マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ
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  •   [No.4015] Re: バトル描写書き合い会 投稿者:あきはばら博士   投稿日:2017/07/07(Fri) 20:40:29     94clap [■この記事に拍手する] [Tweet]





    「対戦よろしくおねがいします」
    「よろしくおねがいします」
     対戦前に、お互いに挨拶を交わして相手と向き合う。
     トレーナーのセントがボールから繰り出したポケモンは、オオタチ。
     対して、相手のポケモンは―― ドーブルだった。
    (ドーブルかぁ……)
     何をやってくるか分からないポケモンの筆頭である、絵描きポケモンのドーブル。
     ポケモンのワザならばなんでも『スケッチ』でコピーできるため、全てのワザを使えるとされるが、攻撃力が皆無なので主に補助技を駆使して戦うことが多い。
     だが、稀にアタッカーとして戦ってくることもあり、昔セントが戦ったトレーナーのドーブルは『シードフレア』『裁きの礫』『断崖の劔(つるぎ)』『破滅の願い』『Vジェネレート』などの見たことのないワザを使ってきた。
     相手トレーナー曰く「見たことのない物を描くのが絵描きというもの」であるらしく、伝承や文献を調べあげて伝説ポケモンの使う伝説のワザというものを想像で再現していたそうだ。実際に見たわけではない想像で作った劣化コピーの上に使用者がドーブルということもあり威力は全く無かったが、見た目のワザエフェクトだけはひたすら派手で完成度が高く(本物を知らないので比べようが無いが)、ワザを次々と繰り出すごとにこの世の終わりとも思える景色が広がり、ワケが分からないままに負けてしまった。
     さすがに今回はそんなことは無いだろうとセントは思っていたが、相手の交代が無いルールである以上、サポート要員ではなく何らかの攻撃ワザを使って、戦闘不能にする手段があるに違いない。
     何をやってくるか分からない。
     だが、問題はなかった。
     幸いなことにこのオオタチに持たせている道具は《こだわりスカーフ》。これをワザのトリックを使い相手に押し付ける。
     どんなワザをどれだけ持っていようと、一つのワザしか使えなくなってしまえば。ワザの種類が命であるドーブルにとって致命的な痛手となる。
    「ト……」
    「ちょうはつ」
     相手トレーナーの指示が先に入り。
     ドーブルの口からとてもノーマルタイプとは思えない、悪どく下種びた罵声が発せされ、[ちょうはつ]を受けたオオタチは逆上し「キシャアアアア」と反射的に威嚇を返した。
    「しまった」
     と後悔しても、もう遅い。スカーフの効果で先手は取れそうだったにも関わらず、現れたドーブルを目にしてつまらない考え事をしてしまった結果、まんまと先手を奪われて絶好のチャンスを棒に振った上に、一気にピンチに追い詰められた。
     オオタチの基本戦術は多彩な補助技を起点として自身の火力の無さを補って攻撃をしていくものだが、まずは持たせた《こだわりスカーフ》を外さないと動くことはできない。
     どんなワザをどれだけ持っていようと、一つのワザしか使えなくなってしまえば。ワザの種類が命であるオオタチにとって致命的な痛手となる。
     幸いなことに、道具の効果でワザは縛られておらず、《ちょうはつ状態》でトリックが使えなくなっても攻撃ワザの投げつけるがある。あとは《ちょうはつ状態》が解けるまで時間稼ぎをすればいい。
     だから、次に出すワザは投げつける一択。

     いや、しかし……
    「まふまふ、すまない。今は避け続けろ」

     それが正解なのか? とセントは迷っていた。
     ここからの選択が勝敗のすべてを握っている、その決断こそが司令官たるトレーナーの辛いところだ。
    「チェ……」
     オオタチのまふまふには、自分の背中越しに主人が迷っていることが分かっていた。
     ドーブルが放った[悪の波動]を、オオタチはワザを使わずに避ける。《こだわりスカーフ》の効果で平常時の素早さが上がっているため、比較的に楽に避けることができた。
    (まふまふの基本戦術は、電光石火や不意打ちを使って相手の出鼻をくじいてワザを妨害させながら隙を作り、とぐろを巻くを何度も使って攻撃力を上げて、最後はとっておきで一気に押し通す。
     もしくは高速移動で素早さをあげた上で、距離を取りながらシャドーボールや10万ボルトなどの特殊ワザちょっとずつ削り、痺れを切らした相手のワザを先取りで盗みとって使っていく。
     ノーマルタイプの持ち味である柔軟な対応が強み。相手はドーブル、どう動いてくるのか分からない。だが素直に殴ってくるのではなく、多彩なワザであらゆる妨害をしてくると考えるべき。挑発にフェイント、デリケートなワザの積み上げはリスキー、ならば……)
     オオタチがその場を凌ぐ中、セントは頭をフル回転して考えをまとめ上げ。

    「決めた」
     顔を上げて、叫ぶ。
    「プランDだっ! まふまふ!」
    「タチェ!!」

     その指示が入った時、相手のドーブルはブツブツと謎の単語を詠唱して悪巧みをしている最中だったが。
     ワザの妨害には間に合わず、相手の[わるだくみ]が完了したところに、オオタチの[でんこうせっか]が命中した。
     攻撃がヒットした直後に、ドーブルの姿が一瞬ゆがみ、大きくブレだした。
    「?! ゾロアーク、だったのか」
     特性の《イリュージョン》が解除されて、赤と黒の鬣が特徴的な大型の黒キツネポケモンが姿を現す。だが、ドーブルではなくゾロアークだろうとしても、セント達がやることは変わらない。
     あらゆる妨害をして、こちらのやりたいことを潰して来るならば、逆をすればいい。
     無理にたくさんのワザを使って戦うことはない、ワザなんてたった一つだけ使えればいい。
     こだわりスカーフの効果は、ワザを一つしか使えなくなる代わりに素早さが一段底上げされる。デメリットの多い効果だが、ワザ以外の通常攻撃はいくらでも使えるのでそれを活用したり、汎用性の高いワザを使えばそのデメリットは気にならなくなる。

     暗闇色の波紋が地面を通して放射線状に広がり、[ナイトバースト]は襲い掛かる。オオタチはその場で跳躍して地面から離れる。飛び上がり自由が利かない相手を狙って、ゾロアークは[悪の波動]を放ち、撃ち落とそうとする。
     オオタチはそこの空中を強く踏み切って、[空中ジャンプの電光石火]で二段跳躍をして回避をした。
    「接近して攻撃! 特殊ワザを使う隙を与えるな」
    「迎え討て!」
     着地をして、オオタチはゾロアークに向かって突っ込んでいく。
     あちらから来るならば望むところとゾロアークは何らかの物理ワザで迎え討とうと構えたが、オオタチは相手に辿り着く2m程手前で[遠当ての電光石火]を叩き込み、反撃を受けないようにすぐに引き下がった。
     使用者が多く研究が進んだ基本ワザの『でんこうせっか』には多数の亜種派生が確認されており、それらは同じワザとして使うことができる。うまく使い分けることができればワザの制限のデメリットもさほど気にならない。

     戦局は拮抗していた。ゾロアークの攻撃に対してオオタチは電光石火で躱しながら牽制を加えていく、お互いに出方を伺いながらの攻防を繰り返していた。
     ゾロアークのトレーナーは、迷うことなく攻撃ワザの指示を送っていく。
     ドーブルに化けていたのは『対面した時相手が一番悩むであろう姿』である以上に意味は無く、いつバレても構わないし、はなからアテにしてなかった。とは言え、イリュージョン中はバレないように多少行動を控えなければならなかった。だが、イリュージョンが解けた今は遠慮はせずに、どんどん攻撃していける。
     ゾロアークのトレーナーはオオタチが首に巻いている水色のスカーフは、ただのオシャレなファッションではなく《こだわりスカーフ》であることは、察しがついていた。だが、叩き落すなどで没収するよりは、今後の相手の行動が読みやすい今の状態の方が、こちらとして都合が良い。
     オオタチの特殊耐久力を考えれば、悪巧みで特攻がぐーんと上がった今のゾロアークの特殊ワザが一発でも入れば勝てる状態だった。単純に持久戦になった時に体重差でスタミナがあるゾロアークの方が圧倒的に有利。このまま押して行けば勝てる流れだ。
    「騙し、からの、ロー!」
     ゾロアークのトレーナーが合図をすると。
     不意に、ゾロアークの姿が視覚で捕捉することが出来なくなり、目の前から消えた。
     その刹那、必中技である[騙し討ち]が命中し、オオタチの真横に現われる。
     そこから連結させて、[ローキック]を繰り出すのだが、オオタチは間一髪回避して、ローキックは大きく空振った。
     仮に勝敗の分岐点を挙げるなら、ここでゾロアークが攻め急いだのが悪かったのだろう。オオタチに疲れが出て回避できなくなるタイミングまでもう少し待つべきだった。
     ここに隙が生まれた。
    「今だ、コイルドライバーっ!」
     セントの合図に応えて、オオタチはゾロアークの足元に滑り込む。
     そこから尻尾で相手の足を掬い上げて体勢を崩し、相手の重心を自分の体の上に乗せる。
     そして、全身を大きく捻じりながら撥ね上げて、ゾロアークの身体を真上に向けて大きく蹴り上げた!
     直後に、自分自身も真上に跳躍して追いかける。双方が上下逆になるように空中で相手の身体を捕らえると、すぐに長い体で巻き付いて締め上げ、相手の自由を奪い取ると、ゾロアークの頭が下になるように地面に向かって落下する。
    「くっ 火炎放射っ!」
     顔が真下に向いているならば、下向きに炎を吐いて落下の威力を弱められるだろうと考えたのだろう。相手トレーナーの指示が飛ぶが、それは叶わない。
     尻尾でゾロアークの首筋が締め上げられており、呼吸すらままならず、何かを口から出すことはできなかった。

      ドシュ

     ゾロアークは顔面から地に叩き付けられた。オオタチとゾロアーク、合計120kg以上の負荷が、ゾロアークの首にダイレクトで衝撃が入る。
    「――――!!」
     トレーナーのゾロアークを心配する声が聞こえる。
    「まだだ。地面をしっかりと踏んで、捉えろ」
     成功して一瞬ふにゃぁと満面の笑顔に成りかけたオオタチの顔が、その言葉で再びキリッとした顔に戻る。
     そう、高威力のワザを使っていたわけではなく、こんな程度の攻撃では、ゾロアークのHPを削りきるには足りず、まだ倒れるには至らない。
     ゾロアークが意識を朦朧としながらもよろよろと立ち上がろうとした。その瞬間を狙う。
     最後のワザも、もちろん――。

    「でんこうせっか!」

     本来加速の為に使われる強い踏み切りを、加速ではなくすべて攻撃力に変換して叩き込む。地面を捉えて静止し、走らない電光石火――。
     [ゼロ距離でんこうせっか]
     を受けて、今度こそゾロアークは沈黙したのだった。



    **************

    あとがき

    Q.ゾロアークはなぜ[いちゃもん]を使わないの?
    A.使っても[でんこうせっか]→[わるあがき](空振り)→[でんこうせっか]の順にオオタチはワザを使えるので、戦闘のテンポは遅くなりますが、戦局を大きく変えるほどでない、とはいえ選択肢の一つとしてはアリでした。

    ・頭脳戦が好きなのですが、毎回力任せにぶん殴る脳筋バトルになってしまう。
    ・オオタチもゾロアークも戦法が幅広いのでどういう戦いにするべきか悩みましたがが、初手スカーフトリックにすることでだいぶ絞れました。
    ・当初は[とっておき]ルートで考えてましたが、挑発などの妨害を躱す手が浮かばなかったのでボツにしました。
    ・勝負らしいものが始まるまで半分くらいの文字数を取ってますね。
    ・作中の情報量を削るためにゾロアークのトレーナー名とゾロアークのニックネームは削りました。コタロウ君ごめんね。
    ・戦闘中にトレーナーは「そこ!」とか「下がれ!」とか「後ろ危ない」など、掛け声をしていることになってますが、テンポの都合で省略してます。
    ・電光石火の派生形は、空中ジャンプはスマブラ、遠当てはポケダンで見られます。ゼロ距離はオリジナルです。アニポケの電光石火は反復横跳びでしたね。
    ・最後のコイルドライバーはワザ扱いなのか通常攻撃扱いなのか決めてませんが、めちゃくちゃ痛いです。人間にやると死にます。
    ・まふまふは♂です。


    ↓ ボツ展開

    「それはどうかな?」
    「何っ」
    「名前の異なるワザを3つ以上使うことで、このワザの発動条件は満たす。さらにとぐろ2回で威力は倍」
    「ま、まさか……」
    「いくぞ、まふまふ!」
    「タチェ!」

    「 [とっておき] だ!」

     オオタチは[でんこうせっか]を使い、一瞬で距離を詰めて相手の懐に潜り込む、そこから次なるワザを連結させて発動させる。
     オオタチは全身に黄金の輝きを身に纏い、相手の頭上に向けてキラキラと光る尻尾を振り下ろす。
     間に合わないと判断し、ゾロアークは速やかに[まもる]を展開して、その攻撃を迎え受ける。

       ゴシュッ

     ファンシーなワザエフェクトからは想像ができない、鈍い音がする。この状態でのとっておきの威力は420、そこからワザの連結の減衰によって威力が下がっているので、今回はまもるでギリギリ防ぎきれたが、素の威力ならばまもるすら貫通できるだろう。

     だが、そこで終わりではない。
     まもるを使ったことで、生まれたその隙。
     そこをオオタチは逃しはしないっ!
     空中でくるっと一回転をして、煌びやかな金色の輝きをそのままに、二発目の[とっておき]をゾロアークの鳩尾(みぞおち)を目掛けて、まっすぐ叩き込んだ!


      [No.4014] Re: バトル描写書き合い会 投稿者:じゅぺっと   投稿日:2017/07/07(Fri) 20:25:32     102clap [■この記事に拍手する] [Tweet]


    「お前は辻斬り小太郎の噂を知っているか?」


     とある小さな町のポケモンセンターにやってきたトレーナーに、白衣を着た男が声をかける。この町に入り、パートナーのオオタチを回復させるために預けたトレーナーの少年セントはつまらなさそうに返事をした。

    「何それ、そいつを振ん縛って捕まえてくれば謝礼でもくれるの?」
    「……人の質問に質問で返すなと学校で教わらなかったみたいだな」
    「俺トレーナーだから学校とか行ったことないしー」

     イライラしたような白衣の男の声にセントはあっけらかんと答える。舌打ち一つした後、男は続けた。

    「捕まえて警察に持っていけば金にはなる。だが俺が言いたいのはそいつはトレーナーを斬る奴だから気を付けろってことだ」
    「へえ、見ず知らずで教養のない俺のこと心配してくれるんだ?」
    「そんなわけねえだろ。ここ二ヶ月で旅の途中でこの町に訪れたトレーナーが五人死んでる。あまり流れ者に死なれるとこの町自体に変な噂が流れるし遺体を片づけるのも面倒だ」
    「ふーん。まあ普通の人にとっては怖いよね」
    「ああ、今もこの町にトレーナーを殺した奴がいるかもしれないと怯える奴らも多い」
    「うわーいかにもホラーとかでありがちー」

     セントはへらへらとパートナーの回復を待ちながら答える。旅のトレーナーが何らかの理由で死んでしまっても自己責任だしそれを利用して襲うやつもいる。だからトレーナーにとっては珍しくもない。

    「でもさ、辻斬りナントカってことは全員刀とかで切られてたの?」
    「いや、刀じゃねえ。死んだ奴らの体には鋭く一閃、獣の爪による切り傷があった。それなのにポケモンの毛みたいな痕跡がねえ」
    「おっさんやけに詳しいね?」

     セントはそう呟いた。白衣の男はまたため息を吐く。

    「……俺はこの町唯一の医者なんだ。死体を運んで埋葬するなら男手もいるし、ずっと駆り出されてる。うんざりだ」
    「へー、ご苦労さま」
    「だからお前が犠牲者にならんようこうしてわざわざ声をかけてやってるんだ。感謝の一つくらいしたらどうだ」
    「はいはい、ここで俺がお墓作ってもらうことになったら感謝しまーす」
    「ちっ……縁起でもねえこと言いやがる」

     ポケモンセンターのジョーイさんに番号を呼ばれて回復したオオタチの入ったボールを受け取る。セントは話をした医者に何の興味もなさそうに立ち去ろうとした。その背中に、男が声をかける。


    「いいか、辻斬りはポケモンを操る奴の仕業だ。そういうポケモンを持ってるやつに会ったら十分注意しろよ」
    「おーしダチ。すっかり元気になったなー」
    「聞いてねえ……」
     
     ため息を吐く医者に一応セントは振り返ることなく右手をひらひらと振り、ダチとニックネームをつけたオオタチを連れてポケモンセンターを出る。ただ旅の途中で寄っただけの町だったし、こういう話を聞いて長居するつもりもなかった。適当に昼食を取ってしばらく足を休めた後、次の街へ行くために草むらへと入る。

    「おーい!そこの少年、バトルしようぜ!」
    「!」

     あまり人通りのない道だったため周りに注意しつつも気軽に歩いていたのだが向こうから歩いてきた男に勝負を仕掛けられる。トレーナーとトレーナーが目を合わせたらそれはバトルの合図。断ることは許されない。

    「……ああいいよ。ちゃちゃっと俺が勝つけどね! 行くよダチ!」
    「オオンッ!」
    「余裕だな、楽しませてもらおうか、出てこいランクルス!!」

     オオタチが長い体をぐるりと丸めた隙のない体勢を取り、ランクルスがすとんっと軽い音と立てて着地する。プルプルとした液体の中に入った胎児のようなポケモン、ランクルスは念力や拳を操り戦うなかなか強力なポケモンだ。でも相手を切り裂くような技は覚えない。 

    「オオタチか……割とよく見かけるポケモンだな。いかにも少年らしい」
    「馬鹿にしないでほしいな。俺のダチはそんじょそこらのオオタチとは違うからね!」

     オオタチはどの地方にもいるノーマルタイプの進化系の一匹でありその中でも能力は低いと言われている。セントはそれを知ったうえでただ一匹の相棒として連れ歩いているのだ。そこには、彼なりの揺るがない自信がある。
     
    「それじゃあ見せてもらおうか、行けランクルス、『ピヨピヨパンチ』!」
    「ダチ、『突進』!」
    「オオッ!」

     相手のポケモンが特殊な液体でつくられた腕を振り上げて向かってくるのをオオタチは突進で迎え撃つ。ランクルスはスピードが遅いポケモン。腕を振り下ろす前にオオタチが本体へと一撃を入れる方が本来早いはずだ、しかし。

    「躱せランクルス!」
    「!!」
    「そのままやれ、『サイコキネシス』!!」

     ランクルスの体がオオタチをすり抜けるように突進を交わしてさらに前に出る。そのまま肉食獣のような速さでオオタチから距離を取り、セントの目の前へ向かう。そして振り返りオオタチの方を向き直して攻撃を仕掛けようとするのを。セントは不敵に嗤って言った。


    「やらせねえよ、辻斬り野郎」

     
     まっすぐ突っ込んだはずのオオタチが、細長い体でとぐろを巻きながらセントの盾になった。ランクルスは指示に反して念力など使っていない。使われたのは鋭い爪で相手を切り裂く――『辻斬り』だ。防御姿勢を取った細長い体が浅く切り裂かれたものの大したダメージにはなっていない。相手の男とポケモンが驚く。その隙を見逃さず、セントは指示を出す。

    「ダチ、『捨て身タックル』!」
    「オオンッ!!」
    「ゾアァ!?」

     丸めた体を伸ばしながらの強烈な一撃に獣の様なうめき声をあげ相手のポケモンは大きく吹き飛ばされる。それはもうランクルスではなかった。ダメージを受けると同時に緑色の液体に包まれた体が真っ黒な獣へと変化し、化け狐ポケモンであるゾロアークになる。

    「失敗したなおっさん。ゾロアークの特性『イリュージョン』で姿は相手を切り裂く攻撃とは無縁のランクルスにして警戒を解いたつもりだろうが、いくら姿をそっくりに変えても地面に降りた時の音は消せねえ。そしてランクルスは宙に浮いたポケモンだ。最初っからあんたのポケモンがゾロアークってばればれなんだよ。まあ、他にもわかった理由なんていくらでもあるけど」

     だからセントは最初の攻撃で『突進』を命じた。そもそもオオタチは技としての『突進』を覚えない。セントが『突進』を命じたらそれは『影分身』で偽物を作ってそれで突っ込ませろという合図だとセントとダチは決めている。そうすることで迂闊にポケモンとの距離を離したと見せかけ、相手の化けの皮が剥がれるのを待ったのだ。

    「ちっ……小賢しいガキが……」
    「はいはい小悪党のテンプレ台詞お疲れ様。それで? 俺に直接辻斬りしようとしてくれたのはどう落とし前つけてくれんの?」

     セントは自分に向けて明確な殺意を向けた辻斬り男ににやにやして言った。ポケモントレーナーの旅には危険がつきもの。これくらいの事でビビっていてはやってられないとセントは思っている。相手は顔を青ざめさせながらも殺意を緩めず激昂する。

    「黙れ……てめえはここで死ななきゃいけねえんだよ! ゾロアーク、あのガキを殺せ!」
    「全く、そんな風に殺気を見せるからばれるんだよ……ダチ、いくよ」

     ゾロアークが本来のしなやかな動き、鋭い爪を槍のように構えながらセントに迫る。今度は真正面から切り裂くつもりかとオオタチは慌てず再び『とぐろを巻く』姿勢を作って相手の攻撃に備えた。体を丸め防御、伸ばす勢いをくわえることで攻撃時に素早さを上げることが出来る万能の体勢。しかしゾロアークはセントとオオタチから直接体の届かない距離で急停止し、口に力を蓄える。セントがはっとしたが、既にゾロアークの口にはその種特有の一撃が蓄えられている。

    「『ナイトバースト』!」
    「ちっ……! ダチ、奥の手を使え!」

     オオタチが一瞬のうちに動いた後、ゾロアークの口から暗黒の衝撃波が放たれる。オオタチとセントにダメージを与えつつも両者の視界を月も出ない闇夜のような黒に変えて視界を奪う。セントもオオタチの瞳は焦点が合わず、ゾロアークを捕らえられていないと辻斬り男は判断し、ゾロアークに止めを刺させようとする。

    「これは俺の復讐だ……止めだゾロアーク、『辻斬り』でこいつを殺せ!」
    「ゾアアア!!」

     ゾロアークの鋭い爪がセントの喉を切り裂こうとする。しかしその腕が降りぬかれることはなかった。体に触れるほんの手前で、腕が止まり動けない。辻斬り男がゾロアークにもう一度命じる。

    「ビビるんじゃねえゾロアーク! これは俺達の復讐なんだ。こいつを殺さなきゃだめなんだ! お前だってわかってるはずだろ!」
    「ゾアアア……!」
    「ゾロアーク!!」

     辻斬り男の必死の訴えにもかかわらず、ゾロアークは動けない。人間の体などどこであろうと易々と切り裂ける鋭さを持った爪は、セントの体に食い込むことはなかった。目の焦点は合わぬまま、次のセントが放ったのは命乞いではなくやはり嘲笑だった。


    「そんなに吼えるなよおっさん。こいつは動かないんじゃねえ。動けねえんだよ」
    「……!! 急げゾロアーク、間に合わなくなる!」
    「もう遅え! ダチ、『捨て身タックル』だ!」

     視界が効かなくとも、すぐそばにいる獣の気配を感じ取れないオオタチではない。とぐろを巻いた姿勢から二度目の『捨て身タックル』でゾロアークを吹き飛ばす。動けない体勢から腹に痛烈な一撃を食らい、ゾロアークは仰向けになって倒れた。

    「あ……あ……何故、だ……」

     この世の終わりのような顔で絶望する辻斬り男に、セントはようやく回復し始めた視界で無様な相手を見る。そして肩を竦めて説明した。

    「こいつは単純な『トリック』だよ? 俺のダチには最初から『後攻のしっぽ』を持たせてた。こいつを持ったポケモンは絶対に後攻めしか出来なくなる。こっちが攻撃してないのに自分から攻撃することができない。あんたのゾロアークは『気合のハチマキ』を持ってたよね。『ナイトバースト』を使われる直前に入れ替えてそっちから攻撃できなくしたってこと、わかったぁ?」

     オオタチの特性は相手の道具がわかる『お見通し』を持つものもいる。セントのダチがまさにそうで事前に相手が道具を持っているのもわかっていた。また耐久力の高いランクルスに『気合のハチマキ』を持たせることにも違和感があったのも『イリュージョン』を見抜いた要因の一つである。だが男はそんなセントの説明を聞いていない。ゾロアークをボールに戻すことすら忘れて腰を抜かし、それでも後ずさってセントから逃げようとしている。

    「まあそれを気取られないように『とぐろを巻く』のポーズを取らせて相手の出方を伺ったりそもそも先手で攻めることの出来ない道具を持たせて戦う俺とダチが凄いってことで……って、おっさん聞いてるー?」
    「み、見逃してくれ……」

     セントが震えあがった男にやれやれとため息をつく。辻斬り男は必死に逃げようとするが、腰を抜かしていてまともに動けていない。少しずつ距離を離そうとする男に構わず、セントは生意気な笑顔を浮かべて言う。

    「ダチは肉食だけどあんたみたいなおっさんを取って食ったりしないって。これくらい慣れてるし見逃してあげるよ」
    「ほ、本当か……」
    「うん本当本当! 俺って優しいなあ。なあダチー」
    「オオッ!」

     屈託のない笑みでオオタチを抱きしめるセント。命は助かったと思いようやく少しは安心したのか辻斬り男は立ち上がりセントから背を向けて逃げ出した。二人の距離が離れ、そして。


    「……って。正体知ってて突っかかってきたくせにんなわけねーだろバーカ」


     無防備に向けられた背中を、まっすぐに伸びた真っ黒い爪が切り裂く。それはゾロアークのものでは勿論ない。セントのオオタチが『シャドークロー』で伸ばした影の爪だった。背中に一直線、刀で切られたような大傷を受けて男は倒れる。もぞもぞと動いて何かを訴えるが、既に致命傷だ。セントもそれがわかっているから、助けることもせず何かそれ以上声をかけることもない。

    「それにしても笑っちゃうよなーダチ。なんだよ辻斬り小太郎って。小太郎どっから来たんだよ。俺そんなだっせえ名前じゃないのに」
    「オオッ?」

     オオタチはセントがポケモンセンターでした会話を知らないので首を傾げる。それが可愛くてセントは頭を撫でてやった。己のポケモンに人を斬らせて、そのことに何の感慨もなく。

    「そんな噂が立ってるなら、この町に寄るのは最後にした方がいいかなあ。そろそろ別の地方に行ってみるのもありかな? さて、お前も飯食ってこい。ロコンならともかくゾロアークなんてなかなか食えないからね」
    「オオン!」

     辻斬り男が完全に事切れたのを確認して、セントは男に近寄り金目のものを奪う。しかし大したものは持っていなかった。財布のお札だけ抜いて自分の懐にしまう。オオタチの見た目は愛らしいが生態としては完全に肉食だ。意識を失い倒れたゾロアークを、臓腑の詰まった腹から食べていく。パートナーの食事の間、セントは切られて死んだ辻斬り男の顔を見て呟く。

    「復讐って事は、俺がこの前殺した奴の家族か何かかな? まあ、どうでもいいけどさー」

     言葉に明るさと生意気さを併せ持つ少年、セントこそがここ二ヶ月でトレーナーを切り殺した張本人だった。男の顔を見て今まで殺した奴と似てるやつがいないかなと考えてみたのだが、そもそも今まで殺した相手の顔を覚えていないことに気付きやめる。

    「あのお医者さんもまた苦労することになるねー。今まで片付けありがと。そしてさよならっ!」

     セントはにこりと笑って、さっき出た町の親切な医者に向かってするつもりで敬礼した。まさか彼も警告した相手が辻斬り小太郎張本人だとは夢にも思わないだろう。食事を終え、血まみれの身体で帰ってきたダチを用意したタオルでくるんで血を拭いてやりつつセントは旅を続ける。パートナーのオオタチ一匹と、あてどなく誰かを殺める日々を。

    「たまには返り討ちも悪くないけど、やっぱり自分から行く方が性に合ってるなあ……次の街ではどんなトレーナーを狙おうかな?」
      







     


      [No.4013] バトル描写書き合い会 投稿者:あきはばら博士   投稿日:2017/07/07(Fri) 20:16:01     80clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    Twitterで突発的に行った【バトル描写書き合い会】の作品投下スレッドです。
    指定されたポケモン同士のバトルを1週間で書き、同じ対戦カードで作者ごとにどれだけの違いが出るのかを楽しむ企画です。

    ルール
    ・オオタチVSゾロアーク の勝負を書く
    ・シングル1VS1のトレーナー戦で書く
    ・自分らしさが出ていればどう書こうが自由

     任意事項
    ・オオタチのトレーナー名はレットもしくはセント
    ・ゾロアークのトレーナー名はコタロウ
    ・ゾロアークが何に化けているかは自由


      [No.4012] イリュージョン・アクト 投稿者:きとかげ   投稿日:2017/07/01(Sat) 00:16:52     63clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

     ――この町には、ゾロアとゾロアークのみが所属する劇団があるらしい。
     まるで人と見分けがつかない外見と演技。イリュージョンで彩られる演出の数々。
     劇場を訪れた観客は、夢幻のようなひと時を過ごすであろう。

    「そこのチケットを貰った」
     と上司が言った。
    「貰えるものなんですか、それ」
     とキランは一度は驚いてみたものの、目の前の上司はゾロア使いと呼ばれる人である。チケットを貰っても不思議ではない。
    「そこのゾロアは私が育てたから」
     そんなところだろうと思った。
    「二枚、もらった。この後空いてたらいっしょに行こう」
    「いいですよ」
     キランが安請け合いした後で。
    「もしも、チケットを貰ったのに行かなかったら、大変なことになるからな」
     そう言って、上司はすっと目を細めた。
    「大変なことって」
     キランが唾をのむ。
    「具体的に、何が起こるんです?」
    「劇団のゾロアとゾロアークたちが、一斉に」
    「一斉に?」
    「スネる」

     ◇

     演じるは幻影劇団、演目はかの有名な『ロミオとジュリエット』。
     愛し合う二人は家のために結ばれない。バルコニーから愛を叫ぶジュリエットの姿は幻影と溶け、ロミオは心によぎるジュリエットの姿を振り切ってその場を去る。
     特性“イリュージョン”を最大限利用した演劇鑑賞は、3D映画を生で見ているよう。

     ジュリエットが仮死毒の小瓶を呷る。手から滑り落ちた小瓶が砕け散り、キランの耳元でガシャリと小瓶の割れる音がする。
     青白いジュリエットの体を抱いて、ロミオは慟哭する。冷たい夜の墓場は土の匂いでむせ返る。
     後を追おうとロミオが短剣を自らに突き立てようとしたその時、両家の大人たちが止めに入る。若き二人の悲恋を知った両家は仲直りし、ジュリエットも仮死から起き上がって大団円。

    「こんな話でしたっけ」
    「まあ、いいんじゃないか」
     あの子たちはハッピーエンドが好きだから、と上司は満足そうに笑っていた。


      [No.4011] 自作語りのログとか 投稿者:門森 ぬる   投稿日:2017/06/28(Wed) 23:58:34     196clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:あとがき】 【自作語り】 【ログ】 【ハワイティ杯

     本文終わった所でイラスト入れたかったので返信する形であとがきとか。まずはハワイティ杯お疲れ様でした! ハワイティ杯の参加作を少し改稿したものです。具体的には改行増やしたのと最後の方を少し変えたり。タイトルも変えました。改行する位置これでいいか不安たっぷり。
     あと挿絵的なイラスト描いてみました。改稿したきっかけがその方がイラスト映えしそうだと思ったからなんですけどもね、描いてみたら吹雪かせたせいであまり目立たないという。吹雪の中の光の描写とか私の画力じゃ難し過ぎましてね。まぁ私なりに満足はしてます。キュウコンもイーブイもかわいい!
     ハワイティ杯終了後色々語ってた方々に便乗してチャットで一人自作語りしてましたのでその時のログを以下に貼っておきます。語った事をまとめるのが面倒なもんでログをそのまま。何か質問とかありましたらお気軽にどうぞです〜。


    お知らせ:門森 ぬる(Win/Edge)さんが入室しました。(20:13)

    門森 ぬる:さてハワイティ杯も終わりましたし自作品について適当に語ってみようかと(20:14)

    門森 ぬる:何から語るかなー(20:15)

    門森 ぬる:まぁ自作の感想欄にも書きましたが、浮かんだかっこいいシーン+夏の終わりにの没案+ブイズリョナ案=今作品 的な感じです(20:17)

    門森 ぬる:夏の終わりにの没案は特性がひでりのポケモンが居座るようになったので何とかしましょう的な(20:18)

    門森 ぬる:夏を終わりにする的な解釈をしてみようかなーと(20:19)

    門森 ぬる:まぁそうすると「夏の終わりに」じゃなく「夏を終わりに」になっちゃうという(20:20)

    門森 ぬる:タイトルを「夏の終わりに」にするには夏の終わるタイミングでイベントを起こさなきゃならないなーと(20:20)

    門森 ぬる:それで没(20:21)

    門森 ぬる:で、今回レギュレーションでアローラのポケモン出す必要がありまして(20:22)

    門森 ぬる:アローラキュウコンがゆきふらし持ってるらしいと(20:22)

    門森 ぬる:使い回せるのではないかと(20:22)

    門森 ぬる:で、使い回しましたと。原案の時辻褄合わないなーと考えていた部分もいくつかはこっちなら解決しましたし(20:24)

    門森 ぬる:ブイズリョナ案はキュウコンの尻尾の数とブイズの現時点の数が一緒という事は、つまり尻尾で全ブイズを同時に拘束できるじゃないかと(20:26)

    門森 ぬる:で、キュウコン対ブイズという構図がありまして(20:27)

    門森 ぬる:https://twitter.com/cadomori/status/794768568969629696 モーメント見返しててこのツイートみてそんな案があったの思い出しまして(20:28)

    門森 ぬる:で、夏の終わりにと組み合わせてブイズが村の近くに住み着いたキュウコンを追い払う話になりまして(20:30)

    門森 ぬる:あ、タイトルもブイズリョナ案からそのまま持ってきたんですよね(20:31)

    門森 ぬる:確か 死んだポケモンが進化の石になる話を読む→ゲーム内じゃひらがなだし進化の石を進化の遺志として解釈できるのではないか→ブイズ石進化だし組み合わせてみよう(20:34)

    門森 ぬる:そんな感じで https://twitter.com/cadomori/status/740417216517115905 を経て(20:36)

    門森 ぬる:https://twitter.com/cadomori/status/740417216517115905 まで発展しまして(20:36)

    門森 ぬる:URL間違えた(20:36)

    門森 ぬる:https://twitter.com/cadomori/status/814679349999718400(20:36)

    門森 ぬる:後者はこっちやね(20:37)

    門森 ぬる:そんな訳でイーブイが殺された8匹の力を継いでキュウコンに立ち向かうというのもリョナ案から引っ張ってきまして(20:40)

    門森 ぬる:で、進化後の8匹の力をイーブイにって部分がナインエボルブーストと一緒じゃないかと(20:42)

    門森 ぬる:ハワイティ杯だしナインエボルブーストって事にしてしまえと(20:43)

    門森 ぬる:https://twitter.com/cadomori/status/814057352898834432(20:43)

    門森 ぬる:こんな事も考えてましたし(20:43)

    門森 ぬる:まぁ大筋は大体こんな感じか(20:45)

    門森 ぬる:細かい所は考えてたり考えてなかったり(20:45)

    門森 ぬる:まず改行少ないのはスピード感や疾走感を出す為とかじゃないです。それを意識できる程文章力ありませぬ(20:46)

    門森 ぬる:単に場面として連続的だからってだけです。言い換えるとどこで改行すれば良いのか分からないって事ですね(20:48)

    門森 ぬる:教えて!(20:48)

    門森 ぬる:キュウコンがでかい理由はですね(20:49)

    門森 ぬる:ブイズばりむしゃあさせたかったからでかくしただけです。性癖!(20:49)

    門森 ぬる:>喰われた者 ほぼこの一文を入れる為だけです(20:50)

    門森 ぬる:後はまぁ、辺りを冬にするっていう部分が異常なら大きさも異常にしてみようとかそんな考えもありましたけど(20:51)

    門森 ぬる:ブイズを食わせたかったから大きくしたってのが一番の理由です((20:52)

    門森 ぬる:メタ的理由じゃなく作品内での大きくなった理由としては(20:52)

    門森 ぬる:まぁそんな異常な個体がいてもいいじゃないか位の考え(20:53)

    門森 ぬる:アニポケでもシロデスナ巨大化とかやってましたしそんな感じのノリ(20:54)

    門森 ぬる:食糧もね、あのキュウコンは多分雪食べてれば生きていけるとかそんな感じ(20:55)

    門森 ぬる:ブイズ食う必要も特にないんです。食べる必要ないのに食べちゃうってのもそそりますよね((20:56)

    門森 ぬる:キュウコンが村の側に居ついた理由は一匹じゃ寂しいとかそんな感じ(20:57)

    門森 ぬる:今までも他の村とかで同じ様な事起きたりしてます(20:58)

    門森 ぬる:村と対立してその内村民達が村捨てて逃げてって事が何度も(20:59)

    門森 ぬる:それでまぁ一匹じゃ暇だし他の村へって繰り返して(21:00)

    門森 ぬる:だから交渉とかもキュウコンは楽しんでましたね。むしろ交渉してもらうために居座ってるというか(21:02)

    門森 ぬる:交渉成立したらもう交渉できないじゃないですか。だからどんな条件でもキュウコンは受け入れず決裂してるんですね(21:03)

    門森 ぬる:で、まぁ村民に襲われる訳なんですけどこれもまた楽しんでますね(21:04)

    門森 ぬる:殺しちゃったらその仔はもう来なくなりますし、今回もキュウコンは最初は殺す気なかったんですけどね。力加減ミスってシャワーズ死んじゃいましたと。戦うのは久々だしキュウコンも必死だったし仕方ないね(21:07)

    門森 ぬる:で、一匹なら残りの仔が復讐しにまた来てくれるかもなーと一旦停戦提案するんですけど、ブイズ側がこれを拒否(21:09)

    門森 ぬる:退く気なさそうだしこれなら一匹も何匹も同じかーとキュウコンも生き残る為に加減はやめて迎え撃つ事に(21:13)

    門森 ぬる:で、1対1になって一匹なら考えも変わるかもしれないし、話す余裕もできたのでもう一度問いかけましたと(21:15)

    門森 ぬる:キュウコン側の背景はそんな感じ(21:15)

    門森 ぬる:あ、そうそう、入れたかったけど断念した要素に断尾がありまして(21:17)

    門森 ぬる:最初はブイズが1匹やられる毎にキュウコンの尻尾も1本ずつ減らしていこうかと思ってたんですよ。相討ち的な感じで(21:18)

    門森 ぬる:キュウコンの尻尾の数とブイズの数が同じって所からキュウコン対ブイズの構図にした訳ですし(21:19)

    門森 ぬる:9匹がかりだったのにイーブイ1匹で立ち向かうならこれまでの戦いでキュウコンも弱体化してないとなーって。で、尻尾の数が減ってるのは弱体化として分かりやすいですし(21:24)

    門森 ぬる:ただまぁ、ブイズがキュウコンの尻尾切るイメージが浮かびませんで。もっと致命傷狙うだろうなーと(21:24)

    門森 ぬる:故に断念。無念(21:25)

    門森 ぬる:イーブイがイーブイZを身に着けていた理由は(21:26)

    門森 ぬる:まず仲間がどっかでそれを見つけた訳ですよ。そして使い道が分からない。ただの飾りだろう。まぁ綺麗だし持っておこう、と。(21:28)

    門森 ぬる:そしてある日、飾りじゃなく何か使い道があるのかもしれないと気紛れに思ったエーフィが念の為それについて未来予知しまして、イーブイの胸元で輝きを放っているのが見えまして(21:32)

    門森 ぬる:じゃあとりあえずイーブイにお守りとして持っててもらおう、と。いつどこでどんな効果があるのかは分からないけど(21:33)

    門森 ぬる:それでイーブイは首飾りを付ける様になりました、と。Zリングはないです。人間がいない世界観ですし(21:35)

    門森 ぬる:あ、そうだ、提出後に思いついて改稿で変えようと思ってるのがナインエボルブーストの描写(21:37)

    門森 ぬる:それぞれの輝きが進化形の尻尾の形を成して九尾のイーブイみたいな感じになると映えるなぁと(21:39)

    門森 ぬる:ナインテイルブーストに改題も視野(21:39)

    門森 ぬる:そうした時問題はサンダースよね。あの仔尻尾あるのかしら(21:40)

    門森 ぬる:どっからどこまでが尻尾なのやら(21:41)

    門森 ぬる:まぁもうナインエボルブーストの解釈を変えちゃってるしもう少し変えても大丈夫やろと(21:43)

    門森 ぬる:最初はキュウコンの大きさや現れた時期を十数倍だとか数か月前だとかでぼかして書こうと思ってたんですけどね、書いてる時にせっかくだから9に揃えてみようって感じでそうしたので(21:46)

    門森 ぬる:タイトルに八って入ってるのが何かもやもやしてましてねー(21:47)

    門森 ぬる:あ、そうそう、死ぬ順番は シャワーズ→エーフィ→ニンフィア→リーフィア→ブースター→ブラッキー→サンダース→グレイシア の順です。(21:50)

    門森 ぬる:自分で考えるのも面倒なんでナインエボルブースト使用時の登場順かその逆順にしてみようと(21:52)

    門森 ぬる:それで登場順調べまして、シャワーズとグレイシアどちらの場面がイメージしやすいかなーと考えてグレイシアの方だと(21:53)

    門森 ぬる:それで登場順の逆に決定しました。(21:54)

    門森 ぬる:あとは作品の後の場面についてかなー(21:55)

    門森 ぬる:どちらが勝つのかは決めてないです(21:56)

    門森 ぬる:まぁイーブイ君が勝つ流れですけども、それでも敵わない絶望感とかもそそるじゃないですか?(21:58)

    門森 ぬる:まぁイーブイ君が勝ってもバッドエンドな訳ですけども(21:59)

    門森 ぬる:http://ouroporos.tumblr.com/post/76724671528/numas-smell-everywhere(22:00)

    門森 ぬる:こんな感じでね? みんな死んでしまったってのを噛み締めて泣き崩れて欲しいなって(22:01)

    門森 ぬる:勝って一匹で村に戻って村民に迎えられる訳ですけど(22:03)

    門森 ぬる:村の仔の「よかった」って言葉につい「よくない!」って声を荒げたりして欲しい(22:04)

    門森 ぬる:まぁ勝つにせよ負けるにせよその心境とかを描写できる力はないのであの部分で終わったのは最適解だとは思ってます(22:06)

    門森 ぬる:書けるなら書きたいけど書けないもんはしょうがない(22:07)

    門森 ぬる:これでも私が書いた割に大分長くなったんですからー。語った事とかを作品に入れる力が足りないもんでしてね。(22:10)

    門森 ぬる:妄想は捗るんですけどね、アウトプットが無理よね(22:11)

    門森 ぬる:あ、あと書く上で悩んだのがイーブイ君が1匹になっても立ち向かう理由(22:12)

    門森 ぬる:逃げ腰でナインエボルブースト発動させる訳にもいきませんし(22:13)

    門森 ぬる:フェアリーロックで逃げられない様にしようかなーとも考えたんですけど、そうするとキュウコンがフェアリーロックを使う理由が必要になって(22:14)

    門森 ぬる:キュウコンのスタンスはさっき語った感じなもんで矛盾しちゃうなーと(22:14)

    門森 ぬる:そうやって色々考えてた時に http://tear.bokunenjin.com/side-p/comic/log19/p-c185.html これ読み返しましてね(22:16)

    門森 ぬる:もう引き返せない、後戻りできない。これだ、と(22:17)

    門森 ぬる:この心境そそりますよね((22:18)

    門森 ぬる:後は何だろうな、あれか、浮線綾さんの質問(22:49)

    門森 ぬる:1.執筆期間(22:50)

    門森 ぬる:実際に手を付け始めたのは確か2/11だったはず(22:51)

    門森 ぬる:そして投稿は遅刻というあれ(22:52)

    門森 ぬる:2.ネタをどうやって集めたか(22:53)

    門森 ぬる:自分のツイートでいつか使えるかもなーってのをモーメントに纏めてまして、それを見返した位ですかねー https://twitter.com/i/moments/782204472017563649(22:54)

    門森 ぬる:3.実際に執筆した過程(22:55)

    門森 ぬる:んーこれは何を答えればいいんだろう……頭から順に書いていきましたけどそういう事で合ってるのかな……?(22:57)

    門森 ぬる:後はそうだなー、イーブイ達も防寒対策は何かしらしてます。キュウコンの所が吹雪いてるってのは分かってますし。具体的にどんな事をしたかまでは考えてませんが(23:01)

    門森 ぬる:防寒というかまぁ霰も含めてね(23:02)

    門森 ぬる:イーブイ達やキュウコンの技構成とかは全部決めてる訳ではないかなー(23:04)

    門森 ぬる:そもそも技4つまでってのを適用するかも決めてなかったり(23:05)

    門森 ぬる:んーこの位かなー。あと何か語る事あったかなー(23:07)

    門森 ぬる:何か質問とかありましたら是非是非(23:07)

    門森 ぬる:とりあえずなさそうですかな。ではひとまず自作語り終了ですかなー。この後も質問とかあれば受け付けますけどもね(23:20)

    門森 ぬる:では見て下さった方々、ありがとうございました!(23:21)


      [No.3840] Re: みんなが変態だっていうんです 投稿者:匿名希望   投稿日:2015/09/27(Sun) 04:37:50     68clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    蛹を経る進化なので完全変態ですね。
    おめでとうございます。


      [No.3839] Re: どうしたら人間にシンカできますか 投稿者:匿名希望   投稿日:2015/09/27(Sun) 01:23:40     72clap [■この記事に拍手する] [Tweet]


    あなたは本当に「マコちゃん」のことが好きなのですね。質問を読んでとても微笑ましい気分になりました。

    確かに、人とポケモンは結婚できません。でも、それが重要なことでしょうか?
    あなたの望みは「マコちゃん」とこれからも一緒にいることではないでしょうか?
    そのために、結婚というものが必ずしも必要でしょうか?
    人間同士でも、ポケモン同士でも、そして人間とポケモンでも、結婚していなくても一緒にいるひとたちはたくさんいます。

    「マコちゃん」はあなたを嫌いだと言いましたか? 一緒にいたくないと言いましたか?
    「マコちゃん」は泥から生まれたあなたを拾ったんです。あなたが決してきれいでないことも、その時にもうわかっていたはずです。

    あなたは人間に進化できませんし、今の時代あなたと「マコちゃん」がポケモンと人間である以上結婚はできませんが、共に暮らすことはできるはずです。
    自信を持ってください。あなたが「マコちゃん」を好きなように、あなたは「マコちゃん」に愛されているはずですよ。












    もしあなたが、どうしても「マコちゃん」との結婚を望む場合、ですが。
    ポケモンが人間になるのは難しいと言わざるをえません。事例がほとんどありませんからね。
    そこで、「マコちゃん」をポケモンにしてしまいましょう。
    あなたと同じたまごグループふていけいで、人間から変化した例が多数確認されているデスマスが最適でしょう。
    ゴーストポケモンは仲間を増やすことには比較的積極的ですので、デスマスかその進化系であるデスカーンを探して相談してみてはいかがでしょうか。
    ただし、後々後悔することになるかもしれませんので、よく考えてから行ってください。


      [No.3838] みんなが変態だっていうんです 投稿者:トランセル Lv7   投稿日:2015/09/26(Sat) 00:54:00     75clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    みんなが変態だっていうんです (画像サイズ: 32×32 0kB)

    ぼくはこないだキャタピーからトランセルに進化しました。
    そしたらビードルくんやケムッソちゃんが、ぼくのことを変態だ変態だっていうんです。
    いままで友だちだと思ってたのに……。
    最近ケムッソちゃんがどくばりをおぼえたのも、なんだかビードルくんのマネしてるみたいで、ほんとはちょっといやでした。
    ケムッソちゃんにHだと思われたくないです。
    でもぼくはHなことにぜんぜん興味ないし、たぶんこれからも絶対にないと思います。
    それとも、進化ってそんなにHなことなんですか?


      [No.3837] どうしたら人間にシンカできますか 投稿者:ベトベター Lv12   投稿日:2015/09/21(Mon) 22:08:59     77clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    どうしたら人間にシンカできますか (画像サイズ: 32×32 0kB)

    ぼくはドロから生まれたベトベターなのですが、マコちゃんのことが好きです。
    マコちゃんはぼくをひろってそだててくれました。
    これからもずっといっしょにいられたらいいなと思います。
    でもこないだ友達のナゾノクサくんに、ポケモンと人間は結婚できないよっていわれました。
    ぼくはドロだらけなので、いつかマコちゃんがぼくをきらいになったらいやだなと思いました。
    ポケモンはシンカすると姿が変わるらしいから、ぼくもシンカして人間になりたいです。
    どうしたら人間にシンカできますか。


      [No.3836] Re: ごーとぅーバーチャル 投稿者:   《URL》   投稿日:2015/09/18(Fri) 22:17:58     163clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    感想ありがとうございますー!

    > 例のアプリ発表から作品までの速さ……さすがきとかげさん……!
    ネタに走ると速い体質です!

    > 「アプリ」の出現から世界が塗り替えられていく描写が丁寧でぞくぞくします。
    > でもこれ、きっかけが本当に「アプリ」とは書かれてないんですよね……。
    > >  息子がスマホ片手に、しきりに虚空を掻いていた。
    > 冒頭のこの時点ですでに息子にとってポケモンは「アプリ」の中の存在ではないですしね……。
    いえいえ、もしかしたらとってもすごいVRやARかもしれませんよ……?(虚空を撫でながら)

    > 落ち着きを取り戻したあたりで、「アプリ」の介助が必要なくなったということでしょうか?それって言わば次のステージへ進んだってことなのでは……。
    > もしかしてこの医者の真の目的はそれだったのでは(考えすぎでは
    いえいえ、もしかしたら本当に重度の中毒だったのかも(虚空を撫でながら)
    冗談はさておき、アプリ中毒専門の医者というのもそういうことなのかも……? なんて感想を読みながら思いました。ネクストステージ……

    > そもそも、この「アプリ」を作ったのは何者なのか……目的は何なのか……。考えるのも野暮かもしれませんが気になりますね……。
    書いておいてなんですが、ブラックボックスですねえ、そこらへん。アプリの機能はその内に実現しそうではありますが、若干オーバーテクノロジーですしね……

    > とりあえず自分はこれ読んで例のアプリ入れることを決めました(
    ありがとうございます( これはこれとして、アプリの方も面白そうです……! 多分虚空なでなで機能はないと思いますが……思いますが……?

    > そして部屋に引きこもりから謎の廃屋へ(違う
    母さんの一人称が俺に(そこじゃない
    しかし実際こんな状況が続いたら、謎の廃屋行きでしょうね……。

    > レイヤーワールドがじわじわ拡がっていて久方さんは楽しいです(
    広がるレイヤーワールド……! 私も非常に楽しませてもらってます(

    感想ありがとうございました! あっ、餌の時間(何もないところを見つめながら)


      [No.3835] ごーとぅーバーチャル 投稿者:久方小風夜   投稿日:2015/09/16(Wed) 21:03:50     81clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    拝読させていただきました!
    例のアプリ発表から作品までの速さ……さすがきとかげさん……!


    「アプリ」の出現から世界が塗り替えられていく描写が丁寧でぞくぞくします。
    でもこれ、きっかけが本当に「アプリ」とは書かれてないんですよね……。
    >  息子がスマホ片手に、しきりに虚空を掻いていた。
    冒頭のこの時点ですでに息子にとってポケモンは「アプリ」の中の存在ではないですしね……。

    お医者さんの対処も効果ないですしね……そもそもいわゆる中毒ではないでしょうから当然かもしれませんが……。
    >  その内に息子も落ち着きを取り戻し、宿題も言えばきちんと取りかかるようになった。
    >  時々、床近くの空気を手で掻いていたが、私が見ているのに気づくと、すぐにやめた。
    >  医者いわく、「アンインストール後の手持ち無沙汰を埋める行為」だそうだ。これも、時間が経てばなくなっていくのだろう。
    もうこの時点で、「アプリ」は必要なくなってるんですよね……。
    落ち着きを取り戻したあたりで、「アプリ」の介助が必要なくなったということでしょうか?それって言わば次のステージへ進んだってことなのでは……。
    もしかしてこの医者の真の目的はそれだったのでは(考えすぎでは

    そもそも、この「アプリ」を作ったのは何者なのか……目的は何なのか……。考えるのも野暮かもしれませんが気になりますね……。
    とりあえず自分はこれ読んで例のアプリ入れることを決めました(

    >  私には見えないだけで、車道を危なく横断するポケモンがいて、山の中でしか捕まえられないポケモンがいて、遠くのマグマ溜まりでは伝説のポケモンが眠っている。
    >  そう言われても、どれだけ世の中のニュースが書き換わっても、私には、ただのアプリしか見えないまま。
    そして部屋に引きこもりから謎の廃屋へ(違う


    レイヤーワールドがじわじわ拡がっていて久方さんは楽しいです(
    素敵な作品を読ませていただきありがとうございました!!


      [No.3834] どちらかのバーチャル 投稿者:   《URL》   投稿日:2015/09/15(Tue) 03:10:26     154clap [■この記事に拍手する] [Tweet]


     (前書)
     久方小風夜さま作「存在しなかった町」(http://masapoke.sakura.ne.jp/lesson2/wforum.cgi?no=3670&reno= ..... de=msgview)、「薄膜の上の誰かへ」(http://masapoke.sakura.ne.jp/rensai/wforum.cgi?no=1322&reno=4 ..... de=msgview)、586さま作「#142790 「置き換えられた記憶」」(http://masapoke.sakura.ne.jp/rensai/wforum.cgi?no=1235&reno=1 ..... de=msgview)に影響されました。これらも面白いので是非に。



     どちらかのバーチャル

     息子がスマホ片手に、しきりに虚空を掻いていた。
    「こうすると喜ぶんだ」と言う彼のスマホには、この前捕まえたポケモンが映っているのだろう。
     山に行きたい、と急に言われた時はどうしたんだと思ったものだが、リリースされたポケモンアプリのお陰らしかった。そこに行かないと好きなポケモンを捕まえられないとかで、山道の途中で、はしゃいでスマホをトントンして捕まえたそうだ。きっかけはどうあれ、インドア派な息子が少しは外で遊ぶ気になって、古臭い親心ではあるが、やはり嬉しい。
     しゃがんでメールをいじっていた息子が立ち上がった。
    「ユウちゃんたちと公園で遊んでくる」
     門限までに帰るよう、言い含めて見送った。なんでもポケモンバトルは外でやったほうが迫力があって楽しいとかで、息子の約十年の人生で外に出た回数を考えると、ポケモンアプリさまさまである。

     **

    「コイツ、散歩すると喜ぶから」
     そう言って息子はよく外出するようになった。
     そしてその度、私は同じ注意をすることになった。
    「スマホばっかり見て歩いたら、危ない」と。
     息子は、それはもう、通い慣れた通学路でも、楽しそうに歩く。隣にソイツがいるのだと言って、頻繁にスマホ画面でソイツの姿を確かめながら。
    「危ないから、やめなさい」
    「でも、コイツが車道に出て轢かれてたりしたら」
     息子の心配事に、私は思わずふき出した。
    「アプリが轢かれるわけないでしょう」
     息子はちっとも納得しなかった。
    「ユウちゃん、コラッタが轢かれたの見たって」
     それはきっと、アプリが車が映ったのを判断して、そういう演出を入れたのだろう。リアルは結構だが、やりすぎではないだろうか? 苦情を入れるべきだろうか。
     苦情は後で考えることにして、息子のほうは、歩きスマホをするならスマホを取り上げる、と脅して、やっとやめさせた。
     それでも息子は気になるのか、しょっちゅう立ち止まっては、アプリを起動して、ポケモンの姿を確認しているようだった。

     **

    「アプリ中毒?」
     人は色んな物に中毒する。アプリ中毒はスマホ中毒に似ているが、違うらしい。
    「ええ、ユウくんもアプリ中毒で大変なんだって。ポケモンの様子が気になるって、スマホを手放さないし」
     噂好きのママ友は声を低めた。
    「スマホを取り上げたら、すっごい大声出して暴れるんだって。ユウくんいい子だったのに、いやねえ」
     いやと言うわりには、彼女の顔は舌なめずりでもしそうになっている。うちの子もハマってて、心配だわと付け加える声が空々しい。
     そうそう、最近はアプリ中毒専門のお医者さんもいるらしいわよ。ハマり始めに早めに対処したほうがいいんだって。ママ友はそんな情報を置いて去っていった。

     **

     もう学校から帰ってきているはずだ。子供部屋のドアをそっと開く。
     息子は床に座りこみ、スマホを横目で確認しながら、指を空中に這わせていた。
     その腕はなにかを抱える形に曲げられていて、息子にとって大切なものがそこにあるのだな、と見てとれた。
     開いたままのドアを叩く。息子は口を丸く開けて私を見上げた。子供部屋のドアが開けられたのに気づかなかったらしい。
    「宿題は?」
     息子はバツが悪そうに目を伏せ、腕の中のなにかを下ろした。そして、机上に伏せたスマホを名残惜しそうに見てから、のろのろとノートを引っ張りだした。

     **

    「典型的なアプリ中毒ですね」と医者は言った。
     頻繁にアプリを覗かないと落ち着かない、アプリを起動するとひとまず落ち着く、などが典型的な症状らしい。
     これが重度になると、アプリの中のポケモンを優先したライフサイクルとなり、通常生活に支障をきたすそうだ。
    「そうなると、患者をアプリから引き離す際にも、多大な苦痛を生じます」
     医者は脅すように言う。
    「そうならないために、どうすればいいんですか」
     その言葉に、医者は申し訳なさそうに目を伏せて、でも、職業上こういった演技には慣れているといった風情で、
    「アンインストールでしょう」
     と言った。
     診察用の椅子に乗せられた息子が青ざめた。

     **

     ポケモンが見えなくなるから嫌だ、と息子は言った。
     アプリがなきゃ、餌をやる時間も餌のやり方もわからない、と息子は喚いた。
     アンインストールのボタンをタップするのは、指先の電気が触れるだけというのもあって、とても呆気なかった。

     **

     それからしばらく、仕方ないと言えば仕方ないが、息子は元気がなかった。ポケモンの名前らしい単語を連呼して、家の中を探し回るようになった。
     医者が言うには、時間が経てば元に戻るということなので、助言通り放っておいた。
     その内に息子も落ち着きを取り戻し、宿題も言えばきちんと取りかかるようになった。
     時々、床近くの空気を手で掻いていたが、私が見ているのに気づくと、すぐにやめた。
     医者いわく、「アンインストール後の手持ち無沙汰を埋める行為」だそうだ。これも、時間が経てばなくなっていくのだろう。

     **

     リビングの入り口で、息子が見えないボールを拾い上げる真似をした。そして、新聞を読んでいる私を見て、「まずい」という顔をすると、自室に逃げ帰っていく。
     なにがまずいのやら。後で暇があれば確かめよう。
     めくった面の見出しに、私は眉をひそめた。
    『収まらぬ火山活動 伝説のポケモン復活の兆候か』
     新聞記者には重度のアプリ中毒者がいるようだ。ここの新聞はやめたほうがよいかもしれない。
     テレビを点ける。新聞と同じ火山活動のニュースだが、そこにはポケモンのポの字も出てこない。やはり、この新聞はどこかおかしいのだ。
     夕食を作るのに野菜が少ないので思い立って、外に出た。そこにはユウちゃんのアプリ中毒の話を美味しそうにしゃべくっていた、あのママ友がいた。
    「こんにちは」
    「こんにちは。噴火、怖いですねえ」
     当たり障りのない世間話で幕を開ける。しかし、相手は「いい車を買っても、灰で汚れるから大変なんですって」とまたもや舌なめずりしそうな顔になる。いやはや、この人に息子のアプリ中毒がバレなくてよかったなあと心底思う。
     ママ友は舌なめずりの顔のまま、「伝説のポケモンがいたって、いいことないんですのねえ」と言った。
    「え、なんて」
     私は聞き返した。
    「ニュースでやってるでしょう」
     相手は、私が非常識、と糾弾する調子で言った。
    「そういえば」ママ友は話題を変えた。
    「ユウくん、ポケモンと旅に出るんですってね。伝説のポケモンがいるような、危ないところには行ってほしくないわあ」
     うちの子は旅なんて出ませんけど、と彼女は自慢気に言った。

     **

    「僕も、旅に出たいなあとは思ってるよ」
     息子が言った。
    「クラスの子も、旅に出る人多いし。ユウちゃんも行くって言ってるし」
     バツが悪そうな顔をする息子の腕には、またもや透明なボールが抱きかかえられていた。
     いろんな疑問を飛び越えて、私ができるのは、彼の行為の上っ面をなぞることだった。
    「なんで今まで言わなかったの?」
     そう問うと、息子は腕の中の透明なボールを見下ろし、私を見上げ、そして、目を伏せた。
    「だって、お母さん、見えないみたいだし」
     伏せたまつげに半ば隠れているのは、それは間違いなく私への憐憫だった。見えない、お母さん、かわいそう。そんな。
    「それはアプリでしょう」と私が言った。
     彼は悲しそうに、腕の中の空虚と“目を合わせた”。

     **

     夏休みに入る頃に、私は息子の背中を見送ることとなった。
     学校の担任に相談しても埒が明かず、かえって事態は加速して、おたくの息子さん、トレーナーとしての才能がありますよ、旅に出ないなんてもったいない、ということになってしまった。
     大きなザックを背負い、時折、見えない斜め下に向かって笑いかける息子が印象に残った。
     私には見えないだけで、車道を危なく横断するポケモンがいて、山の中でしか捕まえられないポケモンがいて、遠くのマグマ溜まりでは伝説のポケモンが眠っている。
     そう言われても、どれだけ世の中のニュースが書き換わっても、私には、ただのアプリしか見えないまま。


     (後書)
     ポケモンGOたのしみです。


      [No.3832] ステラレタ ページ4 投稿者:おひのっと(殻)   《URL》   投稿日:2015/09/11(Fri) 23:42:13     88clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    ランクルスはかわいいです。胎児みたいなのがかわいいです。


      [No.3831] ステラレタ ページ3 投稿者:おひのっと(殻)   《URL》   投稿日:2015/09/11(Fri) 23:30:26     92clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    ケムッソはかわいいです。「たいあたり」と「どくばり」と攻撃わざがふたつもあるのでお得です。


      [No.3830] ステラレタ ページ2 投稿者:おひのっと(殻)   《URL》   投稿日:2015/09/11(Fri) 23:29:08     88clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    ベトベターはかわいいです。
    姫野かげまる著『ポケモンカードになったワケ』には人間にシンカしたいベトベターがでてきてかわいいです。


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