まだ土佐金であった件の東間王を金魚師の男が見出したのは、故郷のいけすでの事でありました。代々金魚師であった男の家ではたくさんの土佐金を飼っていたのです。
ある日の事、操り人に追われてた手負いの小雷鼠があやまっていけすに落ちてしまった事がありました。もがく鼠を土佐金達が角でつつくものですから、たまらず小雷鼠は電撃を放ちます。その結果、いけすは大混乱に陥りました。多くの土佐金は気を失って腹を見せてぷかぷかと浮かびあがりました。ところが一匹だけが、何事もなかったように平然と泳いでいたのでした。
こいつは只者ではない。そのように感じた金魚師はその土佐金を特に目にかけるようになりました。ひょうたんに入れて