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感想ありがとうございます!
> タイトル振っておきながら難しいんじゃないの?と思っていたんですが、それを昇華して書き上げるとは……!
語彙が貧弱なので「コノテーションって何だ……?」ってなってた残念な奴がこちらです(
自分だと絶対考えつかないタイトルなので楽しかったです!
> モノクロといえば初代ゲームボーイ。しかし本当にモノクロであるのはゲームの世界ではなく、当のゲームをプレイしている本人。
> これは皮肉が効いてて思わずハッとしました。
コノテーション調べてた時にふっとこのネタが降ってきました。
あのほんのり黄緑がかった画面が、すごく鮮やかに見えることがあるんですよねえ。
> >>あの少年の世界に色があって、僕がいるのがモノクロなのは、僕があの一瞬の輝きを、緑色のカートリッジの中に閉じ込めたからだ。
>
> この一文がたまりませんなあ!
> やりきれないような感じがひしひしと伝わってきました。
楽しかった思い出ってのはいつまでたっても色鮮やかなものです。
でもモノクロの世界も案外悪くないぜ!
> おもしろかったです!
ありがとうございました!!
※ゲームに登場するキャラクター、とりわけプレイヤーキャラに酷い改悪してます。御容赦と御理解を何卒宜しくお願いします。
拝啓
こんにちは。元気にしているかな。いくら若いと言っても油断は禁物だ、風邪などひかないようくれぐれも気をつけてほしい(これは私なりのジョークである。雪山に、しかも半袖で自ら望んで篭るような輩の身体の心配など本気でする者もそういまい)
まさか君から本当に返事が届くとは思わなかった。それ以前に君がきちんと手紙を読んだらしいことに驚いた。というか、雪山の中で普通に字を書ける君にもビックリした。そもそもシロガネ山の山頂まで手紙を送れる世の中だとは。まさにインドぞうもびっくり、人生驚きの連続である。
それはそれとして、結構な長さの返事をもらえて私は嬉しい。しかしこの喜びも、どうせ回復アイテム目当ての文章なんだろうなぁと思いながら読み返してみるといとも容易く水泡に帰す。あわだ。バブルこうせんだ。なんで泡にまみれると素早さが下がるんだろうな。風呂で泡まみれになれば滑るからむしろ上がりそうなのに。
というかよく読んでみたら君酷いな。沢山書いてあると思ったらこれ九割九分手紙じゃ無いじゃないか。ちゃんと私に向けられてる文面最初の二行だけで、後はひたすら「ポケモンいえるかな」の歌詞じゃないかこれ。しかも同じ歌だけ繰り返しやがって。せめてneo入れるくらいの工夫はするべきだ。あと最後、10回目となると飽きてきたのか知らないが、ピカチュウを20回くらい書いてお茶を濁すのはやめたまえ。
こんなものをまともな手紙と呼ぶわけにはいかない。これを手紙だと言ってしまったら、手紙の神様に失礼である。
手紙の神様などいまい、君はきっとそう主張して苛立ち紛れに雪玉を投げつけるのだろう。だがそれは無駄である。手紙の神様はいる。ミュウという最初のポケモンがいるにも関わらず、アルセウスという創造神が存在しているのだから、手紙の神くらいいてもおかしくない。
そういうわけで、今回は回復アイテムの送付は無しとする。これは君の怠慢が要因であり、アテが外れて手に入らなかったとかそういった理由では決して無い。
シロガネ山 山頂
レッド? へ
☆
拝啓
やぁ。返事をどうもありがとう。
早速だが言わせてもらおう、君の金銭事情はどうなっているんだ。収入も支出も何もかもがおかしい、君の周りだけで貨幣の大移動が起きている。金とはこんなにも容易く行き来して良いものなのだろうか、いや、そんなわけはあるまい。
君がこの一週間余でポケモンリーグから100万円以上を徴収、いや、もはや君にとっては回収レベルの気安さかもしれない。もうこのことについて今更どうこう言わない。とりあえずリーグの財政が破綻する前に挑戦は控えろとだけ伝えておく。良い見方をするのならばそれだけ君が強いということでもあるし、ともかく、これ以上収入の面には触れないことにする。
問題なのは支出の方だ。これだけの収入がある君が、何をどうしたら赤字になるというのか。何故支出が収入を上回ってるのか。君は一体全体、コガネのゲームコーナーのパトロンにでもなっているのか。
わかる。私も、ゲームコーナーの景品が魅力的だということは十分わかっている。とりわけタマムシでもらえるポリゴンは喉からガメノデスだ。
だが、こんなに稼いでるのだからわざわざゲームなどしなくても、直接コインを買ってその場で景品と交換してしまえばいいじゃないか。何故ゲームをするのか。そして、君ほどの実力トレーナーがどうしてそんなにもゲームがへったくそなのか。『何度やっても、7どころかモンスターボールすら揃わへん。どないすればええんか』じゃない。どないすればええんはこちらのセリフだ。
世の中わからないことが沢山ある。だけど一つだけわかっているのは、君が今すぐリーグ挑戦をやめるべきことと、ゲームコーナーに通うのもやめるべきこと、そして君は自分のゲームスキルの無さがスズの塔以上に天井知らずであることを自覚すべきだということだ。なんてこった。三つだ。
君は未来ある少年なのだから、今からゲームコーナーに溜まっていてはいけない。もう少し人の役に立つことをしたまえ。そうすれば手紙の神様も君に目をかけて、ちょっとは運も良くなるだろう。
コガネシティ ゲームコーナー
ゲームの腕前に関してはヒマナッツである少年ゴールドへ
☆
拝啓
こんにちは。元気にしてるかな。ダイエットが云々と書いてあっけれど、君くらいの歳の子供は食べた分だけ育つものだ。むしろ多めに食べなくてはいけない時期なのだから、そんなことをしてしまうと身体に良くない。
シンオウはご飯が美味しい。食べ過ぎてしまうというのもよくわかる。しかし食べてもそこまで太らない年齢などとうに過ぎ去ってしまうものだ。今のうちに食べたい分だけ食べておくことをオススメしたい。それでもやはり不安だと言うのなら、是非とも私に相談したまえ。何、君の知人にそれが知れることはまずあるまい。ユクシーの力を借りるまでも無く、情報漏洩の心配は皆無である。何せここには私しかいないのだからね。
さておき、君は相変わらず図書館にいるようだ。読んだ本のタイトルや感想など、大変楽しませてもらったよ。
それにしても君の読書は多種多様も極まれり、といった調子だね。ミオ図書館のお家芸である神話から小説、エッセイ、携帯獣学の学術書、料理本、果ては医学書やゴルフ入門まで手を伸ばしているというのだから驚きだ。『初代けつばん大百科』などを読んでいる人は初めて聞いた。書評を見る限りどの本もしっかり読み込んでいるみたいだからベロベルトにでもなって舌を巻きまくるしか無い。ベロベロ。
君は幅広い読書の意義を、自分の執筆の参考にしたいからと言う。それなら一層気になってしまうのが人間というものだよ。一体どんな話を書いているんだい? 恥ずかしいからナイショ、なんて、そんな乙女のようなことを言わずに教えてくれると嬉しいのだけど。失敬、君はロズレイドも恥じらう乙女であるね。
挙げてくれたタイトルからはどうにも予想がつきそうにない。この手紙への返事で、君が教えてくれるのを期待しているよ。
ミオ図書館
なぞのぶんがくしょうじょヒカリへ
追伸
そう、「ポケモンの好む果実である『きのみ』を人間が食べた場合の身体的・精神的反応を出来るだけ詳しく知りたい」だなんて、本当にどんな話なんだろう。
気になりつつもとりあえず、ご所望の内容が書かれた本を伝えておく。PM新書より発行された『きのみと人間 〜食卓から暗殺まで〜』が良いのではないかな。食用に出来るものは一般的な調理方法など、毒性がある種は摂取時の症状や毒の取り除き方がわかりやすく説明されている。最新版は現在発見されている全てのきのみが載っているが、第二版はぼんぐりについての記述が豊富だからどちらも読んでみるといい。
☆
拝啓
こんにちは。いや、おはようございますというべきか? それともこんばんは、だろうか。地下鉄には朝や夜の概念があるのかどうかわからないから困ってしまう。
前々から気になっていたのだけれど、バトルサブウェイに篭っている君はお腹が空いたりしないのかい? バトルというのは頭も使うし、身体的疲労も溜まる。決して弱いとは言えないトレーナーを何人も連続で相手にしていては、きっと空腹になるだろう。眠くもなる。お風呂でゆっくりしたくもなる。温度は39度、カレーは中辛布団は羽毛……。
流石に踊りはしないだろうけれど、地下鉄ライフはなかなか興味深い。後学のために君さえ良ければ教えていただきたいものだ。
さて、本題に入ろう。地下鉄廃人まっしぐらの君がどうしてわざわざ、手紙など書いてよこしたのか理解した。諸事情あって私も暇人、喜んで協力、いや片棒を担ぐと言った方が正しいかな? まあ、どちらにせよ歓迎だ。
それにしても『色々と謎の多いバトルサブウェイの実情を書籍化して一発当てる』だなんて随分と俗っぽい、短絡なことを言い出すものだね。こういう言われ方は嫌かもしれないが、かつてのチャンピオン、ひいてはイッシュの伝説のすることでもあるまい。まるでどこぞの動画サイトで儲けようとしている何とかバーだとかいう奴らのようだよ。ピカキンだか何だか、そんな名前をしている輩のことだ。まあ、真実も理想も選ばずあっさり捨て置いて「そういうのをいちいち口にする時点でロクな人間ではない」と言いきった君らしいと言えば君らしい。
しかし考え自体には大いに賛成である。何を隠そう、私とて謎深きバトルサブウェイにはとても興味があるからね。先程の質問だってそうだ、何故地下鉄では腹も空かさず何連続もバトルをすることが可能になるのか、眠くならずに戦い続けられるのか、そしてどうしてそういう人達が当たり前のように、何人も何人も存在しているのか。
実に不思議だ。手を打とう。君から聞いたことを私がまとめ、ぜんこくに向けて発信する。バトルサブウェイの核心に迫った情報は今まで目にしたことが無い、きっと多くの人が飛びつくに違いあるまいよ。
そうと決まれば善はS振りだ。これから我々は一蓮托生、一心同体、さながら互いにてだすけを使い合う如き協力関係だ。実際にてだすけをし合ったところでどうしようも無いけれどね。それはそれ、もののたとえと思ってくれたまえポケモンバトル廃人よ。
さぁ頼むぞ。君は今日から未知の世界に踏み出す調査員である。スパイだ、諜報機関だ、秘密警察だ。この、きんのたまのなる木をみすみす見逃すわけにはいかぬ。イッシュの地下に潜む、一つでも多くの真実を奮って捜してくれること願ってやまない。
バトルサブウェイ
地下鉄廃人兼秘密調査員ホワイトへ
☆
拝啓
こんにちは。返事をどうもありがとう。
いや、本当にありがとう。まさかA4の便箋にびっしり15枚も来るとは思わなかったから少々戦慄してしまった。あんなに書くのは大変だったと思う。申し訳無いことに最近長い文章を読むと目のHPゲージが赤くなってしまうからまださらっと流しただけなのだけれども、今度じっくり読ませてもらおう。本当に、ありがとうね。
手紙の内容だけれども、君は少し考えすぎなように思えるよ。この前にも書いたけれど、そんなに思い詰めたところで何がどう変わるわけでもあるまい。理想に今すぐ追いつくことも、真実を即日知ることも、ライモン遊園地にある観覧車が不審者事件の温床になっているにも関わらず何故規制されないのかわかることも無い。よく言うだろう、千里の道も一歩から、地下鉄廃人も1Vから。育て屋は厳選のはじまり。君はそうなってはならない。
バトルサブウェイはともかく、確かに君には背負うことがありすぎる。チャンピオンとしての重荷、新星ミュージカルスターとしての期待、ポケウッド俳優としての脚光、Nなどという面倒、もとい複雑怪奇な人格をした存在の相手。年端もゆかない少女が一手に引き受けるには重すぎるだろう。君くらいの年齢の少女は、いかにスカート裾を上手く翻しつつバトルするか考えるのに忙しい娘がほとんどなのだろうし。
だけど、君ならばその重荷をゴースの如き軽さに変えてしまえるのもまた事実なのだ。君はすごいことを成し遂げた、そのことは確かなのだ。もっと自分に自信を持ちたまえ。あれは偶然だ、もう二度と不可能だ。君はそう言うかもしれないけれど、それは絶対に違うと私は言い切れる。君はダイヤモンドの原石、いや、こんごうだまの原石なのだ。
気負う必要はどこにも無い。他の娘達のように、スカート裾翻しコンテストに情熱を傾けたければ、それはそれで全然構わないのだ。むしろ私としては大歓迎である。何もレギンスにこだわら無くて良いのだ、君はきっとニーソックスも似合うぞ。
だから少女よ。とりあえず一歩、部屋から出てみてはどうだろう。外の世界のことは、窓の向こうに広がるイッシュのことは誰よりも君が知っている。楽しいことも辛いことも、悲しいことも嬉しいことも。イッシュがどれだけ彩りに満ちた世界なのか、君は心からわかっているだろう。
嫌なことも確かにある。だが、好いこともあるに違いない。もう一度、君がイッシュの地を楽しめることを心から祈っているよ。
だが、まぁ、そうだな。
地下鉄に引きこもるなんてことになるくらいならば、そのまま部屋にいた方がずっと平和的かつ健康的かもしれない。
その辺りの判断は私にはつけられぬ。君自身でじっくり考えて決めてくれたまえ。
ヒオウギシティ
悩みも手紙の量もタワーオブヘブンな少女メイへ
☆
拝啓
ご機嫌麗しゅう。ミアレの風はいかがだろうか。
いや、この前君が送ってくれた写真、コートの値段を教えてくれてありがとう。目玉が飛び出るかと思った。メガストーンならぬメガドカーンってな具合だ。実際目玉は流石に出なかったけど鼻水は出たぞ。
三十万て、なんだ三十万って。布だぞ。布に三十万だぞお前。よく考えたまえ、だってもう一度言うけど布だぞ。布。カロスらしく言うならエトッフだ。
可愛いものを着たいという気持ちはわかる。そして質の良いものが高額であるというのもわかっている。それにしても限度というものがあるだろう、そのコート一枚で三十万っていうのはちょっと高すぎだと思わないか。だってそれ、ファッションセンターゆめしまで同じ用途のものが何着買えるのか考えて見て欲しい。実に、一着一万出したとしても三十着買えるという計算になるのだ。
いや、いいのだ。君の好きなものを着ればいいのは勿論なのだ。カロスにはバトルシャトーという良いATMもあることだし、アイドル志望がポケモンリーグの財政を傾けるなどという事態に陥ることもまずあるまい。だから、君がどんなに高い服を着ようとそれは君の自由なのだ。
私が案じている所は別にある。そのコートは君によく似合っている、似合っているのだけれども、アイドルらしさが無いのだ。カントー地方で流行っているアイドル達を見たまえ、今時のアイドルというものは「会いにいける」存在である。さあ考えてみようではないか、一着三十万のコートを着てミアレのカフェでコーヒー片手にくつろぐアイドルのどこに、会いに行けるっぽさがあると言うんだ。今の君にある会いに行けるっぽさは、移動費をケチってタクシーを使わず足腰を鍛えまくっているところだけである。何故そこはケチるのか。
思うに、ミアレのブティックはそれこそカルネさんのような女優のためにあるのだろう。時々ならば良いけれど、やはりアイドルという感じはしない。カントー地方で活動しているアイドルの資料を送っておくから、参考にしてもらいたい。
私の知っているアイドルは、アイドル活動略してアイカツと称し、崖を身一つでよじのぼったりしていたものだ。また、これは男性アイドルになるけれども畑を開墾したりラーメンを麺から作っている人達もいる。アイドルとは恐らくそういうものなのだ。まあ、その分野については他人様のアジトに気安く上がり込んで大計画をぶち壊した君なら事欠かないだろうけれど。普通のアイドルは生命を司る神をモンスターボールで捕まえない。
ミアレシティ
ブルジョワアイドールセレナへ
追伸
髪をロングにしたのか、清楚なイメージで良いと思う。しかしコートもあいまってどうにも『おじょうさま』っぽさがあるな。アイドルならばツインテが基本の型だと言われている。
どうだろう。
☆
拝啓
春暖の候、御嬢様におかれては益々御健勝のことと存じ上げます。文字通り。あまりポケモンリーグの財政や威厳をダストシュートするのはやめた方がいいと思われますよ。ぜんこく的に問題になっておりますので。
御返事拝見いたしました。何とも酷いことを仰る。『今更返せと言われても困る。大体あれは借りたんじゃなくて貰ったんだ』などとお書きになっていらっしゃいますが、あれが貸借行為であるのは明確でございます。というか、貸してと先に言ったのはそっちじゃありませんか。
しかも強引に話を終わらせた上、また貴女様は無理難題を仰るのだから手に負えない。流星の民の末裔を探し出せと言われましても、私にはどうすることも出来ません。彼女が何処に行ったかなんて私の知り得る所ではありませんし、そもそも私は彼女に会ったことさえ無いのです。もう一つの世界にきっといるんだろうからちょっと連れて来い、だなんて無茶も良いとこですよ。コイキング一匹で殿堂入りしろと言っているようなものだ。
失礼は承知の上で申し上げますが、もうヒガナのことは諦めた方が良いと思います。いいじゃ無いですか、あの娘一人失った所で、御嬢様を慕う者など星の数ほどおりますでしょう。それこそ御嬢様がレックウザに鞭打ち飛び立ったという、銀河に輝く星よりも多く存在しているはずです。
それに御嬢様は贅沢が過ぎる。エリートトレーナーからたつじんまで、ホウエン中の女を手玉にとっているのだからそれで十分と考えるべきです。おまけに、最近はとうとうルチア嬢にまで手をお出しになったそうじゃないですか!
言っておきますけど、バッチリスキャンダルになっておりますよ。フライゴンの大見出しで『No.1コンテストアイドル、リーグ制覇少女と熱愛発覚!? カメラがとらえた夜のコンテストライブ!』などとあった。何ですか夜のコンテストライブ! って。夜のバトルだの夜のポケパルレだのは度々目にする揶揄ですが、もはや何も伝わりませんよ。
ルチア嬢にせよ全ホウエンの女にせよユウキさんにせよ、御嬢様の美貌と技量があれば大抵の者は落とせるに違いありません。立てばキュウコン座ればメガサ、歩く姿はミロカロス。ミロカロスが歩くのかどうかは私の知るところではございませんが、ともかくヒガナ一人にそこまでこだわる必要性もあまり感じられません。
そんなに好み、ハッサムど真ん中であったのなら適当な野生児でも捕まえてくれば良いのではないでしょうか。ヒワマキ辺りならば同じくらい日焼けし、同じくらい運動神経に優れた少女くらいいると思います。そして似た服を着せてゴニョニョを横に並べとけば八割方わかりませんよ。
兎にも角にも、早いところ回復アイテムを返してください。私は大いに困っております。
ミナモシティ コンテストマスターランク会場
立ち姿の迫力はむしろゲンシグラードンな御嬢様ハルカへ
☆
拝啓
でられません!
って言っているだろうが。何故助けに来てくれない。繰り返すようだがこれは歴とした依頼なのだ、私は君に救助を依頼しているのだ。どうして助けにこない。
ノコッチやオノノクスのことは助けるのに、私を見捨てるというのか。命に貴賎も個体値も無いという言葉を知らないのか。私は知っているぞ。何故なら私が今作ったからだ。最近わかったのだ、自分で物事を定概してしまえば好きなだけ物知り博士になれるのだということをな。君もやってみるといい、これはなかなか気分がいいぞ。
しかしどっこい、この場所はちっとも気分が良くない。手紙を書くくらいしかやることがない、面白みにかける毎日である。6V目指して自転車を漕ぎまくる奴らよりも彩りに欠ける日々を送っている自信があるぞ。それ以前の日々に彩りがあったかどうかは定かでは無いが。
どうせ何処にいようとお前は暇なのだから別段問題無いだろう、そんなことを君はのたまう。なんて非常なことを言ってのけるのだろうか、君はそれでも人間か。破壊神イベルタルでももうちょっと慈悲というものがあるに違いない。
頼むから助けてくれ。このまま一生手紙を書くだけの人生を送っていいわけがあろうか、いや、無い。
思わず反語表現などを使ってしまった。このダンジョンごと丸々甲羅のイワパレスになってしまう前に、私を連れ出してくれたまえ。ツボツボよりも優位性が高いからといって別になりたくない。
ポケモンパラダイス
そう言えば人間じゃなくてポケモンだったピカチュウへ
皆様もお世話になっていることでしょう。
え、いきなりなんのことかって?
ボックスですよ、ボックス。正式名→ポケモン預かりシステムのあのボックスですよ
ほら、ポケモンセンターの受付の横にひっそりと置いてあるあのパソコンですよ。
いやー。実はこの前あるトレーナーさんのボックスをたまたま見る機会がありましてねー。そのボックスの光景に思わず目が点になりまして。
びっくりしちゃいましたよ。だって、4つのボックスいっぱいのヤミカラス、ヤミカラス、ヤミカラス!
ふみん・きょううん・いたずらごころ・いろちがい
とわけて、しかも1体1体ちゃんと名前まで付けて……。詰め込んでるなーと思いましたね。いろいろと。いやはや……執念とは恐ろしい。
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ボックスいっぱいのヤミカラスに囲まれてもふもふしてもふもふされて幸せ死するのが私の夢です
ヤミカラス愛を詰め込んでみた。
後悔も反省もしていない。
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ある晴れた日曜の昼前、少年があわてた様子で研究室に駆け込んでくる。少年は目を閉じて動かない怪獣の子供をその腕に抱えている。
「博士。僕は先週博士からいただいたヒトカゲを殺してしまいました」
散らかった研究室。それまで博士は机の下でうたた寝をしていて、少年があまり乱暴にゆさぶったのでとても寝覚めが悪い。
「早くも飼育放棄か。こらえ性のないやつだ」
「違います」少年は目に涙を溜めて、「とても大事にしていました。ちかごろやっと懐いてきたところです。昨日の散歩は弟に押し付けましたけど、それは友達がムリに遊びに誘うので仕方がなかったんです。ところが今日僕が朝ごはんのみそ汁を溢してしまったとき、そこいらでごろごろしていたこいつのしっぽにひっかかっちまったんです。みそ汁の具は大根と豆腐です」
「なあんだ、メシの話かあ……もにょもにょ」
「寝ないでください。博士もご存知のように、ヒトカゲという生き物はしっぽの先にいつも炎を灯していて、特に元気なときにはいきよいよく燃え上がるものだから生命力のあらわれだといいます。みそ汁がひっかかって逃げ出したヒトカゲをやっと見つけたときにはもうこのようにぐったりしていて、しっぽの炎は消えていました。ああ博士、いったい僕はどうしたらいいのでしょう」
「あはあ」とあくびをひとつしてから博士は机の下から這いずり出る。「生命力のあらわれたあ上手い言い方だな。確かにヒトカゲというものは死ぬときにしっぽの炎が消え失せるものだ」
「それはつまりしっぽの炎が消えるとヒトカゲは死んでしまうということですね」
「まあ、そうともいえるな」博士は灰皿に山盛りされた吸い差しからなるべく長めの一本を口にくわえて、「ときに君はタバコをやるのだったかね。火をもっていてくれると助かるのだが」
「僕はまだ十歳ですよ。試したこともありません。ねえ博士、僕は今とても深刻なんですから、ちゃかすことないじゃありませんか、もっと真面目に聞いてくれてもいいでしょう」
「ええい、寝起きの一服くらいゆっくりさせてくれたまえ。まったくこんなにとっ散らかってマッチがどこにあるのか知らん。だいたいこの国では酒もタバコも十歳からやれるのだぞ。ああ、分かった分かった。ちゃあんと診てやるからマアそこに座っていなさい」といって博士は積み上げられた書類の山をごちゃごちゃとほじくりまわす。
「あいかわらず汚い部屋ですね。どこに座る場所がありますか。こんなことだからいつまでたっても研究生が集まらないんですよ」
「おお、あったあった」
博士はようやくマッチ箱を探し当てるとまず一服し、それから「失敬するよ」と少年の抱きかかえた怪獣のしっぽに火をつける。すると怪獣は目を覚まし、少年の顔をひとにらみしてから再び目を閉じる。
「うん、うん。すねて死んだふりをしていたんだな。散歩くらいきちんと連れていってやることだ」
「エッ……」と目をまん丸くした少年が、「僕はこいつを殺してしまったはずではなかったんですか」
「そんなわけがあるめえ、みそ汁くらいのことで。なあに、散らかっているから研究生が来ないのではない、研究生がいないから片付かんというだけの話だ」と博士は煙を吐く。
* * *
はじめまして。殻ともうします。
大根いれたおみそ汁だいすきです。
June,6
「バトルに使うポケモンのタイプ別傾向」などというレポートに使う資料集めのために、ライモンのスポーツ施設に通うようになって早一週間。初めのうちは面倒くさかったものの観てみるとなかなか楽しく、自分も参加したくなってきた。とは言え俺のヨーテリーじゃあすぐに負けてしまうだろうから、もっと鍛えてからだろうけれど。
June,8
今日の目玉は、エンペルトとトロピウスの一騎打ち。タイプ相性からトロピウスが勝つだろうと観客のほとんどが予想していたけれど、タスキで持ちこたえたエンペルトが冷凍ビームを放って逆転した。バトルには色々な工夫があるのだなあ。
June,9
今日はダストダスを連れたトレーナーが来た。あまりの悪臭に初めは何かと思った。毒ポケモンでもあそこまで強い臭いは今までお目にかかったことが無いかもしれない。見た目や臭いから物凄く強く感じたけど、レアコイルと当たったバトルで後少しのところで敗れてしまった。昨日とは違い、タイプが原因となって負けることも勿論あるのだ。
June,10
昨日のダストダスがまた来た。今日の対戦相手は最近カロスで人気に火がついて、ポケモンアイドル界隈で頂点に降臨しているニンフィアだった。フェアリータイプに毒タイプの攻撃は効果抜群、ダストダスの放ったヘドロの塊にピンク色の身体はドロドロにされてしまった。
……俺はあまりポケモンを見た目で判断する方では無いけれど、流石に今日のはニンフィアがかわいそうになった。俺以外にも、観客の若い女の子たちが悲鳴をあげていたりした。
しかし、一撃で倒すなんてあのダストダス、強いんだな。
June,12
いつものようにバトル観戦。と、半ズボンを履いた元気そうな少年からバトルを申し込まれた。昨日は一日トレーニングに当てていたこともあり、応じることにした。
結果は敗北。空を飛べるミツハニーに特訓した穴を掘るは通用しなかったのだ。今日の失敗を糧にして、また頑張ろうと思う。
June,13
大学の講義が長引き、急いで観戦へ。スタジアムに飛び込んだら、ちょうど件のダストダスがバトル中だった。ヤルキモノをげっぷで倒した時には会場が何とも言えない空気に包まれた。
しかし、今日は朝から降っている雨でスタジアムも湿気ていた。おかげでダストダスの臭いが一層気になる。トレーナーの人は大丈夫なのだろうか。というか、あの臭いじゃあ家の中には到底入れられないと思うけれど。
June,14
なんと、あのトレーナーと話すことが出来た。勿論「あの」とはダストダスのトレーナーのことだ。
バトルの空気を掴んでもらうため、俺はヨーテリーをボールから出していたのだけれどもヨーテリーが急に吠え出した。あまりに騒ぐから何かと思ったら、挙句駆け出してしまったので慌てて追いかけると、その先には例のダストダスに威嚇しているヨーテリーがいた。ヨーテリーたちは鼻が利くから、ダストダスの臭いが気になったのだろう。しかしどう見ても失礼な行為だから急いで謝ると、トレーナーは苦笑して許してくれた。
そこからここに通う者同士話が弾み、俺は昨日気になったことを尋ねてみた。どうやら、やっぱり家には入れられないから夜は家の近くのゴミ捨て場で寝かせているらしい。なるほど。
June,15
ダストダスについて少し調べてみた。ゴミを取り込み、自分の身体や毒ガスにしてしまうということがわかった。ゴミなら何でも良いのかな? 流石に、冷蔵庫とかの粗大ゴミじゃ駄目そうだけど。どちらかと言うと生ゴミ系統な気がする。
June,17
昨日、一昨日と行けなかった観戦に行った。ダストダスもいたのだが、対戦相手になったグラエナが異様に唸っていたのが印象的だ。ただ臭いから、と言うよりは一種の興奮状態に見えたけれど……俺にはよくわからない。
それにしてもあのダストダス、見るたびに強くなってないか? 特にダストシュートの破壊力は凄まじく、毒の力だけで無く勢いもすごかった。育て方が良いのか、それとも食べてるものが良いのだろうか? 良質の生ゴミ……なんてな。
June,18
ヨーテリーのトレーニングをすべく、早朝ランニングをしてみた。バトルサブウェイの方を走ったのだけど、近くのマンションのゴミステーションでダストダスが寝ているのが見えた。もしかしなくても、きっと例のダストダスだろう。
June,19
大学前で学生運動が行われていた。急いでいたからあまり内容はわからなかったけれど、ポケモン愛護関連だったと思う。
最近じゃあ、一部の過激なトレーナーがポケモンを『廃棄』するだなんて話もあるくらいだから、それが嘘か本当かはわからないとは言えああいう活動が出てきてもおかしくない。少し前には、ポケモンリーグの優勝者が孵化したばかりのポケモンのうち、弱いものを袋に詰めて捨てていた、などという報道が写真付きで週刊誌に掲載されたこともあったし。
アレはすぐに嘘だということがわかり、いわゆるマスゴミの自演として風化したけれども、ポケモンをそういう風に扱う人は絶対にいないと思いたいものだ。
そう言えば、今日もダストダスが来ていた。相性の悪いゴチルゼルのサイコキネシスにもドわすれで耐え、ギリギリのところで破ってみせた。また強くなっている。
June,20
今日はダストダスはいなかったが、俺自身がバトルをした。また負けてしまったが、もう少しのところだったから次はいけるかもしれない。ヨーテリーの気合も上々だ。
そう言えば、対戦相手になってくれた鳥使いに教えてもらったのだけれど、バトルサブウェイでは人のポケモンを見るのが得意なエリートトレーナーにアドバイスをもらえるらしい。どうやら、何がそのポケモンの良いところか教えてもらえるそうだ。明日行ってみようと思う。
June,21
早速行ってみた。俺のヨーテリーは攻撃力が高いらしく、エリートトレーナーは頭を撫でてしきりに褒めてくれた。ヨーテリーもわかっているのかわかっていないのか、嬉しそうにしていた。
エリートトレーナーによると、俺が来る少し前にポケモンリーグの優勝者が来ていたらしい。メラルバを沢山連れてきたという。後少し早ければ見ることが出来たかもしれないのに、と思うと少し悔しい。
June,22
ダストダスの今日の相手はウインディ。またもや異常な吠え方をされていたけれど、ダストダスとトレーナーはもう慣れきっているようだ。
結果はダストシュートでダストダスの圧勝。本当、見るたびに強くなっていてびっくりしてしまう。特に攻撃力が一段と上がっているような……。今度、強さの秘訣やトレーニングの仕方を聞いてみようと思う。
そう言えば、今日のダストダスの背中のあたりに赤くて尖ったものが刺さっていたけれど、あれはなんだったんだろう? この前までは無かったように思えるけれど。
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あの頃は、何の意味も無い単純な作業が楽しかった。全クリされたポケモンの赤をまだ遊んでいた。何をしていたかというと、自転車と波乗りと使ってぐるぐるとカントー地方を周っていただけだ。何が楽しかったのか、今考えると全く理解できない。
小学校一年生の頃なんて、所詮そんなものである。傍から見て訳が分からないし、自分でも訳が分かってないのだ。
それから一年くらいして、赤のセーブデーターを消した。元々ポケモンはおじから貰ったもので、データーもおじのものだった。一度消して自分で一からやり直したい。そろそろ自分もそう思いはじめたのである。同じ所をぐるぐる周るのは飽きたのだ。
しかし、そうしてみたはいいものの、自分はポケモンを育成するなんてしたことがなく、要領をつかめずにいた。最初の三匹から選んだヒトカゲは、レベル8まで育てることができたのだが、掴まえたコラッタが全然育たない。最初だけ戦闘に登場させ、後は強いポケモンに交代して倒すことで、経験値を半分入れて育てていくなんて方法は知る由もないし、思いつくわけがない。ポケモンが育たないことには、バッチを得ることができず、次の町に進めない。結局自分は同じ所をぐるぐるとしていた。
さて、本筋に入る。m君という子がいた。少し太っていて、けれどもガキ大将とかそういうタイプではなく、まあ少し声の大きい子だった。m君と自分はそれなりに仲が良かった。家が離れていたので、そう何回も遊んだわけではないが、たまに自分の部屋で一緒にゲームをやったりしていた。
そんな彼は自分の家から帰る間際、こう言ったのである。ポケモンを貸してと。
代わりに育ててやる、ということらしい。その言葉に自分の心が動いた。とりあえず、野生のポケモンは倒せる位に強くしてくれれば、後は育てるのは難しくない。そう思ったから、つい頷いてしまったのである。彼はそのままカセットを握りしめ、またねと挨拶して帰っていった。
それから三週間が経過した。
普通ゲームを貸すと言ったら、ニ週間くらいが限度だろう。まだ返ってこないだけでなく、そろそろ返すよ、という話すら無いのは異常である。
二時間目と三時間目の間の業間休みに、m君に聞いた。もっと早くに聞けばいいのに、今更である。
「僕が貸したポケモンどうなった?」
すると彼は、思いっきりわざとらしくぽかんとした顔をした。
「え、俺借りてないよ」
白を切られてしまったわけである。僕は追求した。いや、確かに自分は貸したと。三週間前に。それでも彼は絶対に認めなかった。何度言ってもである。
二十分の業間休みをフルに使って水掛け論をした。彼は己の間違いを最後まで認めなかった。
そんなにNOと言われると、本当に貸したかなと自らを疑い、部屋を確認してしまう自分は阿呆である。どこを探してもポケモンは見つからない。やっぱり貸したのだ。間違いない。
いったい彼は何故返さないのか。まだ遊びたいのか。だったら自分で買えばいいのに。
一ヶ月して、もう一度言った。
三ヶ月して、もう一度言った。
一年して、もう一度言った。
自分はもう諦めていた。いくら返せと繰り返しても、借りてないの一点張り。m君の部屋を確認することを求めても、それは駄目だと厳しく怒る。
いったい自分が何をしたのか。貸したのが間違いなのか。甘い誘いに乗ったのがいけなかったのか。
ゲームには育て屋と言って、ポケモンを預けると育ててくれる施設がある。しかし、そこはポケモンの成長に応じて、お金を払わなくてはいけない。ならば僕も対価を払う必要があるのか。
試しに、千円やるから返してくれと頼んだ。千円なんて持ってない。ただ相手の反応を見てみるだけだ。m君は、そもそも借りてないからお金を出されても困ると言った。やっぱり認めないのか。
そのうちに、周りは金銀を遊ぶようになった。つられて自分も金を始める。徐々に赤のことなんて忘れていった。もう自分はポケモンの育成方法を分かっていた。自分はそれなりに成長していて、だからちゃんと進められた。しかし、氷の抜け道を通過できず、クリアすると関東地方に行けることを知らないままゲームを終えた。
さて、そんなこんなで月日は過ぎる。中学生になった頃、m君は引っ越すことになった。正直クラスも変っていて話してもいなかったし、全然交流がなかったのでふーんで終わった。
しかし引っ越す三日前くらいに、彼が言ってきた。借りていたポケモンを返したいと言ってきた。
もう何年前のことであろう。今更何を言っているのだ、と思った。もうポケモンなんてやっていない。
しかし、自分の手の中にリザードンが描かれたカセットが握られたとき、少しだけ僕の心にノスタルジーに流れ込んだ。
家に帰って、割とドキドキしていた。さっきまでもういい今更かと思っていたが、考えてみるとこれだけ長い時間借りていたのだ。きっと強いポケモンが育っているに違いない。図鑑も完成しているかもしれない。そういえば、図鑑が完成したときの、オーキドの評価の言葉は何になるんだろう。
様々な期待があった。ロード中は少々いらいらした。続きから始めるを押すと、冒険がどこまで進んだのか色々記録が出るのだが、aボタンを連打していたから見れなかった。
そして、ついに主人公が画面に現れた。懐かしい音楽が流れた。しかし、その音楽はトキワの森であった。主人公がいる場所もトキワの森であった。
嫌な予感がした。
selectボタンを押し、手持ちのポケモンを確認してみると……
ヒトカゲ レベル9
コラッタ レベル3
ほとんど変っていなかった。
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【001】数葬
数学の嫌いなA君は、宿題を炎ポケモンに燃やさせました。
はっはっは! 見ろ! 数を葬ってやったぞ!
【002】砂漠の神の子
砂漠で遭難した女の人がフライゴンに助けられて、結婚。
結果生まれた子の話。
【003】蜃気楼の中で
蛤が蜃気楼を出すって話があったので、それを元にパールルか何かが旅人に蜃気楼を見せる話だと予想。
【004】ネコイタチと青い空
色違いのザングースの話(色違いザングは赤の部分が青い)、自分の色に自信ががないサング♂はある日、愛しのザング♀にあなたの毛皮の色って青い空みたいで素敵! と言われ調子に乗って一族のバトル大会で優勝。二匹は結婚する。
【005】冷たい刃にうつろ仕掛けを
キリキザン「わしの刃は108式まである! 私に勝てたら結婚してやろう!」と言って、いろいろ刃を変形させて主人公と戦う話。
【006】岩の恩人
大晦日に傘を売りに行ったけどぜんぜん売れなくて、帰り道にノズパスが6体並んでたから、全員にかぶせてきたら、朝家の前にいろいろ置いてあった。そして長い間独り身だった息子も結婚する。
【007】立てこもり
ポケモンセンターに立てこもったロケット団員。
時間が経つにつれてジョーイさんと仲良くなって、出頭。
出所後に結婚する。
【008】意味の羅列
(1)男女が夫婦になること
(2)社会的に承認された、継続的な共同体をつくることを目的とする契約。
(3)社会的に承認された夫と妻の結合。
【009】ポケモン被り
手持ち六匹が全部対戦相手と被る。
この世にこんな人がいるなんて! 結婚しよう!
【010】竜神の花嫁
おにゃのこが生贄になるためにギャラドスの棲む滝壺へ。
でも意外と気があったので結婚することにした。
そうですね、子どもはギャラドスの節の数くらい欲しいですかね。
【011】幻想ミレニアム
2000年(ミレニアム)、私達はポケセンの前で通信交換をしたのがきっかけで時々会うようになりました。時は流れ2013年、ついに結婚しました。
【012】確かに恋でした
そして結婚しました
【013】にめたるえ変を去過
ようよし婚結てえ変を去過
【014】馬鹿ほど愛しい
あんた馬鹿だし、ポケモンバトルも弱いから私がついていてあげなくちゃだめね!
100連敗したら結婚しましょう!
【015】ガラスのオブジェ
やあやあおめでとう! 結婚記念にこれを送ろう!
これは おじさんの きんのたま の ガラスのオブジェ!
だいじにしてね!
なんたって おじさんの きんのたま の ガラスのオブジェ だからね!
気がついたら 結婚エンドになっていた。
たぶん002あたりの所為じゃないかな…
すでに読んだのは捏造してみました。
この世では、夜のとばりが下りて真っ暗になりますと、ルナトーンという月のポケモンが宵の町を照らしていました。
夜道では暗闇に紛れて、野生のポケモンが人間を襲おうかと意図をくるくるとめぐらしますが、全ての悪事はルナトーンの光で明るみになり、人間たちはその光のおかげで宵の世界を生きることができていました。
しかし、ある日のこと。
町でたくさんの酒を胃に流し込み、見事な千鳥足を舞う二人の男が肩組みしながら夜空を見上げました。
二人とも黒ヒゲを蓄えた顔に、鼻は真っ赤に染まっています。
「たしかに、夜はあかるいけどよぉー! 昼間に比べたらぁ、おなごの姿がよく見えねぇことべよー!」
「そうだ、そうだ、ほろ酔いの娘をよく見せろー! 見せろー!」
「おう、相棒、これはあれじゃねぇかべぇ?」
「なんだい兄弟」
「月の野郎は抜けがけしてんじゃねぇのかって思うんだべぇ!」
「なんでい、ひっでぇ話だなぁ。夜を照らしているついでに娘を覗き見かよっ」
「ちっげぇべ相棒。月の野郎はおなごを覗き見しているついでに夜を照らしているんだべぇ」
「そいつはもっとひでぇなっ!」
二人の男はガハハと下品に笑いますと、夜空に向かって、こう叫びました。
やーい!
やーい!
べぇーすけ!
べぇーすけ!
宵の町より
酔いの小町がお好みかぁー!?
おなごや夜道は用心して歩を進め
月の明かりは
鼻の下が長い送り狼の閨(ねや)ぞ
もしも抱かれてしまったら
二度と朝日を拝めないぞ
まずいことに、この男達の歌は大きく響いていき、やがてはルナトーンの耳にまで届く始末に。
もちろん、滑稽にされたことに怒ったルナトーンは二度とこの世の宵を照らすことなどするもんかと断言してしまいました。
さぁさ、大変なことになりました。
このままルナトーンがどこかへと去っていってしまえば、再び、この世の夜は外が真っ暗に染まってしまいます。
これでは夜遊びどころか、おちおち外に出歩くことさえもままなりません。
暗闇に紛れた野生のポケモンがいつ襲いかかってくるか分かったものではなかったからです。
町の人々や、流石に二人の男もどうしよう、いかがしようと困っていたときのことでした。
どこからともなく、たくさんのうさぎが現れました。
茶色の体に、綿あめのようなもこもことした毛を身につけたうさぎポケモン――ミミロルとミミロップです。
そのうさぎ達は木製の杵(きね)や臼(うす)を持っており、臼を地面に置きますと、杵を臼に向かって振り落とし始めました。
臼の中には何かが入っているようで、うさぎ達が杵を振り上げるときに白く伸びるものが現れます。
それは真っ白なお餅でした。
はいやお月さま
ほいやお月さま
そんなに顔を真っ赤にさせたら
爆ぜ(はぜ)てしまいんす
宵を照らすあなたの光は
酒をこぼす盃(さかずき)のよう
うさぎも酔って
ニンゲンも酔って
あなたも酔って
みんなみんな
好い(よい)仲間ではないか
うさぎ達が歌いながら、または踊りながら餅をついていきますと、まずは二人の男が歌いながら踊りだします。
それからこの祭のような賑わいに、町に住まう人間達が引き寄せられ、同じく歌いながら踊りだします。
そして、最後にルナトーンもうさぎ達と人間達の真上で踊りだします。
先程まで、鬼のような顔を見せていたのに、あら不思議。
ルナトーンは笑顔を浮かべていました。
怒りたい気持ちをぺったんこ
みんなの仲をぴったんこ
好い仲間のしるしとして
お団子食べれば
みんな良い笑顔
歌い踊り終われば、ちょうどいい塩梅(あんばい)にお団子ができあがりました。
その味に人間達はほっぺたが落っこちそうになり、うさぎ達は耳が伸びそうになります。
もちろんルナトーンにもお団子が手渡されました。
どうぞとお団子を差し出したうさぎはなんとも美しいミミロップで、顔を真っ赤にさせたルナトーンは爆発しました。
あれま大変と、急いで人間とうさぎ達はお団子を使って、ぴったんぺったんとルナトーンを直します。
「なんだ、やっぱりお月さんもオイラたちと一緒だべな!」
その男の言葉に人間達もうさぎ達も、そしてルナトーンも楽しげに笑いました。
【書いてみました】
(一応)前置き:このルナトーンはスケベクチバシ先生ではありません。
『おつきみだんごっ!』内で出てきたお伽話を作ろうと思って、今回の物語を考えました。
月見団子って、地球と月の縁をくっつける為に供えるものでもあるのかなぁと考えながら書いていき……。
結局、星と月がケンカではなく、悪口を言われた月がグレそうになるといった感じになってしまいましたが、一応、『おつきみだんごっ!』から生まれたということで、こちらの記事に付けさせてもらった所存でございます。
それにしてもお団子って不思議ですよね。
本当に縁をくっつける力がありますよね、きっと。
だって、人間と鳩尾キラーのロコンとかも(以下略)
そうですねぇ、そのロコンにはみたらし団子をあげれば……おや、誰か来たようd(ドカバキャグシャ!)
ありがとうございました。
【何をしてもいいですよ♪】
![]() 出張で北海道に行く機会がありまして、小樽でガラスの浮き玉を見ながら妄想した話です。 |
ここに来るまでに糞の跡、尿の跡、そして真新しい踏み跡を探り回っていた二人は、傍目には変人奇人の類に映ることであろう。
「見ろ、オノノクスだ。11時の方向、あの岩場の方だ」
そんな行動の末に、迷彩服に身を包んだ男はお目当てのポケモンを見つけた。彼は、隣の草むらに興奮した様子で話しかける。もちろん隣の草むらにいる者も同じく迷彩服に身を隠し、擬態した人間であり、動かずにじっとしていれば発見するのは難しい。
視覚で彼らを捉えるならば、ハブネークの持つピット器官を使うか、カメラのレンズの反射を視認するしか手は無いだろう。オノノクスの嗅覚は、退化こそしていないがそれほど敏感と言うわけでもないから、まず嗅覚からは見つからないし、聴覚だってここは山。吹き寄せる風に紛れて、足音なんてかき消されてしまう。まず見つかるはずもない。
「おー、本当だ。いるいる」
双眼鏡を覗いて、もう一方は感嘆の声を漏らす。視線の先には、オノノクスが互いの手を掴みながら抱き合っている光景。愛を語らっているわけではない。ましてやオノノクスに社交ダンスの生態は無い。
あれは、メブキジカやオドシシの角と同じ。外敵に対する攻撃手段としても使われるが、メインは相撲を取るためだ。メブキジカならば、角を絡め合わせて押しあいを始める。角の付け根の痛みに負けて押し返される若い雄は、格上の雄に凄まれればすごすごと引き返しては視界から消える。
そうして、ほとぼりが冷めた頃に大きさが同じくらいの雄に挑んでは、勝った負けたを繰り返して、そうして切磋琢磨ともライバル落としとも付かない期間を終えて、繁殖期に至るまでその行為は続けられるのだ。
繁殖期の頃にはもう雌が雄を選んでいる。強い雄は複数の雌を囲み、数日の間はほとんど飲まず食わずで子孫を残す行為に専念するのである。
その斧葉相撲を撮影するには、さすがに最初の位置からでは遠すぎるため、ある程度近づいてから二人は撮影を始める。その際、周囲の景色に紛れる迷彩服は非常に役に立ち、二人とオノノクスの距離は30メートルほどまで縮まった。そのまま追いかけることも考えたのだが、運がいいことに忍び足で近寄って行くうちに、オノノクスはもう一頭の雄と鉢合わせしていた。
「見てください……二頭のオノノクスです」
小さな声だ、ここまで離れていれば、普通に会話をしてもオノノクスの耳に届く前に風にかき消されるであろうが、万が一のことを考えると慎重にならざるを得ない。マイクは顔に固定するイヤホンマイク型。安物ではないが、いかんせん小型であるため機能性は芳しくなく、周囲の雑音も容赦なく拾われていくため、さわさわと木の葉を撫でる程度の優しいそよ風が相手でも、音量を絞った声では太刀打ちできない
「おい、マモル。声小さい……全然聞こえないぞ。大丈夫だって、この時期のオノノクスはまだ温厚だから多少の声なら安全だ」
「あいあい、アマノ。それではー……えー、見てください。アレがオノノクスです」
「……うーん、これはどうなのかなぁ」
言わせておいてなんだが、と言う風にアマノと呼ばれた青年は呟いた。
「やっぱりあれだ、基本的に自然の音だけを録音して、後からナレーションを入れた方がいいかもなぁ……口パクでナレーションを入れる間だけ作って……」
アマノが提案する。
「そうだな……周りの音も邪魔せず入れておきたいし」
そしてその提案にはマモルも納得した。
「じゃ、黙るぞ……」
ポケモン達を刺激しないよう、マモルは黙りこくって撮影を始める。しばらくフィルムをまわしていると、闘争心の強い二頭の雄のオノノクスが雌の争奪戦に向けての斧歯相撲を始めてくれた。
手と手を握り合ったまま、顎の斧歯をガツンガツンと打ち合わせる斧歯相撲。歯の付け根が痛くなるか、ヒビ割れるかでどちらかが降参すれば勝敗のつくこの試合。同族の仲間を殺さないように、かつ必要以上に傷つけないようにどちらが強いかを競い合うにはもってこいである。
繁殖期の前は、斧歯同士を打ち鳴らす音が時折山で響きあうため、オノノクスを恐れるポケモンはその音を聞くとすぐに逃げ出してしまうのだ。
フキヨセの街では、そんなポケモンたちの性質を利用して、オノノクスの斧歯相撲に似た音を出す楽器を打ち鳴らすことで農作物の被害を減らしたという。
そんな、斧歯相撲の力強い音色を間近で聞いていると、その迫力にはナレーションを入れる余裕もないくらいに息をのんでしまう。
双方ともに斧歯の付け根が痛いのか、時折休みを挟みながらもつなぎ合った手は離れない。
痛みで膠着状態に陥っていた時、痺れを切らした僅かに体が大きい方のオノノクスが牙を振り上げる。
待ちの体勢に入っていた小さい方はこれを待っていたのだ。わずかに小さい方は斧歯の中心で、相手の斧歯の中心から外れた部分へ打ち付けた。
斧歯の芯で斧歯の比較的弱い部分を叩いたことで、痺れを切らした大きいオノノクスの斧歯は僅かながらに欠けてしまう。
これには、大きい方も負けを認めざるを得ず、体の大きなオノノクスは自分から手を離して頭を下げた。
鮮やかな勝負の幕引きに思わず撮影者も感嘆の声を上げる一方で、小さなオノノクスの勝利の雄たけびが撮影者の声をかき消す勢いで周囲に響き渡る。
あの雄はいずれ大物になる、そんな気がした。
思ったよりも迫力のある映像を撮れての凱旋帰還の最中の事。
「そういえば、ソウリュウシティのジムリーダーのシャガさん……オノノクスとレスリングをやっているって言うけれど……あの髭の中に金属仕込んで斧歯相撲でもやっているのかなぁ?」
「いやいやいや、アマノ。それはないだろ」
あの圧倒的な力強さの相撲に、人間が太刀打ちできるわけがない。いかにあの逞しいシャガさんでも、それは例外ではないだろう。それでも、ありえそうに思えてしまうあのカリスマが、彼が市長たる所以なのだろうか。
メールでもお知らせしましたが、作者スタッフ分を発送いたしました。
1週間経っても届かない場合はご一報くださいませ。
ドッペルゲンガーという言葉の意味を、ある程度のことは誰もが知っているだろう。
まあしかし、念のために話の流れをスムーズにするためにも、俺が簡単に説明しておくとしよう。ようは自分にそっくりな存在がこの世界のどこかにいて、それを見てしまうと死んでしまうというものだ。
そりゃあ自分にそっくりな奴なんて、この広い世の中だ。どこかに一人くらいはいてもおかしくはないだろう。いや、むしろいない方が変かもしれない。俺と同じイケてる面子を持ってる幸運な輩がいるわけだ。
とはいっても、やはり自分とそっくりな存在がどこかにいるというのは稀なことなのかもしれない。
例えばそこら辺でチョロチョロと駆け回っているコラッタ達だって、僕からすれば全くもってそっくりだ。けれども本人からすれば、どこかしらの違いがあり、やはりそっくりではないのだろう。細かな違いというのは当事者たちにしか分からないものだ。
だから、よくよく探せばどこかしらの違いがあるはずだ。毛並みだとか肌の色だとか、きっとどこかに違いがある。考えてることまで一緒ということはあるまい。双子や三つ子にだって何かしらの違いがあるように。いつかきっとわかるはずだ。おいらたちの違いというものが。ドッペルゲンガーなんてものは存在しないし、それで死ぬなんていうこともない。あるわけがないのだ。
俺は僕はおいらは、隣のドードリオの顔を、じっと見た。
・描いてもいいのよ
・書いてもいいのよ
・批評してもいいのよ
ふぅっと一息ついて、ゾロアークは空を見上げた。
突き抜けるような青い空と、そこだけミルクをこぼしたような雲のコントラストが目に眩しい。
長いこと旅に出ていた。そんなときに浮かぶのは家に残した美しい妻と可愛い子供。そろそろ帰ろう。お土産は何がいいだろう。長いこと開けてしまったから、怒ってるだろうか。子供はどのくらい大きくなったのか楽しみで仕方ない。
ふとゾロアークの鼻に綿雲がはらりと落ちる。払いのけようと鼻先の雲を掴んだ。
「羽?」
誘導されるように空を再び見上げると、青い空に目立つ白い風。数羽の鳥が飛んでる。しかも円を描いたり、宙返りしたり。その都度、羽毛が美しく鳥を飾っていた。
ゾロアークはその鳥を追いかけて走り出していた。もっと見ていたい。その思いだけで走る。鳥たちが着地するあたりに。
「誰!?」
ゾロアークの姿を見つけた鳥たちは一斉に睨んだ。ピジョンが数羽、そしてトゲキッスが一羽。
「えっと、空のダンスを見て、もっと見たいなって思って……」
ピジョンたちは顔を見合わせる。知らないゾロアークがいきなりやってきての申し出に、困惑しないはずがない。けれどトゲキッスがにこりと言った。
「ありがとう、よろこんでくれて」
その言葉はゾロアークに向けられていた。
「ピジョンたちは知り合いの結婚式だと、お祝いに集まってフェザーダンスを踊るんだ」
「つまり、誰かの結婚式……?」
ゾロアークが聞き返すと、トゲキッスが恥ずかしそうに言う。
「ボクたちだよ」
隣にいるのが新婦のピジョンのようだった。
「本当はピジョットになるまで結婚しないつもりなんだけどトゲキッスがいいって言うし」
これにはゾロアークも祝福しなければならない。荷物の中から結婚のお祝いに相応しいものを取り出す。それらを受け取ると、新郎新婦は深く頭を下げた。
「見知らぬゾロアークに祝ってもらえたし、私もちょっくら踊る!」
新婦はその翼を羽ばたかせようとしたが、仲間のピジョンたちに止められる。
「新婦が踊ったら意味ないじゃん!」
「お祝いの踊りじゃないか!」
主役二人に見せる為らしい。しかし新婦のピジョンは止められてつまらなそうだ。よほど好きなのだろう、フェザーダンス。
「一番上手いからってお祝い見せる相手が踊ってたら意味ないから!」
「トゲキッスに見せるからいいのだ!」
それだけ言うと、新婦のピジョンは空へと飛び立つ。仕方ないなという顔をして、ピジョンたちは空を飛んだ。
そして始まる、白い羽と青い空の共演。ふわりふわりと散った羽がゾロアークの頭にそっと乗った。
「ピジョンはね」
空を見上げながらトゲキッスは言った。
「ここに迷い込んだ僕を仲間として扱ってくれてね。何から何まで教えてくれたよ。僕が歌うととても嬉しそうに聞いてくれた」
ぽつりぽつりと昔のことを断片的に思い出すように語る。
「だからね、僕はピジョンがポッポだろうがピジョットだろうが関係ないんだ。型破りのお祝いフェザーダンスだろうが、僕はピジョンが一番だよ」
トゲキッスの言葉に、ゾロアークも妻と出会った頃のことを思い出す。何かが解らないけど、何か特別で一緒にいたいと思った。きっとこのトゲキッスもピジョンに対してそう思うのだろう。
「実は、故郷に妻と子供がいるんだ」
ゾロアークは舞い降りる白い羽を荷物の中に入れた。
「トゲキッスやピジョンを見てると、帰るところっていいなって思う」
年頃の女の子のようにはしゃぎながらフェザーダンスを踊るピジョン。きっと明日からずっとトゲキッスと一緒。ずっとずっと。だから最後にみんなで踊りたいのだ。妻の友達が最後にダンスをやたらと誘って来たように。
「だから、もう帰ろうと思うんだ」
ピジョンのフェザーダンスはまだまだ続く。羽ばたきがリズムを生み、周りのピジョンが風に乗ってさらに高く舞う。白い羽に包まれたピジョンが上昇気流に乗って楽しそうに鳴く。息など切れない。そのまま歌い出しそうな動きで、トゲキッスの目を楽しませる。
「ゾロアークの家はどこなの?」
「んーと、ずっと遠くだよ」
「途中まで送っていくよ。大丈夫、僕はピジョンと違って踊らないから」
「わあ、凄い嬉しい!」
羽音一つさせず、ピジョンがトゲキッスのもとへと戻る。渾身のダンスの後の顔は、とても輝いていた。
「でも、遠慮しておくよ。新妻がいるのに、邪魔するわけにもいかないから」
トゲキッスの羽に黙って嘴をうずめるピジョン。ほめて、と言わんばかりの行為に、トゲキッスはアンコールを送る。
「じゃ、元気で、縁があればまたー」
結婚式の祝福にフェザーダンスを踊るピジョンたち。こんなことも話してやろうと、ゾロアークは家路を急いだ。
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ごめん池月君のつもりで書いたのに池月って名前出すの忘れたごめん
踊るポケモンたちをテーマに短編かいていきたいなと思って、先発はフェザーダンス。
どこかで見た設定?いやいや気のせいです旦那。
【好きにしてください】
グロいです。
ユウキが久しぶりにホウエンのミシロタウンに帰ったのは、チャンピオンとなり、さまざまなところへと行った後だった。もうすでに年も14となり、成長期を迎えて体格もそれなりに男らしくなってきた。
懐かしさのあまりユウキはミシロタウンの入り口から走って家にたどり着く。久しぶりに見る両親の顔や、自宅に置いて来たポケモンたちと再会する。オーレ地方では危険だからと精鋭しか連れていけなかったし、イッシュ地方では新しいポケモンを捕獲するのが忙しかった。だからこそホウエンでチャンピオンとなった時のメンバーとはだいぶ違ってしまったが、ユウキにとっては大切なポケモンたちだ。
しばらくゆっくりするつもりで帰って来た。そういえば友達たちは元気だろうか。あれから手紙を1年に一回送るか送らないかの仲ではある。新しいポケモンはいるのかな。病気は完全に治ったのかな。
自宅にいるとは限らないけれど、ユウキはまず同じ町内に住むハルカを訪ねる。オダマキ博士への挨拶という名目だったが、やっぱり友達に会いたいというのが強かった。あの時と変わらない。呼び鈴を押す。
「あら、ユウキ君じゃない。ごめんねえ、ハルカいないのよ」
用件を言う前にいきなり追い返される。昔からちょっとつっけんどんなお母さんだなと思っていたけど、こんなに冷たい覚えはなかった。
仕方ない。オダマキ博士への挨拶だけは済まそう。ユウキはオダマキ博士の研究所へと足を運ぶ。
「おやユウキ君。久しぶりだな。元気そうで何よりだ」
「はい。お久しぶりです。博士にいただいたポケモンもかなり強くなりました」
たわいもない世間話だ。昔話からチャンピオンになった後にどこにいったのか、そしてその間に捕まえたポケモンの話。
さらにユウキは気になったことを聞いた。
「家にいったんですけど、ハルカいなかったんですよね。やっぱりフィールドワークの手伝いを……」
「ああ、ハルカならどこかいるんじゃないか」
ユウキの言葉を遮ってオダマキ博士は答える。その雰囲気に疑問を持っても、もしかしたらいなかった数年に何かあったのかもしれないし、あまり詮索することではない。土産として持って来た向こうの珍しいモンスターボールをオダマキ博士に渡すと、ユウキは研究所を後にした。
やたらと知識だけはあったハルカのことだ。もしかしたらすれ違いで旅に出てしまっているのかもしれない。それで帰りが遅くて心配してるのかもしれないし。
ユウキは部屋でゴロゴロとしていた。オーレで買ったポケモンデジタルアシスタントを見ていると、お腹の上にプクリンが乗ってくる。気持ちよい手触りの毛並み。この毛並みを整えるためにシンオウのデパートではポフィンを探した。そのおかげでコンテストでも勝てた。けれど戦うことに関しては、毛並みが崩れるのを防ぐために自宅へ預けていた。
するとポケナビにメールが入る。久しぶりから始まるメール。ハルカだった。
「おかえり私のいない間に帰ってたんだねユウキ君血がほしいよどうしたらいい私に血がないの」
何のこったい。意味の解らないメールにユウキは返信に手がのびない。こんな気味の悪い文章を送ってくるような子ではなかったと記憶している。ズバットを育ててた時もそんなこと言わずにオレンの実をあげてたのに。
「どうした?クロバットがそんなにたくさんいるの?」
当たり障りない返事を打つ。数分もしないうちに帰ってくる。
「違う血が欲しい血があればよかったのに」
なんだかおかしいと思った。ユウキは上半身だけ起こして急いでメールをうつ。
「今から行く。どこにいる?」
ポケナビを置いた瞬間だった。再び受信のメールが来たのは。
「家」
ユウキは自分のモンスターボールから一つ選ぶ。あのお母さんに会わずにハルカに会える一つの方法はテレポートしかない。スプーンを二つ持ったフーディンがあらわれる。
いきなり部屋にテレポートするにはためらった。せめて部屋の前、二階の廊下にするべきだろう。そこまでフーディンが考えていたのかは知らないが、ユウキがテレポートした先はちょうど部屋の前だった。ノックして、返事のないドアをあける。
「なんだ、ここ」
前はエネコのぬいぐるみが飾ってあったのに、いまは殺伐とした風景だ。旅先で会った同い年くらいの女の子たちだってもっとかわいいものを身につけていた。それなのになんだここは。廃墟のような部屋にユウキは何も言えない。そして人の気配などなかった。
「まったく、あの子はどこいったのかしら。ハルカ!」
ハルカの母親の怒声が聞こえる。ここにいるのがバレたらヤバい。ユウキはクローゼットの中に隠れる。その直後、ドアが勢いよく開いた。
「抜け駆けだけは早いんだから。掃除さぼって何をしてるのかと思えば。全く。今日のご飯は無しね」
ユウキが聞いてるのも知らず、不機嫌な足音をたてて去って行く。遠くなったのを見計らい、ユウキはそっとクローゼットから出る。
「なんだなんだ、何が」
ハルカはいない。そして荒れた部屋。ハルカの母親の態度。そしてオダマキ博士の態度。それらを総合すると、ユウキはとてつもないことに関わってしまったような気がした。帰った方がいい。ユウキがフーディンのボールを出した時に気付く。
机の上にある古い日記。他人のものを見てはいけないと思いつつ、ユウキは手を伸ばした。何か解るかもしれない。
「今日はご飯なかった」「おとうさんになんで帰って来たって言われた。」「鍵をかけられた」
ユウキは読む手を止める。あの温厚そうな博士がそんなことを言うとは思いもよらない。ユウキはページをめくる。
「血が欲しい」
それだけ見開き1ページにでかでかと書かれていた。
「出て行きたい血が欲しい血があればやさしくしてもらえる」
また血だ。ユウキはさらにページをめくる。
「ミツル君は血がないのにどうして優しいの。どうして私にはない。消えてしまいたい血だって消えていくよ」
ミツルにあって、ハルカにない?ユウキはますます混乱する。最後のページを見るまで。それを見てユウキは固まる。そして。
「フーディン行くぞ」
フーディンに命令し、その場から去る。ハルカの行きそうな場所。そこは
「ハルカ」
ユウキは彼女の名前を呼ぶ。同じくらいの高さだったのが、今では頭一個分ユウキの方が高い。
「迎えにきた。帰ろう」
振り向いた彼女の顔は暗く、久しぶりに会うというのに笑顔一つみせない。
「血がないと帰れない」
「だから俺と帰ろう。ハルカの居場所はあそこじゃないよ」
「どこに帰るの」
「ホウエンは広いし、他の地方だってある。俺が行ったところはほとんどみんな優しかったよ。大丈夫、俺も一緒に行く。ハルカが博士の本当の子じゃないなら、ここに居続ける必要だってないだろ?」
血はクロバットの餌のことじゃなかった。血縁関係のことだった。最後のページには戸籍謄本が折り畳まれていた。そこに書いてあった事実はユウキにも衝撃を与える。
友達が困ってる原因がこれだ。これしかない。ならば少しでも助けたい。ユウキはそんな思いで来た。すでに旅立つ準備もして。
「それにハルカだってホウエンを一周したんだから旅慣れてるだろ。行くぞ」
ユウキはハルカの手を引っ張る。帰るところはミシロタウンではない方向に。
ーーーーーーーーーー
Q何が書きたかったの
A解らん
オダマキ博士って主人公には色々してるけど、実子の方には多少つめたいのを大きくしてみた。
【お好きにどうぞ】
ある日、二匹のしあわせが出会いました。
僕はしあわせって言われてます。あなたはしあわせを知っていますか。
もちろん知っているわ。
しあわせはね、わたしのタマゴにつまっているのものよ。
私はしあわせって言われているの。あなたはしあわせって知っているかしら。
もちろん知っています。
しあわせは、ぼくの翼にこもっているのものですよ。
いいえ、いいえ。
僕の、私の、タマゴにこそ、翼にこそ、しあわせがあるのです。
二匹のしあわせは、言い合いをはじめてしまいました。タマゴにこそ、翼にこそしあわせがあるのだと言い張りました。
翼のしあわせは、タマゴなんて狭くて苦しいものにしあわせがあるはずがないと言いました。
タマゴのしあわせは、翼なんて軽くてふわふわしたものにしあわせがあるはずがないと言いました。
言い合いははげしくなるばかりでした。お互いにしあわせはそこにないと言い張りました。だんだん、二匹のしあわせはしあわせがなんなのかわからなくなってきました。
しあわせが分からなくなってきた頃、くさむらからこんな声が聞こえてきました。
しあわせなんてね、どこにだってあるものなのよ。たぶんね。
しあわせにね、形なんてないのよ。たぶんね。
そうやって探してるとしあわせを見失うと思うの。たぶんね。
出会えたことがしあわせなのよ。たぶんね。
出会ったばかりでいきなり殴られたって、わたしはしあわせよ。たぶんね。
二匹のしあわせは、お互いに顔を見合わせました。タマゴをみました。翼をみました。
たぶんね、しあわせはどこにだってあるんだなと笑いました。くさむらからも、そうかもね、ですよね、ほらね、やっぱりね、だろうね、たぶんねと笑い声がきこえました。
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おかしいな、もそっとちゃんとするつもりだったんです。
タブンネさんがすべてを颯爽とかっ攫っていった気がするんです。一番最後はタブンネ隊から。
No.017です。
本日のふぁーすと3で作者・スタッフ配布分を除きまして、
「ポケモンストーリーコンテスト・ベスト」完売致しました。
ありがとうございました。
即売会中、再版問い合わせや通販問い合わせが10件くらい入ってます。
冊数は印刷代と相談ですが、サンクリ55(4月15日)再版の方向で動きます。
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