【015】特急夜話 ☆ 10 ☆☆ 11 ☆☆☆ 5 合計47 (自由感想) 表現が綺麗だなあ。 夜の中、走り続ける特急と、少し離れた場所でそれぞれの人生を展開する、電車の中の人々、遠くの風景の中にいるであろう人々。なんというか、情緒があります。 文章の中に描かれるものに、どのような軌跡を辿ってきたかという、その背景を感じます。 とにかく、綺麗でした。では、拙文失礼しました。 きとかげ ☆ 足跡→線路! そういう考え方がありましたか! ☆☆ 日常の数十分を切り出してきたような印象を受けた。そこにあるけど見逃してしまいそうな、大切なようなそうでないような…言葉にすると難しいですが、良かったです。 文章に込めた思いを汲み切れて無かったら、すいませんw re ☆☆☆ 『線路という名の足跡』というのがとても新鮮で斬新な感じがしました。彼とブラッキーから覗く風景から数々のドラマを感じました。とても素敵だったです! 巳佑 ☆ 文章はとてもきれいなのですが、せっかくなので、電車の中にいるときにも何かイベントがあったほうが良かったような気がします。 SB ☆ なんと言うか・・電車の中の風景、ですかね ちょっと印象が薄いです もけはらまこと ☆ 絵になりそうな雰囲気だけれども、改めて読み返してみれば、表すには文章を持ってするしかない――そんな作品でしたね。……一幕一幕が文言ではなく、直接脳内に映像として浮かんでくるような、非常に視覚に訴える内容でした。全体に淡々とした雰囲気でしたが、思い描ける情景は常にはっきりしており、もし挿絵を描いて頂けるのなら、真っ先に推したくなるのはこの作品でしょう(笑)……ただ、最後のくだり以外に特に目立った山も無かったので…その面では、結構人を選ぶ作品だなと感じた為、この評価と相成りました。…個人的には、結構好きなんですけどね……心情に静かに訴えかける感じとかが。 クーウィ ☆ ・キーワード 列車,情景描写特化,写実的,観念的な足跡 ・感想 徹頭徹尾情景描写に特化し、それ以外の要素を排除した作品、というように見受けられました。領域としてはほぼ間違いなく純文学の領域で、技巧の高さは参加作品中でもトップクラスといえます。少なくとも、私ではここまで間を持たせることはできないとあらかじめ感想を述べておきます。 全編から伝わる描写の細かさは確かですが、全体を通して起伏に乏しく、読者を選ぶタイプの作品であると感じました。また、今回のテーマである「足跡」が最終行にのみ登場し、文脈としてもそれまでの物語とのつながりが少々希薄であると思いました、「足跡」については、作中においてもう少し匂わせても良かったのではないでしょうか。 586 ☆ 題材も物語もポケモン世界である必然性がないように思う。 描かれたシーンの多くは「客観的説明」というより「主観的描写」に感じるが、それでいて主体がはっきりしない。 主人公のはずの青年は、主人公というよりも単なるカメラの視点に過ぎず、存在が非常に希薄に感じられる。 ところで、作者は鉄道マニアなのだろうか。筆者は鉄道は全く専門外なのでそのせいもあるかもしれないが、冒頭のターミナルを出て行くシーン等、特に初読時、非常に情景が想像しづらかった。 それと、「大曲線」というのはなにか特別な意味を持つものなのだろうか? 前後の文章が淡々としているのに比べ、そこだけいきなり、妙に力の入った文章で熱烈に賛美されているのに 大きな違和感を感じた。 >お母さんはあやしていたが、赤ん坊は彼女がデッキへと移る前には既に大泣きを始めていた。 前後の文章の雰囲気だと「母親」くらいの方が合うのでは? >一人と一匹は歩き始めた。コンクリートのホームにそれは残らない。 いくら最後の行で初めて「足跡」を使いたかったにしても、ここでいきなり「それ」は変。きちんと書くべきでは。 サトチ ☆ 車外を熱心に描いたわりに、車内の詳細が分かりにくい。それも一因となって、作中主体がはっきりせず、どこの誰に自分を投じればいいのか分からない。読むべきポイントの焦点も合わない。意欲は買うが、テキストがまるで追い付いていない作品。 第二段落、第一文「ゆっくりと進みながら雨降る真夜中に進み出た。」は「進み」の重複。第四文「そろそろ歩いている。」は第一段落、第三文の「そろそろと走り始めた。」と矛盾。 第六文の「しとしと」は降る雨の擬音で、「窓を打つ」ような雨の音ではない。 第三段落、第七文より「細長くそこだけ」、八「マンションへと続く直線だけ」、九「マンションの明かりだけ」。どれ「だけ」なのだか。論考はいい加減で、テキストは拙い。 きりがないのでここまでにするが、この冒頭部分によって、いったい読者は何を期待して作品を読み進めたらいいのだろうか。 冒頭の世界観を提示する、いわゆる導入部によって読者は作品への期待を高めていく。ここで文章が拙ければ先々も同様だろうし、ここで論理が破綻していれば、先々に不可解な出来事が起こるだろう。ややもすればクライマックスよりもなお、注力すべきパートである。 思い込みとファンタジー(幻想)は同義ではない。例えば、これほど多くの駅に停まる特急もいかがなものか。もしもこの電車が何かの比喩として走っているのならば、それは多くの駅に停まる必然性があり、即ち特急ではなかったのではないだろうか。 言葉ともう一度向き合ってから、再チャレンジしてほしい。 渡辺タテタ ☆ 好きか嫌いかで言うなら好きな作品である。モデルは「銀河鉄道の夜」であろうか? 鉄道にブラッキーという組み合わせもものすごく好みである。当方絵描きでもあるが、絵的にすごく好き。お題の解釈もよいと思う。 にもかかわらずこの評価にとどめているのは、もちろん理由がある。 やはり文章の難解さによるところが大きい。独りよがりなのである。また物語の作込や構成が甘い。 以下、ツンデレのツンタイム。俺の特急夜話語りが火を吹くぜ!( ・文章の難解さ まず最初の「がこんという音とともに特急は動き出した。〜ターミナルは遠くへと消え去っていた。」 夜と都市、白と黒というイメージこそ伝わってきたものの、全体的に何を言っているかまったくわからない。 結局どこを走ってる電車なのかよくわからないし、「鼠色のような黒で、鼠に染みたような白」などいよいよ意味がわからない。 ニコニコ動画のタグに「なるほど、まったくわからん」というのがあるが、まさにこの例である。 試しにニコニコ大百科の記事を読んで見て欲しい。どう思ったであろうか? 訳がわからないと思うのだが、この小説の出だしも同じ状態である。こんな雰囲気が全編通して続くのだ。(後半はだいぶ読みやすいが) 一度、小学生高学年くらいを対象にするつもりで文章を練り直してみて欲しい。 ・解釈 ちょうど審査員の一人とこの作品について語る機会があったので、私の以下の解釈をぶつけてみた。 「まず最初に赤ん坊が出てくる → 次に少年とポケモン(イーブイ)が出てくる → 最後に主人公の顔が映る。 以上のことからこれらは主人公のこれまでの人生、すなわち足跡を描いているのではないか」という話をしたところ、 「………………あー(理解した)」 という反応が返ってきた。仮に私の解釈があっていたと仮定しよう。 しかし、解説してはじめてこの反応でるのでは致命的なんじゃないだろうか。 彼曰く「文書がわかりにくすぎてそこまで(ストーリーを理解する)に至れなかった」とのこと。 それくらい文章がわかりにくいのである。 (蛇足だが、結果速報チャットでも同じ反応が見られたので付け加えておく) あと、私も赤ちゃん場面の「お母さん」は「母親」が適切だと思った。 ・構成の甘さ さて解釈を語ったところで、議題は次に移る。 鉄道の旅が今までの人生をなぞっていると仮定すると、列車内での出来事、外の出来事などは様々なものを暗示させる装置となりうる……のだが、この小説にそういった工夫を感じることが出来なかった。 とりあえず列車に乗ったらありそうなことを並べているだけの感じがする。 まず雨の話題になった。なんか強く降ったり、霧雨になったりしてはっきりしない。列車が高速で移動していることを考えればその時々で雨の状態が違っていても良いのだが、じゃあ各エピソード(赤ん坊→少年→自分の顔)と関連付けを行っているのだろうかという視点で見ると、どうにもテキトー感が漂うのである。途中で雨が上がるのだけどこれも深い意味はなさそう。使い方次第ではかなり効果的と思えるだけに残念である。 また大曲線や線路の分かれ目なども登場したこれも、描きようによっては人生の選択の分かれ目であるとか、ここ一番を表現できるように思うのだが、やっぱり関連性を感じることが出来ない。 また特急という割に結構駅に止まるよね、という点も上げられた。いや、駅にとまるのは構わないのだがそれだったらものすごい数の通過駅があったんだよ的なことを盛り込んでも良いのではないか。いままでの人生である。それこそものすごい数の通過駅があるはずなのだが。 そもそも今までの歩みという点で「赤ん坊、少年、自分」の三つではエピソード数が少ないようにも思われる。最初の難解な説明を半分くらいそぎ落としてもう2エピソードくらいあってもよかったのではないか。車内エピソードとか。 以上の理由により、(解釈があってるのが前提ではあるが)非常に作り込みが甘いという評価を下した。 さてものすごく言いたい放題になってしまったので、最後にデレておこうと思う。 す、好きじゃなきゃここまで事細かに書かないんだからねッ! No.017 |