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タグ: | 【ポケモン】 【まだだ!まだ終わらんよ!】 |
※いつものことながらちょっと注意
自分がいつから生きているか、思い出せない。
マダムの寝室に入れることができる人間(もしくは、ポケモン)は少ない。レディでさえ、一度も行ったことがないのだ。
執事であるゾロアークのネロは、合鍵を持たされているという。
「マダムってさ、ぶっちゃけ掃除とか得意なの?」
その瞬間、ネロは今まで見たことがないような顔をして黙ってしまった。どうやら、掃除に関してはとんでもない労力を強いられているらしい。
その顔を見て、もう二度とそれに関する質問はしないとレディは思った。自分の身が可愛いのではない。
あまりにも、見ていて辛い表情だったからだ。
さて、傍若無人で我儘でアドルフ・ヒトラーも真っ青なくらいの独裁政権を仕切るマダム・トワイライト。彼女がいつから黄昏堂を開いているのか、そもそも何歳なのか。
誰も、知らない。
何かがベッドの柱を齧る音で、マダムは目を覚ました。
ゆっくり体を起こすと、せっせと柱を木くずに戻していたコラッタと目が合う。目に何の感情も入れずに見つめれば、その小さな体は文字通り転がるように部屋を飛び出していく。
そこで、やっと自分が眠っていたことに気付いた。
乱雑な部屋。自分が所有する屋敷の中では、一番狭い部屋。その広さはさながら、物置と称していいレベルである。
それに加え、天井まで積み上げられた古今東西の本や、左右の壁に備え付けられた棚から溢れ出した骨董品がごちゃごちゃとした雰囲気をを醸し出す。
「……ネロに掃除を頼まないと」
”自分で掃除をする”という概念が、彼女の中には、無い。最終的に、自分の部屋が綺麗になれば良いのである。
たとえ掃除をしている最中に、積み上げられた本の塔が崩れて来ても、骨董品が頭に落ちて来ても、彼女は被害者の心配など、一切しないだろう。
”誰かを案じる”という感情も、彼女の中には、無い。
欠伸をしながらベッドを下りる。途中、散らばっていた宝石箱を踏みつけたような気がするが、気にしない。
時計を見ると、まだ黄昏堂を表に出すには早い時間だった。丁度お昼時だったため、足は自然とキッチンと称して作られた部屋へと動く。
近付くにつれ、オリーブオイルと大蒜が合わさった香ばしい匂いが鼻腔をくすぐる。無いはずの場所から、音が鳴った気がした。
基本的に、マダムは飲食をしなくても平気である。だが味覚もあるし、何が美味しいか不味いかというのは分かる。
長い時間を生きる上で、唯一と言っていいほど楽しみにしているのが、美食の存在だった。
黄昏屋敷の廊下に連なるドアたち。それぞれに名前が付けられており、開けばその名前に通ずる場所へと行ける。
たとえば、今日店を出す予定の場所はカント―・ヤマブキシティの一角だが、そのドアを開ければ遠く離れたジョウト・ホウエン・シンオウはもちろん、海を越えたイッシュやカロス地方へ行くことも可能である。
ちなみにマダムが一番気に入っている店は、カロスはミアレシティにある三ツ星レストランで、一か月に一度は通っている。もちろんディナーで、食後は少し足を伸ばしてバトルシャトーで政財界の大物達と顔を合わせてバトルするのが気に入っていた。
出不精と言われているが、“術”を使えばどうということはないのだ。
その体が、違和感なく見えればいいだけの話なのだから……。
キッチンに行くと、シェフをしているマフォクシーのルージュが丁度皿に料理を盛り付けている所だった。マダムを見つけて、少し戸惑った顔をする。
『これから起こしに伺う所だったのですが』
「気にするな。 ……美味しそうだな」
今日のランチはイタリア料理らしかった。白い更に盛り付けられた、トマトとモッツァレラチーズの冷製パスタ。種類はカッペリーニ。
付けられた飲み物はスパークリングのミネラルウォーターだった。
「以前入手したと言っていたシャルドネは?」
『今夜のディナーにお出しします。まだ十分に冷え切っていないので』
甲斐甲斐しく主の世話を焼くルージュ。ここに配属されてから、半年も立っていないのに、その腕と振る舞いは執事であるネロに匹敵していた。
彼女とネロは、あらゆる面が似ている。これを面と向かって言うと苦笑されるのだが、性格・振る舞い方・忠誠心。全てが重なるのである。
そして――。
『さきほど、フォッコ達が良い鴨を狩ってきましたが、どういたしましょうか』
「精肉して、今日のディナーに出してくれ」
『でしたら、ワインはシャルドネではなく……』
「ああ。そうだな……」
女と顔を合わせてディナーをするというのは、あまり聞いたことがない。カクライでも呼ぼうか。
「ボルドーにしてくれ」
『かしこまりました』
“部下”を大量に引き連れている所も――
同じだ。
開けるまで時間があるので、“別部屋”に足を運ぶことにした。
この屋敷にあるドアは、施設に繋がる場所だけでなく、あらゆる土地へと続いている。その数は…… 私も分からない。もし、行きたい時に通じるドアが無ければ、新しく作り出すからだ。
某猫型ロボットが出す“どこでもドア”のような物だ。ただし、あちらが一つで事足りるのに対し、こちらは場所の数だけ揃える必要があるが。
「今日はどうしようか……」
ずらりと並んだドアの前で、私は考える。時間があると言っても、この時期のため、使える時間は四時間半と言ったところ。しばらくカロスを重点にしていたため、カント―の時間帯に慣れていなくて困る。
ミアレのブテイックを冷やかすのもいいが、あれだけある数からチョイスするのは至難の業だ。
服を買うのは、今度時間がある時…… そうだな、十時間は無いと。あとネロも連れて行かなければ、荷物持ちがいなくなってしまう。
「……じゃあ」
数分考えた末、私は一つのドアの前に立った。プレートに彫られた名前は――
「……OCEAN」
開けると、青の景色が目に飛び込んで来た。ピンクと黄色の影が群れを成して、来た方向をUターンしていく。
透明な影が、私の体を映し出す。
ここは、海の中に造られたレストラン…… だった物。バブルの頃は連日成金趣味の男達が女を連れて来ていたらしいが、バブルが弾けて経営が成り立たなくなり、そのまま閉店した。
そこを、数年前にとある金持ちが丸ごと買い取り、整備されて今に至る。 ――まあ、その金持ちというのは、私の事だが。
現在では入口を黄昏屋敷に繋いでしまったため、正規だった入口は使えなくなっている。それでも、きちんと改装したため、ここで食事をしながら海中を眺めることができる。
水中のポケモン達は、こちらに気付いているのかいないのか、呑気に泳いでいる。時々オスがメスに求愛しているのも見かける。オスはメスに夢中で、自分に迫る危機に気付かない。
メスが危険を察知して逃げた瞬間、何処からともなくやって来たサメハダ―がオスを呑み込む。きっとオスは、何が起こったか分からないままに消化されてしまうのだろう。
飽きずにずっと眺めていたら、いつの間にか時が過ぎて行った。時計がもう開店三十分前を差している。
少し名残惜しい気持ちを抱えながら、マダムは部屋のドアを閉めた。
フード付きのドレスに着替える。今着ていたのはパジャマ兼用だ。後でネロが洗濯してくれることだろう。
本店に行くと、ネロと…… レディ・ファントムと目が合った。
「こいつに頼まれたんだ。黄昏堂の掃除」
似合わない格好をしていた。着ていたコートはハンガーにかけられ、シャツとスキニーパンツの姿になっている。頭に手ぬぐい、体にエプロン。手にはハタキ。
「掃除機はタイヤが絨毯を痛めるから、使うなってさ」
「そうなのか」
「自分の店なんだろ。自分で何とかしろよ」
言いながらレディは集めたゴミをゴミ箱に入れていく。途中、うげっという声が聞こえたのは気のせいではないだろう。
「マダム、なにこれ」
近付いて見ると、青白いふさふさした物が付着した物体だった。少し考えて、思い出す。
「いつだったかの、ゾロア達の“食べ残し”だな」
「……食べ残し?」
『黄昏堂の掟を、無謀にも破った客の、成れの果てだ』
レディの顔がみるみるうちに白くなっていく。
「掃除しろよ!」
迷える客は、今日は来なかった。店を開けていたというのに。
「年末だから、一人は来るかと思ったんだが」
『そうだな』
椅子から立ち上がろうとした矢先、ガクンと重心がぶれた。
『マダム!?』
「……腕に力が入らない」
ネロに起こしてもらい、どうにか立ち上がる。見ると、右腕の位置が若干ずれていた。
そっと左手で肩を触ると、解けかけている。
「そろそろ潮時か……」
寝室に籠り、針と糸を取り出す。
糸は、アリアドスの糸にセレビィが飛ぶ時に散らす粉を調合させた物。
針は、ノクタスが出す“ニードルアーム”から摂取した針。
大分朽ちた糸を抜いて、再び新しい糸で縫い合わせていく。
これだけは、一度もネロにさせたことがない。自分の体のことは、自分がよく分かっているからだ。
だが……。
縫い合わせた矢先から、布部分が破れていく。木製の関節があらわになり、キリキリと音がする。
「……もう、無理なのか」
自分がいつから生きているか、思い出せない。
いや、“生かされている”の方が正しいのかもしれない。
ある“罪”を犯した私は、それを償うために、人の一生どころでは下ろせない枷を背負って生きることになった。
普通の人間が生きる時間を超えても、私は死ぬことを許されなかった。やがてその身が持たなくなると、代わりの肉体を与えられて生きることになった。
そのうち、人間に乗り移ることも許されなくなり、私は別の物に魂を癒着させて生きるようになった。
もう二度と、普通の人間に戻ることはできなかった。だからせめて、真似事をしようと思った。
あらゆる娯楽を極めた。食事もできるようにしたし、買い物もゴシップも……。
黄昏堂を開いて、人間達の贅沢な悩みをもてあそんだ。
政財界を裏から操ることでさえ、私には遊びに思えた。
それだけしか、楽しむことが出来なかった。
……“人形”の、私には。
鏡嫌いがプロットといってもちょこちょこ手直しちゃあるので完全にプロットとはいえないかもしれないので。
実は投稿した奴以外含めると5パターンあった。
もりのなかで くらす ポケモンが いた
もりのなかで ポケモンは かわをぬぎ ひとにもどっては ねむり
また ポケモンの かわをまとい むらに やってくるのだった
そんな時代から長い年月経過
ひとの中で暮らすポケモン
ポケモンは、ひとのかわをかぶり ぬぎかたを忘れたまま、ひととして暮らす
こいつ視点が基本。人間としてまぁそこそこ。
ポケモンの中で暮らすひと
ポケモンのかわをかぶり ぬぎかたを忘れたまま ポケモンとして暮らしていた
俺様フィーバーな奴がいい。ポケモンライフエンジョイ。
ポケモンがゴーストライターで人間の名前で持ち込み→そこそこ売れてりゃいいけど
二匹が出会う適当な場所。草原とか。
人間駄目だし。ポケモン唸る。ポケモンが書いた話の一節を場面ごとに挟む。鞄とおんなじ感じ。
ポケモン作家の信念語る。あらすじ話したらその話書いたってお前、初めてのわくわく感がなくなるだろーが。
人間過去。ジュカイン。実験のあれ。
ポケモン過去。天才。実験のあれ。
一人称無理。面倒なのでゲームっぽくやたらと改行する、一文字開けの奴に変更。
やりたいことを箇条書き。
・街に眼鏡買いに行かせる。
・ゲームの宣伝
・文房具
・お話の話
・過去の奴とか
・最高の傑作だよね
・ぶっ壊す
・鏡殴らせる、割る、嫌い、鏡嫌い
・一人と一匹どこかに行く
・ナイフ
没パターン1
『鏡はいつだって虚実を映しだす。 しかしそれは紛れもなく現実で、しばしば真実を突き付けるものである』
俺の目の前に俺がいた。何のことはない、ただの鏡だろうと思った。
俺はうつ伏せに倒れていた。だから真下にある俺の像は仰向けに映っていた。
俺は手をついて立ち上がろうとした。しかしそこで奇妙なことに気がついた。
ぐにゃりとした感触が手を伝わる。俺の虚像はどうも鏡の向こう側にあるものではないらしかった。
そして俺はとんでもないことに気がついた。
目の前の俺は、死んでいた。
確かにそれは俺だった。頬の傷も、右腕の欠けた得物も、紛れもなく鏡に映った俺だった。
しかしそれは、俺が鏡に映った俺を見たときに見える俺だった。その俺が、現実で、冷たくなっていた。
何がどうなっている。そう考えて、俺は俺の記憶が混乱していることに気がついた。
ここはどこだ?俺はどうしてこんなところにいる?そして、目の前の俺は何故死んでいる?
溢れ出る疑問に対して、俺は嫌に冷静だった。落ち着け、まずは一つ一つ思い出してみるべきだ。
ここがどこなのか、俺は知っているのか。俺は俺に問いかける。
答えは出てこない。目の前にあるのは俺の死体―――だけではなかった。
俺は俺の上に立っていた。しかし、死んでいる俺も、誰かの、いや何かの上に折り重なっているのは確かだった。
それは無数の死体だった。知っているポケモン、見たことがない奴、元が何だったかも分からないもの。そして、青白い肌の……人間。
ニンゲン、という言葉に引っ掛かりを覚える。
そうだ、俺は人間に捕まったんだ。
そいつらは森にやってくるなり、手当たりしだいにポケモンを捕まえ始めた。
普通の人間が使う赤と白の丸い奴ではなく、なんだかよく分からん機械を使って、網やら籠やらにポケモン達を押しこんでいく。
俺は自慢の両腕の獲物で数回、それらをぶち壊そうと試してみたが、全く歯が立たなかった。
躍起になって逃げようとしているうちに、白い煙みたいなものが流れ込んで来て……意識を、失った。
鮮明に思い出せたのはそこまでで、俺はそれからあとどうなったのかがよく思い出せない。
絶対入れるセリフ
「“人間がポケモンの皮を被ること”を目的とした研究で、“人の皮を被ったポケモン”ができてしまうとはな!こいつは傑作だ!」
そうだ、人がポケモンの皮を被ることができるなら何故その逆が起こり得ないと言いきれる?
没パターン2
『いつかあの空を飛べる日が来ることを信じていた。
そのための翼がひらく日がいつか来ることを知っていた。
透明な翅、紅い複眼、憧れと期待は幾度の夏の夜と共に過ぎ去っていった。
そして、待ちに待った日がやってきた。太陽が昇る前のほんのわずかな時間に、僕は地面から這い出した。
背中がむずむずする。そう、窮屈な皮を脱ぎ棄てるんじゃない、ついに翅をひろげるんだ。
そうして僕は、日の出と共に、進化した。』
「……」
二百字詰め原稿用紙の一枚目を読んで、俺はとりあえず書いた本人を眺めた。
「どーよどーよ、今回は出だしから格好良いだろ」
そいつは自慢げな顔をして俺を見上げてくる。
「いや、割とフツーだけど?」
「んなことぁないだろ!? なんかこー、ぐいぐいっと引き込まれるものがあるだろ!?」
ねーよ、と切り捨てる。
それに、感想は最後まで読んでもらってから聞くのが主義じゃなかったのか?俺の言葉に、作者様は押し黙った。
『私が持っている記憶は以上だった。
―――気がつけば私は温かな木漏れ日を体いっぱいに浴びていた。……浴びて、いるはずだ。
それなのにこの寒さはなんだ。今は初夏ではなかったのだろうか。
体内時計は狂っていない。では一体何が起こったのだろうか。
……そうだ、進化したのだ、私は。きっと進化したてで、感覚が少し鈍くなっているのかもしれない。
だとすれば時間ともに回復するかもしれない。私は少し安心した。初めての進化は、どうも慣れないことが多いようだ。
没パターン3
もりのなかで くらす ポケモンが いた
もりのなかで ポケモンは かわをぬぎ ひとにもどっては ねむり
また ポケモンの かわをまとい むらに やってくるのだった
「シンオウの むかしばなし」より
「結局さぁ、こいつの本当はどっちだったんだろうな」
図書館で(無断)拝借してきた本を眺めながらそいつはメガネをずりあげた。
「本当?」
それは、姿という意味なのか。皮をかぶりポケモンになり、皮を脱いで人に戻る、はたしてどちらが本当の姿か。
いやさ――、これって逆もアリかも知れないわけじゃん?ポケモンが人になって人がポケモンになって。
ポケモンが人になると言う記述はどこにもないぞ、と突っ込む前にこいつの口が開いた。
「ん?となれば、本当は人なんだけどポケモンの皮かぶってポケモンのふりした奴が話していた相手が実は人の皮をかぶったポケモンだったとかってアリなわけだよな?」
「……あり、だろうな。お前の理屈でいくと」
このネタもう誰か書いちまったかな――とそいつは天を仰ぐ。書く前に、ここに実物がいるだろうと言うべきか。
皮をかぶった人は、鏡をのぞきこんだ時、そこに映るのは、人か、皮か。
はたしてどちらが本当か。
俺もお前も、どっちが本当か。
元人間、のそいつは超絶人気モノの皮をかぶっている。ネコではなくネズミだが。
どっかの初代チャンピオンの相棒として全国的に有名になってから電気ネズミフィーバーは訪れ、今でも不動の人気を誇っている。
もっとも、こいつは注目されることを嫌う。他人に撫でられるのも抱き締められるのも、何より多数の視線を浴びることを嫌う。
そんなこいつの野望が『ポケモン初のベストセラー作家』なのだから、矛盾しか生じない。
「作者じゃなくて本が注目されるのなら良いんだ!」とは本人の主張だが、本が注目されれば自動的に作者も注目されると思うんだが。
まぁ、こいつの書いた話は全て、俺の名前を使って持ち込んでるんだけどな。
元ポケモン、の俺。人間歴約四年。だいぶ慣れた。体も習慣も言葉も。
この姿に馴染んだか、と言われたら、馴染まない。どうやっても馴染まない。鏡を覗き込むたびに目の前の虚像をたたき割りたくなる衝動にかられる。
これは俺じゃない。俺の本当、じゃない。何回現実を否定してきたか分からない。その度に鏡は砕け皮は傷ついた。
鏡は本当を映さない。映すのは、皮だ。
まぁ、結果的に投げ込んだ奴が一番書きたかった事を書けたから、良いんだけどね
【続きかない】
レントゲンとかで使うx線の語源は「なんだか解らないから物体をxとする」っていう意味らしい。
謎の物体、っていう意味でもxって使いますからね。
xから始まる単語って少ないです。
私は生まれる前から旅をしている身なのですが。ええ、はい。
たまごの時に、彼(私の主人)の元に渡り、生まれた時も、生まれた後も、彼のリュックの中で生活していました。
主人の方は私にあまり興味がないようでしたが、私はそれを当たり前だと思いました。
主人は私を戦わせたりしないのですが、それは彼の愛故だと思いました。
主人は私にご飯を与えないのですが、それで私が困ることはありませんでした。
主人は私を撫でたりしないのですが、私はそれで満足していました・・・・・・。
ああ、いけない。長々と身の上話を省みるなどと。後ろ向きな考えは、後ろ向きな方向にしか進む事はできません。一般論ではないので、あまり参考にはなりませんが、私はそう思うようにしています。
まあ、そんなわけで、主人の愛情を一身に受けた私が、ピチューからピカチュウに進化するのに、そう時間はかかりませんでした。
進化してからも、私は主人のリュックの中で生活します。
モンスターボールの中は、きっと好きになれません。
先ほども言ったように主人は私にご飯を与えません。なので、それらは自分で調達しに出かけます。幸い、主人の旅路はゼニガメのようにゆっくりなので、おいていかれるような心配はありません。
その日も、私は果物を取りに、偶然通りかかった森で、主人のリュックからもそもそと這い出て、食べれる果物のなる木を探しました。私はあまり好き嫌いはない性質で、自分としてはえり好みすることがないので、(自分のことなので少し言い回しは変ですが)とても助かっています。1番最初に見つけた、赤くて丸い甘酸っぱい果物の実を4つ程抱えて主人の元へ急ぎます。
途中、小さな声がいくつも聞こえました。
何処か悲劇的に響くその声は、1人のものではありません。
私は何事かと思って声の方へ行って見ました。
緑色の藪を抜けると、ぐずぐずの土の色が目に入りました。崖だったらしい土の断面がギザギザに割れて、そこにあったのだと思しき量の土が、そのまま崩れて、流れて、下の層まで粗雑過ぎるスロープのようになっていました。
その土の山の周りに、何匹もの山のポケモンが集まっていました。
土の下に埋もれてしまった子や、親や、友人や、恋人を、助けようとする姿が見えました。むしろ、それ以外の姿勢を見せるポケモンはいませんでした。強いて言うなら、私以外は。
私は何もすることがないので、その場に立ち尽くしたまま、彼らの姿を見ながら、彼らの発する言葉に耳を傾けました。
『おとうさん』『おかあさん』『おにいちゃん』『おねえちゃん』『××××』『●●●●』・・・・・・・。
どれも、知らない言葉でした。
どれも、私の傍にはないものでした。
しかし、彼らの言葉を聞いていると悲しくなって、彼らの作業を手伝ってあげなくては、という出所のよくわからない使命感が湧いてきます。
ここで主人が藪の中からあらわれなければ、私は主人のことなど忘れて、土を掘る作業に加わってしまうところでした。
主人は、私の存在には気が付かず、土を掘る彼らの姿を見て、
「ラブソングだ」
重く沈んだ声でそう言いました。
家族や友人、恋人の名前を叫ぶ、悲痛な声・・・・・・。
これが、ラブソング?
私は首をかしげながらも、4つの果物を抱えて、主人のリュックにそっと忍び込みました。
ラブソング。
直訳すると、あいのうた。
愛、恋、思慕・・・・・・。誰かに向けられた、俗に言う愛情という感情を曲にのせて歌ったもの。
しかし、あそこで歌われているあれは、お世辞にも曲や歌と呼ばれるような心地のものではないような気がするけれど、主人があれを「ラブソングだ」といったのだから、きっとそうなのでしょう。
家族の無事を祈る音。
友人の行方を憂う音。
恋人の死を嘆く音。
自らの未来を絶望する音。
それでも愛する人との再会を渇望してやまない音。
暗い音が混ざり合って、私のいる、このリュックの中まで響いてきました。
主人が反対方向に動いていくのが振動で分かりましたが、そのうたはまだ止みませんでした。
私はその音が聞きたくなくて、聞くのがつらくて、聞いているのが恐ろしくて、耳を塞ぎました。
私は生まれる前から旅をしている身なのですが。ええ、はい。
たまごの時に、彼(私の主人)の元に渡り、生まれた時も、生まれた後も、彼のリュックの中で生活していました。
主人の方は私にあまり興味がないようでしたが、私はそれを当たり前だと思いました。
主人は私を戦わせたりしないのですが、それは彼の愛故だと思いました。
主人は私にご飯を与えないのですが、それで私が困ることはありませんでした。
主人は私を撫でたりしないのですが、私はそれで満足していました・・・・・・。
何度も言いますが、私は旅に出ている年数と、自身の生きた年数が全くと言って同じなもので、もちろん、町に行くことだってあるわけで。
その日も、私と主人は、いつものように町に入りました。大きな工場が近くにある排気ガス臭いくすんだレンガでできた町です。
主人は町に入ると、どこかの旅館で必ず3日は休みます。その間、私は外に出て、いつ声がかかってもいいように、バトルのトレーニング(こればかりはかかせません)や、町の探索をします。
この町にはあまり草タイプのポケモンはいないようで、ニャースや、コラッタ、ベトベターなど、悪環境への順応性の高い種のポケモンが多く生息しているようでした。工場やゴミ捨て場の多い掃溜めのような路地の中で、彼らは生活しています。
「随分、綺麗なナリだな」
双子らしいコラッタの片割れが話しかけてきました。
「トレーナーがいるのか?」
もう片方のコラッタも聞いてきます。どうやら、この2人は物怖じしない性格のようです。私は、表情を変えずに「そうだ」と答えました。
「なんでこんな所に1人でいるんだ?」
「捨てられたのか?」
私は首を振って「いいえ、主人が休んでおられるので、散歩をしているのです」と丁寧に答えました。双子は「そうか、そりゃ良かったな」とそっけなく言い、「よく考えたら、お前みたいに人気のあるポケモンが、捨てられるなんて事、ありえないよな」と笑いました。
その言葉が、いやに鋭く私の胸を捕らえたのを覚えています。
そんな私の様子には気づかずに、コラッタは世間話でもするかのように話し続けます。
「この前、1人のトレーナーがポケモンを捨てて行ったんだよ。そこの・・・・・・ゴミ捨て場に?」
「ゴミ捨て場?」
この言葉を聞いたとき、私は「なんて酷いことをするんだろう」と、思わず、顔も知らないそのトレーナーに憤慨してしまいました。
「いや、元々、ごみ捨て場周辺に住んでいるポケモンらしくてさ、まあ、多分外国のポケモンだから、詳しい事はよくわかんないんだけどよ。トレーナーに捨てられたんだって教えてやってるのに、迎えに来るのを待つのをやめないんだよな。・・・・・・たまにいるんだよ、ああいうのが」
呆れたように言う彼に、私は「はあ」と、曖昧に頷いて見せた。
「まあ、あんたにはわかんないかもしれないんだけどな」
コラッタはそんな皮肉をいいながら笑った。
「人間っていうのは、とても薄情な生き物なんだよ」
私は肯定も否定も、する事はできませんでした。
そのポケモンはヤブクロンというポケモンだそうで、とても嫌なにおいを放つのだそうです。まあ、それくらいなら、ここには似たような性質のベトベターや、ベトベトンが生息していますから、きっと疎まれるような事はないでしょう。
ただ、彼(彼女?)は、そのゴミ捨て場を離れる事はないのだそうです。
未だ来ない。そして恐らく、どんなに待っても来るはずのないそのトレーナーを待ち続けているのだそうです。
特にすることのなかった私は、双子に場所を聞いて、そのヤブクロンというポケモンに会いに行きました。
そのポケモンは、青いポリバケツの上に座っていました。
少し、沈んだような表情で、少し赤らんだ空を見ています。
「・・・・・・・・・」
私は黙ってポリバケツの横に座りました。
ヤブクロンは私の存在に気が付きます。
しかし、何を言うわけではなく、だんまりを決め込んで何も居ない道を眺めています。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・あの」
ヤブクロンのほうが根負けしたようで、怪訝そうな顔つきで話しかけてきた。
「なんでしょう?」
私は視線を合わせずに聞き返す。
「なんで・・・僕の隣にいるの?」
「暇つぶしですので、お気になさらず」
無論、本当のことでした。
「貴方は、まだ主人の事を信じておいでですか?」
「あたりまえでしょ、僕のご主人はとても優しい人なんだ」
「・・・・・・そうですか」
「それはそれで構わないのですが」と、私は肩をすくめた。
「君は誰かのポケモン? それとも野生?」
ヤブクロンが聞き、私は素直に前者だと答えました。それから、主人は今休憩中で少し散歩に出ているのだということも伝えました。単に聞かれるのが面倒だっただけで、他意はありません。
「そう、いいね。主人が近くに居るっていうのは」
「・・・・・・・・・そうでもありませんよ」
私はくすりと笑った。
「貴方は主人を信じているといいましたね。本来ならそんなことは馬鹿らしいと、人間を信じるなんてどうかしていると、あざけるべきなのでしょうが、私はそれでもいいと思うのですよ」
「・・・・・・・・・」
「私は信じたいものを信じ続けるのも1つの生きる方法だと思っていますし、私自身、主人が×××××××××××××に気づいてくれると信じています」
「え?」
「まあ、つまりはそういうことなのですよ」
私は立ち上がって、ぽんぽんとお尻を叩いた。
そろそろ主人の元に帰らなければ。
「貴方がそんな不確かなものを信じているのならば、それはきっと私と同じということで、私はそれだけで励みになるのです。ですから、これからも頑張って信じていてあげてくださいね」
そう言って私は彼(彼女かもしれない)に背を向けた。
「それって、つらくない?」
ヤブクロンの声がした。
私は振り返らない。
「そんなの、寂しいよ。僕は、そんなに寂しくないよ。僕は、君ほど寂しくないよ? でも・・・・・・でももう、前の主人のことを信じるなんてできないよ」
小さな嗚咽が聞こえてきました。
「そうですか」
私はそっけなく返事を返します。
「それなら、それでもいいんじゃないですか?」
けれどそれも少し寂しいような気がしました。
「×××」
それは彼(彼女)の前のトレーナーの名前のようでした。
「×××」
彼女(彼かもしれない)は、絶えずその名前を呼んでいました。
彼女の愛するトレーナー。
どうして彼女を捨てたかなんてわからないのですけど、人間の考えることなんてそもそも良く知ろうとしたことなんてありません。
しかし、裏切られてもなお、彼女(彼?)はそのトレーナーの声を、顔を、姿を、優しさを渇望する彼女のその声は、まぎれもなくトレーナーへの愛情から来るものなのではないでしょうか。
それなら、彼(彼女?)のこの声は。
人間を信じようと懸命だったこの声は。
紛れもないラブソングなのでしょうか?
ゴミ捨て場で彼女が歌う、掃溜めからのラブソングなのでしょうか?
私は背を向け、ゴミ捨て場から去りました。
とてもとても、寂しい気分になりました。
私は生まれる前から旅をしている身なのですが。ええ、はい。
たまごの時に、彼(私の主人)の元に渡り、生まれた時も、生まれた後も、彼のリュックの中で生活していました。
主人の方は私にあまり興味がないようでしたが、私はそれを当たり前だと思いました。
主人は私を戦わせたりしないのですが、それは彼の愛故だと思いました。
主人は私にご飯を与えないのですが、それで私が困ることはありませんでした。
主人は私を撫でたりしないのですが、私はそれで満足していました・・・・・・。
「もし、そこのお方」
ある時、とある山道で食料集めをしていた私は、少し低めの声に呼び止められました。
振り返ると、オレンジっぽい黄色の体に、茶色の縞模様がある黄色い頬のポケモン、ライチュウが立っておりました。
「なんでしょうか?」
「私の・・・・・・たまごは知りませんか?」
「はあ?」
私は思わずいぶかしげな表情をし、そのライチュウは恥ずかしそうに俯きました。
「私、この先の山に住んでいるものなのですが・・・・・・」
ライチュウはそう前置きをし、話し始めました。
彼女は、山に住んでいる普通のライチュウで、同じ種の恋人がいたのだといいます。しばらく一緒に暮らすうちに、いつのまにか2人の間には、大きなたまごが生まれたそうです。そして、彼女はかいがいしくたまごの世話を焼き、生まれるのを楽しみにしていたといいます。
しかし、ある時、彼女は山道で走り回っていたサイホーンとぶつかり、大事なたまごを落としてしまいます。たまごは芝生の上に落ちたので割れる事はなかったのですが、坂道をコロコロと転がって、小さな丘の上から落ちてしまったそうです。
本当ならそこで割れてしまったと諦めるべきなのですが、彼女は見たのだそうです。
丘の下、口の開いたリュックの中に、そのたまごがすいこまれていくのを。
「貴方、あのトレーナーのリュックから出てきましたよね? あのリュック、私のたまごが入ったものとそっくりなのです」
彼女はそう言って
「何か知りませんか?」
そう訊ねました。
彼女がここまで言うなら気づいていたはずです。そして、同時に私も気づいてしまいました。
ああ、もう、ここには居れぬ。
「ご婦人、そのような事、私に聞かれても困ります」
「しかし・・・・・・」
「ご婦人」
私はライチュウの言葉を遮りました。
「そこから先は何も口にしてはなりません。初対面の貴方にこんな事を言うのはとても忍びないのですが、もしそこから先を口に出すようなことがあれば、私はその言葉を聞き終わる前に、ここから立ち去らねばなりません」
「・・・・・・・・・」
ライチュウは黙り込んだ。
「人の手に渡ったのなら、その子も死ぬ事はないでしょう。きっと懸命に生きているに違いありません。・・・・・・何の関係のない私がそんなことを言っても、説得力はないでしょうが、私はそう思います。それでは、私はこれで失礼します」
「あ・・・・・・」
ライチュウは何かをいいかけましたが、私はそれを待たずに駆け出しました。
もうここには居れぬ。
もう何も聞けぬ。
もう、何も言えぬ。
『おかあさん』
私は口から毀れそうになったラブソングを、喉の奥で押し殺した。
私は生まれる前から旅をしている身なのですが。ええ、はい。
たまごの時に、彼(私の主人)の元に渡り、生まれた時も、生まれた後も、彼のリュックの中で生活していました。
主人の方は私にあまり興味がないようでしたが、私はそれを当たり前だと思いました。
主人は私を戦わせたりしないのですが、それは彼の愛故だと思いました。
主人は私にご飯を与えないのですが、それで私が困ることはありませんでした。
主人は私を撫でたりしないのですが、私はそれで満足していました・・・・・・。
昨日、主人が死にました。
滑って転んで病院に運ばれて、そのままでした。本当に一瞬の出来事でした。
土気色の顔には、幾つもの皺が刻まれており、とてつもなく年配の方だという事が見てわかります。
これで、私と主人の旅は終わり。
こう思うと旅の間なんてものは短いものですね。
本当に・・・・・・短い。
私は自分が泣いているのに気が付きました。
悲しい、ああ悲しい。
主人が死んでしまったことを、こうも悲しく思えるとは、私は自分の心が意外で驚きました。
私は生まれる前から旅をしている身なのですが。ええ、はい。
たまごの時に、彼(私の主人)の元に渡り、生まれた時も、生まれた後も、彼のリュックの中で生活していました。
主人の方は私にあまり興味がないようでしたが、私はそれを当たり前だと思うようにしていました。
主人は私を戦わせたりしないのですが、それは彼が私に気づいていないからだと知っていました。
主人は私にご飯を与えないのですが、それは当たり前で、自分でなんとかしないといけないと思っていました。
主人は私を撫でたりしないのですが、私はそれで満足しているのだと、思うようにしていました。
私の目から涙が溢れます。
ここは誰もいない病室。ないたって恥ずかしくなんてありません。誰も、わたしのことになんて気づきません。ここで深く眠った私の主人になるはずだった彼も、その機会を永遠に失ってしまいました。
生まれる前に丘から落ちて、主人のリュックに吸い込まれた私はそのまま主人のリュックの中から孵りましたが、主人はそれに気が付きませんでした。私はずっと主人の背中で世界を見ながら、生きるすべを身につけましたが、主人はそれに気づきませんでした。私は主人の背中で進化しましたが、主人はそれに気が付きませんでした。
今考えると、それもしょうがなかったのかもしれません。すべての生物は、齢をとると、運動神経も反射神経も衰えるようで、主人の年齢を考えると気づけなくても仕方なかったのかもしれません。
でも、それでも私は気づいて欲しかったのです。
こんな事今更言っても仕方ないのはわかっています。しかし、私はどうして彼の前に堂々と姿を現す事ができなかったのかと、後悔しています。
気づいて欲しかったのに。
気づいて欲しかったのに。
私は声を上げて泣き続けました。
気づいてください。
どうか私に気づいてください。
これはラブソングです。
貴方に気づかれなくとも貴方と共に旅をした、寂しがりで愚かで無様な、私からのあいのうたです。
ですから、どうか聞き苦しいなどといわないで下さい。
#################
こんにちは、夏夜です。
短編なので、これで完結です。
息抜きにちょっと書いてみましたが、なんか内容が暗いですね。
短編にもタグとかってあるんですかね?
左目がカタカタと音を立てる
僕を拾ってくれた あの日
色違いで仲間外れにされて
身も心も傷ついた僕を
二人は優しい手の平で乗せてくれた
初めてもらった温かさが心地よかった
左目がカタカタと音を立てる
二人は幼なじみの少年少女
少年はわんぱくで行動力はあるけど ときどき周りが見えないのが玉にキズ
少女は恥ずかしがり屋だけど 自分の意志をしっかり持っている
僕はどちらかのものというわけじゃない
僕は少年少女の友達だ
左目がカタカタと音を立てる
少年少女も大きくなって
旅に出る日がやってきた
少年少女の肩に乗って
僕も旅に出る
少年の無鉄砲な行動でスピアーの大群に追いかけられた日
少女の緊張でポケモンバトルに負けてしまった日
少年の根性で言うことを聞かなかったポケモンの心が開いた日
少女の勇気が小さなポケモンを悪者の手から守った日
失敗も成功も一緒に噛みあう日々
こうして少年少女は大人になっていくところを
僕は近くで見ることができて
誇りに思う
左目がカタカタと音を立てる
少年少女が少し大きくなって
僕も進化して大きくなった
肩に乗ることができないのは寂しいけど
代わりに力を手に入れたんだ
二人を支える力を手に入れたんだ
旅をしている間に少年少女はマルチバトルで活躍して
性格はズレているのに息はピッタリだ
二人はいい関係だねと言われたとき
少女は顔を赤くさせて
少年は少女の様子に首を傾げて
僕はとりあえず少年の頭をつついといた
ときどきケンカすることもあった
お気に入りのモーモーミルクを勝手に飲まれたとか
バトルであーだこーだともめたりとか
少年は最初納得できなくて
少女は泣いてばっかりで
だけど最後は謝って
また笑顔になれた
左目がカタカタと音を立てる
それからもマルチバトルで活躍し続けて
世界でも有名な二人組になった少年少女は
いつのまにか大人になっていた
だけど心は少年少女のままで
色々なところを旅しては
今までと同じようにポケモンと出逢った
ミルタンクの乳しぼりを体験したり
ゾロアの悪戯イリュージョンで化かされたり
我流な技を出してくるコジョンドに出逢ったり
オーロラとともにレックウザを発見したり
色々なところを旅しては
今までと同じように人と出逢った
自信のないトレーナーにポケモンを教えたり
森で同じ迷子になった人と夜を語り明かしたり
一度バトルした人に再会してまたバトルで熱くなったり
まだまだ現役だという老人の旅人に出逢ったり
一つ一つの出逢いには違う物語があって
これの他にも色々あって
語りつくせないほどの
想い出が溢れてくる
旅でもマルチバトルでも二人三脚で走り続けた少年少女は
左手の薬指に指輪をはめて
手を繋いで一つのゴールを果たした
左目がカタカタと音を立てる
ひとまず旅を終えることにした少年少女は
赤い屋根の家で一緒に暮らし始めて
やがて子供を授かって
その子も旅を始めて
やがてその子に妻ができる頃になると
少年少女は老人になっていた
もう一度だけ旅をしてみようかと
笑顔輝く少年に
あの日に再会しに行くのも楽しみだと
頬を赤らめる少女がいた
もちろんお前も一緒に行くぞと
僕の右羽に少年の手が繋がって
僕の左羽に少女の手が繋がって
再び世界へと羽ばたいた
左目がカタカタと音を立てる
懐かしい想い出に胸が温かくなる
一コマ一コマに映る命
この左目に刻んできた少年少女の一生は
僕の誇りだ
やがて左目から音がなくなった
スクリーンの前に少年少女
しわだらけの手を繋いで微笑みながら眠っていた
生まれ変わっても
また二人と一緒に旅がしたい
我がままかな?
叶わないのかな?
でも大好きだから
そう願ってもいいでしょう?
二人に想いを馳せながら
左目を閉じて
右目を静かに開けて
願いを埋め込んだ
【書いてみました】
ネイティオの左目は過去を見ることができて、右目は未来を見ることができる。ネイティオのその特性と、エスパーによる念写を使って、映画を見せるかのように、相手にあんな風に過去を見せることができたらいいなぁと思いながら、今回の物語を書いてみました。
ちなみに『x.e.f』の『x』は『xatu』でネイティオの英語名です。
また、『e』は『eyes』で目という意味で。
そして、『f』は『films』で映画という意味です。(一応、両方とも複数形表記にしときました)
最初は『f』で『future』= 未来、『x』= 何かの英単語 = 過去、という意味もありますよー、にしてみたかったのですが、『x』から始まるもので過去という意味の英単語が自分では見つからず……もし見つけたよという方がいらっしゃいましたら、ぜひ(以下略)
追伸:大人になったり、老人になったりなのに『少年少女』という表記をしていたのは、二人の心と、姿が変わっても、その人はその人なんだということを表したかったからです。分かりづらかったら、すいません。一応、説明しときました。(汗)
ありがとうございました。
【何をしてもいいですよ♪】
質問者さん、筋力に自信はありますでしょうか?
だったら、お姫様抱っこがおすすめです!
うちのルカリオはオスなので最初照れていましたが、今は慣れて向こうから抱っこをせがんできます☆(腰が痛いのでそんなに抱っこできないんですが…(笑
あと、ルカリオ用のプロテクターみたいなのもありました。商品名は失念しましたが、大胸筋矯正サポーターみたいな感じでした。ルカリオは人気のポケモンなので、ブリーダー用品店を探せばあると思いますよ〜
【このくらいしか思い付かなかったのよ】
【ルカリオは54kgなのよ】
知恵袋に寄せられた相談:
先日、私のリオルがルカリオに進化しました。その時、嬉しくて嬉しくて強く抱きしめてしまったんです。
その際にルカリオの胸の棘が私に刺さりました。傷は数針縫う程度で済みましたが、責任を感じているのか、それ以来ルカリオがあまり近寄って来なくなってしまいました。
この怪我は私の責任ですし、私自身気にしていません。寧ろルカリオを抱きしめて死ねるなら本望です。
しかし、気にしていない事を伝えても、怖がって近寄って来ません。ルカリオにこんな思いをさせてしまった事をとても反省しています。
どうすればルカリオと今までの様に普通に過ごせるでしょうか?
そして、今後もつい抱きしめてしまうかも知れないので、棘に刺さらない抱き方がありましたら教えて下さい。私では後ろから抱きしめる方法しか思い浮かびません。
皆様宜しくお願い致します。
【答えが出なかったから丸投げするのよ】
【ルカリオを抱きしめたいのよ】
※『羊たちの沈黙』『ハンニバル』的要素があります。
それに侵されし者、目は窪み、四六時中透明な液を垂れ流し、異形の物と化す
ほとんどの者は助かることなく、そのまま暗い部屋に閉じ込められ一生を終える
やたらに何かを口にしたがり、部屋の扉を歯で噛み千切り脱走したという話も残っている
その名前は――
むかしむかし。
イッシュ地方がまだ、そこまで国際的に発展していなかった頃。年で言えば二百年くらい前のこととなります。大きな戦争や地震が訪れ、世の中が混乱していた……そんな時代。
ある街に、別地方からの貴族が移り住みました。当時では考えられないくらい豪華な家に次々と調度品や美しい服が運び込まれ、まるでどこぞの王族が引っ越してきたかのように一時街はお祭り騒ぎとなりました。
引っ越してきてから数日後、その貴族が街中に知らせを貼り付けました。内容は、前に住んでいた場所で使っていた召使達は全て向こうで解雇してしまった。なので、この地方で働いてくれる召使を募集する、というものでした。
その下に書かれていた額に、その街の人々は喜んで飛びつきました。当時はまだ観光事業もなく、人々は近くの海でとれる海獣を少しずつ売って暮らしていたのです。とはいえ、雷馬などに乗れば一週間もかからずに一周できてしまうくらい狭い地方でしたからそれらはどこに行っても出回っており、売れてもたいしたお金にはならなかったのです。今と違って、大きな港も、コンクリートで包まれた巨大な街もなかったのでいささか小さい地方と見られていた、と当時の文には書かれてあります。
さて、屋敷に嬉々として集まった者達にその家の頭首は言いました。
『面接も何もいらない。ここに来た者達は明日から来てくれて構わない。給料は月に金貨二枚』
相当な給料です。彼らが常日頃から使っていたのは銅貨でしたから、その倍以上にもなります。
沸き立つ彼らに、頭首はもう一つ付け加えました。
『最後に一つ。この屋敷には地下室があるが、そこには決して行かないように。もし行く者がいたら、連帯責任としてお前達を全員解雇する』
地下室。決して行ってはならない場所。それに引っかかりを感じる者もいましたが、もし行ったら解雇されてしまうという言葉を耳にして何も言わなくなりました。
――一人を除いては。
その少年は両親がいませんでした。幼い頃自分を一人残して漁に出たきり、帰ってこないのです。周りの人の話では嵐に遭って船が飲み込まれてしまったのだろうということを聞きました。なので、様々な仕事をしながら一人で頑張って暮らしていました。
時には、他人の手を借りることがありました。ですがどうしても育ち盛りの体には十分な食事を摂ることができません。
そこへ現れたのが、その貴族の知らせだったのです。少年は喜んで大人達に混ざって屋敷へ行きました。そして頭首の話を聞きました。
彼はとても優しくいい子でしたが、一つだけ欠点がありました。子供だから仕方ないと思うかもしれませんが、余計なことに首を突っ込みたがる癖があったことです。すぐに頭首の言葉に興味を示しました。
ですが周りの人達の反応を見て、やめておこうかとも思いました。自分が解雇されるのは別に構わない。だって自分一人が進んでやったことだから。でも、そのせいで周りの人達が解雇されてしまったら……
そう思うと、興味は自然と薄れていくのでした。周りの大人達と一緒に窓を拭いたり、埃を掃いたり、食器を磨いたりして仕事をこなしていきました。
一ヶ月経ち、最初の給料が渡されました。小さな布袋に、金貨二枚。合わせてみると綺麗な音がしました。本物の金貨です。周りの大人達も同じようなことをしているのを見て、面白おかしく思いました。
そこでふと、なんだか人の数が少ないように感じました。一ヶ月前までは大広間に集まって息が苦しくなるほどだったのに、今はきちんと深く息が吸い込めるのです。変だなと思いましたが、回りの人達は皆金貨に夢中で全く異変に気付いていないようでしたので、少年も気のせいかと思い、金貨を服のポケットにしまいました。
それから一週間経ち、三週間経ち、また一ヶ月が経ちました。少年は今度こそ確信しました。どうみても、大広間が前より広いように思えるのです。それに今まで一緒に仕事していた人の姿が見当たりません。どうやら他の人は全く気にしていないようですが……
頭首は変わらず金貨を見つめる大人達を細い目で見ています。その目がなんだか刃物のように見えて、少年はゾクリと寒気がしました。そして、姿を消した大人達が一体何をしたのかが分かったような気がしました。
深夜。屋敷の暗い廊下を小さな影が走っていきます。あの少年です。大広間の端にある扉をそっと開け、中に入ります。当時懐中電灯なんて便利な物はありませんから、小さな松明を持っていました。
足元には元々積もっていた埃を踏んだのであろう夥しい数の足跡がついていました。壁には何もついていません。汚れていない、まっさらな白です。
少年はゴクリと唾を飲むと、下へ続く階段をひたすら降りていきました。暗い、どこまでも続くような空間に飲み込まれてしまいそうな気分になり、ギュっと肩を抱きます。
カツン、カツンと金属の響く音が耳にこびり付いていました。
どのくらい経ったのでしょう。段差がなくなりました。どうやら階段はこれで終わりのようです。
少年は冷や汗を拭うと、まだ続く廊下をひたすら歩いていきました。姿を消した大人達もここまでは同じように来たようです。足跡が残っています。
もう少し歩いて…… 何かを踏みました。足の裏で包めるくらいの細長い、何か。まさか、と思い少年は松明をそれに向けて……口を押えました。
それは、人骨だったのです。肉も皮もついていない、ただただ骨のまま。よく見ればその後の廊下にも落ちていました。小さな物は指でしょうか。頭蓋骨は目の部分が二つとも空洞になっていて、肉はおろか髪の毛すらもついていませんでした。
その時、少年の前から何かをしゃぶるような音が聞こえてきました。それは固く閉ざされた鉄の扉の奥から響いてきます。しかしそのドアも何度か壊されたような形跡があり、しかも妙な痕がありました。
そう、それはまるで、食いちぎられたような――
ぴたり、としゃぶるような音が止みました。そのままザッザッとこちらに向かってくるような音がします。
少年は震える足を叩くと、一目散に元来た道を走り出しました。走って、走って、階段を駆け上って……
やっと大広間にある扉を開けた時には、夜が明けていました。少年はそのまま気を失ってしまいました。
目が覚めた時、少年は大人達に囲まれていました。皆が皆、不思議そうな顔をしています。少年は何か言おうと思いましたが、恐怖のあまりうまく喋ることができません。大人達が顔を見合わせていると、頭首がやってきました。てっきり解雇されると思いましたが、彼は少年に優しく言いました。
『君は、悪夢を見ていたんだ。もう大丈夫だよ』
それから数年が経ちました。少年はすっかり青年に近い歳になり、外見も当時の面影は全くなくなっていました。その時彼は別の街で働いていました。別地方からの物資の受け入れが始まり、街を観光向けにしようと工事をするのに、人手が足りなかったのです。
前よりずっといい給料で雇われていた彼は、もうあの屋敷のことを忘れかけていました。
その屋敷は、あの件があってから数ヶ月後に突然、火事で全焼したのです。噂ではその貴族に踏み潰された別の貴族が復讐として放火したのではないか……と言われていますが、本当のことは定かではありません。
ですが、焼け跡から二人の遺体が発見されたことは間違いありませんでした。一つは頭首の部屋から。そしてもう一つは……
地下室から。
それと同時に大量の骨も見つかり、やはりあのことは夢ではなかったのだと青年は今になって思います。地下室から見つかった遺体は顎が発達し、どんなに固い物でもその気になれば齧ることができるくらいの力があったのではないか、と推測されたということです。
そしてそれから何十年も経った後に、他地方の奇病の中に、それと全く同じ症状がある物が見つかりました。
『悪食病』
その書物には、こう書かれています。
『原因不明の奇病。ポケモンが感染し、そのポケモンが人間を咬むことで感染するという説が一番有効だが、詳細は不明。数百年前、遠く離れた水と緑豊かな地方を襲った戦争に人間兵器として使われたという話もある。目は窪み、口から四六時中涎を垂れ流し、目に映った物は全て喰らい尽くすという。
中には、目が赤く染まったという話もあるが定かではない』
今では知る人もほとんどいませんが、もしかしたらこの世界のどこかで今でもそれは生き続けているのかもしれません。
『イッシュ地方昔話総集編 3』 より
――――――――――
明日から修学旅行ということで一つ書いて行こうと思った。
【何をしてもいいのよ】
時は20XX年。荒れた大地にて、1匹のドラゴンポケモンがいた。その名は、ホウエン地方の、「タツベイ」。
「オイラ・・・いつになったら空飛べるんだろなぁ・・・・。」
そうつぶやいたタツベイの首には、ひし形のアクセサリー。都会で拾った拾い物。
「おい」
タツベイの目の前に、ゲンガーとマルマインが現れた。
「なんでぃ!お前ら!」
「首についてるアクセサリー、もらいにきた。」
「これはオイラの宝物でぃ!」
タツベイがアクセサリーを強く掴んだ。
「意地でも渡さない気なら…力ずくさ。来い。テメェら」
そうゲンガーが言うと、悪ポケモン勢ぞろい。そのままタツベイに向かった。
「これはオイラに勇気をくれた石なんでぃ!!渡さねぇぇ!!」
拳を握ってタツベイが叫ぶと、石が光り始めた。その光はタツベイを包み、タツベイは違う姿に。そう。タツベイはコモルーに進化したのだ。
「とっしん!」
「ぐほっ!!」 「ぐっ!」 「どわあっ!」 「くっそー!」
次々に倒して行き、ついに残るはゲンガーのみ。
「シャドーブレイク!!」
凄まじい闇がコモルーにヒット。
「負・・・けな・・い・・ぞ・・」
「まだ立ち上がるか。」
「うおおおお!」
コモルーの体を光が包んだ。
「な・・・!嘘だろ…。」
ついにボーマンダまで進化。
「破壊光線!!!」
「ぐ・・・ぬああああああああ!!!」
「勝った!」
ボーマンダは静かにほほ笑んだ。
「あれ?翼生えてる… え!!??進化!?やった!空を飛べる!!!」
そういうと、ボーマンダは未来へ飛び立った。
どうにも面倒くさい。
お前がもう一人の英雄だとか戦わなければポケモンを開放するぞとか言われた時に思ったのはそれだけだった。
こちとらこの間野生のポケモンに全滅させられそうになったんだぞ。そんな人間に世界の命運を任せる神経が理解できない。四天王とかチャンピオンとか強いトレーナーは掃いて捨てるほどいるだろう。
きっとこの石に宿ってるもう一方のポケモンだってそう思っているに違いない。そこいらの草むらでタブンネ狩ってるような人間が実は英雄だとかいうことだってあるに違いない。
いちいち英雄なんて旗を担がなくても、伝説のポケモンなんていなくても、あいつらのやってることが正しくないと思うなら、止めちゃえばいい。数に任せて強引に抑え込めばいい。
言いたいことはたくさんあった。
それでも言わなかった。
結局は戦いに行くんだ。うだうだ言ってもしょうがない。
ただ、一つだけ明確にしておきたいことはある。
単に自分の仲間と別れさせられるなんて選択肢を選べるはずがない。それだけは嫌だから、面倒くさくてもできることがあるならやろうと思っただけだ。
世界を背負うなんてことに憧れたわけでも、いろいろな人に頼りにされたわけでもない。
ただそれだけのことだ。
そう言おうと思ったけれど、恥ずかしくて言えはしなかった。
―――――――――――
いろいろ思ってるからこそ、言えない感じのうちの主人公
【書いてみたのよ】
【好きにしていいのよ】
私の場合、BWはなんていうか、敵から選ばれていることに違和感ありました。
いつもは、行く先々で敵をなぎ倒し、またお前かよ、って思われているのに…。
勝手に祭り上げられて…あれいつものこと?
> 主人公おきざりにしてまわりが盛り上がってるようにしか見えなかったですよ奥さん。
私もそんな感じでしたよー、いやほんと。
洞窟のとことか、いやお前勝手に決めんなや!って。
そして音色さんマジパネェ。
かっこよすぎワロタ。
本家ともども拍手テロらせていただきました。
【みんなも書けばいいのよ】
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