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帰っても、カイリューにはリュウセンランの塔に行った事はばれなかったみたいだった。
内心ほっとしながら、夜飯を食う。
テレビでは伝説のポケモンについての特集をしていた。伝説のポケモン達は、数が一体とかしか居ない代わりに、死ぬと転生するという説について話し合っていた。
ぺき、と変な音がして、その方を見る。特に何も変わりは無かった。カイリューもウインディもココドラも、特に何事も無く飯を食っている。
何の音だったのだろう。
「伝説のポケモンだって寿命はあるでしょうし、死に至る事もあるでしょう。なのに、太古からずっと姿が記録されているポケモンだって居るのですよ?
寿命が無かったとしても、これまで全ての伝説のポケモンが死に至る事無く今まで生き続けている何てあり得ますか?」
ディスカッションの場には、伝説のポケモンの写真や絵が詰まっていた。今まで俺が見た事の無いポケモンも結構な数が居た。
姿形が似た奴も結構いるんだな。本当に余り違いが無い位に似てる奴等も居る。
「有り得るでしょう。
例えば、うずまき島を住処にするルギアは、豪華客船をも念動力で浮かせたと言いますし、グラードンやカイオーガは地形を大きく変えられるだけの力を持っています」
「では、スイクンやエンテイ等に関しては? レジロック、レジアイス、レジスチル等に対してもそれは言えますか?
そこ辺りのポケモンは、腕の本当に立つトレーナーに従う事もあります。一対一で普通のポケモンが勝つ事もありますよ。
言っちゃ悪いだろうけど、その程度なのに、有史以来その姿が長い間確認されなかった時が無い」
「う、ん……」
ぺき、とまた音が聞こえた。けれど、振り向いても音の原因は分からなかった。
飯を食い終える。ぺき、という音は、どうやらカイリューがポケモンフーズを折っている音のようだった。いつもはそんな事してないのに。
俺もカイリューも、立ち止っているのだろうと、俺は思った。
昔ながら屠殺されたものを食うべきと曲がらなかった俺に対し、ポケモンを殺す必要なく肉が食べられるならそれが良いと曲がらなかった妻。
子供の教育に深く関わるだろうそれに、妥協点を見つけられないまま、妻は別居した。
たったそれだけの事で、数年間、妻と会っていない。電話もしていない。
携帯からその番号は来ていない。俺も掛けていない。
あるのは、妻が残していったムシャーナだけ。
ただ、そんな俺の立ち止っている原因何て、カイリューに比べれば、本当に些細な事だろう。子供を喪ってしまったその悲しみは、俺は理解出来ない。
強過ぎる、絶対に味わいたくないものだから。
はぁ、と俺はソファに凭れて天井を眺める。カイリューは、俺が似ていると気付いて、俺に付いて来たのだろうか。それとも単に、カイリュー自身にとって都合の良い人間だったからと気付いただろうか。
そりゃ、子を喪う何て事があった後に、トレーナーに捕まって戦わされる何て嫌だろうし。
理由を聞けはしないけれど。特に、知ってしまった今となっては。
そして、カイリューはまた、ぺき、と音を立てていた。この番組の何かに反応している気がした。
顔には出してないから、それ以上の事は分からなかった。
次の日の朝。
雪が降り積もる中も、カイリューは寒そうにしながら俺の居ない間は外をふらつくようだった。
知ってしまった今となっては、どこかへ飛んで行くカイリューの姿は、何か物寂しかった。
頭の中でもやもやとした、立ち止まらせている何かを捨てられずにただ、俺も職場へ歩いていく。
カイリューの中にあるそのもやもやは、俺よりもどす黒く、鉛のように重いものだ。それを思うと、背筋が震える感覚がした。
それが失せるきっかけを、カイリューは待っているのだろうか。それとも、引き摺ってずっと生きるつもりなのだろうか。
一つ、言える事があるとすれば、俺にはどうする事も出来ないのは事実だった。
何となく、隣を歩くウインディに聞いてみる。
「お前、子供欲しいか?」
ウインディは少し考えるように時間を使ってから、頷いた。
「その子供が死んじまったら、お前はどうする?」
ウインディは変な質問をするなぁと、俺を見た。
「きっと、カイリューはそうだ」
ウインディは驚いてから、また前を向いて歩き続けた。
まあ、分からねぇよな。俺にも分からねぇし。
「あーくそ」
何を罵倒するでもなく、俺は空に向って言った。
やっかいなものを背負い込んだとは、不思議と思っていなかった。ウインディは思っているかもしれないが。
そんな、結局知っても日常は何も変わらなかった、冬が過ぎて行くある日、来客があった。
帰って来ると、玄関の前で、ゴウカザルを出して暖を取りながら、一人が座っていた。
「こんばんは」
「……こんばんは。誰ですか?」
「リュウセンランの塔に居たカイリューが、今ここに居ると聞いたもので」
厄介なのが来たと、俺は心底思った。そして、哀れにも思った。
カイリューも丁度帰って来て、俺の後ろに着地して、すぐさまウインディを抱き締めた。
ウインディは暴れるが、カイリューはやはり寒いのを無理して外をふらついているようで、体を震わせながらもウインディを放そうとはしない。
もう、いつもの事だった。神速で逃げようが、カイリューも覚えていた神速で追いかけて捕まえられるのを知ってからは、ウインディももう、諦めを感じているようだった。
多分、ベテランであろうトレーナーが雪を叩いて立ち上がって、俺に聞く。
「一応、お伺いしますが」
その言葉だけで、あのトレーナーが喋ったのだろうと思った。別れる時も、不満そうだったから、十分にあり得る事だとは思っていた。
こうなる可能性も一応は分かっていつつも、現実になって欲しくないとしか思っていなかったが。
ゴウカザルも一回転して起き上がった。
「貴方とカイリューの関係についてお聞きしたいのですが」
「……家主と、居候」
思った通り、勿体ないと言ったような、軽蔑も混じった目をされた。
「貴方のポケモンでは無いのですよね?」
「まあ」
どさり、と音がして、後ろでカイリューがウインディを解放したのが分かった。
「なのに、ここでその強さを生かさずにただただ暮らしてると」
「そうだな」
そっけなく答える。後ろで怒りが溜まっているのが分かる。
「では、その強さを生かせる私がゲットしても?」
その言葉が、皮切りだった。
俺が答える間もなくカイリューは神速でゴウカザルに近付き、反応させないまま首を掴んで地面に叩きつけた。
「……え?」
ゴウカザルは暴れるが、完全に封じたまま、今度はトレーナーの方を睨み付けた。
「嘘、だろ」
起こっている事を信じられない、トレーナーの声が虚しく響く。
ゴウカザルは気絶し、カイリューはゴウカザルを片手で投げてトレーナーに渡した。
このカイリューの強さは、そこ辺りのポケモンとは段違いな事を、もう俺もウインディも知っていた。
仕事でドラゴンタイプのポケモンを間近に見る事が最近あったのだが、ボーマンダも、ガブリアスも、サザンドラも、ヌメルゴンも、そして同じカイリューでさえ、このカイリュー程の生命力を感じなかったのだ。
その時は俺もウインディも、あんな生命力の塊の沢山と付き合わなきゃいけないのかと思っていたのが、拍子抜けした。
そして今、怒っているカイリューから感じ取れる生命力は、いつもの強い生命力よりも一段と強くなっている。
俺は、言った。
「俺自身も良く分かっていないんですけど、カイリューも何の理由も無く俺の傍に居る訳じゃないんですわ。
それでも無理矢理捕まえようとするならば、本当に、死を覚悟して挑んだ方が良いと思いますよ」
脅しでも何でもない。
俺もウインディも、こうなる事を予想していた。
ウインディも大して驚いていない。それどころか、ウインディはトレーナーと倒れているゴウカザルを露骨に憐れんでいた。
「くそっ」
プライドのせいなのか、それとも俺の言葉を単なる脅しと受け取ったのか、それでもトレーナーは脇に付けたボールに手を伸ばした。
ただ、ボールに手が届く前にカイリューはそのトレーナーの頭を掴み、目に指を突きつけた。
「ひ」
ゴウカザルは気を失ったまま動かない。
トレーナーはそれでもボールに手を伸ばした。
「流石に、殺すなよ」
俺はそう言った。カイリューは頷いて、出て来たポケモンの一匹を殴り飛ばした。
六匹全て、何も出来ない内にカイリューによって叩きのめされた。氷タイプのユキノオーでさえ、尻尾の一撃で吹っ飛んで動かなくなった。
トレーナーは、正に目の前が真っ暗と言ったように茫然としていた。漏らしてもいた。
カイリューは、白い息を吐いて、座り込んだ。
…………。
「入ろうか」
玄関の鍵を開け、少しだけ血の付いたでかい手を取って俺はカイリューを引っ張った。
カイリューが驚くように俺を見た。これだけ暴れたのに、それでも良いの? と言ったように。
「…………お前が、子供を喪った事、俺は知ってる」
カイリューは驚いた。俺は、ばらしても良い気がした。ばらしても、大丈夫な気がした。
「リュウセンランの塔の最上階に、亡骸を埋めたんだろ?」
ウインディが器用に扉を開けて先に入り、俺が入り、カイリューが潜って扉を閉めて、鍵を閉めた。
「まあ、良いよ。気が済むまでここに居ても」
カイリューがここに居る限り、俺も妻を呼び戻して子を為す何て出来ないだろうし、同じくウインディの番を見つけて、子供を育てる何て事も出来ないだろう。
でも、それでも良かった。ただここに居させるだけで、こいつの途轍もなく重い枷を軽くする事が出来るならば、それでも良い気がした。
そして、カイリューに抱きしめられた。
ああ、こりゃきついわ。カイリューにとっちゃ軽く抱きしめているつもりなんだろうけど、俺の体がちょっと悲鳴を上げた。
twitterにうpしたところ、当のシビルドンよりマメパトに関する感想が多かった件
拍手ありがとうございます。
続きは某イラスト投稿サイトで。
まだ、投稿してないけど。
って言いながら拍手ボタン連打してしまいました。ポケモナーでもないというシーンで何故かフフッてなったり。
なついてるガブちゃんかわいい。
タグ: | 【一粒万倍日】 |
タイトル通りです。
まあでも感想書くのは遅いですが…。
投稿してもいいのよ…?
今年これからの一粒万倍日
2月
18(水) 23(月)
3月
2(月)10(火) 15(日)※ 22(日) 27(金)※
4月
3(金)6(月)9(木) 18(土) 21(火)※ 30(木)
5月
3(日)※ 15(金)※ 16(土) 27(水) 28(木)
6月
10(水) 11(木) 22(月)※ 23(火)
7月
4(土)※ 5(日) 8(水) 17(金)※ 20(月) 29(水)
8月
1(土) 11(火) 16(日)23(日)28(金)
9月
4(金) 12(土) 17(木) 24(木) 29(火)※
10月
6(火)9(金)12(月) 21(水)※24(土)
11月
2(月)※ 5(木) 17(火) 18(水) 29(日) 30(月)
12月
13(日) 14(月)※ 25(金) 26(土)
(※)一粒万倍日 + その他の吉日
引用元
http://www.xn--4gqo86mdy5bh3z.net/
タグ: | 【長編(予定)】 |
どうしてこうなったんだ。
カヅキは周囲から聞こえる低いうなり声に身体を震わせ、額から脂汗を滴らせた。手に持った紅白のボールが足元にぽとりと落ちる。しかしそれを屈んで拾う余裕はカヅキにはなかった。
そもそもカヅキがここに来たきっかけは、幼馴染であり先輩トレーナーにあたるユウトに、マンネリ化してきた手持ちに対しての愚痴をつぶやいたからだ。
カヅキは言ってしまえば中堅どころのトレーナーである。ずぶの初心者ほどポケモンの扱いに慣れていないわけでもなく、かといって大きな大会で常勝出来るほどでもない。そこそこの規模の大会でぎりぎり入賞できるくらいで、ピンからキリまでいるトレーナー界全体では真ん中より上であろうが、名が知れたいわゆるエリート達とは実力は比べるべくもない。
トレーナーとしての力は育成方法や戦術も当然関わってくるが、何よりポケモンの種類そのものによるところが大きい。中にはとんでもなく意外なポケモンで勝ち進む者もいるが、ほんのひと握りだ。特に中堅どころから頭ひとつ抜け出るには、より強力なポケモンを捕獲し育てることが必要になる。
最近大きな変化もなかったパーティーに新しい風を入れるという意味も込めて、カヅキは新しい手持ちを増やそうかと考えていた。
そんな事を先輩のユウトに言うと、ユウトは思い出したようにつぶやいた。
「そう言えば、『ランテンの森』だっけ……あそこにはかなり強いポケモンがいるんだってな」
カヅキもその地名には聞き覚えがあった。同時に、そこは公には何も言われていないが、トレーナーの間では「入ってはいけない」と囁かれている場所であることも知っていた。
昔は力のあるトレーナーが集まる場所であったとか、強いポケモンが生息しているとか、噂は様々であったが、少なくとも今現在、近寄ろうとする人はほとんどいない場所である。
しかし、ユウトの言葉は、カヅキの興味を強く惹いた。
かつてどうであろうと、今現在はトレーナーのいない場所である。人の立ち入らない場所には、普段見ないポケモンが生息していてもおかしくない。カヅキはエリートではないが、それなりに強く、トレーナーとなってそれなりに長く、ある程度の危険には対処できる。よっぽどのことがない限り、何とかなるだろう――。
そんな楽天的な気持ちで、カヅキは「禁足地」である『ランテンの森』へ向かった。
己の実力を過信し、軽い気持ちで過去のトレーナーたちの忠告を破った過去の自分を、カヅキは絶望の中で深く呪った。
ランテンの森は予想通り、数多くのポケモンで溢れていた。長く人の手が入らず細いけもの道ばかりの薄暗い森では、普段森では見ない種類のポケモンもちらほら見られた。
予想通り、珍しいポケモンがたくさんいる。カヅキはほくそ笑んだ。
周囲をうろつくポケモンたちを見回し、自分のパーティーを埋めるポケモンは何がいいかと逡巡していた。
しかし、思った通りに事が進んだのはそこまでだった。
カヅキが森の中を歩いていると突然、ぞわりと全身が総毛だった。
まずい、と思った時にはすでに遅く、カヅキの周囲からは低い獣のうなり声と突き刺すような殺気があふれ出していた。藪の中から数え切れないほどの目がぎらぎらと光って見えた。
森の中から大きなモルフォンが飛びだしてきた。カヅキは腰のボールに手をかけ、応戦した。しかし長くは持たなかった。1匹倒し、2匹倒し、しかし周囲の気配は減るどころか大きくなる一方だった。
間もなく最初に出したライチュウが倒れた。カヅキはライチュウをボールに戻し、一目散に駆けだした。全速力で逃げるカヅキをポケモンたちが追いかけてきた。
カヅキは走りながらも手持ちを出して応戦した。しかし長くは持たない。ランテンの森のポケモンは噂通り、いや噂以上に強く、そして圧倒的な数の前にカヅキは尽くす手立てを失っていた。
走って走って、カヅキは森の中の少しだけ開けた場所に追い込まれた。
手持ちはみな力尽き、走る体力も既にない。それなのに、周囲の殺気はますます強くなっている。じりじりと後ずさりしていたカヅキは、とうとう大木の幹に退路を塞がれた。
どうしてこうなったんだ。
カヅキは周囲から聞こえる低いうなり声に身体を震わせ、額から脂汗を滴らせた。手に持った紅白のボールが足元にぽとりと落ちる。しかしそれを屈んで拾う余裕はカヅキにはなかった。
辺りを取り囲み、じわじわと迫る大型のポケモンたち。カヅキは涙と鼻水を滴らせながら、最後の気力を振り絞って叫んだ。
「だ、誰か……誰でもいいから、助けてくれぇーっ!」
「――その言葉、『依頼』と受け取ってもいい?」
突然、カヅキの頭の上から、鈴を転がすような声が響いてきた。カヅキははっと目を見開いた。
空気を包んだスカートをふわりと膨らませ、ひとりの少女が地面に降り立った。
揺れる長い黒髪が、まるで羽のようにカヅキには見えた。
モノクロの世界から抜け出したような少女だった。
ふくらはぎまである真っ直ぐな髪も、ジャケットの上着も、プリーツスカートも、膝より長いブーツも、革の手袋も、全て真っ黒。上着下の丸襟ブラウスと、顔と首元からわずかに覗く素肌は、色白を通り越した白。大きな深緑色の瞳だけが、唯一彼女に色彩を与えていた。
突如上空から舞い降りた黒衣の天使は、カヅキににっこりと笑顔を向け、言った。
「ご依頼ありがとうございます! 『携帯獣萬屋(ポケモンティンカー)』です!」
「ポケモン……ティンカー……?」
聞き慣れない単語を耳にし、カヅキは呆然と単語を繰り返した。
そんなカヅキの前で、少女は左手首につけられた腕時計型のデバイスを操作し、空中に画面を浮かび上がらせた。
「それじゃまずは、システム……というか、依頼料についての説明だけど……」
「ちょ、ちょっと待って」
呑気に解説を始めた少女をカヅキは慌てて止めた。
黒い少女が空から降りてこようが、現在カヅキが置かれている状況は変わらず絶体絶命のまま。辺りの殺気は全く消えていないし、むしろ少女の出現によって強くなった気配さえある。
「金なら払う! いくらでも払うから、そんなことより早く助けてくれ!!」
「……あ、そ。わかった」
少女はきょとんとした表情をカヅキに向けると、デバイスを操作し画面を消した。
カヅキは何を馬鹿なことをやっているんだ、と頭を抱えた。目の前の能天気な少女だけでなく、己に対してもである。
溺れる者は藁をも掴むというが、まさにそれである。目の前にいるのはどう見ても自分より年下――おそらく15歳かそこら――の、押したらぽっきり折れてしまいそうなか弱い少女である。そんな少女にこの瀕死の状況で助けを求めるとは、どうにかしている。
大会上位に食い込んでくるような実力のある有名トレーナーは大体知っているが、見たことのない顔である。仮に見たことがあったならば忘れるわけがない自信がカヅキにはあった。
なかなか、いやかなり、いやものすごく、かわいい。絶世の美少女だ。完全にストライクど真ん中である。空から舞い降りた救いの天使に、カヅキは完全に一目惚れだった。
しかし今はそれどころではない。いくら外見がよかろうとも、今この状況でポケモン相手に色仕掛けは効くまい。
少女はカヅキの方を向いたまま、ポケモンの群れに背を向けたまま、上着の下に両手をつっこんだ。
「……草タイプが28、地面が17、虫が22、飛行が20、格闘と鋼がそれぞれ8……全部で103。結構いるなあ。なるほど、おっけー」
少女はそう言うと不敵に微笑み、殺気のする方向へ振り向きながら、腰から白と黒の小さな球が並んだ平紐を取り出し、宙に放った。
それが赤い部分に塗装が施されたモンスターボールと、それが大量に取り付けられたベルトだと、カヅキが気付くのには少し時間がかかった。
周囲に無数の赤い閃光が走り、カヅキと少女を何重にも取り囲むように、様々な種類のポケモンが姿を現した。しかもその全てが、バンギラス、カイリュー、メタグロスといった、大型で威圧感のあるポケモンだった。
カヅキは口をポカンと開けて、周囲を見回した。少女が繰り出したポケモンは、見える範囲だけでも20匹以上はいるだろうか。
少女はぱん、と手袋をした手を打ち鳴らした。辺りを覆っていた殺気が、戸惑いと恐怖に変わっていくのがカヅキにもはっきりわかった。
「さあ、かかってくる子はいる?」
凛とした少女の声を合図に、2人を囲むポケモンたちが、一斉に咆哮を上げた。周囲から慌て怯える声が聞こえ、生き物の気配が消えていった。あっという間に辺りは静まり返り、そこにはカヅキと少女と少女のポケモンたちだけが残された。
少女は納得したようにうなずくと、ベルトを拾い、ぱんぱんと2回手を叩いた。再び辺りに無数の赤い閃光が走り、2人を囲んでいたポケモンたちが全てボールに収まった。
ずるずる、と音を立て、カヅキは背中を樹の幹に預けたまま放心状態で地面にへたりこんだ。
少女はベルトを腰に巻きなおし、カヅキに笑顔を向けた。
「依頼完了! で、いいかな?」
「あ、う、うん……」
カヅキは混乱した頭で少女の笑顔を確認し、ほんのり頬を染めた。
少女は首をかしげ、大丈夫? とカヅキに手を差し出した。カヅキは顔を真っ赤にし、大丈夫大丈夫、と言って慌てて起き上がった。
左手首の腕時計型デバイスをいじる少女の姿を見ながら、カヅキは先程の嵐のような展開を思い出していた。
カヅキの混乱のもととなっていたのは、野生のポケモンに傷ひとつつけず事態を収集した手際でも、彼女の使うポケモンの種類でもない。一番の原因は、彼女の厚かったポケモンの数だ。
確認できただけでも20数匹。見えない場所や上空に飛んだものも合わせれば30は超えるだろう。それだけのポケモンを連れ歩き、育て、指示を出せることが不思議でしょうがなかった。
それはトレーナーとしての実力云々の世界ではない。そもそも、カヅキ達トレーナーにとって、ポケモンを同時に7匹以上連れ歩くことは、事実上「不可能」だからだ。
トレーナーの「手持ち」は最大6匹。それはこの世界どこに行っても共通のルールだ。
免許取り立ての初心者も、この道何10年のベテランも、どんなにあくどい人間だって、手持ちが6匹を超えることは絶対に「あり得ない」。
トレーナーの持っているポケモンは全てボックス管理システムによって管理されており、最大数を超えたら自動的に転送されるようになっている。たとえ電子端末の使えないところでも、数を超えたらその分のボールは開かなくなる。詳しいシステムなどカヅキは知りもしないが、「そういうこと」になっているのはわかっている。トレーナーとしての常識だ。
しかし目の前の美少女は、いとも容易くその常識を打ち壊して見せた。
一体どうやって、とカヅキが尋ねようとするより先に、少女が口を開いた。
「じゃあえっと、野生ポケモンの追い払い5万、数が103で1匹当たり3千だから30万9千、人命救助10万、プランB4万、手数料含めて……占めて50万円、お願いね」
「はぇっ!?」
カヅキは素っ頓狂な声を上げた。少女は笑顔で首を捻った。
「ん? どうしたの?」
「ご、ごじゅうまんて……いくらなんでもそれは……」
「え? でも、お金なら払うって言ったよね?」
「いやいや、言ったけど、言ったけどさ、でも……」
嫌な汗がカヅキの全身から噴き出した。多少のお礼は考えていたが、桁が予想より遥かに多い。カヅキは決して金がないわけではないが、楽な暮らしかと言われれば全くそんなことはない。元よりトレーナー1本で食って行くのはかなり厳しい道だ。大会上位者でさえ、兼業トレーナーが少なくない。
それにしても、50万とはいくらなんでも吹っかけすぎである。足元を見られているとしか思えない。見目麗しい少女が上目遣いで小首を傾げてこようとも、こればかりははっきりしなければ。
カヅキが異を唱えようとした、その時だった。
「シュリ」
どこからか突然声がした。よく通るバリトンの声だ。
少女の後ろから、少女とほとんど同じ大きさの影が気配もなく現れた。
現れたのは少年だった。その姿を見て、カヅキは目を見開いた。
くせの強い髪の毛、袖なしのスーツ上下、ネクタイ、革靴、革の手袋は真っ黒。シャツと素肌は白。大きな瞳は深い蒼色。
瞳を除く全身の色合い、体格、そして何よりその顔は、目の前の美少女と瓜ふたつだった。
「シュン」
『シュリ』と呼ばれた美少女は、『シュン』と呼んだ自分によく似た少年に顔を向けた。2つの顔が並んだ様子はまるで鏡写しのようで、双子か何かかな、とカヅキは思った。
「お前、悪徳業者か何かみたいだぜ」
「えぇー、そうかなあ?」
シュリは唇を尖らせて首をひねった。
どうやら窘めてくれるようだ、とカヅキは内心ほっと息をついた。
「依頼料のことちゃんと事前に話したのか?」
「話そうとはしたけど、『いいから早く助けろ、金は払う』って言うものだから」
「そっか。それじゃしょうがねぇな」
シュンは頷くと、カヅキに向き直った。
「じゃ、きっちり払ってもらおうか」
「ええぇぇー!?」
業者が増えただけじゃないか……とカヅキは頭を抱えた。
シュリは屈託のない笑顔で、シュンはどことなく不機嫌そうな顔でカヅキをじっと見つめてくる。表情は違えど、緑と青の2組の瞳が放つプレッシャーは底知れない。
どうしよう……とカヅキは情けなくも泣きそうになった。
「シュリちゃん。シュン君。その辺にしてあげなよ」
カヅキを見つめるふたりの背後から、また別の声が聞こえてきた。シュリとシュンが全く同じタイミングと動作で後ろを振り返った。
シュリとシュンよりほんの少し背の高い、年齢も同じか少し上くらいに見える人影が歩いてきていた。ぼさぼさの黒髪を右手で掻き、左手をだぼだぼのフリースのポケットに突っ込んでいる。左目の目尻に小さなシールを貼っている他は、飾り気も何もないだるそうな見た目だ。
「ユズキ」
「何でてめーまでここに来てんだよ」
やっほー、とユズキは笑顔で右手を上げた。シュンの顔がより一層不機嫌になったように見えた。
カヅキは次々増える登場人物に小さなため息を着いた。それを聞き付けたのか、ユズキは笑顔でカヅキに近寄ってきた。
「やー、どーもどーも。ボクはニノマエ・ユズキっていいます。この子たちの、えーっと何だろ、上司? 代表? 保護者? みたいなのやってます」
誰が保護者だ、とシュンが不機嫌そうにつぶやいたのがカヅキには聞こえた。
そのつぶやきが聞こえているのかいないのか、ユズキはポケットから棒付きキャンディを4つ取り出すと、1つを口に含み、残りをシュリとシュンに差し出した。
「はい、どーぞ」
「わーい」
「いらねぇよ阿呆か」
「ほら君も」
「あ、どうも……」
薦められるまま、カヅキは赤いビニルに包まれたキャンディーを受け取った。「辛くて渋いズリ味!」とパッケージに書いてある。一体どこに需要があるのだろうか、とカヅキはひっそり眉をしかめ、そっと上着のポケットにしまい込んだ。
ユズキは余った1本を再びフリースのポケットに戻し、さて、と口を開いた。
「料金のことだけどさ、シュリちゃん、いかなる理由があろうとも事前説明が無かったのは事実なんだし、事態が事態なんだから割引つけてあげよう」
「はーい」
「あ、ありがとうございます……」
「というわけで、合計50万円に緊急割引つけて、49万円ってことで」
「1万しか変わってないじゃないか!」
1万は決して小さくないが、現状では大して変わりがない。助かった、と少し期待したカヅキはがっくり心を折られた。
ユズキは笑顔のまま、少し困ったように眉をしかめた。
「うーん、君の気持もわからないことはないんだけど、こっちも仕事だからなあ」
「そ、そもそも、君たちはどういう? 『ティンカー』って……」
「カヅキ!!」
突然、怒鳴るような声が聞こえてきた。カヅキにとっては聞き覚えのある声だ。
カヅキにとって先輩トレーナーにあたるユウトが、ピジョットの脚につかまって上空から降りてきた。
「先輩!?」
ユウトはカヅキに対して一瞬驚いたような表情を見せた後、そばに立っている3人に視線を向けた。
「あんたらは?」
「初めまして、『ポケモンティンカー』のシュリです」
「ティンカーだと?」
シュリの言葉を聞いたユウトは、あからさまに不機嫌そうな顔をしてシュリをにらみつけた。
「おいカヅキ、こんな奴らに関わんな! 帰っぞ!」
「あ、え、あの」
戸惑うカヅキの腕を引っ張り、ユウトは再びピジョットの脚につかまった。
カヅキ君、とユズキが笑顔で声をかけ、ポケットから小さな手帳を取り出してさらさらと何かを書きつけてページを1枚破り、カヅキの上着のポケットに入れた。
「いつでもいいから、気が向いたらそこに連絡してね」
笑顔で右手を上げるユズキと、不機嫌そうなシュンと、何やら神妙な顔をしているシュリの姿は、あっという間に森の木々に隠れて見えなくなった。
+++
瀕死の手持ちをポケモンセンターに預け、近くのコンビニでいつもの黒地に紫色のドガースのシルエットが印刷されている煙草を1箱買い、カヅキはユウトと行きつけの居酒屋に来ていた。
ビールを1杯とお通しのマカロニサラダに少々箸をつけたところで、ユウトが口を開いた。
「ま、ケガもなくてよかったな」
「はい、ご心配おかけしました、先輩」
「にしても、ティンカーの奴ら、こういうところすぐつけこんできやがるな」
「先輩、その『ティンカー』って何なんです? 俺、初めて聞いたんですけど……」
「詐欺師だよ。高額の依頼料せびってくるモグリのトレーナーさ」
ユウトはポケットから青いパッケージの煙草を取り出し、火を点けた。
「モグリ?」
「あいつら、トレーナーカード持ってねぇんだ。無免許だよ」
「確か、ポケモン扱うだけだったらトレーナーカードなくってもいいんですよね? ポケセンとか大会とかでは必要ですけど」
「まあそうだが、普通取るだろ。常識的に」
灰皿に灰を落とし、ユウトは不機嫌そうな態度を崩さず続けた。
「何か困ってることがあると、すぐやってきては馬鹿高い金を要求するんだ。まじトレーナーの風上にも置けねえよ」
「でも、おかげで俺こうやって生きてるんですけど……」
「あ? 困った奴がいたら手助けするのが当然だろうが」
「……そう、っすよね」
何となくもやもやとする気持ちを抱きながら、カヅキは上着のポケットに手を突っ込んだ。
がさり、と音がした。机の下でこっそりと取り出してみると、手帳の切れはしと赤いパッケージに包まれたキャンディーが現れた。切れはしには住所と電話番号が書いてあった。
紙を4つ折りにしてポケットに戻し、カヅキはふう、とため息をついてユウトに言った。
「先輩、ズリ味のキャンディーっていりますか?」
「あ? んなゲテモノいらねぇよ」
どうしようかなこれ、とカヅキは辛渋い物体を手の中でくるくると弄んだ。
++++++++++
いずれ書きたい長編の1話目の書きだし(の試し書き)
昔から自分の小説を知っている人なら見覚えある奴が出てくる。かも。
使わなくなったキャラはリサイクルするもの。
タグ: | 【フォルクローレ】 |
たくさんの応募をいただき、ありがとうございました。
GPSさんのやつを採用したく思います!
他のやつは未定ですが、本当に余裕があれば…という感じなので、可能性は低めです。
今後は掲示板企画としてご投稿いただけますと幸いです。
ご投稿、ありがとうございました!
タグ: | 【ポケモン世界の福祉道具】 【ヤミカラス】 【捕獲補助銃(サポートガン)】 |
※参加型のポケモン知恵袋に回答して思い立った小説
とってもカラフルで、片手で収まるほどのハンドガンを、1人の少女が持つ。
その銃口の先にいるのは、捕まえるために軽く体力を弱らせ、痺れ粉で麻痺状態にさせた、一匹のヤミカラス。
ヤミカラスに慎重に狙いを定めて、女の子は右手人差し指に掛けていた引き金を引くと、紅白のモンスターボールが飛び出し、 それはまっすぐとヤミカラスへと飛んで行く。そして、発射されたボールが命中すると、ヤミカラスは赤い光に包まれてその中に収まり、ゆらゆらと三回ほど揺れたのち、カチリ、と音がして、無事に捕まえられたことを示してくれた。
「やったぁ!ポケモンだぁ!!
すごいね!この銃!!モンスターボールが飛んで行ったよ!!
ママ見てー!!私、ポケモン捕まえられたよー!!!」
「うん。よかった………よかったねぇ。ほら、ヤミカラスをこれで治療して来なさい。」
「うん!お兄ちゃんありがとう!!」
女の子は持っていたハンドガンを僕に渡すと、一気に捕まえたばかりのヤミカラスが入っているモンスターボールへと、飛ぶように走って行く。母親らしき女性は、とっても元気な女の子のその姿に、瞳いっぱいに涙を浮かべる。
「よかった………本当によかった…………!!ミヤニシさん、本当にありがとうございます!!!」
「いえ。………その人にあったサポートガンを作るのが、僕の仕事なので。」
サポートガン。正式名称、携帯獣捕獲補助銃。
空のモンスターボールを装填して、対象である野生のポケモンに向けて撃ち、捕獲するための道具だ。
最初、ケガや病気でボールを投げられない人のために作り始めた福祉道具の1つだが、最近はボールを投げるのが苦手な人や、プロの捕獲屋さん。それからポケモンレンジャーの方からの注文が相次いでいる。
サポートガン専門店を立ち上げてからは、直接来て頂いた方限定で、サポートガンのレンタルや、その人にあった物をハンドメイドで作るサービスも行っていて、今目の前にいる母娘も、そのサービスで来たお客様だ。
この女の子は、利き腕である右腕を不慮の事故で失い、それからはずっと、義手での生活だったらしい。そのため腕に力がなかなか入らず、重いものを持つこともそうだが、ポケモンを捕まえる上で絶対に欠かせない動作である、投げることもできないほどだったらしい。
それでも、自分でポケモンを捕まえたい。自分で捕まえたポケモンで旅をしたい、と、遠いのにわざわざ、シンオウ地方のコトブキシティから、このジョウト地方はアサギシティにまで来てくれたらしい。
「よかったね。……ヤミカラス、大切にね。」
「うん!お兄ちゃんありがとう!!」
「どういたしまして。………じゃあこの銃は、君にあげる。」
「!いいの!?」
「うん。そのために作ったんだから。………ヤミカラスもこの銃も、大切にね?」
「うん!!」
捕まえたばかりのヤミカラスが入ったボールとサポートガンを持って、近くにあったベンチに座りながら、それを嬉しそうに見つめる様子を見ていると、つくづく作ってよかった、と思えてくる。この笑顔のために作ってきたのだ。この笑顔のために、5年の歳月を掛けて、自分でポケモンを捕まえたい人たちのために、頑張ってきたのだ。
「ミヤニシさん。………娘の夢に協力してくださり、本当にありがとうございました。」
「いえ。これしか取り柄のない人間なので。……銃の手入れはそちらでやっていただくことになりますが、もし不安があったらお電話ののち、こちらに郵送していただければ、時間は掛かってしまいますが、丁寧に手入れさせていただきます。」
「そう、なんですか………それじゃあ、これからもよろしくお願いします。」
「はい。……今後とも、携帯獣捕獲補助銃専門販売店『プリエール』をよろしくお願いします。」
今日もまた、たくさんの人の笑顔のために、丹精を込めて、作らせていただきます。
【書いてもいいのよ】
【ポケモン世界の福祉道具みんなで考案してみよう。】
うちのご主人はクリスマスが嫌いらしい。
なんでだろうか。
主人が買ってきてくれたポケモン用のケーキを食べ終えるとおれはご主人の足の間に座りながら、ちゃぶ台に頭を乗せていた。こうすることでテレビを楽に見ることができるのである。顎が疲れることだけを除けば、いいものである。
ケーキをつまみにワイルドターキーを煽りながら、ご主人はテレビの内容にあーでもないこーでもないと言っていた。基本的に全否定である。まぁ、つけるチャンネルが示し合わせたかのように今からでも間にあう恋人が喜ぶ○○みたいな特集ばかりなのでしょうがないとは思うけれど。
しかし、何が楽しくて、こんな寒い日にでかけるのだろうか。よくわからない。くっつく理由が欲しいのか。それでも、家で好きなようにくっつけばいいではないか。あと、ご主人。なにかをプレゼントしてくれる彼が欲しいってそれは完全にサンタさんだと思う。
流石に太ったおっさんと付き合うのは見境がないと思うのでやめたほうがいいと思う。
―――――――
久しぶりに百文字クリスマス書こうと思ったら長くなったなんて、ことはないんだからね。ぜったいにないんだからね
やっふぅ! コメントありがとうございます!
ブースt……唯一王かわいいよ唯一王。もふもふもふもふ。
可愛いは正義。もふもふは正義。ブースターは正義。異論は認めません。
あーんしてる唯一王可愛いですよねうへへへへ。と言うか何をしても可愛いですよね。何もしてなくても可愛いですよね。ブーs……唯一王かわいいよ唯一王。
多分炎はトレーナーに向かって吐くんじゃないですかね。唯一王に燃やされるなら本望でしょう。でもあの世界だとそれ位なら数分で全快しそうですけども。とりあえず唯一王の歯形が付いた歯ブラシはどこで買えますかね。
何かb唯一王可愛いとしか言ってなくて返信になっているか怪しいですが唯一王が可愛いから仕方ないですよね。
という訳でコメントありがとうございました! でも唯一王は行かせません。
【唯一王かわいいよ唯一王】
ブースターたんかわいいよブースターたん。
初代緑版で迷わずイーブイをブースターたんに進化させたくらい好きだよブースターたん。
唯一王とか、ブイズ統一パにウインディ入れた方が勝率上がるとか言われても可愛いからいいんだ。
お口あーんしてるブースターたんとかまじカワユス。
嫌がって炎吐いて歯ブラシとか溶かしたりしてしまうんだろうか。
それとも口閉じてしまうから歯ブラシに歯形がつきまくりなのか。
どっちも可愛いから無問題。
涼しくなったし、ブースターたんうちにおいで。
私信
もーりーすまぬ、すまぬ…。感想遅れて本当にごめんなさい。
ちょっと修羅場ってた。
> 怖い!怖すぎる!下手なホラーよりずっと怖いぞ!
> でも多分この怖さが分かるのはポケモン好きだけなんだろうな……
ありがとうございます。怖いの不気味なの書こうと思ってたんですよw
ポケモン好きのみわかる恐怖……なんかいい響きですよね
> そうだよね。よくよく考えたらタウリンとかブロムへキシンとか薬なんだよね。
> 使いすぎたらヤバイよね。ジャンキーだよね。
> 当たり前なんだけどゲームの中にサラリと出てくるものだから気付かない。変な盲点。
さらっと出てくるからこそわからない。ましてやゲームの中ですからね、薬なんて意識ないですもんねw
みなさんも使いすぎには注意しましょう。
感想ありがとうございました!
テンションがすごく上がりました。最近リアルが忙しくてなかなか長時間ネットできる日がないのですが、
一応小説のところだけは毎日チェックしてるというね。
本当に読んでくださってありがとうございます。
怖い!怖すぎる!下手なホラーよりずっと怖いぞ!
でも多分この怖さが分かるのはポケモン好きだけなんだろうな……
そうだよね。よくよく考えたらタウリンとかブロムへキシンとか薬なんだよね。
使いすぎたらヤバイよね。ジャンキーだよね。
当たり前なんだけどゲームの中にサラリと出てくるものだから気付かない。変な盲点。
> ごめんね私の手持ち達。お願いだから死なないで。
しぼうフラグが たった! ▽
その昔、おばあちゃんに聞いたことがある。
木の実や野菜、お米等を収穫している途中で
遠くで雷が落ちたところを見たあとに、お酒や花と一緒に
収穫したものを鳴神様にお供えすると
そのものの願いを叶えてくれるのだと言う。
*
「おばあちゃん。」
「びぃ!」
「いらっしゃい、チナツ。可愛いあなたもね。」
大きな昔ながらの家。その裏に、小さなビニールハウスがある
そのハウスの中から、おばあちゃんは収穫したたくさんの野菜を持って
私とエレキッドを出迎えてくれた。
「可愛いでしょ!エレキッドって言うんだ!
この前お父さんがくれた卵が孵ったの!!」
「そう、良かったわね。大事に育てなさい。」
「うん!!」
おばあちゃんはニコニコ笑いながらエレキッドの頭を撫でた。
私も!と、おねだりして撫でてもらったとき、遠くで雷が鳴った。
「……あら?鳴神様かしら?」
「なるかみさま?」
「ちょっと呼んでみましょうか。」
「!あの歌だね!!」
「びぃ?」
「エレキッドにも聞かせてあげる!」
*
空に黒雲渦巻いて
雨降り風吹き雷(かんだち) 落ちる
嵐の過ぎた焼け野原
鍬立て種撒き命成る
鳴神様に捧げよう
黄金に染まった我が宝
*
目の前に、小さな祠が現れた。
そこには、古びた和紙に、『鳴神様ノ祠』と書かれていた
おばあちゃんの手には、なんだか高そうなお酒が握られている
「さあ、チナツ。野菜をお供えして上げて?」
「うん。」
私は、色とりどりの木の実や夏野菜が入った籠を、小さな祠の前に置いた。
その横では、おばあちゃんがお酒をお猪口に注いでいるのが見えた
アルコールの匂いが鼻につくが、神様の前なので我慢した。
エレキッドは、花瓶に花と水を入れて、そっと野菜達の横にそれを置いた。
おばあちゃんも、注いだお酒を供えると、蝋燭に火をつけて、手を合わせた。
「チナツとエレキッドが、何時までも仲良しでいられますように。」
「……!!」
「ふふ。チナツとエレキッドも、お願い事をしてみなさいな。」
「じゃあ……おばあちゃんが元気でいられますように!!」
「ありがとう、チナツ。さあ、帰ってお昼にしましょうか。」
「うん!!行こう、エレキッド!!」
おばあちゃんは蝋燭の火を仰いで消すとお酒を持ち、私の手を取った。
私もおばあちゃんの手を取ると、反対側の手で、エレキッドの小さな手を握った。
そのエレキッドの反対側の手には、いつの間にか拾ってきたであろう木の枝が握られていた
「チナツ。何がいい?おばあちゃん。今日は何でも作るわよ。」
「カレー!カレーがいい!!」
「じゃあ、決まりね。」
家路をのんびり歩きながら、色んな話をした。
鳴神様が、私達を優しく見守っている気がした。
*あとがき*
雷を題材に、ほのぼのしたのを1つ。
この小説における鳴神様はなんなのか
皆様のご想像にお任せします。
【好きにしていいのよ】
※暴力表現注意。苦手な方は閲覧を控えて下さい
スリムストリート。
ヒウンのセントラルエリアへと続く狭く暗い道
その道の一角に、うずくまるたくさんの人影。
その中心には、男の胸ぐらを掴んで威圧する紫の少年がいて
近くに、オレンジの髪に赤渕メガネだった物を持っている青年がいた
「あーあ、どうしてくれちゃったのよ。……弁償してくれる?ねえ。」
「あ、あく、ま、が……!」
「はあ?そっちから喧嘩吹っかけといてそりゃないでしょう……弁償しろよッ!!」
「ぐっ……ぅ、……。」
「……ウィル。」
「チッ……。」
オレンジの髪の青年は、そのままタバコを取り出した。
あとは少年に任せるらしい。
「……おい、てめえがリーダーか?あ゛ぁ?」
「っ、ちげーよ……俺ァ、あんたを潰せって頼まれただけだ……。」
「そうかよ……なら、そいつにこう言っとけ。
『いつかぶった切ってやる』ってよお!!」
「ぐぅっ!?」
鳩尾に思いっきり拳を叩き込むと、相手はそのまま気絶した
それからまるでタイミングを計らったかのように、雨が降り出して来た。
「……あ、結構ひどくね?そういや、さっき雷が鳴ったような……。」
「……どうだっていいさ。戻るぞ、ウィル。」
「はいはい……結局、尻尾は掴めずか……いい加減ムカついてきた……。」
「それは俺もだが、まあなんとかなる。」
「そのうち痺れ切らしてヤバイ連中けしかけてきたりして。」
冗談にしては、かなり怖い事をさらりといいのけたウィルだが
ヴィンデは寧ろ、笑って賛同していた。
捕獲屋Jack Pot。たった6人の最強の捕獲屋。
だからこそ、裏の人間に恐れられると同時に
今回みたいに因縁吹っかけられて狙われる。
「夕立。ひどくなったね。」
「ああ……メガネ。どうすんの。」
「同じタイプのを買うよ……金掛かるけど。」
本格的に強くなった雨に打たれ、鳴り響く轟音にぜめぎられながら
2人は帰るべき自分たちの居場所へと、ゆっくりと戻って行った。
*あとがき*
誰も書いてくれないって正直寂しいですね……。
今回は喧嘩組の話し。案外短く終わった……。
ヤバいよ。ネタが尽きそう……!!
【書いてもいいのよ】
【描いてもいいのよ】
【批評してもいいのよ】
学校が怖い。最後に彼から連絡があったのは一ヶ月前のことだった。
彼は頭がよかった。小学校を卒業して私はすぐに旅に出たのだが、彼は中高一貫の名門校へと入学した。なんでもバトルなどの実技、学力がほぼトップクラスでないと入れないところらしい。彼は合格したときすごく喜んでいて、二人で祝ったりもした。
彼の学校が始まると同時に私は旅に出た。暫くの間は手持ちのポケモン達をゆるゆると育てつつ、時にはトレーナーにバトルを挑まれつつ金欠と戦う日々であった。そんなある日の夜に、珍しく彼からメールが届いた。あの学校は携帯の使用が禁止らしく、特に中等部では入学と一緒に回収されるらしい。これは彼が入学前に言っていたことだがあいつ回収をばっくれたのか。半ば呆れつつ中身を開く。
【この学校はおかしい。】
ほんの一行。これだけで鳥肌がたったのは初めてかもしれない。それに頭のいい彼の言うことだ。あの学校は全面的に、そしていろんな意味で閉鎖されている。情報も月に一度あるかないかの行事を知らせるものだけらしい。彼の母親が少し心配そうにそう言っていた気がする。
でも、と思った。いくら彼の言うことでもすぐには信用できない。あの学校からは色々なジムリーダーなどが出ているのだ。学歴重視のその手の職業は変な学校出身の奴にはやらせてはもらえないだろう。信じるべきか否か。複雑になった頭でとりあえず彼に何を見たのかと返信をする。どうせすぐに返信はこない。くるとしても一週間は後になるだろう。隙を見てメールを打つ彼の姿が想像できなくて笑ってしまう。
そのまま疲れきった体でベッドに倒れこみ携帯を無造作にバッグの中へ投げ入れる。今朝拾ったタウリンを片手に眺めながら、明日はどこへ行こうかと思考を馳せた。
またしばらくして私も順調に旅を続け、以前よりも特に金欠に困ることもなく、手持ちも強くなってきた。ジムバッヂも頑張った甲斐ありようやく三つになった。
あの日から返事はまだこないが、あの学校は相も変わらず外から見る分にはいろんな意味で閉鎖されたまま何も変わりはしなかった。そう、外からは何も。
一体内側では何が起こっているのか。もしかしたら彼は携帯を所持しているのがバレて取り上げられてしまったかもしれない。まぁそれでも元気にやっていればいいのだが。
ジムバッヂ八このエリートトレーナーに勝負を挑まれすっかり撃沈していたとき、不意に携帯が振動した。こんなときに、と不満ながらも発信源を見て首を捻る。非通知だ。
「……どなたですか?」
『○○か!?』
懐かしい声で名前を呼ばれ驚いた。裏返って相当パニクっているようだったが紛れもなく彼の声だった。一体どうしたのか?
「どうしたの?」
『見ちまったんだ!!』
間髪入れずにまるで長距離走でもやった後のような荒々しい声色。声自体の音量はさほど大きくないのが逆に緊迫感を煽らせ手が震えた。
「……何を?」
恐る恐る尋ねると、彼は一層声を小さくして、幼い頃した内緒話のように
『今日こっそり学校の、立ち入り禁止になってる地下室に友達と行ったんだそしたらっ』
彼は長く息を吐いた。
『ポケモンが……数えきれないほどのポケモンが薬付けにされて檻の中に入ってた』
……。
『目があり得ないほどぎらっぎらしてて、暗くてよくわかんなかったけどらりってたと思う。しきりに檻を壊そうと攻撃してた。その音が上の教室越しに授業の時聞こえてて気になって降りたんだ……』
……。
『もう駄目だっ。ここの奴等のポケモンが馬鹿見てぇに強いのはこういうことだったんだよ! 嫌だ俺はこうはなりたくないこんなことを平気でするような奴にはなりたくない自分のポケモンをあんな風にさせたくないっ』
電話越しに嗚咽が聞こえた。
『……でももうオワリだ。おしまいだ。俺も平気でポケモン薬付けにしてひたすらに勝利ばかりもとめる腐った男になっていくしかないんだっ……ないんだよっ』
泣き叫ぶように訴える彼を数年ぶりに聞いた気がした。
『……学校が恐い。学校の人間が恐ろしい。あそこにある全てがもう怖くて怖くて仕方がない』
彼はそれ以上はもう何も言わずにただ小さく泣いていた。私は慰めることもできずに、呆然と電話越しの彼の嗚咽が止むのをただ待った。
あれ以来彼からの連絡は途絶えてしまった。私は後味の悪さと、どうして何も言ってあげられなかったのかと若干の後悔を噛み締め頭の外へ追い出すようにひたすらポケモンを鍛え、ジムへ行き、バッヂを手にして時には負けて、そしたらもう一度その日のうちにリベンジして……目まぐるしい一日一日を送った。
私のジムバッヂがとうとう八こになったのは私が旅に出て六周年を迎えたときであった。六年もかけてようやくかと父には笑われ母には調子に乗るなと小突かれた。もっと誉めてくれてもいいんじゃないかと思ったが口には出さなかった。二人ともジムバッヂ八こよりもその先に期待してるのが丸分かりだったからだ。
両親には全力を尽くせと背中を叩かれ、小学校からの幼馴染みには優勝したら奢れと頭をはたかれ、旅先で知り合った友人トレーナーには先越されたぜ畜生っと背中をどつかれた。何てバイオレンスな優しさをもつ人達だろうと苦笑した。
「……やあ、奇遇だね」
私が参加しているポケモンリーグ第二ブロック。ついに三回戦までのぼりつめ、ここで勝てば各ブロックごとの代表者と戦い最後には決勝が待ってる。これまでの対戦は心底ヒヤッとするものもなく、運がよかったのかもしれなかった。
でもそれもここまでのようだった。
「……久しぶり。無事に卒業出来たんだね、おめでとう」
前に見たときより遥かに身長が伸びて体つきも男らしくなって。それでも面影は残っていた。
「無事?」
彼は笑う。
「ははっ。そんなわけないだろ! ここまでくるのに俺がどれだけのものを犠牲にして捨ててきたか知らないだけだろっ」
その通りだった。私はあの電話以降の彼の状況を全くもって知らない。だから彼の苦労も知らないし、彼の今の状態も知らないのだ。
「そうだね」
話さなかった期間が長すぎて、最早他人同然の繋がりにまで成り果てた今、特に彼と話すこともないので私は最初に繰り出す予定のボールを握った。
勝敗など見えている。それでも彼と戦うことによってあのときから消えない後味の悪さと後悔を消そうとしていると同時に彼のことをもっと知りたいと望んでいる。
「ここで会えて光栄だよ○○。悪いけど俺にはもうバトルしかないから」
彼が傷ついたボールを放る。
スタジアムを震わせる化け物の雄叫びと砂嵐。その中心に威圧するぎらついた目のバンギラスがこちらを睨む。
彼は口元を歪ませ目線は早くポケモンを出せと訴えていた。
ごめんね私の手持ち達。お願いだから死なないで。
私は祈るようにボールを投げた。
> 「男性同士の性行為を暗示する表現があります。
> 15歳未満の方の閲覧はご遠慮ください」
そう言われればそうですね!修正します!
指摘ありがとうございました
こんにちは。イサリです。
冒頭の注意書きが曖昧でわかりにくいです。
マサポケは中高生も見ているサイトなので、
「男性同士の性行為を暗示する表現があります。
15歳未満の方の閲覧はご遠慮ください」
くらいは書いた方が良いと思います。恥ずかしいのかもしれませんが。
BL小説の評価についてはよくわからないため、感想は割愛させていただきます。
失礼いたしました。
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