マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ
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  •   [No.3660] Se7eN 投稿者:水雲(もつく)   《URL》   投稿日:2015/03/26(Thu) 23:52:08     69clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    Se7eN (画像サイズ: 700×700 395kB)



     色々あるけれど、とりあえずはご主人のことについてから始めようと思う。
     ご主人の家は、風が吹けば飛びそうなくらい、壮絶的な貧乏屋敷だった。それはもう、同情を通り越してドン引きされるほどに。当時ミジュマルだったぼくはまだそんなに大食らいでもないし、ちっぽけな食いぶちが一匹増えたところで、火の車の勢いはさして変わらなかっただろう。一家揃ってご主人の幼なじみのところへ馳走になったことも、何度かあった。向こうが一緒に暮らしていたのはツタージャ。きのみの上手な取り方も教わったこともあって、ぼく自身はなんとか糊口をしのいでいた。

     なかば、追い出される形ではあった。
     男の子はいつか旅をするものよ、と後からとってつけたような理由を盾に、いよいよぼくとご主人は家から放り出された。いつでも帰ってきていいからねとご主人のお母さんは言ってくれたものの、こうなったら色んなところを冒険しておっきくなって見返してやろうとご主人と一緒に躍起になってしまった手前、下手な成果なしには迂闊に帰られなくなってしまった。今にして思えば、まんまとしてやられたわけである。扱い方を知っているあたりは、さすがはご主人の親だとつくづく感心してしまう。


       † ‡ †


    「――、で?」
     色あせた記憶が、そこで焼き切れた。
     川辺。天気は良好。初々しい春の薫りがする、麗らかな午後。だけれども、気持ちはまだすっきりと晴れない。
    「うん?」
    「それと、『今』、『ここ』にあんたがいることに、どういう関係があるわけ?」
     隣に座るサンダースの女の子が、うさんくさげな視線をくれる。若干赤みがかった毛並みはブースターと交じったからのはずで、サンダースでいるのがもったいないくらい柔らかそう。綺麗な碧眼だが、目つきとへの字に曲がった口元からは気の強そうな印象がうかがえる。

     ぼくはもう一度、話の糸口を探って、
    「旅をするには、当然だけどお金がかかる。仕送りもしなくちゃいけない。そこまではいい?」
    「いきなり確認をとらないでよ。ばかにしてんの?」
     高圧的でとげとげしいなあ。フタチマルのぼくは手にしていた小石を川にぽちゃんと投げ入れ、続ける。
    「言ったとおり、ぼくたちは貧乏だから、旅を続けるには戦いを繰り返して賞金を得るしかない。なんだけど、残念ながらぼくはうっかりやのへっぽこだったんだ。お腹が減って元気も出ない」
    「ふうん?」話の肝に入るまでは興味がないのか、適当な相づち。「そんっなに、ひどい生活してたの?」
    「例えば、古新聞紙を濡らしてかちかちに固めて乾かすと、簡単な固形燃料になるんだ。それで暖をとってガス代を節約したり。火種はぼくのホタチ。そもそも暖める必要のある食材は買わないようにしたり」
    「うっわ」
     率直な感想をありのまま口にされた。
    「あ、あとね。即席めんって知ってるよね。あれは大体3分で出来上がるっていうけれど、それを無視して思いっきり放置するんだ。そうすると、麺がお湯を吸ってぶくぶくに伸びきって、この世のものとは思えないくらいめちゃくちゃにまずくなるから、それ一食で満腹になってしばらくは何も食べたくなくなる」
    「もう、いい。話戻して」
     訊くんじゃなかった、とうんざりした声でつぶやかれた。まあ確かに、女の子に言うような話じゃなかったとはぼくでも思う。
    「ええっと、だからこっちに修行に来たんだ。強くならなくちゃ、お金が稼げない」

     詳しい説明はことごとく省かれた。あっちにも『同じ世界』があるから、とご主人は言った。あっちには強い仲間がいっぱいいるから、修行させてもらえるよ、とも言っていた。
     同じ世界ってなんだろう。
     強い仲間ってなんだろう。
     色濃い疑問を頭の中で複雑に絡ませつつ、ぼくはボールに戻され、どこかへ連れられ、一字一句たがわずに『世界を飛んだ』。

    「それが、『こっち』だった、ってこと?」
    「――うん」
     信じてもらえないかなあ。荒唐無稽すぎるからなあ。ぼく自身、まだ全然気持ちの整理がついていないからなあ。変な奴って思われても仕方ないかも。ぼくだって誰かからこんな話を持ちかけられたら、その場で鵜呑みにはしたくない。後で担がれたと知ったら悔しいから。
     そんな風に自分をけなしつつ、ちらりとサンダースを見たけれど、その子は意外な反応を示した。
    「そっか。あたしと一緒なんだ」
    「――え」
     サンダース自身、意図せず口からこぼしてしまったらしい。話をそこで強引に打ち切って、いかにも今思い出したといった挙動をし、
    「あ、訊き忘れたことがあった。そもそも、あんたの字(あざな)は?」
    「字?」
    「――、名前よ、名前」
     何を今更、と思うのだけれど、それはお互い様だった。ぼくがこっちに来てから、まだ15分もたっていない。体を慣らすのにはまだまだ時間がかかる。こっちの世界のご主人に挨拶をするのが精一杯で、近くの川辺で休憩しているところでこの子に話しかけられたのだった。
    「剣(ツルギ)」
    「冠しているのは?」
     ああ、こっちにもそういう文化があるんだ。
    「斬水。『斬水』のツルギ」
     そこで、サンダースの顔が至極いぶかしげになる。
    「なんだかえらく名前負けしてない?」
     ものすげえ言われよう。そういうきみはなんなんだ。
    「あたしはセブン。『明星』のセブン」
     そっちも大概だぞ、と文句のひとつも言いたくもなるが、なんだか手痛い反撃をくらいそうなのでやめておく。
    「それなら、ぼくもひとつ訊きたいんだけどさ、」
    「答えるかどうかはあたしが決めるけど、一応どーぞ」
    「さっきセブンも」

     がさり、と草むらの揺れる音がした。

     ぼくの臨戦心理が敵襲とみなし、気持ちより体が先に反応する。とっさにホタチを手に取ろうとしたが、
    「エーテルッ?」
     セブンがそれよりも何倍も過敏だった。正体までずばり言い当てた。隣にいたはずのセブンはぱっと消え去り、物陰にこそこそと隠れるシャンデラのそばまで駆け寄っていた。はええ。
    「なに、なに、どうしたの!? またエギルにいじめられたの!?」
     エーテルと言うらしい、シャンデラの女の子は、セブンが猛接近するなり腰を砕いて(シャンデラでいう腰だとぼくは強く思う)、
    「い、いえ、その。こ、こちらに新しい仲間がやってきたとお聞きしましたから、ご、ご挨拶をと……」
     頭の炎が途切れ途切れに燃えている。緊張している反応なのだろうか。
    「あーだめだめ。あんなへなちょこなうっかりや、エーテルにはつりあわないから。水かけられるのヤでしょ?」
     うっかりやは否定しないけど、へなちょこはでっかいお世話だ。
    「いえ、そういうことではなく、」
    「だいじょぶだいじょぶ。エーテルはあたしが守るから。それよりさ、さっき美味しいきのみがなってるところ見つけたの。エーテル好みの、しっぶーいやつ。ほら、こっちこっち!」

     絶句。あっという間にと言うか、あっという前にというか、ともかくぼくは気がつけば置いてけぼりにされていた。背中に突き刺さるヤミカラスの鳴き声にやりきれなくなって、手にしていた小石を川に向かってでたらめに投げた。
     小石だと思っていた。
     大切なホタチだった。


       † ‡ †


     気を取り直すことにした。
     そうしてぼくは、成り行きではあったものの、こっちの世界でしばらく過ごすこととなった。予定通り、修行に明け暮れることに身をまかせ、難しいことは一旦考えないようにした。
    「握り方に無駄がある。故に打点もかなりずれている。頸道が得物にまで伝わっていない証拠だ。内息を充実させて、体内に滞らせるな」
    「はい。もう一度お願いします」
     元のご主人の計らいあってか、好都合にも、師匠に足れりとする方がいたのだ。そのお師匠様は、ダイケンキの角丸(ツノマル)さん。若輩者のぼくよりずっとずっと年輩の方。みんなのまとめ役。とっても強い。お酒にも強い。よく見ればかっこいい。アシガタナを果敢に振るう姿が勇ましい。貫禄十二分なのに、ご主人にはかなわないところがちょっと面白い。
     疲れない日は一日と無かったけれど、充実はしていた。それは断言できる。

     あの後になって知ったことだけど、エギルというのはゼクロムのことだったらしい。ぼくの世界にも代々言い伝えられる、大きな黒龍だ。それを鼻にかけただけの高慢ちきなやつとセブンは散々毒を吐いていたが、よそ者のぼくからしたらどっちもどっちだと思う。口にしたら命はないので黙っておく。

     前述のとおり、エーテルはシャンデラの女の子。セブンとは対照的な性格だった。儚げなたたずまいで、相手を立てるひかえめさで、すごく恥ずかしがり屋。セブンとは大の仲良し。というより、何かと物怖じするエーテルを、セブンが色々なところへ連れてってやろうと引っ張っているようにも見える。とはいえ、雷と炎、セブンとエーテルがコンビを組んだら、びっくりするくらい相性が良かった。

     誰に訊けばよいものかと迷ったけれど、ぼくはそのエーテルを選んだ。
     慎重に話しかけたつもりだった。
    「エーテル、」
    「ひゃあ!?、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
    「ちょ、ちが! ぼ、ぼくだよぼく!」
     エーテルに話しかけるのは、何度やってもやはり勇気がいる。こんなところをセブンに見られたら問答無用で殺されるから、ぼくも気が気でない。頭を抱えて謝り続けるエーテルを、必死でなだめる。
     ようやくぼくを認めたエーテルが、
    「――あ、ご、ごめんなさい。てっきり怪獣かと」
     うーん、ぼくって普段からそんなにおっかなげな存在と見られているのだろうか。
     度重なる修行の甲斐あってか、ぼくは見事ダイケンキへと進化することができた。いくらかは威厳がついたってことなのかな。お師匠様との違いと言えば、ひげの長さと肌の色合いくらい。あ、それと剣術の腕前。
    「ツルギ? どうか、しましたか?」
    「え? あ、そうだった。えっと、セブンのこと、なんだけど」
     エーテルの青い炎が、少々弱まった。
    「セブンがまた失礼なことでも?」
     できればそういった関係の話題であってほしい、というような感じの先回りだった。でなければきっと愉快な話でもないのだろうと考えていることが察せる。
    「いや、ここへ来たばかりのとき、訊き損ねたままのことがあったんだ。いつか言おうかなと思ってたんだけど、ずるずると引きずり続けちゃって。明日、ぼくは元の世界に帰らなくちゃいけない。なのにあれっきり、セブンの口から出ないってことは、ぼくはまだ仲間って認められていないのかな」
     こういう風に持っていけば、エーテルはフォローせざるを得ないことを、ぼくはもう知っている。
    「――大丈夫ですよ、わたしにとっても、セブンにとっても、ツルギは大切な仲間ですから。確かにちょっといきすぎなところもありますが、根は優しいですよ」
     それを聴いて安心した。言質をとったぼくは今から遠慮を忘れ、肉を斬り血を啜るアシガタナのように、鋭く残酷になる。
    「じゃあ、教えてほしいんだ。どうしてセブンが『ここ』にいるのかを」


       † ‡ †


     正確な日付と時間は忘れてしまった。いつか出会った川辺。あのときと一緒の青空。
     セブンはそこにいた。水面を見つめているのか、川の向こうを見つめているのか、それは分からない。
    「セブン」
    「なに」
     気配でばればれだったみたいで、さしたる反応は示さなかった。こっちを見ようともしない。
     そこでぼくはちょっとためらった。次にどう声をかけてやればいいのか、こころも言葉もまったく準備できていない。土壇場であれこれ考えたあげく、揺さぶりのある一言を投げた。

    「後悔、してないの?」

     舌を噛み切って死にたくなるような、重苦しい間があった。清涼感溢るる空気は、一気に曇天のそれへと移り変わった。
     その一言で、全てを悟ったようだ。けれど、セブンはまだこちらに顔を向けてはくれない。

     いつになく挑戦的な口調で、
    「こっち来てから、体格以外も随分でかくなったわねあんた。誰から訊き出したのよ。まさかエーテルをいじめて無理やり――」
     固唾を飲み込み、ぼくはあえて最低な返事をしてみた。
    「――だったとしたら、どうするの?」
    「今ここであんたを殺す」
     熱を通さない低い言葉に伴い、赤みがかった体毛がハリーセンのように逆立つ。セブンはそこで初めて、明確な敵意を添えた目を向けてきた。透き通るような瞳に、どこか気弱な光がたたえられていた。
     ぼくとセブンは、そのまま10秒ほど、日の浅い夫婦のように見つめあっていた。
    「――紛らわしいこと言ってごめん。いじめてはいない。そんなことしたらきみに倍返しされることくらい、ぼくもよく分かっているから。でも、それでも、知っておきたかったんだ」
     きみのことを。
     だから、きみ自身の口から訊かずにはいられなかったんだ。
     どうしてなのか、どうしても知っておきたかったんだ。

     敵意に対して、ぼくは誠意を持って見つめ返す。
     セブンから先に目を伏せ、また川辺のほうへと移し、逆立った毛を整えた。
    「――もう、エーテルってば。甘いんだから」
    「――ごめん」ぼくは再度謝り、隣に近寄って座る。
    「別にいいわよ。どうせいつか知られることだと思ってたし」

     セブンは、ぼくと一緒だった。ジョウトという、聴いたことのない地方から、ぼくと近い要領ではるばるとやってきたらしい。
     勝手に。
     己だけの意志で。
     両親と、両親のご主人と、仲間たちを置いて。
     一方通行の指向性を持つ転送装置のため、もう元の地方には戻れない。

    「知ってる? あっちの地方ってね、仁義の切り方がまた独特なのよ。字とか護(まもり)とか、聴いたことないでしょあんた」

     時々は思い出すのも一興なのか、昔のことを語るセブンはどこか誇らしげで、なんだか幼げで、無邪気だった。
     お母さんとはともかく、お父さんとの仲がいまいち良くない方向へ傾きつつあったらしい。娘さんによくある反抗期なのかもしれない。わがままの言えない環境下だったぼくにはまだよく分からない。

    「そのくらいあたしも承知してるわよ。でも、そんな簡単な一言で片づくなら苦労しないって。父さんがあたしを心配してくれることも分かってる。まったりした気だるい環境にうんざりしてたの。父さんも、主も、みんなも、大切な何かを忘れちゃったように同じ毎日を過ごしてて、あたしだけが勝手にいらいらしてた」

     セブンは若い女の子ながら、高みを目指したいという野心的な一面がある。それはぼくもみんなも熟知している。戦いたいとか強くなりたいとか、そういうことじゃなく、言語に尽くしがたい自分の思いを世界に広げたいといった、崇高な手触りがある。

    「セブンってのは、父さんがつけてくれたの。この目も父譲り。でも、あたしが父さん絡みで気に入っているのは、その二つだけ。父さんに倣ってサンダースになったことはすっげー後悔してる」
     なるほど、幼少の頃はお父さんっ子だったのかな。
    「お父さんの、名前は?」
    「裂帛(レッパク)。『神舞(しんぶ)』のレッパク」

     大層な名前だ。この不良娘がそうであるように、お父さんも若い頃は相当やんちゃしていたのだろうか。ニョロゾの子はニョロゾって言うし。そうでないとしたら、何かと手を焼いていたんだろうなあ。こころから同情します。
     母は思った通りブースターで、その主は別人らしい。だからセブンが、レッパクさんたちにとっては正式な七番目の仲間となる。

    「エーテルには、こっちへ来た当初、お世話になったの。今もだけどね。右も左も分からずさまよっていたあたしに対して親切にしてくれて、こっちの世界のことを色々と教えてくれて、あたしに足りないものをたくさんくれた。だから、今度はあたしが強くなって、エーテルとみんなを守る番なの。あたしが、あたしたちの名をこっちの世界に知らしめる番なの。それが、今のあたしが望む生き方」

     あたしは、父さんと母さんの子供だから。
     そんな理由だけで褒められることは、絶対、ぜったい、嫌だった。
     父さんは強かった。
     だからあたしも後を追いたかった。
     あたしの本質を、そのままに認めてもらいたかった。
     出来が悪いって思われたくなかった。父さんにも、母さんにも、主にも、みんなにも。
     やれることはなんでもやった。本気でやろうと思えばなんでもできると信じてた。やったもんがちだったから、こうして「やっちゃった」の。
     過程が立派であれ無様であれ、成功は次の一歩に繋がる。あたしは、あたしの強さに自信があった。
     ……ごめん、うそ。
     こころのどこかでは、分かってた。

     やっぱりあたしは、本当に、本当に弱かった。
     弱くて、生意気で、泣き虫で、負けん気で、ずぶとくて、無鉄砲で、いいのは威勢だけで、うまいのは口だけで、得意なのはいんちきだけで、空元気振るまうばかりの、ちっぽけな蓮っ葉サンダース。
     こっちに来て、つくづく、そう思い知らされたの。

     全部、あっちの世界で学ぶべきことだったのかもしれない。
     父さんと母さんに、教えてもらうべきことだったのかもね。
     あたしは、父さんと母さんの子供だから。
     メスでガキで子供だから、こういう無茶なことをしてでも、みんなに振り向いてもらいたかった。


       † ‡ †


     どのくらいの時間、一緒にそうしていただろうか。いつの間にか夕刻が迫ってきていた。夕空に藍がにじみ始め、ぬるい空気が徐々に引き締まってくる。川辺にも夕日の眩しさが強調され始め、ぼくとセブンは視界にいくつもの残像の斑点を作る。

     ふう、と小さな口から可愛らしいため息が漏れた。
    「――もう、これでいい? 満足したでしょ? こんなことまで白状したの、あんたが初めてよ。土産話なんかにしたらただじゃおかないからね」
     ぼくの世界、どういった手段でそれを知るというのか。そう言い返したかったけれど、この子なら何をしてでもぼくの軽率さを止めてくるかもしれない。
    「うん、ありがとう、気をつける。セブンのことをやっと分かることができて、嬉しいよ」
     正直に言ったつもりだったんだけれど、セブンは不服げに、
    「何よそれ。あんたにとって、今までのあたしはなんだったのよ」
    「命が惜しいから、口にするのはやめとく」
    「大丈夫よ。このこと知った時点で、あんたには一切容赦しなくなるから」
    「なんだよそれ。きみにとって、今までの容赦のなさはなんだったんだよ」
     同じ切り替えしをされたのが気に食わないのか、セブンはすんと鼻を一度鳴らした。

     ぼくは半分ほど地面に埋まっていた小石をアシガタナの切っ先でほじくり、川に放り出した。
    「さみしくない?」
     安直な問いかけに、セブンは小首をかしげる。そのままゆっくりと頭(こうべ)をめぐらせて、ゲンガーもかくやとばかりの、いやらしい笑みをよこしてきた。
    「明日なんでしょ。別にさみしくなんかないって言ったら、むしろあんたがむせび泣くんでしょ。だからさみしがってやるわよ」
     ――?
    「明日? むしろ? ぼくが泣くの?」
     二度目の問いかけに、セブンの顔にもはたと疑問が塗り固められる。次の瞬間にはそれは打ち消されて、
    「――え。あ、ああ? あーはいはいはいはい、そっちね、父さんたちのことね。っとに紛らわしい」
     なぜかセブンは軽く狼狽し、自分の鼻先をぶしぶしとこすって何かをごまかした。
     えへんと、咳払いをひとつ。
    「まだ決められない。向こうの世界が恋しいって気持ちは、今のところは無い、かな。さみしいと思える余裕もないほど、こっちの世界でめいっぱい楽しんでるから」
    「そっか。強いなあ」
    「嫌味?」
    「いや、本音だよ」褒められることに慣れていないのかな。なだめるように笑ってみる。「ぼくはほら、このとおり貧乏根性が身に染み付いちゃってるからさ、こっちに来た当初はやっぱり色々戸惑ったよ」
    「ああ、あの座布団の話は傑作だったわ」
     セブンも節操なしにからからと笑う。こうして笑っているところを横から見ると、本当にただのサンダースの女の子としか思えない。

     こっちの生活は、黒が白に清められるほど裕福だった。初日の夕食時、あまりの歓迎っぷりに、主役であるはずのぼくはなんだか申し訳なくなってしまい、布団代わりにしていた我が家のぼろ座布団が急に恋しくなった。縮こまった態度からバレてしまったようで、その旨をうっかり白状してしまうと、こっちのご主人には腹を抱えて笑われた。セブンも失礼なくらい笑い転げていた。きちんとした食事と寝るところがあるだけでも、ぼくからしてみればありがたすぎるくらいの贅沢なのだ。セブンがみんなを守りたいという気持ちは、今のぼくになら分かる。

    「向こうは、お父さんとお母さんは、さみしがってると思うよ」
    「ふん、思いっきりさみしがればいいのよ。母さんと主にはちょっと悪いことしたかなって思ってるけど、こっちは退屈な毎日から抜け出せて清々してるわ」
    「――たまには素直になって、お父さんのことも思い出してあげたら?」
    「何よ。あんた父さんの肩持つ気なの?」
    「いや、そういうつもりじゃないよ」
     素直になることには否定しないんだ。
     セブンは不満げに口をとがらせて、
    「いーわよ無理しなくて。どーせあたしが全部悪かったんですー。今頃は向こうのみんなに嫌われてるに決まってるんですー。たとえ戻っても、『また無茶なことしやがって』とか言われて笑われるんですー」
    「ぼくは、そうは思わない」
    「あんたその呆れるくらいの妙な自信一体どこから沸いてくんのよ」
    「お父さんとお母さんが、自分の子供を嫌うわけがないだろ? どんなことがあっても見捨てられないって知ってたから、こうして自分からこっちに来たんだろ? 向こうのみんなも同じ気持ちだよ。だから、ぼくもきみのことを笑ったりなんかしない」
     喜ぶべきなのか悲しむべきなのかといった、半信半疑な目線。初めて出会ったときのそれと、ひどく似ている。
    「――なんで、」そこでセブンは少し踏みとどまった後、「なんで、そこまで断言できるのよ」
     そんなの簡単だよ。
    「ぼくも、きみのことが嫌いじゃないから」

     こころあたりは全然無いのだけれど、この世の破滅にも等しい、とんでもないことを言ってしまったらしい。ぼくの台詞の一体どこに反応したのか、セブンは耳の先っぽまでマトマのように真っ赤っかになり、訛りのある罵詈雑言を浴びせ、無慈悲な稲妻を落としまくってきた。心底慌てふためいたのはぼくも一緒で、わけが分からないまま逃げ回り、命からがらその場から退散した。川のほうに逃げなかったのは、迅速で賢明な判断だったと我ながら思う。


       † ‡ †


    「おかえりー! うわあ、おっきくなったなあ! いっちょまえに兜なんかかぶってひげなんか生やしちゃって。肌もつやつやになっちゃって。どうせいっぱい可愛がってもらえたんだろうらやましいなあこのこのこの。あ、これが噂に聞くアシガタナってやつ? む、結構重い」
     向こうも向こうでさみしかったらしい。進化したぼくが帰ってくるなり、元の世界のご主人は大げさなくらい喜んでくれた。一回りも二回りも大きくなったぼくの体をあちこち見てべたべたとはしたなく身体検査してくる。あ、ちょ、それ危ないから持たないで。引き抜くのにもコツがいるから、ってああっ、だめだめだめ!

    「友達、たくさんできた?」
     うん、とぼくはうなずく。
    「別れるの、ちょっぴりさみしかった?」
     その言葉に、帰り際の送迎会で笑いあっていたみんなのことを思い出す。つんとすました態度ながらも最後まで見送ってくれた、あの子のことがとりわけ強く脳裏に浮かぶ。
     うん、とぼくはもう一度うなずいた。
     そっかそっか、よろしい、とご主人は満面の笑みを浮かべてくれる。その笑顔に、再び思い出されたあの子の笑顔が重なった。

     信じられないことに、ぼくが帰ってくるまでの一週間、ご主人はずっとポケモンセンターに滞在し、無料で支給されるライトミールを食っちゃ寝するだけの居候と化していたらしい。無銭飲食の狼藉にも限度がある。相当体が鈍っていることだろう。すぐにお迎えしたかったから、と言っていたけれど、本当のところはどうなのだか。まあでも、ぼくは向こうで快適なぬるま湯に浸かっていたから、こちらのほうがむしろ「いい思い」をしていたとも言える。ぼくは向こうの世界に一ヶ月過ごしていたため、かなりの時間差が生まれている。やるべきこともやりたいこともいっぱいあるから、この一ヶ月で培った力を存分に発揮させたい。ご主人のためにも、これから加わるであろう仲間のためにも。そして、ぼく自身のためにも。

     帰るところがあるっていいなあ、と改めて実感する。


       † ‡ †


     ぼくはそれなりに成長することができた。戦績もそれなりに改善され、生活水準はそれなりに向上した。冒険のペースもそれなりに順調となった。
     あの子にはあの子の歩幅がある。ぼくにもぼくの歩幅がある。何も焦る必要はない。ゆっくり進もう。

     ぼくの名は、ツルギ。どこでも寝られる便利な肉体と、なんでも食べられる鋼鉄の胃袋を持ち合わせている。このアシガタナに誓う。冠する名に恥じぬよう、いつかは水をも斬ってみせる。

     そして、進化したぼくの背中に期待して、ご主人がヒウンの下水場でなみのりを命じるのは、もうちょっと先の物語だ。


      ――


     別サイトでの短編集とはあえて投稿順を変えてみます。
     ラストの一文の意味についてはこちら(そもそもこれが元凶の元凶です) http://pic.yakkun.com/pic/p8852
     タイトル元ネタはわたしの大好きな映画からです。
     8割ノンフィクションです。セブンはHGからホワイトにやってきたサンダース♀であり、ツルギはブラック2のダイケンキ♂です。言ってしまえば、相当の身内ネタでございます。実際、ツルギはホワイトに移ってレベル上げをおこないました。その時の情景を想像しながら仕上げたドキュメンタリーです。別サイトにて「チャンスをくれないか」という長編作品を書いていた最中のスピンオフのつもりで書いていたシロモノですので、個人的な身内ネタがそちらでもちらほらです。詳しくは検索をお願いいたします。
     今でもなおお気に入りのペアなので、Twitterでよく落描きしています。
     
     


      [No.3658] 長編板に移籍しました 投稿者:   《URL》   投稿日:2015/03/23(Mon) 20:26:42     68clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    移動先:http://masapoke.sakura.ne.jp/rensai/wforum.cgi?list=&no=1222& ..... de=allread

    毎日長いスレッドを上げてしまうと視認性を下げてしまうので、長編板へ移籍することにしました。
    以後はこちらでぼちぼち書いていこうと思います。


      [No.3657] 【イラスト】民俗学 投稿者:No.017   《URL》   投稿日:2015/03/23(Mon) 06:30:38     151clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:カゲボウズシリーズ】 【オリベ】 【同居人】 【描いてもいいのよ】 【書いてもいいのよ
    【イラスト】民俗学 (画像サイズ: 1500×1130 455kB)

    画材:シャープペン、透明水彩、アルシュ水彩紙
    加工:フォトショップ

    土日で描きました。
    クリックで大きいサイズ見れるよ!

    カゲボウズシリーズに出てくるツキミヤの担当教官、オリベとその同居人。
    実際にある風景っていうよりは彼らの心象風景的な感じをイメージしました。
    物語の詳細はカゲボウズシリーズの二巻にて。
    http://pijyon.schoolbus.jp/off/


      [No.3117] 天原フォークテイル 投稿者:リナ   投稿日:2013/11/18(Mon) 23:06:02     159clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:民俗】 【文化】 【日常系】 【青春系】 【鳥居になれなかった系

    どうもお世話になりますリナです。
    昨今の民俗ブームに乗っかって、三次用につらつら書いていた文章に、二万字を越えても、

    「一向に、ポケモンが出てこない」

    ので、早々に応募を止めました\(^o^)/
    これはその残骸です。消費期限切れです。食べられません。

    せっかく書いたんだし、ということで、まだ途中ですがこっちに載せます。予想以上に長くなりそうなら、ロングへ引っ越します。


    横笛を吹くのが得意な、ごくごく普通な中学生、津々楽茉里(つづらまつり)のお話。


      [No.2588] Re: 作品完成! 投稿者:   《URL》   投稿日:2012/08/25(Sat) 21:45:15     104clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    (大方の予想通り)背景のオオタチに心を奪われました!(´ω`)


      [No.2587] 作品完成! 投稿者:風間深織   投稿日:2012/08/25(Sat) 20:31:39     154clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    作品完成! (画像サイズ: 1198×885 408kB)

    作品完成!
    しぬかと思った……指が……

    今までで一番頑張った気がする……


      [No.2586] Re: 俺とポケモンのへーわな生活。 投稿者:ねここ   投稿日:2012/08/25(Sat) 17:57:36     104clap [■この記事に拍手する] [Tweet]


    はじめまして。ねここと申します。

    「俺とポケモンのへーわな生活。」読ませていただきました。
    投稿されてから結構経っているようで感想なんか今更ながらというか、感想を書くのが初めてというかでプチパニックですがお許し下さい。

    このお話は完全にわたしの理想です。
    羨ましいですわたしはメタモンがいいです。←

    レンジのところのくだりがとても良い表現だなあと思いました。
    全体的にさくさく読み進められて、面白かったです。

    主人公君が魅力的過ぎt(ry

    こんな感想でいいのかまじでええええという感じですが、とにかく素晴らしいお話でした。素敵です。
    感想もっと早くに書きたかった……(´・_・`)

    では失礼しました。


      [No.2585] 【閲覧注意】じこあんじ 投稿者:門森 輝   投稿日:2012/08/23(Thu) 22:42:30     113clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    ※ポケモン等を殺したりといった要素を含みます。含むどころかメインになってます。あと嘔吐や見方次第では拘束・監禁・調教といった要素も含みます。という訳で閲覧注意です。








































     僕は悪くない。仕方ないんだ。悪いのは僕を使う人間なんだ。
     確かに僕は今まで沢山の人間やポケモンを殺して来た。でも、それは全部あいつらの指示だ。僕の意志じゃない。仕方ない事なんだ。だから――僕は悪くない。

     そう考える様にしてから、随分と楽になった。

     僕の意志じゃない。それは間違いないんだ。でも、でも、それならどうしてあの時、つまらないなんて思ったんだろう――。




     初めて殺したのはいつだっただろう。僕が生まれ育てられたこの大きな建物の一室で、訓練と称されたそれは行われた。形式自体はそれまでの訓練と同じで、あいつらに用意されたポケモンと戦うというものだった。ただ、指示が違った。それまでとは違い、はっきりと告げられた。殺せ、と。
     どうすれば良いのか分からなかった。動けなかった。その時、あいつらが一言おい、と言った。分かっているな、とでも言うかの様に。
     命令に従わなければどんな目に遭うか、思い出し、吐いてしまった。今でも思い出す度に体が震えてしまう。殺したくなかった。でも、あんな目に遭うのはそれ以上に嫌だった。今度はもっと酷いかもしれない、殺されてしまうかもしれない。恐怖が僕を突き動かした。そして、僕はそのポケモンに襲い掛かった。多分、泣いていたと思う。あのポケモンも、僕も。
     自分がしてしまった事を改めて自覚した時、またしても吐いてしまった。殺した時の感触が、悲鳴が、表情が、次々と甦ってきた。自分が、殺した。その事実を認めたくなかった。でも、どうしようもなかった。殺さなければまたあんな目に遭っていた、仕方なかった、と必死に自分を説得した。でも、逆らっても殺される訳じゃない。それにもし殺されるとしても、こんな自分の為に他のポケモンを殺す様なポケモンより、あのポケモンの方が生きるべきだったんじゃないか、そんな思いは拭えなかった。
     それからは通常の訓練に加えて、殺せと指示が出る事があった。僕はその度に葛藤し、恐怖し、殺し、後悔してきた。自殺だって何度も考えた。でも、出来なかった。自分が助かる為に殺して来たのだから、当然と言えば当然だ。でも、自分1匹が助かる為に何匹も犠牲になっている事がおかしいのは分かっていた。もし僕が死んだらそれまで殺したポケモンが生き返るのなら、あの時はまだ自殺に踏み切っていたかもしれない。
     初めて殺した時、いや、殺させられた時から数週間が経った頃だっただろうか。僕の主人が決まり、それまで訓練と呼ばれていた事は仕事と呼ばれる様になった。それを境に変わった事と言えば、まず場所だろう。初めて仕事として指示が出た時、僕は初めてこの建物から出た。その時見た景色は、僕が生活してきた部屋よりも、訓練の時に連れてかれた部屋よりも、それまで見たどんな場所よりも直線が少なく、沢山の色があった。前にも横にも壁は見えず、駆け出したかった。勿論出来るはずもなかったが、戦っている時は、あんな場所で動ける事に喜びや楽しさを感じていた気がする。殺せと指示が出ていたにも関わらず、笑っていた様な気もする。それ位新鮮だった。
     他に変わった事は、仕事の対象がポケモンに限らなくなった事や、首に枷の様な物を付けられる様になった事、他のポケモンと協力して戦う事があった事もだろう。初めて協力して戦った時、僕は同じ様な境遇のポケモンがいる事を知った。協力したポケモンは首には同じ枷を付け、傍らにはあいつと似た様な服装の人間がいた。その人間とあいつが何やら話している間に彼と少しだけ話した所、彼が僕と同じ様な境遇である事、そして彼が他にもそんなポケモンを数匹知っている事を話してくれた。多分まだまだいるだろうという事も。
     その仕事を無事に終え、部屋に戻された僕は考え事に耽っていた。僕みたいなポケモンが沢山いるという事がどういう事か。


     まず、僕は殺すのが嫌だ。慣れてしまって来ていても、外で動ける事が楽しくても、それは変わっていないはずだ。いや、絶対に変わっていない。でも、指示に従わなければあんな目に遭わされる。だから、仕方ない。そう考えて来てはいたけど、割り切れてはいなかった。でも、でも、僕と同じ境遇のポケモンがいるのなら、無理に殺させられてるポケモンがいるのなら、僕が殺していなくてもあのポケモン達は助からなかったんじゃないか? 僕が殺さなくても他のポケモンが殺したんじゃないか? 訓練のは別のポケモンの訓練に回され、仕事のは別のポケモンが仕事で殺すんじゃないか? 今まで僕は自分が殺したからそのポケモンが死んだ、自分が殺さなければそのポケモンは死ななかったと思っていた。でも、あいつらに選ばれた時点でもう助からなかったんじゃないか? それなら、それなら――

     指示に逆らう理由はないんじゃないか?

     そうだ、逆らう理由なんてない。僕は殺すのは嫌だ。殺すのは悪い事だ。でも、相手はもう死んでいるも同然なんだ。あいつらに選ばれた時点で助かる事は出来ないんだ。殺すのは僕だ。でも、死ぬのは僕の所為じゃない。あいつらの所為だ。悪いのはあいつらなんだ。だから、僕は悪くないんだ。それにもし僕が逆らったら、あいつらは代わりのポケモンを使うかもしれない。そうしたら、また僕みたいに扱われるのだろう。それは間違いなく辛い事だ。なら、僕が指示に従う事は良い事なんじゃないか? 僕が指示に従う事で、ポケモンを1匹助けている事になるんじゃないか? そうだ、僕は殺す事で誰かを苦しめているんじゃない、誰かを助けているんだ。だから、僕は悪くない。殺す事自体は悪い事でも、指示に従う事は良い事なんだ。それに殺すのは僕の意志じゃないんだ。あいつらの指示だから仕方ないんだ。悪いのはあいつらで、僕は悪くないんだ。そうだ、僕は悪くない――。


     そう考えた時、何だか楽になった気がした。仕事だって楽しみに思えて来ていた。仕事はない方が良いんだとは思いつつも、この建物の外に出られる事は魅力的だった。
     実際、罪悪感さえなければ仕事は楽しかった。罪悪感が込み上げて来る時もあったけど、その度に自分自身に言い聞かせて来た。僕は悪くない、自分の意志じゃないんだ、仕方ない事なんだ、と。そうだ、殺すのは僕の意志じゃない。絶対に、絶対に違う。でも、僕は確かにあの時つまらないと思ってしまったんだ。どうして、どうして僕はそんな風に思ったんだろう――。
     今日の仕事の事だ。最近は殺す指示が多くなっていた気がする。前回まででも何回連続でその指示が出ていただろうか。だから、今回もそうだと思っていた。でも、出された指示は殺すな、生け捕りにしろというものだった。その時だ。つまらないと思ってしまったのは。何で、どうして僕はそう思ってしまったんだろう? 今までを思い返してみても分からない。何がつまらないんだろう? 楽しかったのは外で動ける事のはずだ。でも、殺しても殺さなくても動ける事には変わりない。それで変わる事と言ったら――。いや違う。絶対に違う。そうだ、仕事は無事に殺さずに終える事が出来たんだ。殺さずに済むならそれが一番良いんだ。僕は殺したくないんだから。僕は殺したくないんだ。殺すのは僕の意志じゃないんだ。だから、だから、殺す事が面白いと思うはずはないんだ。絶対にそんなはずはないんだ。でも、それならどうして――。僕は、本当は――。違う。違う! 違う! きっと他に理由があるんだ。つまらないと思った理由が。でも、分からない。いや、分からなくて良いのかもしれない。とにかく違うんだ。殺す事が楽しいはずがない。殺すのは僕の意志じゃないんだ。仕方なくそうしているだけなんだ。それさえ分かっていれば良いんだ。僕の意志じゃないのは間違いないんだから。絶対に、絶対に。僕は殺したくなくて、殺さずに済んだんだ。殺さずに済んだんだから良いんだ。僕は殺したくないんだから。そうだ、今まで殺して来たのは全部あいつらが悪いんだ。僕の意志じゃないんだ。だから、だから――

     僕は悪くないんだ。


    ―――――――――――――――――――――

     えーと、はい、ごめんなさいごめんなさい。でもこれでも結構自重しました。多分全年齢ですよね、多分。リョナとかイマサラタウンな箇所は省きましたし。
     と言う訳で悪の組織的な何かに使われるポケモンの話。続くかもしれませんし続かないかもしれません。続くけど投稿出来ない可能性も結構あったり。
     でも1匹ずつ管理してる理由とか首輪付ける理由とかどうでもいい事は考えてあるのに組織の大きさとか目的とかを決めてないという。そっちの方が大事だというのに。決まってても書く訳じゃないのであまり影響は無いのですけれども。それにしてもこいつら殺しすぎですね。ロケット団でさえ殺したと明確に分かるのはあのガラガラ位だった様な気がするというのに。こいつらどんだけ悪い奴らなんだっていう。イッツ無計画。
     食料とかもどういった設定にしましょうかね。木の実を用意されてるとかが無難ですかね。でもイマサラタウンな案の方が自然に思えてしまうという。殺す理由にも繋げられますし。
     さて、何のポケモンかはご自由に想像して下さい。首があって自己暗示が使えれば大体当てはめられると思いますので。キュウコンとかグラエナとかゾロアークとか。アブソルなんかも夢特性が正義の心ですからその場合葛藤が激しそうで可愛いですね。結論も自分のやっている事は正義だと思い込んだり。あと個人的にはブラッキーの妄想が捗ったり。自己暗示使えますし悪タイプなのも似合いますしなにより懐き進化で分岐進化という所が。懐いた理由とか妄想がイマサラタウン。分岐進化はここまでだとあまり関係して来ないんですけどね。
     あと読点とか「でも」とかが多すぎますね。読み辛くてすみません。でも読み辛い方が雰囲気出る場面もありますよね。それが意図的だったら良いんですけどね。全体的に読み辛いですからどうしようもないですね、すみません。
     何はともあれ書いてて楽しかったです。書いててと言うよりは妄想しててと言った方が正しいかもしれませんけど。

    【書いてもいいのよ】
    【描いてもいいのよ】
    【虐めてもいいのよ】
    【ややイマサラタウン】


      [No.2584] 宿題終わった? 投稿者:神風紀成   投稿日:2012/08/23(Thu) 09:15:44     85clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    弟の宿題を手伝うことになった。
    バスケ部、塾、学校の宿題。彼の夏休みは夏休みじゃない。こんなことを言うと世の大学生や社会人の皆さんに怒られるかもしれないが、彼もまともな休みはお盆のみだった。
    でもまあ、川に遊びに行ったりプールに行ったり遊びの面でも充実はしていたようだが。

    さて、宿題の話である。塾の課題は親と一緒にやるため、どうしても時間が押してしまう。
    この十三年間、一度も誰かに宿題を手伝ってもらうことがなかった弟が、下でポケモンをしていた私に『姉ちゃん宿題手伝って』と頼んできた。
    『何でだよ』『だって暇そうじゃん』『暇そうなら誰にでも宿題頼むんかいお前は』『大丈夫だよ、数学じゃないから』『じゃあ何』『短歌作って』『……は?』

    話を聞けば、去年の夏休みの宿題の進化版で、今年は短歌を作ることになったらしい。

    「俳句はなんとかなったんだけど、短歌って難しいんだよね。ラストの十四文字」
    「普通の俳句の後に『そしてかがやく ウルトラソウル』って付ければ何でも短歌になるよ」
    「えwww ちょwww ブフォッww」

    ツボッたらしい。一分間近く笑い転げていた。放っておこう。
    自慢じゃないがこういう物は得意である。中三の冬休みの宿題で俳句を作り、某飲料水の俳句コンクールに出したら佳作をもらったこともある。あれは私の数少ない栄光の一つだ。『言われている人は舞台へ上がってください』と言われてスッと立ち上がった時の周りの視線が忘れられない。
    まあ最も……その日は一がついた通知表が返ってくる日でもあったのだけど――

    「できた」


    人工の 青に映るは 水の色 瞳の裏に 焼きつく光

    「ボツ」
    「何で!?」
    「アンタさあ、弟がこんなの作ると思う?」
    「思いません」
    「もっとこう……中二男子が作りそうな物をだな……」

    母親と談義している横で、当の本人は漫画を読んで笑っている。カチンとくる。

    「『兄弟に 宿題任せる 馬鹿一人 お前もやれよ この野郎』」
    「ナイス」
    「えー……」
    「つべこべ言わないでお前も作れ!もう二度と漫画貸さんぞ!」

    何度目かの『私何でこんなことしてるんだろう……』という気持ちが胸を包む。疲れた。もう怒る気力もない。
    仕方ないので『中二男子』らしい物を作ってみる。

    「『歯にしみる アイスキャンディー もう一本 今年は何本 いけるかな』」


    ―――――――――――――――――
    余談。
    実際にこういうことが我が家で起きているので書いてみた。ポケモン出てこないけど気にしない。
    俳句・短歌は得意です。作者名言えないけど。

    【宿題終わった?】


      [No.2583] 優しい君たちへ 投稿者:ねここ   投稿日:2012/08/22(Wed) 17:42:02     113clap [■この記事に拍手する] [Tweet]


     小さい頃、私はよく迷子になる子供だった。道に迷っても「迷ったということ」を認めたくなくて、ずっと一人で歩き回っていた――そんなような記憶がたくさん残っている。幼い私はとても頑固だった。今でもきっとそうなのだろうけど。

     私はある時、近所の小さな山で迷子になったことがある。普段見たことのないようなたくさんのポケモンが木々の上で生活している様子を、目を輝かせて観察していた。

     そうしたら、いつの間にか一人ぼっち。だが、私はいつものことだと軽く考え、自分からその山に迷い込んでいった。

     甘蜜をなめるヒメグマ、木から木へ飛び移るグライガー、遠くへ飛んでいくヌケニン、相撲をとるヘラクロス、瞑想をしているアサナン――。

     野生のポケモンも、その景色も、何もかもが私には魅力的に見えた。孤独の静寂さえ、楽しいものだった。

     だがそれは、最初だけ。山にはじきに夕暮れがおとずれた。いつもだったらもう家に帰っている時間。でも私は、出口の分からない天然の迷路から出ることができないままでいた。静寂の中、あてもなく彷徨い歩くしかないそんな状況。次第にゴーストポケモンが増えてきたところで、私はようやく心細くなり、ついに、どうすればいいのと泣き始めた。

     しばらくしゃがみこんで泣いていると、葉を踏む音が泣きじゃくる私の元へ近付いてきた。さくさく、さく、さくり。嗚咽に溶け込む足音。

    「ココ」

     かけられた声に顔を上げると、小さな体に鎧を着込んだココドラが、同じ目線で私をじっと見つめていた。水色の瞳が、心配そうにゆらゆら揺れている。よく見ると、ココドラの後ろにはコドラが、コドラの後ろにはボスゴドラが――。ちいさな私は驚きのあまり腰が抜けてしまい、ひたすらそのココドラたちを見上げることしかできなかった。

     しかし、ボスゴドラは私が迷子だというのを察したのか、ひょいと小さな私を肩に乗せてくれた。どこもかしこもごつごつしていたが、体温がよく伝わってきたのを覚えている。当時の私はまだボスゴドラの気性の荒さは知らなかった為、素直に「助けてくれたんだ」という思いしかなかった。

     それから、ボスゴドラは丁寧にも私を家まで送り届けてくれた。人目につかない森から森へ。誰にも見付かることはなく、私は見知った住宅街に帰って来れた。何で彼らが私の家を知っていたのかは、今でもよく分からない。けれど、それから家に帰った私は――お母さんには物凄く怒られたけど――優しいボスゴドラたちと友達になることに決めた。

     そして、今。私はあの時のボスゴドラたちと暮らしている。大学生になり、大きくなった今でも私の大切な家族だ。ココドラもコドラもボスゴドラも、あの頃から変わらない姿で、私の傍にいてくれる。迷子になった私を救ってくれた英雄たちは、今日も変わらずポケモンフーズを頬張っていた。






    怖そうなポケモンがやさしいとかわいいと思います。

    そうなん?みたいなツッコミは多々あると思いますが気にしない方向で。

    【書いてもいいのよ】
    【描いてもいいのよ】


      [No.2582] 誰も来ないけど続き書いてみる 投稿者:NOAH   投稿日:2012/08/22(Wed) 14:28:57     84clap [■この記事に拍手する] [Tweet]


    かえちゃんの「引っ越し」 と言うものが終わって
    お昼ご飯も食べて、窓側になぜかあったあたしの特等席に立つと
    かえちゃんは急に「何か」 をし出した。

    ロゼッタ(ロズレイド♀)が言うには
    『かえちゃんの本を片付ける』 らしい。
    うー、みんな手伝うのかな……。

    「メイプルー、ちょっと手伝ってー。」

    『なに、かえちゃん!メイプル何でもやるよ!』

    かえちゃんの頭に乗っかって、覗き込んだ。
    かえちゃんの髪、綺麗な赤色でいい匂いー。

    「これ、カーテン。付けれる?」

    『お安い御用だ!』

    よかった。あたしもかえちゃんの手伝いができて。
    カーテンレールの上狭いから乗れないけど、何とかなるかな。

    『メイプル、無理しないでよ?』

    『もう、ロゼッタてば心配症なんだから!
    このくらい平気だよ!と、言うか、これくらいできないと
    かえちゃんの相棒失格になるよ、あたし。』

    『大丈夫よ、そのときは私がカエデの相棒になるから。』

    『え………。』

    『うふふ♪冗談よ♪』

    ごめん、ロゼッタ……冗談に聞こえない。
    まあ、相棒の座を渡す気はないから、いいけどさ!!
    とりあえず、カーテン付けちゃおっと。


    ――――――――――――――――――――――――――


    「きゃああっ!!」

    どさどさ!!

    『な、なに!?かえちゃんどうしたの!?』

    『たいへん だ ! あるじ が ほん の なか に うもれている !!』

    『いけない、助けるぞ!!』

    アコニ(ゲンガー♂)とツァオメイ(コジョンド♂)によって
    かえちゃんは本の中から助け出されました。(気絶してるっぽいけど。)

    あちゃー、部屋の中が本まみれだ。
    大丈夫かな、これ……。

    ―ドンドンドンドン!!

    「秋風さん!どうしましたー!?秋風さん!!」

    『あるじ の おとなりさん だね。でようか?』

    『俺が行く。アコニはここにいろ。
    ロゼッタとメイプルは片付け頼む。』

    あーあ、先が思いやられるよ……。


    *あとがき*
    今回はメイプル視点で書いて見ました。
    全体的にどたっとしてますね、ごめんなさい。

    引っ越し初日でトラブル発生。
    どうしてこうなった……。

    *タグ*
    【書いてもいいのよ】
    【描いてもいいのよ】
    【水東荘新規居住者、及び住人募集】


      [No.2581] Re: 【書いてみた】201号室:ミズシマ 投稿者:NOAH   投稿日:2012/08/21(Tue) 20:12:58     87clap [■この記事に拍手する] [Tweet]


    おお。神風さま!ホウエン居住レポートに
    小説を投稿して頂きありがとうございます!!

    201号室、水嶋兄弟、登録しました(^_^)
    レパルダス可愛い……米粒つけてすり寄ってくるなんて……!!

    これからよろしくお願いしますね(^_^)

    では、続きをば

    ――――――――――――――――――――――――――――

    挨拶周りを終えて、部屋に戻った。
    時計の針は12時を大きく過ぎていた。

    『ヤミィ♪』

    「ふふ……お隣さんのレパルダスとすっかり仲良くなったのね」

    201号室の水嶋大輝さんと、その弟の凛さん。
    大輝さんは礼儀正しい、真面目そうな青年で
    凛さんはどこか、つん、とした、何だかチョロネコや
    ニューラを彷彿とさせる少年だった。

    そして、今はご愛用の止まり木で羽を休ませながら
    日向に当たり、気持ち良さそうに目を瞑るメイプルは
    挨拶周りで出会った、凛さんの足下にすり寄ってきた
    一匹のレパルダスと、楽しそうに、何かを話していた様子だった。
    悪タイプ同士、どこか話が合ったのだろう。
    あの場に姉さんのマニューラがいたら、更に盛り上がっていたに違いない。

    そんなことを思いながら、メイプルを始めとした、私の手持ち達の
    お昼を用意して、私自身も、ここに来る途中で寄ってきた、コンビニで買った
    お握りとお茶をちゃぶ台の上に置くと、残りの五匹をボールから出して
    大量の本や調理器をどうしようか、近くにスーパーでもないだろうかと考えつつ
    エビマヨの入ったお握りを口に入れた。


    *あとがき*
    セリフ少ない;;!!
    書きたいこと纏まらなかった上にお昼ご飯のようすしか書けなかった……。
    でも、これで一旦落ち着きましたので、ゆっくり書けます(^_^)

    カエデちゃんはヤミカラス♀のメイプル含め、6匹の手持ちがいます。
    他の5匹も追々、紹介する予定です。
    あと、彼女のお姉さんもいつか出します。

    *タグ*
    【書いてもいいのよ】
    【描いてもいいのよ】
    【水東荘新規居住者、及び住人募集】


      [No.2580] 【ポケライフ】歯磨き【百字】 投稿者:門森 輝   投稿日:2012/08/21(Tue) 17:11:20     100clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

     おーい、ブースター。こっち来いこっち。歯磨き。こら逃げんな。
     ほら口開けて。あーんしてあーん、あーん……何? 鼻にねじ込んで欲しいって? はいそうそうあーん。良い子良い子。
     そのままじっとしてろよ?

    ――――――――――――――――――

     久々に100字。
     ザングースやアブソルの歯磨き絵見てたらポケモンの歯磨きってポケライフになるんじゃないかなーとか思いましてですね、こうなりました。
     ブースターにしたのはほのおのキバ(笑)をネタにしたかったからなんですけどポケライフなら理由付けしなくても良いかなーとか思いましてですね、省いたら100字に近くなったのでいっそ100字にしてしまおうと。
     まぁ何が言いたいかって言うと歯磨き絵もっと増えろって事ですね。イラコン関係無しに見たいですね。グラエナとかウインディとかブラッキーとかレントラーとかライボルトとk(強制終了
     四足の子とか自分じゃ出来ないでしょうし、二足の子にわざわざやってあげるのも素晴らしいですね。いや、自分で磨いてるのもそれはそれで素晴らしいですけど。
     とにかく歯磨き絵増えろって事です。歯磨き絵増えろ。
     
    【書いてもいいのよ】
    【描いてもいいのよ】
    【寧ろ描いて下さい】
    【ブースターかわいいよブースター】
    【歯磨き絵増えろ】


      [No.2579] 【書いてみた】201号室:ミズシマ 投稿者:神風紀成   投稿日:2012/08/21(Tue) 16:13:42     91clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    チョロネコの額ほどの空間に、ちゃぶ台と座布団二枚。
    ちゃぶ台の上に、湯のみが二つ。
    湯のみの側に、野菜炒めの皿と御握りと味噌汁のお椀が二つずつ。

    座布団の上に、子供一人。
    座布団の上に、大人一人。

    子供の側に、レパルダス一匹。
    大人の側に、ルカリオ一匹。

    『いただきます』の声が二つ。それを見計らったかのようなノックの音が、二回。
    何でもない兄弟の日常が、この音で崩される。

    「はい」

    レパルダスを撫でていた凛は、兄である大輝が立ち上がったのを確認して御握りに手を伸ばした。熱いので注意して中身を割る。梅干入り。白米がピンク色に染まっている。
    熱い味噌汁を見て、少し顔を顰める。

    「もう少しぬるめにしてって言ったのに……」

    凛は猫舌である。どんなに大好きな物でも、熱々は食べられない。おまけにこの部屋には冷房がついていない。あるのはいつ壊れてもおかしくない扇風機のみである。
    それでも日当たりの関係か、ここに越してきてからは一度も熱中症にはなったことがない。兄の健康管理のおかげかもしれないが。

    「凛!来て挨拶しなさい」

    氷水を飲んでいたところへ、兄の声が響く。ため息をついて、レパルダスを飛び越えた。
    玄関先に立つ二つの人影。一つは兄。もう一つは…… 女性だ。
    髪は赤毛。以前読んだ『赤毛のアン』に出てくる赤よりも少しだけ濃い。あちらが『にんじん』なら、こちらは『トマト』とギルバートに言われることだろう。
    背丈は小柄。いや、兄の側に立っているから小さく見えるだけかもしれない。兄は百八十近い。ちなみにオレは百五十ちょっとしかない。
    彼女の頭に停まっているのは、図鑑でしか見たことのない、ヤミカラス。重くないのだろうか。

    「今日からこの水東荘に住むことになりました、秋風カエデです。……よろしくお願いします」
    「こちらこそ。私は水嶋 大輝です。こちらは弟の凛」
    「……はじめまして」

    困ったことがあれば何でも言ってください、という兄の言葉に彼女は『ありがとうございます』と言い、『これ、うちの実家の名物です』といかり饅頭を渡してきた。
    こちらで言うヒウンアイスみたいなポジションだろうか。
    ふと足元に柔らかい感触。レパルダスが玄関先までやってきていた。口元に米粒が付いてる。

    「こら、レパルダス、ダメだってば」
    『ミャオン』

    レパルダスとヤミカラスはお喋りを始めてしまった。悪タイプ同士、何か通じ合うものがあるのかもしれない。
    『これからよろしくお願いします』という挨拶で、一先ず彼女は部屋に戻って行った。

    「美人さんだったね」
    「……」
    「どうしたの?……もしかして、気になった?」
    「馬鹿を言うな。早く食べろ」
    「はいはい」

    華ができた、気がする。
    なんだか楽しくなりそうだ。


    ――――――――――――――
    えっと、初めまして。神風紀成と申します。
    面白そうだったので書いちゃったんですけど…… いいんですかね、こんな感じで?
    他の部屋の住人さんがどんな感じなのか気になってます。
    とりあえず、彼らもよろしくお願いします(?)

    では。


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