「おい、そのピカ何とかの鳴き声はいいから、普通に喋れよこの不法侵入者」
「らーい」
おいおい今度はもっと言葉が通じないやつが来たぞ。ピカなんとかの鳴き声はもういいっていったらライなんとかの鳴き声にしやがった。
代わり映えのない芸しかもたねえ、つまらないやつだ。しかもずっと壁の中かららーいらーいと言っている。答えて欲しいのかこいつは。
「らーい」
義務的に俺が声を発すると、明らかに壁の中の空気が変わった。
「らーい!」
さらにテンションが上がる。こんなのテレビの中でしか見た事無いぞ
「らーい!」
俺に言えというのか。俺の答えを待っているのか。そんな恥ずかしいことできるか!!!!
「らーい!!」
「……らーい……」
「らい!?らい、らいらいらい!!」
おいおい一人でやり始めたぞ。俺はなんで壁に向かってこんな茫然と立ち尽くしてんだ。人の入らなそうな薄い壁の中から、足音がドタバタとする不思議。一人目の時もそうだったが、どうやって動いてるんだ。
「おい、いい加減にしろ!」
思いっきり壁を殴った。壁は黙った。気配も消えた。こんなことなら最初から叩いておけばよかったかもしれない。
「セイセイセイセイ!」
やたら落ち目の芸人の真似するやつだ。感心してる場合じゃない。
「いい加減にしろ不法侵入者!」
「イーヨー!」
ちなみにテレビは反対側だ。どうやって壁の中でこんなのができるんだ。疑問だらけだ。壁からギターの音色が聞こえる。
「マサラタウンはポケモンがいないって言うじゃなぁい!?」
「オチは解ったから黙れ」
俺の言葉はやっと通じたか、壁は黙った。いやむしろそれが正解だ。壁がペラペラこうも喋っては気味が悪い。
明日業者を呼ぼう。それがいい。そしてこの壁を解体して調べてもらおう。
そう決意した後ろで、壁が再び「らーい」と言った。
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「ピカー」に対抗できるのは「ライー」しかないと思った。
こんなんで書いてみたと名乗っていいのか物凄い疑問
本当に疑問。
しかし壁の中の言い出しっぺとして書かずにはいられなかった
【げしげししていいのよ】【もしもし、あたしキトラ!いま貴方の後ろにいるわ】