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シャンデリア。
天井の低い和様家屋に明らかに不釣合いなそれは、彼の趣味で買ったもの。
チラチラチラチラ瞬いて、子どもの頃は星がすぐそばにあるように輝いて見えたそれは、
===
夜中に目が覚めた。耳を澄ませば、台所で母が立ち働いている音が聞こえてきた。面倒くさいなあ、とは思ったけれど、起きた。
制服のままだった。うっかりしていた。
「おかえり、お母さん」
「ただいま」
スーパーの袋から、見慣れた食品のパッケージが見えていた。それを見るだけで、頭がズキズキと傷んだ。私は何も言わない。だから、母は何も気付かない。
買ってきた野菜を冷蔵庫に入れ終えて、椅子に腰を下ろした母は、休む間もなく私に話しかける。
「おじいちゃん、今日もご飯、ちゃんと食べてくれた?」
「食べたよ」
私は嘘をつく。
「そう」
母はホッとしたように目を閉じる。間もなく、「お風呂に入るわ」と言って立ち上がる。
私は何も言わない。だから、母は何も気付かない。
いいじゃん。私が彼の食事を抜くのは、二日に一度の、それも夕食だけのことなのだから。それの何が悪い?
===
昔はそうでもなかったんだけどなあ。
私は寝ていたらしい。現国の、気弱な新任の先生に突かれて起こされた。疲れてるんだねえ、と気弱な先生は気弱に言って、教壇へ戻っていった。
疲れてると思うなら、寝かせてくれとけばいいのに。
閉じていた教科書を開き直した。クセがついてなくて、ほっとくとすぐ戻る教科書。私はページの付け根を手の平で擦ってクセをつける。やっと開いた。
教鞭が物憂げに黒板を叩く。「この当時は胃潰瘍を患っていて……」気弱は先生は教科書と黒板を行きつ戻りつ、気弱に授業をする。
いいじゃん、そんなの。胃潰瘍ぐらい。私は思う。昔の文豪サマはじいさんの介護なんてしてないんでしょ? なら、いいじゃない。
昔はそうでもなかったのに、今は、学校でも荒れている。
===
彼はいつもリビングにいる。だから、私は台所で用意したご飯を、リビングまで持ってかねばならない。そんなことさえ、今は苛々した。
リビングに入る。カーテンを最後に開けたのはいつだろうか。日の光の入らないリビングは薄暗い。
照明のシャンデリアは、沈黙している。私は明かりを点ける。
「電気代がかかるから消しといてくれ!」
彼が叫ぶ。私は明かりを消す。暗くても、私は若いからなんのかんので見える。盛り付けもろくにしない皿を、私は彼の目の前に叩きつけるように置く。
目の前に出されたお皿に、彼はいただきますも言わず、食べている。
食事の前はいただきますって言いなさい、って、学校で教わらなかった? 嫌味も大声でなければ耳にも入らない。面倒。私は自分の分の晩ご飯をかきこんだ。
沈黙が続く。
沈黙に耐えかねたのか、彼が口を開く。
「じいちゃんがお前ん頃くらいの時なあ」
無視。
「ポケモン持って旅に出たけどなあ」
無視。
「じいちゃん、バトルからきしでなあ」
無視。
無視。無視。無視。
彼は私の機嫌を取らなければならないとでも思っているのか、必死に喋り続けている。
はいはい、知ってますよ。バトルがダメで故郷に戻って勉強していい企業入って自分は成功したから、そのルートを母にも私にも押し付けたんでしょ。だからポケモン持つなって言ったんでしょ。キリエを家から追い出したんでしょ。何回も聞いたわよ、その話。私は何も言わず、彼は必死に喋り続けている。
そんなつまらない昔話するくらいなら、ちょっとは母に感謝の言葉の一つでも口にしたらどう? あんたが飯がまずい、固くて食えないって言うから、高いのに、柔らかく仕立てた出来合い物を、わざわざ母が買ってきてくれるというのに。どうせ味覚も老化して、味なんか分からないくせに。そんな嫌味も忠告も、大声でなければ耳にすら届かないのだ。
「お前、母ちゃんに似てきたなあ」
彼は話題がなくなると、必ずそう言う。私は無視し続ける。無視、無視、無視。
===
今日も母は夜遅くに帰ってきた。
「おかえり」
「ただいま」
「おじいちゃん、ご飯ちゃんと食べてくれた?」
「食べたよ」
今日も嘘をつく。いや、今日は食べさせたっけ。今日も昨日も一昨日も一昨昨日も変わりない日々が続くものだから、私まで脳にヤキが回ってきたらしい。
「そう。疲れたから、お母さんお風呂入って寝るね」
「うん、おやすみ」
よっこいしょ、と腰を上げる母を、私は見送る。
それから、私は寝る。
ベッドに寝っ転がる。ぬいぐるみを一つ、引き寄せる。締め忘れたクローゼットから、制服が私を見つめている。
最後に学校に行ったのは、いつだったっけか。
ああ、もう一学期、丸々休んだんだなあ。
いつの間にか、欠席の連絡をしなくても、「今日どうしたの」と学校から電話がくることはなくなってしまった。
===
シャンシャン、シャンシャン、シャンデリア。
天井の低い和様家屋に明らかに不釣合いなシャンデリア。
手入れも行き届かず埃の積もるままに放置されたそれは、今はただ、汚らしい。
彼は昔から、変な所で頑固だった。家にシャンデリアをつける、と言った時もそうだった。ポケモンを持つことも彼の所為で許されなかった。
両親が、別居したい、と言い出した時も、そうだった。
「別居は認めん。同居じゃ、同居」
らしい。
その同居縛りは今も続いて、母を縛っている。お人好しな母は、律儀に彼の世話を続けていた。
でも、仕事をしながら介護というのは、限界がある。
「ごめんね、でも、おじいちゃんの世話、今日だけしてちょうだい」
高校に上がってすぐ、そう言い渡された。母に似てお人好しな私は、彼の世話をした。
「ごめんね。今日もおじいちゃんの世話、してくれる?」
いいよ。分かったよ。
「ごめんね。今日もお願いしていい?」
いいよ。お母さん、疲れてるもんね。
「ごめんね。お母さん、忙しくて」
いいよ、いいよ、そんなこと。じいさん頑固で、ケアマネとか頼めないもんね。デイサービスも、行けないもんね。老人ホームなんて、どこもいっぱいだしね。仕方ないよ、お母さんは悪くないよ。じいさんに晩ご飯を食わせる為だけに、私がクラブに入れなかったとしても。じいさんが飯がまずいと朝から癇癪を起こした日は、私が遅刻して宥めなければいけないとしても。じいさんが風呂に入るのも一人で出来なくて、私が宿題をやる時間を睡眠時間を削って介助しなければいけないとしても。じいさんが未だにポケモンを持つなとうるさいから、キリエを部屋に入れられないことも。お母さんは悪くないよ。
二日に一度、晩ご飯を抜く。
悪いのは、いつまでも汚らしく生きてる、彼でしょう?
===
彼の状態は悪くなる一方だった。
元から短気だったが、癇癪を起こすことが増えてきた。
私は学校で母は仕事でいない時でも、「飯!」と叫んで悪い足で動き回って、私が帰ってきた時には、不貞腐れて寝ている。昼ご飯に母が弁当を置いて出るけれど、もうそれも分からないようだった。「飯!」と叫んで悪い足で歩き回って不貞腐れて寝る。だけならまだしも、夜も昼もなく起き出すことが多くなった。
目が離せなくなった。
母が倒れた。
彼の世話を見る人がいなくなった。
私が学校を休むことになった。
「飯!」
彼がそう叫んでも、無視する。ご飯の時間になったら、一応、ちゃんと食べさせる。
「飯! まだか!」
買ったきり使わない七味唐辛子を入れて出す。いいじゃん、二回に一回だ。
リビングは暗い。電気を点けると、電気代がかかると言って怒り出す。バカみたい。ポケモンもエサ代がかかると言って怒っていた。バカみたい。私がポケモンの代わりにぬいぐるみを買うのも、金がかかると言って怒っていた。バカだ。
「風呂」
うるさいよ。
「風呂」
そう言って私を探し回る。
ぞっとする。
一人じゃ風呂にも入れないじいさん。前は母がやっていたけれど、それもいつか私の仕事になった。自分で着替えの服を見つけることも選ぶことも出来ず、じいさんに服を選ぶのも洗濯するのも全部私。
「風呂」
そう言って私を探し回る彼は、ストーカーみたいだ。
私は聞こえないふりをして、ベッドの上で膝を抱えていることが多くなった。
高校は留年した。
彼がうるさいから、キリエと一緒に旅に出るのもキリエと一緒に暮らすのも我慢して言われた通り全日制の高校へ行って大学を目指していたのに。
なにこれ。
無茶苦茶じゃない。
「死ねよじじい」
声が出た。
今はいつだっけ。
昨日と一昨日一昨昨日と同じ今日が続くから、学校に行ってないと、曜日感覚が掴めない。
私は手元のお皿を見下ろした。今日はご飯抜きの日だっけ、それとも、唐辛子を入れる日だっけ。そのくらいしか楽しみがない。
リビングが暗すぎて、手元の白いはずのお皿さえ、満足に見えなかった。カーテンの向こうは真っ暗で、窓が汚れているのだな、と思った。昼間のはずなのに、道理で夜みたいなはずだ。
「あ」
彼は聞き返す。
そして、聞き返したことも忘れて、彼は「飯」と言い出した。
「うるさい」
「あ?」
「うるさい!」
私は喉が破れるくらい、叫んだ。
「うざいよ。自分じゃ何も出来ないくせに、当たり前みたいに飯食って風呂入って口だけ出して。飯用意できないなら飢え死にしろよ。洗濯できないなら大人しく垢にまみれて死ねよ。なんで私が汚いじじいの世話なんかしなきゃならないの。しわくちゃで血の巡りも悪くて髪は抜けて目は変色して歯は黄ばんで皮膚は染みだらけで爪だけ伸びて記憶力も悪くて思考力もなくてこれから未来もなくて死ぬだけで本当に汚い! 私が将来こんな風になるんだって思うと嫌だ。お前なんか消えればいい。そしたら私もそんな先のことなんか気にせず学校行って勉強してクラブしてキリエと一緒にいられるのに。もうお前がいる所為で何もかも滅茶苦茶だ、早く死ねよ老害!」
叫び過ぎて、喉が痛かった。
暗くて見えないが、彼は、ポカンとして私を見ているのかもしれない。
彼が口を開いた。
「飯は?」
私はお皿を置いた。
そうだ、今夜、風呂場で、
===
救急車が着くまで、現国の教科書を読んで待っていた。ただ久しぶりだからという理由で、それを手に取った。来し方の文豪の苦悩を描いた小説は、目を滑るようで、ちっとも内容が頭に入ってこなかった。
けど、並んだ。
夜闇を削って、悲鳴のようなサイレンの音が聞こえてきた。私は教科書を閉じた。
===
母はどこまでもお人好しで、始終ハンカチを湿らせていた。
久しぶりに、制服に袖を通した。忌引が終われば、留年したけれど、また学校へ通える。どこか緩い感じのクラブを見つけて、入るのもいいな。
読経の間、私は笑えて仕方がなかった。嬉しさが表に出そうになるたび、下を向いてやり過ごした。
骨になった彼を、お人好しな母は大事に抱いていた。これで彼に脅かされることはない。どこまでも続く曇り空が気温を調節して、いい心地だった。
私は自由だ。
ポケモンだって、持てる。
「あら、あれ、何かしら」
母が立ち止まる。
「カゲボウズと、ジュペッタかしら」
私は歩き続ける。
「あんなにたくさん。何だか怖いわ」
母は後ずさる。
私は前へ進む。
怖くないよ、お母さん。あれはキリエなのだから。私には分かる。あれはキリエと、キリエの子どもたちだ。
久しぶり、キリエ。キリエがジュペッタになって家を追い出されてから、ここに戻ってくるまで、ずいぶん長い時間が過ぎたね。その間にたくさん子どもも出来たんだね。邪魔者はいない。これからみんなで一緒に過ごそう。みんなで、
「イヤ、やめて! 娘から離れて!」
どうしたの、お母さん。
どうしたの、キリエ。何故自分の体を滅茶苦茶に引っ掻いているの? 何故自分を覆う布を撓ませ、歪ませ、溝の水で染みさせて、ボロボロにしているの? 自分の綿を掻き出し、自分を痩せこけさせているの?
何故私の足がふらつきだしたの?
前傾した体を支える為、地面についた手が、ポキリと折れる。若い張りのある肌は、茶色い枯枝のように萎びはじめた。キリエがキリエを刺す。世界が歪む。やめてやめて。母の金切り声が、遠くに聞こえる。記憶が飛ぶ。思考が立ちゆかなくなる。
悲鳴のようなサイレンが聞こえてきた。
===
ねえお母さん、ご飯は?
ねえお母さん、お風呂は?
ねえお母さん、着替えは? ご飯は? さっき食べたなんて嘘つかないで。ねえ、学校はどうなったの? キリエはどこにいるの? キリエと一緒に暮らすんじゃないの? ねえお母さん、ご飯は? ねえお母さん、お風呂は? さっき食べたなんて嘘つかないで。ねえお母さん、
===
真っ黒いボロ布が、気ままな風に吹かれて飛んでいった。
===
低きに下がるシャンデリアは、窓から注ぐ陽の光を弾いている。電気を点けなくとも、十分に明るかった。
「おじいちゃん、ご飯」
彼はご飯というものさえ、ハッキリ分かってないみたいだ。それでもご飯と大声で言えば、必死に頷き、口に運ぶ。
そして、同じ部屋で食事を摂る私に、拙いながら昔話を披露する。
「じいちゃんがお前くらいの時、ポケモン持って旅に出たけど、バトルがからきしでなあ」
私は食事を口に運びながら、相槌を打つ。大きな声で、彼に聞こえるように。何度もされた話に、笑い声を立てる。
彼が死ぬまでの短い間のことだ。大丈夫。私が少し気を遣って、彼の最期が少し華やげばいい。
ただそれだけの、簡単なことなのだから。
ただそれだけの、簡単なことなのだから。
カゲボウズ、一つ。
> 作者は3DSの立体ポケモン図鑑でキュレムのおしりがかわいいと評判をききつけ、犯行に及んだと供述している。後悔しているが、反省はしている様子はない。
>
> 一応、ドラゴンタイプだったはずですよね
あえて言おう!
キュレムのケツはすばらしい!!!!!!!!
おおきな穴がぽっかり空いたジャイアントホール。その奥の奥に住んでいるのが、キュレムです。図鑑完成に必要なしと言われ、なかなかキュレムに会いに来てくれるトレーナーさんもいないので寂しかったキュレムですが、最近嬉しいことがありました。
キュレムを主役に迎えた映画が発表されたのです。それだけでも嬉しいキュレムに、またまた嬉しい知らせが届きました。キュレムを主役に迎えてゲーム本編が発売されるというのです。おまけに、パッケージにまでキュレムが飾られています。
嬉しくて歌っていたら、いつのまにか自分の冷気で体を凍らせちゃった、ちょっとおっちょこちょいなキュレムなのでした。
☆★☆★☆★
作者は3DSの立体ポケモン図鑑でキュレムのおしりがかわいいと評判をききつけ、犯行に及んだと供述している。後悔しているが、反省はしている様子はない。
一応、ドラゴンタイプだったはずですよね
この話には、グロい表現があります。
昔々、流星の滝にタツベイの子とチルットの子がいました。どんな竜の子も必ず踊るような動きをするので、それをりゅうのまいと呼びました。チルットはそれがとても美しく踊れるのに、タツベイは酔っぱらいが千鳥足で歩いてるようでした。
さらにチルットは空を飛べます。タツベイは飛べませんでした。空高く舞い上がるチルットをいつも岩の上から見上げてます。
けれどもタツベイはチルットが大好きでした。いつか自分のおとうさんおかあさんと同じようにボーマンダとなって、チルットと一緒に空を飛ぶことを夢みていました。
ドラゴンタイプの中ではりゅうのまいが最も美しく踊れるポケモンがモテますので、チルットはいつでも雌に囲まれていました。そんな雌の外にタツベイはいました。それでもチルットは将来お嫁さんにするならタツベイがいいと言って他の雌を寄せ付けません。他の雌は一番りゅうのまいがヘタクソなタツベイが選ばれることが不思議で仕方ないようです。
はやくチルットと空を飛びたいタツベイは、毎日流星の滝から飛び降りては空を飛ぶ練習をしていました。石頭なので落ちても平気です。何度も練習して、チルットと空を飛びたいのです。
たくさん飛び降りました。タツベイの体はやがて白い鎧で覆われ、体重も重くなりました。コモルーに進化したのです。あまりに嬉しくてチルットのところへと遊びにいけば、すでにチルタリスになっていました。チルタリスは進化してからりゅうのまいが一層美しくなっていました。コモルーはりゅうのまいが一層踊れなくなっていました。丸いからだでは動きにくいのです。
美しいチルタリスとほとんど動けないコモルー。育った時期も年も同じくらいなのに、手の届かないチルタリスの美しさ。それに引き換え足で移動するよりも転がった方が早いと思われてコモルーの醜さ。チルタリスと自分はつり合わないと、コモルーは次第に遠のいていきました。
それからというもの、コモルーは飛び降りることもなく、ただひたすら流星の滝から空を見上げては先に進化した仲間たちの後ろ姿を目でおってました。そして思い出したように動くと、流星の滝から転げ落ち、再び登ります。コモルーの固い殻は傷だらけでした。
チルタリスに会わなくなってからかなり経ちました。どんなに会わなくてもコモルーは忘れたことはありません。けれどこんな醜い姿で会うことが耐えられなかったのです。
長い年月が経ち、いくつもの季節が通りました。背中にむずがゆさを感じ、コモルーは地面にこすりつけました。丸いからだですので、そのまま転がってしまいます。止まることなく、コモルーの体が重力に引かれました。背中は一層かゆくなり、一生懸命はばたきました。しっぽは長くなり、顔は凛々しくなりました。ボーマンダとなることができたのです。
水面にうつるボーマンダとなった自分をじっと見つめ、鋭い爪がはえ揃った前足で地面を蹴ります。今までにないくらいにわき上がる力に、ボーマンダは翼を羽ばたかせて空を飛びました。そして空を飛びながら、チルタリスが見せてくれたりゅうのまいを思い出しながら踊ってみます。それはもう空を無敵の竜が昇っていくかの美しさでした。これならばチルタリスと一緒にいられると自信に溢れます。
さっそくボーマンダはチルタリスのところへと向かいました。久しぶりに会う姿は進化していますし、もしかしたら解らないかもしれません。ボーマンダがいなくて寂しかったかもしれません。
翼がはえたばかりで調節は難しいですが、なんとかチルタリスのところへとやってきました。するともう一匹チルタリスがいるのです。ボーマンダが姿を見せなくなったので、死んでしまったか嫌われたのだと思い、他のチルタリスと番になったのだと言われました。
ボーマンダの心は激しく燃え上がります。黙って消えて悪かったなどとみじんにも思えません。約束を破ったチルタリスへ全ての怒りをぶつけます。ボーマンダの力はチルタリスのそれよりかなり強いのです。チルタリスも、番も巣も全て鋭い爪で切り裂き、嫉妬の炎で燃やし尽くします。巣の中には割れたタマゴの殻が散乱していました。
完全に赤い固まりになったチルタリスをボーマンダは何も思わず鋭い牙で噛み付きます。初めて食べるチルタリスの味が良かったのか、夢中でむさぼります。残ったのは血に濡れたふわふわの羽と骨だけでした。2匹目は途中で飽きたのか爪で切り裂いて遊んでいました。
それからというもの、ボーマンダはチルタリスを襲ってはその肉を食べて暮らしていました。かならず前足で切り裂き、青い羽毛が見えなくなってから。まだ心臓が動いて命乞いをしているチルタリスもいました。容赦なくその首にかみつき、苦しみに悶えるチルタリスの絶叫を楽しんでいました。
流星の滝はボーマンダのえさ場となりました。チルタリスたちはボーマンダを恐れましたが、空から一気に襲いかかるボーマンダから逃げることは不可能でした。そこで、チルタリスはりゅうのまいを最も力強く美しく踊る神様、レックウザの元へと行きました。レックウザはチルタリスたちから話を聞くと、自分の住処であるそらの柱に身を隠すことを許可し、流星の滝に向かいます。
なにも知らずボーマンダが餌のチルタリスを探していると、急に空が暗くなりました。天気が悪いのかと見上げると、いきなりわしづかみにされました。「ドラゴンなのにドラゴンを食べるボーマンダはお前だな。これからドラゴンタイプと認められないよう、お前からりゅうのまいを取り上げよう」とレックウザは言いました。みるみるうちにボーマンダはりゅうのまいの記憶がなくなっていきます。もう力強く空を昇る竜を表現することはできなくなりました。
空を飛べるのにりゅうのまいができない。そんなボーマンダは仲間のボーマンダからも無視されるようになりました。毎日を流星の滝で泣いて過ごします。チルタリスに最初から言っておけばよかったこと、なぜ殺してしまったのだろうということ。ふと頭を持ち上げ、翼を動かしました。羽ばたくとレックウザを探しに空へ高く高く上がります。
レックウザを探すために何日も飛び回り、ボーマンダは空腹です。けれど一向にレックウザは見つかりません。最後の力を振り絞り、一際高い塔へと飛びました。
待っていたかのようにレックウザはボーマンダを見ています。ボーマンダは言いました。「ごめんなさいごめんなさい。私からりゅうのまいを取り上げないでください。チルタリスは悪くないのにやつあたりしてしまいました」レックウザは言いました。「今までお前がどんなことをしてきたか解ったようだね。お前にりゅうのまいは返そう。ただしチルタリスのことを忘れないように、自分では覚えないようにしておくよ」レックウザはボーマンダにりゅうのまいを返しました。ボーマンダは喜んでレックウザの前で踊ります。けれど本当に見て欲しいチルタリスはもういないのです。
その後、改心したボーマンダはさらにりゅうのまいを美しく踊るようになり、それを見た人間たちは芸能の神様として祭り上げました。さらにチルタリスへの思いから、恋愛成就の神様としても有名になっています。
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そんな説明書きを見たカップルがボーマンダへ参拝する。けれども良く見た方がいい。ボーマンダは嫉妬によって狂ったドラゴンだ。それなのに番で来るなんて、いかにも「食ってくれ」と言わんばかりじゃないか?
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お題、ドラゴンタイプ。やはりボーマンダとチルタリスはいいのです。本当に。流星の滝でチルットかわいいし歌えるし飛べるしいいなと思いながらタツベイが空への憧れを持ってたらなお。
タブンネは激怒した。かの嘘吐き西条流月を取り除かねばならぬと思った。タブンネには情報が解らぬ。小説サイトでげしげしして暮らして来た。しかしデマに関しては人一倍敏感であった。
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発売前のあのデマ飛び交うの何とかならないかなというメッセージを
つまり
【ごめんなさい】
どうも、586です(´ω`)
3/18(日)の打ち上げに参加いただける方に、お願いがあります。
当日連絡が取れるよう、お手数ですが下記のメールアドレスに対して、本文に「名前」(HN)を記載して
メールを送信してください。
shell_586★yahoo.co.jp
(※★を@に変更してください)
受信できた方から随時、こちらの携帯電話のメールアドレスを送付します。
いざと言うときに備えて連絡を取れるようにしておきましょう(`・ω・´)
以上、よろしくお願いいたします。
日増しに暖かくなり、外に洗濯物を干すことも苦ではなくなった。石畳の小道に面した私の部屋。ベランダの手すりにシーツ、タオルを並べていく。端っこにはシェイミをモチーフにしたプランター。
金属製のハンガーには下着とYシャツ。あの双子のは、少し離れて別のハンガーに干す。男性、しかも五十を超えた男に若い女性の私物は干せないので、ドレディアに頼む。
部屋の中にあるロトム型のラジオから、ハスキーな女性の声が聞こえてくる。全国的に晴れ渡り、花粉が非常に多い日になるでしょう。
下の通りを歩く人達の中に、花粉マスクをつけた人が沢山いた。私は花粉症ではないが、洗濯物に花粉が付くのは好きではない。バイクに黄色く汚れが付くのもいただけない。
「……晴れたことだし、水仕事をしようか」
ドレディアが頷いた。
アパルトマンの裏。ガレージがあり、住人の自転車やバイクが置いてある。ここに子供連れで住んでいる人間はいない。若い女性や男性はいるが、それでも結婚はしていない。
ホースを使うと周りに飛び散るので、バケツに大量の水を入れて持って来た。ゴム手袋に雑巾、洗剤も忘れない。
黒がメインカラーなので、白ほどではないが汚れが目立つ。案の定、花粉と砂埃が猛威を奮って表面に模様を作っていた。少しずつ洗剤と水を使って落としていく。
ふとガレージの屋根の隙間を見れば、梅の花が咲いているのが見えた。濃いピンク色。今年は芯まで冷える日が多かったせいか、桜の蕾はまだ固い。やっと梅が咲いてきた頃だ。例年より五日ほど遅いという。
腕まくりをした腕に日光が差し込む。ドレディアが横で久々の日光浴を楽しんでいた。
終わった時には、時計が十時半を指していた。
あの二人はまだ帰ってこない。確か今日は答案返却と大掃除だと言っていた。双子とはいえ、高二になればほとんど変わってくる。文系、理系の差ではなかった。勉強が苦手なのは二人とも変わらなかった。
昼食と夕食の買出しをするため、ドレディアと一緒に部屋を出た。もうコートはいらない。薄いセーターだけで平気だ。
パン屋に行ってフランスパン、スーパーに行って野菜と果物を買い込む。ついでに珈琲店に行って豆を買う。帰る時に、学生達とすれ違った。いい顔をしている者もいれば、その反対もいる。後者はしきりに鞄を気にしている。試験の結果の問題だろう。あの二人は、どんな顔をして帰ってくるのか。
石とレンガが多く、近代的な印象をあまり受けない街。私が移り住んで五年以上が経つ。沢山の人との出会いに支えられて生きてきた。私がポケモンを手に入れるなんて、全く考えていなかった。
ここに留まることも……
帰った私がまず一番初めにしたことは、手を洗うことだった。その後にキッチンへ向かい、鍋に水を入れて沸かす。ほうれん草を洗って切り、バターでいためる。途中でベーコンと卵を入れてとじる。
水がお湯になったらそこに玉ねぎ、人参、キャベツを刻んでいれて茹でる。火が通ったらコンソメを入れ、溶けたらチーズを入れる。
「ただいまー」
二人が帰ってきた。どことなく声に張りがない。おかえり、と言った私の目に飛び込んできた物はテスト用紙だった。妹の方はため息をついた。
「今回はいけると思ったんだけどなあ」
「でも赤点は免れましたし。私も現代文が」
「いいよねヒメは。あたしなんてとりえは体育だけ……」
珍しくネガティブな発言が目立つ。買ってきたフランスパンを切り、皿に盛った。
「さあ、先に食べなさい。ヒナさんは部活があるんだろう」
「そういえばマスター、春休みどうすんの?あたし達はこの一年で溜めたバイト代でどっか行こうかと思ってるんだけど」
パンにチーズを塗り、かじる。粉がテーブルに落ちる。
「どうせなら遠い所に行こうかと思って、色々パンフ持って来た」
彼女の鞄から、色とりどりのパンフレットが出てきた。カントー、ジョウト、ホウエン、シンオウ。そしてイッシュ。ヒウンの港が表紙だ。
「ジョウト行こうかな。食べ物が美味しいらしいし」
「各地の名産品を味わいながらっていうのもいいですね」
「ポケモンも見てみたい」
「二人とも、読むか食べるかどちらかにしなさい」
友人と約束がある、ということでヒメは出て行った。皿を洗い、一息ついたところでパンフレットが目に入る。春休み。自分の場合休みと平日の違いはあまりない。
「……」
二人が行く場所とは別の場所だろう、と思っていた。ただ行くかどうかは分からない。行くとしたら――
まだ梅しか咲いていない。だが確実に桜の蕾は膨らみ、開花を待ち続けている。
春が近づいていた。
> 期末終わりました。それで、新橋行ったことなくて……地図見てもいまいち分からない。
> 親父なら分かると思うんですけどね。『おっさんの町』って言うくらいですから。
>
> んで、誰か駅から一緒に行ってくれないかなー……と。集合場所が駅ならなおいいですが。
> そこらへんどうお考えなのでしょうか。
> よろしくお願いします。
今の計画だと、イベント終了→移動→新橋へ と考えているので、
必然的に駅で一端全員集合することになると思います。
計画に変更があった場合は、速やかに別途連絡します。
期末終わりました。それで、新橋行ったことなくて……地図見てもいまいち分からない。
親父なら分かると思うんですけどね。『おっさんの町』って言うくらいですから。
んで、誰か駅から一緒に行ってくれないかなー……と。集合場所が駅ならなおいいですが。
そこらへんどうお考えなのでしょうか。
よろしくお願いします。
おはようございます。586です。
締め切りの時間と相成りましたので、3/18(日)の参加メンバー一覧を掲載します(すべて敬称略)。
586(幹事)
No.017
紀成
西条流月
レイニー
リング
渡邉健太
久方小風夜
きとら
CoCo
風間深織
小樽ミオ
なみのりライチュウ
りえ
風見鶏
巳佑
なんと気がつけば16人の大所帯に!(素
楽しい打ち上げにするよう、幹事として努力させていただきます!
以上、よろしくお願いいたします(´ω`)
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