短めですが感想を。
私は「ゼルダの伝説」シリーズの中でも、64の「ムジュラの仮面」が一番好きです。
三日後に滅びてしまう世界の中で、人々はそれぞれの形で死と滅亡に向き合おうとします。
人によってその姿勢は多種多様ですが、どれもとても人間らしく、記憶に残るシーンばかりでした。
このお話も、回避できない滅びを前にした二人の心情をつぶさに描いたものになっています。
二人の安らかな語りと、行を追うごとに壊れていく世界の対比が、悲しくも美しい模様を描いています。
二人の死という結末は変えることができず、読者はかなり早い段階でその事実を知ることになります。
ずっと前にどこかで書いた記憶があるのですが、結末の読める物語というのは通例、つまらないものになりがちです。
しかし、このお話のように「結末(=滅び)を前提とした」形を取る場合は、結末が明確に、かつ動かしようが無いと分かっているほど、かえって強い印象をもたらします。
以前、同じように「滅亡を前にした人々」をモチーフにして一本書いて、今一つ綺麗に決まらなかった経験があるので、
いずれどこかでリベンジを決めてやりたい、そう思わせてくれるお話でした。
今後の更なるご活躍を期待しております(´ω`)