【003】blindness ☆ 3 ☆☆ 7 ☆☆☆ 16 合計65 ☆☆☆ 自然と背筋が伸びた。ドーブルさんに完全に気圧された。 ☆☆☆ お題「足跡」で、ドーブルに目を付けた点から凄いと思います。感情の変化の波がグイグイ伝わり、読んでいてくらっときました。 ☆☆ リアルすぎて心臓に悪いです、良い意味で 自分は絵は描かないながら心当りがありまくりで。 でも実はドーブルのイラストもあくまでドーブルの情熱に乗った作品なのではないか、とも思いました。創作なんてみんな何かの影響なんですけどね! だがそれがいい。 彼女がこの次に何にインスピレーションを感じ何をうpしたのかが気になる。 CoCo ☆☆☆ 当方絵描きな為、非常に胸を打たれました。 背中に×というのは、とっても面白い設定だと思います 思わずボロボロ泣いてしまいましたw re ☆☆☆ 内容もさることながら、『足跡』と言うテーマの扱い方が上手いなぁ、と思いました。 kodama310 ☆☆☆ 非常に身につまされる話です。私は絵を描く訳ではないんですけど、ケータイ小説を書いているのでそこでのことが頭をよぎりました。 誰しもが抱く感情なだけに心にぐっときました。 時々、こういうことを考えては落ち込んだりします。大抵は諦めてとりあえず書くんですけど。 頑張ったって、追い付かないものは追い付かないんだーって。 いつだったか、どこかの作家さん?がツイッター上で呟いていたのを思い出します。完全にうろ覚えな上に知っていらっしゃるかもしれませんが。 物語(小説)を書いた時、違う世界を覗く喜びがある筈だ。それは他人に誉められるより何より、素晴らしいことだ。この言葉、全然違う自信あります。 ただ、書くことそのものに喜びや楽しさがある筈で、その辺りがこの話のテーマに通じるな。ってだけの話でした。関係のない話を長々と失礼しました。 砂糖水 ☆☆ 盲目のドーブルが楽しそうに絵を描くシーンがとても印象的でした。 大好きなことをやれることの大切さが伝わったような気がします。 巳佑 ☆☆☆ フランクな口調の語り口がこの作品に最もふさわしいものに感じられました。前半では「あたし」の鬱屈が度重なる自問自答でひとつずつ、しかしながら確実に積み上げられていて、「あたし」のネガティブな感情が色濃く映し出されていますが、 後半ではその鬱屈が絵を描くドーブルの繊細な描写と、ドーブルに関してと「あたし」に関しての自問自答で徐々に破壊されていき、「あたし」が忘れていた絵を描く喜びが鮮やかに映し出される。 この反転の良い意味での落差がとても心地よかったです。 一人称視点、そしてそれを語る口調のためか、「あたし」の感じていることがより自分に重ねやすく、感情移入しやすい、という印象を受けました。 序盤の「どうすれば上に行ける?」の反芻には、「あたし」のじりりとした焦燥を感じました。この反芻が効果的なだけに、最後の「どうすれば上へ行ける?」だけはダッシュを用いたり、思い切って改行するのもよいのでは、と思いました。 あと、非常に些細な点ではございますが、最後の方の「ピクシア」は名前を出さない方がいいのかな、と思いました。といいますのは、ご存じない方がここで疑問に思われる可能性があるかもしれない、と拝察したためです。 語呂は悪くなりますが、「ペイントソフト」などに差し替えても差し支えないのではないかと感じます。連想させるものがあるSNSの名前も出ていませんから。 これしかないと「あたし」が言った通り、この作品にはこの題が最もふさわしいですね。 素敵な作品をありがとうございました! 小樽ミオ ☆☆☆ 盲目のドーブルが楽しそうに絵を書く・・ 足跡と言えば背中に足跡を踏むドーブルがやっぱりパッと出てきますよね まとまりもうまくて個人的に気に入っています もけはらまこと ☆☆☆ すごくテンポが良くて読み易かったです。主人公の気持ちがガンガン伝わってくるような気がします。 『イラつく。楽しそうにしてるのがイラつく。絵を描くために絵を描いているのがムカつく。少しも悩んでいなさそうなのがイラっとくる』とか『描いたもの勝ち。一人勝ち。誰得? あたし得!』とかトントン拍子で文章が流れて行ってて、他の話とは大分違うなと思いました。 ストーリーも読み終わったら少しポジティブになれそうなお話で、とても好きです。絵のことはさっぱり分かりませんが、何故か主人公に共感できました。 SB ☆☆ 結構難しい言い回しの表現が多いのは芸術家肌の主人公だからかなぁと思いますが、「精神安定剤代わりのガム」は何の捻りもなく直球表現で、「精神の安定が必要」もう一度の「精神安定剤代わりのガム」は少し違和感がありました。(細かい個人的な印象なので一応、という程度に) クロトカゲ ☆☆☆ 先ず、最初に読み終えた時の感想は、『これぞ短編作品の粋!』…と言ったものでした(笑) ……まさに、個人的に期待していた『短編』という作品形態の、理想系と言った所です。 一見すれば淡々としている本人視点の筆致に、自然とのめり込まされていく、悶々とした葛藤と心理描写。 ……そしてその後に訪れる、独創的かつシリアス味の強いハプニング。 お題である足跡の消化具合と言い、本題となっているドーブルと主人公本人との対比と言い、非常に感慨深く、味わいのあるものでした。 ……個人的には、今回の作品群中でも、最も余韻の残った文章です―― ……文章形態や表現方法により、作者として浮かび上がって来た方が居られるのですが…取りあえずは、明言しない方向で。 …間違ってたら恥ずかしいですし(苦笑) クーウィ ☆☆☆ 心理描写は極めてリアリティがあり巧み。読者の予想の上を行くストーリーと共に、完成度が極めて高い。 同じ、または同系列の感情や言葉を何度も重ねることで文章を強調するスタイルが効果的。 主人公の姿が、ドーブルの姿と正反対のコントラストとして映るくだりがインパクトを感じさせる。堂々の☆☆☆。 余談。 辞書によれば、dauberとは「塗りつぶす」「汚す」「〈絵を〉へたに描く」という意味のdaub の名詞化で、「へぼ絵かき」や「左官」「はけ」を指すのだとか。・・・って、昔手塚治虫の「ドオベルマン」って作品で知ったのですけどね(^^;) 誤植発見: >あんな表情ができるほどの、改心の出来栄えなんだ。 「会心」で。 サトチ ☆☆☆ この小説には私がいる。そして多くの絵師が主人公の中に自分の姿を見るのではないだろうか。 おのれええ、絵師の心理をよくも! よくも! よくもおおおおお! はい、pixivユーザーです。まさにその通りでございます。ジャンルはポケモンで固定しているけどね。 動物系の学科を出た者としては、ドーブルの家柄設定は非常に「おおっ」と、きました。 なんだこの設定いいな、私の小説にも流用したいわ。 「絵を描く」という行為は、ドーブルにとって食べるとか排泄するとか、それと同じレベルの本能的行為なんでしょう。 でも、それ故の純粋さに時に我々は感動するんではないでしょうか。 ……ところで「キュー」って鳴き声に不覚にも萌えちゃったのは私だけ? No.017 ☆☆☆ 一人称単数の主体からの感情の吐露によって進行され、体言止めの多用で散文らしさが消えている。例えるならば、ラップのような文体である。 衝動的な言葉と、それを冷静にまとめる理性という順列で言葉が並び、同じことを言っているのだが、上手くイメージを補強する効果を発揮している。 これはゼミナールで行われる議論にも似て、ややアカデミックな匂いをさせるが、それを平易な言葉でラップのように綴ったことで読みやすくなっている。 題材とした、絵を描く本質を見失った盲目という比喩と、本質を見失わない盲目のドーブルという対置は上手い。“自分の楽しみ方(価値)は別のところにある”とルサンチマンに陥りがちなところで、“自分の楽しみのために描く”という創作の本質を取り戻す。芸術家として実に美しい精神の在り様である。 二十一世紀初頭の日本における表現の大衆化を描いているという点にも意味がある。芸術は一部の人間に独占されるものではなく、誰もが自由に表現できるものである。技術革新によってその裾野が広がっていく過渡期である現在、人々が価値/本質といった拠所を求めて葛藤している姿を文学作品として残すことは、総合的な文化史的意義がある。 別に大げさに言ってはいない。来世紀には、旧世紀の文学の研究として、ネット文学が必ずその対象として取り上げられることになるのだ。サーバ内の、ハードディスク内の、或いはプリントアウトされたデータ。この作品はそれらの中で大いに意義を発揮するだろう。 さて、反省点を。 テーマ、素材、そして文体。どれも強い意味を持ち、個性があった。が、ひとつひとつの言葉は弱いと感じた。 これは日本語によるラップのジレンマで、多くの言葉を並べて総体としてのイメージを伝達する手法は、個々のワードをクローズアップすると実に脆いのだ。全ての言葉を注視する必要はなく、流し読みでもさして感動が変わらない。内容は心に残るが、心に残った“一言”はないのである。「一人勝ち」でも「あたし得!」でもいいのならば、どちらも残らない。何かひとつだけでなければならない強力な言葉を欠いている。 「鬱屈」や「彼乃至は彼女」といった漢字表記は、例えるならば中二病的であり、他者の評価に苦悩する若者らしさが出ていていい。が、本作では言葉そのものが持つ存在感の大きさで、やや浮いた感もある。筒井康隆のSF作品ならば納得だが、バランスが壊れるギリギリだった。注意すべき点として指摘しておく。 これら全てを省みても、良作だった。 あー、最後に。描き終わったドーブルが「ちょっとばかり覚束ない足取り」で去っていったのが、次の段落で「堂々とした足取り」になっている。これはいただけない。 渡辺タテタ ☆ (本人作品の為、参加点のみ) ・キーワード ドーブル,少女,ハンディキャップ,物理的な足跡 ・感想 自作品のため、評価対象外とさせていただきます。 586 |