マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ
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  •   [No.1909] 爆殺天使キタコレ 投稿者:No.017   《URL》   投稿日:2011/09/23(Fri) 11:10:50     97clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    >  結:やはりあるがままが一番「しあわせ」なのだということに気付き、今日も元気に相手ポケモンを容赦なく爆撃するのであった

    ワロタwww
    個人的にはこっちのが好みだったかもwww


      [No.1908] blindness(ほぼ完成稿) 投稿者:   《URL》   投稿日:2011/09/23(Fri) 11:10:39     110clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    続いてblindness。これは結構練った後のメモ。

    -------------------------------------------------------------------------
    <タイトル>
    ・「向こう見ず」
    ・「ただ私のために」

    <テーマ>
    ・「足跡」

    <コンセプト>
    ・「盲目のドーブル」
    ・「足跡は家紋」
    ・「×の付いた足跡」

    <主人公>
    ・絵描き志望の少女

    <プロット>
    ・スランプに陥った少女
     ・某イラストSNSでランクが伸び悩んでいる
     ・固定ファンはいるが、何か物足りない、本質を見てもらえていない気がする
     ・何もかも中途半端な自分が嫌になる、才能のなさが恨めしい
    ・コンビニから帰ってきた直後、家の塀に落書きしているドーブルを発見
     ・背中の足跡に「×」
     ・絵はセンスこそ感じられるが、ところどころ間違っている
     ・背中の文様も「アートの一種」だと考える
    ・ドーブルについての話
     ・大人になると背中に足跡を付けられる
     ・足跡は「家紋」のようなもので、見ただけで「家柄」がわかる。「家柄」のよいドーブルは絵が上手い
     ・学者の見解では、ドーブルは「家柄」によって厳格に階層化されている
    ・後姿を眺めながら
     ・本当に楽しそうに絵を描いている
     ・呆れるほど楽しそうなのが、少女にとって余計に苛立ちを募らさせる
     ・少女のことは一切気にかけていない
    ・ドーブルに呼びかけると、見当違いな方向を向く
     ・確認する素振りを見せた後、また絵を描き始める
     ・このとき、様子がおかしいことに気付く
     ・よく見ると、ドーブルの目には光が宿っていなかった
    ・ドーブルについての話(2)
     ・ドーブルは絵を描くことを生業にしている。よって、絵の描けないドーブルは差別を受ける
     ・目の光を失うようなことがあれば、即座に爪弾きにされる
     ・このドーブルの家柄は、かなりの上流のようである。成人したばかりだということにも気付く
    ・少女とドーブル
     ・よい家に生まれ、それだけの力を身につけ、成人して活躍するばかりだったという状況から一転、失明して一族を追われたという経緯に気付きショックを受ける
     ・それでもなお、純粋に絵を描くことを楽しんでいるドーブルに、さらにショックを受ける
     ・自分が無駄なこと、くだらないこと、つまらないことに囚われすぎていた事を思い知らされ、呆然とその光景を見つめる
    ・ドーブルとの別れ
     ・ドーブルは描きあげた絵を撫でて慈しんでから、静かにその場を後にした
     ・少女は無意識のうちに携帯電話を取り出し、絵を写真に収める
     ・そのまましばらく、写真を眺め続ける
    ・光を失いながらも楽しそうに絵を描くドーブルの絵
     ・その絵はランク入りこそしなかったが、本質を見極めた一人のファンからコメントがもらえた
     ・吹っ切れた少女が気持ちを入れ替え、絵を描く意欲を取り戻す
     ・傍らには、ドーブルが描いた絵の写真を写す携帯電話が――
    -------------------------------------------------------------------------

    後半に完成稿でカットされたシーンが残っている。確かテンポの都合で削ったはず。
    それ以外は軽微な違い(タイトル含む)はあれど、ほぼ完成稿に準じた形の様子。


      [No.1906] しあわせタマゴ(初期案) 投稿者:   《URL》   投稿日:2011/09/23(Fri) 11:03:14     103clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    初期案を引っ張り出したのでまずこれを。

    -------------------------------------------------------------------------
    タイトル
     「しあわせのカタチ」

    話の骨格
     「幸福とは個人の解釈で異なるもの」

    興味を引くポイント
     「タマゴばくだん」で勇敢に戦う武闘派のラッキー

    主人公
     ラッキーと一緒に周囲のトレーナーをなぎ倒す勝気な少女「さち」

    ポイント
     ラッキーは「たまごポケモン」で、一緒にいるトレーナーに「しあわせ」をもたらす
     個々人の「しあわせ」とは何か
     少女とラッキーの対比・共通化

    起承転結
     起:飛びぬけた腕力と「タマゴばくだん」で無敵を誇るラッキーを引き連れる少女。ラッキーと一緒に戦っていると「しあわせ」だと感じる
     承:妹分の少女もラッキーを連れているのだが、そのラッキーは正反対の技である「タマゴうみ」を使う。妹分のラッキーは「しあわせ」そうだった
     転:悩んだ少女がラッキーにとっての「しあわせ」を考え、「タマゴばくだん」を忘れさせようとする。そして、自分も変わろうと考える。だが……
     結:やはりあるがままが一番「しあわせ」なのだということに気付き、今日も元気に相手ポケモンを容赦なく爆撃するのであった

    -------------------------------------------------------------------------

    人間のトレーナーがいたりタイトルが違ったりしていますが、大筋の方向は見えていた模様。
    ちなみに、よく見ると人間の名前が完成稿で登場する主人公のラッキーにリサイクルされている。


      [No.1905] ■プロットを晒すスレ 投稿者:No.017   《URL》   投稿日:2011/09/23(Fri) 10:56:37     98clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    これはゴーヤロック氏のツイッターの衝撃発言からはじまった。

    586 586
    ゴーヤロック無駄知識:実はコットンガードやミツハニーにもプロットが存在する

    weakstorm でりでり/照風めめ
    @586 な、なんだってー!

    586 586
    @weakstorm どんな一発ネタ/小ネタ/勢いだけに見える作品も、うちの場合前段階のまとめをしないと滅茶苦茶になってしまうのです\(^o^)/

    pijyon No.017
    @586 わけがわからないよ

    586 586
    @pijyon 知ってるかい? プロットがないとあれくらいの一発ネタすら書けない人がいるんだぜ……?



    おーいみんな!
    ゴーヤロックさんがプロット晒してくれるってよー!


      [No.1852] ●豊縁昔語―黄泉人知らず 投稿者:No.017   《URL》   投稿日:2011/09/13(Tue) 00:45:23     135clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    ●豊縁昔語―黄泉人知らず (画像サイズ: 520×520 30kB)


     昔むかし、秋津国の南、豊縁と呼ばれる土地には異なる色の大きな都が二つございました。
     二つの都に住む人々はお互いに大変仲が悪うございました。
     彼らはそれぞれ自分達の色、信仰こそが正統だと考えておりました。
     今回はその二つの都のうちの一つ、赤の都に住む一人の男の話をすることに致しましょう。


     その男の齢は四、五十ほど。
     今の時代では武士などと呼ばれるのに近い身分で、名をタダモリと申しました。
     若い頃のタダモリは勇猛な指揮官として、名を知られておりました。
     侵略すること火の如し。タダモリ自身も相当な武人です。
     彼の率いる軍勢に攻め入られたら、冷静な青の武人も、抗う獣や土地神も敵うものはなかなかおりませんでした。
     彼らのとれる道は二つに一つ、命からがら逃げ出すか、首をとられるか、です。
     タダモリは都にいくつもの御印――すなわち首を持ち帰ったのでありました。


     ですが、そんなタダモリも次第に歳をとりました。
     ある時、愛馬から落馬してしまったタダモリは、腰を悪くして、戦場をかけめぐることは叶わなくなったのです。
     しかしながら戦をすることにかけては優秀な男でありましたから、赤の都で官職につきますと、様々な遠征の戦略を立てるようになりました。
     次に版図とする土地の情報を集め、火馬や駱駝は何頭、軍用犬は何匹、操り人と戦人は幾人かということを計画し、実行させるのです。
     ある者にはある土地の青からの守護を命じ、ある者には異なる色の国の国盗りを命じました。ある者には土地神の首をとってくるように言いました。
     彼の計画と計算はなかなかのものでした。
     ある者は立派に役目を果たしましたし、ある者は見事に国を盗りました。そしてまたあるものはタダモリの前に土地神の首を差し出したのです。
     
     そのように馬を降りても活躍するタダモリでありましたが、一つだけ苦手とするものがありました。
     都にいる官職の者達は、昼間は昼間でお役所仕事などしておりますが、夜は夜で様々な付き合いがございます。
     宴や五七五七七の歌を詠む歌会がそれでした。
     しかしながらタダモリは夜の付き合いがあまり好きではなかったのです。
     なぜなら和歌を詠むことが大の苦手だったからでした。

     しかし、現代の人々の感覚からは信じられないかもしれませんが、歌会での和歌の出来、勝敗というものは出世に関わりました。
     自分は和歌が苦手だから出席をしないとかそういう訳にはいかないのです。
     戦場では若い武人達がめざましい活躍をしております。
     特にこの間、新緑の国を落とした男などはその筆頭でありました。
     その多くの任命をしたのはタダモリ自身でありましたが、一方で彼は焦っていました。
     いつか彼らに越されてしまうのではないか。
     自分の地位を脅かされてしまうのではないか、と。このように恐れたのです。
     ですからなるたけ高い位に上り詰めたい、とタダモリは願ったのであります。
     そこで彼は人を雇うことに致しました。
     すなわち自分に代わって歌を作ってもらうことにしたのです。

    「次の歌会の題は"夕暮れ"といたそう」

     歌会が終わると、次の歌会の題が告げられます。
     ダダモリはそれを持ち帰り、影の歌人を呼ぶのです。

    「次の題は夕暮れじゃ、九日後には作ってくるのじゃぞ」

     そのようにタダモリは命じました。
     影の歌人はなかなかに優秀でした。
     たまには負けることもございましたけれど、多くの場合、勝ちを拾ってくれたのでありました。
     勝ちを拾った暁には、影の歌人に給金とは別に褒美を与えてやります。
     貧乏な歌人は懸命に仕えてくれました。
     こうしてタダモリは夜の世界でもうまく地位を上げていったのです。



     ところが、次の歌が出来るのを待つタダモリに、とんでもない知らせが届きました。
     タダモリの代わりに歌を作ってくれた影の歌人が突然死んでしまったというのです。

    「馬鹿な、昨日はあれほど元気だったではないか」
    「それが、戦から戻った火の馬だか駱駝だかが突然暴れだしまして、蹴り殺されてしまったと……」

     タダモリは呆然と致しました。
     次の歌会までに二日ほどしかございません。
     影の歌人にはまだ歌を教えてもらっていませんでした。死人に口なしです。

    「急ぎ代わりの歌人を探せ」

     タダモリはすぐにそう命じましたが、そう簡単に代わりが見つかるはずもございません。
     次の日になっても歌人は見つかりませんでし、よい和歌も作れませんでした。
     おおっぴらに探していることを言うわけにも参りません。

    「むうう、困った困った。歌人がおらぬ。歌が出来ぬ」

     歌会を夜に控えタダモリは嘆きました。
     歌会の主催は出世に影響力のある人物です。
     下手な歌を持っていくわけには参りませんでした。
     仕事もろくに手がつかず、日は落ちていき、空が紅く紅く染まりだしました。
     時期に夜になってしまいます。
     そんな時でした。

    「タダモリ様、タダモリ様に目通りを願う者がおります」

     と小間使いの者が言いました。

    「なんじゃ、今はそれどころではない。新しい歌人以外の話は聞きとうないぞ」

     と、タダモリは退けようとしましたが、追い払われる前に小間使いが言いました。

    「は……しかしその者、タダモリ様にぜひ歌を聞いていただきたい、と申しております」


     人払いをさせたタダモリは、彼を尋ねてきたという人物を暗い座敷へと通しました。
     空では日が夜色に溶け出し、境目の時刻独特の色合いを見せております。
    「面を上げい」と、タダモリは言いました。

    「そなたが歌を聞いて欲しいという者か」
    『はい……タダモリ様が歌人をお探しになっているとお聞きまして、馳せ参じました』

     そのように答える男は静かな落ち着いた声でありました。
     年齢はずいぶん若いように見えます。しかし奇妙な風貌の男でした。
     灰色とも土色とも形容しがたい肌の色をしておりますし、長く伸びた前髪が片目を隠しております。粗末な着物の下で身体をぐるぐると巻いた帯のようなものが見えました。
     ふん、怪しい奴、という目でタダモリは見下ろします。
     すると男が言いました。

    『私の風貌を見て、皆そのような目をなさいます。この通り片目はつぶれて髪で隠しておりますし、肌がただれておりますゆえ、このように帯を巻いて隠しているのです。私はどこにも留まることが出来ず豊縁の各地を回って参りました。しかしそれゆえに都人が知らないたくさんの和歌を知っておりますし、私自身も励んでまいりました。どうか貴方様付きの歌人にしてくださいませ』

     一つしか開かぬ目がじっと見上げます。
     しかし、夕日の色が手伝って赤く輝くその瞳には落ち着きと自信のようなものが垣間見えました。

    「ふん、ならば今この場で歌を詠んでみせよ。今宵の歌会に歌が必要なのだ。赤の都の歌会の場に恥じぬ夕暮れの歌を詠んでみせよ」

     タダモリが言いました。
     すると待っていたとばかりに歌人はすらすらと歌を詠んだのでありました。

    『日は溶けて 暗き色へと 落ちぬとも 明けぬ夜なし 暁の空』



     タダモリは夜の歌会でその一首を詠みました。
     それは武人らしい歌として評価されました。
     戦は予想できぬのが常である。太陽が沈んでしまうように暗き色、すなわち青色に劣勢をとることもあろうがそれも一時のことよ、けれどまた日が昇るように勝つのは我々赤である。
     歌の意味をそのように歌人は語り、タダモリは歌会でそのままを語りました。

    「よくやった」

     一つ目の歌人にタダモリは言いました。

    「今日よりお前は私の影の歌人だ。私のために歌を作れ」

     タダモリは歌人に命じました。
     そうして次の歌の題を伝えました。

    『承知いたしました』

     そのように歌人が云い、一晩明けた後には新たな一首を届けたのでございました。
     それは前の歌人よりずっとずっと早い出来上がりでございました。



     その後もタダモリの活躍は目覚しく、戦略を立て、兵を派遣し、豊縁の各地に赤い旗を立ててゆきました。
     土地が赤い色に塗り替えられていきました。それは人や土地神や獣達の血の色だったのかもしれません。
     タダモリの下にはいくつもの首が届きました。
     ある者は牙を剥き出しておりました。ある者にはツノが生えておりました。あるものには鬣がございました。
     それは都のある場所である期間晒されると、首塚に持っていかれます。
     狩り獲られた首達はみんなそこに集まるのでした。
     彼は血のように赤く染まった夕暮れ時になると影の歌人には歌を届けさせました。
     歌人は歌会の題を聞くたびにタダモリに極上の一首を提供いたしました。
     そうしてタダモリはその一首を披露します。彼はほとんど負けなしでした。
     そうしてタダノリは自分の地位をより確かなものにしていったのでございます。
     腰は悪かったものの、老いてますます元気。
     近々新しい位を賜ることになったタダモリもまだまだ歌会に顔を出すことになりそうです。

    「お前が歌を作るようになって何年になるかのう」

     ある夕暮れ時に、タダモリは影の歌人に尋ねました。

    『三年になります。タダモリ様』
    「そうか、もうそんなに経つか。お前のお陰で夜の心配はせんでよくなった。大儀であったの。そのうちに別に褒美をまたとらせねばな。だがその前に、もう一題作ってもらいたい」
    『どんな題でも致しましょう』

     タダノリの命に対して、影の歌人は苦にもしないとばかりに答えます。

    「お前は優秀よ。私が題を与えれば一晩で作ってきよるわ。まったくどのようにすればそのように歌を作れるのだ?」

     めずらしくタダノリが歌に興味を示しました。
     すると歌人の一つ目が怪しく光ったように見えました。
     
    『お知りになりたいですか?』

     と、歌人は聞き返します。
     そうして、タダノリの答えを待たずして続けました。

    『それならばその秘密を教えて差し上げましょう。丑の刻に迎えに参ります』
    「丑の刻?」

     タダモリは首を傾げました。
     丑の刻とは今で言う午前二時。
     世界が暗い色に沈み草木も眠ると言われる時間なのです。

    「一体どういうことなのだ」

     と、タダモリは再び尋ねましたが、歌人はくすくすと笑ってはぐらかすばかり。
     それでは丑の刻に、と告げると下がってしまいました。
     


     そうして夜になりました。
     新月で月は見えません。
     布団をかぶったタダノリはしばらく歌人の言葉が気になり、眠れずにおりましたが、やがてうとうとしだし寝息を立て始めました。
     どれだけ時間がたったでしょうか、襖がすうっと開きました。

    『タダモリ様、タダモリ様……』

     歌人の声が聞こえました。
     意識のはっきりしない目で声の先見ると暗闇に歌人の姿がぼうっと浮かんでいます。
     そう言って歌人は妖しく手招きをいたしました。

    『お迎えに参りました』

     気のせいでしょうか。開いた襖から何やら生暖かい風が吹いているようです。
     それでも歌人の言葉に誘われるようにしてふらふらと起き上がったタダモリはいつのまにか用意された着物に着替えて屋敷の外に出ました。

    『こちらですよ。タダモリ様』

     外で青白く輝く提灯を持った歌人が再び手招きしました。
     都はしんと静まりかえっております。
     青白い光を先頭にして二人は歩いてゆきます。
     首を晒す橋を過ぎました。彼らはどんどん都の外れのほうに向かってゆきます。

    『到着しましてございます』

     ある場所で立ち止まると歌人は言いました。
     歌人は提灯を掲げます。大きな石灯籠に似た石碑を照らしました。

    「……どういうことだ。ここは首塚ではないか」
    『左様でございます。私はここで歌を作るのでございます』
    「貴様、私を愚弄しているのか」

     タダモリが怒りをあらわにします。

    『……愚弄してなどおりませんよ』

     歌人はくすくすと笑いました。

    『ほら、皆々様がいらっしゃった』

     するとどうでしょう。
     闇夜に立つ首塚の形を浮かび上がらせるようにして無数の鬼火が現れたのです。
     それは歌人の提灯の色と同じ色をしておりました。
     タダモリは目を見開きます。
     歌人が鬼火たちに呼びかけました。

    『皆々様、今日もタダモリ様から新しい題をいただきましたよ。どなたか首と身体が繋がっていた頃に題に合う歌を作った方は居りませぬか』

     すると鬼火の一つが歌人の下へやってまいりました。
     そうして炎はぼうっと燃え上がり、首の姿に変容いたしますと、一首を詠んだのでございます。
     その土地神には牙と耳が生えておりました。

    「お、お前は! 先日首塚にしまった土地神の首ではないか!」

     タダモリは驚愕の声を上げました。

    『左様で御座います。これこそが私の和歌を作る秘密なのです。貴方がたが神狩りをすればするほど、私はよりたくさんの歌を詠むことが出来る。私はその中から極上の一首を貴方様にお届けするのです』

     鬼火の冷たい光に照らされた一つ目がにいっと嗤います。

    『私は首を狩られた土地神の皆々様に提案したのです。身体を失った貴方達の代わりにタダモリ様に歌を世に出してもらいましょう。土地や身体を取り戻せないなら、せめて後世に伝わる和歌集の一頁一頁を私達の歌で埋めてやりましょう。私達の生きた証を私達を殺した人の手を使って遺してやりましょう、と』

     タダモリは聞きました。
     くすくすけたけたと無数の笑い声が闇夜に響いたのを。

    『皮肉なことでございますねぇ。貴方が歌会で詠み、多くの赤の都人が耳を傾けている和歌は貴方が滅ぼした土地神達の呪詛なのですよ』

     彼はすうっと血の気が引いていくのを感じました。
     まるで身体を乗っ取られたような面持ちがしたのです。

    『今、赤の大王(おおきみ)の命で勅撰和歌集に載せる歌を選んでいるのだとか。私達の歌は何首載るのか……楽しみなことですね』

     ああ、なんということでしょう。
     自分達が滅ぼした者達、滅ぼしたはずの者達に自分は操られていたのだろうか、と。そんな恐ろしさにかつての武人は駆られたのでございました。
     そうして彼は目に焼きつけました。影の歌人の姿が変わっていく様をその目に焼き付けたのでございます。
     歌人の髪の毛がばっさりと落ちると、着物はみるみるうちに身体を覆う帯に変わりました。
     灰色の帯に隠された顔には大きく光る目玉が一つ乗り、赤々と輝いていました。そうしてもはや人のものではない大きな腕のその指がタダモリを指し、こう言ったのでございます。

    『ご存知ですかタダモリ様、私が仕えているのは貴方様だけではございませぬぞ。歌会のあらゆる場所で私達の歌は詠まれています。貴方がたは夜の宴を開くたびに獣達の、土地神の首を持ち寄って競わせているのです』

     一つ目が赤く爛々と輝きました。
     タダモリはぐらりと視界が揺れて、意識が遠くなったような気がいたしました。

     そうして気がつけば朝でありました。
     タダモリは汗をぐっしょりとかいて、布団の中で横になっておりました。



     権勢を誇ったタダモリ。
     けれど彼はほどなくして政治の一線から退いたと伝えられています。
     噂によると後の日の歌会にて彼は恐ろしいものを見たのだそうです。。
     夜の歌会、自分に相対して並ぶ貴族達、自分の陣営の高貴な身分の者達、その両方の幾人かの持つ短冊が、狩り獲ってきた土地神の首に見えたというのです。
     彼は恐ろしさに震え、それでもなんとか自身の一首を詠もうといたしました。
     けれど歌の代わりに響いたのは悲鳴でした。
     短冊に書かれた一首を読み上げようとした時、手に持つ短冊が一つの首に変じたと云うのです。
     獣の首はタダモリの顔を見て、にたりと嗤ったそうです。


     それは昔むかしのことです。
     まだ多くの獣達が人々と話すことが出来た頃のお話です。






    -------------------------------------------------------

    日は溶けて 暗き色へと 落ちぬとも 明けぬ夜なし 暁の空

    意味:
    戦は予想できぬのが常である。太陽が沈んでしまうように暗き色、すなわち青色に劣勢をとることもあろうがそれも一時のことよ、けれどまた日が昇るように勝つのは我々赤である。

    だが一方でこのような説がある。
    これは赤や青によって蹂躙された土地神の歌である、という説だ。
    それは次のような意味だと云う。

    世は様々な色の神々の時代から、暗き色(=赤と青)によって蹂躙される暗黒の時代へと入った。けれど日が昇るように、明けぬ夜はないように、いつかの日か再び我らの世が訪れるだろう。





    豊縁二巻が出るまで公開しないつもりでしたが、
    マサポケ活性の一助になれば、と。
    どういうことかっていうとみんなストーリーコンテスト出せよ!
    出さないとサマヨールが土地神の首と一緒に化けて出るぞ!!!

    影の歌人ことサマヨールさん「雇ってくれればストコン出しますよ」



    ■豊縁昔語シリーズ
    HP版:http://pijyon.schoolbus.jp/novel/index.html#houen
    pixiv版:http://www.pixiv.net/series.php?id=636

    【書いてもいいのよ】
    【描いてもいいのよ】
    【批評していいのよ】


      [No.1851] 【四コマ風味】 おつきみだんごっ! 投稿者:巳佑   投稿日:2011/09/13(Tue) 00:05:43     86clap [■この記事に拍手する] [Tweet]


    【今宵は満月なのです】

     空を見上げれば、そこにはまん丸なお月様。
     思わずウットリしそうな綺麗な姿に、わたしの足どりは怪しくなる。

    「あ、ミミロップ! ボーッとしながら歩くと危ないって!」
     丸刈りで背の高い殿方――ご主人の声にハッと気がついたわたしは足をピタっと止める。
     
     ふぅ〜危ない、危ない。
     わたしがご主人に「ありがとう!」の意味を込めて一鳴き上げると、ご主人はやれやれといった感じな苦笑いを向けてくれた。

     わたしはミミロップ
     お月様とお団子とご主人が大好きな、茶色いうさぎポケモンです。 



    【やっぱり月より花より団子?】

     今、私とご主人は十五夜の月見をする為に団子の準備をしていまして。
     ご主人がお団子を作って、それを縁側まで持っていってます。

     お供え物などをするときによく使われる木製の台に、お団子がピラミッド状に積み上がっています。
     先程みたいによそ見をすると、手元を狂わせて、お団子を取りこぼしてしまうから注意なのです。

     それにしても、なんて美味しそうなお団子なのでしょうか……。
     流石、ご主人様は器用です……ゴクリと喉を鳴らしてしまって――。

    「あ、コラ! ミミロップ! 勝手につまみ食いするなって!」



    【良い子の皆へ。食べ物で遊んではいけません。その1】

     縁側に団子を乗せた木製の台と、飲み物が入ったグラスが二本。
     それといくつかの小皿がありまして、それぞれしょうゆ、つぶあん、きなこが入っています。

    「好きなものにつけて食べればいいから」
     訝しげな瞳を向けたわたしにご主人はそう教えてくれます。なるほど。

     あぁ……美味しそうな団子なのですが、こう綺麗なまん丸を見ていますと、なんだかウズウズしてきます。
     何故かは分からないのですが……綺麗なまん丸な団子が雪玉に見えてきて――。

     あ、思い出しました! 雪合戦です!



    【良い子の皆へ。食べ物で遊んではいけません。その2】

    「こら! 食べ物を投げるなぁ!」

     わたしが放った最初の投球は見事にご主人の頬に当たりました。
     ご主人がキッとした鋭い目付きでこちらを見ながら口を開いたのと、わたしが手を滑らしたのはほぼ同じでした。

    「まったくぅ!? んむ? ☆%#*%%&!!??」 

     わたしの投げたお団子がご主人の口の中にスッポリ入っちゃいました、てへっ☆  



    【ぴよぴよ】

    「%&#☆!!」
     あれ、ご主人が胸元をたたいてなんだか苦しそうな顔をしていますね。
     もしかして……喉に詰まっちゃったとかですか!?

     あわわ! ど、どうすれば……!? 
     パニック寸前のわたしがとっさに取った行動は――。

     ご主人の胸元にピヨピヨパンチ一発!! 

     重い音が鳴った後、ご主人はうなだれ「あ、ありがとう」と呟いています。
     た、助かって、本当に良かったです……それと食べ物で遊んでしまって、ごめんなさい。



    【ようやく月見】

     ご主人がとりあえず飲み物を飲んで一回落ち着いた後、ようやく月見が始まりました。 
     
     まん丸なお月様を覗きながら、つぶあんをつけたお団子をもぎゅもぎゅ。

     お月様が完全に顔を出しているのも好きですが、途切れ途切れに流れて来る雲に薄らかかる姿も神秘的でとても好きです。

     顔を月に向けながら、手は団子の方に動かして――同じく団子に手を伸ばしたご主人の手に触れました。



    【月のお伽話】

     ドキリとわたしの胸が打ったのとご主人の手が離れるのはほぼ同じでした。
     ご主人は恐らく真っ赤になっているわたしの顔は見えておらず、お団子をもぎゅもぎゅしながら月を眺めています。

    「あ、そういえば月といったらこんな話があるなぁ」
     ご主人は月に顔を向けながら、わたしに語ってくれます。

    「昔ね、俺たちがいる星と月がケンカして、縁が切れそうになったときにミミロルやミミロップといったウサギポケモン達が美味しい団子を作って、二人(?)を仲直りさせたんだって」 

     わたし達の先祖様たちが……今、こんな素敵な夜をくれているんだなぁ……と感謝しながら団子にわたしは手を伸ばしました。



    【お伽話からの】

    「それで、団子は月とこの星を結んでくれたことから、団子……まぁ、餅だけに縁をくっつけるっていう縁起のいい食べ物になったんだよな」

     縁をくっつけてくれる、その言葉にわたしのお団子を持った手が一瞬止まります。

     今、食べているお団子もこうやってご主人との縁をくっつけてくれるものなんだと考えたら、胸の鼓動が早くなってきまして。
     わたしはご主人を呼ぶ為に一声鳴きました。

    「ん? なに? ミミロップ――」



    【月も顔を真っ赤にさせて】

     ご主人がわたしに振り返るのと同時にわたしはお団子を口に入れまして。

     一気にご主人との距離を縮めまして。

     ご主人の唇とわたしの唇が重なりまして。

     わたしはご主人のお口の中にお団子を置きました。
     縁がもっともっと強く結ばれることを願いながら。



    【きっと今夜はお楽しみで(以下略)】 

     ご主人は驚いた拍子にお団子を飲み込み、そして縁側の床に倒れ、わたしがご主人の上を覆う形に。

    「ミミロップ、まさか……」
     顔は真っ赤になってますし、もうばれてますよね。
     わたしのこの気持ち……ご主人と番になりたいほど大好きな気持ち。

    「でも、お前」
    「きゅう?」
    「確かオスだったはずじゃあ……」

     愛に性別なんて関係ありませんわ! とわたしは一声鳴きました。
     今宵はあの満月に見せ付けるほど……うふふ。



    【書いてみました】
     
     
     今夜20時頃、月見しながらみたらし団子でも食うかなと思い、近場のコンビニに行く途中で思いついた物語です。多分……掲載しても(主に後半)大丈夫のはず(汗)
     今宵の月が沈まぬ内に書かねばと思い、筆を急がせた所存でございます。
     最後のオチに驚いた方がいたら、嬉しい限りです。(ドキドキ)

     ちなみに月に関しての昔話は私の想像です。
     お月見団子のことを考えていたら、思いつきました。(ドキドキ)
     

     ありがとうございました。


    【月見団子と月見酒をもぎゅもぎゅして(以下略)】
    【何をしてもいいですよ♪】

         


      [No.1766] ふぉーてぃーえいと 投稿者:レイニー   《URL》   投稿日:2011/08/20(Sat) 01:58:19     89clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    感想どうもありがとうございます!

    > それだけでも笑えるのに、「タブンネローテーション」。
    > 歌詞が爆笑ものです。
    > タブンネが多い!カオスです。

    そりゃタブンネが歌いますから、歌詞もタブンネだらけになるわけです。タブンネ。

    > そして、公演後のタブンネ達の中に、約1匹、ドMが紛れていましたね。
    > 精神的にどうなっているのでしょうか。そのタブンネ。

    48匹も居たらそういう性癖のタブンネが一匹くらいいてもおかしくないと思うんだ!タブンネ。

    > 随分笑わせて頂きました。
    完全に出落ちのネタ作品なので、楽しんでくだされば作者としては大成功です。
    本当にありがとうございました!


      [No.1756] あの子がマイナンと出会った訳 投稿者:akuro   投稿日:2011/08/16(Tue) 14:40:59     74clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

     夕日が輝く午後5時。 ホウエン地方、110番道路。 カイナとキンセツを結ぶサイクリングロードがあるこの場所に、ひとりのトレーナーが、マイナンをつれてやってきた。

    「まったく、なんで私がこんなことを……」

     トレーナーはそう呟き、傍らのマイナンと共に草むらに入っていった。

     このトレーナーの名はエンジュ。 ホウエンでも5本の指に入る凄腕のトレーナーである。 そんな彼女がこの場所にいる理由。 それは……



     時は2日前に遡る。 ミシロタウンにあるエンジュの家に、あるトレーナーから電話がかかってきた。
     プルルル…プルルル…
    「はい、どちらさまですか?」
    「あ、エンジュ! ヒバナだよ〜」
     相手はジョウト地方に住むトレーナー、ヒバナ。 エンジュのトレーナー仲間であり、現在はウツギ博士の助手でもある。
    「ヒバナ? なにか用?」
    「あのね、シンオウにいる私のいとこが来週旅に出るんだって」
    「シュカだっけ? ふーん、それで?」
    「でね、シュカにポケモンをプレゼントしようと思って。 それでエンジュにも手伝ってほしいの!」
    「……はい?なんで私が……」
    「今度の土曜日にホウエンに行くから、ポケモン捕まえておいて! じゃあね〜」
     プツ、ツー、ツー……
    「ええ!? ちょっと、ヒバナ!?」
     エンジュは受話器に叫んだが、時すでに遅し。
    「……はぁ」
     エンジュは呆れたようにため息をついた。


     ……そんなこんなで、現在。 エンジュの前には数種類のポケモンがいた。

    「どんなポケモンがいいのかしら……」

     ポチエナ、ラクライ、ゴクリン。そのどれも、女の子(と聞いている)であるシュカには不釣り合いだ。

    「うーん、どうしよっか、らいむ……ん?」
     傍らにいたマイナンの側にもう1匹、マイナンがいた。
    「マイナンか……らいむ、その子に捕獲していいか聞いてくれる?」
     らいむは頷くと、側のマイナンと話し初めた。
    「マイマァーイ、マイ?」
    「マイマイ♪マーイー♪マーイ!」
     突然そのマイナンが飛び上がった。そしてらいむに向かって無数の星型の光をとばしてきた。
    「スピードスターか…らいむ、まもる」
     らいむは体をまるめ、守りの体制にはいった。 
    ーーやがて光がやんだ。
    「でんこうせっか」
     らいむは目にもとまらぬ速さで、マイナンにタックルをした。
    「……ッ! マイー……」
     マイナンは地面に着地したが、その足取りはふらふらと重い。
    「よし、ハイパーボール」
    パシュン!と音をたて、マイナンはボールに入った。 ボールはしばらくゆらゆらと揺れ、カチッという音が響いた。

    「……よし、捕まえた。 あとは明日、ヒバナに渡すだけか」

     そういうとエンジュはらいむをモンスターボールに戻し、代わりにトロピウスを出した。

    「…ひでんトロ、ミシロまでお願い」

    凛とした顔で手の中のボールを見つめる少女が、輝く夕日を背に飛び立った。



    [何してもいいのよ]
    [たぶん続く]


      [No.1717] TBN48!? 投稿者:マコ   投稿日:2011/08/09(Tue) 00:19:14     89clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    初めまして。マコです。
    タブンネ達が、まさかのあの、人数がやたら多い女の子アイドルグループになっているとは。
    しかもTBN48。名前から意識してます。
    それだけでも笑えるのに、「タブンネローテーション」。
    歌詞が爆笑ものです。
    タブンネが多い!カオスです。
    しかもキャッチコピーが「殴りに行けるアイドル」って……。
    本家も真っ青です。
    まあ本家でやったら、自分が熱狂的ファンからタコ殴りに遭うだけなので、絶対しませんが。


    そして、公演後のタブンネ達の中に、約1匹、ドMが紛れていましたね。
    精神的にどうなっているのでしょうか。そのタブンネ。
    随分笑わせて頂きました。


      [No.1713] Everyday、タブンネ 投稿者:レイニー   《URL》   投稿日:2011/08/08(Mon) 23:04:41     155clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

     イッシュ地方のどこかの草むら。今日も彼女たちはポケモントレーナーたちに狩られまくっていました。
    「いたた……。今日一日だけでもう六回目だよ……」
    「もうしんどいったらありゃしない」
    「あたしたちがいったい何したって言うのさ!」
    「経験値多いからってあんまり痛めつけないで欲しいわ。全く」

     こうして今日もタブンネちゃんたちは、傷だらけの体で自分たちの不幸な境遇を嘆いていました。タブンネ。
     とその時、一匹のタブンネちゃんが、四角くて薄いケースを持って、やってきました。ケースの中には制服姿の可愛い女の子たちの写真が印刷されている紙、そしてきらきら光る円盤が入っています。
    「みんな!いいこと思いついちゃった!!」
    「タブ子、どうしたのよ一体。それにそれ一体何?」
    「どうせまた人間のものでしょ? でも、何? それにいいことって?」
     見慣れぬものを持ってきたタブ子にどよめくタブンネちゃんたち。タブ子は、タブンネちゃんたちの中で唯一、自分たちを痛めつける相手にも関わらず、人間たちの生活に興味を持っていました。そんなタブ子以外は、みんなこの透明なケースに入ったものが何だかわからないようです。タブンネ。

    「それは……CDね」
     ……いや、タブ子以外にわかるタブンネちゃんが一匹いました。この草むらのタブンネちゃんたちの中での最年長。タブンネ様です。
     ……ちなみに、タブンネ様は他のタブンネちゃんと比べて年齢が上なだけであって、決してBBAじゃないからね!
    「CD……? 何ですかそれ?」
    「コンパクトディスクって言って、人間が音楽を聴くために使うものよ。機械で特殊な光を当てると音が出るの」
    「へー」
     タブンネ様の話に、CDを知らなかったみんなは頷きます。
    「で、タブ子。このCDがどうしたの?」
    「これ、すぐそこで拾ってきたんだけど、この人間たち、今人気爆発中の国民的アイドルなんだって!」
    「アイドル……?」
     しかし、みんなはアイドルの意味がわからないようです。タブンネ。

    「アイドル……。なんと素敵な響き……」
     そんな中、こっそりそう漏らしたのは、ちょっとヘタレなタブンネちゃん、タッブーです。人間のことは詳しくなくても、アイドルというものがどんなものなのかは知っているようです。タブンネ。
     しかし、とりあえずタッブーの言葉はスルーしておきましょう。ヘタレですしね。

    「可愛い容姿、それに歌や踊りで、たくさんの人間たちを惹きつけてやまない人たちのことね」
     解説するのはやはりタブンネ様です。

    「それで私たち、アイドルになるの! そうしたら人間たちから愛されて、ボコられることなんてなくなるはずよ!」
    「おおおおお! 何という名案!」
    「人間に殴られるタブンネから、愛されるアイドルになるのね! なんて素敵!!」
    「いいじゃない!! やりましょ!!」
     タブ子の名案にタブンネちゃん一同はどよめきます。

    「そうと決まれば、早速練習ね! 人間たちを魅了できるよう頑張らなきゃ!!」
     こうしてタブンネちゃんたちのアイドルユニット、TBN48が誕生したのでした。タブンネ。

    *

    「お! 一狩り行けるぜ!」
     たった今、一人のポケモントレーナーが揺れている草むらを発見したようです。タブンネ。
    「おら! 経験値よこせ!」
     タブンネちゃんを狩るために、勢いよく草むらに飛び込んだトレーナー。しかし、彼はタブンネちゃんを見て、言葉を失いました。
     タブンネちゃんがさながら女子学生のような制服を着ていたからです。
    「野生のタブンネが、コスプレ……?」
     ポケモントレーナーは一瞬戸惑いました。が、次の瞬間には彼は気を取り直して、タブンネちゃんをボコっていました。タブンネ。

     こうして、タブンネちゃんは今日もやられました。しかし、そんなタブンネちゃん、やられ間際に何かを落としていきました。
     それを拾ったポケモントレーナー。

    「……何だ、これ? ……『TBN48第一回公演決定』?」

     そうです。タブンネちゃんたちは、あの日以来、血のにじむような歌とダンスのレッスンをし、ついに人に見せられるくらいのクオリティに達成したので、初の自主公演を行うことにしたのでした。タブンネ。

    「……何かよくわかんないけど面白そうだな。ちょっと他の奴にも教えてやろう!!」

     このようにタブンネちゃんたちは、人間たちにボコられながらもビラ配りを行い、第一回公演が始まる前にもかかわらず、TBN48の名前はトレーナーたちの間でかなり広まりました。タブンネ。

    *

     さあ、そしてついにTBN48の第一回公演の日です。
    「うわー。かなり人集まってるよ!」
    「まさかこんなに集まるなんて……。緊張しておなか痛くなりそう……」
    「ネッちゃん落ち着いて! センターが緊張でぶっ倒れてどうすんの!!」
    「そ……、そうよね! 私頑張るわ!!」

     草むらに作った特設ステージの後ろで、タブンネちゃんたちは集まってきたお客さんの様子を伺いつつ、緊張しているようです。タブンネ。

     そして、いよいよTBN48の初公演の始まりです! 読者のみなさんも、ここからは人間目線でTBN48のステージをお楽しみください。曲は「タブンネローテション」です。どうぞ。

    ♪タ〜ブンネ〜(タ〜ブンネ〜)
     タ〜ブンネ〜(タ〜ブンネ〜)
     タ〜ブンネ〜(タ〜ブンネ〜)タブタ〜ブ〜ン〜ネ〜
     タブンネタブンネタブン〜ネ〜 タブ〜タ〜ブンネ〜

     こうして初公演は無事終了。お客さんからは拍手喝采。初演だったにも関わらずダブルアンコールが巻き起こったくらいです。タブンネ。

     さて、そんな初公演を終えたタブンネちゃんたちは。
    「まさかこんなに大好評だなんて……! 頑張った甲斐あったわね!!」
    「あ、あたし感動……。 ううっ」
    「ネッちゃん、泣かないで! まだまだ私たちはこれからなのよ!」
    「そうよ! これから握手会なんだから! 笑顔笑顔!!」
     そうなのです。タブンネちゃんたちはこの後握手会という大きなイベントを抱えているのです。終演後、お客さん一人一人と直に接することで、メンバーそれぞれが固定のファンをつけようという目論見です。タブンネ。

    「よし、行きましょ! お客さんに感謝の意を伝えて、これからも足を運んでもらえるよう頑張らなきゃ!」

     こうして始まった握手会でしたが。

    「ありがとうございます!」

     あるタブンネちゃんが笑顔で手を差し出すと、手を差し出したのはお客さんであるトレーナー……ではなく、トレーナーの手持ちポケモンでした。そしてポケモンはタブンネちゃんの手を取って、そのまま。

     ちきゅうなげ。


     また、あるタブンネちゃんも、手を差し出し、やはりお客さんであるトレーナーのポケモンが手を握ったかと思えば。

     かいりき。


     さらには、あるタブンネちゃんは、手を取られると。

     にぎりつぶす。


     こうして、握手会(?)が終わりタブンネちゃんたちはすっかりボロボロ。
    「うう……。どうしてこんな目に……」
    「公演はあんなに盛り上がってたのに……」
    「こんなのってアリ……?」
    「殴られるのもちょっと快感になってきたかも……」
     約一名、違った感想が出てきていますが、とりあえず無視しておきましょう。

    「まだまだ修行が足りないってことかしら……」
    「確かに初演であれだけ盛り上がってちょっと天狗になってたのかもね」
    「殴られるのは勘弁だけど、アイドル活動するのすごく楽しかったから、あたし続けたい!!」
    「もっとみんなに愛されるアイドルになれば、こんなことにはならないはず! 頑張っていこう!!」
    「おー!!」

     こうして、TBN48は日々努力を重ね、その名を徐々に轟かせていきました。それと同時にタブンネちゃんたちは、「殴りに行けるアイドル」として親しまれるようになったのでした。タブンネ。


    おわり


    ※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは全く関係ありません。

    【全方面土下座】
    【どうしてもいいのよ】


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