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Subject ID:
#117202
Subject Name:
未知のノイズ復号器
Registration Date:
2007-02-21
Precaution Level:
Level 2
Handling Instructions:
機器#117202はジョウト地方キキョウシティ第七支局の中異常性物品保管庫に収容し、70cm×120cm×90cmの鉛製金庫に保管してください。機器#117202は常に活性化した状態であり、非活性化する方法は確認されていません。このため、事前承認を受けた実験目的以外での持ち出しは一切禁止されています。
機器#117202を使用して得られた音声記録(音声記録#117202)は記録日時順に整理して保管します。音声記録からテキストへの書き出しは、当局が保有する音声認識装置を使用して自動的に行われます。音声記録の解析に際しては、耐ミーム侵襲機構を備えた専用端末を使用しなければなりません。解析結果はサマリーとしてまとめ、インデックス化して保管してください。
Subject Details:
案件#117202は、ある特定の波長を受信することにより未知の音声記録を再生する携帯ラジオ型機器(機器#117202)と機器#117202により生成された音声記録(音声記録#117202)、及びそれらに掛かる一連の案件です。
機器#117202が発見されたのは2007年初頭のことです。ジョウト地方キキョウシティ第七支局に、キキョウシティ南方にある古代遺跡群「アルフの遺跡」の管理担当者から「八日間の無断欠勤をした職員の家から、不審な声が聞こえてくる」との通報が寄せられました。警察当局とともに局員が当該職員の自宅へ踏み込んだところ、死後三日程度が経過したと推定される職員の遺体と、雑音の混じった音声を再生し続けているラップトップPC、そして機器#117202が発見されました。職員は手首を大型のカッターナイフで切り裂いており、自殺したものと推定されています。司法解剖の結果は失血死で、特段の異常は見られませんでした。
機器#117202は外見上黒い携帯ラジオに見える機器ですが、過去に製造された携帯ラジオと一致するモデルは存在しません。イヤホンジャックに加え、底部にUSB1.1のポートを一つ備え付けています。USBポートは少なくとも128GBまでの外部記憶媒体を認識します。外部記憶媒体以外のUSBデバイスは認識されません。表面は一般的な携帯ラジオ機器と一致する外観をしていますが、既知のあらゆるラジオ放送を受信することができません。機器には接合部が確認できず、またネジ止めがされた部位も存在しないため、非破壊での分解検査は未だ実施できていません。製造元を示す刻印やラベルは存在しませんでした。
職員の自宅からは機器#117202を使用して記録されたと推定される65の.mp3形式の音声記録#117202と、職員が独自に調査した機器#117202の使用方法に関するメモが発見されました。メモからは、機器#117202は古代遺跡群「アルフの遺跡」でのみ放送の受信が可能であること、機器#117202は外部記録媒体への記録を自動的に行うことが確認されました。これは当局がのちに実施した機器#117202に対する試験の結果とも一致するものです。
機器#117202は古代遺跡群「アルフの遺跡」の圏内(詳細な認識範囲については、資料A-117202-3を参照してください)に持ち込むことにより、数秒から数時間のランダムな時間に渡って音声記録#117202を作成し、セットされた外部記録媒体へ書き込みます。一度音声記録#117202を作成した後は、一度アルフの遺跡の圏外へ出なければなりません。圏外へ出た後再度圏内へ入ることで、新たな音声記録#117202が作成されます。音声記録#117202は.wavのフォーマットで作成され、取扱方法については一般的な.wavフォーマットのファイルと変わりません。
アルフの遺跡では、一般的なラジオ機器が不明な理由により一切使用できません。これはアルフの遺跡全域で検知される未知の妨害電波(案件#53802「遺跡の妨害電波」として案件登録済)によるものであることが分かっています。機器#117202はこの妨害電波を受信し、本来の放送に復号しているのではないかという仮説が提唱されています。しかしながらその放送は著しく一貫性に欠け、その大部分が何らかの異常性を内包しています。このことから、機器#117202は案件#53802で管理されている妨害電波をトリガーとして、内部で新たな音声を生成している可能性も否定できません。
押収された音声記録#117202、及び当局が新たに作成した音声記録#117202の抜粋は下記の通りです:
[音声記録#117202-1]
記録日時より、機器#117202が活性化されてもっとも初期に記録されたと考えられる音声記録。記録時間5分46秒。十代前半と思しき少女の「誰か聞こえる人はいますか」から始まり、何者かに監禁されていること、発言者から見て外の世界で大規模な災害や紛争が発生していることが切迫した声で語られている。自身の身の上を述べている最中(この時点で発言者の名前が「ひとみ」であると判明)、何者かが巡回しにきたとの発言を残して記録が終了する。自殺した職員は、この音声記録を聞いたことが発端となって音声記録の収集を開始したものと推定されている。
[音声記録#117202-8]
ガラスの割れる大きな音が記録されている。記録時間7秒。
[音声記録#117202-11]
2008年11月17日時点のカントー証券取引所における26銘柄の株価。記録時間3分13秒。実際の株価との符合性について、将来的に調査が行われる予定。(2008-11-17追記)音声記録#117202-11でアナウンスされた株価は、1銘柄を除いて完全に一致していたことが判明。唯一不一致だった銘柄は、銘柄コード7974で管理される大手ゲーム会社のもの。不一致となった理由は不明。
[音声記録#117202-14]
2002年よりサービスを提供しているMMORPG「ファイナルファンタジーXI」におけるゲーム中イベントの再現音声。記録時間7分21秒。アペンドディスクの一つ「アトルガンの秘宝」を導入することでプレイヤーが攻略可能になるイベント「キモいから名前で呼ぶな」(※原文ママ)が該当。ゲーム中のテキストに概ね一致する形で音声が収録されているが、登場人物の一人「Iruki-Waraki」の性別が女性であることを前提としてシーンが展開されている。「Iruki-Waraki」は本来男性であり、また「Iruki-Waraki」の種族は男性と女性で名前の命名規則が厳格に異なっている設定がゲーム世界の中で一貫して存在するため、矛盾が生じている。
[音声記録#117202-17]
1962年のアメリカ映画「戦艦バウンティ」の吹替版音声。記録時間179分32秒。当該映画作品がこれまでに吹替版として公開された記録は存在しない。現在確認されている中で最長の音声記録。本来.wavフォーマットは4GBのファイルサイズ制限があり、記録時間から考慮して記録不可能と推定されているが、この音声ファイルはファイルフォーマット変換を除く一切の編集が行われておらず、一度の録音で作成されたと考えられている。ソースとなる.wavフォーマットのファイルが削除されているため、この件についての検証は現在保留中となっている。
[音声記録#117202-22]
何かを泡立てる音。記録時間38秒。ヒアリングした局員の証言から、子供がストローを通じて飲み物に空気を吹き込んでいる時の音ではないかとの仮説が提示されている。
[音声記録#117202-26]
未知のシステムインテグレータ会社で開催されたと推測される定例会の様子を記録した音声。記録時間32分49秒。最初の15分55秒で報告が行われたのち、残りの時間で前者で取り組んでいるとされるプロジェクトについての討議に入っている。討議の最中、頻繁に「スピリチュアル開発モデル」という単語が登場する。「スピリチュアル開発モデル」なる開発手法がこれまで提唱された記録は存在しない。
[音声記録#117202-28]
午後28時67分98秒を告げる時報。記録時間12秒。
[音声記録#117202-31]
ガラスの割れる大きな音が記録されている。記録時間6秒。音声記録#117202-8とは音が異なっている。
[音声記録#117202-37]
音声記録#117202-1の発言者である「ひとみ」による2度目の音声記録。記録時間4分12秒。音声記録#117202-1の記録時点より状況が悪化しており、食料の配給も滞りがちになっていること、既に消滅した国家が複数存在することなどが切迫した口調で語られている。「ひとみ」のいる世界にも携帯獣がいることが示されたが、何らかの理由によりあらゆる携帯獣が人類に敵対し、人類と戦争状態にあるとしている。「ひとみ」はかつてポケモントレーナーとして活動していた、というところで不意に音声が途切れている。
[音声記録#117202-42]
1962年のスティーブ・ローレンスのシングル曲「ゴー・アウェイ・リトル・ガール」の音声記録。記録時間2分22秒。収録後10秒間の空白があり、波形を見ると何らかの微弱な音声が記録されていると思しき形跡が見られる。
[音声記録#117202-45]
テレビ放送の砂嵐を記録したと思われるノイズの音声記録。記録時間16分38秒。別の音声が重複している可能性が指摘されているが、詳細の特定には至っていない。
[音声記録#117202-52]
176回に渡って繰り返される「あなたの助けが必要です」という呼び掛けの音声記録。記録時間24分51秒。呼び掛けはすべて異なる声色・調子で行われており、一部人間には発音が困難な極端な高音域・低音域のものが含まれている。どのような助けが必要なのかは語られていない。
[音声記録#117202-58]
1971年のダニー・オズモンドのシングル曲「ゴー・アウェイ・リトル・ガール」の音声記録。音声記録#117202-42と同一の楽曲だが異なるバージョンのもの。記録時間2分52秒。音声記録#117202-42同様に収録後10秒間の空白があるが、こちらの音声記録の波形データは完全な無音となっている。
[音声記録#117202-65]
音声記録#117202-37に続く「ひとみ」による音声記録。ただ一言「家に帰りたかった、死にたくなかった」とだけ記録されている。記録時間12秒。自殺した職員が最後に作成した音声記録。
[音声記録#117202-66]
ラジオ番組「ポケモンチャンネル」の一部と推定される音声記録。記録時間24分16秒。本来はラジオパーソナリティの「クルミ」がゲストを迎えてインタビューをする形式のトーク番組であるが、当該記録では未知のラジオパーソナリティの「ノエル」がクルミをゲストとして扱う形で番組が進行している。この点を除いては、番組は本来のフォーマットに忠実に沿う形で進行する。機器#117202が当局の収容下に置かれてから初めて作成された音声記録。
[音声記録#117202-74]
合成音声で「TO BE SORRY」とたどたどしく読み上げられた音声記録。記録時間9秒。
機器#117202を保有していた職員の自殺は、音声記録#117202-1、同-37、同-65で発言者として登場した少女「ひとみ」を救うことができなかったためと見られています。一般的な抑鬱状態に起因するものと判断されたため、職員の自殺そのものは異常性のない事案とし、本案件の管理対象外となりました。
Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。
Subject ID:
#105833
Subject Name:
廃棄された施設
Registration Date:
2003-07-16
Precaution Level:
Level 1
Handling Instructions:
施設#105833の周囲、半径500mは「人体並びに携帯獣に対し有毒性のガスが充満している」とのカバーストーリーが流布され、周囲に当局と無関係な市民が侵入しないための施策が取られています。施設#105833周辺は物理的に進入が困難であり、警備は最小限に止められています。かつて施設#105833内部からは種々の通信を妨害する電波がごく狭い範囲に対し発信されていましたが、現在はすべて停止しています。施設#105833内は既に全域の探査が完了しており、案件担当者は作成済の地図を適切なセキュリティクリアランス保持者に提供することが許可されています。
施設#105833は既に全セクションが稼働を停止しており、異常なオブジェクトが生産されることはありません。施設#105833にて収集されたすべての情報はアーカイブされ、対応するセキュリティクリアランスを保持する局員であれば内容を閲覧することが許可されています。施設#105833より回収された非異常のオブジェクトは、ホウエン地方フエンタウン第二支局に隣接する低異常性物品保管庫のブロックB-6の耐火性金庫に集積されています。オブジェクトを研究目的で使用したい場合、案件担当者並びに拠点監督者から事前の許可を得てください。
本稿執筆時点における当案件の対応方針は、かつて施設#105833を制御していたと思われるサーバーコンピュータ群(機器#105833に指定)の捜索に焦点が当てられています。機器#105833は施設#105833内の全機能を制御していたと考えられ、その性能について強い異常性の疑義が呈されています。機器#105833が破壊された有力または完全な証跡が発見されるか、機器#105833を当局が確保するかのいずれかの条件が満たされるまで、本案件は警戒レベル「1」のまま保持されます。
Subject Details:
案件#105833は、稼働を停止した工場と見られる施設(施設#105833)と施設#105833に設置されていたと推定されるサーバーコンピュータ群(機器#105833)、及びそれらに係る一連の案件です。
施設#105833は2003年5月初頭に当局のフィールドワークチームによって発見され、初期調査により種々の異常性が見られたことから速やかに当局の管理下に置かれました。本来の土地所有者とは連絡を取ることができませんでした。少なくとも五年以内に人間や携帯獣が立ち入った形跡がないことから、施設#105833は放棄されて相当な時間が経過しているものとの推測が立てられています。
施設#105833はホウエン地方フエンタウン北部の山間部に建造された、由来及び目的が不明の工業施設です。施設#105833は山林の奥地に存在し、周囲約700m×700mはすべての木々が伐採されています。地上3階建て、地下6階建ての構造をしており、内部探査により完全な地図が作成されています。一部区域では設備の不良により人体及び携帯獣にとって有毒な物質が漏洩しているため、探査に際してはレベル3対バイオハザードスーツの着用が義務付けられます。
地上部分は事務作業並びに軽作業を行うためのフロアとなっており、休憩室や仮眠室と見られる部屋も確認されています。地上1階部分には「サーバールーム」と表札の付けられた部屋が存在しますが、該当する部屋はすべての機器や用具が撤去されており、サーバーコンピュータの存在は確認できませんでした。事務作業を行うフロアには複数台のコンピュータ端末が残されていましたが、それらはいずれも物理的に損壊されており、またすべての筐体からハードディスクドライブが抜き取られていました。
地下部分は合計26のセクションに分かれています。セクションごとに形状の異なる鋼製の部品を製造していた形跡が見られます。全26セクション中15のセクションからほぼ完全な部品が回収されていますが、部品を組み合わせた最終的な完成形がどのようなものかは明らかになっていません。回収された部品の量から、最終製品は量産を前提として設計されていたことが伺えます。これまでのところ、施設#105833から回収された部品が使用された製品が市場に流通した記録はありません。
地下6階に存在する大広間は、発見時に入り口となるドアがロックされていた唯一のフロアです。位置及び周辺の証跡から、高セキュリティエリアと推定されるセクションになっています。内部には合計52台の培養カプセルが存在し、その全台が破壊されていました。カプセル内部には白骨化した携帯獣の遺体(遺体#105833-1から-52と指定)が残されていました。遺体#105833の種族特定はすべて完了しています。詳細はリストL-105833-4を参照してください。遺体#105833の中に同一の種族は存在せず、また同系統の種族も存在しませんでした。分類や本来の生息地にも規則性は確認されていません。カプセルは中央に存在する大型の装置にケーブルで接続されていますが、装置は人為的に破壊されています。破壊するにあたり、小規模な指向性爆薬が使用されたものと推定されています。携帯獣を収容していたカプセルがどのような機能を果たしていたのかは分かっていません。
内部の配線を辿ると、最終的にすべてのケーブルが地上1階のサーバールームへ接続されていることが分かります。このことから、サーバールームに配置されたコンピュータが施設#105833全域を制御していたものと考えられています。サーバールームには物理的破壊の痕跡が見られないため、何者かがサーバールームに存在した機器を持ち去ったことが示唆されています。施設#105833に関する情報が含まれる可能性が高いことから、当局ではサーバーコンピュータ群を機器#105833と指定し、現在も捜索を続けています。
[2016-02-15 Update]
イッシュ地方ライモンシティ中央図書館の書庫に所蔵されていた書籍に、施設#105833より回収された部品群とすべて合致する特徴を持つ携帯獣のイラストが収録されていることが確認されました。書籍には携帯獣の正式な名称は不明であるとしつつも、人間の手で製造された古代の携帯獣であるとの説明が記載されています。書籍の著者とコンタクトを取る試みが続けられています。
Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。
Subject ID:
#87749
Subject Name:
凍れる望遠鏡
Registration Date:
1997-10-22
Precaution Level:
Level 4
Handling Instructions:
オブジェクト#87749-1から-12は所定の拠点へ分散して保管し、いずれも110cm×71cm×175cmの高セキュリティ金庫へ個別に保管しなければなりません。複数のオブジェクト#87749を同一の拠点に保有することは固く禁じられています。オブジェクト#87749についてこれ以上の実験を行うことは、生態系へ少なからぬ悪影響を及ぼす可能性があるため、裁定委員会による承認がない限り許可されません。
新たなオブジェクト#87749が発見された場合に備え、担当者には強制的にオブジェクト#87749を接収するための公的な権限が与えられています。所有者がオブジェクト#87749の接収指示に従わない場合、担当者の判断により拘束することが認められています。拘束した所有者については、標準手続に基づき別途ヒアリングを実施してください。
Subject Details:
案件#87749は、特定の条件を満たすことである種の携帯獣を無制限に生成できると考えられている由来不明の望遠鏡(オブジェクト#87749)と、それにかかる一連の案件です。
オブジェクト#87749が初めて発見されたのは、1997年6月上旬のことです。カントー地方セキチクシティ東部に位置するゲートの2階に設置されていた望遠鏡のうちの一台について、セキチクシティ在住の市民から当局へ問い合わせが行われました。局員が現場へ出向き、オブジェクトの性質について初期調査が行われました。問い合わせ内容とオブジェクトの性質の一致が見られたため、局員は望遠鏡を回収しました。
オブジェクト#87749は、外見上ニコン社製の観光望遠鏡「20×120」と一致する大型の望遠鏡です。道路間に設けられたゲートなどに数多く設置され、ほとんどの場合百円硬貨を一枚投入することで一定時間利用することが可能になっています。オブジェクト#87749を視認すること、通常の手順に沿ってオブジェクト#87749を望遠鏡として利用することによる対象者への影響は見られません。これは対象者が人間の場合も、携帯獣の場合も同様です。
オブジェクト#87749が異常性を示すのは、利用者によってオブジェクト#87749を通して「西の空」が観察された場合です。条件を満たした場合、利用者はオブジェクト#87749を通して、携帯獣の一種である「フリーザー」が空を飛んでいく場面を目撃します。望遠鏡を覗き込んだ季節や時間帯によらず、オブジェクト#87749を通して西の空が観察された場合、必ずフリーザーが出現します。
このフリーザーはすべて別個体であり、オブジェクト#87749が条件を満たす度に新たな個体が出現します。個体間につながりは見られず、また相互に連携する様子なども見られません。フリーザーがいかなる場所から出現しているのかは不明です。ヘリコプターを用いた出現地点の観察実験では、いずれもヘリコプターが出現を確認できない地点からフリーザーが現れる結果をもたらしました。野生のフリーザーが何らかの理由によって呼び寄せられているのか、オブジェクト#87749が新たに生成しているのかは、未だ結論が出ていません。
出現したフリーザーは非異常性の存在であり、当局により捕獲されたすべての個体は何ら不審な点を示しませんでした。情報化した後に行われた完全スキャンは、フリーザーが一般的な個体と比較して異常でないレベルの差異しか検出できません。このことから、オブジェクト#87749に関連して出現するフリーザーそのものについては、案件管理の対象外とする判断がなされました。
フリーザーは出現と同時に周囲の気温を低下させる性質を持ち、活発な活動は近隣の寒冷化を招くとの研究結果があります。オブジェクト#87749の使用を繰り返してフリーザーが大量に出現され続けた場合、最終的に寒冷化が地球全土に及ぶ可能性が示唆されています。生態系へ重大な影響をもたらす虞があることから、当局ではオブジェクト#87749の危険度を「Level 4」と設定し、オブジェクト#87749の同型機の回収を進めています。当局の活動により、その後11台のオブジェクト#87749が回収されました。これらはナンバリングされ、個別の拠点にて保管されます。
オブジェクト#87749によって出現し、捕獲されることなく野生化したフリーザーについては、その出自を特定する方法が見つからないことから、取扱いについて保留されています。将来的な対応方針についても未定のままです。
Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。
Subject ID:
#119474
Subject Name:
ふうせんの歌声
Registration Date:
2007-11-11
Precaution Level:
Level 5
Handling Instructions:
これまでのところ、事象#119474を止める手段は見つかっていません。事象#119474は事前の観測が困難であり、発生した場合極めて高い確率で大規模な航空機事故を誘発します。事象#119474が観測された場合、対象となった航空機が取ると考えられる進路を可能な限り精緻に予測し、被害の規模を最小のものとするための措置を取らなければなりません。この措置に当たっては、当局の保有するあらゆる人的/物的資材の投入が許可されます。案件担当者は自身の判断により、超法規的措置を取る権限も与えられています。
事象#119474が発生する可能性がある地域(エリア#119474)は、現時点では限定的です。エリア#119474に於けるすべての航空機は当局の監視下に置かれ、事象#119474の発生に際して迅速な対応を取るための態勢が敷かれています。外部からの航空機によるエリア#119474への進入は、いかなる理由があろうとも例外なく禁止されています。
Subject Details:
案件#119474は、大規模な航空機事故を引き起こす未知の事象(事象#119474)と、事象#119474が観測される領域(エリア#119474)、及びそれらに係る一連の案件です。
当局が事象#119474の存在を観測したのは、2007年7月に発生したイッシュ地方北部での航空機事故に於いてです。スカイエア253便墜落事故として知られるこの事故では、事故現場から回収されたボイスレコーダーに何らかの異常性があるとの疑義が調査担当者より掛けられ、事故調査委員会から当局への照会が行われました。当初は異常物品を担当するチームがボイスレコーダーの調査を行っていましたが、調査の過程でボイスレコーダーの機器そのものではなく、記録された音声に異常性があるとの結論がくだされました。
スカイエア253便墜落事故では、パイロットと航空管制官が最後に通信を交わしてから約40分後に機体が墜落しています。その間、航空管制官は複数回に渡ってスカイエア253便のパイロットを呼び出していますが、パイロットからの応答はありませんでした。ブラックボックスから回収されたフライトレコーダーからは、スカイエア253便のすべての機能が墜落の瞬間まで正常に動作し、墜落の直前にはパイロットに繰り返しアラートを発していたことが分かっています。これらの証跡から、スカイエア253便墜落事故は機器トラブルや管制エラーではなく、パイロットに何らかの異常が生じたことが原因であるとの仮説が立てられました。
当局がボイスレコーダーに記録された音声を情報学的に分析した結果、人間の可聴域の範囲外で特異な波長が検出されました。音声の標本パターンとの照合により、波長は携帯獣の「プリン」が発する特殊な鳴き声と一致することが判明しました。この鳴き声は、一般的な人間や携帯獣にはプリンがあたかも歌唱しているかのように聴き取れることから、一般的には鳴き声ではなく「歌声」として認識されています。
プリンの歌声には、人間や携帯獣に対し強い催眠作用をもたらす効果があることが知られています。プリンが持つ技術に依存しますが、能力の高いプリンの歌声が齎す催眠の効果深度は非常に深く、些細なことでは覚醒を促すことはできません。スカイエア253便のボイスレコーダーからプリンの歌声と一致する波長が検出されたことは、スカイエア253便のフライト中に何らかの理由でプリンの歌声が流れたことを意味します。乗員乗客全員が深い睡眠状態に陥り、結果として機体の墜落を招いたと見られています。
スカイエア253便が飛行していた航路は航空機事故が多発していることで知られており、そのほとんどが原因不明のまま、航空機パイロットのヒューマンエラーによる事故として処理されていました。当局は過去に発生した事故記録の提出を各航空会社へ要請し、そのうちの幾つから肯定的な回答及び事故記録の提出がなされました。スカイエア253便の事故と同様の調査を行ったところ、調査を行ったケースではいずれもボイスレコーダーから同様の波長が検出されました。これをもって、当局は波長の発生を事象#119474と定義し、イッシュ地方北部に於ける原因不明の航空機事故の大半が事象#119474によって発生していると結論付けました。案件立ち上げが決定され、担当者が割り当てられました。
当局の調査と並行して進められていた事故調査委員会による現場検証により、スカイエア253便の墜落現場付近から複数のゴム風船の残骸が回収されました。乗客の手荷物にゴム風船は含まれていなかった可能性が高いこと、事故現場から半径200m以内で散発的に発見されたこと、大部分が焼失せず原型を止めていたことから、ゴム風船はスカイエア253便に積載されていたものではないとの判断が示されました。ゴム風船そのものは、異常性のない一般的な製品と同等のものです。
スカイエア253便墜落事故の現場から回収されたゴム風船がいかなる意味を持っているのか、現時点では当局による統一的な見解は出されていません。しかしながら、過去に近隣で発生した航空機事故について、一部の現地住民から「事故が起こる一時間ほど前、人気のない場所から大量の風船が空に向かって飛んでいく光景を見た」との証言を複数得ています。この事象が事象#119474の前兆現象であるとの仮説が立てられています。
Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。
Subject ID:
#111846
Subject Name:
スペシャリスト・メーカー
Registration Date:
2006-06-07
Precaution Level:
Level 3
Handling Instructions:
機器#111846は起動に必要な装置を取り外された状態で、シンオウ地方トバリシティ第七支局の中異常性物品保管庫のブロックB-4に保管されています。当該ブロックには人間の局員のみが立ち入り可能であり、携帯獣の局員は一切の例外なく進入が禁止されています。機器#111846と共に回収された文書#111846に関しては異常性が確認されなかったため、携帯獣の局員を含む案件担当者及びセキュリティクリアランスを得た局員について参照することが許可されています。携帯獣#111846については-1から-74までのナンバリングが設定され、すべてについてモンスターボールからの解放禁止措置が為されています。
機器#111846の製造元と思われる「扶桑電機工業」についての調査が進められています。かつてアムリタ・ファウンデーションに所属していた構成員より、同団体が「扶桑電機工業」と名乗る要注意団体と接触を持っていたことが明らかになっています。アムリタ・ファウンデーションは機器#111846を使用して別の異常なオブジェクトを生成している疑いが持たれており、扶桑電機工業と共に一部の案件について関連があるとの見方が示されています。
Subject Details:
案件#111846は、携帯獣の身体機能・精神機能を広範に作り替える機能を備えた由来不明の機器(機器#111846)、機器#111846の影響を受けたと推定される74体の携帯獣(携帯獣#111846)、並びに機器#111846のマニュアルと思しき文書(文書#111846)、及びそれらに掛かる一連の案件です。
2006年3月16日、シンオウ地方トバリシティ近隣にて不審なプレハブ小屋の存在が確認され、翌3月17日に警察当局と共に強制捜査が行われました。プレハブ小屋からは携帯獣の格納された多数のモンスターボール/スーパーボール/ハイパーボールと共に、電源が取り外され稼働停止した状態の機器#111846が発見されました。ボール群及び機器#111846はその場で押収され、プレハブ小屋と共に当局の管理下に入りました。
機器#111846は、ポケモンセンターに配備されている携帯獣回復装置(「リカバリーマシン」として知られています)と類似した構成の大型機器です。稼働には外部電源を必要とし、通常のリカバリーマシンより容量の大きなACアダプターが取り付けられています。ACアダプターは構造上一般的なものと大きな差異は見られませんが、製造元の刻印が人為的に潰された形跡があります。機器#111846の正面には「FUSOU」と赤いセリフ体でデザインされたコーポレートロゴと思われるシールが貼付されています。
同時に回収された文書#111846には、機器#111846は「スペシャリスト」を製造するための機器であることが記されています。携帯獣が格納されたモンスターボールをセットし、文書#111846に記載された数字17桁のコードを入力することにより、携帯獣を「スペシャリスト」に変換することが可能であることが示されています。モンスターボールは同時に6つまでセットすることが可能です。また、モンスターボールと互換性のある携帯獣格納デバイスはすべて処理可能であると推定されています。
文書#111846には、目的に沿った「スペシャリスト」を製造するためのコードが計317種掲載されています。文書#111846の末尾には「追加サポート」として、文書#111846に掲載されていないさらなる「スペシャリスト」を製造するためのコード集を別料金で提供する旨の記載が見られます。連絡先として複数の営業所の電話番号が記載されていましたが、当局の調べによりこれらの番号が現在は使われていないことを確認しています。
文書#111846に従って機器#111846を操作すると、携帯獣#111846が生成されます。機器#111846及び文書#111846の回収時に合わせて回収されたモンスターボールに格納された携帯獣は、その後の調査によりすべて携帯獣#111846であることが判明しました。これらの携帯獣は概ね野生の個体と推測されますが、一部については過去に盗難届または失踪届が出されたトレーナー所有の携帯獣である可能性が示唆されています。
携帯獣#111846について情報学的検査を行った結果、ある程度の規則に基づく異常性が確認されました。すべての携帯獣は思考を行う器官、人間で言うところの脳に相当する器官が極度に萎縮しています。これは携帯獣が自発的な行動を起こすことを防止するために執られた人為的な措置と考えられています。携帯獣#111846-1から-74は例外なく、最低限の生命維持のための行動と、後述する特異な行動を除き、一般的に期待される種々の行動を取れないか、または取ることができません。
携帯獣#111846-1から-74は、各々の個体ごとに何らかの「技能」を身に着けています。例として、携帯獣#111846-16は外見上携帯獣の「プリン」ですが、一般的なプリン個体が習得し得ない高度な研削加工技術を習得しており、必要な器具/機器を与えることで数世代前の工業機械並の精度と速度で平面研削を行うことが可能です。以下は携帯獣#111846の個体と、それぞれが習得している技能の抜粋です:
[携帯獣#111846-7]
種族:チラーミィ
技能:被覆アーク溶接の技能。産業機械の溶接に特に能力を発揮。技能の発揮にはバッテリー式の溶接機を必要とする。
[携帯獣#111846-22]
種族:マダツボミ
技能:オブジェクト指向言語によるプログラミングの技能。C++のテンプレートメタプログラミングに特化し、同言語及びテンプレートメタプログラミングが許容される開発環境では極めて高い生産性を発揮。他の言語については本来の技能を発揮できず、習熟した人間にやや劣る程度の生産性に留まる。
[携帯獣#111846-24]
種族:サンド
技能:魚介類の調理技能。特に魚類を捌くことに特化している。手元に精巧に研がれた包丁が無い限り動こうとしない。条件を満たした場合、工業機械による処理と同等の生産性を発揮する。
[携帯獣#111846-28]
種族:マリル
技能:携帯獣#111846-28と同一の技能を保持。異なる種族の携帯獣であっても、入力されたコードが同じであれば同一の技能が割り当てられると推測。
[携帯獣#111846-45]
種族:エイパム
技能:塗装に関する技術を習得。一般的なプレハブ小屋程度の大きさの建造物であれば、凡そ20分で塗装を完了する技術を持つことを確認。エイパムは通常手先より尻尾の方が繊細な動きが可能であることが知られているが、当該個体は尻尾は一切使用しない。
[携帯獣#111846-63]
種族:パチリス
技能:小型電子機器の修理に関する技術を習得。確認された修理可能な機器のリストはリストL-111846-63-1を参照。修理された結果、機器が本来備えていない機能が追加されるケースが確認されている。
機器#111846による変換を受けた携帯獣は、その多くが種族的な特徴を喪失する傾向にあります。携帯獣#111846-63は外見上パチリス個体ですが、本来のパチリスが備えている発電・蓄電に関する能力が完全に失われています。これは機器#111846が「スペシャリスト」を生成するに当たり、不要と判断した能力を除去しているものと見られています。
確認された携帯獣#111846はいずれも四肢またはそれに類する器官を備えています。この事は携帯獣#111846に変換可能な携帯獣の種族が限定されている可能性を示していますが、これを裏付ける証跡は得られていません。
[2006-09-11 Update]
かつてアムリタ・ファウンデーションに所属し、当局に保護を求めて出頭した元構成員から本件についての証言が得られました。同団体は機器#111846を使用し、食用に特化した性質を持つ携帯獣#111846を生産していたとのことです。機器#111846にてオリジナルとなる個体を生成したのち、別の機器を使用して当該携帯獣#111846を大量に複写したと証言しています。証言の内容から、この携帯獣は案件#107063で取り扱われているカモネギであると見られています。
Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。
Subject ID:
#121861
Subject Name:
美味しいみず
Registration Date:
2008-08-13
Precaution Level:
Level 2
Handling Instructions:
飲料水#121861は一般的な自動販売機に装填され、異常性の無い商品と混在する形で販売されているケースがほとんどです。市民に対し、飲料水#121861は毒性があるため危険であり、発見した場合は速やかに最寄りの管理局まで届け出るよう、各種メディアを通じて繰り返し呼び掛けています。窓口を通じて回収した、あるいは通報によって自動販売機から接収した飲料水#121861については、必要なサンプルを取得した後手順M-121861に基づいて破棄することになっています。
飲料水#121861の製造元を突き止める試みが続けられています。過去には要注意団体の一つである「アムリタ・ファウンデーション」が製造元であるとの疑義が持たれていましたが、別案件の調査の過程で同団体は本件に関与していないとの見解が示されました。かつてアムリタ・ファウンデーションの傘下にあり、現在は独立した団体となっている「ネクタール飲料株式会社」の関与が疑われています。
Subject Details:
案件#121861は、「美味しいみず」とラベリングがなされた製造元不明のペットボトル飲料水(飲料水#121861)と、それに掛かる一連の案件です。
2008年6月下旬、市民から「不審な飲料が販売されている」との通報がジョウト地方コガネシティ第六支局に寄せられたことにより、当局は飲料水#121861の存在を認知しました。通報のあった自動販売機は当局により接収され、貯蔵されていた飲料水#121861が回収されました。自動販売機については、本来販売されているべき商品が飲料水#121861に差し替えられていたことを除けば何ら異常性が確認されなかったため、ディスプレイ用のサンプルを正常な商品のものへ差し替えた後、所有者に返却されました。
ほぼ同時期、ホウエン地方第四支局の局員が提出した日報に「近頃『飲む人によって味が変わる飲料水』が販売されている、という噂が流れている」との記載が確認されました。局員にヒアリングを実施したところ、一部のソーシャルネットワーキングサービスにおいて「美味しいみず」とラベリングされた飲料水に関する話題があり、飲む度に味が変わるという情報が複数寄せられていたとのことでした。当該飲料水はジョウト地方コガネシティ第六支局が接収した飲料水と外見的特徴が一致しており、同一の案件であるとの判断がなされました。案件管理はジョウト地方コガネシティ第六支局に一本化され、本格的な調査に着手しました。
局員により実際に飲料水#121861を口にした市民からのヒアリングを実施され、飲料水#121861に関する概要が整理されました。
飲料水#121861は、ほとんどの場合自動販売機に貯蔵された状態で販売され、正常な飲料水を購入する場合と同様の手順で購入することができます。価格は同じ自動販売機に貯蔵されている異常性の無いペットボトル飲料と同額か、または10円低いかのいずれかに設定されています。他の商品より高額に設定されていたケースは確認されていません。飲料水#121861は自動販売機が扱う商品のベンダーを問わずに混入されますが、飲料水以外の自動販売機(食品・煙草・アイスクリームなど)に混入されたケースは未確認です。
外見上、飲料水#121861は一般的なミネラルウォーターとほとんど差異が見られません。透明な液体であり、炭酸ガスの封入は行われていません。ラベルには毛筆体で「美味しいみず」と書かれています。大手ベンダーが販売している「おいしいみず」(ひらがな表記)との類似性を意図した名称と推定されますが、パッケージのデザインは大きく異なっています。当局による検査では、一般的に市販されているミネラルウォーターと成分上の差異は確認できませんでした。
飲料水#121861を摂取した場合、その時口にした人物が「美味である」と感じるものを思わせるフレーバーが口の中に広がるとの証言が得られています。過去に確認された事例では、ミカン・メロン・バナナといった飲料水のフレーバーとして一般的に使用されるもののほか、イチジク・ザクロ・ライチ・キイチゴのような一般的とは言い難いもの、醤油ベースのラーメン・カレーライス・スパゲティペペロンチーノなど、飲料水のフレーバーとして用いられることのない食品の味がしたとの証言が得られています。これまでに確認されたフレーバーのリストは、リストL-121861-1を参照してください。飲料水#121861を口にした市民は、例外なく「美味である」と感じたと証言しています。
同じ容器に入れられた飲料水#121861を異なる人物が口にした場合、それぞれ個別のフレーバーが感じられるとの証言が複数得られています。これは飲料水#121861をペットボトルから別の容器へ移し替えた場合も同様です。この事から、飲料水#121861自体が何らかの作用によりフレーバーを変化させているのではないかとの仮説が提唱されました。
特異なフレーバーを持つことを除き、飲料水#121861そのものに顕著な危険性は確認されていません。ただし、飲料水#121861の味を気に入り、一度口にして以降飲料水#121861のみを飲み続けていた市民が複数名確認されています。これは飲料水#121861が何らかの依存性を有しているのか、或いは単に口にする市民の嗜好に働きかけた結果なのかは定かではありません。当局では依存性のある飲料であると分類しており、全局員に対して一切の摂取を禁止する措置を執りました。また各種媒体を通じ、飲料水#121861を口にしないよう働きかける情報活動を展開しています。
異常な性質を持つ食品を大量に拡散するという手法から、当初から要注意団体の一つであるアムリタ・ファウンデーションの関与が疑われていました。しかしながら、2008年8月初頭に警察機関と合同で実行されたシンオウ地方クロガネシティにおけるアムリタ・ファウンデーション保有施設への強制捜査により、同団体が飲料水#121861の製造・販売に関与しておらず、むしろ市場から排除することを望んでいることを示す無数の証跡が押収されました。押収した資料の中には、飲料水#121861について「ネクタール飲料株式会社」が製造元であるとの記載が成されているものも存在していますが、これが事実かは未だ見解が分かれています。しかしながら、本案件の調査を進める上で重要な情報であると認識されています。
ヒアリングを通じ、複数の市民から「飲料水#121861にはうっすらと紫色が掛かっているいる」との証言が得られています。当局の調査では、飲料水#121861は無色透明であり、何らかの着色が施されているとの結果は示されていません。飲料水#121861が一部の人間に対して軽度の視覚的な情報災害をもたらしている可能性が示唆されていますが、現時点ではこれを裏付ける証跡は得られていません。
Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。
未来のオレへ
知ってると思うけどオレは文章書くの得意じゃないし好きでもない。そのオレがなんでこんな手紙書くのかって言うと、オマエ、というか未来のオレがちょっとだけ心配だから。母さんはこの手紙は大人になったら届くって言ってたけど、これが届いたときオマエが何してるのか知らない。母さんはこの手紙に未来の自分がどうしてるかいろいろ質問したらとか言ってたけど、そんなことしたって教えてもらえるわけじゃないし、そもそもそんなことどうでもいい。そんなこと書くくらいなら昔のオレから未来のオマエにいろいろ教えてあげたほうがずっといいと思ってる。
今のオレのゆめはポケモンのチャンピオンになること。カントーの全部のバッヂ手に入れてセキエイのチャンピオンリーグに挑戦する。それであのワタルを倒してオレが最強になるんだ。もしかしたら未来のオマエにこの手紙が届くころにはもうチャンピオンになってるかもな。チャンピオンになって、超有名人になって、女の子からモテまくって、うまいもの毎日たくさん食べて過ごしてるかもな。もしそうじゃなかったら早くそうなるんだ。だいじょうぶオマエはオレなんだから。バトルは誰にも負けない。ちょっとぐらいミスとかで負けるかもしれないけどそれでもオレはさいきょうになるんだからオマエだってさいきょうのはずだ。
なにがかきたかったか良く分からなくなってきたけど、とりあえず早くチャンピオンになれ。なまけんなよ。ちょっとくらいのことでへこたれんなよ。だいじょうぶ、オマエはさいきょうだから。
ヘタクソな字と文章で読みづらいことこの上なかったが、私はゆっくりすべて読み切った。全く記憶にない文章だった。でも、かといって新鮮味のようなものはなかった。思い出したくない記憶が徐々に、引き出されていくのを感じていた。
――昔の私へ。君の夢は叶ったよ。チャンピオンになったら一瞬だけモテた時期もあったけど、本当に一瞬だったよ。美味しいものもあまり食べなかったな。追うべき夢を無くしたらそんなことする気なくなっちゃったんだ……。
心の中でそっとつぶやいていた。
「おじさん泣いてるの?」
言われて気が付いた。抑えきれなかった気持ちがあふれ出してきていた。
「僕の秘密を読んだんだから、それだけで終わらせないでよね。ちゃんと続きも読んでよ」
――えっ?
私は知らなかった。手紙の内容はすべて読んだものと思っていた。しかしそうではなかった。
その手紙、つまり、私の夢には続きがあったのだ。
Subject ID:
#67159
Subject Name:
イシツブテ合戦
Registration Date:
1991-04-14
Precaution Level:
Level 1 (1991-04-14時点) → Level 0 (1995-12-03時点) → Level 1 (1996-04-07時点) → Level 0 (1997-03-21時点) → Level 2 (1998-09-05時点)
Handling Instructions:
これまでに刊行された資料において「イシツブテ合戦」と呼ばれるゲーム(ゲーム#67159)に関する言及が見られた場合、当該資料を全面的に監査対象としてください。監査の手順は資料M-67159を参照してください。これまでの監査結果はリポジトリに格納されたレポートR-67159群にまとめられています。案件担当者は、レポートR-67159群へのフルアクセス権が付与されます。
[1995-12-03 Update]
案件担当者及び拠点監督者の判断に基づき、当該案件の警戒レベルとしてLevel 0(無力化済/案件管理対象外)が設定されました。所定の保留期間を経て、当該案件は凍結される予定です。
[1996-04-07 Update]
前担当者の退職に伴い新たな案件担当者が割り当てられ、新担当者の再検査により案件が未だ継続しているとの判断がなされました。警戒レベル引き上げの申し出がなされ、裁定委員会はこれを承認しました。警戒レベルはLevel 1に再設定されます。
[1997-03-21 Update]
前担当者の死亡に伴い新たな案件担当者が割り当てられ、新担当者の再検査により当該案件の警戒レベルとしてLevel 0(無力化済/案件管理対象外)を設定することが提起されました。拠点監督者はこれを承認しています。所定の保留期間を経て、当該案件は凍結される予定です。
[1998-09-05 Update]
監査委員会による全案件の検査過程で、短期間に警戒レベル変更が複数回行われている不審な案件として当案件がピックアップされました。案件担当者の変更が行われ、少なくとも五年間は警戒レベルの変更が禁止されます。警戒レベルとして、従前よりも高いLevel 2が再設定されました。取り扱い手順の変更はありませんが、監査で得られた情報からゲーム#67159あるいはゲーム#67159に関わる情報は、当局に対して何らかの情報災害をもたらす存在であるとの懸念が示されています。
Subject Details:
案件#67159は、少なくともカントー地方のほぼ全域で言及される「イシツブテ合戦」なる未知のゲーム(ゲーム#67159)とゲーム#67159に関わるすべての情報、及びそれらに掛かる一連の案件です。
1990年10月下旬、ホウエン地方フエンタウン第三支局からカントー地方ニビシティ第五支局へ赴任してきた局員が、「自分の地元にもイシツブテはいたが、イシツブテ合戦なる遊びは聞いたことがない」と現地局員に発言したことにより、局内で異常性の疑義ありとの提起がなされました。初期調査により、カントー地方在住の局員の多くが「イシツブテ合戦」というゲームの存在やルールについて知識があったにも関わらず、実際に「イシツブテ合戦」を行ったり、あるいは行っている場面を目撃した局員は存在しないことが判明しました。また、当年発行されたカントー地方版の携帯獣図鑑を初めとして多数の資料に「イシツブテ合戦」についての記述が見つかりましたが、実際にゲームを行っている様子を撮影した写真は一切発見されませんでした。案件立ち上げが承認され、担当者の割り当てが行われました。「イシツブテ合戦」というゲームには、「ゲーム#67159」という管理用の名称が付与されました。
ゲーム#67159は、これまでのところカントー地方のほぼ全域で言及されている「イシツブテ合戦」なる未知のゲームです。調査により得られた情報からは、非異常のゲームである「雪合戦」に類似したルールを持つものと推測されています。プレイヤーは概ね2から4のチームに分かれ、互いに携帯獣の「イシツブテ」を投げ合うことにより、相手チームを全滅させることを目的とします。投擲されたイシツブテが直撃したプレイヤーは戦線を離脱し、残っているプレイヤーの応援に回るのが一般的なルールですが、一部の地域では相手チームへ移動してゲームを続行するというローカルルールも確認されています。この場合、すべてのプレイヤーが一方のチームへ移動するまでゲームが継続されます。これらは「雪合戦」とルール的に変わるところが無く、投擲するものが異なる以外は同一のゲームと考えることも可能です。
イシツブテは個体差こそありますが、平均して20kg程度の重量を持ちます。確認されている最小の個体でもおよそ10kgの重さがあり、少なくとも人間が資料で言及されているような「互いに投げ合う」ゲームに用いることは物理的に困難です。また、イシツブテは全身が岩石のような硬質の皮膚に被われており、人間に直撃した場合は同等の重量を持つ岩石が衝突した時とほぼ同等のエネルギーが加わります。これは人体にとって致命的なダメージをもたらすものであり、非常に危険です。これらから、互いにイシツブテを投擲し合うようなゲームは現実的に不可能であり、ゲーム#67159はルールそのものが破綻していると考えられます。
ゲーム#67159の特異な点は、上述した通りゲームとして成立し得ないルールを持つにもかかわらず、カントー地方のほぼ全域で「伝統的な遊び」「一般的な遊び」と認知されている点にあります。ゲーム#67159の市民の認知度は高く、およそ30,000人に対する目的を伏せたヒアリングでは、9割を超える約28,500人がゲーム#67159について知識があるとの結果が出ています。これに加えて、「ゲーム#67159のルールについて不審な点は無いか」という質問を併せて行いましたが、ほとんどの市民はルールの矛盾点について回答することができませんでした。
一方で、「イシツブテ合戦」というワードを伏せた上で「平均して20kgの岩石を投げ合う遊びは可能か」という趣旨の質問を行うと、回答したほぼすべての市民が「不可能である」と回答しています。ゲームのルール自体は同一にもかかわらず、「イシツブテ合戦」というキーワードの有無により認知の仕方が異なっている可能性が示唆されました。このことから、「イシツブテ合戦」には何がしかの情報災害をもたらすファクターが含まれているとの仮説が提唱されました。
ゲーム#67159の正確な起源は不明です。確認された最古の資料は1930年代に執筆された児童向けの遊びを特集した書籍ですが、その書籍には「昔ながらの遊び」としてゲーム#67159が紹介されています。ゲーム#67159に関する言及がカントー地方に限定されている理由も明らかになっていません。同じくイシツブテの生息するジョウト地方・ホウエン地方では、ゲーム#67159に関する言及は確認されていません。今後の案件対応は、ゲーム#67159の起源を特定することと、ゲーム#67159に関する情報が市民にどのような影響を及ぼしているのかを究明することに焦点が当てられます。
[1998-09-05 Update]
案件管理局監査部門による追記:
本案件は過去に二度、ゲーム#67159の情報災害の影響を受けていたと推定される局員により「無力化済」への警戒レベル変更が行われています。いずれも案件棚卸時に管理部門が検知したことで案件終了を免れていますが、一つ間違えば継続対応すべき案件が終了されていた虞があります。このことを鑑み、監査部門判断により警戒レベルを一段階引き上げ、今後少なくとも五年間は終了対象外案件として取り扱います。
Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。
まだまだ起きるには早い真夜中のことだ。私は耳元で呼びかけられる声で目が覚めた。
「おじさん。ねぇ、おじさんってば」
声の主は小さいころの「私」であった。母親に聞こえてしまわないよう声を抑えながら私を揺り起こそうとしていた。
「うーん、どうしたの? こんな時間に」
私はまだ眠くてしょうがなかった。少し−−いや、こんな時間に起こされてかなりうっとうしかった。
「おじさんに聞きたいことがあるんだよ」
「旅の話なら明日話すよ」
「そうじゃなくって! 今、聞きたいことがあるんだよ」
暗闇に目が慣れてきて「私」の必死な表情が見えた。
私はほとほと面倒くさい気持ちでいっぱいだったが、言う通りにした。眠くてしょうがないのは彼もいっしょのはずだ。それをガマンしてまで一体何の用なのだろう。
私は普段物置として使われていた部屋へ案内された。この部屋はかつて父が使っていたものだと聞いたことがある。
「それで聞きたいことって?」
おそらく父が使っていたものであろう机の前まで連れてこられた。母に気付かれたくないからと部屋の電気はつけず机の上に置かれたスタンドライトだけ付けて、それを挟んで私たちは向かい合うようにイスに座っていた。「私」の見たことのない神妙な顔がぼんやり浮かび上がっていた。
「おじさんってもしかして……僕のお父さん?」
「私」の顔は至って真剣だった。
「は……?」
思いもしなかった質問に私は面食らってしまった。
「違うの……?」
「ち、違うよ。そんなわけないでしょ。おじさんはただの−−」
「ただの旅人だよ」と言いかけて口ごもってしまった。それは嘘ではないが、本当のことでもない。私は「私」の真剣な顔を見ているうち、彼に本当のことを話したい気分になっていた。
「ただの、なんなのさ」
「私」が聞いてくる。相変わらずの表情だ。昔の私がこんな顔をすることもあるなんて知らなかった。
「君はどうしておじさんが君のお父さんだなんて思ったんだい?」
「それは……お母さんの様子がなんか変だったから……」
そこまで言ってから「私」は頭を振ると続けた。
「ううん、そうじゃない。おじさんを公園で初めて見た時からなんか分からないけどそんな気がしたんだ。どうしてって言われると僕もよくわからないんだけど……」
私はやっと理解した。初め私が“死んだ”時と一緒だ。やはり過去の「私」は私が誰だか分かっているんだ。はっきりと“未来の自分”とまでは思っていないかもしれないが、それでも何か繋がりを感じているんだ。
そうとわかってもやはり私は彼に全て伝える気にはなれなかった。未来の自分が自殺したなんてことも、その理由も伝えるべきじゃないと思った。そこで私は本当のことの、一部だけを彼に伝えようと思った。そしてまた私は無性にある事を過去の自分に聞いてみたくなっていた。
「おじさんはただの旅人だよ」
「私」があからさまにがっかりしたような顔をする。
「でも、ほかの人たちとは違う。夢が無いんだ」
「どういうこと?」ちょっと興味ありげに聞いてくる。
「おじさんは少し前に夢を叶えてしまったんだ。夢が叶った時はとっても嬉しかった。毎日が幸せでそれがずっと続くような気がしていた。でもね、しばらくして大切なものを失ってしまったことに気付いたんだ」
「大切なものって?」
「夢だよ。辛い時も悲しい時もあったけど、夢を追っていられた時がどれだけ幸せだったか気付いたんだ。もっともっと追い続けていたかったって、そう思ってしまった」
「私」は再び神妙な顔で私の話を聞いていた。
「それから私はこうして夢の無い、つまらない毎日をふらふら生きている。君には大事な夢があるだろう? それがおじさんには無いんだ。もう、死んでるのも同じようなものさ……」
私はすでに「私」の顔をまっすぐ見ることができなくなっていた。最後のところだけは嘘をついた。私は本当に“死んでいる”のだ。
「こんな私を君はどう思う?」
沈黙。一秒がまるで一年にも感じられるこの感覚、これも初めの時と一緒だ。
ピカピカと輝く新品物の夢を持つ「私」が果たして今の私をどう思うのか。情けないとなじられるだろうか、それとも熱く励ましてくれるのだろうか。きっと私はどちらの言葉も冷静には聞いていられないだろう。
うつむいたまま膝の上に置かれた両手にぐっと力がこめられる。握った手の中も、首筋も、背中も変な汗でびっしょりになっていた。喉がカラカラに乾く、どうしてこんなこと聞いてしまったのか−−
「おじさんって、すごいんだね」
−−へ……?
「今、なんて……?」
思いもしない返事に私は何も考えられなくなっていた。
「おじさんは、叶えたら“死んだのも同じ”って思えるくらい大事な夢をやっと叶えたんだね。それってとってもすごいことだよ」
すごい、なんて言われると思ってもいなかった。「私」は一体なにを考えているのだろう。未来の私にはさっぱりわからなかった。
「でもね、おじさんはきっと気づいていないんだ。つまらないって思ってるこれからの時間にも価値があるってこと」
目の前にいるのがとても十歳たらずの男の子と思えない。まるで別人と話しているような気分だった。
−−与えられた時間の価値も省みず……
あのディアルガが言っていた言葉だ。時間の価値とはなんなんだ。夢の無い人生を生き続けることに一体何の意味があるんだ。
「……明日だけが未来じゃない」唐突に「私」がつぶやいた。
「昔母さんが言っていた。お父さんはそう言って出て行ったらしいんだ。よく意味は分からないんだけど、何となく大事なことな気がして覚えているんだ。今のおじさんなら分かるのかなって思って」
大事にしていたはずなのにすっかり忘れていた言葉だ。「明日だけが未来じゃない」ゆっくり頭の中で言葉を反芻させる。頭の中でだんだんと言葉が溶けていく。溶けていった先に意味が現れてくる気がして、私は考えるのをやめた。
「分からないよ……」
「そっか。ま、それでもいいや。ゆっくり考えてみてよ。そのうちわかるかもよ」
生意気な口調で言う。
「おじさんはそうやってゆっくりしていればいいんだよ。まぁ、僕はおじさんみたいにならないけどね」自信たっぷりに言う。
私はそんな過去の自分が哀れに感じてならなかった。幼さゆえのこの自信。目の前の私が未来の自分だなんて想像もつかないだろう。
「……そうは言っても分からないものなんだよ」
「絶対にならないよ! 僕にはおじさんみたいにゆっくりしてられないんだから!」意固地に彼は言った。
「どうしてそんなこと言い切れるんだ! 未来のことなんて誰にも分らないのに!」
私も彼の頑なな主張に少し意地になっていた。
すると「私」はちょっとの間何か逡巡した様子で口ごもったかと思うと、ぽつぽつと“ある事”を話し始めた。
「おじさん、未来に送る手紙って知ってる?」
それはかつて私が大人になった自分にあてて書いたものだ。そのことは覚えているが、中身は全く思い出せなかった。
そもそも私はこの家に来てからというもの考え過ぎそうになるのを努めて避けてきた。知ってしまうと思ったのだ、私が生き続けるべきであった理由を……。
目の前の「私」は打って変わって落ち着いた様子でこちらを見ている。対して私はとても嫌な予感がしていた。
その手紙こそが”生き続けるべきであった理由”その物だという、確信に近い、そんな予感が。
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