人:サイチョー、クーカイ
状況:対戦用コートで、練習
「いけ、スターミー!」
「ゆくぞ、バンギラス!」
サイチョーとクーカイの練習が始まった。サイチョーはスターミー、クーカイはバンギラスである。どちらも目を光らせている。スターミーの場合は目というよりコアだが。そしてどこからともなく砂嵐が巻き起こってきた。
「微妙な鉢合わせだな。退くぞバンギラス、代わりにナットレイ!」
「隙あり、めざめるパワー!」
勝負はいきなり動いた。クーカイがバンギラスとナットレイを入れ替えるのをまるで見計らったかのように、スターミーは赤い閃光を放つ。ナットレイはこれをまともに食らい、所々が熱で曲がってしまった。
「ぬう、しまった!」
「良いぞスターミー、そのままとどめだ!」
クーカイが息つく間もなくサイチョーが指示を送る。持ち前のすばやさでスターミーは矢継ぎ早の攻撃を展開し、ナットレイを丸焼きにしてしまった。スターミーの懐にはちょっとこだわりがありそうなメガネがある。
「くっ、ナットレイが落ちるとは。だが、今こそ好機よ。出でよバンギラス!」
先ほどまでぐうの音も出ない状態だったクーカイだが、スターミーの持ち物を見て立ち直ったようだ。再びバンギラスを戦場に送り出す。
「まずいな、メガネだってばれてる。スターミー、ひとまず交代だ。サザンドラ!」
サイチョーはやや警戒しながらもスターミーとサザンドラをチェンジした。サザンドラの首には夕暮れの紫色をしたいのちのたまが備わっている。
「りゅうのまい!」
一方クーカイ側は、まさにこの時を待っていたかのごとく踊り狂った。りゅうのまいを使ったバンギラスからは蒸気が発生している。
「そこからけたぐり攻撃!」
ここからバンギラスは速かった。サザンドラを凌駕する瞬発力で接近し、足元を力一杯蹴りつける。そのダメージや、耐久に定評のあるサザンドラが一撃で伏すほどだ。
「さ、サザンドラ!」
「ぬふふ、これで持ちなおしたぞ。さあ、最後のポケモンを出せ」
「言われなくても、スターミー!」
クーカイの余裕をよそに、サイチョーはスターミーに全てを託した。両者はまたしても合まみえる格好だ。
「これが勝者の余裕よ、いわなだれ!」
バンギラスはその手で地面を削り取り、次々と投げつけた。それらはスターミーに襲い掛かるものの、あと一歩で当たらない。結局不発に終わってしまった。
「……よし、外れた。たった一度のチャンス、無駄にはしない。ハイドロポンプ!」
奇跡的に得た攻撃の機会に、スターミーは一縷の望みを賭けた。スターミーが撃った水の槍は深々とバンギラスに突き刺さる。サイチョーは息を呑んで見守る。
「ぐ、ぐおおおお……などとでも言うと思ったか? きあいのタスキを持たせた我輩に抜かりはない。かみくだくでとどめだ」
しかしながら、勝利の女神はクーカイに微笑んだらしい。バンギラスは背中に隠していたきあいのタスキを投げ捨て、文字どおりスターミーに牙を剥くのであった。
「や、やられたあっ!」
ダメージ計算は流れ通り。サザンドラは臆病CSで計算すればこの通りになります。
バンギラスとナットレイは弱点がかぶるので併用は少ないと思います。そこが反省点か。