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池月君のエリス一筋というか、過程一筋なのがよくわかる。
しかし一筋すぎてからまわりしているのが池月君の不器用さ。もう少し上手く立ち回ろうぜw
だから7又なんていう疑惑が湧いてくるんですよ。
メロスもグレますって
しかも気付いたら池月ファンクラブなるものが!
キャンピングカーのお姉さんがライバルにされますg
きっとライバルでs
しかし「私の狐も!」の発言でこの2匹を拾ってくるあたりさすがみーさんといわざるをえない
そして黒蜜が中々上手く店をやれてるようでよかったです
まさかの赤字と借金で、金柑金融にトイチで借りてるんじゃないかと・・・・
明かされる灯夢ちゃんのみたらし好き!しかしみたらしもいいがあんこもいいぞ
だんご三兄弟でも今度はあん団子がいいといってるではないか。
最後に、お年賀を持ってくる池月君でシメるあたり、さすがみーさんとしか思えない。
【うちの狐をありがとう!】
書き出しからラティオス。まってラティオス。妹を心配する家族思いなラティオス。もうここから感想タブンネが壊れた。
ラティオスからの手紙を読んでるのか読んでないのか解らないあたりも、ミーハーで落ち着きの無いむじゃきなラティアスの性格を暗に示しているようで非常に良すぎる。あえて書かないの成功例ですよ本当に。そこから読む方はこのラティアスとラティオスの性格を推し量って、ラティアスが何をしているのかを想像していくのです。
そもそも誰がどうでこうでという細かい描写を読むのも書くのも好きではないタブンネは、こういった推理しながら読むというものが大好きなのですー!ここからwktkとまらないですー!
ちょ、カイリューの郵便屋さんって、ミュウツーに出て来t(
ちょー懐かしいですー!! カイリューがちょー可愛かったの覚えてますー!しかも局長とか!
上司だったんd
ドラゴンタイプでまとまってると思いきや、フライゴン! フライゴンってドラゴンタイプではあるけれど、タマゴグループが虫……そこから考えられる3匹の関係は……起業したばかりの小さな会社で初期メンバーとして奮闘する社員のよう。互いにニックネームつけあうあたり、セリフの形からつっけんどんな感じではあるけれど、仲いいんだなと思うですー!普通、体の特徴でニックネームつけるなんて失礼な真似、相当仲良くないと出来ませんので!
そしてラティオスが救助隊ということがわかってきて、もう頭の中のミュージックが「サンダーバード」に確定。
どれだといわれると解らん、1号か2号じゃないか?
ラティアスねながら空を飛ぶ
特性が浮遊だから出来る離れ技です。きっと、飛行タイプだったら出来ないと思うz
いや、レックウザなら出来る。レックウザに弟子入りするんだラティアス。
そして眠いながらもちゃんと行き倒れているポケモンを発見できるラティアス。マジ優しい。こんな妹がいて、ラティオスは幸せだろ
ってかユキワラシって飴なめてるイメージがあったよ、きっと鬼太郎の見過ぎだね。
実はここまでフライゴンの性別が中性的すぎて解らん状態なのだが、女子会の辺りで確定。女子だったのかー!
じゃあラム酒は実際にあるラムとは違って、やっぱりフルーティーの甘いサワー割りだったりするのかしらん
実際のラムのカクテルも甘いのが多かったようなそうじゃなかったような。
ラティアスめっちゃうわばみっぽいです!!ラム酒の度数なんて気にせずに、がんがんいけるタイプ。
きっと、フライゴンはそんなラティアスを何度か介抱したんじゃないだろうか。だからこそのあのセリフが出てくる。
そしてミーハーどころか移り気すぎるラティアス。それでも飛行タイプ路線は外さない。ラティアスは飛行タイプ萌え。
フライゴンが冷静すぎてラティアスがきゃぴきゃぴの10代女子高生だよもう。嵐のメンバーにキャーキャーいってる女子高生だよ
その後、ユキワラシの話をきいて泣き出すあたりも完全に酔っぱらってます、飲み過ぎ注意。というか翌日マーするコース。
本当、酔っぱらいの相手は嫌ですよねー、最後は何だか解ってないのに飲み続けるくせに。ラティオスに完全同意ですお。
サクラの花びらは押し花よりも、紙にすいた方が鮮やかですー! タブンネ。
ドラゴンタイプに寒いところ厳禁ですー!
と思いきや、ラティアスが一番影響受けないのね。局長もフライゴンも4倍っていう
そしてラティアスが一番の特防なのね。だからラティアスなのですー!
水路が行き交う、でベネチアを連想しまくりました。
いいですねベネチア。ちなみにベネチアではゴンドラが有名ですが、実は結構陸路や橋があるんです。
ラティの両親はそんな街で陸上にしか住めないポケモンたちの船をやっていたんではないかという勝手な妄想が始まりました。
勝手に妄想しながらここから読み進めます。とおいところって、なんとなくダイパのバグの真っ暗世界を思い浮かべました。なんででしょ。
ラティオスの登場により、ああそういうことかとラティアスより先に解る。子供に本当のことを話すことの難しさがよく現れます。
で、局長。
貴方の翼は時空の裂け目を飛べるんですk
それとも、死後は風になって駆け抜けるのですか
後者のがいいなあと思います。多分そうだと思います。そうじゃないと多分あえない。
おいこらラティアス。
聞き分けのない子供、目を離すとすぐどっかいく子供はハーネスつけてつなげとくぞげしげし
どうして吹雪の中つっこんでいくの。
それはラティアスがラティオスの妹で、腕をたためばジェット機なんて目じゃないスピードだからだよ!
あれ、そうしたらカイリュー局長のが速いね。
あれ・・・・?
吊り橋効果による心理的変化は結構持続するというよ!
がんばるんだラティアス!
カイリュー局長のくれた形ない手紙と共に!
もうラティアスかわいいのですー!
みたときははぁはぁいいながら読んでました。すいません、本当にはあはあはしてません。にやにやしてました。
リクエストまでの流れ
自分の使うキャラたちを不幸のずんどこに落としたいから試しに見えないみーさんを突き落としてみようだけどもうすこしいてほしいそしたらみーさんが暗闇を進むというから、すすんでいたらきみはポケモンになっちゃったみーさんはナックラーになった
いぜんナックラーになっちゃった話をかいたそのときのメンバーがフライゴンアゲハントエネコマリルリラティアスだったっていう話をして、ラティアスは兄萌え設定で兄の仇をうつためにきたんだけどエネコのメロメロで一緒になるっていう流れがあるといったらミーハーラティアスを書いて欲しいとおもったからみーさんにリクエストしたんだ。
ありがとうございます!!
イケズキさん、初めまして。ありがとうございます。ボケとツッコミの神髄などほとんど理解せず書き散らしている有様ですが、楽しんでもらえたならよかったです。
うちの親なんかでいうと、ボケの方が相当強いと思われるので、そういった教訓はしつけられませんでしたねぇ(汗
ちょっと羨ましいかな。
これからも少しずつこういったものを書き溜めていこうかと。と、いったところでさっそくミスっぽいのを発見してうなっています。ヒメグマってSSでしか出現しないから、ゴールドくんじゃ不自然ですね。
でも金銀の主人公ってゴールドっていう名前の方が馴染みあるし、
ポケスペみたいにバージョンに関係なくポケモンが出現する世界観、ととらえてくだされば、
この問題は難なく解決できるでありませう。
……お見苦しいところ、すみませんでした。
どうかこれからもよろしくお願いします(多謝
なんともツボにはまってしまった、イケズキです。
すっきりとしたストーリーで、しかもおもしろい! 本物の“オチ”がある!
幼いころから親に「ボケに対するツッコミは最低限のマナーだ」と、厳しくしつけられてきた自分には、ちょっとした懐かしさを感じる程、完成された噺(あえてこの字を使わせていただきましょう!)に思われましたw
「笑いとは緊張と緩和」という、某師匠のお言葉を思いだします。
こんな基本を大切にした漫才を最近見てない気がする……とかちょっと寂しくもなったりw
本当におもしろかったです。こういう作品大好きです。
今後もこういう噺書いていただけたら幸いです。
ありがとうございました。
ではでは……。
そこはとある森の奥にある一軒の小屋。
その中の囲炉裏がある部屋に、金色の九尾狐が一匹いた。
炭火で暖を取りながら、その狐はあくびを一つあげると尻尾の中から何やら取り出した。
何個かの真っ赤に染まったトゲトゲ形であるマトマの実と、『週刊狐』と載っている一冊の雑誌。
白銀色のかんざしを髪に挿している一匹のロコンが表紙を飾っており、『特集! みたらしフォックスガール!!』と隣に書かれてある。雑誌の表紙には目玉となるようなネタは大きめに書かれてあるようなものだが、もう一つ、大きめに書かれてあるネタがあった。
『イケメンアナザーカラーゾロアーク、池月氏! まさかの七又の疑惑!?』
やれやれといった顔でその九尾狐はマトマの実をかじりながら、その雑誌を開いた。
【特集! みたらしフォックスガール!!】
「んーまいっ! やっぱり団子はみたらしにかぎるでー!」
みたらし団子を頬張りながら、笑顔でそう語ってくれるのはタマムシシティに住んでいる、白銀のかんざしをその髪に挿したロコンの灯夢(ひむ)氏である。今回の取材前後にもみたらし団子を頬張り続けているほどの大のみたらし団子好きの狐だ。
なんでも、千歳生きてキュウコンになる為の試練として人間の学校に通っているという事情を持っているらしい。人間の学校ということは、人間の姿に化けて通っていることなのだろうか? だとしたら、折角だから人間の姿も見せてもらうことにした。
「どうや? とっても可愛いやろ?」
背は150後半で、赤茶の髪の毛を腰まで垂らしていて、三本のクセッ毛が先端を丸めながら頭から立っており、白銀のかんざしももちろん装備されている。そういえばその白銀のかんざしはどこで手に入れたものなだろうかと、尋ねてみる。
「これは……って、なんや! ウチのこの姿には感想はないんかい!」
いや可愛かったが、その白銀のかんざしの方が気になると正直に言った結果、鳩尾(みぞおち)にいいのを一発もらった。狐パンチなんてそんな可愛い名前なんてものじゃない、あれは確かに鉄拳だった。うん、エビワラーも真っ青になるぐらいの威力だった気がする。それにしても、見事なパンチだ。趣味は格闘技なのだろうか。
「人間の姿で襲われたときの防衛手段として、覚えたんや。これ一発で大抵の奴を落とせるからなー。格闘技? まぁ、興味はあるけど」
読狐の諸君の中で、Mな方がいたら、彼女のパンチでもオススメしておく。
さて、どんどんとみたらし団子の串が重なってきて、軽く山ができそうなのだが、灯夢氏がそこまでみたらしに溺愛しているというそこまでの過程をぜひ訊いてみたくなった。
「昔から和菓子系が好きだったんや。ほんで、故郷で昔、母さんに連れていってもらった茶屋があってな? そこで食わせてもらったみたらし団子がめっちゃうまかったねん。そこからやったからな〜、ウチとみたらし団子の恋は」
なるほど、みたらしは灯夢氏にとっては思い出の味でもあるということか。
ちなみに故郷という単語が気になったので、それも尋ねてみた。
「みたらしお代わりっ!!」
あまりのみたらしジャンキーぶりに、折角の質問のタイミングが一気になくなった気がする。灯夢氏が何か言ったかと聞き返してきたけど、いえなんでもないです(棒読み)と返しておいた。
このまま灯夢氏がみたらし団子を食べるのを眺めて終わりかな、後は表紙やその他諸々に使う為に写真撮影をさせていただいて、終わりかなと思っていたが、そういえばまだ訊いてなかったことがあった。
学校に通っている(変わった試練だと思ったがそこは突っ込まない方がいいだろう)ということなので、学生生活などを伺うことにした。
「あー。九百九十七歳生きて初めての経験やからな、何もかもが新鮮やで。この前とか体育祭っちゅうもんがあってな、中々楽しかったで? 『にほんばれ』したかいがあったっちゅうもんや。面倒くさいから『あまごい』使わせて体育祭を中止しようとした輩がおったかもしれへんけど、ウチには勝てへんようやったな」
意気揚々と自慢話を語る灯夢氏。
とりあえず会話に花が舞い戻った。良かった、まだページの尺が残っていて困っていた……というのは内緒にしておこう。
このままの勢いで得意な科目とか苦手な科目とかも尋ねてみる。
「うーん、ウチ意外と英語できるで? 後は国語の漢文とか古文、あ、後は歴史系も得意やで! それと体育もな」
そりゃあ、九百九十七歳も生きてきたのだから、現場に居合わせたというのもおかしくなさそうだ。
それにしても英語が得意とは意外だと思った。横文字とか苦手そうなイメージがあったのに。
まぁ、反対に体育はイメージ通りというか、今、ここで見せてる活発そうなところから連想できる。
「苦手な科目は数学や。あの数式に、変な絵みたいなもん? あれ苦手やねん」
試しに『1+1』を出してみた。
「それ数学やなくて、算数やろ!」
見事なツッコミ。
「っちゅうか、おんどれはウチのことを馬鹿にしてるんかぁー!!??」
鳩尾(みぞおち)のおまけはいらなかった。
さて、色々と訊いてきたが、後は普段はどういうところに住んでいて、暮らしているかという、少しプライベートに踏み入った質問もしてみた。
最初は不機嫌で答えなかった灯夢氏だったが、みたらし団子を上げたら、機嫌を直して答える灯夢氏。
うん、この狐、ちょろい。
将来がちょっとだけ心配だ。
「実はなー。一人暮らしする予定やったんやけど、その部屋が偶然ダブルブッキングしてあってな。今、同じ学校に通ってる人間の野郎と暮らしてるねん」
ほう、それは気になる情報。
男と女が一つ屋根の下でやることがすごい気になる。
人間とポケモンで種族が違う?
そう思った人にはシンオウ地方にあるミオ図書館に行って、民族系や昔話の本を漁ることをオススメする。
「あの野郎は本当にたわけっちゅうか、なんっちゅうか……うん、ともかく嫌いや」
このロコンにはツンデレというものがあるんだと勝手に期待しておく。
なおも灯夢氏のグチは続いていく。
「この前もウチのみたらし団子を勝手に食べるわ、尻尾を踏むわ、水浴びしとるところを覗いたりとか、みたらし団子を勝手に食べられたりとか、食べられたりとか!」
どうやら灯夢氏の恋人はみたらしで確定のようだ。
とりあえず、なんとなくだけど、その人間の男にはドンマイと言っておこう。
さて、ここまでみたらし団子を頬張りながら取材に答えてくれた灯夢氏。
なんとかページの尺が足りてきたので、ここいらで最後のセリフを決めてもらうことにした。
そこで、今後の抱負とか訊いてみる。
「今年もみたらし団子を食べ続けるで! それとそろそろアイツに鳩尾決めておきたいで」
みたらし団子が本当に好きな灯夢氏の、これからの活躍を期待している。
……色々な意味で。
(取材狐:ロコモーション☆田中)
【イケメンアナザーカラーゾロアーク、池月氏! まさかの七又の疑惑!?】
我ら狐界きってのアイドル、イケメンアナザーカラーゾロアークの池月さん。
そのルックスと、皆から慕われているという頼りになる性格に、今もなお人気上昇中の方ですが……最近、妻子がいるのにも関わらず、他にも七又をかけているのではないかというスクープを手に入れました。
モテる影には浮気ありなのか、そうなのでしょうか。私は池月ファンクラブ幹部の名にかけまして、このスクープを追いかけることにしました。
一匹目:我ら狐界のもふ神である長老(キュウコン)
「うーむ。そういえば、最近、なんか楽しげにどこかに行こうとしているのを見かけたような気がするのう」
池月氏といえば長老のお弟子さんでもあります。
まさか師弟愛とかあったりするのかが気になり、思いきって尋ねてみます。
「う〜ん? 何を想像しておるんじゃ、娘よ。やましいことでも想像しているのではないじゃろうなぁ?」
流石は長老、こちらの考えはお見通しということですか。
確かにお約束の言葉から借りますと、夜の修行とか修行とか修行とか……いけない、これ完全に長老ペースですよね。
とりあえず、恥ずかしながらも本当のことを言っておきました。
長老に隠しごとは通用しませんし。
「まぁ、ノーコメントで。よろしくのう」
長老のニヤニヤとした顔がとても印象的で意味深な感じがします。
とにかく真実は謎の奥に消えてしまったわけですが、もしかしたらという線は消さないでおきます。
二匹目:トレーナーシュカさんの相棒狐、ひばなさん(キュウコン)
「いけづきさん? あぁ、色違いのゾロアークになら声をかけられたけど……」
なるほど、声をかけられたのですか。
もしかしてナンパというものなのですかね、どんな風に声をかけられたのかとても気になります。
「え、ただ道を訊かれただけだよ? その後はあなたにも、もふ神様のご加護がありますようにって言ってたね」
どうやらナンパをしていない模様なのですが。
これは七又なんてデマだったということなのでしょうか。
「それにしても、あのいけづきさんっていうゾロアーク。すごい目をキラキラさせていたような気がするなー。それと別れるとき、わたしの右手に口をつけてきたよ」
挨拶代わりのキスはキスとしてカウントしません。
べ、別に、う、うらやましいなんて思ってませんからね、えぇ、思ってませんとも。悔しいとか妬ましいとか憎いとか……ちょっとそこのカゲボウズ、いきなり出てきて、私になつかないでください。困ります。
それにしても、それでその池月さんに対して、ひばなさんはなんとも思わなかったですか?
こう、胸がドキドキしたとか、苦しくなったとか、チクチクするとか、熱くなったとかありませんでしたか?
「え、別になかったけど?」
私だったら鼻血の大量放出で死にそうなのですが。
三匹目:トレーナーモモコさんの相棒狐、あかねさん(ロコン)
「……あのゾロアーク? 道を尋ねられたけど」
また道を尋ねるパターンですか。
なるほど、道を尋ねるところから何気なく入っていって、それから一気に相手をおとすというナンパの高等術(?)をしたのかもしれませんね。
「……いきなり手を握られた。正直、嫌だった」
手を握られたなんて、そんな幸せなこと……私だったら狂喜乱舞しているところです。
他にも池月さんに何かされたりのかとかが気になりますね。
「……顔が近かった。邪魔だった……道を尋ねられたこと以外は全部忘れた……あ、でも、これは覚えている」
なんかイライラしているような感じがあかねさんから伝わってくるのは気のせいですか。
無表情なんですけど、なんか殺気を漂わせているのが、こう本能的に察したといいますか。
「……別れぎわに右手にキスをしようとしてきたから……『かえんほうしゃ』を放っておいてやった」
挨拶代わりのキスぐらいはもらってもバチは当たらないと思いますが。
……だから、そこのカゲボウズ!
私は別にうらやましいとか、憎いとか思ってませんから!
舌なめずりをするのを止めてください!
四匹目:キャンピングカーに住んでいるゾロアークさん
「え? 青いゾロアークですか? あぁ、はい。ここにやってきたことありますよ」
また道をお尋ねするパターンなのでしょうか。
私にもそういうシュチエーションが来ればいいのにと思ったのはここだけの話ですよ?
「いえ、いきなり勧誘されたというか、あ、これどうぞ」
おぉ、美味しそうなオレン漬けですね。お言葉に甘えていただきます。
中々、甘酸っぱくてさわやかな味です、もぎゅもぎゅ。
それにしても勧誘という単語も気になるところですが、何の勧誘をされたのかと尋ねてみます。
「えぇっと。もふもふパラダイスに連れていきたいとか言われましたね……まぁ、私にはここで待っている人がいたりとかで離れることはできませんが……その、まぁ、機会があればぜひ行ってみたいなぁって思ったりしました」
なるほど、世界をもふパラにする為に、池月さんは日頃努力していることがうかがえますね。
私も言われてみたいですね……『今宵、あなたをもふりにきました』なんて言われた日にはもう私、昇天しそうです。
さて、そんな夢見ごごち(実際に起きてくれないですかね、本当に)はさておき、今回は色々と訊けそうな感じだったので、他にも何か池月さんに何かされなかったのかを尋ねてみます。
「えっと、とても色男だったんですが……その楽しかったというか、なんというか。」
なんかオレン漬けがやけに甘酸っぱさを増してきた気がするのですが。
なるほど、あなたも私たちの同志ということですか、そうですか。
今日からライバルということで一つよろしくお願いします。
五匹目:神出鬼没の美イタチ、あんにんどうふさん(コジョンド)
「ん? 青いゾロアークでアルか? 確かに会ったでアルぜ」
狐ポケモン以外の方にも手を出すという噂の池月さん。
確かに、異姓が声をかけたくなるほど美しいコジョンドさんですが、なんかやけにテンションが高そうなお方ですね。
「いやぁ、あのゾロアーク、新技を編み出したときにちょうどいいところにきたでアルよ」
新技という単語から思いっきり危険な香りがします。
けれど、ここは思いきって、どんな技なのかを教えてもらうことにしました。
なんか胸が高鳴ってきました。
「よっしゃ、いくでアルぜ、ワタシの波動、うおおおおおお!」
あれ、なんか想像していたのと違うのですが。
あんにんどうふさんは右手を胸に当てて、何やら力を溜めています。
徐々に波動と思われし青いオーラが、キーンという甲高い音と共にあんにんどうふさんの右手に集まっていきます。
「目指すでアルぜ、いすかんだる! 『はどうだん』からの『はどうほう』発射でアル!!』
そう叫んだ後、あんにんどうふさんが思いっきり右手を思いっきり前へと振りますと――。
遠くから地響きを伴う大爆発音が響きました。
「うむ、戦艦に比べたらまだまだ威力が足らないでアルぜ。もっと精進にしなければでアルよ」
技って、そっちの技でしたか。
てっきり異姓を落とす為のテクニックかと思っていた私の胸のトキメキを返してください。
むしろ寿命が縮んだのですが、どうしてくれるんですか。
後、数十センチずれていたら、私に直撃してましたよ、これ。
というか、これ、池月さんにもやったんですよね? すっごい心配なのですが。
「あぁ、あのゾロアーク、もろ受けだったアルよ」
本当ですか、それ。
あの技を受けたらただじゃ済まないような気がするのですが。
「いやぁ、あのゾロアークやるでアルよ。その後、立ち上がってスマイルしたでアル。ここで死ぬわけにはいかないと言っていたでアルね」
流石、池月さん、素敵です、かっこいいです、最高です!
改めて、狐界のトップアイドルの底力を感じさせてもらいました。
「この技はもっと磨いておくでアルぜ。また受けに来て欲しいでアルよ」
だが断っときます、はい。
六匹目:鳩尾キラーの異名を誇る関西狐、灯夢さん(ロコン)
「ん? あぁ、そのゾロアークやったら、声をかけられたときがあるで」
ふむふむ、ここでもまたナンパですか。
何かされたことはないかと尋ねてみます。
そこの隠れているカゲボウズ、変に準備とかしなくていいですから、黙っていてください。
「まぁ、いつもどおりその尻尾をもふらせてください言うてきたから、鳩尾一発殴っておいたわ☆」
ニッコリとした笑顔でそう語る灯夢さんがなんか怖いです。
それにしても、またダメージを負うようなことを。
池月さんは結構、体を張っているのですね。私たちも見習わなければいけないところかもしれません。
「あぁ、そういえば、団子屋に行ってくるから、失礼します! とか言うてたな〜」
ふむふむ、団子屋さんですか。
また気になるフレーズが飛び出てきましたね。
そういえば、七又情報の出所の後一つは団子屋なんですが、一応、尋ねておきます。
「和菓子屋本舗幻想黒狐やで」
なるほど、ありがとうございます。
早速行ってみることにします。
あぁ、それと今回の特集ページへの出演、ありがとうございました。
後輩のロコモーション☆田中が迷惑をかけていたら、すいません。
七匹目:『和菓子屋本舗幻想黒狐』初代店長の狐、クロミツさん(ゾロア)
「んあ? 青いゾロアーク? ナンパ好きな男? あー、それなら、そんな奴もいたかもしれねぇなぁ」
確かに、人に化けていたかもしれませんからね、なんせ街の中ですし。
しかし、我が社の情報網を甘く見てもらっては困ります。
「団子買うまでの順番待ちのときとかに、やけに女に声をかけていた奴がいたっていう話を店員から聞いたぜ」
ふむふむ、もしかしたらここをナンパスポットとしていたかもしれませんね。
なんとか、その店員から聞いたという話の内容をもっと教えてもらうよう頼んでみます。
「えっと、確か、いつでももふもふできる世界に興味はありませんかー、だった気がするなー。まぁ、灯夢ちゃん一筋な俺には関係ねぇ話だけどな!」
ここでもしっかりとお仕事をなさる池月さんがかっこよすぎて、私、失神しそうです。
それで、その後、池月さんはその女性に何かやったりとかしていないとか尋ねてみます。
「ん? 団子買ったら、もう帰っていったぜ?」
あれ、進展なし?
あ、いや、もしかしたら団子をごちそうさせてから落とすという方法かもしれませんね。
きっとそうに違いない。流石にこれ以上の情報はここから出そうにないですが、ここからが本番になりそうですね。
これから、この後の池月さんの足取りをしっかり調べなければ。
しかし、まずは腹ごしらえをしておかなければ。腹が減っては戦はできませんし!
とりあえず、注文しておきます。
「ん? 何にするんだ?」
みたらし十セットよろしくお願いします。
【今回の池月氏の七又疑惑に関する結果発表】
とりあえず、今回の池月さんの七又疑惑に関する結果発表をしますと。以下の通りになります。
・長老とは深い深い深い師弟愛があるかもしれない。
・ひばなさんにその気はないらしい、ただし池月さんはどうだか不明。
しかし、アリかナシかと言われたら、ナシの可能性が高い。
・あかねさんは全くその気はないらしい、ただしこれも池月さんはどうだか不明のまま。
しかし、アリかナシかと言われたら、ナシの可能性が圧倒的に高い。
・キャンピングカーのゾロアークさんはなんかトキメいている感じ。
このままうまくいけば池月さんと進展があるかもしれない可能性アリ。
・あんにんどうふさんは問題外、強いて言えば、あの技は色々な意味で危険。
・灯夢さんは全くその気はないらしい、ただしこれも池月さんはどうだか不明のまま。
もしかしたら、クロミツさんとのガチバトルは免れない可能性アリ
・『和菓子屋本舗幻想黒狐団子』で団子を買った後、誰と交際したのかは不明。
ただいまその件に関しては情報収集中。
以上のようになります。
ということでますます謎ばかりが深まっていくという今回の結果となりました。
池月ファンクラブ幹部として、この雑誌の池月さんに関するページは私が担当となっているのですが、ファンとしては池月さんの名前が広がって喜んだり、モテモテな感じが取材を通して分かってちょっとジェラシーを感じたりで、複雑な心境です。
まぁ、この心境に関しては私に限った話じゃないですけどね。
奥さんとか特に複雑な心境を持ちそうですし。
さて、今回はここで筆を置かせてもらうことにします。
また池月さんの特集のときを楽しみにお待ち下さいね。
池月さんファンクラブ幹部の名にかけて、全身全霊、スクープさせてもらいますから!
あー、みたらし団子うめぇーです。
あ、ちょっと、そこのカゲボウズ! 残りの一本を横取りしないでください!
というか、まだいたのですか、この子っ。
(取材狐:佐山雅 きゅう(さざんが きゅう))
やれやれ、もてるのも大変なものだと思いながら九尾狐がマトマを片手にのんびりと『週刊狐』を読んでいると、玄関の方から声が聞こえた。
九尾狐がその雑誌を再び尻尾に入れて、玄関の方に向かうと、色違いのゾロアークが何やら包みを持ってそこに立っていた。隣にはそのゾロアークの妻であるキュウコンと息子のロコンがいる。
なんでもその色違いのゾロアークが言うには、おいしい団子屋さんでみたらし団子を買ったから一緒にお茶をしましょうということで、九尾狐は尻尾を振りながらその親子を招き入れた。
囲炉裏がある部屋で、山吹色に染まった和風な小皿にみたらし団子を置いて、和菓子に合いそうなせん茶も用意すると、九尾狐達は食べ始める。
中々いい焼き具合で、タレも申し分ないと、九尾狐の喉がご満悦だと鳴いたときだった。
色違いゾロアークが、隣に座っていた妻の口元についた団子粒をペロっと舐めて取ってあげた。
色違いのゾロアークは優しく微笑んで、妻は頬を赤くさせながら困ったような笑顔を浮かべる。
「妻一筋なのは分かるが、いやぁ、モテるというのも考えものかもしれんのう。大変じゃよな、池月」
それは心の中で呟きながら、その九尾狐は温かくその夫婦を見守っていた。
この夫婦がずっと幸せでありますようにと。
そう願いながら。
【おまけ】
タマムシシティの街外れの方にある楓荘というアパートの一室にて。
「なぁ、お前。どうしたんだ、その団子の山」
「取材させてやったら、ほうびにもらったんや、やらんで?」
同居人が驚いている様を楽しむかのように、そのロコンはニカっと笑っていた。
【書いてみました】
『週刊狐という雑誌で、灯夢ちゃんの特集や、池月さんの七又疑惑特集を書いて欲しい!』という、akuroさんのリクエストを受けまして、今回、書かせてもらいました。灯夢さんの特集もそうですが、まさか池月君の浮気疑惑話を自分が、ここで書くときがやってくるとは想像にもしなかったです。(ドキドキ)
えっと、チャットとかで危ないフラグを建てて(今回の物語も少し、怪しい部分がありますが)しまっている自分ですが、やっぱり『もふパラ』の作者として、そして個人として、池月君とエリス夫妻には幸せになってもらいたいなぁと思って、あのような話の結びとなりました。池月君はエリスが一番なんです! と私からも(説得力は保証できませんが)言っておきますね。ただし、フラグ建築士という名前をいただいた以上、またチャットとかで私も危ないフラグを建ててしまうかもしれませんが、そのときはよろしくお願いしますね。(苦笑) まぁ、池月君を強くさせる為のものだと思っていただければ(以下略)
それと、灯夢さんに関してはネタばれにならない程度にああいった感じとなりましたが、いかがだったでしょうか?
楽しんでいただけたら、幸いです。
ちなみにロコンが千歳超えるとキュウコンになれるという勝手な設定は、千年の時を経た狐は九つの尾を持った天狐になるという、昔に読んだどこかの書物からきています。
改めて、リクエストをくれて、ひばなさんとあかねさんを貸してくれました、akuroさん。
和菓子屋本舗幻想黒狐、クロミツさん、キャンピングカーのゾロアークさんをお借りしました、きとらさん。
自分を信じて、池月君を預けてくれた、イケズキさん。
そして、ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました!
この場でありますが、これからも『もふパラ』をよろしくお願いします。
それでは失礼しました。
(追伸:作業中、『池月』君という文字を『流月』さんと空目しまし(以下略))
【何をしてもいいですよ♪】
【池月君はエリス一筋なんです♪】
※タイトルですが、テレビドラマシリーズとは何の関係もありません。
またそれらのものを何ら想起させるものでもありません。
他に良いものを思いつけなかっただけです。
ただの短編二つです。
■ノー進化?
ゴールドがコガネシティの歩道を歩いていると、ジムリーダーのアカネちゃんとぱったり出くわした。
「おおー、ゴールドやないか。久しぶりやなー」
「あれ、アカネちゃん。奇遇ですね」
「ほんまや。うち、今日は暇なんやけど、ゴールドも暇そうやね」
「まあね」
「うち今からコガネデパートに行くとこやねん。今日のくじびきの一等、『からげんき』の技マシンやったやろ? 今日こそ絶対当てたるねん」
「そっか。今日は金曜だから」
「ゴールドは今からどっか行くとこなん?」
「別に行くあてとかはないんですけどね」
ゴールドは言いながら後ろを振り返る。そこには一匹のヒメグマがいる。
「ちょっと、こいつのレベルアップのためにあちこち草むらを回ってるところなんです」
「あー! 『ちょーだい』やないか! こっちも久しぶりやなー」
アカネは嬉しそうに手を差し出した。ヒメグマは甘えてくる。この前見た時より顔付きが若干たくましくなっているように見うけられた。
ゴールドは自分のヒメグマに『ちょーだい』というニックネームをつけている。というのも、初めてほしがるの技を使ってみた時「ちょーだいちょーだい、それちょーだい」とせがんでいるように見えたからだ。
「ちょーだいを本格的に育てることにしたんやな。殊勝なことや」
「でも野生ポケモンとのバトルじゃ、経験値がたまりにくいですね」
「そやな。トレーナーとのバトルに比べたら、やっぱり得られる経験は少ないなぁ」
「まあ、コツコツやっていきますよ。まだトレーナーのポケモンとまともに戦えるような状態でもないので」
「うん、ええ心掛けや。もうちょっと強うなってきたら、うちもどんどん協力したるで」
「ありがとうございます」
「ほなレベルアップ頑張りやー」
ゴールドは帽子を傾けて、アカネちゃんに軽く頭を下げた。
「頑張ります。……さて、と。進化まではまだまだかかるぞ」
そう、ぽつりと呟いて、アカネの前を通り過ぎようとしたゴールドだったが、いきなり後ろから首根っこを掴まれた。
「ちょっと待てや」
アカネちゃんの雰囲気が突如としてアウトローなものに変わっていた。
「アカネちゃん……? どうしたんですか? めっさ怖い顔して……」
「今、何て言うた?」
「はぁ?」
「ちょーだい、進化させるつもりなんやな?」
「えぇ? ああ、そりゃまあ」
「何で進化なんかさせるんや?」
「何でって、強くするためには必要なことだし、こっちにも事情ってもんがあります」
「事情って、何や?」
「いや、そんな事」
アカネちゃんには関係ない、と言おうとして、ゴールドはやめた。アカネちゃんの重圧がそれを許さなかった。
「どういうことか、話、聞こか」
アカネちゃんは親分気質がそなわったように、たくましい声で言った。
***
「何でちょーだい進化させなあかんのや?」
アカネちゃんはもう一度ゴールドに詰め寄った。
「そりゃあ、強くするためには能力値伸ばさないといけませんからね」
「それだけのためにか?」
「もう一つ、あります」
「それは何や」
「ポケモン図鑑のページ、うめたいんですよ」
アカネちゃんは険しく眉をひそめた。
「ポケモン図鑑のページか。そらけっこうなことや」
「でしょう? というわけで、この話はおしまい――」
「やめとき!」
アカネが突然叫んだので、ゴールドは飛び上がった。
「そんな、やめとき、って……」
「なあゴールド、後ろのちょーだい見てみ? こんな可愛いちょーだいには、進化なんて似つかわしくない、やろ……?」
「いやそうでもないと思いますけどね」
ゴールドはあっさり答える。
「こいつ性格がゆうかんなんで、むしろ進化させた方が本来の姿に似合ってるんじゃないですかね」
ゴールドの声に同調するように、ちょーだいがぶんぶんと腕を振り回し、自らの腕力をアピールする。
「あかんあかん! そんな事言うて早まったことしたら!」
「でもそれじゃ図鑑の方は――」
「それやったら改めて野生のリングマ捕まえ! あんたチャンピオンロードにもシロガネ山にも入れるんやろ?」
「……そりゃそうですけどね」
「何か問題でもあるんか?」
「パソコンのボックスがね、もういっぱいになってきてるんですよ。新しい進化ポケモン捕まえるよりも、なるべく小さいのを進化させてかないとすぐ満杯になってしまいます」
アカネは少しだけ言葉に詰まった。
「そら……その気持ちはうちかてわかる。うちのボックスももうすぐいっぱいや。新しいポケモン捕まえられんようになる。でもな――」
アカネはすうっと息を吸って、一息に吐き出した。
「一度ごっついリングマさんになったら、もう二度と元に戻されへんねんで!」
「わかってますって。しかたないです」
「しかたないですませたらあかん!」
「無茶言わないでくださいよ」
「なあゴールド、思い直し。あんた何でそのヒメグマに『ちょーだい』ってニックネームつけたんや?」
アカネに指摘されて、ゴールドはハッとなった。
ちょーだいちょーだい、それちょーだい。
昔、ゴールドはそんなふうに口ずさみながら、ヒメグマのちょーだいとともにジョウトのあちこちを駆け巡ったのだ。
彼のヒメグマはどんどん彼に懐いていった。他の屈強なポケモンと協力して、ほしがるの技が成功した時には嬉しくて喜びの声をあげたものだ。
進化とは、進化という行為は、そういった全ての思い出を無かったものにする行為ではないか。進化してしまったら、ちょーだいが、ちょーだいでなくなるのではないか。人によって捉え方はまちまちだ。だから、進化をさせた方が良い、させない方が良い、という選択肢に決定的な解などないのかもしれない。けれど今のゴールドには、アカネちゃんの言わんとしていることの方が、より正しいような気がした。
「……わかりました。アカネちゃん」
ゴールドは顔を上げて、ちょーだいの方を見た。ちょーだいもつぶらな瞳でゴールドを見返す。
「このちょーだいは進化させないで、新しいリングマを捕まえることにします」
「ええ答えや」
アカネちゃんは満面の笑みでうなずいた。
ゴールドもうなずき返した。
「しかたないですね。じゃあ進化させるのはパソコンに預けてあるブルーの方にします」
「それもあかん!」
おしまい
■グレン島にて
夜明け近くのグレン島は、薄い冷気のヴェールに包まれていた。
昨夜の放射冷却によって奪われた熱は、今では遥か上空、静まり返った世界のどこかをさまよっている。雲一つない暗影の真下では生まれたばかりの潮風がそよいで、寂しげな地表にまで、その音を伝えてくる。
「シロナ、もうすぐみたいよ」
がさごそとテントから這い出してきた影が一つ。
「ふえぇ? もう……?」
這い出してきた影はもう一つあった。
二人は肌寒い薄闇をかいくぐり、海岸線の前に立った。海岸線より向こうには何も見えない。けれども、その裂け目から、朝は昇りつつある。
旅の途上にあったシロナとナナミはグレン島に立ち寄ることにした。
過去に火山の噴火で、そのほぼ全てが灰と化してしまったグレン島。シロナとナナミは言葉もなく、ただただそんなグレン島の哀切な声に耳を傾けた。
日の出の訪れは、思い描いていたよりもずっと早いものだった。いつの間にか、二人の頬は温かく照らされていた。
「この島は、まだ完全には死んでおりませんよ」
二人の隣に立つ者があった。
「あなたは……」
ナナミの方が先に気付いた。シロナもゆっくりとそちらを向く。
「どうも、ナナミさん。お久しぶりです。おじい様は元気でいらっしゃいますか」
「ナナミ、この方は?」
シロナが聞く。
「グレンジムのジムリーダー、カツラさんよ。何度か話したことがあるでしょう?」
ナナミはカツラの方に向き直る。
「カツラさん、こちらこそお久しぶりです。おじい様はまだまだ元気です」
「それは何よりです。私もドクターオーキドも、もうそんなに長く生きられる年ではないですからな」
「そんな事はありません。おじい様も、そしてあなたも元気そうではありませんか」
「ありがとう。ワシもまたこの島と同じ、死の間際にあるように見えて、その実まだまだ持ちこたえているのかもしれませんね」
「この場所へはよく来るんですか?」
シロナが尋ねた。
「ええ、毎週火曜日と木曜日はいつもここへ足を向けます」
「私、故郷がシンオウですからカントーの事情はあまりよく知りませんが……当時は大変だったとうかがっています」
「大変でした」
カツラは首肯した。
「この有様を見てみればわかります。全員避難できたのが不思議なくらいでした。これも全て救助を手伝ってくれたポケモン達のおかげでしょう」
「シロナ、カツラさんは今、グレンジムを復興するために、双子島の洞窟を借りて活動を続けているのよ」
「洞窟を?」
「そう、洞窟の内部をジムにしているの」
シロナは驚く。そんな事は世界で初の試みかもしれない。
「当時のワシはあまりのショックで倒れそうでした」
「死者が出なかったとはいえ、グレンの町は無くなってしまいましたからね……」
ナナミは目を伏せた。
「その通りです。その頃でさえ、ワシはけっこうな年でした」
カツラは昔の自分を、慎重にすくい取るように口にする。
「だんだんよくないことばかりを考えるようになりました。日に日に追いつめられていく自分を遠くから見つめているような、そんな不思議な感覚でした。ワシはこう考えました。どうせ、もう長くはないのだ、と。それならいっそのこと、早々と、この命を終わらせた方がいいのではないか」
シロナがこくん、と息を飲んだ。
「でもね、最後の無茶をやらかす前に、もう一度このグレン島を目に焼き付けておこうと思った」
「カツラさん……」
「グレン島からの眺めはご覧になられたでしょう? ここから見る夜明けは、何ものにも代えがたい美しさがあった。そして力強かった。ワシは今までの事など忘れて、ただただ朝の日差しに見入っていました。自分は何と狭小で愚かだったのだろうと思い知らされもしました。もう一度、一からやり直すことを決めました。それが、今の活動につながっています」
「普通、なかなかできる事ではないと思います」
シロナが感心して言った。
「そんな事はありません。グレン島にいた他の連中も同じ気持ちだったようです。以前、グレンジムにいた者達も一人ずつ帰ってきてくれています。少しずつ、少しずつですが、再生に向かっているのです。あの頃と同じように、何もかもが――」
カツラは空を見上げた。風が微小な砂埃を舞い上げていた。その中心で彼はたった一人だったけれども、シロナとナナミは不安を覚えることはなかった。なぜなら、そっと吹き抜けるその一瞬の中で、彼は穏やかに微笑んでいたから。そのサングラスの向こうに光るのは、かすかな希求をひそませた、ひとしずくの朝露なのかもしれなかった。
「もう、完全に日が昇っちゃったわね」
ナナミが言った。
「本当にね」
シロナが朗らかに調子を合わせた。
木曜日の朝日は、ますます高度を上げていく。これから再び生まれてくるものたちを、優しく迎え入れるかのように。
「ところでお二人さん」
カツラが呼びかける。
「ワシはね、毎週木曜、この島を訪れるトレーナー達と記念写真を撮ることにしているのだよ」
シロナとナナミは顔を見合わせた。
「どうだね? 旅の記念に一枚、ワシと撮っていかんかね?」
シロナとナナミはにっこりとうなずき合って、その微笑みをカツラに向けた。
「「いえ、それはお断りいたします」」
「うおおおーーい!」
おしまい
補足説明すると、
1、ちょーだいはゲーム中、実際にヒメグマに与えたニックネームです。
こっちはリングマに進化させましたが(やっぱりボックスの空きとかが、ね)。
2、カツラの最後の叫びについては(確かこんなだった)
ゲーム中、実際に聞くことができるので
試してみると面白いですよ(電話番号交換の後、木曜日のグレン島→写真撮影)。
【何でもありですよ】
「ああもうハクリューマジ美しすぅぅぅ!!」
カントー地方、マサラタウンの北に広がる草むらで、桃色の帽子を被った少女が突然叫んだ。 周囲に人は見当たらなかったが、近くにいた彼女の手持ちポケモン達は大いに驚いた。
「ぐおお……だからいちいち叫ぶなよモモコ! 耳が痛いわ!」
最初に言葉を発したのは耳を押さえて抗議したライチュウ。 これは彼らにとって日常茶飯事とはいえ、さすがに突然叫ばれたら驚かない方がおかしい。
「だってりゅーがめちゃめちゃ美しいんだもん! らいちもそう思わない!? この美しく青いボディーに輝く綺麗な水晶……」
モモコと呼ばれた少女は瞳をキラキラと輝かせながら、らいちと言うライチュウにハクリューの良さを熱弁し初めた。
「また始まった……別になんとも思わねえよ。 こんなナルシスト野郎のどこがいいんだか……」
その言葉を聞き、モモコの傍らにいたハクリューが、ライチュウの前に進みでた。
「我はナルシストなどではない、単純に美しいだけだ」
「それをナルシストって言うんだよ!」
「なにを言う。 もしやこの美しき我のことが羨ましいのか?」
「はあ!? おまえ、バカなのか? その思考なんとかしろよ!」
「我のどこがバカだというのだ。 理解できん!」
「俺も理解できねーよ!」
ギャーギャー騒いでいる2匹を、モモコはニコニコと見つめている。 その腕の中にはいつのまにかふわふわなワタッコが居た。
「モモコ〜止めないの〜?」
「大丈夫大丈夫! あの2匹はケンカするほど仲がいいってやつだから」
「そなの? じゃ〜あおば寝る〜」
モモコの腕の中で、ワタッコのあおばはいつものようにスヤスヤと寝息を立て始めた。
「おやすみあおば♪ ……うふふ、あおばも可愛いなあ♪」
眠っているあおばを抱きしめながら、モモコはらいちとりゅーの喧嘩に目を戻した。
既にバトルに突入している2匹のポケモンを、少し離れた木陰から見守っているポケモンがいた。
「もう、♂ってどうしてあんなに子供なのかしら……」
呆れたようにため息をつくシャワーズに、隣に居たロコンが無表情で呟く。
「……そーいう生き物なんでしょ。 それより相談ってなに」
彼女……ロコンのあかねは、隣のシャワーズのみずりに「相談がある」と言われ、ここに連れてこられたのだ。
「そ、そうだった……あのね」
「前置きはいいから」
「……実は最近、らいちやりゅーと話すと、緊張してつい思ってることと反対のこと言っちゃうの」
「で?」
「……いや、これはなんでなのかなって」
「ただのツンデレ。 以上」
そう言うとあかねは木に登り、昼寝する体制に入った。
「え……あかね、それだけ?」
「うん」
みずりは呆然としている。
「……ツンデレってなに?」
「自分で調べて」
「調べるって、どう……」
「モモコに聞けば? あたしは寝る。 邪魔したら燃やす」
あかねはキッパリと言い、それっきりみずりが話しかけても返事しなくなった。
残されたみずりは1人呟く。
「……いつものこととはいえ、やっぱあかね怖いなあ」
ーーこれが、彼女達の日常である。
[なにしてもいいのよ]
眩しい朝日を浴びて、目が覚めた。
冬の空気は冷たくて嫌いだ。
起き上がる時に改めてそう思う。
「ママ、パパ、おはよう! あけましておめでとう!」
年賀状を並べていたママが振り向いてにっこりした。
「あらおはよう、チルティーヌちゃん。あけましておめでとう」
「あれ、パパは?」
「お爺ちゃんに貰ったお餅を庭で焼いてるわよ」
ママが説明したらすぐに、パパがお皿に膨れ上がったお餅を乗せて飛んできた。
「おう、おはようチルティーヌ。あけましておめでとう」
「うん、あけましておめでとうパパ」
パパは大きな手の平で私を撫でた。
いつも、パパは砂っぽいにおいがする。
「今年は辰年だね! パパもママも主役だ!」
そう言うと、二匹とも嬉しそうにした。
その時、コンコンとドアが叩かれて、下の方からタツキチの声がする。
「おーい、チルティーヌ!」
急いで窓から飛び出てタツキチの前まで飛んでいくと、やっぱり羨ましそうにした。
「あけましておめでとう、タツキチ」
「おうよ、チルティーヌ。ところで、お前、年越しの瞬間起きてたか?」
「ううん、九時までに寝ないとママに叱られちゃうから……」
すると、タツキチが勝ち誇ったように笑った。
「俺、父ちゃん一緒に起きてたんだ。それで、年越しの瞬間地球にいなかったんだぜ!」
「ええっなにそれ! 宇宙旅行にでも行ってたの!? 確かにタツキチのパパは一七時間で地球を一周できるんだよね……」
「十六時間だ! 父ちゃんは凄げぇんだかんな! っじゃなくて、ジャンプしたんだ」
誇らしげに胸を反らして見せるタツキチを思い切り冷たい目で見る。
「なぁんだ……それだけ?」
タツキチは焦ったように地団駄を踏み、私を指さした。
「まあこの話はいい! 今年は辰年じゃねぇか、俺の時代が来た!」
「それを言うなら私もだよ、タツキチ!」
「ふん、お前ドラゴンじゃないじゃねえか」
「進化したらママみたいなふわふわのチルタリスになるんだもん! タツキチこそ、ドラゴンなら空くらい飛べなきゃ。タツキチのパパみたいにね」
にやにやして言ってやると、タツキチは真っ赤になった。
「う、うるさい! それに、俺は進化しても父ちゃんじゃなくて、母ちゃんみたいなボーマンダになるんだ!」
「ふうん、そう」
「なんだよその反応! 母ちゃんだって格好良いんだぜ、超イケてる。お前こそ、お前んとこの父ちゃんみたいには進化しないだろ、それと同じだ!」
はっとして、私は家を見上げた。
大きな二又の木の上に我が家はある。
「そっか……」
「だろ? お前の父ちゃんも中々格好良い(まあ俺の父ちゃん程じゃないけど)が、チルティーヌがああなったらちょっと気持ち悪いって言うか……」
「聞き捨てならないかも! うちのパパはめちゃめちゃ凄いんだから! ママと恋に落ちたは良いけど住むところが全然違くて、パパは我慢して砂嵐を諦めたんだから! それに、ママとパパのデュエットは最高で、(まあパパは歌うっていうか羽ばたいてるんだけど)すぐに眠くなっちゃうんだから!」
呆れたようにタツキチが溜息をついた。
「眠くなっちゃ駄目じゃねえか……」
そのとき、家の窓からママが顔を出して私を呼んだ。
「チルティーヌ、朝ご飯よ! タツキチ君も食べてく? うちは実家がシンオウにあるから、タツキチ君ところのお雑煮とはちょっと違うかも……」
歌うような軽やかな口調で楽しそうに言うと、ママはタツキチを見つめた。
だけどタツキチはああっと大きな声を出して驚くと、慌てて走り出す。
「俺んちも朝飯の時間だ! 今日は正月だし、豪勢なんだ! じゃな!」
そうしてタツキチは去って行った。
ふんわり飛んで窓から家に入ると、お餅の香ばしい匂いが私を包む。
「わあ、美味しそう!」
パパが新聞を畳んで隅に置く。
ママもお茶を淹れて運んでくると、それぞれの席に置いて、微笑んだ。
「じゃ、食べようか」
三匹が席に着き、パパがいただきますを言う。
うーん、お正月って感じ。
今年の抱負:辰年のうちにチルタリスになりたい!
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
改めまして、あけましておめでとうございます。
なんかふにゃふにゃしてしまいました;
調べてみたら、流石ドラゴン、数が少ないんですね!
結局色々出してしまいましたがww
個人的にはフライゴンが好きです^^
アニポケのAG時代……憧れのシュウさんが手持ちにしていたからでしょうか……ポッ
あと、ジラーチの映画にも出ていました! サトシさんを背中に乗せたり……ポッ
失礼致しましたーっ^^;
【書いてもいいのよ】
【描いてもいいのよ】
【ていうか何をしてもいいのよ】
【お雑煮もぎゅもぎゅ】
『お元気にしてますか。アナタがいきなり働き始めたいと言ってからもう早くも一年が経とうとしています。お仕事はしっかりこなしていますか? 職場の方には迷惑をかけていませんか? お仕事の方が落ち着いてからでいいので久しぶりに会える日を楽しみにしてます。兄より』
手の平に乗っている一枚の手紙を読み終えると、白と赤色を身に染めた一匹のポケモン――ラティアスはワラが敷き詰められているベッドから身を起こします。近くにある木製の小窓を開けると、太陽の光がさんさんと部屋の中に入り込んできます。そこで一つ伸びをすると眠気たっぷりな顔からとびっきりの笑顔に変わりました。
「よっしー! 今日も頑張るですよー!」
ここはポケモンだけが住んでいる、一つの村。
そして、その村の近くにある、海がよく見える岬には一つの建物が建っていました。入り口には『カイリューの郵便屋さん』と書かれてある立て札があります。
「おっはようございますー! カイリュー局長♪」
「あぁ、おはよう、ラティアスさん。今日も一日よろしくね」
「はーい、じゃんじゃんバリバリ働きまーす! あ、今日のポケ新聞ってありますー?」
「あぁ、あるよ。はい、これ。僕はもう読んだから」
「ありがとうございますー! お、救助隊チーム『テラーズ』が大活躍。きゃー! プテラ様かっこいいですー! 流し目なんて最高すぎますー!」
建物の中に歓喜が響き渡ります。その様子を見たカイリューと呼ばれた山吹色の龍はやれやれといった顔で仕事の準備を始めました。
ここはカイリューの郵便屋さん。お手紙などを色々な所に運ぶのが主な仕事です。この郵便屋さんがある村は旅をしているポケモンが多く出入りすることもあり、故郷やお得意先に手紙を送ることも珍しくありませんでした。
「……おはよ」
「あぁ、おはよう、フライゴンさん」
カイリューの郵便屋さんの出入り口から一匹の黄緑色に染まった赤いレンズをはめた龍――フライゴンが眠たそうな目をしながら入ってきました。すると、ラティアスはポケ新聞のプテラが載っているページをフライゴンの顔につけます。
「あ、ライゴちゃーん! 見てくださいですー! このプテラ様すごいかっこよすぎますー! 素敵過ぎますー!」
「……うるさい……耳元で騒ぐな……それより青三角……アンタこの前、色違いゾロアーク様とか言ってなかった?」
「今、時代はプテラ様なのですよー! きゃー! プテラ様素敵なのですー!」
「……局長、カゴティー一杯作るけど、どうする?」
「え、あ、じゃあ、僕にも一杯お願いしようかな」
「プテラ様最っ高ですー!」
プテラに惚れているラティアス、無口っぽいフライゴン、そして局長のカイリュー。
少ないながらも、この三匹が『カイリューの郵便屋さん』を切り盛りしてました。
『最近、ちょっとずつ暖かくなってきましたよね。そちらも春が近づいている頃でしょうか? あまりの春うららに、兄のブームは日向ぼっこになってます。あまりにも気持ちよすぎて寝てしまうことも……いけないけない、寝てばっかりいては。最近、救助隊の仲間にもボーっとしすぎていると怒られたので気をつけなければ。ラティアスも勤務中には寝ないように気をつけてくださいね。兄より』
「ふわぁ……なんか最近お日様が気持ちいいですー。は、居眠り運転しないようにしなければですー」
カイリューの郵便屋さんがある村から少し離れた空の上、ラティアスが眠たそうに目をゴシゴシとかいています。ちなみに首からは手紙をたくさん入れた黒色のカバンをかけており、頭にはツバ付きの黒い帽子をかぶっています。
さて、口では寝ないように寝ないようにと唱え続け、ひたすら眠気と戦っていたラティアスでしたが、その努力むなしく、徐々に地面へと体は向かってしまいます。
そのときでした。
「はっ、誰かそこに倒れてますー!?」
ラティアスの目に飛び込んできたのは、一匹のワラをかぶった小さなポケモンでした。倒れたまま動く気配もないので心配になったラティアスは眠気を吹っ飛ばして、そのポケモンに近づきます。もう少しばかりお仕事が残っていたのですが、このまま放っておくわけにもいけません。
「あのー。ここで寝てると風邪引きますよー?」
ラティアスが揺さぶってみるものの、その小さなポケモンは起きることはありませんでした。ラティアスは辺りを見回していますが、ポケモン一匹もいません。近くに置いてあるのは一本の棒と、その先端にくくりつけられている風呂敷一枚だけでした。どうやら旅をしているポケモンのようです。
しかし、それが分かったところで問題が解決されたわけではありません。さて、どうしようかとラティアスが悩み続けること数分。妙案を思いついたのでしょうか、ラティアスの顔がパッと明るくなって――。
「……それで、ここに連れてきたと」
カイリューの郵便屋さんにある休憩室、そこではフライゴンが困ったような顔を浮べていました。件の小さなポケモンはワラのベッドの上に横たわっています。
「ちゃんとお仕事を終わらせてから来ましたですー! うぅ、ライゴちゃーん、そんな顔しないでくださいですよー!」
「もういい……青三角、とりあえずこの子だけど……ただ単に……お腹が減って倒れたって感じ」
「へ、そうなんですか!? はぁ、良かったですー! 大事かと思いましたですよー!」
「……とりあえず……何か、食べさせるか……しょうがないな、もう…………その間に受付とかは青三角がやって」
「了解ですー!」
その後、ラティアスが受付の仕事をやっていると、やがてフライゴンから呼びかけがありました。あの小さなポケモンが目を覚ましたとのことで、事情を話したらラティアスとお話をしたいというのです。ラティアスはそれを聞くと、すぐに休憩室に向かいました。すると、そこには元気そうな小さなポケモンが待っていました。
「あ、ラ、ラティアスさんですねっ!? じ、自分、ユキワラシって言いまするっ。こ、この度は腹がへっているところをお、お助けいただき、あ、ありがとうございまっす」
「いえいえー。ご無事のようでなによりですー! 大事に至らなくて良かったですよー」
ラティアスがニコニコと笑顔を浮べながら話しているのに対し、小さなポケモン――ユキワラシは両手をもじもじとさせていました。ラティアスが可愛いかったというのもありましたが、他にも恥ずかしいところを見られたという気持ちもあったのでしょう。ユキワラシの背中からは冷や汗がたらたらと垂れていました。
「あ、良かったら、お茶のお代わりなんていかがでしょうかー?」
「え、そ、そんな、だ、大丈夫でする。じ、自分のことはき、気にしないでいいですからっ」
「まぁまぁ、そう言わずに、そう言わずにですよー」
「い、いや。本当にだ、大丈夫、でするー!」
顔を真っ赤にさせながら、ユキワラシが休憩室から飛び出ていきました。あまりの速さに驚いたラティアスがユキワラシを見失ったのは言うまでもない話です。ぽかーんと口を開けながらラティアスはただただユキワラシが去った方を見やるばかりでした。
『春の香りがますます鼻につくようになりました。もうそろそろあの花も咲く頃ではないでしょうか? ラティアスが住んでいる村にもありますかね? ちなみに兄さんは救助隊仲間と一緒に花見をする予定です。ラティアスの方も職場仲間と花見をするのでしょうか。くれぐれもラム酒とかを飲みすぎないようにして下さいね。兄より』
カイリューの郵便屋さんがある村での夜のこと。
その村の広場には『大樽(おおだる)』と呼ばれる一軒のお店がありまして、大ワニポケモンのオーダイルとワルビアル夫妻が経営している居酒屋です。夜には旅の途中であるポケモンやら、村で一日働き終えたポケモンやらがやってきては一杯くみ交わしていたりしてました。もちろん、この二匹も漏れなく常連客です。
「ぷっはぁー! お仕事の後のラム酒はおいしいですよねー! ライゴちゃん!」
「……青三角、飲み過ぎないように」
「そういう、ライゴちゃんこそ飲みすぎないようにですよー!」
「……言われなくても分かってる」
居酒屋『大樽』にある一席ではラティアスとフライゴンがいました。木製のコップを片手に意気揚々と飲んでいます。二匹はこのように、仕事が終わった後、女子会みたいな感じで飲むことがあったのです。
「いやぁ、やっぱり今はマメパト様ですよねー! あの知的な感じ♪ もうたまらないですー!」
「……朝刊と夕刊で、もうこんなに変わってる……朝はプテラ推しだったのに」
「え、もちろんプテラ様も捨てがたいですけどー。でも、あの知的な雰囲気、それと魅力的な鳩胸っ! やっぱり素敵なのですー!」
「……青三角、超ミーハーすぎ」
「ミーハーじゃないですよー! 好きなものが多いだけなんですー! そういうライゴちゃんは今、何推しなんですかー?」
「…………わたしは別に」
「あー! 今、目線を逃がしましたですよねー!? 私には見逃せませんですよー!?」
「……うるさい、少し黙――あっ」
「ん、どうしたんですかー?」
フライゴンが指差す方へラティアスが顔を向けてみると、そこにはあの小さなワラを被ったポケモンのユキワラシがいました。ラティアスは早速、席を立って、手を振りますと、ユキワラシがそれに気がつきます。
「折角ですし、ご一緒にどうですかー!?」
一瞬戸惑ったユキワラシでしたが、ここは断ったらいけないかなと思ったのかラティアスとフライゴンの席に向かい、フライゴンが用意してくれた小さなポケモン用の木製イスに座りました。
「姐さーん! このお方にラム酒一杯お願いしますですー!」
「はいよー!」
カウンターから気の強そうな女性の声が響いた後、ユキワラシが困ったような顔を浮かべます。もしかしたら、これはおごりなのではないかと。案の定、ラティアスが「私がおごりますですー」と言ってきたのでユキワラシは更に困ったような顔になります。
「え、え、わ、悪いでするっ。そ、そんな」
「いいんですよー。昼のとき、お茶をご馳走できなかったので、その分だと思ってくださいですー」
「…………いいから、お言葉に甘えたら?」
「そうですそうです。じゃないと怒りますですよー?」
「……怒らないくせに」
「あ、ライゴちゃん。それは言っちゃ駄目なんですー! 私だって怒るときは怒るんですよー?」
「……いや…………今まで青三角が怒ったところ見たことないし」
「で、でも、お兄ちゃんには怒ったことありますですー!」
「……青三角の昔話なんて知らん」
「あ、ヒドイですー!」
最初は戸惑いばかりであったユキワラシでしたが、ラティアスとフライゴンのやり取りを見ていると、そんな悩みもばかばかしくなってきたのか、しまいには小さくでしたが、笑い声をあげていました。そんなユキワラシにラティアスが「あ、ユイワラシさんまで!」と悲鳴を上げたのは言うまでもありません。
やがて、ユキワラシにラム酒が運ばれますと、三匹はお酒に喉を動かしながら話を続けます。
「そういえば、ユキワラシさんって、旅をなされてここまで来たんですかー?」
「あ、は、はい。そうでするっ。前に旅立った村からここまで距離が意外とありましてっ。なにぶん、自分、足とかが小さいものですからっ。そ、そりゃもう、た、大変でしたでするっ
「なるほどですー。それで途中でお腹が減って」
「ほ、ほっんとうに、お恥ずかしい話でするっ」
恥ずかしさをかき消すかのようにユキワラシはラム酒を飲み干すと、カウンターに向かって次の注文を投げかけます。それはモモンの実とオレンの実からつくられた甘酸っぱくてさわやかな味のモモオレサワーで、飲みやすい種類のお酒でした。注文を投げかけ終えた後、ユキワラシは「あ、こ、ここからは、自分で払いまするんでっ」と一言付け足しておきました。
「……それで、どこに向かう予定?」
フライゴンがそう尋ねますと、ユキワラシが逆に問いかけました。
「あ、あの、この近くに桜ってありまするか?」
「桜の木ですかー?」
「は、はいでする。実はじ、自分は――」
ここでユキワラシが自らの生い立ちを話し始めました。
ユキワラシはこの村よりもずっと北の方に住んでいるポケモンで、立派なポケモンになる為に旅に出たそうです。とりあえず南に下っていくと、ある日、桜の木の存在のことをユキワラシは耳にしました。いつも雪で覆われている自分の故郷にはないその花にユキワラシはせめて花びらだけでも、故郷の者たちに見せたいという気持ちが芽生え、そして今に至るというわけです。
ユキワラシの話が終わったときには、その話に感動したらしいラティアスの両目から涙がポロポロこぼれていました。
「……なるほどですー。実にいい話ですねー」
「…………青三角、本当に飲みすぎ」
涙をふきながら、ラティアスは答えました。
「それで、桜でしたら、確かにこの村の近くにありますよー。この村の近くに桜がよく咲く場所がありまして、そこでは毎年、花見とかしているポケモンがいるんですよー。私たちも近い内にやろうという話なんですが……あ、良かったら、ユキワラシさんもご一緒にどうですかー?」
「え、い、いいんでするかっ?」
「……まぁ、仕事終わった後だから……夜桜になるけど」
「いいじゃないですかー! 夜の桜も風流ですよー!」
ラティアスとフライゴンの話を聞いている内に、桜のことで色々と楽しみが増えたのでしょう。ユキワラシの顔がぱぁっと明るくなっていきます。桜というものを初めて見られる上に、これで故郷にも報告ができるとユキワラシの胸が踊りだしていきます。ラティアス達の誘いにはもう答えは出ていました。
「あ、あの、よ、よろしく、お願いしてもよろしいでするかっ?」
「もちろんですよー! 人数はいっぱいの方が盛り上がりますですー」
「…………あまり飲みすぎないようにね」
こうして、花見を約束した三匹はその記念にもう一杯、乾杯することにしたのでありました。
『桜咲く季節、元気に過ごしてますか? こちらは花見モード全開で賑わっています。この時期、救助隊は花見のパトロールで大忙しです。酔っ払いが多いこと多いこと。ケンカを止めることだって珍しくありません。世間の平和を守るためとはいえ、酔っ払いの相手は疲れるというのが正直な感想です。あ、ここだけの話にしてくださいね? ラティアスも節度を持って花見を楽しんでくださいね。 兄より』
ここはカイリューの郵便屋さんがある村からちょっと外れの方にある一つの広場。
そこには木々が所々に立っており、そして、その木々にはたくさんの桃色が身につけられていました。その桃色は桜と呼ばれる花で、月に照らされているその姿はなんだか艶がありまして、惚れ惚れしそうなものでした。更には風に乗って羽ばたく桜の花びらの姿も優雅で素敵なものでした。
この春の香りが漂う広場はまるで別世界のようで、そこにはその香りに招かれるかのように、色々なポケモンたちが集まっていました。もちろん、花見を約束していたユキワラシとラティアスとフライゴン、それと今回はカイリュー局長もそこにはいました。カイリュー局長は荷物運びを引き受けたのか、花見用のお酒に、団子といった食べ物に、他にも色々と風呂敷に詰めて背中にしょっています。
「すいませんですー、カイリュー局長。荷物運びをさせてもらいましてー」
「いや、これぐらい、大丈夫だよ。今日は折角の花見だし、明るくやっていこう、ね?」
一方、広場の入り口で初めて見た桜の花びらたちにユキワラシはただただ目を奪われていました。
「…………ユキワラシ、感動するのは分かるけど……ボーッとしていると置いてかれる」
「……」
なおもボーッとしているユキワラシにフライゴンがツメの先でちょんちょんとつついてあげますと、ようやく夢から覚めたような顔をユキワラシは見せ、一言謝りました。それから一向は広場の中に入り、ちょうど座れるスペースを見つけますと、カイリューは風呂敷を広げ始め、残りの三匹も花見の準備を手伝いました。
やがて、各自、木製のコップに一般的なラム酒や、辛さがウリのマトマ酒などを入れますと、カイリュー局長が一つ咳払いをしました。
「えーと。皆さん、今宵は楽しんでいきましょう。ユキワラシさんも遠慮しないで、たっぷり楽しんでいってくださいね……これからのカイリューの郵便屋の発展とユキワラシさんの旅が順調でありますようにと桜に願いながら……乾杯!」
カイリュー局長に続いて、三匹も乾杯と声を上げます。
最初は皆、ゴクゴクと酒を喉に落としながら、用意してあった団子をもぎゅもぎゅと食べていきます。普段のときと比べて、桜の木の下で食べるのはまた違ったおいしさがあると、各々の舌が幸せで埋まっていきます。それから食べることや飲むことに一段落しますと、夜桜をのんびりと眺め始めます。月夜に照らされている桜の木々。お酒でほてった顔に春の風と桜の香りがくすぐってくるのもまた気持ちいい。ユキワラシもお酒を片手に夜桜をのんびりと眺めていました。そのユキワラシにカイリュー局長が話しかけます。
「ユキワラシさん。そういえば、桜の花びらを故郷の方々に見せたい、と言ってましたよね?」
「あ、は、はいでするっ。ここで桜の花びらを何枚か拾って、一回、故郷に持って帰りたいでするがっ」
しかし、ここからユキワラシの故郷まではまた距離があり、ユキワラシの足では時間がかかってしまうことでしょう。それにその間に折角採った桜の花びらも色あせてしまうかもしれません。そう考えたラティアスはそうだと閃きました。
「こういうときこそ、私たちがいるじゃないですかー! ユキワラシさん、ここで故郷に向けて手紙を書くのはいかがでしょうかー?」
「て、手紙でするかっ?」
「あら、もしかして初めてですかー?」
「え、えぇ」
戸惑い気味のユキワラシに今度はラティアスに代わってカイリュー局長が話します。
「僕たちは手紙を送るお仕事をしてますので、ユキワラシさんがどこに住んでいるのかを教えていただければ、そこに必ず手紙と、桜の花びらをお届けしますよ」
「……桜の花びらは押し花にすればいいと思う…………そうすれば、色あせる心配もないかも」
手紙という言葉を聞いたことはありましたが、書いたことのないユキワラシはどうすればいいのか、ちょっと分からなくなって、両手をもじもじさせ始めます。そんな心に不安をよぎらせたユキワラシにラティアスは優しく、その小さな手を優しく握りました。
「大丈夫ですよー。ユキワラシさんが今まで旅をして来たことで知ったこととか、学んだこととかを書けばいいと思いますよー。ユキワラシさんの故郷の方々はユキワラシさんの旅を気にしていると思いますしー。それにユキワラシさん自身もまだ旅を続けるんですよねー?」
こくりとうなずくユキワラシにラティアスはニコっと笑みを浮かべました。
「なら、手紙を送るのが一番ですー♪」
「は、はいでするっ、じ、自分、書いてみまするっ」
夜桜舞う中、ユキワラシの意志がそこに確かにありました。
その後、カイリューの郵便屋さん一同と別れ、自分が世話になっている宿の部屋にたどり着いたユキワラシはラティアスからもらった手紙用の紙と、ドーブル印のペンを出すと、言葉をつづり始めます。
これまで旅してきたこと――南に下って、今まで住んでいたところとは気候が違うことに驚いたことや、道中に出逢ったポケモンたちのことや、そして今の自分のことなどを――最初はなかなか書き出せなかったものですが一旦、ペンを手紙に乗せますと、あら不思議、次から次へと言葉が浮かんでいきます。
それはユキワラシがここまでちゃんと旅をしてきた証拠でもありました。
これまでのことに想いを馳せながら、ユキワラシは書き続けていき、そして最後にはこう書いておきました。
『また、自分の旅を手紙にして送りまするっ』
『春真っ盛りな日々、調子はいかがでしょうか? かすかに冬の名残があったりしますが、そちらはどうでしょうか? 最近、救助隊の仲間が風邪をこじらせてしまいました。ラティアスも暖かくなってきたけど、体調管理は油断せずしっかりね。兄より』
「え、と。あ、後はこれとこれを入れて……っ」
カイリューの郵便屋さんの受付にて、ユキワラシが故郷に手紙を送る為の最終段階に入っていました。長方形の白い封筒の表に宛名、裏には差し出しポケモンであるユキワラシの名前を書きます。それから一枚の白い手紙と、桜の花びらの押し花を飾った一枚の紙を入れ、しっかり封を閉じました。最後には封筒の表に切手を貼りまして完成です。ユキワラシはドキドキしながらその手紙を差し出しますと、受付役のフライゴンはしっかりとそれを受け取り、カイリュー印のスタンプをポンっと押しました。
「…………確かに受け取った。後は任せて」
「あ、ありがとう、ございまするっ」
配達準備完了したユキワラシの手紙をラティアスがフライゴンから受け取りますと、それを首からかけてある黒いカバンに大事そうに入れました。どうやら届けるのはラティアスが引き受けたそうです。ちゃんと届けるとやる気満々な様子を見せるラティアスに対し、隣にいたカイリュー局長は少し心配そうな顔をしていました。
「大丈夫? やっぱり僕が行こうか? 今回はかなりの北国だよ?」
「全然平気ですよー! 雪なんてへっちゃらですからー! 任してくださいですー! カイリュー局長は郵便連盟の方に行かないとですー」
今回、ラティアスが手紙を届ける先は地図でもかなりの北の方にあり、中々、寒さも厳しそうなところが地図からでも想像できました。しかし、ちょうど今日、カイリュー局長は郵便連盟というこの世界の郵便屋の代表者達が集まって、それぞれの郵便屋の状況などを報告したりする会議みたいなものに出張しなければなりませんでした。フライゴンも元々は受付役専門ですから持ち場から離れるわけにはいかず、結局、ラティアスが行くことになったのです。
「す、すいませんでするっ。た、大変なことを」
「大丈夫ですよー。体の丈夫さが私の自慢ですからー! それに早くこの手紙を届けてあげた方がいいですー!」
そろそろ出発しようとするラティアスに、カイリュー局長が一言待ったを入れますと、一旦、休憩室に消えました。程なく、また現れるとカイリュー局長はラティアスの首元に黒いマフラーを巻いてあげました。
「それでも、これをつけていった方がいいよ。これだけでも全然違ってくるからね」
「ありがとうございますですー! それじゃ……行ってきますですー!」
暖かい感触を感じながら、ラティアスが笑顔で返しますと、勢いよくカイリューの郵便屋さんを後にし、そして、空高く、ユキワラシの故郷目指して羽ばたきました。
ユキワラシの手紙を持ってラティアスは北へ北へと飛行していきます。
体にぶつかってくる風は徐々に冷たさを帯びてきていました。
空の色も青から灰色に衣替えしていっており、ラティアスから吐く息が白く浮かびあがり始めていました。
更に北へ北へと進んで行きますと、雪がちらほら降ってきました。
ここまで寒いものだったとは……と、流石のラティアスも戸惑い始めましたが、しかし、ここで戻るわけにはいきません。
また寒さが重なってきて、手も凍えてくると、ラティアスは思わずカイリュー局長から借りたマフラーをぎゅっと握りました。
不思議と暖かい感触がラティアスの手に広がります。
「……カイリュー局長のマフラーってやっぱり大きいんですねー。ぐるぐるいっぱい巻いてありますですー」
その優しい温もりに心も温かくなったラティアスが更に進んでいきますと、雪は更に強くなり、吹雪となっていました。
最初の方は大丈夫だったラティアスでしたが、強風に、冷たさと寒さで体力が確実に奪われていきます。おまけに雪によって視界も悪くなっていました。
このままでは死んでしまってもおかしくありません。
しかし、ぼろぼろになりながらもラティアスは気合で突き進みます。
なんとしてでもこの手紙を送りたい。
今はその気持ちだけで飛べているような感じでした。
『追伸:そういえば、カイリュー局長はお元気にしてますか? この季節になると、時々、あの日のことを思い浮かべます……。兄からよろしく伝えておいてくれるようお願いしますね。』
そこは水路がたくさん通う、水の街とも呼ばれていたところ。
「ふぅ……今日の分はこれで終わりっと。まさかここまで来るとは思わなかったなぁ」
その街の一角にある広場には一匹の山吹色に染まった龍ポケモン――カイリューが額(ひたい)をぬぐいながら、一息ついていました。その太い首からは大きなカバンがぶら下がっていて、頭にはツバ付きの黒い帽子を被っています。どうやらお仕事が一段落したようで、休憩しているようです。そんな、休憩中のカイリューに一匹のポケモンが物珍しそうに近づいてきました。紅白を身に染めた体に、お腹には青い三角形の模様が一つあります。可愛い子だなぁ、迷子だったりしてとかカイリューが思っていますと、その子が口を開きました。
「こ、こんにちはですー、おじさん」
「ん? あぁ、こんにちは」
「このあたりだと、みかけないポケモンですねー。ま、まさかおたずねものさんだったりしますかー!?」
「い、いや。決してそんなに怪しいものじゃないよ?」
いきなり話しかけてきたそのポケモンはしばらくジィーっと、カイリューを覗いていましたが、やがて彼女の中で疑いが晴れたのでしょうか、ぱぁっと笑顔になるとカイリューの隣に座りました。
「わたし、ラティアスっていいますー。おじさんはなんてポケモンなんですかー?」
「カイリューっていうんだ。よろしくね、ラティアスさん」
「はいですー、よろしくですー」
「ラティアスさんはこの街に住んでいる子なのかい?」
「そうですよー。うまれもそだちも、このまちなのですー!」
腰辺りに両手を当てながら、えっへん顔で答えるラティアスにカイリューは「そうなんだー」と答えていますと、今度はラティアスがカイリューさんの体に登ってきて、バックに手を当てました。
「カイリューさん。これはなんですかー?」
「ん? これかい? これはね、大事なお仕事の道具だよ」
「おしごと?」
首を傾げているラティアスにカイリューが答えてあげました。
「うん、郵便屋さんっていう手紙を送る仕事をしているんだ」
手紙という言葉を初めて聞いたのか、ラティアスの首はまた傾げています。
「手紙っていうのはね、誰かに言葉を届けるものなんだ。例えば遠くにいる相手に元気な姿を見せたりすることができたりとか、伝えたいことを届けられるものなんだ」
「へぇー! そうなんですかー!」
手紙に興味を抱いたラティアスの目がキラキラと輝いています。すると、ラティアスはこんな質問をしました。
「ねぇ、カイリューさん。わたしもてがみをおくれますかー?」
「もちろん。送りたい方の名前と、その方が住んでいるところさえ教えてもらえば」
「えっとですねー。わたしのおかあさんとおとうさんにてがみをおくりたいんですー……えっと、住んでいる場所は『とおいところ』ですー!」
『とおいところ』という単語に、今度はカイリューが首を傾げます。もう少しだけ具体的な場所を教えてもらわないと、流石に届けることができません。カイリューが『とおいところ』はどんなところと尋ねてみましたが、ラティアスは『とおいところ』は『とおいところ』という一点ばかりです。さて困ったとカイリューが頭を抱えるときのことでした。目の前に新しい一匹のポケモンがやってきました。灰色と青色に染まった体、そしてお腹には赤い三角形の模様が一つありました。
「こんなところにいたのか、ラティアス」
「あ、ラティオスおにいちゃんですー!」
ラティオスおにいちゃんと呼ばれた、そのポケモンにラティアスが近づきます。その背中は楽しげでありました。一方、ラティオスがカイリューの方を見やると、カイリューは帽子を軽く取って挨拶します。
「あのですね、あのカイリューさん、ゆうびんやさんなんですよー!」
「あ、お、お仕事、お疲れ様です」
怪しいポケモンかと思っていたラティオスは、自分の勘違いに恥ずかしくなりながらも、声をあげました。その姿にカイリューは「いえいえ」と微笑んでいました。この街にはあまり来たことがないから怪しまれてもおかしくないかな、とカイリューさんは思っていたので、さほど気にしてはいませんでした。
「それですねー! いま、カイリューさんに、おかあさんとおとうさんにてがみをおくってもらおうとたのんでいるんですー! おにいちゃんももちろんかきますよねー? いっしょにおくりましょうですー!」
ラティアスが意気揚々とそう話したときでした。ラティオスの顔色が少しだけ暗くなったような気が、カイリューからは見えました。ラティアスがなおも明るく手紙を送ろうと言っていると、それに比例していくかのようにラティオスの顔色も暗さが増していきます。すると苦虫をつぶしたかのような顔を浮べながらラティオスが言いました。
「っだから、お母さんとお父さんは『とおくのところ』に行ったって言ってるだろっ? そんなところに手紙なんか届くことなんかできないよっ」
今にも泣きそうな顔をしているラティオスに、ラティアスはどうしたのと戸惑いの顔を浮べ始めました。一方、ラティアスとラティオスのやり取りを見ていたカイリューは気付きました。
『とおいところ』がどんなところかを。
何も言えない状態のラティオスに、ラティアスが困っているとカイリューが二匹のそばに歩み寄りました。
「任して下さい。僕が必ず『とおいところ』に手紙を送ります」
その言葉にラティアスの顔は明るく、ラティオスの顔は驚きでいっぱいになりました。
「……で、でもカイリューさん」
「大丈夫。どんなところにでも届けに行く。それが僕の一族が引き継いできた郵便屋のモットーだから」
カイリューはラティオスに向かって安心させるかのようにそう言いますと、今度はラティアスの方に顔を向けて言いました。
「いいかい? 明日、またここで会おう。そのとき、お母さんとお父さんに書いた手紙を忘れずに持ってきてね?」
「はーい♪」
その日の夜、ラティアスはカイリューからもらった紙に言葉をつづりました。
まだ文字を覚えて間もないですから、文字の形は崩れているものが多かったですが、伝えたい気持ちは、そこにたくさん詰まっていました。
お母さんとお父さんが『とおいところ』に行ってしまってからの日々。
兄との日々であったり。
友達との日々であったり。
そして郵便屋さんに会ったときのことであったり。
色々なことを書いていきました。
そして最後に『はやくかえってきてね』と付け加えて、筆を置きました。
翌日、約束した場所で手紙を受け取ったカイリューは「ちゃんと届けますから、安心してくださいね」と頼りになる声を二匹に残してから飛び立ちました。
それから、一週間が経った頃でしょうか、再びラティアスとラティオスの前にカイリューが現れました。
「お久しぶり。手紙はちゃんと届けたよ。それでね、これ、君達のお母さんとお父さんから手紙だよ」
カイリューは首からかかっているカバンから二枚の白い封筒を取り出すと、ラティアスとラティオスに渡しました。ラティアスが手紙を受け取って、るんるんと小躍りしている一方、ラティオスは信じられないものを見ているかのような顔を浮かべます。これは本物なのだろうか、そう封を切って中を読んでみたラティオスの瞳からポロポロと涙がこぼれていきます。
「この、文字、言葉……確かに、お母さんと、お父さんのだ……」
「えぇ、もちろん。本物だよ」
「あ、お兄ちゃん、もう読んでいるのですかー!? 私も読むですー!」
そう言いながらラティアスは封筒をバリっと開けて、手紙を読んでいきます。最初は明るい顔だったラティアスでしたが、突然、目を丸くさせ、それからわなわなと体を小刻みに震えさせていきます。ラティアスの様子がおかしいことに気がついたカイリューがどうしたのだろうかと心配そうな顔を向けますと、ラティアスが叫びました。
「ウソつきなのですーーー!!!」
手紙を地面にたたきつけると、ラティアスはどこかへと去っていってしまいました。
あまりのできごとに、ラティオスもカイリューも止めることができませんでした。
それからカイリューが地面に落とされた手紙を拾い、悪いと思いながらも「失礼」と断ってから読んでいくと、どうしてラティアスがそう叫んで去っていったのか分かりました。続けてラティオスもその手紙を読むと、ラティアスの身に何が起きたのかを理解しました。
一方、頭がぐちゃぐちゃになって訳が分からなくなっていたラティアスは適当に街の路地裏に入り込み、そこでようやく止まると、声を上げて泣きました。ただただ声を上げて鳴きました。
どうして、なんで、どうして、なんで。
そんな言葉が繰り返し繰り返し、ラティアスの頭の中をぐるんぐるんと回し続けていきます。あまりにも頭だけに限らず、心もぐるんぐるんと回され続けたラティアスは思わず吐いてしまいます。
息が苦しい。
心が苦しい。
こんなになるぐらいだったら、いっそ手紙なんて――。
「……はぁ、はぁ。ここにいたか、ラティアス。探したぞ」
「ラティアスさん……」
その声に振り返ると、そこにはラティオスとカイリューがいました。
二匹ともここまで走って駆けつけてくれたのでしょう、肩で息をしています。
「ラティアス、今まで、言わなくて、ごめん。『とおくのところ』なんてごまかして悪かったよ。本当のことを言ったら、きっと傷つくと思って……だから言わなかった、ごめん」
「おにぃ……ちゃ、ん……」
今でも信じられないという顔のラティアスにカイリューが静かに歩み寄ります。その手に持っていたのは真実が書かれてある手紙が入っている封筒でした。
「ほん、とう、に、おかあさん、と、おとうさん、はいなくなって、しまったんです、かー? もう、あえないん、ですかー?」
途切れ途切れの言葉にカイリューがコクンとうなずきますと、ラティアスの瞳からまたぶわっと涙があふれていきます。
「きっと、伝えたかったんだよ。隠してたら駄目だって思ったから、これを書いたんだよ、きっと。」
カイリューはラティアスの目の前でかがむと、手紙を差し出します。
しかし、ラティアスには受け取る気がしませんでした。こんな気持ちにさせたものなんていらないと思っていたのです。全く受け取る気配を見せないラテォアスでしたが、カイリューはそのまま差し出し続けます。
「必ず届ける、そう約束したからね、ラティアスさんのお母さんとお父さんに。だから受け取って欲しいんだ。ラティアスさんのお母さんとお父さんが届けたかったのは、ただラティアスさんを悲しくさせたいわけではないし、泣かせたいわけでもないよ。」
そう言いながらカイリューは封筒を再び開け、手紙を広げると、ラティアスに示しました。
すると、ラティアスの目が丸くなります。
そこにはもう一枚、手紙があったのです。
実は先程、ラティアスが読んでいたのは一枚目の手紙だったのです。
ラティアスが恐る恐るとその二枚目の手紙を受け取ると、読んでいきます。
それは、真実の先に書かれてあるもの。
これからのラティアスに対しての送る言葉でした。
読み進めていく度にラティアスの瞳から涙が次々とこぼれていきます。
もう会うことはできない、だけど、伝えることができたもの。
その奇跡をしっかりと握りながら、ラティアスは再び泣きました。
けれど、今度は悲しみばかりの涙ではありません。
言葉を送ってくれたラティアスのお母さんとお父さん、そして、届けてくれたカイリューに対しての『ありがとう』の涙でした。
翌日、例の広場で、ラティアスが一枚の手紙をカイリューに差し出しました。
「きのうはありがとうございましたですー。あの、これをもういちどだけおとうさんとおかあさんにとどけてくれませんですかー?」
カイリューがその手紙を受け取りますと、ラティアスは飛びっきりの笑顔で付け加えました。
「この『えがお』といっしょに!」
伝えるという力を持った手紙、それを届けてくれる郵便屋、そして――。
ラティアスが今、郵便屋を勤めるに至る、第一歩がそこにありました。
『追伸、その二:そういえば、救助仲間で田舎からいっぱい木の実をもらったようで、こっちもたくさんおすそわけさせてもらいました。流石に一匹だけじゃ食いきれないので、近い内にラティアスにも送りますね。職場の方にも分けてあげてください。 兄より』
どこからか、声がする。
自分を呼んでいる声がする。
そう感じたラティアスさんがゆっくりと目を覚ましますと、そこにはカイリュー局長がいました。
吹雪の中、ラティアスさんを力強く抱きかかえ、懸命にカイリュー局長は羽ばたいています。
「良かった! ようやく目を覚ましてくれた!」
「え……カイリュー局長が、どうして、ここに、ですー?」
「やっぱり心配だったから追ってきたんだよ! もう、こんな吹雪の中で無茶しちゃって! 今まで意識が飛んでたんだからね!?」
「へ……そ、そう、だったんですかー?」
「まったく! 意識がないまま飛んでいたのが奇跡的だよ、本当に!」
そこまで言うと、カイリュー局長はギュッとラティアスを絶対離さないように更に強く抱きしめると、全身に力を込めました。直に伝わってくるカイリュー局長の体温がラティアスの冷え切った体を暖めていきます。
「一気に、この吹雪を抜けるからね! いっくよー!!!」
思いっきり一つ羽ばたいたかと思うと、カイリュー局長の体が一気に前進します。
吹雪にも負けない力強い羽ばたきが空を切っていきます。
こんなところに長時間いるわけにはいかない、一気に勝負をたたみかけるというカイリュー局長の懸命な羽ばたきのおかげで、なんとか吹雪を抜けることに成功しました。
はぁはぁと息を切らせながら、カイリュー局長はラティアスを抱いたままユキワラシの故郷を目指していきます。
「え、あの、カイリュー局長、私ならもう大丈夫ですよー!?」
「駄目、さっきまで意識が飛んでいたんだから。このままユキワラシさんの故郷までそのままでいて」
一向に解いてくれないカイリュー局長に、ラティアスの胸が高鳴っていきます。
「べ、別の意味で意識が飛びそうですー……」
吹雪を抜けてもう少しばかりカイリュー局長が飛んでいますと、やがて村らしきところが見えてきます。
その村の入り口付近でカイリュー局長は降り立ち、ラティアスを降ろしますと、彼女の顔は若干赤めいていました。
「大丈夫? 風邪でも引いちゃったかい?」
「い、いえ大丈夫ですー」
それから二匹がユキワラシの実家を探す為に聞き込みなどをしていますと、程なく、見つかりました。
屋根がワラで敷き詰められている、木製の小さな家に、ユキワラシの両親は住んでいました。カイリュー局長とラティアスはあいさつした後、事情を説明し、それからユキワラシからの手紙を渡しました。ユキワラシの両親はその手紙を読んで、息子の無事に喜んだり、その手紙から少しずつ大人になっているユキワラシが伝わってきたのか、涙ぐむところもありました。そして桜の花びらの押し花には感動していました。
手紙を読み終えた後、ユキワラシの両親に感謝されたカイリュー局長とラティアスはこの村での温泉宿を紹介してもらい、著しく体力を消耗(しょうもう)させた二匹はそこで休んでいくことにしました。
「はぁー。気持ちいいですー。これぞ天国気分ってやつですー」
「うん、とっても暖まるね。このまま疲れもとんでいきそうだ」
その温泉宿にある、混浴の温泉でカイリュー局長とラティアスはくつろいでいました。露天式となっている、その温泉からは夜空の星や月がよく覗けます。
「もう、夜になっていたんですねー。あっという間ですー」
「うん、本当にあっという間だったね。ところでラティアスさん」
「なんですかー?」
「体の方は本当に大丈夫?」
「はいですー。心配おかけさせてすいませんですー」
「もう……吹雪の中をどうして突っ込んでいくの……僕、すごいヒヤヒヤしたんだよ?」
「すいませんですー。どうしても届けたくてですー」
なんとしてもユキワラシの両親に送りたかったというのもありましたし、必ず届けるとユキワラシと約束したというのもありましたが……しかし、カイリュー局長から「死んだら元も子もないでしょう」と言われたラティアスは口を閉じてしまいます。
確かに危ないことをしたと反省するラティアスの首に、カイリュー局長の手がポンっと乗ります。
「でもまぁ、よく頑張ったね。ラティアスさんももう充分、『カイリューの郵便屋』が板についてきたよ、本当」
「カイリュー局長……」
手紙を届けることの大切さや素敵なこと。
それをラティアスに全て教えてくれたのは、他ならぬカイリュー局長でした。
あの日から手紙も、カイリュー局長も――。
「でも、まだまだなところもあるからね? これからもちゃんと郵便屋としてしっかり」
「カイリュー局長」
「ん?」
湯煙でカイリュー局長には見えないかもしれないけど、ラティアスはカイリュー局長に向かって、頬を赤らめながら笑顔で言いました。
「カイリュー局長、素敵なのですー!」
あの日、カイリュー局長がくれた手紙は今もラティアスの心を熱くさせています。
【おまけ】
「……それで、青三角と局長で温泉に泊まってきたと」
「はいですー! 温泉最高ですー! もうお肌がスベスベになりましたですー! 時代はやっぱり温泉ですねー!」
「…………」
「あれ、ライゴちゃん?」
「もしかして、怒ってるとか?」
「あわわ! あ、あのライゴちゃん、温泉まんじゅうとかお土産はちゃんと――」
「ええと、今度はフライゴンさんも一緒に――」
「青三角、局長」
「はいですー」
「はい」
「…………覚えといて」
この後、ラティアスとカイリュー局長はしばらく、居酒屋『大樽』でフライゴンにおごったとか、おごらなかったとか。
【書いてみました】
昨日のチャットにて、とある成り行きで、きとらさんからお題がドラゴンタイプだし、ミーハーラティアスで何かというリクエストを受けまして、今回、書かせていただきました。一応、ミーハーなラティアスを書いたつもりですが、いかがだったでしょうか。それと世界観はポケダンみたいな感じで書いていきましたが、ちょっと人間くさすぎましたかね……? その辺がちょっと心配したりしますが(汗)
さて、今日で冬休みも終了……その前に書き切ることができて良かったです。書き始めからまさかここまで長くなるとは予想にもしなか(以下略)
楽しんでいただけたら幸いです。
改めて、リクエストを下さった、きとらさん、ありがとうございました。
ちなみに『ライゴちゃん』や『青三角』はお互いが勝手につけたニックネームです。なので地の文では通常通り『ラティアス』や『フライゴン』で書かせてもらいました。それとそれぞれの区切りとしてラティオスさんの手紙を書かせていただきましたです。
ここまで読んで下さった皆様、ありがとうございました。
それでは失礼しました。
【何をしてもいいですよ】
ぼーっとしてる間に年が明けていました。
出現率低いですが、今年もよろしくお願いします。
以下今年の抱負。
01.去年後半は「何もできなかった+何もしなかった」ので、今年はたくさん書きます。
02.シロナとナナミちゃんの新作を書く。
03.ムテヒヌー氏も再び登場させる。
04.ストーリーコンテストにも挑戦する。
05.新しい発見のために読みにも力を入れる。
06.ムウマージを育てる。
07.ハリテヤマをもう一度育てる。
08.ファクトリーヘッドのネジキくんに勝つ(49戦目)。
09.ダッシュハードル76.2秒を更新する。
10.スマッシュゴール16点を更新する。
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