タグ: | 【匂わせる程度の腐向け要素】 【3074】 |
「僕の、初めてのポケモンだ……。ありがとう、ユウキさん!」
ラルトスを捕まえたあの日のミツル。
「ユウキさん。僕を、あなたのライバルにしてください!」
キンセツシティで戦った後の、照れ臭そうなミツル。
「ユウキさん! ぜったいぜったい、またバトルしましょうね!」
チャンピオンロードの出口で見た、涙を浮かべながらも俺を送り出したミツル。
あの頃のミツルは、一体どこへ行ってしまったんだろうか。
◆◆◆
ミツルの様子がおかしいのに気づいたのは、弟のユウトが旅に出てからすぐのことだ。
まず、笑わなくなった。ふたりきりの時も、ポケナビを見詰めてぶつぶつ言っている。面白くなくて押し倒しても、どこか上の空だ。
最近バトルフロンティア近くの小島にできたリゾート地では、夜な夜なタマゴをかかえて自転車で走る緑髪の王子が現れるという噂を親父から聞いた。信じたくないが、ミツルはそのリゾート地に入り浸っている。
なにがあったんだ。そう問い詰めてもミツルは薄っぺらい笑みを浮かべて話を反らした。
「なんなんだ、いったい……」
考えすぎて頭痛がしてきた俺は、10年来の友人に助けを求めることにした。
「……へー。それは心配ね、一体何があったの?」
俺達の関係を知ってる数少ない人物のひとり、エンジュはいつもの冷たい声で電話に出た。
「それが分かったら苦労しねーよ。なんか思い当たることないか?」
「それをなんで無関係の私に言うのよ?」
「お前以外に相談できる奴いないんだよ。頼む、なんでもいいから」
「分かったわよ……」
なんだかんだ言って優しいのがこいつの良い所だ。
「あんた、随分前にミツルに一度も負けたこと無いって言ってたわよね」
「ああ」
「それって、今も?」
「そうだな」
「じゃあ、それが原因なんじゃないの」
「……どういうことだ?」
「勝ちたい相手に何度も負け続けたら、このままじゃいけないって思うのは当然のことよ。それで強くなる方法にたどり着いたのが今のミツルなんじゃないの」
「……」
「あんた、相変わらず鈍いわね」
◆◆◆
とりあえずエンジュのセリフが言いたかっただけ。あとミツルくんが予想以上にあざとかったので。
ミツルくんがああなったのは、大体主人公のせいじゃないかなーって。
まだまだ直せそうなところはありますが、やる気出すために投下。