)
門森 ぬる:そんな訳でイーブイが殺された8匹の力を継いでキュウコンに立ち向かうというのもリョナ案から引っ張ってきまして(20:40)
門森 ぬる:で、進化後の8匹の力をイーブイにって部分がナインエボルブーストと一緒じゃないかと(20:42)
門森 ぬる:ハワイティ杯だしナインエボルブーストって事にしてしまえと(20:43)
門森 ぬる:https://twitter.com/cadomori/status/814057352898834432(20:43)
門森 ぬる:こんな事も考えてましたし(20:43)
門森 ぬる:まぁ大筋は大体こんな感じか(20:45)
門森 ぬる:細かい所は考えてたり考えてなかったり(20:45)
門森 ぬる:まず改行少ないのはスピード感や疾走感を出す為とかじゃないです。それを意識できる程文章力ありませぬ(20:46)
門森 ぬる:単に場面として連続的だからってだけです。言い換えるとどこで改行すれば良いのか分からないって事ですね(20:48)
門森 ぬる:教えて!(20:48)
門森 ぬる:キュウコンがでかい理由はですね(20:49)
門森 ぬる:ブイズばりむしゃあさせたかったからでかくしただけです。性癖!(20:49)
門森 ぬる:>喰われた者 ほぼこの一文を入れる為だけです(20:50)
門森 ぬる:後はまぁ、辺りを冬にするっていう部分が異常なら大きさも異常にしてみようとかそんな考えもありましたけど(20:51)
門森 ぬる:ブイズを食わせたかったから大きくしたってのが一番の理由です((20:52)
門森 ぬる:メタ的理由じゃなく作品内での大きくなった理由としては(20:52)
門森 ぬる:まぁそんな異常な個体がいてもいいじゃないか位の考え(20:53)
門森 ぬる:アニポケでもシロデスナ巨大化とかやってましたしそんな感じのノリ(20:54)
門森 ぬる:食糧もね、あのキュウコンは多分雪食べてれば生きていけるとかそんな感じ(20:55)
門森 ぬる:ブイズ食う必要も特にないんです。食べる必要ないのに食べちゃうってのもそそりますよね((20:56)
門森 ぬる:キュウコンが村の側に居ついた理由は一匹じゃ寂しいとかそんな感じ(20:57)
門森 ぬる:今までも他の村とかで同じ様な事起きたりしてます(20:58)
門森 ぬる:村と対立してその内村民達が村捨てて逃げてって事が何度も(20:59)
門森 ぬる:それでまぁ一匹じゃ暇だし他の村へって繰り返して(21:00)
門森 ぬる:だから交渉とかもキュウコンは楽しんでましたね。むしろ交渉してもらうために居座ってるというか(21:02)
門森 ぬる:交渉成立したらもう交渉できないじゃないですか。だからどんな条件でもキュウコンは受け入れず決裂してるんですね(21:03)
門森 ぬる:で、まぁ村民に襲われる訳なんですけどこれもまた楽しんでますね(21:04)
門森 ぬる:殺しちゃったらその仔はもう来なくなりますし、今回もキュウコンは最初は殺す気なかったんですけどね。力加減ミスってシャワーズ死んじゃいましたと。戦うのは久々だしキュウコンも必死だったし仕方ないね(21:07)
門森 ぬる:で、一匹なら残りの仔が復讐しにまた来てくれるかもなーと一旦停戦提案するんですけど、ブイズ側がこれを拒否(21:09)
門森 ぬる:退く気なさそうだしこれなら一匹も何匹も同じかーとキュウコンも生き残る為に加減はやめて迎え撃つ事に(21:13)
門森 ぬる:で、1対1になって一匹なら考えも変わるかもしれないし、話す余裕もできたのでもう一度問いかけましたと(21:15)
門森 ぬる:キュウコン側の背景はそんな感じ(21:15)
門森 ぬる:あ、そうそう、入れたかったけど断念した要素に断尾がありまして(21:17)
門森 ぬる:最初はブイズが1匹やられる毎にキュウコンの尻尾も1本ずつ減らしていこうかと思ってたんですよ。相討ち的な感じで(21:18)
門森 ぬる:キュウコンの尻尾の数とブイズの数が同じって所からキュウコン対ブイズの構図にした訳ですし(21:19)
門森 ぬる:9匹がかりだったのにイーブイ1匹で立ち向かうならこれまでの戦いでキュウコンも弱体化してないとなーって。で、尻尾の数が減ってるのは弱体化として分かりやすいですし(21:24)
門森 ぬる:ただまぁ、ブイズがキュウコンの尻尾切るイメージが浮かびませんで。もっと致命傷狙うだろうなーと(21:24)
門森 ぬる:故に断念。無念(21:25)
門森 ぬる:イーブイがイーブイZを身に着けていた理由は(21:26)
門森 ぬる:まず仲間がどっかでそれを見つけた訳ですよ。そして使い道が分からない。ただの飾りだろう。まぁ綺麗だし持っておこう、と。(21:28)
門森 ぬる:そしてある日、飾りじゃなく何か使い道があるのかもしれないと気紛れに思ったエーフィが念の為それについて未来予知しまして、イーブイの胸元で輝きを放っているのが見えまして(21:32)
門森 ぬる:じゃあとりあえずイーブイにお守りとして持っててもらおう、と。いつどこでどんな効果があるのかは分からないけど(21:33)
門森 ぬる:それでイーブイは首飾りを付ける様になりました、と。Zリングはないです。人間がいない世界観ですし(21:35)
門森 ぬる:あ、そうだ、提出後に思いついて改稿で変えようと思ってるのがナインエボルブーストの描写(21:37)
門森 ぬる:それぞれの輝きが進化形の尻尾の形を成して九尾のイーブイみたいな感じになると映えるなぁと(21:39)
門森 ぬる:ナインテイルブーストに改題も視野(21:39)
門森 ぬる:そうした時問題はサンダースよね。あの仔尻尾あるのかしら(21:40)
門森 ぬる:どっからどこまでが尻尾なのやら(21:41)
門森 ぬる:まぁもうナインエボルブーストの解釈を変えちゃってるしもう少し変えても大丈夫やろと(21:43)
門森 ぬる:最初はキュウコンの大きさや現れた時期を十数倍だとか数か月前だとかでぼかして書こうと思ってたんですけどね、書いてる時にせっかくだから9に揃えてみようって感じでそうしたので(21:46)
門森 ぬる:タイトルに八って入ってるのが何かもやもやしてましてねー(21:47)
門森 ぬる:あ、そうそう、死ぬ順番は シャワーズ→エーフィ→ニンフィア→リーフィア→ブースター→ブラッキー→サンダース→グレイシア の順です。(21:50)
門森 ぬる:自分で考えるのも面倒なんでナインエボルブースト使用時の登場順かその逆順にしてみようと(21:52)
門森 ぬる:それで登場順調べまして、シャワーズとグレイシアどちらの場面がイメージしやすいかなーと考えてグレイシアの方だと(21:53)
門森 ぬる:それで登場順の逆に決定しました。(21:54)
門森 ぬる:あとは作品の後の場面についてかなー(21:55)
門森 ぬる:どちらが勝つのかは決めてないです(21:56)
門森 ぬる:まぁイーブイ君が勝つ流れですけども、それでも敵わない絶望感とかもそそるじゃないですか?(21:58)
門森 ぬる:まぁイーブイ君が勝ってもバッドエンドな訳ですけども(21:59)
門森 ぬる:http://ouroporos.tumblr.com/post/76724671528/numas-smell-everywhere(22:00)
門森 ぬる:こんな感じでね? みんな死んでしまったってのを噛み締めて泣き崩れて欲しいなって(22:01)
門森 ぬる:勝って一匹で村に戻って村民に迎えられる訳ですけど(22:03)
門森 ぬる:村の仔の「よかった」って言葉につい「よくない!」って声を荒げたりして欲しい(22:04)
門森 ぬる:まぁ勝つにせよ負けるにせよその心境とかを描写できる力はないのであの部分で終わったのは最適解だとは思ってます(22:06)
門森 ぬる:書けるなら書きたいけど書けないもんはしょうがない(22:07)
門森 ぬる:これでも私が書いた割に大分長くなったんですからー。語った事とかを作品に入れる力が足りないもんでしてね。(22:10)
門森 ぬる:妄想は捗るんですけどね、アウトプットが無理よね(22:11)
門森 ぬる:あ、あと書く上で悩んだのがイーブイ君が1匹になっても立ち向かう理由(22:12)
門森 ぬる:逃げ腰でナインエボルブースト発動させる訳にもいきませんし(22:13)
門森 ぬる:フェアリーロックで逃げられない様にしようかなーとも考えたんですけど、そうするとキュウコンがフェアリーロックを使う理由が必要になって(22:14)
門森 ぬる:キュウコンのスタンスはさっき語った感じなもんで矛盾しちゃうなーと(22:14)
門森 ぬる:そうやって色々考えてた時に http://tear.bokunenjin.com/side-p/comic/log19/p-c185.html これ読み返しましてね(22:16)
門森 ぬる:もう引き返せない、後戻りできない。これだ、と(22:17)
門森 ぬる:この心境そそりますよね((22:18)
門森 ぬる:後は何だろうな、あれか、浮線綾さんの質問(22:49)
門森 ぬる:1.執筆期間(22:50)
門森 ぬる:実際に手を付け始めたのは確か2/11だったはず(22:51)
門森 ぬる:そして投稿は遅刻というあれ(22:52)
門森 ぬる:2.ネタをどうやって集めたか(22:53)
門森 ぬる:自分のツイートでいつか使えるかもなーってのをモーメントに纏めてまして、それを見返した位ですかねー https://twitter.com/i/moments/782204472017563649(22:54)
門森 ぬる:3.実際に執筆した過程(22:55)
門森 ぬる:んーこれは何を答えればいいんだろう……頭から順に書いていきましたけどそういう事で合ってるのかな……?(22:57)
門森 ぬる:後はそうだなー、イーブイ達も防寒対策は何かしらしてます。キュウコンの所が吹雪いてるってのは分かってますし。具体的にどんな事をしたかまでは考えてませんが(23:01)
門森 ぬる:防寒というかまぁ霰も含めてね(23:02)
門森 ぬる:イーブイ達やキュウコンの技構成とかは全部決めてる訳ではないかなー(23:04)
門森 ぬる:そもそも技4つまでってのを適用するかも決めてなかったり(23:05)
門森 ぬる:んーこの位かなー。あと何か語る事あったかなー(23:07)
門森 ぬる:何か質問とかありましたら是非是非(23:07)
門森 ぬる:とりあえずなさそうですかな。ではひとまず自作語り終了ですかなー。この後も質問とかあれば受け付けますけどもね(23:20)
門森 ぬる:では見て下さった方々、ありがとうございました!(23:21)
蛹を経る進化なので完全変態ですね。
おめでとうございます。
あなたは本当に「マコちゃん」のことが好きなのですね。質問を読んでとても微笑ましい気分になりました。
確かに、人とポケモンは結婚できません。でも、それが重要なことでしょうか?
あなたの望みは「マコちゃん」とこれからも一緒にいることではないでしょうか?
そのために、結婚というものが必ずしも必要でしょうか?
人間同士でも、ポケモン同士でも、そして人間とポケモンでも、結婚していなくても一緒にいるひとたちはたくさんいます。
「マコちゃん」はあなたを嫌いだと言いましたか? 一緒にいたくないと言いましたか?
「マコちゃん」は泥から生まれたあなたを拾ったんです。あなたが決してきれいでないことも、その時にもうわかっていたはずです。
あなたは人間に進化できませんし、今の時代あなたと「マコちゃん」がポケモンと人間である以上結婚はできませんが、共に暮らすことはできるはずです。
自信を持ってください。あなたが「マコちゃん」を好きなように、あなたは「マコちゃん」に愛されているはずですよ。
もしあなたが、どうしても「マコちゃん」との結婚を望む場合、ですが。
ポケモンが人間になるのは難しいと言わざるをえません。事例がほとんどありませんからね。
そこで、「マコちゃん」をポケモンにしてしまいましょう。
あなたと同じたまごグループふていけいで、人間から変化した例が多数確認されているデスマスが最適でしょう。
ゴーストポケモンは仲間を増やすことには比較的積極的ですので、デスマスかその進化系であるデスカーンを探して相談してみてはいかがでしょうか。
ただし、後々後悔することになるかもしれませんので、よく考えてから行ってください。
感想ありがとうございますー!
> 例のアプリ発表から作品までの速さ……さすがきとかげさん……!
ネタに走ると速い体質です!
> 「アプリ」の出現から世界が塗り替えられていく描写が丁寧でぞくぞくします。
> でもこれ、きっかけが本当に「アプリ」とは書かれてないんですよね……。
> > 息子がスマホ片手に、しきりに虚空を掻いていた。
> 冒頭のこの時点ですでに息子にとってポケモンは「アプリ」の中の存在ではないですしね……。
いえいえ、もしかしたらとってもすごいVRやARかもしれませんよ……?(虚空を撫でながら)
> 落ち着きを取り戻したあたりで、「アプリ」の介助が必要なくなったということでしょうか?それって言わば次のステージへ進んだってことなのでは……。
> もしかしてこの医者の真の目的はそれだったのでは(考えすぎでは
いえいえ、もしかしたら本当に重度の中毒だったのかも(虚空を撫でながら)
冗談はさておき、アプリ中毒専門の医者というのもそういうことなのかも……? なんて感想を読みながら思いました。ネクストステージ……
> そもそも、この「アプリ」を作ったのは何者なのか……目的は何なのか……。考えるのも野暮かもしれませんが気になりますね……。
書いておいてなんですが、ブラックボックスですねえ、そこらへん。アプリの機能はその内に実現しそうではありますが、若干オーバーテクノロジーですしね……
> とりあえず自分はこれ読んで例のアプリ入れることを決めました(
ありがとうございます( これはこれとして、アプリの方も面白そうです……! 多分虚空なでなで機能はないと思いますが……思いますが……?
> そして部屋に引きこもりから謎の廃屋へ(違う
母さんの一人称が俺に(そこじゃない
しかし実際こんな状況が続いたら、謎の廃屋行きでしょうね……。
> レイヤーワールドがじわじわ拡がっていて久方さんは楽しいです(
広がるレイヤーワールド……! 私も非常に楽しませてもらってます(
感想ありがとうございました! あっ、餌の時間(何もないところを見つめながら)
拝読させていただきました!
例のアプリ発表から作品までの速さ……さすがきとかげさん……!
「アプリ」の出現から世界が塗り替えられていく描写が丁寧でぞくぞくします。
でもこれ、きっかけが本当に「アプリ」とは書かれてないんですよね……。
> 息子がスマホ片手に、しきりに虚空を掻いていた。
冒頭のこの時点ですでに息子にとってポケモンは「アプリ」の中の存在ではないですしね……。
お医者さんの対処も効果ないですしね……そもそもいわゆる中毒ではないでしょうから当然かもしれませんが……。
> その内に息子も落ち着きを取り戻し、宿題も言えばきちんと取りかかるようになった。
> 時々、床近くの空気を手で掻いていたが、私が見ているのに気づくと、すぐにやめた。
> 医者いわく、「アンインストール後の手持ち無沙汰を埋める行為」だそうだ。これも、時間が経てばなくなっていくのだろう。
もうこの時点で、「アプリ」は必要なくなってるんですよね……。
落ち着きを取り戻したあたりで、「アプリ」の介助が必要なくなったということでしょうか?それって言わば次のステージへ進んだってことなのでは……。
もしかしてこの医者の真の目的はそれだったのでは(考えすぎでは
そもそも、この「アプリ」を作ったのは何者なのか……目的は何なのか……。考えるのも野暮かもしれませんが気になりますね……。
とりあえず自分はこれ読んで例のアプリ入れることを決めました(
> 私には見えないだけで、車道を危なく横断するポケモンがいて、山の中でしか捕まえられないポケモンがいて、遠くのマグマ溜まりでは伝説のポケモンが眠っている。
> そう言われても、どれだけ世の中のニュースが書き換わっても、私には、ただのアプリしか見えないまま。
そして部屋に引きこもりから謎の廃屋へ(違う
レイヤーワールドがじわじわ拡がっていて久方さんは楽しいです(
素敵な作品を読ませていただきありがとうございました!!
(前書)
久方小風夜さま作「存在しなかった町」(http://masapoke.sakura.ne.jp/lesson2/wforum.cgi?no=3670&reno= ..... de=msgview)、「薄膜の上の誰かへ」(http://masapoke.sakura.ne.jp/rensai/wforum.cgi?no=1322&reno=4 ..... de=msgview)、586さま作「#142790 「置き換えられた記憶」」(http://masapoke.sakura.ne.jp/rensai/wforum.cgi?no=1235&reno=1 ..... de=msgview)に影響されました。これらも面白いので是非に。
どちらかのバーチャル
息子がスマホ片手に、しきりに虚空を掻いていた。
「こうすると喜ぶんだ」と言う彼のスマホには、この前捕まえたポケモンが映っているのだろう。
山に行きたい、と急に言われた時はどうしたんだと思ったものだが、リリースされたポケモンアプリのお陰らしかった。そこに行かないと好きなポケモンを捕まえられないとかで、山道の途中で、はしゃいでスマホをトントンして捕まえたそうだ。きっかけはどうあれ、インドア派な息子が少しは外で遊ぶ気になって、古臭い親心ではあるが、やはり嬉しい。
しゃがんでメールをいじっていた息子が立ち上がった。
「ユウちゃんたちと公園で遊んでくる」
門限までに帰るよう、言い含めて見送った。なんでもポケモンバトルは外でやったほうが迫力があって楽しいとかで、息子の約十年の人生で外に出た回数を考えると、ポケモンアプリさまさまである。
**
「コイツ、散歩すると喜ぶから」
そう言って息子はよく外出するようになった。
そしてその度、私は同じ注意をすることになった。
「スマホばっかり見て歩いたら、危ない」と。
息子は、それはもう、通い慣れた通学路でも、楽しそうに歩く。隣にソイツがいるのだと言って、頻繁にスマホ画面でソイツの姿を確かめながら。
「危ないから、やめなさい」
「でも、コイツが車道に出て轢かれてたりしたら」
息子の心配事に、私は思わずふき出した。
「アプリが轢かれるわけないでしょう」
息子はちっとも納得しなかった。
「ユウちゃん、コラッタが轢かれたの見たって」
それはきっと、アプリが車が映ったのを判断して、そういう演出を入れたのだろう。リアルは結構だが、やりすぎではないだろうか? 苦情を入れるべきだろうか。
苦情は後で考えることにして、息子のほうは、歩きスマホをするならスマホを取り上げる、と脅して、やっとやめさせた。
それでも息子は気になるのか、しょっちゅう立ち止まっては、アプリを起動して、ポケモンの姿を確認しているようだった。
**
「アプリ中毒?」
人は色んな物に中毒する。アプリ中毒はスマホ中毒に似ているが、違うらしい。
「ええ、ユウくんもアプリ中毒で大変なんだって。ポケモンの様子が気になるって、スマホを手放さないし」
噂好きのママ友は声を低めた。
「スマホを取り上げたら、すっごい大声出して暴れるんだって。ユウくんいい子だったのに、いやねえ」
いやと言うわりには、彼女の顔は舌なめずりでもしそうになっている。うちの子もハマってて、心配だわと付け加える声が空々しい。
そうそう、最近はアプリ中毒専門のお医者さんもいるらしいわよ。ハマり始めに早めに対処したほうがいいんだって。ママ友はそんな情報を置いて去っていった。
**
もう学校から帰ってきているはずだ。子供部屋のドアをそっと開く。
息子は床に座りこみ、スマホを横目で確認しながら、指を空中に這わせていた。
その腕はなにかを抱える形に曲げられていて、息子にとって大切なものがそこにあるのだな、と見てとれた。
開いたままのドアを叩く。息子は口を丸く開けて私を見上げた。子供部屋のドアが開けられたのに気づかなかったらしい。
「宿題は?」
息子はバツが悪そうに目を伏せ、腕の中のなにかを下ろした。そして、机上に伏せたスマホを名残惜しそうに見てから、のろのろとノートを引っ張りだした。
**
「典型的なアプリ中毒ですね」と医者は言った。
頻繁にアプリを覗かないと落ち着かない、アプリを起動するとひとまず落ち着く、などが典型的な症状らしい。
これが重度になると、アプリの中のポケモンを優先したライフサイクルとなり、通常生活に支障をきたすそうだ。
「そうなると、患者をアプリから引き離す際にも、多大な苦痛を生じます」
医者は脅すように言う。
「そうならないために、どうすればいいんですか」
その言葉に、医者は申し訳なさそうに目を伏せて、でも、職業上こういった演技には慣れているといった風情で、
「アンインストールでしょう」
と言った。
診察用の椅子に乗せられた息子が青ざめた。
**
ポケモンが見えなくなるから嫌だ、と息子は言った。
アプリがなきゃ、餌をやる時間も餌のやり方もわからない、と息子は喚いた。
アンインストールのボタンをタップするのは、指先の電気が触れるだけというのもあって、とても呆気なかった。
**
それからしばらく、仕方ないと言えば仕方ないが、息子は元気がなかった。ポケモンの名前らしい単語を連呼して、家の中を探し回るようになった。
医者が言うには、時間が経てば元に戻るということなので、助言通り放っておいた。
その内に息子も落ち着きを取り戻し、宿題も言えばきちんと取りかかるようになった。
時々、床近くの空気を手で掻いていたが、私が見ているのに気づくと、すぐにやめた。
医者いわく、「アンインストール後の手持ち無沙汰を埋める行為」だそうだ。これも、時間が経てばなくなっていくのだろう。
**
リビングの入り口で、息子が見えないボールを拾い上げる真似をした。そして、新聞を読んでいる私を見て、「まずい」という顔をすると、自室に逃げ帰っていく。
なにがまずいのやら。後で暇があれば確かめよう。
めくった面の見出しに、私は眉をひそめた。
『収まらぬ火山活動 伝説のポケモン復活の兆候か』
新聞記者には重度のアプリ中毒者がいるようだ。ここの新聞はやめたほうがよいかもしれない。
テレビを点ける。新聞と同じ火山活動のニュースだが、そこにはポケモンのポの字も出てこない。やはり、この新聞はどこかおかしいのだ。
夕食を作るのに野菜が少ないので思い立って、外に出た。そこにはユウちゃんのアプリ中毒の話を美味しそうにしゃべくっていた、あのママ友がいた。
「こんにちは」
「こんにちは。噴火、怖いですねえ」
当たり障りのない世間話で幕を開ける。しかし、相手は「いい車を買っても、灰で汚れるから大変なんですって」とまたもや舌なめずりしそうな顔になる。いやはや、この人に息子のアプリ中毒がバレなくてよかったなあと心底思う。
ママ友は舌なめずりの顔のまま、「伝説のポケモンがいたって、いいことないんですのねえ」と言った。
「え、なんて」
私は聞き返した。
「ニュースでやってるでしょう」
相手は、私が非常識、と糾弾する調子で言った。
「そういえば」ママ友は話題を変えた。
「ユウくん、ポケモンと旅に出るんですってね。伝説のポケモンがいるような、危ないところには行ってほしくないわあ」
うちの子は旅なんて出ませんけど、と彼女は自慢気に言った。
**
「僕も、旅に出たいなあとは思ってるよ」
息子が言った。
「クラスの子も、旅に出る人多いし。ユウちゃんも行くって言ってるし」
バツが悪そうな顔をする息子の腕には、またもや透明なボールが抱きかかえられていた。
いろんな疑問を飛び越えて、私ができるのは、彼の行為の上っ面をなぞることだった。
「なんで今まで言わなかったの?」
そう問うと、息子は腕の中の透明なボールを見下ろし、私を見上げ、そして、目を伏せた。
「だって、お母さん、見えないみたいだし」
伏せたまつげに半ば隠れているのは、それは間違いなく私への憐憫だった。見えない、お母さん、かわいそう。そんな。
「それはアプリでしょう」と私が言った。
彼は悲しそうに、腕の中の空虚と“目を合わせた”。
**
夏休みに入る頃に、私は息子の背中を見送ることとなった。
学校の担任に相談しても埒が明かず、かえって事態は加速して、おたくの息子さん、トレーナーとしての才能がありますよ、旅に出ないなんてもったいない、ということになってしまった。
大きなザックを背負い、時折、見えない斜め下に向かって笑いかける息子が印象に残った。
私には見えないだけで、車道を危なく横断するポケモンがいて、山の中でしか捕まえられないポケモンがいて、遠くのマグマ溜まりでは伝説のポケモンが眠っている。
そう言われても、どれだけ世の中のニュースが書き換わっても、私には、ただのアプリしか見えないまま。
(後書)
ポケモンGOたのしみです。
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 | 32 | 33 | 34 | 35 | 36 | 37 | 38 | 39 | 40 | 41 | 42 | 43 | 44 | 45 | 46 | 47 | 48 | 49 | 50 | 51 | 52 | 53 | 54 | 55 | 56 | 57 | 58 | 59 | 60 | 61 | 62 | 63 | 64 | 65 | 66 | 67 | 68 | 69 | 70 | 71 | 72 | 73 | 74 | 75 | 76 | 77 | 78 | 79 | 80 | 81 | 82 | 83 | 84 | 85 | 86 | 87 | 88 | 89 | 90 | 91 | 92 | 93 | 94 | 95 | 96 | 97 | 98 | 99 | 100 | 101 | 102 | 103 | 104 | 105 | 106 | 107 | 108 | 109 | 110 | 111 | 112 | 113 | 114 | 115 | 116 | 117 | 118 | 119 | 120 | 121 | 122 | 123 | 124 | 125 | 126 | 127 | 128 | 129 | 130 | 131 | 132 | 133 | 134 | 135 | 136 | 137 | 138 | 139 | 140 | 141 | 142 | 143 | 144 | 145 | 146 | 147 | 148 | 149 | 150 | 151 | 152 | 153 | 154 | 155 | 156 | 157 | 158 | 159 | 160 | 161 | 162 | 163 | 164 | 165 | 166 | 167 | 168 | 169 | 170 | 171 | 172 | 173 | 174 | 175 | 176 | 177 | 178 | 179 | 180 | 181 | 182 | 183 | |