【015】此岸 作:SB ☆16 ☆☆11 ☆☆☆3 =47 ☆☆☆ ◇「お客さまよ。丁重に、もてなさなくては」 私はこのお話にコメントすることができません。でも魅かれちゃったんですもん、しょうがないです。理由なんてない時もあるのです。総評の方ではなにやら自分ぐだぐだ言っていますが、気にしないで下さい。 リナ ☆ テーマは……鏡だろうか。よくわからない。誤字脱字誤用は見当たらなかった(5/13時点)。しかし、(私の読解力がなさすぎるのもあるが)話の流れがイマイチつかめない。また、テーマが出ているか出てないかと聞かれたら、どこにも出てない、あってもとても弱いと判断する。以上の点から☆とした。これは評価と関係ないが、なんとなく永劫回帰や輪廻転生やエンドレスエイトなどと似たような展開だと感じられた。 あつあつおでん ☆ 設定はよく作りこまれているように感じたが、キャラクターのインパクトがいまいち薄く、面白味が薄いと感じた。山の神との関係性や主人公の心理面が淡々としているのは魅力ではあるのだろうが、ジュペッタというポケモンの多くに付随する恨みという負の部分がいまいち薄かったように感じた。 西条流月 ☆ グッと来た文【“わたくしゲーム”が始まった】 『わたくしゲーム』や『山の神様』や『古い屋敷』といった独特なキーワードがこの物語の摩訶不思議さを更に盛り上げているような感じがしました。この物語はいわばお嬢さんの人生の合わせ鏡、みたいなものなのでしょうか?(汗)繰り返されるこの日常がまるで、どこまでも続いて、終わりがないといった感じに伝わりましたです。そしてお嬢さんが答えを見つけたことによって、その合わせ鏡が終わり、ようやく解放(?)されたお嬢さんが鏡には映っていた、ということでしょうか?(汗)ちなみに最後に出てくるマネキンは過去のお嬢さんを象徴するものかなぁ……と思ってみたり。色々と考えさせられる(個人的には)ミステリー色溢れる物語でした。 巳佑 ☆ お題:鏡(ゲームの駒がどちらか) ミステリアスな世界観が魅力的。しかし、鏡ということがわかりづらかったです。ゲームの駒が私ではなく、ジュペッタたちだった、操り人形と化していた私が操る側になった、それが「鏡」ということでしょうが。ただ、鏡というよりは転換や気づきという方が近いのかなと。若干違うかなと感じてしまいました。 レイニー ☆ 独特なリズムで物語が進行します。何度読んでみても不思議なお話でした。それ故に読解力のない私には少々難しかったように思います。好みかどうかで判断するのなら、好みではあるのですが、いかんせんストーリーの全貌が掴めないので……。お題もどこで使ったのかちょっと分かりませんでした。 鶏 ☆ 力強い文章だと感じました。 ☆ わたくしゲーム。これだけ明快なキーワードを持ちつつ、それを中心に据えた描写をしないというのは、読者を混乱させることでしょう。多分人格同士のつぶし合いのことなのかなぁと思ったのですが、それについてあまり触れられていないのが気がかりです。ルールについて説く男の狂気とかは結構好きなんですがね……芯が弱いせいで、このやりとりでさえふにゃふにゃしてます。こういう狂気による恐怖は、繰り返しの恐怖と相性が悪いですね。繰り返しの方が勝ってしまって、「またこいつか」みたいな風にしか思われない。それから、がけ崩れ起きるようなところにニュータウンは作らないと思うのですが、いかがですか。 乃響じゅん。 ☆☆ 一読目:どうしよう、なんかすごく難しい作品だ。以下に俺に語彙力と読解力及び一般常識が身についていないかが突き付けられているようで『お前馬鹿ですね』の烙印を押さえつけられているような…つまり、すんごく難しい(個人的に)定義のくだりで頭パンクしたし、おまけにこれって久方様が書いたジュぺッタに乗っ取られた女の子みたいな空気があるよ・・。怖いという事はひたすら伝わってくるけど。 二読目:じっくり読んだら少しは理解できた、と信じたい。少なくとも女の子(女性か?)がなんなのか、というのだけは分かったような気が・・する。断言はしないできないやっぱ不安ですごめんなさい。けども学校に行ってるってことは成長してるの?でも妻の人形だよね?あれ、でもお嬢さんって言われてるし。口が裂けてるってどういう事よ。ジュぺッタが中に入る・・とにかく『わたくしゲーム』が人型を奪い合ってるのは理解できたけども、ああぁぁ難しいよー! 三から八読目:何度読んでも難しいものは難しい。なんか哲学の本読んでる気分だ。 九から十読目:結局完全に理解なんてできない白もなんだこれは・・。空気は大好きなんだけどそんな理由で☆1つにはもったいなさすぎる。二つで勘弁してください。俺の負けです。読解力をくれ誰か 音色 ☆ ……、何がしたいんですか? 下手に洒落ようとして失敗したように思います。雰囲気は出てましたが、そんなことは些細な話。 あなたはこれを読んで読者に何を感じて欲しかったんですか? ただの自己満足では読者はつまらないです。そりゃ書いたあなたは楽しいでしょうが。 特に何も無いくせに話がややこしすぎる。読むのに時間がかかります。最初の進化の件は二分考えました。結局そんな関係なかったですし。 なんといっても、もはやタマゴでも鏡でもないです。頑張って推測したら鏡? いや、もう知らん。お題の定義はルールはなんて聞かれちゃたまりませんし。もういいので以下気になった点挙げて終わります。 >「たとえば、山、とか」 崩される? 一体どうして? 山では反論にならない気が。 それとわたしという存在がイマイチわからない。ジュペッタがいないと動けない?>>ジュペッタや土建業者たちからわたしが解放される日も近い、とそう信じていた。 つまりジュペッタいなくなる→わたしに入らなくなる→わたし作動停止、ってことでわたしはいい加減安らぎたいってこと? でもそれ以前に解放される理由が不明瞭。 >その山は案外大きくってね。その上作物の耕作に向くような扇状地やらなんやらってものが全然ない。それなのにしょっちゅうがけ崩れを起こして近所の人たちに迷惑をかけてたんですね。それはもう、邪魔で邪魔で仕方が無かった がけ崩れ起こす地盤でニュータウン建てます? もしそれを隠蔽しようと建ててもバレれば罪に問われるそうです。しかもそんなことさらっと「わたし」に言いますし、悪徳建築業者としてもこの男は失敗です。 そしてオチが謎。どうして割れた、割ったとしたならなぜ割った。余韻を残したいのかしりませんが全然すっきりしません。ちゃんと終わらせてください。 でりでり ☆ 幻想的な作品。口裂け女とは懐かしい。「鏡」とのかかわりが薄く感じた。読解力不足のせいかも知れないが、描かれる論理が非常にわかりにくく感じる。それはそれで持ち味と解釈すべきかもしれないが、個人的好みで☆1つとさせてもらった。 >そんな単純な理由で長く伸ばすことを義務付けられた真っ黒の髪が、その存在価値を疑うようにべっとりと頭にこべり付く。こ「び」り付く、で。 サトチ ☆ <作品情報> テーマ種別 →鏡?(確証持てず) 作品タグ →【テーマ不明】【一般文芸寄り】【独特の世界】【雰囲気重視】 ポケットモンスターシリーズの二次創作としての意義 →微妙な線ではある。どちらかというと筆者の一次創作としての色が濃いテーマの消化度合い →「鏡」と思われるが、確証が持てない。よって、テーマの消化度合いを判断することはできない。 <講評> 極めて独特の作風です。個人的には全三十五作品中、もっとも突き抜けていると感じました。読者に説明を行わないことで物語に引きずり込もうとする手法を使っている、と見受けられました。非常に好みの分かれる作品かと思います。評価の難しいところですが、ここではあえて私の中の尺度を変更せず、いつも通り評価することにしました。 二次創作としては、率直に言って微妙なラインです。ジュペッタが人形であると言及されている箇所くらいでしょうか。もう一つ、テーマについて。最後のシーンは、「窓ガラスに映った自分自身の姿」であり、それが「鏡」として使われていると判断しました。恐らく全体の構成から言っても、これは「鏡」なのでしょう。テーマについては問題ないと思います。 全体を通して、主人公の語り口や物語中で使用されている単語に噛み合う人にとっては高評価、そうではない人にとっては厳しい評価になる作品と見受けられます(残念ながら、私は後者でした。これは仕方のないことだと思います)。これは私がどうこう言うタイプの作品ではなく、筆者の突きぬけた個性として今後も伸ばしていってもらいたいところだと思います。今後の更なる活躍に期待しております。 586 ☆☆☆ 今回の作品群中でも、異色の一作。 こういう作品が思い出したように出てくるのが、ポケモンノベライズの面白いところですね。これまた最初から言ってしまうと、この作品の評価は非常に高いです。時折矛盾した語句の用法があったりはしたのですが、描写のレベル自体は非常に高く、説明が必要な設定が多かった割にはそれらに費やされる語句も許容範囲内と思われる分量で纏められており、しっかりと作中世界に没頭する事が出来ました。 今回のエントリー作品の中でも、個人的なランク付けは、三本の指に入るほどです。メビウスの輪の形式を取りつつも、自問自答を繰り返した主人公は最終的にそれを破錠させ、虚無的な作中の雰囲気に相応しい鮮烈なラストシーンへと、その歩みを進めて行く訳でありますが……其処に至るまでの様は、まさに彼女の『人形』と言う生い立ちをこれでもかと言わんばかりに体現しており、不気味な中にも一抹の寂寥感が滲み出ていて、独特の味わいを醸し出している。明確なメッセージ性と、よく計算された展開と帰結。 読み終えた時の余韻の深さから言っても、一つの作品としての完成度は、極めて高いと思います。突っ込みどころと致しましては、白昼堂々とオフィスビル内の一角で、周囲に聞こえるような声量の脅迫はやらないものだと思われますが……その辺はどうなんでしょうね?如何にあっち系の方々でも、そんな足の付きやすい目立つような真似は、もうちょっと場所と方法を選んでやるような気がするのですが、どうでしょう。自分の分際と致しましては、他には言う事無し! 『〇〇の犯行』という言葉が、チラリと頭をよぎった作品ですな(笑) クーウィ ☆☆ 主人公はループから抜け出したのだろうか。それとも結局は元に戻ってしまうのだろうか。ちょっとわからなかった。鏡という要素は薄い。ループしてる繰り返しているから鏡? 選んだお題は鏡なんだろうけど定義という一種の殻をやぶる話のような気もした。 ループものとしての側面が強いために見逃しがちだが、ゴーストポケモン達が自分達の住処を守るために、人形を利用しているというのは単純に設定として面白い。普通のストーリーものにしたらどうなるだろう。 気になったところはジュペッタの目は金色ではないことか。 雰囲気は非常に好みだった。 お題:鏡タグ:一人称、ジュペッタ、ループ 地方:不明 死亡:あり No.017 ☆☆ 「言葉遊び」というゲームの話。“形而上学的”な昨日としたことで、説明責任は果たしたということか。けれどもシュールのような芸術的破壊がされているのでもなく、なんらかの完結した世界を描いているのでもなく、やはり言葉遊びに終始した印象。 ただ言葉を並べた結果、どうにも雑な文章になってしまった。冒頭に登場する色彩。“緑の空き地”、“茶色の線”、“黒いデルビル”、“灰色の空”、“真っ黒の髪”、“清潔な白い服”、“護身用の黒い犬”、“通信用の赤いポケナビ”。有彩色は緑、茶、赤。特に緑と赤は人の目にはきつく映る上に補色である。これには煩雑な印象を受けた。第三段落の後半だけを切り取ってみれば、“わたしは黒いデルビルを引き連れて、停滞した灰色の空の下を歩いている。”と何やら無彩色の世界を展開して期待感が沸く。もう少し考えて色を配した方がよかった。無彩色を全面に展開した上で、ポケナビの赤が現われたなら、マスクに隠した裂けた口の暗示として活きた気がする。 挙げれば切りがないが、ほかに気になった部分をいくつか。 冒頭の“道と言う言葉がこれほどしっくり来る道もそれほどないだろうとわたしは感心した。”……そんなに思い入れを感じるほど道について書き尽くしてはいない。心証で補強しようとして、上っ面で終わってしまった。 男が人形を作るパートはもっと丁寧に書くべきである。“なるべく山にある材料だけを用いて作ろうとした。”のならば、“表面の生地や、詰め物、目玉”の具体的な材料は何だったのか。落ち葉を詰めれば弾力が生まれるし、目玉は白い樹液を成形して瞳の色を入れればそれらしくなるかもしれない。生地は蚕の養殖からやったのでなければ、何かしら繊維の取れる木の葉を調べてみればいい。或いは木彫りの人形か? 一木造りならば大樹のある山であろうし、実は男が優れた木工職人なら寄せ木造りの技術を持っているかもしれない。とにかく一朝一夕で人形は作れないし、その苦労と信念で人形が生まれるシーンは『此岸』にとって重要なはずだ。ゴーストタイプのポケモンは、あくまでタイプである。それは完全にこの世のものだ。此岸に留まる魂の類ではない。それが定義ではないだろうか。どうにも人形の誕生の重要度が感じられず、全編に疑問符を付けながらの読了となってしまった。 渡邉健太 |