マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ
このフォームからは投稿できません。
name
e-mail
url
subject
comment

[新規順タイトル表示] [ツリー表示] [新着順記事] [留意事項] [ワード検索] [過去ログ] [管理用]

  [No.2537] 家にキノコが生えました 投稿者:あるた   投稿日:2012/07/31(Tue) 01:13:09   55clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

明日からどうしようだなんて頭を悩ませても始まらないのだ。と、無理矢理気持ちをポジティブに持っていっても、気持ちは斜め35度の鋭角下方向で突き刺さる。頭の上でカゲボウズたちが嬉しそうにくるくる回っている。そりゃあ、大好きな恨み妬みマイナスエネルギー満載になったご主人様がこれから毎日君たちといられるんだものね。嬉しいよねーうんうん。バシッと手をおもむろに頭上のカゲボウズに伸ばし鷲掴み。一匹が慌てたようにオタオタしだす。

「カゲボウズ、頼むから私のマイナスエネルギー全部残らずなんとか処理してくれ」

目を丸くしたカゲボウズが嬉しそうに鳴いた。そして、私は就職内定していた会社の倒産通知を前に気を失ったのである。遠くなる前にクルマユの心配そうな泣き声となんだかよくわからないぴゅーいという高い鳴き声が聞こえた気がする。


次に目を醒ますと嫌な気持ちは全部吹き飛んでいた。身体を起こすと、クルマユにカゲボウズたちが怒られていた。二匹のカゲボウズはしゅん、としている。よしよし、面倒見がいいクルマユが可愛くてしょうがない。うるうるしてきてるカゲボウズをクルマユが呆れたように撫でている。ああ、本当にわが子かわいい。と、視線を横にずらせばなんだかキノコがいた。ん、……あれ、なんかキノコがいる。点な目で、赤と白のモンスターボールカラーリングのかさを被ってるキノコがいる。タマゲタケじゃない?あれ。
私の視線にん?と振り向いたタマゲタケはぴょこたんぴょこたん私の方へよってきた。

「君はタマゲタケ?」

こくんと頷く。

「何でいるの?」

片手で家の柱を指して、両手を会わせてぱぁと咲かせる。ん?と首をかしげた。

「そこの柱に生えてきたの?」

こくんと頷く。

「まじで?」

こくん。
不味いな。家にキノコが生えるとは。完全に湿気っているということだ。私のマイナスエネルギーが溜まるのももしや湿気っているせいではないか?空気清浄器が必要か。しばらく考えて思い付いた。
「クルマユ、カゲボウズたちポケモンを捕まえにいくぞ」

クルマユはげぇ、と呆れた顔をした。カゲボウズたちは心なしかワクワクしている。タマゲタケもついていくと手をあげた。君が毒タイプでなければ、万事なんでもうまくいったんだがな。ねらうは草タイプ。
草タイプっているだけで空気が綺麗になるって言うし。……本音を言うなら、外に出るきっかけがほしかったと言うわけだ。気分転換になればいい。よし、と決意して扉を開けた。風が強くて紫の風船が私の顔面を直撃した。やせいのフワンテがぶつかってきた。
瞬間、心が折れた音がした。頑張ろうという気持ちがメルトした。紫の風船もといフワンテを顔面にくっつけたまま、私は扉を閉めた。どうしたの?と首をかしげた面々に私は言った。

「ごめん、やっぱり家からでない」


またかよといわん目でクルマユが私を見た。フワンテとカゲボウズたちが私のマイナスエネルギーに飛んで喜んでる。タマゲタケがじめじめな空気に跳び跳ねて喜んだ。私は、折れた心を抱えながら、部屋に帰った。気づいたら、勝手にタマゲタケもフワンテも居座っていた。クルマユが呆れたように倒産のお知らせを食べてくれた。これで5通目だ。
タマゲタケがぴゅーいと頭を撫でてくれた。早く何とかしなければいけないなと思った。
タマゲタケの小さな手がなんだかつらかった。

------
初めての投稿です。
よろしくお願いします。
ぴゅーい


- 以下のフォームから自分の投稿記事を修正・削除することができます -
処理 記事No 削除キー