【020】孵化の鏡 作:パラディドル

 ☆15 ☆☆11 ☆☆☆4 =49


☆☆
 お題:タマゴ(物理的)、鏡(ポッポと自分を重ね合わせる)
 家族をテーマにした、暖かい空気が漂う作品。オニドリルがポッポを守るシーンがすごく好きです。でもなんとなく、「孵化の鏡」というタイトルは、ちょっと違う気が。そしてデリバードの存在意義が薄い気がして、どうなのかなという気も。
レイニー


 グッと来た文【オニドリルは、その小さなポッポやオニスズメ達を大きな翼で包み込み、安心した顔をしてそこに居た。】マサシ君の心のモヤモヤが伝わってきました……スナオ君はきっとマサシ君にとって理想の姿だったのかな……素直だけに。(汗)マサシ君の新しいお父さんも最初はマサシ君に対して『君付け』で、少々ぎこちなかったような気がしたのですが、最後の『マサシ』で、お互い壁を取れた様子がうかがえました……いい親子になりますように。そして、オニドリルさんがポッポとオニスズメの赤ちゃんを一緒に優しく触れている様子を通じて、変化するマサシ君の心境も印象的でした。
巳佑

☆☆☆
 テーマである二つのお題を上手く消化した話で、主人公の感情も分かりやすかったのですんなりと入ってきた。それがひとつのきっかけで氷解するという話で納得させるのは難しいと思っているけど、この話はそれを上手くやってのけていたように感じる。
西条流月


 すごく好き。だけど、惜しい。これだけのパーツが揃えばもっと盛り上げられると思います。
カレー屋さん

☆☆☆
 テーマはタマゴと思われる。誤字脱字誤用及び話の流れに不自然な点は見当たらなかった(5/15時点)。テーマのタマゴは主人公の心境の変化に使われており、存在感があった。以上の点から☆☆☆とした。これは評価と関係ないが、鏡をテーマに主人公の成長を書く話が多いなか、タマゴで主人公の成長を書く話は少なく、新鮮な気持ちで読めた。
あつあつおでん

☆☆
一読目:えーっと、なんだっけ。他の鳥に自分のタマゴを育てさせるの。カッコウだっけ。しかし、ポッポがオニドリルの巣の中にあるのか普通?と、考えるはきっと野暮。まずは目の前の光景に感動しておけばいいんだ俺は。上手いなぁ。マサシ君のあたらしい家族とポケモンを重ねるの。思わずいい話だと溜息ついちまった。二読目:ただ二回目となるとこれちょっと無理多くないかなぁ。別にポケモンとして書かなくてもいいんじゃないのこれ?と思ってしまう。テーマの『タマゴ』にもよく沿ってあると思うよ。でも、やっぱり、うーんってなる。三から八読目:なんかこれ無理にポケモン絡めなくてもいいやって思ったけどポケモンだからこういうのもできるかなーって気もしてきた。九から十読目:なんかもやもやしてしまった。いい話なのに。☆2つで。
音色

☆☆
 ◇頭の中にあるのは、殻をやぶったポッポと、そのポッポを優しく包み込むオニドリルの顔だけ。
 なんといってもここの対応関係がこの作品の魅力だと思います。母の再婚相手という新しい父親と主人公。オニドリルと孵化したポッポ。この秀逸な対応関係のおかげで物語がこころにすとんと落ちてきました。父親とか息子とか、家族間での心情が細やかな小説が大好きなので、個人的にも読み込んでしまいましたw
リナ


 山に入って一人で抜け出すという行動が非現実的すぎるように思えて感情移入がしづらかったです。終始読みやすい文章で、児童書のように柔らかいストーリーでした。好きなジャンルだけに惜しかったです。



 マサシの内面が伝わってきました。


 やっぱり本当の父親でないと言うのは色々気を使うものなのでしょうね。とは言え、心理描写が繊細であったかと言うと、そうでもないかなというのが正直な感想です。ポッポを優しく扱うオニドリルを見て、父親に会いに行きたいと言うのには、間にそういう関係もあるんだと気付くプロセスがいると思うのです。それが欲しかった!あと、父親との関係は凄くしっかり描けているのですが、お母さんの存在が完全に無きものにされているのが残念です。
乃響じゅん。

☆☆
 異種族間孵化を扱ったお話。
 しかし当初の予想とは裏腹に、まさか野生で来るとはな……(汗)主なテーマの方は、両親の再婚によって新しい家族と暮らす事になった少年の、心の遍歴を描いたもの。  徐々に自我のはっきりしてきた少年の不安定な心の内と、独り立ちを目前に控えた年齢であると言う二つの揺れ動きやすい要素に加え、そこに血は繋がっていなくとも非常に親しみやすい存在である弟を配置した、繊細な人物関係が目を惹きました。少年の内心が赤裸々に綴られていて共感しやすい反面、ちょっとその心のぶれが大き過ぎるように感じたシーンも、また二三。 全体的に人間関係をしっかり把握しており、感情描写も悪くは無いのですが、時たま小さな違和感を覚えたのは事実ですね。一方で作中の文章のテンポは良く、言葉も選ばれている感があって、そこは好ポイントな部分。まぁしかし、やはりこの作品中最も話題に上げられるべきは、崖際に作られた鳥ポケモンの巣で起きた出来事ですよね。
 オニドリルとポッポ……うん、ツボだったわ(笑)鳥ポケモン達の描写に関しては、もう好きだとしか。 ポッポが殻を割って出て来た際に、少年が其処に感じた感動やエネルギーも、非常に共感しやすくてよかったです。……ただ、『オニドリル』と言うポケモン名に関しては、ちょっと狭い範囲で幾度も使われ過ぎてるきらいはあったかな? 『親鳥』とか『くちばしポケモン』とか、別の表現を混ぜても良かったかも。後、母親について殆ど全く触れられてなかったのも気になりました。
 ……まぁ此方は、物語の展開や内容に直接関係が無かった訳ですから、無理に触れる必要も無いのですけれど。
 決して大きなテーマではないのですが、人とポケモンそれぞれの親子が柔らかなタッチで描かれた、心地良い余韻の残った一作です。 
クーウィ


 後半(オニドリル辺り)はそこそこ好きなんですが、前半が……。とにかく一つ。
 おい、会話しろよ。(CV:蟹)
 会話がキャッチボールしてないような、ただの打ちっぱなしのような気がします。ちゃんとレスポンスしてください。こういうのをテレビ局などでは放送事故と呼びます。
 あとこの主人公は情緒不安定? たぶんこの調子じゃ新しいお父さんとまた馴染めないとか抜かしそうですが……。
 それと気になったのが、根拠のない文章の多さ。>>何故だかわからなかったが、僕は少しだけすぐに部屋を飛び出す勇気が出た気がして、 書いてる側が分からないのに読んでる側が分かるとは考え辛い。この勇気が出るシーンは後の展開につながるための大きな要因であるためその粗雑さが大いに目立ちます。書くのめんどくさいからって丸投げはやめていただきたい。
>小さな土産物屋やベンチもあるが、山に来てベンチはないだろう なんで? むしろ疲れているならベンチで休むべきだと思います。
 他にもいくつか気になりました。とにかく、何か気持ちを抱く、行動をするには何かしらの理由があるはずです。それを大事にしてほしい。以下はそれ以外の突っ込み。
>こんないつもは感じないことを感じてしまうのだ。
 とかいいながらさっきからスナオが可愛いって何回言ってるんすかー。まったくいつも通りにしか見えません。 それとタイトルに鏡ってありましたがこの鏡は何を指してるのでしょうか。
 題材や後半部分の話は良かったと思うので、もっと描写を磨いていただければ化けるかな?
でりでり

☆☆☆
<作品情報>
テーマ種別 →タマゴ・鏡作品タグ →【物理的なタマゴ】【論理的な鏡】【家庭環境】【少年】【優しい光景】
ポケットモンスターシリーズの二次創作としての意義 →問題ないレベルに達している。
テーマの消化度合い →シンプルな構成ながら、両方のテーマが無理なく消化されている。
<講評>
 ストーリー自体は、タマゴの孵化が少年の心に変化をもたらすという何気ないものなのですが、新しいお父さんを前にした少年の微妙な心境・見知らぬ土地に迷い込んだ少年の不安・孵化したポッポを優しく包み込むオニドリル・オニドリルの睨みに父への想いを巡らす少年など、見所が豊富な作品になっていると感じました。ポッポとオニドリルの様子が、少年と彼の家族とを鏡のように対比させる構図になっているのは、二つのテーマをこれ以上なく自然に融合させた美しい構成だと思います。最後の地の文が「新しいお父さん」から「お父さん」に、「マサシ君」が「マサシ」にさりげなく変わっていたのが実に心憎い。しっかり背景を考えている様子が伺えます。 わずかながら誤字が見受けられた点(オニドリル、が一箇所間違っていました)が少し残念ですが、それを踏まえてもこの評価は覆りませんでした。今後の更なるご活躍に期待しております。
586


 新しい父親になじめない主人公の葛藤が良く描かれた心理描写がいい。でも、この物語ならタイトルはむしろ鏡より卵を生かすべきだったのではという気も。
>口に出してから、ハっとする。「はっと」もしくは「ハッと」では。
>僕を守って、あのオリドリルのようにしてくれるだろうか。「オニドリル」で。
サトチ

☆☆
 選んだ題材がよかったと思う。おとなしい感じなんだけれど、なんというか応援したいなあって思わせる作品だった。 うまく会話できないところ、前のお父さんと山に行ったことをしゃべってしまってああ、どうしようって焦ったり。ここのところはなんかこう個人的に覚えがあってあーあるよあるよ、そういうのあるって思った。(友達関係でもあるよね、こういうの)実は息子が馴染めなくて旅立っちゃうんじゃないかとハラハラしてた新お父さんがかわいい。とりあえずポッポとオニスズメを暖めるオニドリルに萌えています。これさ、ポッポの巣に生まれたオニスズメじゃないところがポイントだよね(笑)。 題名は、お題を意識しすぎて無理してしまった感がある。もう少し自由につけていいのではないだろうか。 それと、ポッポとオニスズメの容姿の違いやライバル関係的なところなどを描写、説明するとよかったと思う。以前テレビでみたんだけど、本で読んだんだけど、のような感じでいいので。主人公と重ね合わせるなどすれば書きようによっては相応の演出効果が期待できると思う。どうせみんな知ってることだから、とは思わないこと。
お題:タマゴ+鏡
タグ:一人称、家族、お父さん、デリバード、ポッポ、オニスズメ、オニドリル、個人的特別賞
地方:カントー
死亡:なし
No.017

☆☆
 テーマ、素材、舞台もろもろ、どれもいい。例えばお母さんが出てこないとか、前のお父さんはどうしたのか、そういう余計なことを考えずにテンポよく読めるあたりがいい。 “曲がりくねった山道が、まるで僕のように感じられる。”などは、舞台と作中主体の心情をマッチングさせていていい。もう少し風情のある言い方もできる気がするけれど、作中主体がまだ小さな子どもだと思うと、やはりこれでよかったのだろう。 ポッポの生まれるパートはやや物足りない。雛がかえる最初の鳴き声はどうだったのだろう。強く鳴いたのだろうか。おそらくオニドリルは雛の鳴き声で巣に戻ったのではないだろうか。オニスズメらはどんな反応をしたのだろう。 オニドリルの巣にポッポが生まれた驚きを、もっと強く表現できたらよかった。
渡邉健太








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