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急いで書いたので、あとで修正・追記するかもしれません。
でも大筋は変えないつもりです。
日にちとログについて追記しました。誤字を修正しました。(3/17 23:27
日にち:3月18日
時間:20時から23時予定(人数や盛り上がりによっては多少の延長あり)
場所:マサポケチャット
チャットのログは終了後、公開予定。(ログがちゃんと取れれば……)
*ログはマサポケの司書こと、久方小風夜さんに記録してもらうことになりました。感謝感激雨霰の土下座
概要
各自、事前にハワイティ杯の好きな作品、あるいはこの話についてみんなの感想が聞きたいなと思う作品を二つ程度選んでおいてください。※1
当日は、順番に一人ずつ、好きな作品名を書いてください。※2
みんなでその作品について感想などを書き合いましょう。
一作品に付き10分程度を目安とします(延長する場合もあり)。※3
最低、一巡はして、二巡目は集まった人数や盛り上がり具合を見て行うか決めます。ただ、二巡目はやったとしても時間の都合上全員はできないと思われるので注意。やりたい人は申告してもらえたら優先します。
※1 作品のくくりについては、五〜七番の作品やダムなどはまとめて一つでOKです。
※2 順番は基本的に入室順にしますが、時間がないので先にやりたい、という人は申し出てくれれば繰り上げます。
それと、作品名を書いた後に、己の思いの丈を語ってもよし、××はいいぞ、の一言でもよし。
そもそもわたし自身がそういう言葉で語るのが苦手なので…。
この作品が好き、おすすめしたい、みんなの感想が気になる、程度でいいです。
あくまで話題提供に過ぎないので難しく考えないでください。
※3 10分程度が目安ですが、自分もそれにしようと思ってたのにーなんていう場合(被り)もありそうなので、申告があれば延長します。あとは盛り上がっていた場合なども延長。長くても+10分を予定。つまり、計20分程度。
ROM専さんや、入室はするけどみんなでわいわい感想言い合うのだけに参加、というのも歓迎です。
でも、みんなの感想聞きたいなあという作品があるならYOU参加しちゃなYO!
以下、こぼれ話?
なんでこんなルールなの?っていう話ですが、一つはある程度話をするのにお題があった方がやりやすいかな、と思うためです。
よく、人間は自由にしていいよ!と言われるよりもある程度の制限があった方がアイディアが出やすい、と言われているので……。
まああと、完全フリーだと盛り上がらなかった時に悲惨!主催は盛り上げ能力に欠けています!無理!
だから、自分の感じたことを言葉にするのが苦手……なんていう方も、作品名を出すだけでお題提供というミッションをクリアしているので、難しく考えなくていいのよ。
お題の提供だけなら、乱数で作品を選んでもいいんですけど、でもどうせならみんなが好きな話についてしゃべった方が楽しいよね?なんて理由もあります。
二つ目の理由としては、完全フリーにして盛り上がったときに、この話の感想聞きたいんだけどタイミングが……あ、今いける?あ、あー先越されたー……ってなりがちな人への救済です。
まあわたしのことなんですけど(白目
割って入るタイミング見つけるの難しくない?
とくに、フリー状態だと話が流動的になって余計タイミングがわからない……。
せめて、各人一回は自分の聞きたい話が聞けたらいいよねっていう感じです。
過ぎたるは
迎えてくれたアイツの母親は、今日も美しかった。
「いつもありがとうね、サンマくん」
大学二年になった俺を、彼女はいまだに小学四年生の時のあだ名で呼ぶ。
俺の名字のミマ、「ミ」は「三」で「サン」とも読むからサンマ。
そんなあだ名を思いついた奴は、奇人だらけの学校を渡り歩いてきた一〇年の間でも一人しかいない。
「今日は体調よさそうですか?アジ…コウスケの奴」
「今朝は水飲みにこっちまで出てきたからいい方じゃないかしら。
その時に『サンマくんが来るかも』って言ったら『そうか』って言ったから、部屋で待ってるわよ。たぶん。」
無地のエプロン姿の友人の母親の後ろを着いていって、目をつぶってでもたどり着けるリビングへ
通される。シンプルな部屋は何度見ても生活感が薄いなあと思っているけど、実質は一人しか
使っていないならこんなものなのだろうか。
小雨に濡れてしまったショルダーバッグを、それとなく気を使いながら窓際に降ろす。
腰からボールホルダーを外す。ライダージャケットを脱ぎ、ホルダーの上にかける。
ラグラージカラーのメガネを黒縁の無骨なヤツに掛けなおす。
液晶テレビの黒画面で何となく全身チェックをして、ホウエン土産のストラップのついたキーカバーを
ジーパンから外し忘れていたことに気づく。外す。
キーカバーの置き所を迷っていると、目の前に緑色のマグカップが出された。中には紅茶。
「あ、ありがとうございます」
「今、コウスケに声かけてくるわね」
すっ、と席を立って廊下に消えていく。ベージュのソファーに腰かけて、少し冷えた体をありがたく
紅茶で温めさせてもらう。今日はモモン風味だった。
マグが置かれたガラスのカップボード(って言うんだろうか。ソファーの前にある低いテーブルだ)には、
小学校の卒業式の時のオレ達の写真が挟まっている。
「卒業式」の看板の右側で人差し指を額に当てたポーズをとるオレ。左側で捻ったジャンプをするアジ。
何十回と見ている写真だ。
普通思い出の写真っていうのは、たまに見るものだからこそ「思い出が蘇る」んじゃないのか?と
思っているオレだったが、ここ最近で考えが変わってきた。
人は目に見えないものの存在ははすぐ忘れてしまう。だから本当に忘れたくないものは、
いつでも目に入る場所に置く。
本当に忘れたくないものとは何か。
たとえばそれは旧友との楽しい日々。たとえばそれは大切な仲間の入ったモンスターボール。
亡くなった人の顔。デートの約束。
部屋から出てこない息子の存在。
アジの母親が戻ってくる。
「部屋片付いたから入ってもオッケーだって」
「あ、じゃあ行きますね」
少し、申し訳なさそうな顔の彼女の脇を通って、廊下への扉を開ける。
アジの部屋の前で立ち止まると、いつも臭いはないが臭気のようなものを感じる。
何かで汚れている、穢れている、あの感じだ。こんなことは口が裂けても言えないけれど。
部屋の外に出て食事身支度風呂を自発的にやるだけ、アジはまだ良い引きこもりだ。
それなのに臭気を感じてしまうのは、引きこもりに抱いてる固定観念ゆえなんだろうか。それとも…。
「サンマ、いるんだろ?はよ来いよ」
部屋から声がする。
「おう、入るぞ」
オレはドアノブを握り、捻る。その時、長Tの黒い袖口に、黒い刺繍糸でモンスターボールのマークが
ついていることに気づいた。
心拍数が上がる。
ドアを開けると、ベッドに片膝立てたアジが腰かけていた。
「よっ、久し…」
袖口に目を落とした瞬間、悲鳴を上げてアジは飛び上がる。オレは急いで袖を肘までたくし上げた。
「馬鹿野郎ッ!」
瞳孔を開いたまま、息を荒げてアジは言う。
「お前じゃなかったら椅子ブン投げてたぞサンマ!!」
「ホント悪い。同じ色だし、今日初めて気づいた。…すまねえ」
壁に張り付いて肩で息をする親友に申し訳なさを感じる一方で、自分でも数か月間気づかなかった、
小さなボールの刺繍にすら反応する反射神経に、少し呆れに近いものも感じる。
…引きこもりの定石通り、部屋は薄暗いのに、だ。
アジイ・コウスケ。通称アジ。いわゆる電子携帯獣恐怖症(ポケフォビア)の重症患者だ。オレの旧友は。
(つづく)
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おお、クジラ博士をご注文くださっていましたか!
これはどうもありがとうございます。
ルビサファリメイクでピジョットがメガったのも何かの縁だと信じてやみませぬ。
「とりつかれました。祓ってください」
それだけ書かれた紙をくわえてヌケニンが戻ってきた。ヌケニンから紙を預かる子供はもうすぐ10才になるというところ。背の順で並べば前の方だし、両親も成長の遅さを心配している。生まれたころから成長曲線(乳幼児の成長の平均を表したグラフ)の下であったし、言葉も覚えるのが遅かった。そして人見知りせず、知らない人でもついていってしまう。
そんな危なっかしい主人を常に見守っているのが後ろにいる雄のヘルガーだ。生まれたときから一緒で、いつも黙ってついていくが、危険なときは大声で吠え、逃げない相手には噛みつき、それでもあきらめない相手には炎を吹きかける。ガーディ以上に賢いヘルガーだった。
「じゃ、いこうかヘルリン」
顔に似合わないかわいらしい名前がある。ヘルリンと呼ばれ、ヘルガーは立ち上がった。
「今日の依頼は、ニビシティだ」
パーカーに袖を通し、靴紐を結わえた。持っていくボールはヌケニンとヘルガー。こういう依頼はいつもこの二匹。見えないゴーストを相手に戦うポケモントレーナーの中でもゴーストハンターと呼ばれるトレーナーは持つポケモンがそんなに多くない。ゴーストたちの手は見えない範囲で行われることが多く、二匹が気を使える限界だ。
「いってきます!」
トレーナーカードを忘れずに。そこに書かれた名前は「レン」とだけ。
案内されたところは古い民家だった。特段なにもなさそうに見える。レンは道具からシルフスコープを取り出した。装着すると玄関から二階までゆっくりとまわる。途中、ロトムが洗濯機で遊んでいたのを見つけた。ヌケニンがなにやら話しかけると去っていった。しかしレンの感はまだ何かいると告げている。たくさんの、たくさんの何か。しかもシルフスコープで見えないような何か。
ヘルガーがうなり始めた。こういう感覚はヘルガーが優れている。ヘルガーが吠える方向を見ると、たくさんの黒が集まっていた。集まりすぎて判別できなかったが、ヨマワルの大群のようだ。
「ぬっちシャドーボール、ヘルリンあくのはどう!」
何匹かのヨマワルが攻撃に散って地面に落ちていく。けれど生き残ったヨマワルがレンに向かって一斉にやってきたのだ。普通のポケモンならポケモンに向かっていく。間違いなくこれは人の霊がヨマワルとなっている姿だ。確信したのは、大勢のヨマワルに囲まれ、押さえつけられ、口をあけさせられた時だ。取り付こうとしているのだ。依頼にも取り付かれたと書いてあった。
声も上げられない。何匹のヨマワルが入ってこようとしているかカウントすらできない。わかっているのは、このヨマワルたちが生きているときに成し遂げられなかったことをレンの体を使ってもう一度行おうとしていることだ。
背中に強い衝撃を受けた。まわりが熱い。ヌケニンがレンの背中に体当たりし、ヘルガーが炎を吹いたのだ。主人の命令もないが、ピンチを助けなければならないと認識していた。
「あり、がと。ヘルリン、もうだめだこの子たち」
ヘルガーは息を吸い込むと、特大の炎を放った。畳やふすまに向けられ、家全体に火がつくように。
レンはヌケニンとヘルガーをボールにしまうと一目散に走った。玄関を出て、避難して。火が家全体を包み込むにはまだ少し時間がかかろう。しかし炎が浄化できないものはない。家ごとヨマワルたちの怨念を天へ昇らせる。
謝礼を受け取るために依頼主を呼び出した。だいたい都会のカフェだったりするのだが、今回は場所も近いトキワの森に来てもらった。相手が子供だと見ると依頼主はすごいねよくやったねとおまけでお菓子をくれたりするものだ。しかし今回はそれが目的ではない。レンはひとつの疑問を依頼主にぶつけた。
「あの家に、何人の子供を監禁して殺したの」
レンは二つの表情を持っていると言われる。普段の無邪気な子供そのものの顔と、今みたいなロケット団のリーダーが失敗した部下に詰め寄るような顔。何のことか、と依頼主はレンから目をそらした。
「聞いたよヨマワルたち、みんな僕と同じくらいの子供。僕にみんな教えてくれた。おじさん、誘拐犯だったんだね」
「何を証拠に。すでに家が燃えて、何にも残ってはないじゃないか。それに君みたいな子供がいくら警察にいったからって」
「僕は警察じゃないよ。正義の味方でもないよ」
レンはボールを投げた。
「ここだったら、誰もみてないでしょ?」
ヘルガーは相変わらずレンの足元にべったり。テレビゲームをしているレンのひざを枕に寝ているようにも見える。
「トキワの森で、惨殺された遺体が発見され・・・・・・・」
「その手口がロケット団の手口に似ていて、ロケット団の残党を追っているところです」
ロケット団も同じようなことするんだ。意外に面倒なんだよね、同じ目に合わせるって。人数が多いと特にさ。
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リメイクFRLGの主人公の男の子、レンちゃんです。
長編が元です。
彼はセレビィのお孫さんという設定だったりします。完全な人間です。
お父さんはリメイク前の主人公です。
おじいさんはロケット団ボスサカキという今思えば何かいてんだっていうのをかいてました。
なぜかこの子を唐突に書きたくなったのでかいてみました。
ヘルガーってゴーストを退治専門のようなタイプだったのでやりました。
お母さんは悩んでいました。子供が夜に泣き止まずなかなか寝付かないのです。困ったお母さんは、お婆さんに相談しました。するとお婆さんは、古くから伝わる子守歌を教えてくれました。
ららら。ららら。
これで子供をあやしながら寝かしつければ、たちどころに眠ってしまうよ。そうお婆さんは言いました。
ららら。ららら。
お母さんは子守歌を歌います。腕の中で赤ちゃんはすやすやと眠り始めました。もうお母さんは夜泣きに悩む事はなくなりました。
ガルーラのお母さんは困っていました。子供が夜に泣き止まずなかなか寝付かないのです。お母さんは袋を揺すりながら夜の道を散歩しました。少しでも袋の子の気を紛らわそうとしたのです。
するとどこからか歌が聞こえてきました。
ららら。ららら。
歌の聞こえるほうに近づいていくと、人間の家がありました。明かりの下、人間のお母さんが子守歌を歌っています。
これだわ。
ガルーラのお母さんは思いました。
るるる。るるる。
ガルーラのお母さんは一生懸命歌を覚えて歌いました。すると袋の中の赤ちゃんはすやすやと眠り始めました。もうガルーラのお母さんは夜泣きに悩む事はなくなりました。
ムウマの女の子は悩んでいました。仲良しの女の子はずっと病気がち。夜になると苦しみ始めるのです。熱が出て、咳が止まりません。
ゴホゴホ。ゴホゴホ。
女の子は一晩中、そうやって苦しみ続けるのです。
夜が来なければいいのに。
女の子はいつも言っていました。
そんなある夜のこと、何か女の子を喜ばされるものはないかとムウマが空を飛び回っていた時のことです。彼女はどこからか歌が聞こえてくるのに気が付きました。
るるる。るるる。
歌の聞こえるほうに近づいてみると、袋をぽんぽん叩きながらガルーラのお母さんが子守歌を歌っています。見れば赤ちゃんは袋の中ですやすや。
これだわ。
ムウマの女の子は思いました。
これを聴かせてあげたなら、あの子もきっと眠れるに違いありません。
ムウマは一生懸命そのメロディを覚えると、女の子のもとに飛んで帰りました。
ゴホゴホ。ゴホゴホ。
ベッドの中で女の子は相変わらず苦しそうにしています。
ムウマはさっそく先ほど覚えてきた歌を歌い始めました。
ららら。ららら。
るるる。るるる。
ムウマは歌いました。
ららら……ららら……
るるる……るるる……
ムウマは歌いました。
どうかこの子がぐっすり眠れますように。苦しまずに眠れますように。
ずっとずっと眠れますように。
ムウマは心をこめて歌いました。
女の子は聞き入っていました。そのうちに咳も収まって、眠ってしまいました。
ベッドの中、彼女は気持ちよさそうに目を閉じていました。
ああ、よかった。やっと眠れたんだね。
ムウマはにっこりと笑いました。
女の子はもう咳に悩む事はありませんでした。眠れなくて困る事もありませんでした。
彼女はもう、二度と苦しむ事はありませんでした。
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鳥居用に書いたけど記事としても小説としても中途半端なんでここにはっときますね。
いやその小説部門でもよかったんだけど、最後にこれは後味悪すぎる。
鳥居の向こう
・イッシュの古代の城が舞台の話。仕事中にダルマモードヒヒダルマの対戦用考察やってたら、唐突に『きっと彼らは見たに違いない。緑野に聳え立つ宮殿を』とか言うフレーズが降って来て着想。実は似たような構想を前にも練った事があった為、行けそうな気がして書き始めた。前述のフレーズに更に加筆して導入部を設計し、、ストーリーと登場人物を練り終わったとこで広がり過ぎたと感じて没。
・記事部門に投げた話の小説版その1。ぼやっとストーリーを模索する内勝手に興が乗って話が広がり、手応えがあったので書き始める。個人的に結構気に入っていたが、アウトプット能力を勘案すれば絶対間に合わんわボケとなって没。大型弾頭としてストックし、多分別の機会に形にすると思ふ。
・記事部門に投げた話の小説版その2。今回一番書き進んだ奴。前々から構想を練ってた話でこっちもそこそこ気に入ってる。やっぱり間に合わなかった上序章だけで12000越えても終わらなかったので没。こっちは訳もあってちゃっちゃと書き終えたい……(所詮願望
フォルクローレ
・ポケダンのネタ。次元の塔がある島と探検隊の舞台となっている世界を聖書に出て来る『原初の楽園』に見立て、星の停止後の世界に生きるゲーム上の主人公達が、世界の外に追われた人間側の伝説と内側に残ったポケモン達の伝承双方から歯車の位置を確かめ、旅に出るまでの経緯を描く的な話。
・平安期の僧、玄賓僧都の話。玄賓が実はゾロアークだったんじゃないかなぁと言う俗説を紹介する予定だった。
・高野山の天狗の話。嘗て滅んだ豪族の忘れ形見がポケモン達の下で育てられ、風の流れを予知する不思議な力を培って、地方に圧政を齎そうとする中央の役人を追い払い、噂を聞きつけてやって来た弘法大師と話し合った末、金剛峯寺の建設を認める御話。
・スワンナと狩人の昔話。カロスが舞台。親鳥を誤って殺してしまった狩人が、雛である幼いコアルヒーに生きる為の知恵や訓練を行い、その結果死んじまうと言う御話。里親の死と引き換えに生きていく術を身に付けたスワンナが、同じ思いをするポケモンを出さないように願いを込めたのが、努力値の羽なのだと言う筋書き。
他にもあった筈だけど今思い出せないのでもう良いです。
7番道路(リベールライン)の昔話。
リベールライン沿いの川では、バルビートがイルミーゼに求愛のダンスを踊る。
それを真似して始められたのが、現在のバトルシャトーでの舞踏会。そこはもともと高級社会の人々がダンスをするために作られた。
ある時、一人の女性を賭けて踊りの大会が開かれた。女性を狙って男性達はアピールするが、女性は誰にも反応しない。彼女には既に、好きな男性がいたのだった。けれど彼は身分が低く、舞踏会への参加を許されていなかった。
そこへ闖入者が現れる。その彼が現れたのだった。女性の手を取り告白するが、周りの男性は気に入らない。
(ここで恋人と男性の間で口論が起きる)
ならばポケモンバトルで白黒つけようという話になり、結果恋人が勝利する。
こうして二人は見事婚約を果たした。
この出来事があってから、ダンスよりポケモンバトルの方が一目で決着が着きやすい・観戦している方も盛り上がるという理由から、バトルが行われるようになる。そして今のバトルシャトーの形に落ち着いた。
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頭に浮かんでいたのを、そのまま書いているので、話におかしいところがあるかもしれません(汗)
が、こんな話を書こうかなーとか考えていました。
イメージソング:WAVE FAIRY (RE:Sound of "delighting melodies" ShortVersion.)/秋元すばこ
おお! 今二代目がきてるんですが、初代マスターまで参戦ならば大変心強い!
とりあえずメールしますねー
タグ: | 【逃げちゃ駄目だ】 【リロッ】 【バーリア〜! 平気だも〜ん!】 【汚物は消毒だー!】 【僕には大切な未来があるので】 【ざわ……ざわ……】 【ドゥエドゥエドゥエ】 【そこにシビれる! あこがれるゥ!】 【ゴウランガ!】 【インド人を右に】 |
※前回同様パロディ含んだカオスです。
アナウンサー『テレビをご覧の皆様お元気ですか……? 技と暮らすのお時間がやって参りました。本日も、ヒウン大学教授のワザマ シン先生が \直接/ 皆様に技の解説をいたします。まずは「プレゼント」を皆様と勉強いたします。』
ワザマ『ワザマでございます……。さて、プレゼントですがこれは相手にプレゼントを贈るという真心のこもった技です。日常での効果的な使い方といたしましてはね、例えばいらないけど捨て辛い物がある、そういった場合ですね、すかさずこの技を使いますと、好感度を上げつつ処分する事が出来るという効果を発揮しますね』
アナウンサー『なるほど……。勉強になりましたね。続いては「ぼうふう」を勉強いたします』
ワザマ『ワザマでございます……。さて、ぼうふうですがこれは強烈な風で攻撃する大変に大規模な技です。日常での効果的な使い方といたしましてはね、例えば休み明けで学校に行きたくない事って、ございますでしょ? そういった場合ですね、すかさずこの技を使いますと、一部の電車を止める効果を発揮しますね』
アナウンサー『なるほど……。勉強になりましたね。続いては「じこあんじ」を勉強いたします』
ワザマ『ワザマでございます……。さて、じこあんじですがこれは相手の能力変化を自分にもかけるという実に内向的な技です。日常での効果的な使い方といたしましてはね、例えば汎用人型決戦兵器に搭乗する事って、ございますでしょ? そういった場合ですね、すかさずこの技を使いますと、大変に高い効果を発揮しますね』
アナウンサー『なるほど……。勉強になりましたね。続いては「みずびたし」を勉強いたします』
ワザマ『ワザマでございます……。さて、みずびたしですがこれは相手をみずタイプにするという実に滴る技です。日常での効果的な使い方といたしましてはね、例えば偉い方のパーティがあるから友人の誕生会に行けないのをペットが病気だからと嘘をついた所、その友人達が見舞いに来る事って、ございますでしょ? そういった場合ですね、すかさずペットにこの技を使いますと、ペットの機嫌はともかく大変に高い効果を発揮いたしますね』
アナウンサー『なるほど……。勉強になりましたね。続いては「バリアー」を勉強いたします』
ワザマ『ワザマでございます……。さて、バリアーですがこれは頑丈な壁を作り防御を上げる実に閉塞的な技です。日常での効果的な使い方といたしましてはね、例えば弾幕攻撃をしている時にボムを使われる事って、ございますでしょ? そういった場合ですね、すかさずこの技を使いますと、平気になるという効果を発揮しますね』
アナウンサー『なるほど……。勉強になりましたね。続いては「かえんほうしゃ」を勉強いたします』
ワザマ『ワザマでございます……。さて、かえんほうしゃですがこれは 激しい炎を発射して攻撃する実に燃え上がる技です。日常での効果的な使い方といたしましてはね、汚物を消毒する、そういった場合ですね、すかさずこの技を使いますと、ヒャッハーな効果を発揮いたしますね』
アナウンサー『なるほど……。勉強になりましたね。続いては「ふみつけ」を勉強いたします』
ワザマ『ワザマでございます……。さて、ふみつけですがこれは相手を踏みつけて攻撃するという実に物理的な技です。日常での効果的な使い方といたしましてはね、ある音楽ゲームのチュートリアルをプレイする様な場合ですね、矢印が判定エァリアに重なるタァーイミングで左のパァーノゥにこの技を使いますと、大変に高い効果を発揮いたしますね』
アナウンサー『なるほど……。勉強になりましたね。続いては「ゆびをふる」を勉強いたします』
ワザマ『ワザマでございます……。さて、ゆびをふるですがこれは全ての技の中から1つを繰り出す実に運任せな技です。日常での効果的な使い方といたしましてはね、例えば未成年なのに飲酒を勧められる事って、ございますでしょ? そういった場合ですね、すかさず断りながらこの技を使いますと、大変に高い効果を発揮しますね』
アナウンサー『なるほど……。勉強になりましたね。続いては「さきおくり」を勉強いたします』
ワザマ『ワザマでございます……。さて、さきおくりですがこれは相手の行動を最後にしてしまうという素敵に未練がましい技です。日常での効果的な使い方といたしましてはね、例えばある競技の勝者に賞金を払わなければならない、そういった場合ですね、支払う時と場所を指定していない事を理由にこの技を使いますと、その気になれば支払いは10年、20年後という事も可能になるという効果を発揮しますね』
アナウンサー『なるほど……。勉強になりましたね。続いては「こうそくいどう」を勉強いたします』
ワザマ『ワザマでございます……。さて、こうそくいどうですがこれは体を軽くして高速で動く、大変にすばしっこい技です。日常での効果的な使い方といたしましてはね、とある城での移動において最速を目指す、そういった場合ですね、すかさずこの技を使いますと、大変ドゥエな効果を発揮しますね』
アナウンサー『なるほど……。勉強になりましたね。続いては「あくまのキッス」を勉強いたします』
ワザマ『ワザマでございます……。さて、あくまのキッスですがこれは恐ろしい顔でキスを迫る、大変におぞましい技です。日常での効果的な使い方といたしましてはね、例えば遺産を乗っ取る為に精神的に追い詰めたい相手がいる事って、ございますでしょ? そういった場合ですね、すかさずその相手が思いを寄せる人にこの技を使いますと、痺れられたり憧れられたりするという効果を発揮しますね』
アナウンサー『なるほど……。勉強になりましたね。続いては「だいばくはつ」を勉強いたします』
ワザマ『ドーモ。シチョウシャ=サン。ワザマでございます……。さて、だいばくはつですがこれは大きな爆発で回りを攻撃するという実際サツバツなジツです。日常での効果的な使い方といたしましてはね、ニンジャが絶命する様な場合ですね、すかさずこのジツを使いますと、爆発四散する効果を発揮しますね。ナムアミダブツ!』
アナウンサー『なるほど……。勉強になりましたね。続いては「サイドチェンジ」を勉強いたします』
ワザマ『ワザマでございます……。さて、サイドチェンジですがこれは自分と味方の居場所を入れ替えるという大変に切り替えの良い技です。日常での効果的な使い方といたしましてはね、運転をしていて、くおぉー!! ぶつかる!! となる事って、ございますでしょ? そういった場合ですね、すかさずこの技を使いましてインド人を右にしますと、大変に高い効果を発揮いたしますね』
アナウンサー『なるほど……。勉強になりましたね。それでは皆様、また次回お会いしましょう。さようなら』
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えー、はい。ごめんなさい。またやりました。またやっちゃいました。すみません。
前回よりパロディ分多めです。その分、分かり辛いネタも増えましたが。半角カタカナが反映されないのが心残りです。一部はネタというかシチュエーションですね。
当初はエイプリルフールに照準を合わせてたんですが私用で4/1の午前中に投稿する事が物理的に不可能になりまして、じゃあ別に1日に間に合わせなくても良いかと思いまして今に到ります。
来年も余裕があれば書きたいです。XYでネタに出来そうな番組が増えましたらそちらを書くかも知れませんが。
【書いてもいいのよ】
【描いてもいいのよ】
【解説してもいいのよ】
【お好きにどうぞなのよ】
タグ: | 【クジラ博士のフィールドノート】 |
・ソーナノ
ソーナンスの進化前。
手に入れる方法は、ソーナンスに『のんきのおこう』を持たせてタマゴを作ること。
・ルリリ
マリルの進化前。
手に入れる方法はマリルに『うしおのおこう』を持たせてタマゴを作ること。
・ゴンベ
カビゴンの進化前。
手に入れる方法はカビゴンに『まんぷくおこう』を持たせてタマゴを作ること。
これらの種の共通点は近年になって発見されたということだ。
進化系であるソーナンス、マリル、カビゴン。
これらの種がもっと以前から知られているにもかかわらず、である。
――とある携帯獣の図鑑より
「まずはこれをご覧ください」
暗く静まり返った部屋の中で男がそう言うと、青年のとなりにあった光る大きな画面が切り替わった。それはどこかの地図を映しているようだ。それらは地区別に色分けされているようだった。
「これは各地域の森林の豊かさを示しています。最大を100として80以上は赤で、79から60はオレンジ、それ以下は黄色となっています」
地図上の色の分布を見ると赤はほとんどなく、オレンジが4分の1ほど、残りは黄色であった。
「次にこれをご覧ください」
聴衆が画面に注目すると、地図上に円柱の棒が現れる。円柱の長さはいろいろあったが青と緑の二つがあるようだった。
「青はカビゴン、緑はゴンベです。円柱の長さは生息頭数を示しています。このグラフが示すとおりカビゴンは赤の地域にしか生息していません。オレンジの地域にはゴンベが生息していますが、カビゴンは確認できませんでした。黄色の地域ではカビゴン、ゴンベとも生息は確認できませんでした。つまりこれらのポケモンは森の豊かさの指標となっているのです。では、次にこのグラフをご覧ください」
画面が切り替わった。
映し出されたのは黒い折れ線グラフであった。その折れ線グラフの値は年を追うごとに減少しており、回復の様子は見られない。急激に減っている箇所があり、近年では緩やかな減少が見られる。
「これは先ほど映し出した地域の森の面積を年で追ったグラフです。ちょうどこの20年あたりで急激に減っていることがお分かりになるかと思います」
青年がそう言うと、また別の赤い折れ線グラフが現れた。赤い折れ線グラフは森が急激に減りはじめたあたりで増加しはじめ、黒が勢いよく、低下している20年間の真ん中あたりで徐々に減り始めると、黒グラフの下降の勢いが低下したあたりで消えた。
「赤の折れ線グラフはこの地域のカビゴンによる農作物等の被害届け件数です。これは森林の減少によってカビゴンが人里に下りてきた結果であります」
男はここで一呼吸置くとまた続ける。
「被害届け件数は、この20年間の大規模な森林の減少に反比例して伸びていきます。そして、10年目でピークを迎え、その後は徐々に下がり続け、ついになくなった。それはなぜか…… その一つとして我々人間によるカビゴンの捕獲、もう一つにカビゴンの頭数そのものの減少が挙げられます」
男はここまで言うと、被害届け件数がピークとなった10年目を指差した。
そして、こう言った。
「そしてこの年は、ゴンベがはじめて発見された年であります」
聴衆内にどよめきが起きた。
画面に男が指差した点から、新しく緑色の折れ線グラフが現れるとそれは緩やかに上昇し、ある地点で安定し、緩やかに下降しはじめた。
「緑の線はゴンベの生息頭数です。さらに……」
今度は青い折れ線グラフが現れた。
それは緑が上昇しているのとは反対に下降した。ある地点で安定し、そして緩やかに下降しはじめた。
「青の線はカビゴンの生息頭数です。減少しているのがお分かりかと思います。とくに見ていただきたいのはこの部分です。生息数がゴンベの増加に従って、減少しています。まるでゴンベと入れ替わるように……」
聴衆がいよいよ騒ぎ始めた。
ついに一人が立ち上がってこう叫んだ。
「つまりあれかね! 君はこう言いたいのかね! 森林の減少の結果として、カビゴン内から新しくゴンベが生まれたと!」
「そうです。ゴンベ、という形態は追い込まれたカビゴンという種の苦肉の策なんじゃないでしょうか。体を小さくすればその分、エサは少なくてすむ。従来、カビゴンからはカビゴンしか生まれなかった。ですがこの急激な環境の変化、それがゴンベという新種を生んだのです」
男がこう答えたとき、会場内はついに収集がつかなくなった。
「まさか! ありえない!」
「いや、何しろ相手はポケモンのやることだからな」
「データの取り方はどうなっているんだ?」
「森の豊かさとはどういう基準か具体的にお教え願いたい!」
「そもそもカビゴンの生態というのはだね……」
「はぁ……、やっぱり発表するんじゃなかったかなぁ」
青年は、昼食のサインドイッチを握り締めながらため息をついた。
「あの後、質問の嵐でろくにしゃべれなかった……。ああでもないこうでもないって徹底的に突っ込まれるし、昼食買いに行っても、じろじろ見られるし……。俺、この先ポケモン学会でうまくやっていけるのかなぁ」
「そう落ち込まないで。突っ込まれるのは学会の常よ」
青年のとなりにいた若い女が声をかけた。青年がしゃべる横で画面を操作していたのは彼女であった。
「突っ込まれるのは何回やられても慣れないよ。本当に心臓に悪い……」
「そんなこといいから早く食べなさいよ。昼休み終わっちゃうわよ」
「ああ、そうだよ。あのまま俺の持ち時間はおしまいさ。せめて結論だけはちゃんと言わせて欲しかったなぁ」
青年はがぶり、とサンドイッチを口にほおばった。
ぼうっと会場の窓から空を見るとキャモメたちがミャアミャアと鳴きながら、窓から見える風景を横切っていくところだった。ポケモン学会は定期的にいろんな場所で開かれるが今回の会場は海が近いのだ。
鳥ポケモンはいい。空が飛べるから。飛べるならこの会場からすぐにでも飛んで帰りたい。
そんなくだらないことを考えながら、サンドイッチを飲みこんでふと横を見るといつのまにか青年の横に、もう一人の男が座っているのに気がついた。
青年が気が付いたことを察し、男は軽く会釈をした。傍らには一匹の大きな鳥ポケモン、ピジョットが立っている。その視線がどうにも手元のサンドウィッチに注がれている気がして、思わず青年はそれを後ろに隠してしまった。
「ははは。心配しなくてもダイズは大人しいから、人のサンドウィッチやメロンパンをとったりはしないよ。安心しなさい」
そう言って男はピジョットを撫でた。ピジョットがもう一度ちらりと青年のほうを見る。正直ちょっと信用できないよなぁと、青年は思った。結局サンドウィッチは一気に口にほおばって、飲み込むことにする。
「ああ、それはそうと、お隣お邪魔しますよ」
そんな青年の挙動と不信を気にする様子もなく男は言った。
「む、あが……はい……どうぞ」
口をむぐむぐさせながら青年は答えた。ごくりと食べたものを飲み込むとピジョットが諦めたように視線を外した。今度は男が長く伸びた冠羽の後ろを掻いてやる。するとピジョットはうれしそうに目を細めた。
青年の隣でピジョットに触れるその男は初老とでもいうのか、それなりに年を召している様子だった。顔に刻まれたしわや黒髪にまじった白髪、そして鳥ポケモンを撫でる手。それらがこの男の生きてきた時間を物語っていた。
初老の男はこの時を待っていたようだった。青年に顔を向け、彼はいよいよ話し始めた。
「貴方、あれでしょう。さっき発表していた方でしょう。ゴンベについて」
「え、あ、ええ……そうですが……」
今度は何を突っ込まれるのだろう。
青年は反射的に脳内で理論武装をはじめていた。
「まぁ、そう緊張なさらず……とは言っても無理かな。私もね、若いころはずいぶんと心臓に悪い思いをしたもんだよ」
どうやらこの初老の男も学会で発表する人間のようだった。この年なら相当な修羅場をくぐってきているのだろうと青年は推測した。
しかしあれだな。自分のことがせいいっぱいで誰が何を発表するなんてろくに調べてないぞ。誰だろう……この人……。と、青年は焦った。ああ、まずったなぁなどと内心に呟くものの、そんなものは後の祭りだ。
男は助けを求めるように反対側にいた女に目くばせしてみたが、女は「そんなことまで、知らないわよ?」というようにジェスチャーするだけだった。
「それでね、話の続きだけど……私はなかなかおもしろいと思うよ。貴方の説」
「え! あ、そ、そうですか! ……恐縮です」
自分の考えていたこととまったく違う言葉がきたもので青年は戸惑った。が、自身の説が評価されたのは単純に嬉しかった。
「会場内をあれだけ騒がせるとは、お若いのにたいしたものだ」
「い、いえ……それほどでもないです。突っ込まれてもほとんど答えられなかったし…… 第一どれくらいの方が支持してくださるか……」
「なぁに、新しい説っていうのはそんなものだよ。今は定説になっているものだって、発表当時は認められなかったものが多いからね」
「……僕のがそうだとは限りませんよ」
「今はまだ認められないかもしれない。なにせまだまだ証拠不足だからね。だが、君の説が正しいのなら後に続く研究がそれを証明してくれるさ」
「いえ、その、あの説は別に否定されてしまったって構わないのです。でもポケモン学会はいろんな分野の方がいらっしゃるから。だから何かのきっかけになればそれでいいと思っています。僕が言いたいのは……彼らの住む世界そのものが失われているということです。近年のデータではカビゴンはもちろん、ゴンベの数まで減ってきている。以前まではゴンベという形をとることでなんとかしてきた。でも、それももう限界でしょう……」
「なるほどね」
初老の男はそう言うと窓の外の風景を一望した。窓の外では相変わらずキャモメたちがミャアミャアと鳴いている。
この人になら聞いてもらえるかもしれない。男はさらに自分の考えを話してみることにした。
「ゴンベが発見された年の少し前に、ルリリやソーナノ、いわゆる『進化前』と言われるポケモン達が発見されています。これについてはまだ調査中ですが、もしかしたら関係あるのかもしれません」
「ああ、そうかもしれないね」
「僕は野生のゴンベを見て育った世代でして。だから野生の、大きなカビゴンが見てみたい、そう思っているんです。でも、そのためには僕が生まれる前の豊かな森が必要で。だから僕はそれを証明したいんです」
青年は言った。それは彼の願望であり、夢だった。
そんなものポケモンリーグでいくらでも見れるじゃないか。
まわりの大人達はみんなそう言った。けれど少年が見たいのは野生のカビゴンだった。豊かな森でゆったりと昼寝をするカビゴン。それが少年が夢に見た景色だった。
「うむ、私もね、大きなポケモンは大好きだよ」
初老の男がうんうんと頷くと自分のバッグをごそごそとかき回しはじめた。
そして一枚の紙を取り出した。
「私の専門は海のポケモンでね、君の説を後押しできるかどうかはわからないがこんなデータがある」
初老の男は、その紙を男に渡すと、それが示す内容について説明しはじめた。
「いいかい、これは僕が依頼されてある地域のあるポケモンの生息数を解析したものなんだ。この緑の折れ線グラフがホエルコ、青の折れ線グラフがホエルオーだ。このグラフはここ何十年かの生息数を追っているものなんだが……」
そう言って初老の男はある部分を指差した。
「ほら、この年からホエルコが増えて、ホエルオーが減り続けているでしょう。誰かさんのデータと似ていると思いませんか」
「…………」
「私の考察ではね、エサの不足でホエルオーに進化できないんじゃないかと思っているんです。ホエルコのままならホエルオーよりは食べないからね。この海域のエサの減った原因は森林の破壊ではないかと私は睨んでいる」
ここまで初老の男がいうと今度は女が口を開いた。
「あの、それが森林の破壊と関係あるのですか? ホエルコやホエルオーは海のポケモンでしょう?」
初老の男が答える。
「おおありですよ。地域によって差異があるのですが、この海域のホエルオーのエサは主に海のプランクトンなのです。それを育てているのは海中にある養分だ。その養分はどこから来ると思いますか?」
初老の男の質問に、こんどは男が答えた。
「森です。木から落ちた葉など養分となって、河に流れて海へ届くんです」
「そのとおり。だが一種だけじゃまだ弱いからね。他の海のポケモンでもデータを集めてみようと思ってるところだよ」
初老の男はその答えを待っていたかのように言葉を返した。
そして腕時計を見るとバッグを持って立ち上がった。
「さて、そろそろ昼休みも終わりだな。次は私が発表する番でね。お先に失礼させていただきますよ」
初老の男は会場に向かって歩き出した。その後ろを鞄をくわえたピジョットが冠羽をたなびかせ、トコトコとついていった。その様子を二人の男女はぼうっと見ていたが、にわかに男の方が立ち上がって初老の男の後を追った。
男は先ほど立ち去った男に追いつくと同時に話しかける。
「あ、あの、僕はモリノといいます。貴方のお名前は?」
初老の男はゆっくりとふりむいて、にっこりと笑った。
「継海……ツグミトシハルです」
どちらかだったか一方が手を差しのべると、二人は握手を交わした。
直後、会場側から初老の男を呼ぶ声がした。
「ツグミ博士、何やってるんですか! もうすぐ始まっちゃいますよ!」
どうやら声の主は博士の助手のようだ。
「私はね、かの海でも昔のように大きなホエルオーを見たい、そう思っています。その海を見て育つ子ども達にもそれを見せてあげたいってね。彼らは森からやってきます……また、お会いしましょう」
博士はそう言うと聴衆が待つ会場へと消えていった。
男が見送る後ろから、女がやってきて学会のプログラムを開く。二人はその内容について言葉を交わすと、博士が消えていった方向に向かって歩き始めた。
タグ: | 【2012夏・納涼短編集】 【多分ポケダン】 |
小さな頃、宝物を失くしたことがあったの。
子供の時って、大人から見れば全然大したものじゃないものを、ものすごく大切にしたりするでしょう?
河原で拾ったきれいな石とか、他より少しだけ大きなタネとか、贈り物を包んでいたリボンとか、使えなくなった機械のネジとか。
そういうちょっとしたものを集めては、小さな箱に入れていく。そうやって、大事に大事にとってたの。
ある日私は野原に行ったの。
そうしたらそこには、きれいな花が一面に咲いてたわ。
私は嬉しくなって、その中の1輪を摘んで帰って、いつもの箱に入れておいたの。
でも、次の日箱を開けると、きれいだったお花はすっかり枯れていたわ。
私はまた野原に行ったの。だけどどのお花も、昨日持って帰ったお花とは違った。同じ花だけど、やっぱり違う。
枯れてしまったお花は、もう二度と戻らない。
私はすごく悲しくって、いっぱいいっぱい泣いたわ。
私も大きくなったから、あのお花がもう一度ほしい、なんて事はもうないわ。
幼いころの「宝箱」を開けて、何でこんなのが大事だったんだろう、って苦笑いすることもある。
でも、大好きなものが、とっても大事なものが変わってしまうのは、とても悲しいこと。
それは今でも同じ。ずっと変わらない。
だけど、咲いた花はいつか散るし、生きているものは老いて死ぬ。
一目見て好きになったの。つやつやした赤いハサミも、琥珀のような金色の目も、とっても素敵。
あなたに綺麗だよって言われて、私はとても嬉しかったわ。
だけど、永遠には続かない。
いずれは死がふたりを別つことになるでしょう。
今少しだけ近づいた心も、あっという間に離れていくかもしれない。
時が止められればいいのに、と誰でも思うでしょう?
この幸せな時間が永遠なら、と思うのは当然のことでしょう?
私は伝説のポケモンじゃないから、時間を止めるのはとても無理。
でももし、その瞬間を留めておける力があるとしたら?
体も、心も、全部私のもの。
この先ずっと一緒。私とあなたは、永遠に一緒。
あなたはずっと変わらず、私のそばにいてくれればそれでいいじゃない。
ほら、見て。
氷に包まれたあなた、とても綺麗よ。
+++
きとらさんに無茶ぶりされたメノコ×ハッサム(多分ポケダン)
(2012.7.26)
ちょっとだけ挨拶します。こんにちは。
もう桜の季節ですね。このお題にナットク!
でわ、スタートッ!!
ここはイッシュ地方のカノコタウン。もうすぐ桜の季節だ。
川沿いを歩いていたツタージャは、ぷかぷかと浮いているコアルヒーを眺めていた。
「ようゼスト!何かあったのか?」
このツタージャの名前はゼスト。オスのレベル11らしい。
「ううん。別に。」
ゼストは体育座りでため息をついた。
「絶対なんかあっただろ。え?!」
コアルヒーがゼストのほうへ飛んできた。ツタージャの頭をなでている。
そこへ、凄く小さな黄色い物体がのそのそとやって来た。
「バチュバチュ、カル、何してるの?そしてこのツタージャ誰?」
その物体はバチュルだった。コアルヒーを呼んだようだが、ツタージャには聞こえなかった。
「おいおい、お前、カルって言うの?」
「うん。そしてコイツは友達のミオ。」
全く知らなかったので、ツタージャは握手を求めた。
「僕はゼスト。よろしく。」
しかしミオは聞いていない。
「もしもし?」
「あぁ。えーと、ゼストって言うんだったな。よろしく。」
握手をすると凄く手がしびれた。
「うわわわわ・・・・なんだこれ。」
「ごめん。女の髪がモサモサ(アララギ博士)の家から電器吸ってきちゃった。」
そう言うので、皆はアララギ博士の研究所を覗いてみた。
<なんでパソコンが使えないのよッ!エイッ!あぁーーー!!」
「何か騒動になってるな。」
【クスクスクス】
笑い声が聞こえた。
「僕もアララギの馬鹿な行動見てたんだけどさ、あんた達もおもろくってさぁ!アハハハハハ!!」
「バル!!」
またコアルヒーが名前を呼んだ。バルジーナのバルというようだ。
「カル、お前知り合い多いな。」
「それより、アララギの研究所見てみろよ。おもろいぜ。」
アララギ博士が感電していた。
「アハハハハハハ!!!」
一人だけバルが爆笑していた。周りはシーンだ。
「もう解散しよ。明日の午前10時ね。ここ集合。」
続く?!
ある裏山の話
私の学校の裏山は春になるとそりゃあ見事なものです。
というのも昔、この土地を治めていた殿様が桜を植えさせたらしく、毎年三月にもなると山が薄いピンク色に染まるのです。
だからこの時期になると学生も先生達もみんなお弁当を持って、競うように裏山に行きます。
桜の咲き具合が綺麗な場所をみんなして争うのです。
この為に四時限目の授業を五分早く切り上げる先生がいるくらいです。
けど、今日の先生はハズレでした。数学の先生は時間きっちりに授業を終わらせるから、今日はいい場所がとれませんでした。おまけに私のいる二年五組ときたら、学校の玄関からは学年で一番遠いのです。
案の定、山を歩いても歩いても、いいところはすでに他学年や他クラス、先生達に占拠されていました。
私は落ち着く場所を求めて、裏山を上へ上へと登っていきました。
けれども上に登っても登っても、良い場所はもう陣取られているのでした。
あまり高くはない山でしたから、結局私は一番上まで行ってしまいました。
「ここは咲きが遅いんだよなぁ」
私はぼやきました。
山の一番てっぺんのあたりは、麓とは種類が違う桜であるらしく、満開の花が咲くのがしばらく後なのです。今はようやく蕾が膨らんできた程度でした。幹が立派な桜が多いのですが当然あまり人気がなく、人の姿は疎らでした。
しかし贅沢も言っていられません。私はそこにあるうちの一本の下に座り込むと、弁当の包みを解き、蓋を開けました。
今日のお昼ご飯は稲荷寿司です。それは母にリクエストして詰めてもらったものでした。
「今日はいい天気だなぁ」
私はそう呟いて、稲荷を一つ、口に入れました。
そうして、頭上で何かが揺れたのに気がついたのは、その時でした。
稲荷を頬張りながら上を見上げると、黄色い大きな目が印象的な緑色のポケモンが桜の枝の上からこちらを見下ろしています。
それはキモリでした。初心者用ポケモンとして指定されているだけあって、我々ホウエン民にはなじみのあるポケモンです。
弁当狙いだな、と私は思いました。学校近くに住む野良ポケモン達はみんな学生の弁当を狙っているのです。スバメやオオスバメに空中から、おかずやおにぎりをとられたなんて話はよく聞きますし、私もやられたことがあります。ましてや学生達が自ら進んで裏山に入るこの時期は彼らにとっては絶好のチャンスなのです。
「悪いが食べ盛りなんでね」
私はそう言うと弁当の蓋で残り五つほど並んでいた稲荷をガードしました。
キモリは不満そうな視線を私に投げましたが、それ以上はしませんでした。てっきり技のひとつも打ってくるかと思って少々身構えたのですが、そこまでする気はないようでした。技を使って強奪するまでは飢えていないということでしょうか。
それならば場所を変える理由もあるまいと、私は蓋を少し上げて、二個目を取り出し、口に入れました。
その時、
「ふーむ、今年も駄目だのう」
不意に後ろから声が聞こえて、私は声のほうに振り向きました。
見ると、古風な衣装を纏った男が一人、一本の桜を見上げながら呟いているところでした。
変な人だなぁ、と私は怪しみました。
男の衣装ときたら、なんとか式部やなんとか小町が生きている時代の絵巻の中に描かれた貴族みたいな格好なのです。その一人称がいかにも麻呂そうな男が、地味な衣を纏った男を一人伴って、葉も花も蕾もついていない桜の木を見上げているのでした。
「もう何年になるか」と、麻呂が尋ねると「十年になります」と従者は答えました。
「仕方ない。これは切って、新たに若木を植えることにしようぞ。新しい苗木が届き次第に切るといたそう」
しばらく考えた後、麻呂は言いました。従者と思しき男も同調して頷きます。
「では、さっそく若木を手配いたそう」
「できれば新緑の国のものがよいのう。あそこの桜は咲きがいいと聞く」
そのような相談をして、彼らはその場を去っていったのでした。
後には裸の桜の木が残されました。
私はなんだかその桜の木がかわいそうになりましたが、咲かないのでは仕方ないかなとも思いました。
改めてその木を見上げましたが、葉もついていませんし、花はおろか蕾もついていません。周りの桜は満開なのに、ここの木だけ季節が冬のようなのです。この木が春を迎えることはもうないように思われました。
立派な幹なのになぁ、と私は思いました。きっと最盛期には周りにの木にまけないくらい枝にたくさんの花をつけたに違いありません。私の視線は幹と枝の間を何度も何度も往復もしました。
そして、何度目かの上下運動を終えた頃に幹の後ろで蠢く影に気がついたのでした。
「おや」
と、私は呟きました。幹の後ろから姿を現したのはジュプトルでした。
ジュプトルはキモリの進化した姿です。その両腕には長くしなやかな葉が揺れていました。
「ケー」
ジュプトルは沈黙を守る桜の木に向かって一度だけ高い声で鳴くと、ひょいひょいと跳ねながら颯爽と山を下りていきました。
森蜥蜴の姿が消えた時、いつの間にかここは夜になっていました。あれから何日かが経ったようで、月に照らされた山の中で周りの桜が散り始めていました。まるで何かを囁くように花びらが風に舞い散っていきます。穏やかな風が山全体に吹いていました。けれど老いた桜は裸の黒い幹を月夜に晒したまま、沈黙を守っているのでした。
山の麓のほうから何者かがこちらに登ってきたのが分かったのは、月が雲に隠れ、にわかに風が止んだ時でした。それは、先ほどこの場を去っていたジュプトルの駆け足とは対照的な、落ち着いた足取りでした。そうして、月が再び天上に姿を現した時、その姿が顕わになりました。
花の咲かぬ桜の木の前に現れたのは、背中に六つの果実を実らせた大きなポケモンでした。その尾はまるで化石の時代を思わせるシダのようでありました。
それはジュカインでした。キモリがジュプトルを経て、やがて到る成竜の姿でした。
「ケー」
ジュカインは低い声で桜に呼びかけました。
そうして、自らの背中に背負った種を引きはがしにかかりました。まるで瑞々しい枝を折るような、枝から果実をもぐような音がしました。密林竜は一つ、また一つ、全部で六個の果実を自らの手でもいだのでした。
もがれた果実は桜の木を囲うようにその根元に埋められました。ジュカイン自らが穴を掘り、丁寧に埋められました。
「ケー」
ジュカインは再び低い声で鳴きました。
その時急に、止んでいた風がびゅうっと強く吹きました。
嵐のように、桜の花びらが一斉に飛び散ります。花びらが顔面にいくつも吹きつけて私は思わず手で顔を覆い目をつむりました。
そして再び風が止んだ月夜の下、再び目を開いた私は、不思議な光景をまのあたりにしたのでした。
先程まで蕾のひとつもついていなかったあの裸の桜の木が、満開の花を咲かせていました。
月夜の下で、まるで花束を何本も持ったみたいに枝にたっぷりの花が咲き乱れているのです。
ついさっきまで、見えていた月が桜の花に覆い隠されているのです。
あまりに劇的な変貌を遂げたその光景が信じられず、私は目何度も瞬きをしました。
「ケー」
ジュカインが満開の桜を見上げ、鳴きました。
風が吹きます。まるで答えるように桜の枝がざわざわと鳴りました。
桜の花びらがひらりと舞って、密林竜の足下に落ちました。
それからはまるで早送りのようでした。
みるみる花が散っていき、葉桜となることなく、再び木は裸になったのでした。そうして沈黙を保ったまま、今度はもう二度と答えることがありませんでした。
瞬きをする度に時が移って、いつのかにか木は切り株となっていました。いつのまにかその隣に新たな苗木が植えられたことに私は気がつきました。
桜はいつか散るが定め。
最後に大輪の花を咲かせた後、老いたる桜はこの山を去ったのでした。
昼休みの終わりを告げるベルが聞こえて、私は薄く目を開けました。
「……あれ?」
いつの間にか木の下でうたた寝していたことに気がついて、私は間抜けな声を上げます。
キンコンとベルが鳴っています。
「やべ、戻らないと」
すぐに五時限目が始まってしまいます。
私は、すっかり空になった弁当箱に蓋を乗せると元のように包みで来るんで、校舎に向かって駆け出しました。
-------------------------
「ある裏山の話」は能のジャンルで言う「夢幻能」を意識しています。
その土地の精霊やら、そこで死んだ人が登場人物の前に現れて歴史や出来事を語り、そしてまた去っていくという形式ですね。
能はこういうのが多い。
くはしくは
http://www2.ntj.jac.go.jp/unesco/noh/jp/noh_play.html 夢幻能と現在能について
(引用)
夢幻能では、神、鬼、亡霊など現実世界を超えた存在がシテとなっています。通常は前後2場構成で、歴史や文学にゆかりのある土地を訪れた旅人(ワキ)の前に主人公(シテ)が化身の姿で現れる前場と、本来の姿(本体)で登場して思い出を語り、舞を舞う後場で構成されています。本体がワキの夢に現れるという設定が基本であることから夢幻能と呼ばれています。
じゃあ皆様ご存知?のシリーズを。
『幻影淑女と死神紳士』
・『少女から淑女へ。一人と一匹が織り成す不思議な物語』(帯より)
・今までのファントムシリーズに大幅書き加え、更に書き下ろし長編もつけました。
『黄昏婦人の優雅な日常』
・『紅茶と一緒にお楽しみください』(帯より)
・黄昏堂にやってくるお客や、曰くつきの商品の説明などが沢山入ったエッセイ集。
優雅な日常 目次
・トワイライト
・狐執事(書き下ろし)
・ローレライ
・時をかける少年(書き下ろし)
・黄昏色の目の人形(書き下ろし)
おまけ:商品の調合リスト
『again』
・『芸術家とは爆弾である。特に周りが見えなくなった場合、それは時にとんでもない出来事を引き起こす』(キャッチコピーより)
・マスターの子供時代、父親、そしてライバルである検事兼芸術家。時を越えて再び事件が蘇る。
[出せる日が来るといいな]
せっかくなので帯の煽り文を書いてみる。
ポケモン好きから廃人まで満足できる、冒険小説の決定版! 全86話のボリューム、緻密なダメージ計算、駆け抜けるストーリー……。夜のお供に是非。
大長編ポケットモンスター、上下巻セットで990円。お申し込みは当サイトまで。
自分の小説で単行本を出したら……?
そんな妄想をしてみようというスレです。
タイトルや目次、
カバーの紹介文や、帯の煽り、あとがきなんかを妄想してみませんか?
書けば案外実現するかも?
見ず知らずの――よい子限定ですが――人に黄金をプレゼントする。
そんな行為を半世紀近く続けてきたぐらいなグッドでアルティメットでウルトラなおじいさんがおりました。
ただ、この行為はアルティメットにグッドすぎたのでしょう。残念なことに完璧なまでの球体に加工した黄金を配るおじいさんの元にはあまり人が近づいてきてくれないので、なかなか黄金を配ることはできませんでした。
それでも、おじいさんはめげませんでした。
いつだっていいことは受け入れにくいものなのです。
いいことをするのも受け入れて協力するのも恥ずかしい、面倒くさい。そんな世の中だということを知っているからです。
街を綺麗にしようという清掃活動の呼びかけも暴力のない世界を作ろうと呼びかけることも人はいつだって見ないふりをするものなのです。それがたとえいいことだと無視している人も知っているのにも関わらず、に。
それと同じです。
だから、おじいさんはめげません。近くを通る人に声をかけ、きんのたまを配ります。
悪い人だった昔の自分を悔いるようにいい人になろうとおじいさんは頑張り続けました。
そんな行為を続けて、早数十年。
おじいさんはあるとき、ふっと疑問を覚えました。
自分はこのままでいいのだろうか、と。
その問いはもう幾度も通り過ぎた道でした。
見ず知らずの人に配っても、幸せになるのはきんのたまを受け取った人だけ。おじいさんの目的は世界中の人が幸せになることなのに、それではいささか範囲が小さすぎるのではないか、と。
そんな疑問が浮かぶたびにおじいさんは、千里の道も一歩からと言う言葉を胸に刻み続けて、その問題を解決してきましたが、今日はそうはいきませんでした。
配り続けてきたきんのたまの数は膨大だというのに、いまだに世界は幸せになりません。
世界は広いのだと思おうとしました。広いから分からないのだと思おうとしました。
でも無理でした。
今度は、どれくらいの年月をかければ、どれほどのきんのたまを配れば世界が幸せになるのかということを考えてしまったからです。
ふう、と溜息を吐いて、視線を落とせば、視界の端には深いしわの刻まれた節くれだった手。その手には杖を握っております。
もうおじいさんは若くない。いつ倒れるかわかったものではありません。
しかし、このアルティメットグッドマンの道を継いでくれる者はだれ一人としておりません。
この黄金に目を眩ませず、ただ奉仕の思想をもって、人に配り続ける。そんな人をおじいさんは長い月日を過ごしてなお、見つけることはできなかったのです。
いつ志半ばで倒れるか分からない。そんな不安を抱えてしまったのです。
おじいさんは思いました。
このままでは願いがかなう前におじいさんが死んでしまいます。
そうなったとき、残った黄金はどうなるのでしょう。
誰かが世のため人のためと使ってくれることを信じたいですが、世の中はそんなご都合主義はなかなか存在しません。
ただ、放っておかれるだけならいいですが、悪人の懐に入ってしまうことも十分に考えられます。そうなれば、おじいさんの願ったことと真逆のことが起きるのは明白です。
そして、あーでもない、こーでもないと思案した結果、おじいさんはひとつの結論を導きました。
やりかたを変えようと。
そうです。おじいさんは今まで、偏見を持たずに自分に近づいてくることをできる人をいい人だという選別基準を設けていました。しかし、それではおじいさんに近づいてくれる人が少なかったという弊害がありました。
おじいさんはこのことを今までそれだけいい人が少ないのだと思っていましたが、その話しかけられなかったという人に、内気でシャイな子がいる可能性に思い至ったのです。今朝のテレビでも、コミュニケーションが取れない人が急増しているとやっていました。
おじいさんの若い頃はそんなことはありませんでしたが、きんのたまを配り始めて数十年。時代が流れれば、人も変わるものです。
おじいさんもやりかたを変えるべき時が来たということでしょう。
おじいさんは今度は自分から声をかけ、配ろうと決めました。
幸せが歩いてこないように、目的の成就も歩いてきてはくれない。そんな当たり前のことにいまさらながらに気付いたのです。
まず、おじいさんはイッシュ地方に行くことを決めました。
さまざまな町で人を見定める。出会う人数は多い方がいい。
ならば、ビッグでフリーダムな地方を、ということをツイッタ―で検索したら、引っかかった地方だからです。
まずは注文すると次の日には届くと噂の密林でイッシュの地図をクリック。そして、イッシュへ向かう船旅のチケットを入手。きんのたまの形を崩さないようにブリーフケースに入れることも忘れません。
密林から地図が届いたと同日、おじいさんは船のタラップを踏みしめていました。
長い人生、イッシュという地を踏んだことは未だにないということに忘れかけていた冒険心がちりちりと胸を焦がすおじいさん。
自然と笑みが零れます。
◆ ◆ ◆
首が痛くなるほどの高いビル。そのビルに努める多くの人々。
同じ「街だというのに、おじいさんのいた街とは雲泥の差です。やはりイッシュはでかかった。
しかし、と名物のヒウンアイスを舐めながら、おじいさんは苦々しく思っていました。
大きい街だからでしょうか、人々に余裕はなく、皆自分のことで精いっぱいでとてもではないですが、人のために行動できる人が少なそうです。
今までは自分に近づいてくる人に見境なくあげていたおじいさんはこまってしまいました。だれがいい人なのか判断する基準を持ち合わせていなかったのです。
人の良さと言うものが見た目で分からないのが残念です。
しかし、まだイッシュにきたばかり。これから探せばいいのです。
溜息を吐きながら、おじいさんはヒウンシティを後にしました。
【書いていいのよ】
【好きにしていいのよ】
【レイニーさん、アルティメットグッドマンお借りしました】
<テーマ>
送 / 贈
<ワード>
◆送 / 贈
・そう‐そう〔サウ‐〕【葬送】
[名](スル)遺体を葬るために墓所まで送ること。のべおくり。送葬。「―する行列」
・おくり‐び【送り火】
盂蘭盆(うらぼん)の最終日、親族の霊を送るために門前などでたく火。門火(かどび)。《季 秋》「―のあとは此世の蚊遣哉/也有」⇔迎え火。
・おくり‐ぼん【送り盆】
盂蘭盆(うらぼん)の最終日で、親族の霊を送る日。《季 秋》「茄子(なす)や瓜一つに流す―/かな女」
・かど‐おくり【門送り】
葬送の際、喪家には行かず自分の家の門口で見送ること。
・しょうりょう‐おくり〔シヤウリヤウ‐〕【精霊送り】
盂蘭盆(うらぼん)の終わる日に、送り火をたいて精霊が帰るのを送ること。たまおくり。
・のべ‐おくり【野辺送り】
死者を火葬場または埋葬地まで見送ること。また、その行列や葬式。野辺の送り。野送り。
・ぼん‐おくり【盆送り】
盂蘭盆(うらぼん)の最後の日に、精霊(しょうりょう)を送り返し、供え物を辻・川・海などに捨てたり流したりする行事。精霊送り。送り盆。
・おくり‐もの【贈(り)物】
人に贈る物。進物(しんもつ)。プレゼント。
・おく・る【贈る】
[動ラ五(四)]《「送る」と同語源》感謝や祝福などの気持ちを込めて、人に金品などを与える。贈り物をする。「記念品を―・る」「はなむけの言葉を―・る」
◆Limbo
・リンボ,地獄の辺土 《地獄と天国の間にあり,キリスト教以前の正しい人,洗礼を受けなかった小児,異教徒,白痴者の霊魂の住む所》.
・忘却; 無視された状態.
・リンボ, 古聖所:天国と地獄の中間の場所;洗礼を受けなかった幼児やキリスト降誕以前に死んだ善人の霊魂がとどまるとされる
→the limbo of infants(幼児リンボ界)
・忘却のかなた
→be cast into limbo(忘れ去られる)
・(両極端の)中間状態[地帯];どっちつかずの状態.
・拘置所, 刑務所;拘置状態, 拘禁.
→in limbo(不安定な状態で, 宙ぶらりんの状態で).
・虚無
◆Animo
アニモ。作中のポリゴンにつけられた名前
→エスペラントは「人工言語」、人為的に生み出された言語
→ポリゴンは「人工のポケモン」という触れ込み
→アニモ[animo]は「魂」「霊魂」などを意味する
<交通整理>
・死者との別れを「送る」と表現するのは間違いのない事実。つまり、死者の魂は確実に「何処かへ辿りつく」と考えられている。
・主人公はアニモに魂が宿っていると考えている。アニモの停止は死と同義であり、アニモの魂もまた「何処かへ辿りつく」必要があると考える。
・肉体が物理的に喪失するまで、魂は眠ったまま宿ると考えられる。送り火山でアニモを葬ろうとしたのはそれが理由。
・しかし送り火山にて、端的に言うと「アニモは生物ではない。無生物だ」と拒絶されてしまった。ここでアニモの「生物である」という前提が揺らぐ。
・この前提の揺らぎが、主人公の思考に大きな影響を与えている。アニモは生物なのか?無生物なのか?
・スピアーの針を供養する「針供養」、ジュペッタにならないために人形を供養する「人形供養」など、無機物に魂が宿っているかのような風習の数々。
・無生物であっても魂は宿るのか?無生物のアニモに魂が宿るなら、その魂はどのようにして送られるべきか?
・アニモは「デジタル・セメタリー・サービス」に「送られ」(送信/伝送/伝送)、今の形を「デジタルで寸分違わず」留めたまま、サーバで眠りに付く。
・肉体の喪失=魂の遊離が前提ならば、アニモの魂は永遠に留められたまま、天国にも地獄にも行けない一つの場所に留まることになる、それこそがLimbo。サーバはLimboである。
・主人公は、アニモをサーバに「送った」のが正しいのか、ずっと答えを出せずに迷っている。
<シチュエーション>
・【魂はある】針を供養するおばあさんとスピアー
・【魂はある】古くなった人形を供養する少女
・【魂はある】森羅万象に魂が宿ると主人公に聞かせたおばあちゃん
・【魂はある】人類が「誕生させた」と説明するプレゼンター
・【魂はない】壊れた竹蜻蛉を捨てる少年
・【魂はない】アニモの供養を拒絶する送り火山
・【魂はない】アニモの死を「機能停止」と表現するカスタマーサポート
<デフィニション>
◆アニモ
主人公のポリゴンの名前。享年十五歳。由来はエスペラント語の「魂」(Animo)から。
◆デジタル・セメタリー・サービス
シルフ社が提供する「電子霊園」。亡くなったポケモンをデータ化して引き取り、「当時の姿を留めたまま」半永久的に保管するサービス。
<募集テーマと作品テーマの摺り合わせ>
・魂は送り込まれ、送られてゆく
・魂は如何にして送り込まれる?
・魂を送り込むのは誰?
・魂は何処へ送られてゆく?
<ポケモン小説としての意義>
・ポリゴンは生物か?無生物か?
・ポリゴンの終末は死か?停止か?
・ポリゴンが生物であるなら、魂は宿るのか?
・魂が宿るとするなら、その魂はどこへ送られるのか?
<タイトルの意味>
◆存在
・キリスト教以前の正しい人
→ポリゴンにとっての「キリスト」はいない
→ポリゴンの善悪を裁く者の不在
◆状態
・どっちつかずの状態・中間状態・不安定な状態
→生物か?無生物か?
→ポケモンか?プログラムか?
→死か?停止か?
・無視された状態・忘却のかなた
→ポリゴンの魂は人々に無視されている or 忘れられている
→魂があるということを無視されている or 忘れられている
◆場所
・天国と地獄の中間の場所
→天国にも地獄にも行けない
→中間・中途半端・どっちつかず
・無用なものの捨て場所
→機能停止したポリゴンはデータとしてサーバに送られる
・拘置所
→サーバに留められたポリゴンは天国にも地獄にも行けない
<何が言いたいのか?>
◆二次創作的アプローチ
「ポリゴンに魂は宿るのか?」
◆テーマ的アプローチ
「ポリゴンの魂はどこへ送られるのか?」
◆タイトル的アプローチ
どっちつかずの状態
→ポリゴンは生物?無生物? 魂は宿る?宿らない?
中間状態
→生物でも無生物でもない、魂が宿るとも宿らないとも限らない
無視された状態
→ポリゴンは生物でありながら、それが無視されている?
天国と地獄の中間の場所
→ポリゴンは天国と地獄、そのどちらにも行けない
無用なものの捨て場所
→ポリゴンの送られるサーバは、無用となったポリゴンの捨て場所
拘置所
→天国にも地獄にも行けないまま、ポリゴンは半永久的にサーバに拘置される
<時系列整理>
・主人公の誕生とアニモの登場
・主人公とアニモのふれ合い
・おばあちゃんとアニモの関係
・おばあちゃんの死
・アニモの死
・アニモの葬儀が拒絶される
・アニモをDCSへ送ることになる
・スマートフォンに写るアニモの姿を見る
<実際の書き起こし順の整理>
・スマートフォンで何かのデータをダウンロードする主人公
・スマートフォンで何かをダウンロードする少女→話の導入
・画面には「アニモ」と書かれている→アニモの存在を定義
・生まれた次の月に家へやってきたアニモ→生まれたときからずっと一緒にいたことの定義
・父親にアニモは玩具ではないと諭される→アニモを「生き物」と考えるようになったきっかけ
・竹トンボを壊す少年→無生物は「死ぬ」のではなく「壊れる」
・一週間前の出来事が脳裏をよぎる→次の回想へのつなぎ
・アニモが死ぬ/機能停止する→アニモが既に亡くなっていることを記す
・変わらないように変わってしまった→重要なメッセージ「変わらないように、変わってしまった」
・人形供養をする少女→無生物にも魂が宿ると言う考え方の暗示
・その傍らには祖母と思しき女性が立っている→祖母の登場に向けての布石
・祖母を一年前に亡くしている→アニモの死を受け入れられたのは、祖母を同じように亡くしていたから
・祖母は常々、あらゆるものに魂が宿ると言っていた→祖母の言葉が、主人公に大きな影響を与えている
・粗大ゴミの山を見つめる→葬られること無く、ただ積み重ねられた無生物
・かつて使われていた痕跡が多く残っている→かつてはどこかで使われ、確かに居場所があったはず、ということの示唆
・送り火山に葬ろうとしたところ拒絶される→非常に重要なシーン。送り火山に拒絶される
・ポリゴンは生物ではないという→ポリゴンは生物ではなく無生物であり、そもそも送るべき魂が存在しない
・スクラップしておいた古い新聞サイトの記事→次へのつなぎ
・架空の人物の告別式・葬式が行われたと言う話→架空の人物でさえ時として別れの儀式が行われることの表現
・カスタマーサポートに「再起動」するよう言われる→アニモが魂のない無生物であると突きつけられる
・プログラムを初期化すると、過去の記憶は消えてしまう→再生ではなく「再起動」であることを示す、ポリゴンが「プログラム」であることを表現する
・ダウンロードの終わったスマートフォン→次へのつなぎ
・片隅に「DCS」の文字が見える→次へのつなぎ
・シルフから「デジタル・セメタリー・サービス」を提供される→デジタル・セメタリー・サービスの定義
・促されるまま、少女はアニモをDSSへ送信する→アニモをDCSへ「送信(伝送)」する
・動いていた頃のアニモの写真→ダウンロードが完了した
・ニュースメールのプレビュー「人類が初めて作り出したポケモン・ポリゴン」→「作り出した」という言葉を使い、ポリゴンが「生み出された」のではなく「作られた」のだと強調する
・友達と喧嘩をして落ち込んでいると、アニモが寄り添ってくれた→アニモの心遣いと優しさ
・固い無機質な感触に、言いようの無い頼り甲斐を覚えた→アニモは確かに意思を持ち、いつも自分の側にいてくれた
・少女は問う「あなたをそこに送ったのは、正しいことだったの」→中途半端で割り切れない場所(=Limbo)に立たされた少女が、永遠に変わらない場所(=Limbo)にいるアニモに問い掛ける
・写真の中のアニモは、何も言わずにただ視線を送るだけ→アニモは何も語らず、ただいつもと変わらない、変わらなくなってしまった視線を「送る」だけ
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Limboの構想ノート兼プロット。本編の執筆時間よりこのメモを弄ってる時間のほうが圧倒的に長かった。
よく見てみると、完成稿ではカットまたは変更された内容も結構あったり。
ハブザン 真面目なハブネークとガサツ者のザングース 赤い月 阿蘇山(フエンタウン) 赤と青 神主とその娘 温泉郷 背後から奇襲 ずっと負け無し殺すならオマエ
『赤い月』のプロット(?)です。・・・プロットっつーかメモだけどね(汗)
物語の骨格は大体5分ぐらいで出来たので、その時思い付いた大まかな設定を一行のメモとして残したもんです。
後は空いた時間に思い出して直書き。 ・・・基本何でもこのスタイルですので、ちゃんとプロットを用意出来る方には頭が上がりませんです(汗)
もっと修行しねぇと・・・
カントー地方……間違えた、関東地方、西寄り。マサラタウンほどではないけどタマムシシティ、ヤマブキシティには程遠い土地に、その学校はある。
来年度の受験生向けのパンフを見せてもらったが、そこには『おいこの学校何処だよ』と通う私が突っ込んでしまうくらい嘘で覆われた内容と写真が載せられていた。堂々と野球部載せんなよ。知ってるんだぞ、一学期期末試験の結果発表の日、お前達が甲子園予選を戦いに行ってコールド負けして帰ってきたこと。なんだこの爽やかな笑顔は。この予算泥棒。
これ以上書くとカゲボウズ塗れになりそうなのでやめておく。ことの始まりは、甲子園おろか夏休みも終わって二学期が始まって二週間近く経った日のことだった――
これはどういうことなのだろう。パンデミックなのか。今まで何の予兆も無かった。私はまだいい。元々好きでこうしてサイトに小説を投稿しているくらいだから。だが、彼らは。彼らはどうなってしまったのか。
女子トイレ。教師陣が使えないのをいいことに休み時間は携帯電話による通話、メール、その他諸々校則違反のオンパレードの地となる。
そこの一角で、友人がDSをいじっていた。覗かせてもらえば、そこはイッシュ地方だった。
「お前ポケモン持ってたの」
「最近ハマった」
よくもまあぬけぬけと言えるものだ。中一の時私の趣味を聞いて『この歳でポケモン?ワロスwww』などと言っていたお前が!
「ブラックか……」
「紀成は持ってんの?」
「あたぼうよ」
何か意味が違う気がしたが、彼女は気にしない。図鑑を見てため息をつく。
「あー、サファイア今更やるのもな」
「図鑑完成か」
「紀成ってどのくらいポケモン持ってんの?」
ここでちょいと自慢したくなる。小学校の時はテレビゲームなんて持っていなかった。コロシアムをプレイしている男子が当時は珍しいジョウト地方の御三家を持っていて、羨ましかった覚えがある。
今度は私がその男子になる番だ!
「ほとんど持ってるよ」
友人が喰らいついてきた。
「最初の三匹は!?」
「え……うん。最終進化系なら」
「タマゴ頂戴!」
とまあ、ここまでで『中間終わったらね』と言って戻る。いやー驚いた。メアド交換して、中間終わった後で『欲しい奴あったらメールして。タマゴ生ませるから』とソフトを渡す。
で、その夜のこと。原稿をしていたら、メール着信の合図の曲が流れてきた。差出人は友人。
『おいなんでこんな伝説持ってんだよ』
そりゃあ、サファイア→パール→プラチナ→ソウルシルバー→ブラックと経由してきたんだもの。プラチナは数回やり直してギラティナが二体くらいいたはずだ。確かディアルガも二体、ルギアも……
『どれか一匹くれない?』
さてどうしようか。被ってるやつを教えてもらう。一番弱いディアルガをあげることにした。イベントで入手したものだ。
『ありがとう!』
それから早二ヶ月――
11月21日、月曜日、一時限目。左斜め前の友人が下を向いたまま動かない。ゲームだ。しかも機種はかなり古い。十年くらい前に発売されたGBA。まだ充電できないSPより前のモデルだ。今の小学生に見せたら、きっとカチンとくる答えが返ってくることだろう。何せ白黒画面のゲームの存在を、『戦後?』というくらいだから。
だがしかし。いやしかし。入っているソフトがいやに大きい。アドバンスのソフトはきっちり挿入できるサイズのはずだ。だが今入っている物は半分以上はみ出ている。
……まさか。
休み時間、見せてもらった。サファイアより色が少なく、グラフィックも粗い。ヒノアラシが戦っている。
そのまさかだった。
彼女は、ポケモン『銀』をプレイしていたのだった。
「ちょっと、電気ランプ点滅してるんだけど」
「ああ、何かメモリ切れちゃって、セーブできないんだよね」
「え、じゃあこのまま?」
「そうなるね」
二次元目の日本史。隣の男子がしきりにその古いアドバンスと格闘している。どうやらジム戦らしい。セーブできないのは辛い。一度負けて、鍛えなおしたら勝てたという。ちなみに所要時間、四十分くらい。
一時限の時間は五十分。何やってんだ、お前ら。
そして三時限目前の十分休み。さっきの友人がブラックをプレイしている。ディアルガが戦っている。
「おい紀成、このディアルガ、お前がくれたやつだよ」
「……」
すっかり忘れていた。ゴメン、ディアルガ。
――――
オチなし。でも本当のこと。いいよね、ポケモン(遠い目)
B6のノートに手書きしたものです。
(1ページ目)
主人公:スージィorロコ(※結局ロコに決定)
家に閉じこもり気味だが、たまたまお茶会へ。
人食いが出る、というウワサを聞く。
帰り道、林道に入ると、ウワサの人食いに出くわす。(3mのウインディ)
用心棒倒され、馬車も倒れてしまったところを一人の男に救われる。
ディドル・タルト(※スペースの都合上ドドがあだ名であるという設定はカット)
占い師であり、妖しい屋。(※最終的にまじない師)
金髪赤目の男、キュウを従えている。(※スペースの都合上キュウは人間に化けずじまい)
名前を見抜かれたウインディをぎょっとさせ、逃げさせる。←仮
ウインディをどう逃げさせるか(※結局逃がさなかった)
キュウを戦わせる?
帰ってみると、屋敷全体が異臭を放っていることに気付く。
手紙を送る。窓から投げて。
その夜、着替えて眠ろうかという頃、窓を叩く者が現れる。
不審に思いながら開けると、ドドが部屋に入ってくる。
驚くロコ。「なるほど、確かにひどい」
キュウもそれに伴ってついてくる。
(2ページ目)
キュウの嗅覚を頼りに or 妖力を頼りに 屋敷内を探し回る二人。(※結局手法については明言せず)
みな寝静まるころに行動。
2階の隠し階段。1階通り越して地下へと続く。
そこで見たのは、紫色のヘドロの塊。
『ベトベトン』という人食いだという。
ベトベトンとの問答。
誰の差し金?
何を食べているのか。人間のシミやほくろ、くすみなど。
ロコ、動揺。キュウの炎で燃やそうとした時、クラウディア夫人到着。
部屋に入られた時、知らせるシステム。(※没設定)
ドド、名乗る。夫人、「私のものだ」と主張。
どこでこの人食いを手に入れたか。
→行商から買った。
説得を試みる。どれだけの人に迷惑がかかっているのか。美しさを過剰に求めることに、意味はあるのか。
ロコの一言で、クラウディア夫人は決断する。
「この子を、燃やして下さい」
(3ページ目 ある程度書き終わった後、内容に幅を持たせるための追加シーンを考える)
・「でも、どうして私、こんなにひどいにおいに気付かなかったのかしら」
「こいつは、人間の老廃物を食うたびに副産物として少しずつこのヘンな匂いを吐き出すんだ。だからあんたは、少しずつ増えて行くにおいに気付かなかったんじゃないのかな」とキュウ。
確かにロコはここ数ヶ月間、屋敷を出たことがなかった。
・クラウディア夫人
「こんなところに勝手に入るなんて……さては泥棒ね? 人を呼ぶわよ」
「お待ち下さい。私は街のまじない師。こちらのロコお嬢様の依頼により、異臭の原因を探りに参ったのです」
「ロコが……?」
夫人、動揺。
「お母様、このひどい臭いに気付きませんか。このヘドロを、一体どこから手に入れたのです」
「ヘドロだなんてとんでもないわ。だってこの子に浸かるだけで、私の美しさは保たれる。まさに魔法の薬よ。すばらしいものなのよ」
「でも、あれは日に日にひどい臭いを出している。私は耐えきれず、吐いてしまった。耐えきれないの。このままでは、私のような人が増えてしまう」
・キュウをもう少し出番増やすべし(※増えた)
・ドドは何故お嬢様と最初から呼んでいたのか
→服。ただし説明は省いてもよい。
「うわさ」をひらがな漢字統一のこと。(※確か漢字に統一したような気がする)
もう私の頭も末期なのか、ヨノワールとトゲチックが街中のカフェに行く話考えてます
しあわせポケモンと、あの悪そうなモノアイ(+魂を手づかみ)。
私の脳みそ、一体どうした。
テーマ【しあわせはどこにあるか】
・不幸を嘆く
・「不幸ってそもそも何だっけ?」
・なんだ、幸せだったじゃん
・もっと幸せにしてやんよ
私にしては珍しく(オリジナルでもバッドエンドが多かった)ハッピーエンドで終わる予定という途方もない挑戦ですよ…
焼き鳥ください
書いたことないとかいっときながら、メモらしきものが出て来た。
星に願いを
1、ガーネットという女の子が学校の帰りに集団に誘拐されて、閉じ込められる。
2、その集団をまとめてる同じくらいの男の子はサファイアと名乗る
3、目的も何も喋らない集団と奇妙な生活が始まる
4、ある日、血まみれで帰ってくるサファイアと話すと、狙ってる集団から守るためと言う。
5、その狙ってる集団の思惑
ラスト
1、集団に裏切られたサファイアが鎖でつながれて取り残される
2、爆発何秒か前に、ガーネットが間に合う
3、外そうとするが、間に合わないからやめろとサファイアが止める
4、サファイア一人だけの話ではないと言って、タイマーが0になって終わり
発売前に作ったので、ソフトの内容とか丸無視。
何の話の初期案かはもう伏せたいくらい設定が違いすぎる。
しかしラストだけはちゃっかり受け継いでる
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