|
ポケモンがハッキリ害獣として扱われていて、人間も直接銃器で対抗したりするという大筋の話が、ポケモンとしては攻めてるなーって思いました。(駆除、殺すとかまではいきませんが)私としては原作ポケモンのそういう方向にはいかない感じがとても好きなので、大尉さんの言う「甘さ」が最終的に肯定される流れになるのも良かったです。ゴドウィンと少女の出会いのエピソードも優しい。
メガシンカするタイミングも弱点を克服するくらい強いメガボスゴドラもカッコいい!
キーストーンが指輪っていうのもロマンティックですねえ。
現実にありそうな問題だけでないポケモンらしい絆が心地よい作品でした。
少女とゴドウィンに幸あらんことを願います。
タグ: | 【ウルトラサンムーン】 【ハウ主♀】 【ラッタ(アローラのすがた)】 【コウミ(アローラのすがた?)】 |
「やーコウミ、元気ー?」
「う、うん元気」
「だよねー! 相棒のラッタそっくりで丸いもん!」
言われて手鏡を取り出し覗き込むと……そこにはアローララッタそっくりの頬のプクプクした女が!
心なしか目もネズミネズミした三角になっているような!
「ポケモンとトレーナーは似てくるって言うもんねー」
「イヤァ! 違うの! ラッタは好きだけどこんなのは望んでいないの!」
「なんでー? 仲良しの証って感じでサイコーだよー」
「それはいやあああああっ!!!」
「ぎゃあああああああ!!! ラッタちゃーう! ザコちゃーう!!!」
さけびながら起きると、そこはポケモンセンターの部屋だった。コウミは清潔でパリッとした布団に寝ていて、毛布は床に蹴り飛ばされていた。朝から騒がしいにも関わらず、床のポケモン用ベッドではラッタがスヤスヤと眠っている。
「こーんなでっかい耳してよく起きないなあ……」
マイペースで寝てるラッタが恨めしくて、コウミは丸いお腹を撫でる。気持ち良さそうに目を閉じたネズミの眉間にシワが寄り、「ぐおお、そこは嫌だ、嫌なんだわ」と言うようにヂューヂューうめく。
カントーでもそうだったが、アローラでもラッタは珍しいポケモンではない。進化前のコラッタが夜なら見つけやすいのもあって、手持ちにくわえて旅をするトレーナーは案外多いのだ。なにが言いたいかというとラッタのネズッタはモテた。人にも同族にも。オスのラッタにはエサをもらい、人にはほっぺをプニプニされた。ちっちゃなコラッタが頭に乗っても怒らずにじっとしていた。マダムの「美人さんのラッタねえ」という言葉には面食らったが。
なるほど確かに進化した時そのぷっくりとした容姿の可愛さに悶えただけあって、ネズッタはかわいい。真っ黒な毛並みも不潔なそれではなく、ヤミカラスの濡れ羽色というようにツヤツヤしている。毛並みに触れるとフカフカして温かい。他のトレーナーのコラッタが頭に乗りたがるのもこのせいだろう。
「……人だったら多分黒髪の美少女なんだろうねえ」
故郷のカントーのジムリーダーで言えばエリカとかナツメのような。そう考えるとオスのラッタに貢がれたポケマメをかじる姿もお嬢様の動作ぜんとして……いやコレは普通にネズミだ。
「あー、コウミじゃーん!おんなじポケモンセンターに泊まってたのー?」
予想外の声に、コウミは撫でていたネズッタのほっぺを両手でギュウと押してしまった。くわえていたポケマメをポロリと落としたネズッタが「は〜そこごっつええ感じなんだわ〜」という顔になる。
「は、ははははハウくん!?」
「ははははハウくんではないなー。コウミもここのポケセン泊まってたんだー。気づかなかったなー」
「わ、私昨日は夕方にはここに来て早めに寝たから……」
「それですれ違っちゃったんだー。ねーせっかくだし朝ご飯一緒に食べようよー」
「えっ! う、うん!」
コウミはついガッツポーズを取る。やったー! という内心が隠せていない。
「朝はたくさん食べないと力が出ないからねー。コウミとご飯食べられたら効果も2倍かもー」
「わ、私は今朝はほどほどでいいかな……」
ハウの天然な言動にどきまぎとしながら、コウミは心の中で叫ぶ。
(アローララッタと美形基準が一緒だったら、昨日の夢なんか引きずらずにすむのに!)
アンノーン人の動きが止まるが、その上っ面には相変わらず薄ら笑いを浮かべており、店内に何百何千もの小型アンノーンをはべらかせながら招かれざる客の出方をうかがっている。
俺がコートの下に身に付けていた爆弾ベスト「神風チョッキ」は爆発の性能に一点特化した12匹の改造マルマインと機械仕掛けのブービートラップ爆弾が仕掛けられた二重の爆発装置だ。マルマインの爆発を無力化すれば、それに反応して機械仕掛けの爆弾が起動し、爆弾が無力化されれば、それに反応してマルマインたちが一斉に起爆する。
まぁ・・・そりゃこんな易い虚仮威し、嗤われても仕方がない。プランBのBはburst finish(爆発オチ)のBである。「百面相」の拘束が破れた時点で当時の俺が切れる手段はこれしかなかった。人間に寄生するアンノーンの群を一匹ずつモンスターボールで捕獲なんてしてられない。
精一杯虚勢を張ってるが捕獲任務は失敗である。だが最悪記録を残せれば劣兵としては上出来だ。俺の団服には超小型監視カメラが内蔵されており、現場の映像は本部のお偉いさんたちに生中継で配信されている。後はどこまで未知の脅威から情報を引き出せるか、俺の足掻きにかかっている。
こんな命を張った大舞台、ポケモンマフィアの下っ端のクズの最期にしちゃ上出来過ぎるくらいの大往生だ。命が惜しくないと言えば嘘になるが、流れに流され流れ着いた先の顛末、ヘタレて終わるくらいなら、馬鹿みたく自惚れて手前を鼓舞してた方が格好もつくし気分も良い。そうでもしなきゃこんな絶体絶命のピンチなんて立ち回れやしない。
こっちのそんな気を知ってか知らずか、アンノーン人は首をかしげながら質問してきた。
「指示って何?」
「百面相・・・そのメタモンの拘束を受け入れて無抵抗のままでいろ。さもないとこの店がドカンと吹き飛ぶ事になるからな。俺やお前だけじゃない。この店の中にいるお前の大切なお友だち全員が、お前が抵抗した途端に死ぬ」
「試してみせてよ」
「はぁ?」
「爆発してみせて」
「・・・・・・」
「早く爆発してよ爆発」
1分も経たずしてプランBは最終局面に達した。笑い話じゃない。こっちは至って真剣だ。こうもあっさりと命を張り合えるのは奴等が向こう見ずなのではなく、爆発を無力化できる手段があるからだろう。
それを察したかは知らないが、耳に忍ばせたワイヤレスイヤホンから「爆発しろ」と上司から指示がでた。マルマインが大爆発する時の気持ちはきっとこういう気持ちなんだろうと俺はそのとき理解できたかもしれない。俺がヘタレて起爆スイッチを押さなくても上司はもう1つの起爆スイッチを握っている。つまりヤるしかないのだ。
覚悟を決めた瞬間、俺の回りに無数の小型アンノーンがワラワラとより集まりながら旋回している事に気がついた。よくみると「D」「A」「M」「P」の四種しかおらず、バラバラに浮遊しているのではなく「DAMP」と四組で並びながら飛び回っている。この古代文字が意味する言葉は恐らく「湿り気」だろう。
湿り気とはポケモンの特性の1つであり、爆発系の技を使用不可能にするフィールド効果とされている。
まさかそれで終わりなのか?「湿り気」を再現しただけで、うち等の携帯獣化学兵器を攻略した気でいるのか?
俺は絶望したよ。物語の結末を先にネタバレされたような小さな絶望感だが、時が刻むにつれてそれは肥大していく。神風チョッキに組み込まれた改造マルマインの特性は、あらゆる特性の効果を無視して攻撃できる「かたやぶり」に書き換えられているのだから。
結局俺は馬鹿みたく覚悟を決めていたつもりでいたが、心のどこかでアンノーン人の未知の力に期待していたのだ。期待するのは勝手だが当てにするのはお門違いだってのにな。
本当に追い詰められた人間がどうなるか知ってるか?他の連中は知らないが俺は笑わずにはいられなかたね。
自棄糞に笑いながら起爆スイッチを押したよ。
すると目の前が真っ白になった。
そこからは走馬灯ってヤツなのかな。脳裏にこれまで歩んできた人生・・・・・・なんて呼べる立派なものじゃない。自分以外の生物の尊厳を無茶苦茶に踏み躙る悪行の数々が暴かれるように写し出された。自分で言うのも何だが俺は救いようのないクズである。これじゃまるで地獄の閻魔様に裁かれる前の罪人だ。ガキの頃はもっとマシな思い出もあったハズだが、その記憶にたどり着くよりも前に「あの音」が聞こえてきた。
気がつくと周りは真っ暗闇で、俺の足元には赤黒い血の海が広がっている。こんな記憶は存在しない。走馬灯に何かが割り込んで来ているのか、そいつはガシャガシャと音をたてながら暗闇の底から忍び寄ってくる。姿は見えない。ただガシャガシャと音を鳴らすだけ、四方八方からその音が聞こえてく。
音の正体は分からないが、ただ本能が警報を鳴らし逃げるように指示を仰ぐ・・・・・・と言うよりも居たたまれない気持ちが俺を駆り立てたのかもしれない。
音から必死に逃げていたら、いつの間にやら暗闇の中に一筋の光が見えてきた。俺はその光に向かって全力疾走していると、光の向こう側から救世主が現れた。
そいつは「ときわたりポケモン・セレビィ」決して人の前には現れない幻のポケモンが、俺みたいなクズの前に現れた。
ありえない。そう、ありえないのだ。セレビィの回りには小型のアンノーンがまとわりついており、つまり、俺はアンノーン人の手の平で踊らされていたらしい。
再び目の前が真っ白になったかと思えば、俺は何事もなく【witch's store】の中にいた。目の前には皮膚に小型アンノーンを泳がせる受付の少女「アンノーン人」とセレビィがいるが、セレビィは瞬く間に光に包まれ姿を消した。
ポケモンの具現化、グリーンフィールドの結晶塔事件でアンノーンの群が見せた力の一端が、この場で再現されたようだ。
「あなたたちって、とても酷いことをする人たちなのね」
俺や隠しカメラ越しのお偉いさんたちの事も読み終えたアンノーン人は、酷く残念そうな失望したような顔でこちらを見つめていた。
アンノーン人にとって「読む」とは、人の記憶を覗き見する事のようだ。まったく良い趣味をしてやがる。ワイヤレスイヤホンからは耳障りな悲鳴が聞こえており、遠く離れた安全な場所にいる相手にもお構いなしに能力を使えるらしい。隠しカメラも黒幕も全てが筒抜けだった。
今回は相手が悪すぎたとしか言いようがない。生物としての格が違いすぎたのだ。アンノーン人と対峙する俺は文字通りまな板のちっぽけなコイキングだろう。
しかし、そんなちっぽけなコイキングは始末される事なく何故か生き延びている。本部の司令室は何をされたか知らないが今だ混乱しており、機能不全に陥っているのにだ。
これはどういう事かと思えば、どうやらアンノーン人は俺に興味があるらしく対話を求めているらしい。
「なぜ俺だけ無事なんだ?本部の連中に何をした?」
「あなたと一対一で話したかったから外野の人たちには一端退場してもらったわ」
「一対一ねぇ・・・」
俺は辺りをワザとらしく辺りを見渡した。小型アンノーンの群は俺の周りを取り囲み、こちらを凝視している。【witch's store】の店内は市松模様の床しか見えない。
「私は皆で皆は私、それが私たちの在り方なの」
アンノーン人は相変わらず肌の表面に小型アンノーンの群をワラワラ泳がせながら語りかけてくる。マジマジと見ると悪寒がしてくる光景である。
「よく分からんが、それは・・・ひょっとしてアレか?アイアントやミツハニーみたいな社会性のあるポケモン、群を成せばまるで一つ生物であるかのように行動するアレ・・・・・・確か超個体だったかな?」
「そんな感じかな。さらに言えば私たちは一つの意識を共有しているの」
「一つ意識って言うのは・・・・・・その子の事か?」
アンノーンの群が我が物顔で泳ぎ回る体の宿主の少女は不快な表情ひとつする事なく微笑んでいる。
上司から渡されたオカルト雑誌の特集記事を思い返すと、それらしい内容が書かれていた。
【アンノーンは単体では何も起こらないが、二匹以上並ぶと何かの力が芽生える習性がある。群るアンノーンは自分達の習性を理解しているが、力を最大限に発揮する頭・・・・・・理由や目的・意思・自我に欠ける為、人間を依代にする。依代になった人間は神の如き全能な力を思うがままに扱えるようになる】
「そう。彼女は私たちの協力者にして私たちの一員。彼女の協力がなければ私たちは私を維持できない。あなたが読んでいた『月刊どんと来い!ネイティオ神の未来予知』の内容は概ね正解ね」
「マジかよ」
俺はアンノーン人にお墨付きを貰ったオカルトゴシップ雑誌の底知れぬ情報収集力に戦慄を覚えたが・・・それよりも何よりも、しれっと人の頭の中を勝手に覗き見するのも止めて欲しい。
「ごめんなさい。つい癖で」
「平謝りはいらん。所でそろそろ本題に入らないか?」
御託はいらんから早く用件を言えと心の中で毒突くと、出歯亀野郎は悪びれる様子もなく顔をムスッとさせて睨んでくる。
「私たちは貴方の辿る運命を最後まで読みたいの。だから貴方の体に少し移ってもいいかしら?」
「は?」
「あなたの体に私たちを数百匹ほど移住させたいの」
「止めろ馬鹿」
まな板のコイキングだって訳のわからん事をされそうになれば、体当たりくらいしたくなる。
「運命は避けられないけど、正しい道に導ける力にはなれるかもしれないわ」
「いや待てよ待て!お前たちだけで勝手に話を進めるな!まず運命って何だ!」
「決して逃れる事のできない死の運命」
「はぁ!?」
「貴方は私たちが知り得ない存在に命を狙われているの」
「おいおいおいおい待ってくれ・・・頭が痛くなってきたな」
何をどうしたらこんな話になるのか、アンノーン人の一方通行な会話に俺の頭はとうとうオーバーヒートした。何から突っ込めばいいのか俺にはもう分からない。お手上げだよ。だが、これだけは決して譲れない確固たる決意はある。
表皮だけでは飽きたらず、眼球だろうとアンノーンを遊泳させるヤツにはなりたくない。世界的人気を誇るマスコット生物の愉快な仲間たちだろうと、この生理的な嫌悪感は誤魔化せない。
「それなら貴方もアンノーン人になってみる?」
「いや無理だろ」
「貴方の望むままに力を扱えたとしても?」
「その決して逃れる事のできない死の運命も塗り替える事ができるなら考えてもいいが」
「嫌よ。私たちはそれが見たいの」
「喧嘩売ってんのか?」
「大丈夫!運命を迎える前なら貴方は思うがままに力を使えるわ」
「・・・・・・頭の中でだろ?いい加減、人を小馬鹿にしてんじゃねえぞ」
アンノーンの群の依代になった人間は神の如き全能の力を得られるだか何だか知らないが、そんな見え透いた甘言を真に受けるほど馬鹿ではない。結晶塔事件の少女Aはアンノーンに完全に乗っ取られる前に救出されたらしいが、俺の目の前の少女はどうだ?全身にアンノーンをはべらかせて何故正気でいられる?
「彼女とはお互いに納得し合える正統な契約を結んでいるわ。洗脳とか支配とか貴方が妄想しているような物騒な手段は使っていません」
「何か急に言葉が尖ってきてない?」
「あなたに調子を合わせたつもりでしたが」
「そう、まぁいいや。俺は頭の中の空想の世界に閉じ込められるのはゴメンなだけさ」
これは俺の見立てだが、アンノーン人は宿主の記憶や思考・性格・趣味嗜好などを模倣しているように思えた。10代の少女が全知全能の神の力を得たとして、こんな寂れた雑貨屋でおままごとみたいな遊びをするのか?胡散臭くて嗤えてくる。
会話の節々で「私たち」という人称を使うあたり、肉体の主導権は宿主ではなくアンノーンたちにあるのだろう。 私たちに少女が含まれているとして、少女が納得して肉体の主導権を明渡す正統な契約なんて、頭の中で都合の良い幻想を24時間ぶっ通しで放映して、そこから絶対に抜け出したくないと思わせる環境下に置いているのだろう。何でこんなに予想がつくかって、俺たちも似たような事をしているからである。綺麗事や美辞麗句を並べようが薬浸けは薬浸けだ。やってる事は俺たちと何ら変わらない。
こちらの邪推を察したのか、アンノーン人は小さく溜め息を吐くが・・・クソ真面目にレスポンスしてくれる。
「彼女がこの関係を望んでいると言っても貴方は決して聴いてくれませんね。私たちが貴方たちと同じと言うのなら、私という存在は貴方たちと私たちの立場が入れ替わっただけの事なのに」
「お前たちが俺たちの立場なら受け入れられるか?今まで当たり前だった支配者と従者の関係が逆転して仕方のない事だと簡単に納得できるヤツなんていないだろ」
「私たちは決して一方的に支配などしていません・・・が、首なしの悪意とこれ以上言い争う気はありません」
「は?分かるように話せ」
「水掛け論は好きですか?」
「無駄な事は嫌いだな」
「なら貴方とこれ以上話すことありませんね。しかし私たちは貴方の事を観測したい気持ちは譲れません」
何やら雲行きが怪しくなってきた。話し合いで解決しないとなれば、残された選択肢は一つしかないだろう。俺もよくやる十八番の常套手段だ。お高くとまった独善家の底は探れてきたが、調子に乗って煽りすぎたらしい。
「結局力ずくじゃねーか!!」
俺が怒鳴り散らしたところで浸入は止められない。俺の周りを囲んでいた小型アンノーンたちは一斉に飛びかかってくる。俺は両腕を振り回して振り払おうとするが、アンノーンたちは衣服に触れた瞬間ペタリと貼りつき、服から肌へと伝いながら、人の身体を我が物顔でまさぐるように動き回る。全身の触覚が阿鼻叫喚して言葉にならない叫び声をあげた。床を転げ回りながら、まとわりつくアンノーンを潰そうとするが、連中は意に返す事なく蠢き続ける。自棄になって神風チョッキのスイッチを入れるが、既に無効化済みらしく自爆する事すら許されない。
「大丈夫、次期に馴染むわ」
「大丈夫じゃねーよ!ぶっ殺すぞ畜生!!」
「落ち着いて、恐いのは分かるけど、私たちは決して貴方を支配したりはしないわ。それを今から証明してあげる」
「あ〜〜〜〜〜〜!!そういう問題じゃない!!それ以前の問題だ馬鹿野郎!!!」
思い付く限りの罵詈雑言を吐き捨ててるうちに、アンノーンの群は俺の体内に収まりこんでしまった。口腔・鼻腔・眼窩の隙間・肛門etc.から遠慮無しに入り込んできたのだ。身体中を這いずり回られる不快感は消え失せたが、アンノーンごときに陵辱された不愉快極まる異様な体験は、そう簡単に払拭できない。
辺りを取り囲んでいたアンノーンの群はいつの間にか消え失せ【witch's store】の店内が視界に入る。アンノーン人は相変わらず肌身に同胞を泳がせており気色悪い。
「これで満足か?アンノーン人さんよ」
「ひとまずわね」
「人の運命がどうたらこうたら出鱈目言って、結局は俺の身体が欲しかっただけじゃないのか?」
「こんな風にいとも容易く実力行使ができるのに、わざわざ見え透いた嘘をつく理由があるかしら?」
アンノーン人にしては珍しく筋の通る事を言う。相変わらず微笑みの相を崩す事はなく、小型アンノーンの群を全身にはべらかせている事もあり、人間味はまるで感じられない。そこに宿主の本当の表情は決して現れないだろう。
「私たちは貴方の運命を観測する事が第一目的なの。極力貴方に干渉する事はないから安心して」
「私生活丸々監視される俺の羞恥心に対する補償とかはないのか」
「あるにはあるけど、それは私たちにその身を完全に委ねる事になるからオススメはできまないわ。現実的な力の行使については論外。貴方のような性根の腐った悪党に私たちの力を使わせる訳にはいかないの」
勝手に契約内容を捲し立てた上に罵倒までしてきやがる。まぁそんなもんだろうと予想はしていたから憤慨するような事はない。寧ろその傍若無人な振舞いに呆れ果て憧れすら覚えてくる。アレのように力を思いのままに行使できる事こそ、我等が組織の最終目標なのだろう。
「一番酷い悪党がよく言う」
「貴方たちと一緒にしないで、私たちは穏やかで細やかに暮らせればそれでいいの」
「伝説級のポケモンを自在に具現化できる力があるのにかよ?望めば世界征服だって朝飯前だろうに?」
「それに何の意味があるのかしら?太陽の温かさを風の心地よさを肌身に感じれて、空の透き通る青さを見えて、大地を力一杯駆け巡れて、海や湖を泳ぎ回れて、ふかふかの暖かいベットの中で安眠できて、美味しいご馳走をお腹一杯食べたり、友達をつくって一緒に遊んだり共感したり、気になった事を自由に探求する事の方が楽しいわ」
アンノーン人は「お前たちとは絶対に違う」と自信満々に言いたげな憎たらしい満面の笑みを浮かべると、バイバイと手を振り出した。
すると【witch's store】の内装がぐにゃぐにゃ揺らぎ始め途端、空間に無数の目が出現しパチパチと瞬きを繰り返す。それはこの短時間の間に嫌と言うほど見てきた奴等、アンノーンたちの眼だ。
どうやら【witch's store】そのものがアンノーン人が具現化した空想の世界だったらしい。怪奇趣味に溢れた商品は形が崩れて霧散していき、店内は目映い光に包まれた。
閉じていた目を見開くと、辺りは地方都市の寂れた路地裏に様変わり。ゾロアークに化かされたような気分になったが、俺の掌には「O」のアンノーンが泳いでいた。アンノーンの群に身体を寄生された以上、俺の現実は本物なのかアンノーンの群によるまやかしなのか判別する事は難しい。本当の現実と頭の中で思い込んでいるだけで、実は身体を乗っ取られている事は十分にあり得るだろう。
そんな事を勘ぐっていると口の中から「A」のアンノーンが飛び出してきてギロリと睨み付けてくる。どうやら怒っているらしい。
さらに左目がもぞもぞするかと思えば何かが頬を伝い掌に這い寄る。見てみれば「KEEP PROMISE」と連なるアンノーンが一斉にこちらを睨み付けている。
「さっそく破ってんじゃねーか」とぼやくと、契約内容を思い出した小型アンノーンは慌てて人の鼻腔に逃げ込んだ。この現実が蝴蝶の夢でない事はひとまず分かったが、酷く不快な気分はどうやっても拭えない。
本部とは通信が途絶えてたまま、ワイヤレスイヤホンマイク・隠しカメラはご丁寧に全て破壊されていた。本部に帰還して記録を確認したが音声も映像も全て使い物にならないノイズや乱れが紛れ込みアンノーン人のデータを欠片も残せなかった。任務は記録上失敗に終わり、アンノーン人は我が組織のブラックリスト(捕獲不能特定携帯獣)入りを果たし、現在もその動向を探り捕獲方法を模索しているが、未だに結果は出せていないようだ。
俺の身の上に起こった事は組織には秘密にしている。これが組織にばれたら、俺をモデルにした解体新書の一冊や二冊躊躇いなく作るだろう。任務終了後身体の隅々まで調べ尽くされた時は胆が冷えたが、アンノーンは上手いこと隠れてくれて難を逃れる事ができた。
ところで体内にアンノーンの群を飼う俺は、アンノーン人となったのだろうか?全知全能と持て囃される噂の力は使えず、あのダメ出し以来アンノーンたちは俺の体内から飛び出てくる事はなくなったが、ときどき身体の内側で何かが蠢いているのを感じる。あのアンノーン人は絶対に違うと断言しそうだが、他のアンノーン人はどう思うのだろうか?
こいつ等が観測したがるような死の運命は未だ訪れていないが、あの走馬灯の中で聞こえた奇妙な音は日に日に近づいてきている。
ガシャ・・・ガシャ・・・
ガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャ
いらっしゃいませ。何をお求めでしょう? え? あぁはい、表にも書いてあります通り、当店は専用道具を主に取り扱っております。ご存知の通り専用道具とは、バッグに入れておくだけで対応するポケモンの能力を向上させる道具。お客様はリオルですので、リオルの尾やリオルのカード等がそれにあたりますね。ここではそういった専用道具を数多く取り揃えている訳です。
さて、先ほど申し上げました通りお客様にはリオルの尾にリオルのカード、値は張りますが勇気の石や波紋の指輪、あとはルカリオの牙等のルカリオの物も効果がありますがいかが致しましょう? はい、かしこまりました。ではまず尾とカードから見てみましょうか。
こちらがリオルの尾とリオルのカードになります。値段はこの通りですね。そうですね、今の所リオルの尾は7本、リオルのカードは5枚用意しております。専用道具としての効果はどれも同じですが、カードなんかはそれぞれ絵柄も違いますし、お買い上げなされる際はお好きな物をお選び下さい。もちろん複数お買い上げなさっても構いません。えぇ、どうぞごゆっくりご覧下さい。……はい何でしょうか? そうですね、絵柄の仔に尾があってもなくても効果に差はないですね。この5枚は効果に関しては全て同じですのでお客様の好みで選んで問題ないかと。もし尾とカードを両方お買い上げになられるのでしたら、元々カードの絵柄の仔の尾だった物とセットで、という買い方もございますが。あ、そこまでこだわりはないのですね、失礼致しました。……はい、はい、ありがとうございます。
更にお仲間の分の道具も買ってみてはいかがでしょうか? 身に着けていらっしゃるその金色のマスク、もしやあの黄金仮面という道具では? あぁやはり。ミーも実際に見るのは初めてなんですが噂は聞いた事がありまして。手に入れた者は仲間に恵まれる、という。えぇ、入手が非常に困難だというのも、流石ですね。ですのできっと頼りになるお仲間もいるのではないかと思いまして、その方々の分も用意してみてはいかがでしょう? おぉ、ロコンのお仲間が。えぇとロコンでしたらロコンの尾やロコンのカード等がそうですね。お揃いですねー、ふふ。こちらになります。あぁ、尾の方は1匹から6本まで採れますから尾を残したままカードになった仔も多いんですよ。おぉ、ありがとうございます。
あとは専用道具というよりもコレクションやアクセサリーとしてはいかがでしょう? はい、道具としてダンジョンに持ち込むのはお勧めしませんが、観賞したり普段使いしたり、そういった楽しみ方をするお客様もおられます。コレクションされてる物で多いのはカードですね。一枚一枚絵柄が違いますし種類も多いですから。集め続ける為に常連になられたお客様も数名おられますね。中には神経衰弱が楽しめる様に毎回種類毎に偶数枚お買い上げになられるお客様もおられます。それ以外ですと、主観になりますがとにかく綺麗な物や不思議な物も多いですね。綺麗な物では星の宝石やきらめくマフラー、夜空のリボン等。不思議な物では波のお守りやスパイスリボン、振動スカーフ等がそうでしょうか。ご存知です? 波のお守りに耳を澄ましますと波音が聞こえますし、スパイスリボンも舐めてみるとちょっと辛いんですよ。あ、勿論店に並べる際はきちんと洗っておりますし、洗っても味がするんですよ、はい。えぇ、振動スカーフもお察しの通り触ると微かな振動が感じられます。ただこれらは値が張りますのでこういった物を多く集めてるお客様はあまりおられませんね。さていかがでしょう? 何か気になる物はございませんか? そうですか、はい、かしこまりました。
では以上でよろしいでしょうか? リオルの尾、リオルのカード、ロコンの尾、ロコンのカード、4点で1,100Pになります。お買い上げありがとうございました。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ポケモンストーリーテラーカーニバルのテーマBに参加させて頂いた作品です。参加時のマスクネームは「ものがえだま」。マサポケのチャットで自作語りしたのでそのログも以下に載せておきます。本文より長い!
お知らせ:門森 ぬる(Win/Chrome)さんが入室しました。(19:45)
門森 ぬる:ポケストカーニバルの自作語りしまーす(19:47)
門森 ぬる:でもまず宣伝したい(19:50)
門森 ぬる:今回のコンテストのテーマ的なのに「一度きりのセッションを」ってあるじゃないですか(19:51)
門森 ぬる:Oneshot(https://store.steampowered.com/app/420530/OneShot/)宣伝するしかないよね((19:52)
門森 ぬる:実際自作の感想欄でOneshotの宣伝したかったってのが結構参加のモチベーションになったり。個別に感想送るフォームがなくて諦めたけど(19:53)
門森 ぬる:ほんとOneshot素敵なので是非、ね(19:54)
門森 ぬる:自作の店員の一人称がミーなのはどこかにOneshot要素を入れたかったからという理由です(19:55)
門森 ぬる:ちょっと怪しさ増すってのもあるけど一番の理由はOneshot(19:56)
門森 ぬる:一度きりのセッションがOneshotとどういう関係かはもうプレイして下さいとしか(19:57)
門森 ぬる:参加作をポケダンでOneshotのパロディにしようかと考えた事もあるけどもネタバレする関係上冒頭にOneshot未プレイの方は読まずにスキップして下さいって注意書きするというコンテストにあるまじき事態になりますからね、うむ(20:00)
門森 ぬる:とにかくプレイしましょう。是非是非(20:01)
門森 ぬる:宣伝終わり(20:01)
門森 ぬる:さて何から語ろうか(20:02)
門森 ぬる:あ、語るにあたって台本的なのは用意してないのでぐだぐだ語る感じになります(20:03)
門森 ぬる:とりあえず感想を上から眺めていって言及されてる部分について語っていこうかね(20:04)
門森 ぬる:あ、その前にこのネタのきっかけ語ろう(20:05)
門森 ぬる:ポケダンの専用道具がポケモン由来ってのはこちら(https://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=54791840 )(リンク先R-18G)を見ましてなるほど良いなぁと(20:11)
門森 ぬる:ポケモンをカード化するのはこちら(https://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=60485820 )等のカード化見てですね(20:13)
門森 ぬる:主にこの2つのアイディアから作っていきました(20:15)
門森 ぬる:今回のお題で一番消化するのが難しいのは神経衰弱じゃないですか(20:17)
門森 ぬる:さてどう消化しようかなーと(20:17)
門森 ぬる:例えとかで出すなら「多数のパーツの中から特定の組み合わせを探す」的な場面が必要になりますし。こう、線形探索的な(20:19)
門森 ぬる:まぁ悩んでた所にポケモンをカード化してそれでやれば性癖やん! というアイディアが(20:20)
門森 ぬる:じゃあポケモンをカード化するとしてどんな世界観にしようかなと(20:22)
門森 ぬる:で専用道具にカード類あったなぁと(20:23)
門森 ぬる:で軸が固まりました(20:24)
門森 ぬる:専用道具にマスク類があればマスクのお題も消化できるのでは? という思惑もありました。しかし書くにあたって攻略サイトの専用道具一覧的なページで探してみましたけどありませんでしたね。残念。(20:27)
門森 ぬる:さて感想で言及されてる所見ていきますか(20:29)
門森 ぬる:尾はね、うん。断尾も性癖なので((20:32)
門森 ぬる:ただ尾が専用道具なの3種位しかいなかったんですよね(20:33)
門森 ぬる:しっぽも含めれば4種だったかな(20:33)
門森 ぬる:なのでリオルとロコンの起用も専用道具の組み合わせが大きな理由だったり(20:36)
門森 ぬる:次はマスクネームか(20:37)
門森 ぬる:マスクネームは最初は本文とあまり関係ないものにする予定だったんですよ(20:37)
門森 ぬる:それこそOneshotと絡めていきたいなぁとも(20:38)
門森 ぬる:ただまぁ本文完成して読んでノーヒント過ぎるかなぁと感じまして(20:40)
門森 ぬる:でポケモンが道具にされてる事の手がかりとしてものがえだまをマスクネームにしました(20:41)
門森 ぬる:そうしてなかったら伝わらなかった方増えてたと思いますしこれで良かったとは思います(20:43)
門森 ぬる:んー、店の仕入れなー(20:44)
門森 ぬる:世界観としていくつかのパターンは考えてありますけどどれかってのは決めてないのよね(20:45)
門森 ぬる:1.道具化されたのはダンジョンのポケモンのみ(20:45)
門森 ぬる:2.確保されたお尋ね者や泥棒を道具化(20:46)
門森 ぬる:3.町とかで生活してるポケモンや探検隊でさえ道具化しても何ら問題ない(20:47)
門森 ぬる:今回の話は多分1かなーとは思うけど他の可能性も残しておきたい(20:49)
門森 ぬる:細かくは多分少し後で語る事になりそう(20:50)
門森 ぬる:コレクションする客(20:51)
門森 ぬる:お題の波音消化するにあたり、専用道具に探検上の効果以外の効果を付与する事になりまして(20:54)
門森 ぬる:じゃあそれ目当てに集める仔もいるだろうなーと(20:55)
門森 ぬる:で、お題消化をコレクター側に任せれば買い物客は性癖で選べる様になるので(20:58)
門森 ぬる:あ、世界観としては専用道具がポケモン由来なのはみんな既知な感じで想定してたり。でも知らない仔がいてもおいしいのでおっけーだけど(21:02)
門森 ぬる:さて今回地の文だけというか会話文だけで進む形になりましたね(21:04)
門森 ぬる:これはまぁお題消化の為には専用道具の説明が必要な訳ですけども(21:07)
門森 ぬる:説明しても不自然じゃない状況は何かなーと(21:09)
門森 ぬる:地の文書くのが苦手なので地の文での説明が選択肢に入らないんですよね(21:10)
門森 ぬる:でまぁ何かの案内役とかセールストーク的なのとかかなーと(21:11)
門森 ぬる:それを中心に据えるとして、会話文が大量になる訳じゃないですか(21:14)
門森 ぬる:ならもういっそ全部同じ仔の語りにしてしまえと。そんな感じ(21:15)
門森 ぬる:さて、売り物がポケモン由来だという事が至極当然の様に語られる事(21:19)
門森 ぬる:最初の世界観固まってなかった頃はですね、ポケモン由来である事を明示するか仄めかす程度にするか悩んでたんですよねー(21:21)
門森 ぬる:仄めかす程度の場合はその世界ではポケモンを道具に変えて売るのは違法的な世界な訳じゃないですか(21:24)
門森 ぬる:で、それを本文を語りのみで進めた場合、読者がそれに気付くって事は客も気付くって事になる訳で(21:26)
門森 ぬる:客にはバレず読者には伝わる様に書くには地の文が必須な訳ですよ(21:27)
門森 ぬる:客から見えない部分の描写とか。もしくは客の退店後に何か語るか、調達する場面を書くかとか(21:30)
門森 ぬる:まぁ私の文章力じゃどれも厳しいのでじゃあそれが問題ない世界観にしよう、と(21:31)
門森 ぬる:主人公達がものがえだま使ってもお尋ね者になりませんし(21:32)
門森 ぬる:そんな訳でポケモンを道具に変えて売ってるのは明示する感じに(21:36)
門森 ぬる:ポケダンの倫理観はもうボロボロ(21:36)
門森 ぬる:ただまぁ誰もが道具にされて売られる危険があるのは安心して暮らせませんし制限的なのはあるのかなーとも(21:42)
門森 ぬる:色々考えた結果対象をダンジョンのポケモンに限るのが妥当な着地点かなーと。主人公達もダンジョンでしかものがえだま使えませんし(21:43)
門森 ぬる:というか多分ダンジョンのポケモンに人権的なのは認められてないんだろうなーという(21:44)
門森 ぬる:まぁ無制限に色々できてカオスなのも好きなので可能性は残しておきたい(21:45)
門森 ぬる:のでこんな世界観が妥当だろうなーというのはあるけれど決めてまではいません(21:46)
門森 ぬる:あ、そうだ、神経衰弱のコレクターで一つ後悔が(21:47)
門森 ぬる:そのコレクター多分毎回偶数枚買ってる訳じゃなさそうな(21:48)
門森 ぬる:絶対神経衰弱で負けた相手をカードに変えてますよね((21:49)
門森 ぬる:そうなると奇数枚だけ買う事もありそうだなぁと(21:49)
門森 ぬる:そのコレクター曰く勝利の秘訣はカードを理解したりカードの声を聴く事だとか。カードゲームの主人公かな?(21:52)
門森 ぬる:あとそうだ、店員が何のポケモンかは決めてません(21:53)
門森 ぬる:やっぱりカクレオンだと思った方が多かったみたいですね。それでも何ら問題はないのですが(21:53)
門森 ぬる:個人的には何のポケモンでも良いんですよね。それこそ第5世代以降でも(21:55)
門森 ぬる:一人称がミーなのはOneshot要素入れたかったからですし特に人物像とかも決めてないです(21:57)
門森 ぬる:あとそうね、後半出てきた☆☆や☆☆☆の道具もポケモン由来だと思ってます。調達法は決めてないけど(22:00)
門森 ぬる:専用道具が特定の種類のポケモンのみに効果があるのは何故か? ってのにそのポケモンが元だからっての原理の説明にはなってなくとも説得力はありますよね(22:02)
門森 ぬる:タイプ毎に効果があるやつはうん、何だろうね(22:03)
門森 ぬる:長さかー……長さはなー、私には無理やね。うん(22:06)
門森 ぬる:これでも思ったより長くなったのよね。1500字位だったかな?(22:06)
門森 ぬる:それでも参加作中最短なのよね。みんな長いなぁ。すごい(22:08)
門森 ぬる:A部門は全部5000字越えてるのよね。やばい。すごい(22:09)
門森 ぬる:字数が4桁超えると短編って感じがしなくなる活字嫌いマンには長さはどうにもならんね、うむ。A部門は全部長編(22:12)
門森 ぬる:好きパワー全開で性癖詰め込むには文章力が足りないのよね(22:15)
門森 ぬる:こう、うん、描写というか、再現できないのよね。事柄を書き連ねるしかできない(22:18)
門森 ぬる:商品の紹介順はんー、作品としては後半に盛り上がりがある方が良いんでしょうけども客が求めてる物から見てくのが自然でしょうしそこが一致しないんですよね。買い物客がコレクターなら少しは融通利いたかな……?(22:24)
門森 ぬる:両立できれば良いんですけどその文章力はないのでしゃーない(22:25)
門森 ぬる:あとはそうね、ポケダン知らないと分かり辛いってのはそうだろうなぁと。(22:31)
門森 ぬる:世界観から説明できる力はないのでそこはもう読者任せですね(22:33)
門森 ぬる:読むのに必要な知識がある以上コンテストに出すのに向いてないんですよね。まぁ出さないよりはマシやろってノリで出しましたけども(22:36)
門森 ぬる:万人受けとは無縁(22:38)
門森 ぬる:あとはマスクネームをタイトルにかー。んー、マスクネームが無かったら本文が理解できないって自覚はありますけどものがえだまはタイトルにはならないかなー(22:43)
門森 ぬる:というのもポケモンを道具に変えた方法がものがえだまとは限らないので(22:43)
門森 ぬる:マスクネームで与えたかったヒントはものがえだまが存在し主人公達が使っても問題のない様な世界的な感じかな……?(22:45)
門森 ぬる:まぁものがえだまというポケモンを道具に変える手段があるならそれを研究すれば他にも方法が見つかるかもしれませんし(22:47)
門森 ぬる:メタ的な事を言えばものがえだまの処理が技の処理と同じならそれをスケッチできるドーブルがいるかもしれないし、ものまねやまねっこ出来るポケモンもいるかもしれない(22:49)
門森 ぬる:原作云々ならそもそもものがえだまで専用道具にはなりませんしそのあたり都合よく解釈していく感じで((22:50)
門森 ぬる:勿論ものがえだまで変えてるの可能性はありますけど色々可能性は残しておきたい(22:51)
門森 ぬる:実際脳内では無地のカードに封印的なイメージでしたし(22:52)
門森 ぬる:そんな所かなー。あと何か語る事あったかな(22:55)
門森 ぬる:あぁそうだ。書いたのは店員の語りだけだけど一応リオルの台詞も考えてあったりはしました。もう忘れましたが((22:57)
門森 ぬる:店員の相槌の前の所に何かリオルの台詞が入ると思って頂ければ(22:58)
門森 ぬる:そういえば値段もそれぞれ考えてました。ロコンの尾が200P、他が300P。ロコンの尾は供給が多いので(23:03)
門森 ぬる:以上かなー。あとは何か質問とか要望があれば是非(23:05)
門森 ぬる:なさそうかね。じゃあ最後に(23:18)
門森 ぬる:Oneshot(https://store.steampowered.com/app/420530/OneShot/ )素晴らしいので是非プレイしてみて下さい。本当に。是非。うん(23:19)
門森 ぬる:以上! 自作語り終了!(23:20)
注!
この話は自作の、
・夏の終わりに(ホワイティ杯)
・新入り(ハワイティ杯)
・チキン・デビル(ポケスクの覆面小説企画)
の続編となります。これ単体でも楽しめるかと思いますが、上記を読んでいない方はそちらを読んでからの方が良いかと思います。
因みに全て下から読めます。
https://syosetu.org/novel/106512/
-----
冬、という季節が人間の暮らす街では忍ぶものではない、と知ったときには驚いた。
冬であれど、人々はいつもとそう変わらず暮らし、人と暮らすポケモン達もそれに倣って、またその人々の発展させてきた物に囲まれて、温かく暮らしていた。
まあ、それは人と暮らすポケモン達であって、俺やゾロアークにはぴったしとまでは当てはまらない。
俺もゾロアークも、人と暮らすというよりかは、人の営みを利用して暮らしている、と言った方が正しい。誰かに仕えている訳でもなし、飼われているでもなし。
でもまあ、冬はやっぱり寒いし、火を勝手に焚こうならば人が飛んで来るしで、正直辛い。
人の下に就いてしまおうかという思いは、こんな季節には頭を過る。
ぽかぽかとした温かい部屋で、美味しいものを満足いくまで食べられる。そんな生活。寝るのにもそう周りを警戒しなくても良いだろうし。
でも、やっぱりそれは無いな、とも思う。
俺とゾロアークを戦力として捕まえようとする輩も居るし、人と生きようと思えばなそうれる。なった方がきっと人が生きる場所で生きるには楽だろう。
でも、それは何か違うと思う。
その何かは考えても中々良く分からないけれど、何と言うか、そうしたら、俺の中の大切なモノが一つ、失われてしまうような気がする。
けれど、雪が降り始めてしまうと、より一層寒さが身に染みるようになって、やっぱり迷ったりもする。
ふらふらと落ちて来る雪。
昨日からずっと、強くなることも、弱くなることもなく、ただただ、しんしんと降り続けている。
歩くとその後ろに足跡がしっかりと残る。足裏はとても冷たく、ぼうっとしていれば雪が体にも積もってしまい、振り落さないと湿って凍えてしまう。
寒さに耐えかねて空き家をこっそり借りて昨日も寝たし、寒いのはやっぱり辛い。腹が減るのも、寒いとより堪える。
そんな時に、腹を満たそうと思えば大抵満たせる場所があるのは、とても幸いだった。
春ごろから、その飯に釣られて顔を出すようになった場所。
格闘タイプのポケモンが多く居る、道場とか呼ばれる場所。
冬でもその道場は毎日のように続いている。
行くのは毎日じゃないけれど、その人間のポケモンや人間達に付き合えば美味しいものを食べられるし、温かいし、それに捕まえようとしてくる輩もいないし、中々良い場所だ。
正直、会いたくない奴もその中には居るんだが、それを含めても良い場所は良い場所だ。
入ると、その会いたくない奴に真先に目を付けられた。
あー……。
キテルグマ。ミョーな顔つきをした、頑丈な怪力バカ。
普通の攻撃何故かあんまり通らないし、パンチの一発が驚くほど重いし。そして最悪なのは、何故かこいつと初めて会う直前に、こいつに殺された夢を見たこと。
夢の中のそいつとは全く関係ない事は分かっているんだが、どうも慣れない。
でも、何度も戦わされたりして、勝てないこともないことまでは分かって来た。
波導弾とか使わないと、正直本当に辛いけれど。
手合わせ願おうと、その何考えているか分からない顔で、早速俺に構えて来る。
あー、はい。
昨日、俺が辛うじて勝ったからな。悔しいよな。
*****
今日もルカリオは道場だろうな、と思って中に入ってみると、必死な顔してキテルグマの攻撃を躱しているそのルカリオがすぐに目にはいってきた。
ぶおん、と恐ろしい音がする腕の振り回しを屈んで避け、どん、足を踏み鳴らしながらその脇腹に発勁を叩き込む。
けれどそう大して怯む様子もなくキテルグマは続けて掲げられた腕を叩きつけ、それをまた寸前でルカリオは躱した。
一発当てられたらもう負けに等しく、この障害物も特になく、広くもない道場では、波導弾を練る時間もそう与えてはくれない。
ルカリオはちまちまとダメージを与えていくしかないわけだ。
その顔は、俺と戦っているときより真剣だ。いや、真剣というよりはやっぱり、必死という方が合っているな。
単純に力任せではなく、体全体の捻りを加え、足腰をちゃんと据えて繰り出される攻撃。力任せなだけでも必殺に近い威力を持つのに、ちゃんと武道を覚えている動き。誰だってあんなもの当たりたくない。
暫くそんな攻防が続いた後に、流石にそんな一触即発を続けられなくなったのか、ルカリオが大きく宙返りをした。
一旦距離を取りたいと考えたのだろう、小さめの波導弾を両手に拵えていた。
ただ、キテルグマは全く今までの攻撃が通じてないと言うように、肩を前に出して突進して来た。丁度、ルカリオが着地する場所に目掛けて。
ルカリオの目が死んだのが見えた。
小さいその波導弾を二つ当てても全く怯まずに、キテルグマは突進を続け、その全体重が乗ったタックルをルカリオはモロに食らった。弾き飛ぶように吹っ飛び、そして壁までごろごろと転がって、そして動かなくなった。
あーあー……。
近寄って顔を見ると、白目を剥いていた。
キテルグマは膝を付いていた。……まあ、全く無傷な訳はないよな、流石に。
その後、そのキテルグマがやってきて、別の場所にあるソファにそっと寝かせた。流石にやり過ぎかと思ったのか、俺に頭を下げて来た。
まー、お前が勝てるのは道場だけだぞ? 俺に対してもな。
そんな事を、言えたら言ってみたかった。
暫くの間、目を覚ましそうになかったから、隣に居てやることにした。
ソファでだらりと横になっているルカリオ。
流石に骨までは折れてないし、口から血を吐くということもなく、気絶はいつの間にか眠りに変わっていた。
まあ、寝かしといてやるかと思っていると、テレビの音が聞こえて来た。
「今日はクリスマス! そんな日にとっておきのレシピをお教えします! 必要なのはワカシャモの鶏もも肉2本、メェークルの首の葉っぱ数枚、塩、コショウ、......」
チャンネルを変えたようで、聞こえてくる内容ががらっと変わった。
「続いて次のニュースです。先日〇〇タウンが一夜にして壊滅した事件に関してですが、警察からの情報は未だにありません。
辺り一帯への侵入は禁止とされていますが、その理由もはぐらかされるばかりで、近隣の住民からは不安が広がっています……」
またチャンネルが変わった。
「今日はジョウトタウンに来ています。この日本でもクリスマスや行われるようで、ジョウトの光景とクリスマスの装飾が合わさって中々カオスな事になっていますね……」
それからチャンネルが変わることはなかった。
テレビの音を聞いてかルカリオが唸り始めたので、顔を叩いて起こしてやると、はっ、と目を見開いて、それから大きく深呼吸を何度かして、ゆっくりと落ち着いていった。
はぁー、と溜息を長く吐いて、ぐったりとソファに座り直した。
その後昼になって、飯を食べながら人に混じってテレビを見る。
食べ物は今日も相変わらずワカシャモの肉で、あいつも確か格闘タイプだったよなー、とか思ったり。
夏の終わりか秋の始め頃に、そのワカシャモを育てている場所で脱走事件があったとかテレビで聞いたが、俺があの場所でワカシャモとして生まれていたら、とか考えたっけ。
正直まあ、深くは考えたくない。知りたくもない。それで終わりだ。
美味しいものの裏には、闇がある。それを知ってしまった。
いや、気付かされた、か。知っていたと言えば、多分知っていたんだよな。店とか覗くと、そういう肉とかも売ってたし。
知っていて、全く考えた事は無かったんだ。
*****
昼が過ぎて、今度は他の人やポケモンと、普通に稽古をする。普通に。
ゴーリキーだってあんなタックルして来ないし、カイリキーだって多分しないと思うぞあんな事……。
本当に痛かった……。この鈍い痛みは数日は続きそうだった。
そんな事を思いながらも、この道場のリオルと手合わせをする。俺の半分位の身長だが、妙にすばしっこくて、偶に攻撃を貰う。
将来良い奴になる、こいつは。
少なくとも俺は越すだろう。過去の記憶もそう大して覚えてない、ぶらぶらと生きているだけの俺よりは肉体的にも精神的にも、良い奴になる。
ただ、人の街以外では暮らせなくなるであろうという事とも同じだろう、それは。
当然のように飯があって、良い場所で眠れて、生きる上で最低限何も考えないで良いからこそ行けるところだ。
このまま成長して、人と暮らせなくなったとき、俺のようにはきっとなれないだろう。
それが良い事が悪い事かまでは分からないが。
昼も暫くが過ぎて、帰ろうかと思ったとき、珍しく止められた。
波導を読むと悪い事を考えている気はなかったので留まる。
……?
何か、ぞく、とした。
辺りを見回す。注意深く、波導を感じ取る。……ここじゃない、な。遠くまで感じ取ろうとしてみたが、その最中にゾロアークが俺を見て来た。
引き留めた理由を聞いたらしく、わくわくしてる様子だった。
……まあ、大丈夫だろう。
そう決めて、他の人間の稽古に付き合う事にした。
そして夜が来た。
トイレに行って、人間の見様見真似で覚えた便を済ませる。ここまで行くと、もう人間と暮らしているようなもんだよな、と思いながら蛇口を捻って水道も使う。
トイレから出ると、食堂からとても良い匂いがしてきて、ああ、これの為だったんだな、と思った。
そういや、今日はクリスマスとか言う日だったっけ。それがどういう日かは知らないけれど、どうやらめでたい日であることは確からしかった。
微かに聞こえる賑やかそうな声。
美味しい肉の匂い。……もう、俺は人と暮らしているんだな、と思う。
ボールに入ることのない形であるけれど、それだけが人と暮らす形じゃない。ボールに入る、人の下に就く、そんな事だけが人と暮らす形じゃない。今更、そんな事に気付いた。
人と、暮らす、かぁ……。俺がボールに入る事は無い、それは絶対として思える。俺は人と暮らすとしても、俺の場所はこういう人工物に囲まれた場所じゃない。ここは落ち着く場所ではあるが、住む場所ではない。
さて、行こうかな。そんな時ふと、俺は昼の事を思い出した。
ぞく、としたあの感覚は何だったんだろう。
波導を感じ取ってみて、
*****
良い匂いだ。とても。
こんがりと焼き上げられた鶏肉。ただ焼いたんじゃなくて、色んなものを詰めて、そして表面も何か塗って焼いたみたいで、カリっと焼き上がっている。本当に、良い匂いだった。
それに加えて芋や野菜も茹でたりされていて、肉に負けず劣らず美味しそうだった。
つまみ食いしたい欲求にとてつもなく襲われるが、それをしてしまったら、ルカリオはともかく俺は、ここに入れなくなってしまうだろう。
ああ、くそ。
ルカリオ何してるんだ? そろそろこれを食えるんだぞ?
トイレにしては長すぎるし、何だろうな。
皆、食べ始めないでくれよ、と思いながらさっと食堂から出た。
稽古も終わり、誰も居なく、薄暗い通路。誰もが食堂に集まって今か今かと待ちわびているのに、ルカリオだけまだトイレだった。
トイレの扉は開いていて、中に入ると、一つ、大の扉が閉まっていた。
ノックすると、がたがたっ、と思い切り震える音がした。
「ウゥ?」
ルカリオか? そこにいるの。
暫くして、鍵を開く音がして、扉が開いた。中には、今までにないほどに怯えているルカリオがいた。
……何があった? 浮かれた気持ちがその異常な様子に一気に上書きされる。
呼吸を酷く荒くして、どこか遠くを酷く気にしている。
その波導の目に、何かが見えている。とてつもなく恐ろしいものが。
それは、確信だった。
キテルグマなんかが取るに足らないように思えるような。ルカリオがここまで怯える、どうしようもない程の何かが。
はぁっ、はぁっ、と酷く息を荒くして、何をどうしたら良いのかも分からないようで、縮こまるしか出来ないようで、俺は戸惑った。
何があるんだ?
いや、きっと何かが来るのだろう。波導、感情や色んなものを読めるルカリオは、それに対して諦めに近いほどの絶望を抱いている。
と、とにかく、ここが危険なら逃げないと。ここで隠れているよりはマシなはずだろう。
そう思って取り敢えずルカリオを外に出そうとすると、止められた。
「ア、……ア……」
声にならない恐怖。
その時、ずん、と何かが響いた音がした。
恐怖が俺にも伝わって来る。まだ、遠くだ。けれど、この街に、その何かがやってきた。とても恐ろしい何かが。
それはいきなり激しくなった。建物が崩れる音さえしたような気がした。物が燃えるような音がした気がした。
ルカリオの震えがより一層激しくなった。体ががくがくがくがくと震え、もう全く収まらない。その恐れだけで死んでしまうほどに思えた。
どうすれば良い? そう思ったとき、上に目が行った。屋根裏……。それに通じる蓋が真上にあった。
外に出るのさえ危ないのなら、そこしかないのでは。
ルカリオも上を見た。
頷いた。
埃塗れの中、真っ暗闇の中。
ぎゅっ、と互いに抱き締め合った。
震えが少しでも収まるように。ルカリオにもまた、とても強く抱きしめられている。それでも動悸は収まらないようで、息は荒い。
静かだった。
何も無ければあの美味い飯を食べることが出来ていただろうに。そう思いながら。
その、食堂の方からも何も聞こえなかった。破壊の音だけが、断続的に聞こえる。
そして、段々と近付いて来て、人々の悲鳴さえ遠くから聞こえて来た。
「逃げろ! 何かが、どうしようもない何かが、やってきている! とにかく、遠くに逃げろ!!」
道場主の声が聞こえて、その直後一際でかい爆発音が聞こえた。
阿鼻叫喚。一気にパニックに陥った声。けれどそれは、ほぼ一瞬で掻き消えた。天井裏に、激しい炎が吹き込んで来たのと同時に。
がくがくがくがくとルカリオの震えが止まらなくなった。俺の震えも、激しくなった。
なんだ、あれは。なんなんだ、あれは。今の一瞬で、何人死んだ? 何人? どれだけ? あの食堂に居た皆が、死んだ?
そんな力を持つポケモン? なんだそれ。なんだよ、何なんだよ。
激しい動悸が微かに音を出していて、そして下からは必死に走る音が聞こえた。
「はぁっ、はぁっ」
ルカリオと口を合わせた。胸の棘が体に刺さるのも堪えて、とにかく強く、抱き締めた。
気付かれてはいけない。動いてはいけない。
口を合わせて、背中を抱き締めて、頭を抱えて、じっと、じっと、やり過ごす。
バン、とトイレの扉が開き、個室に閉じこもった誰か。
ひたり、ひたりと歩いて来る何か。
トイレに入って来た何かは、個室の扉を叩き壊した。
「ごめんなさいごめんなさいたすけてたすけてたす」
ぐちゃり、と音がしてその声は止まった。
静寂。
心臓が激しく動いている。気付くな気付くなとにかく気付くな。
頼むから、助けて。とにかく。嫌だ、死にたくない。
ぐちゃり、ともう一度音がした。
またもや、静寂が訪れた。何も考えられない。体が、完全に固まっている。
ぐちゃり、ぐちゃり。
ただ、その音だけが何度も響いている。
恨みが、怒りが、それだけで感じられた。途方もない負の感情。目にしてしまったらそれだけでもう、逃げたくなる程に感じられる、ゴーストタイプですら逃げ出すような感情。
ぐちゃり。
ぐちゃり。
べき。ばき。ごりゅ。
……。
…………。
そして、去って行った。
その後の事は、覚えていない。
*****
天井裏から出て、真先に目に付いたのは原型がなくなる程にぐちゃぐちゃにされた人の死体だった。
吐いて、よろよろと歩いて、目に見えてしまった食堂の中は、真っ黒だった。
何もかもが。全てが。食べ物も、椅子も、机も、人も、ポケモンも。
また吐いて、そして、外に出ると、そこはもう、街ではなかった。
崩れ、燃えている建物。立ち上るどす黒い煙。肉の焼ける匂い。肉の、焼ける臭い。
倒れている人々。倒れているポケモン。誰も、生きていない。目に付く限りは。
何、だったんだ、あれは……。
ルカリオは、未だに怯えていた。呼吸も荒いまま、俺の腕に抱き付いている。目を開けようともしない。
何を見たんだ、お前は? 一体あれは何だったんだ?
その問いを聞けないまま俺はただ、立ち尽くすしか出来なかった。
ごうごうと燃える建物と、充満する嫌な臭いの中で、ただただこの地獄絵図を茫然と眺めているしか出来なかった。
クリスマスの夜。燃えている赤い光景。
しまった… 今日中かと思ったら締め切られていた……。
いや、現在形ということはまだ大丈夫… だと思おう。
すみません、私も参加したいです、よろしくおねがいします。
こんばんは。586さんです。
皆様参加表明ありがとうございました!
Twitterでも参加したいとの声をいただきましたので、参加希望者を整理させていただきます。
・586(主催)
・逆行さん
・にっかさん
・久方さん
・No.017さん
・砂糖水さん
・くろみさん(Twitterで連絡あり)
上記のメンバーで、6/3(土)開催とさせて頂きます。
予定の変更などございましたら別途ご連絡ください。
以上、よろしくお願いいたします。
|ω・)チラ
ぼちぼち人数増えてるのであれかなーと思いつつ。
まだOKなら参加希望しますー。
次の日オンリーですが参加希望で。
日頃の憂さを晴らすぞ!
皆さんこんばんは。586さんです。
ありがたいことに皆さん6/3(土)でOKとのことですので、日程については6/3(土)で確定とさせていただきます。
引き続き募集は続けさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
日程ですが、自分は6/3日でも大丈夫です。
早くやりたいから27日って言っただけで、別に予定とかはないです。
6月3日なら紛れ込めるかもです!
違う日付になったらエア参加しながらひとり焼肉します!
初めまして?にっかです。
6/3(土)でしたら参加出来そうです。
よろしくお願いします
586さん
こんにちは。逆行です。
毎度オフの度に幹事をやってくださってありがとうございます。
ポケモン小説意見交換会ですが、自分も参加したいと思います。
日程の希望は2017/05/27(土) です。
よろしくお願いします。
こんにちは。586さんです。
GWも終わって一段落したところで、ポケモン小説意見交換会と銘打った小規模OFFを開催したいと思っています。
意見交換会というと何か高貴なイメージが漂いますが(あまり高貴ではない)、実際には何人かで集まって肉を焼いたりお酒とか飲んだりその後お茶したりする感じです。
開催要項はこんな感じで考えています。
開催日時:2017/05/27(土) or 2017/06/03(土) 19:00〜
開催場所:東京・池袋駅近辺
集合場所:池袋駅東口・いけふくろう前
人数:4〜5人
参加を希望される方は、5/27と6/3のうち希望する日付を併せて記載してください。
〆切は予約を入れる事も踏まえて、短めですが5/24(水)としたいと思います。
皆様よろしくお願いいたします。
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 | 32 | 33 | 34 | 35 | 36 | 37 | 38 | 39 | 40 | 41 | 42 | 43 | 44 | 45 | 46 | 47 | 48 | 49 | 50 | 51 | 52 | 53 | 54 | 55 | 56 | 57 | 58 | 59 | 60 | 61 | 62 | 63 | 64 | 65 | 66 | 67 | 68 | 69 | 70 | 71 | 72 | 73 | 74 | 75 | 76 | 77 | 78 | 79 | 80 | 81 | 82 | 83 | 84 | 85 | 86 | 87 | 88 | 89 | 90 | 91 | 92 | 93 | 94 | 95 | 96 | 97 | 98 | 99 | 100 | 101 | 102 | 103 | 104 | 105 | 106 | 107 | 108 | 109 | 110 | 111 | 112 | 113 | 114 | 115 | 116 | 117 | 118 | 119 | 120 | 121 | 122 | 123 | 124 | 125 | 126 | 127 | 128 | 129 | 130 | 131 | 132 | 133 | 134 | 135 | 136 | 137 | 138 | 139 | 140 | 141 | 142 | 143 | 144 | 145 | 146 | 147 | 148 | 149 | 150 | 151 | 152 | 153 | 154 | 155 | 156 | 157 | 158 | 159 | 160 | 161 | 162 | 163 | 164 | 165 | 166 | 167 | 168 | 169 | 170 | 171 | 172 | 173 | 174 | 175 | 176 | 177 | 178 | 179 | 180 | 181 | 182 | 183 | 184 | 185 | 186 | 187 | |