マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  •   [No.1402] 不知火 朝 投稿者:浮線綾   投稿日:2015/11/20(Fri) 11:27:38     53clap [■この記事に拍手する] [Tweet]



    不知火 朝



     朝の太陽が高くかかり出したころ、四つ子はミアレシティに辿り着いた。
     袴にブーツ、葡萄茶の旅衣。それが四人、ぞろぞろと14番道路方面のゲートから現れる。そのまま半円状のノースサイドストリートを西へ。
     普段は観光客でにぎわうメディオプラザも人の姿はまばら、トリミアンと共に朝の散歩をする老紳士や、ランニングに励む学生、颯爽と自転車で駆け抜けるビジネスマンの姿が見える。屋台の準備をする焼き栗売りの姿、朝のミアレを描こうとカンバスに向かう画家の姿もあった。
     四つ子もとい葡萄茶色の旅団は、ガレット屋の前で立ち止まった。
     ピカチュウを肩に乗せたセッカが、身を乗り出す。
    「ミアレガレット、四個ください!」
    「はい、ミアレガレットを四つ。四百円です。モーモーミルクとご一緒にどうぞー」
    「ありがと、おねーさん! とっても美人だよ!」
     焼きたての円いガレットとよく冷えたモーモーミルクを受け取り、四つ子はまずガレットの一部をむしってそれぞれの相棒、ヒトカゲ、フシギダネ、ピカチュウ、ゼニガメに分け与える。相棒たちがガレットの欠片にかぶりつくと同時に、四つ子も残りのガレットにがっついた。
     さくさくとした歯触り、芳醇なバターの香り、甘じょっぱい味わい。焼きたてのあつあつ。
     朝食代わりとしてはいささか重いが、それはそれで菓子としては十分美味い。さすがはミアレ名物である。美味しいだけでなく、ポケモンの状態異常まで治すというのだから体にいいこと間違いなしだ。
     相棒たちと分け合いつつモーモーミルクを飲み終え、その空き瓶はガレット屋に返した。
     未だ体のあちこちに絆創膏を張り付けているセッカが、満面の笑みを浮かべる。
    「おいしかった! 俺の火傷も治った気がする! ごちそーさま!」
    「ぜひまたどうぞー」


     糖分と油脂分と水分とカルシウムを摂取したところで、四つ子はミアレシティの北の外半円、ノースサイドストリートをさらに西へ向かった。川に差し掛かると、ミアレの中央部へ向かう形で曲がる。
     じきにローズ広場に辿り着いた。
     濃紫のモニュメント。
     四つ子は一瞬立ち止まる。ローズ広場の人通りは多く、観光客やビジネスパーソンで賑わっている。ポケモンと共にストリートパフォーマンスを行って喝采を浴びている芸人もいるし、ポケモンバトルに興じている若いトレーナー達も、それらを眺めている人々もたくさんいる。
     四つ子はそのポケモンバトルに視線を注いだ。
     ヤンチャム対ビビヨン。宙を優雅に舞う花園の模様のビビヨンの方がやや優勢といったところか。
     ヤンチャムはまだレベルが高くはないらしく、直接攻撃の技しか持たないようだった。濃紫のモニュメントの上に跳び上がり、必死に宙のビビヨンを捕らえようとするも、ことごとく躱される。
     結局ビビヨンの起こした風にヤンチャムは吹き飛ばされ、そのまま目を回した。勝負はついた。
     四つ子は黙ってそのバトルを見守っていた。
     四つ子なら、あのヤンチャムのようなバトルはしない。遠距離攻撃の術も、空にある敵を捕らえる術も数種類用意してある。あらゆる敵に対応できなければ、トレーナーは勝負に負ける。そして負けたら賞金を支払わなければならない。
     ヤンチャムのトレーナーらしき少女は、バトルに負けて泣きながら、相手のトレーナーの少女に賞金を支払っていた。ビビヨンのトレーナーは複雑そうな表情をしつつも、ヤンチャムのトレーナーを慰めながら、賞金をしっかりと受け取っている。
     賞金で食いつなぐトレーナーは、負けてはいけない。
     自分のために一生懸命戦ってくれたポケモンが、それでもあえなく傷ついて瀕死になって倒れて、そしてトレーナーは一人きりになる。それは辛いことだし、大切な手持ちのポケモンに対してもやりきれない思いを抱えることになる。負けるのは辛い。何より、金銭的に更に困窮することを思えば、バトルでの敗北による精神的な圧迫感は計り知れないのだ。
     だからトレーナーはポケモンを強く育てて、バトルに勝たなければならない。
     ポケモンに強い技を覚えさせれば、大抵の相手に勝てる。
     けれど強い技は往々にして、不必要に周囲に被害をもたらす。四つ子は瞑目した。この場所だった、あの事件が起きたのは。
     セッカがボールから、橙色の花のフラージェスを繰り出す。
    「ユアマジェスティちゃん、お花が欲しいんだ。きれいなやつ」
     セッカが静かに頼みごとをすると、ガーデンポケモンはその力で赤や黄や橙や白の美しい花々をセッカの手の中に生み出した。
    「ありがと」
    「るるる」
     セッカは腕いっぱいの花を、レイアとキョウキとサクヤの分も合わせて、濃紫のモニュメントの前に供えた。そして四つ子は静かに手を合わせた。
     周囲のどこか気まずげな視線も気にせず、四つ子はローズ広場を後にした。町の中心部を目指して歩き出す。


     四つ子はメディオプラザに最も近いポケモンセンターに足を運んだ。
     ポケモンを預けることはせずに、そのままロビーに向かってソファに足を投げ出す。四人は早朝に故郷のクノエシティを出て、14番道路のクノエの林道を通ってミアレにやってきたのだ。
     道中は静かだった。四つ子は特に会話をすることもなく、飛び出してきた野生のポケモンに各々で応対し、抜きつ抜かれつそれぞれのペースで道路を超えてきた。危なげのない道路越えだった。レイアもキョウキもセッカもサクヤも、十歳の時から数年間一人旅を続けてきたのだ。今さら野生のポケモンに脅かされることはほとんど無い。
     ときどき出会ったポケモンレンジャーやオカルトマニアやメルヘン少女から賞金を巻き上げつつ、大きなロゼルの木から大喜びでたくさんの実を収穫し、迷子になることもなく淡々とミアレに辿り着いた。ブーツにこびりついた泥を拭うのも億劫で、さすがに痛む足を休める。
     四つ子にとってミアレは別れの街だ。十歳になった春も、クノエからミアレにやってきた四つ子は別々の四つの街に向かって旅立った。そして先だっても、知り合ったばかりのエリートトレーナーと別れる羽目になった。
     ポケモンセンターのソファの背もたれに崩れながら、セッカがぽつりと呟く。
    「……なあ、今度はさ、一緒に行こうな?」
    「セッカとサクヤは行く方向が別々じゃない。二手に分かれない?」
     セッカの隣に座る緑の被衣を頭に被ったキョウキが、フシギダネの頭を優しく撫でながら応じる。セッカは僅かに身を起こし、頬を膨らませた。
    「……だって」
    「だっても何もないよ。イーブイの進化方法は多岐にわたる。目当ての進化形態があるなら、早めに進化させた方がいい。セッカは20番道路の迷いの森へ行きなよ。サクヤはフロストケイブだ」
    「……れーや、一緒に行こ」
     拗ねた様子のセッカは、赤いピアスの片割れにくっついた。足を組んでいたレイアは、特に文句を言わなかった。
    「わかった。じゃ、俺はセッカと一緒に行くから。キョウキはサクヤと一緒に行くのか?」
    「なぜ」
     不満げに鼻を鳴らしたのは、腕を組んでソファに腰かけていた青い領巾のサクヤである。キョウキがにっこりと笑ってサクヤにくっつく。
    「いいじゃない、一緒に行こうよ。サクヤお前、ルシェドウさんに丸め込まれたあげく二日間氷漬けにされたんだって? 本当、お間抜けさんだなぁ」
    「うるさい」
    「ね、今度ルシェドウさんに会ったら、僕が潰してあげるからさ」
    「させるか。僕が潰す」
     サクヤはさらに不機嫌に鼻を鳴らし、一方でキョウキはにこにこと笑っている。ソファの足元では、ピカチュウとゼニガメとヒトカゲが走り回っていた。フシギダネはキョウキの膝の上でのんびりと目を閉じている。
     セッカはレイアの腕にしがみついたまま、ぼそぼそと呟いた。
    「……でもさ、今日くらいはみんなで一緒にいよう。ねえそうしようよ」
    「セッカは甘えっ子さんだなぁ」
     キョウキが緩く笑い、セッカの頭を撫でる。
    「大丈夫だよ。離れていても、僕らは一緒さ」
    「きょっきょ意味分かんない」
    「セッカはミアレで何かしたいことでもあるの? 何もないなら、早くここを発った方がいいと思うのだけれど」
    「……したいことはないけど」
     セッカがうじうじと駄々をこねていると、ポケモンセンターに新たに二人の人間が入ってきた。カメラを持った男性と、きちんとしたスーツに身を包んだ女性の二人組である。

     その二人組はロビーに目を向け、そして四つ子の姿を認めると早足で近づいてきた。
     それからその女性が唐突に四つ子に声をかけてきたのである。
    「あのっ、まさか四つ子さんですか?」
     青い領巾のサクヤがぴくりと眉を顰め、赤いピアスのレイアは眉間に皺をよせた剣呑な表情のまま顎を上げ、緑の被衣のキョウキは愛想笑いを浮かべて振り返り、セッカはぽかんと間抜け面を曝した。
     女性はそそくさと名刺を差し出す。
    「あの、私、ミアレ出版の者です。弊社の記事で、双子のイーブイを四組もタマゴから孵した四つ子トレーナー、というのがやられてまして……その写真と同じ四つ子さんですよね?」
    「……あー」
    「ええ、そうです。クノエで、ミアレ出版さんのパンジーさんという方の取材をお受けしました」
     口ごもるレイアの一方で、キョウキがすらすらと淀みなく応える。そして記者の女性が表情をほころばせて何か言おうとするのを遮るように、キョウキはたたみかけた。
    「取材ならお断りします」
    「えっ……なぜですか! 五分、いやいやえーっと十分だけでも!」
    「どうせ貴方がた、ろくなこと尋ねてこられないでしょう。双子のイーブイのことなら洗いざらいパンジーさんにお伝えしました。それとも、四つ子のトレーナーがそんなに珍しいですか。世の中には一卵性の五つ子くらいいますよ。何なら六つ子でも七つ子でも八つ子でもいるでしょう」
    「えっ……でも」
    「ねえ、帰ってください」
     キョウキはにこりと笑ったまま、片手で追い払う仕草をした。
     若い女性記者は困り果てた表情になり、しかしなおも食い下がった。
    「……お願いします、ぜひ取材させてください! お礼はいくらでもしますので!」
    「そうですね、これから僕ら四人が死ぬまで毎日、ローリングドリーマーにご招待くださるならば、考えてもいいですよ」
    「……それは……ええと……うーん……あの、他のレストランで今日の昼食くらいなら!」
    「馬鹿にしないでください」
     キョウキは笑顔のままだが、少しずつキョウキが苛立ちつつあることにレイアとセッカとサクヤは気づいていた。

     キョウキは雑誌記者を追い払おうとしている。その理由は、レイアもセッカもサクヤもなんとなく分かっていた。ここはミアレシティだ。ミアレのスターとも謡われたエリートトレーナーをローズ広場で大怪我をさせた例の事件は、大きく報道はされずともミアレで噂ぐらいにはなっただろう。ましてや、一卵性の四つ子という特徴的すぎる特徴を持った加害者のトレーナーは、人々の記憶にもとどまりやすい。
     今、ここでその話を蒸し返されるわけにはいかない。
     トレーナーに反感を持つ人間が増えれば増えるほど、旅はしにくくなる。四つ子についての悪い噂が広まれば広まるほど、四つ子とポケモンバトルをしようと考えるトレーナーは減るのだ。それは即ち、四つ子の収入の減少を意味する。

     キョウキは歯を見せてそれとなく記者を威嚇した。
    「僕らはね、見世物のために生きてるわけじゃない。なぜなら、バトルの賞金だけで生きているからです。バトルができなくなれば、僕らは死ぬしかない。だから、取材をお受けするなら、僕らが旅をしなくてもいい生活を保障して頂くほかないのです」
    「……ええと、なぜバトルができなくなるんですか?」
     女性記者の質問に、キョウキはとうとう舌打ちした。
     四つ子の片割れ三人はキョウキを見つめる。キョウキも片割れの三人をちらりと見やって、低く唸った。
    「――ああ、もう限界だ。お前ら適当に応待しろよ」
    「お前、気ぃ短すぎだろ……」
     レイアが苦笑している。キョウキはふんと鼻を鳴らした。
    「レイアに言われたくはないね。僕はお前らよりは寛容だよ。僕はレイアみたいに怒鳴らないし、セッカみたいに喚かないし、サクヤみたいに殴りかからない」
    「いや、現にブチ切れてんじゃん。そう怒んなって」
    「……ああ、腹が立つ。まさか僕らのこの言動も全部録音されてんじゃねぇだろうな……。ああ、そうだ、バトルしませんか、ミアレ出版のお姉さん? カメラのお兄さんでもいいですけど。僕ら四人に勝てたら、取材をお受けしますよ?」
     キョウキは投げやりに質問を投げかけた。
     女性の記者は戸惑ったようにカメラの男性を見やり、男性もまた困ったように女性を見やった。
     キョウキは興に乗ったのか、楽しげに笑い出す。
    「あはっ、あははは、そうですよ。トレーナーはポケモンと共に戦うもの。いわばバトルはトレーナーにとっての挨拶です。トレーナーに必要なのは戦いです。つまり、戦えもしない人間なんて、トレーナーにとって話をする価値もない」
    「あの……私、バトルは……」
     声を小さくする女性記者を、キョウキは嘲笑う。
    「ほんと、礼儀がなってませんよね。貴方がたもバトルの賞金だけで暮らしてごらんなさい。三日で飢え死にだ。でも貴方がたはそうならない。なぜ? 貴方がたが恵まれているから。面白おかしいニュースだけを求めて楽しんでいれば生きられるから」
     キョウキは実に楽しそうにまくし立てている。
     セッカは、キョウキが楽しそうなので良かったと思っている。
     レイアとサクヤは我関せずと言った風に、キョウキと記者たちのやり取りと眺めていた。
     それでもソワソワするばかりの記者たちに、とうとうキョウキは歯を剥き出した。
    「…………次来たら潰すぞ…………」
     記者たちは謝罪を繰り返しながら、ポケモンセンターから出ていった。


      [No.1401] 時津風 夜 投稿者:浮線綾   投稿日:2015/11/20(Fri) 11:25:17     48clap [■この記事に拍手する] [Tweet]



    時津風 夜



     風の強い日だった。
     夜の雲は風に吹きはらわれ、星々が瞬く。
     僕とレイアとキョウキの三人は、ユディの家からポケモンたちを連れて夜道を辿り、クノエの病院に戻ってきた。そう、かつて幼いセッカが崖から落ちたときにも世話になった病院だ。
     ピカチュウが忙しく僕らを急かす。レイアの腕の中でヒトカゲが落ち着かなげにもぞもぞと動き、キョウキの頭の上のフシギダネは今日も泰然として、僕の腕の中のゼニガメはそわそわと手足を甲羅から出したり引っこめたりしている。八匹の子イーブイの面倒までは見られないので、イーブイたちはモンスターボールにしまってある。
     セッカの手持ちたちもすべてボールに入れて、僕が預かってきている。この赤白のボールもすべてカタカタと小刻みに震え、おやであるセッカの身を案じているようだ。
     僕ら三人は早足ではあるけれど、焦燥に駆られたり憔悴したりしているわけではない。
     セッカは無事だ。


     燃え盛る図書館の中から不意に一人だけ飛び出してきたセッカは、意識がはっきりしていた。
     煤けて真っ黒になった顔で、目を閉じて、朦朧とした意識の中、アブソル、アブソルと、うわ言のように繰り返した。
     アブソル、というその言葉が何を示すのかは正確にはわからない。炎の中で見たのか。この火事が、アブソルのもたらした災厄とでも言いたいのか。
     ばかばかしい。
     ヒャッコクシティで出会った老婦人に対しても思ったことだが、アブソルは災いを感知こそすれ、災いを招くことはしない。養親のウズの昔に語ったことを律義に信じているとすれば、セッカはやはり馬鹿だ。
     馬鹿すぎる。
     あのフレア団と名乗る男を、助けるために、燃える図書館の中に単身戻った。
     セッカが何をしたかったのか、僕にはわからない。
     そう、ポケモンさえいれば、どうにでもなっただろう。
     セッカのガブリアスなら炎をかき分けて人を捜すこともできただろうし、フラージェスならその念力で炎の壁を分けることもできただろう。でも、あの時セッカは、幼いイーブイ二匹の他は何も持っていなかった。そのイーブイたちすらキョウキに押し付け、一人で炎に飛び込んだ。


     なぜだ。
     馬鹿が。
     僕はすっかり腹が立っていた。ここまで腹が立つのは自分でも珍しい。けれどあまりに苛立って、無性に何かを殴りたくてしょうがなかった。
     病室の引き戸を、僕は開ける。
     寝台の上で身を起こしていた、包帯だらけのセッカが、僕を見てふにゃりと笑った。そのセッカの胸に、ピカチュウが飛び込む。
    「ちゃああっ!」
    「ピカさん!」
     セッカは満面の笑みを浮かべ、ピカチュウを抱きしめる。背中の毛並みを撫で回し、ひとしきり相棒との再会を喜んだ。
     その間に、僕はつかつかとセッカの傍に歩み寄った。
     セッカが僕を見上げる。
     僕は間髪入れず、セッカの両頬を片手で掴んだ。憎悪を込めて見下ろす。
    「ぶにゅ……しゃくや」
    「お前は馬鹿か」
     アヒル口になったセッカの間抜け面を、怒りを込めてねめつける。
    「せいぜい思い知れ。トレーナーは一人では無力だとな。火事の建物の中に戻る、だ? 正気か? お前の頭は、飾りか?」
     思うまままくし立てた。レイアもキョウキも僕の背後に突っ立ったまま何も言わない。
     セッカは頬を潰されたまま、ぽそぽそと謝罪した。
    「しゃくや、ごめんて……」
    「謝れば済む話か。どれだけこちらが肝を冷やしたと思っている。挙句の果て、何だ。あの男を助けられもしないで。格好をつけるな、この馬鹿」
    「あ、そうだ。そうだよ! あの人、どうなった!?」
     セッカは僕の右手を両頬から引きはがすと、前のめりになって叫ぶ。
     寝台脇の椅子にのんびりと腰を掛けたキョウキが、ほやほやと笑う。
    「死にかけてるよ」
     セッカの肩が、びくりと震えた。


     腹が立つ。
     自らの手持ちのデルビルで図書館に火を放った張本人であるフレア団の男は、火事の図書館から逃げようともせず、大火傷を負った。馬鹿だ。どいつもこいつもただの馬鹿だ。
     なぜそのような愚かな男を、助ける必要があるのだ。
     僕は不満をぶちまけた。疑問を込めて詰った。
    「お前は本当に馬鹿だ。何を考えているんだ。あの男のために死にに行くようなものだ。お前は死ぬ気だったのか? それとも、本気で助け出せるとでも思ったのか? 頼むから考えて行動しろ。命がいくつあっても足りない」
     セッカはぼんやりと、僕の顔を見ている。
     それがまた、腹が立つ。
    「おい、聞いているのか!」
     恫喝すると、レイアが割り込んできた。
    「おい、ちょっと落ち着けよ、サクヤ」
     その腕の中のヒトカゲが僕に対して怯えている。僕がヒトカゲを睨むと、ヒトカゲはきゅううと鳴いてレイアの陰に頭を隠した。僕のゼニガメが、そのようなヒトカゲの様子を見てけらけら笑っている。
     レイアはいつものように眉間に皺を寄せ、そして穏やかな声を発した。
    「やめろ。セッカはまだ疲れてんだ。ぎゃんぎゃん喚くな」
    「お前は黙っていろ」
    「てめぇが黙れよ」
    「僕は身内としてセッカに忠告してやってるにすぎない。僕は、お前やキョウキのように甘くはない。この馬鹿にはきつく言い聞かせる必要がある。まったくこいつは、なぜこうも面倒を起こすんだ」
    「それは俺らが言えた義理じゃねぇだろ?」
     レイアは病室にいるという遠慮もあってか、この日は怒鳴ってはこなかった。セッカを庇うように立ち、僕を穏やかな目で見つめてくる。
     なおさら、腹が立った。
    「偉そうに。セッカを庇うことで、自分が優しいということを誇示でもしているのか?」
    「あんなぁサクヤ……話をずらすな。お前はなにイラついてんだ。俺だって、セッカの馬鹿さ加減には腹立つし、今はそれすら通り越して虚脱してるとこだわ」
     レイアは深く溜息をつく。赤いピアスが揺れる。
     緑の被衣のキョウキは、頭にフシギダネを乗せたまま、気色悪い笑みを浮かべつつ僕らを傍観していた。
     セッカはぼんやりとしていたが、ピカチュウを抱いたまま不意に微かに笑んだ。セッカらしくない、弱々しい笑顔だった。
    「ありがと、サクヤ。サクヤが俺のこと心配してくれてんの、分かったよ」
    「……勝手な」
    「サクヤもレイアもキョウキも優しいの、俺は知ってる。だからさ、あのエビフライ団の人が死んじゃったら、お前ら三人はショック受けちゃうだろ? だから俺はあいつ助けようと思ったの。馬鹿だったよな。ごめんな。死ぬつもりはなかったから全力で逃げてきた」
    「……でも、結局お前は怪我のし損だ」
    「そうだよ。馬鹿だった」
     セッカは微笑んで俯き、包帯の巻かれた手でピカチュウの背を撫でた。

    「ポケモンの力に酔ってた。俺自身のトレーナーとしての力量に酔ってたのかも。強いのはポケモン、戦ってくれるのはポケモンたちなのに、俺自身が強いと思い込んでた」
     それは、トレーナーとして軌道に乗ったものが誰もが抱く幻想だ。
     ポケモンの力に慣れたものは、一日でどの町にでも行けると確信し、無闇に凶暴なポケモンの棲み処を踏み荒らし、油断を抱いて危険な洞窟に入る。そして傷つくのはトレーナーだけではない、その手持ちのポケモンたちも、時には周囲の人間までもが傷つく。
     傲慢なトレーナーは、周囲を不幸にする。
     災厄を撒き散らすのだ。
     セッカは囁く。
    「ね、俺、トキサのことがあってからさ、バトルで必要以上に強い技使うのやめたんだよね。でも、だからこそ安心だった。切り札をとっておけるから……」
     セッカに撫でられるピカチュウは幸せそうに目を細め、喉を鳴らしている。ヒトカゲがもぞもぞと動き、フシギダネも首を傾げ、ゼニガメはじたばたと手足を動かした。レイアもキョウキも僕も、それとなくセッカにつられてそれぞれの相棒に構う。
    「……でもさ、強力な技をとってあるって思ったら、なんかいつの間にか、結局自分には何ができて何ができないのか、わかんなくなるんだよね……。何も考えず、とりあえずやってみようと、思ってしまう。今まで割とそれで、なんとかなっていた」
    「だが、あの時お前には、ピカチュウもガブリアスもフラージェスもマッギョもいなかった」
    「そうだよ。ずっと一緒にいるのが当たり前だった。あいつらがいることを、微塵も疑わなかった。だからさ、つまり俺は馬鹿だけど……いっぱしのトレーナーだよな?」
    「ふざけるな」
    「――ちょっと前の俺なら、エビフライ団なんて助けようとも思わなかったよ。……サクヤは昔の俺の方が好き? レイアは? キョウキはどう思う?」
     セッカの視線は相変わらず、ピカチュウに注がれている。

     僕がレイアに視線をやると、そいつは肩を竦めてセッカに言い放った。
    「お前がやろうとしたこと自体は立派だよ。最高にダサいけどな、今のお前は」
    「うん」
     セッカは顔をほころばせている。
     キョウキがわずかに首を傾げた。
    「僕はね、見捨ててもいいと思ってたんだよ。最悪、あのフレア団の人が死んでしまったとしても、僕は何も感じないと思うな。ウズからはまたうるさく言われるだろうけど、ウズはウズだし」
     そのキョウキの言葉には、セッカは表情を曇らせた。
    「きょっきょは、助けられたかもしれない人が死んでしまっても、なんとも思わない? トキサが爆発しても、なにも思わない?」
    「セッカが何かを感じるなら、お前はそれを大切にすればいいと思うよ。ただ僕に関しては、僕はちょっとしたひねくれ者だから、そう簡単に他人に共感はしないことにしている」
     キョウキは微笑を浮かべてそう言い切った。セッカはうんと頷いた。
     そして、セッカの視線が僕に注がれる。
     僕は苛立ちを抱えながら、呟いた。
    「他者を助けようとする行動は、一般的には評価されるだろう」
    「うん。で、サクヤは、どう思う?」
    「僕は世間一般よりも、お前の方が、比較的重大な存在だと認めている」
    「えっと、もっとわかりやすく」
    「……人を助けるなら、お前自身は怪我をするな」
    「そうしよっと」
     セッカは笑った。
     僕はセッカを見下ろし、そいつの膝の上に、預かっていたそいつの手持ちのボールを投げ落としてやった。


     セッカは入院とはならず、その夜のうちにユディの家に戻った。
     治療費については、公的な補助金が下りるため、窓口での支払いは少額だった。請求すれば、ポケモン協会からもさらに見舞金を受け取れるだろう。昨今のトレーナー政策のおかげでトレーナーの保護は手厚い。
     養親のウズは、来なかった。それがセッカを怒らせた。
    「ほんっと、血も涙もないよなー」
    「本気で愛想を尽かされたのかもねぇ」
     キョウキが緩く笑っている。
     僕らは四人でユディ宅の居間の絨毯の上に座って、レイアが図書館から持ち出してきた『イーブイの進化方法』の本を覗き込んでいた。
     僕ら四人はこの本を探して、はるばる慣れない図書館を訪れたのだ。
    この本は結局、貸出手続きは済ませていない。しかし図書館の状況が状況なので、どこに返却するというわけにもいかず、この本は僕らの手元にある。
     レイアが最初に読み上げる。
    「シャワーズ、水タイプ。水の石を使う。……サンダース、電気タイプ。雷の石を使う。……ブースター、炎タイプ。炎の石を使う」
     キョウキが引き継いだ。
    「エーフィ、エスパータイプ。懐かせて光の中で育てる。……ブラッキー、悪タイプ。懐かせて闇の中で育てる」
     セッカが賢明に読み上げる。
    「リーフィア、草タイプ。苔むした岩の傍で育てる。……グレイシア、氷タイプ。凍り付いた岩の傍で育てる」
     僕が最後を引き継いだ。
    「ニンフィア、フェアリータイプ。仲良くなり、育てて妖精の技を覚えさせる」
     そして僕ら四人は、ボールから八匹の子イーブイを出した。
    「ぷい」
    「ぷい」
    「ぷい」
    「ぷい」
    「ぷい」
    「ぷい」
    「ぷい」
    「ぷい」
     八匹のイーブイはボールから出されると、おとなしくお座りしている。僕らは両手で、自分のイーブイたちをつまみあげた。
     レイアのイーブイのリボンの色は、真珠の薄色、珊瑚の桃色。
     キョウキのイーブイのリボンの色は、瑠璃の青色、琥珀の黄色。
     セッカのイーブイのリボンの色は、瑪瑙の赤色、翡翠の緑色。
     僕のイーブイのリボンの色は、玻璃の水色、螺鈿の濃色。
     そして、そのリボンの色と、『イーブイの進化方法』に乗っていたイーブイの進化形態の図とを見比べる。そうすると、答えは自ずと浮かんできた。
     僕らは互いに目くばせした。
    「いいな。確認したな?」
    「おっけー。とりあえず僕はミアレの石屋に行こうかな」
    「……俺も行く!」
    「僕とセッカは行くべき方向が違うと思うんだが、その認識で合ってるな?」
     僕らは互いに頷き合った。
     イーブイの進むべき道は決まった。なら一刻も早く、イーブイたちを育て上げなければならない。
     戦いに満ちた旅の生活が、待っているから。


      [No.1400] 時津風 夕 投稿者:浮線綾   投稿日:2015/11/20(Fri) 11:23:18     53clap [■この記事に拍手する] [Tweet]



    時津風 夕



    「そうして、ゴチムちゃんは、ぶじに、おうちにかえることができました。めでたし、めでたし」
     俺は息を吐いた。うまく読めた。
     そう思った瞬間、パチパチパチパチと拍手が起こった。いつの間にか俺の周りに集まってきていたちびっ子たちは、俺の紙芝居をお気に召したらしい。俺の足元で俺と向かい合わせになってお座りしていた、二匹の小さなイーブイたち、瑪瑙と翡翠もぷいぷいと喜んでくれている。
     ポケモン紙芝居なんて、読んだことなかった。うまくできるかとても不安だったけれど、うまくいったらしい。よかったよかった。
     けれど、なんだか入口の方から怒鳴り声が聞こえてきた。
     無視しようかと思った。
     だって、また面倒事に巻き込まれると、ウズが怒るから。
     ウズは嫌いだ。わけのわからないことを言うから。よく分からないけれど、本気で怒った時のウズは、本当にひどいことを言う。その昔、俺はよく分からなかったけど、ウズに怒られてレイアも泣いたし、キョウキも泣いたし、サクヤも泣いたから、俺もつられて泣いた。三人は俺にとって一番大切な存在だ。だから、三人を泣かせるような言葉は嫌いだ。
     ウズを怒らせたくない。
     でも、大切なのはそれではないのだ。俺にとって一番大切なのは、片割れの三人を守ることだ。
     俺は紙芝居をケースにしまうと、続きをねだってくるちびっ子どもを振り払い、瑪瑙と翡翠を拾い上げて、入口の方へそそくさと戻った。俺がばんがって紙芝居をしている間に、レイアかキョウキかサクヤが目当ての本を見つけたかもしれない。


     受付の前で、キョウキが、真っ赤なスーツの人間と向き合っていた。受付の司書も立ち上がって、不穏なふんいきである。
    「きょっきょ?」
     緑の被衣のキョウキに声をかけると、だいぶイライラが溜まった様子のキョウキがにこりと笑いかけてきた。
    「やあ、セッカ。ごめんね。ちょっと面倒に巻き込まれちゃったみたい」
    「れーやとしゃくやは?」
    「分かんない」
     キョウキが首を振るので、俺は声を張り上げた。
    「れーや――! しゃくや――! 助けて――っ!!」
    「うるせぇ!」
    「黙れ」
     タイミングを計らっていたかのように、漢字がいっぱいの本の方から、赤いピアスのレイアと青い領巾のサクヤが飛び出してきた。
     片割れたちが揃うと、俺たち四つ子は、真っ赤なスーツの金髪碧眼を取り囲んだ。真っ赤スーツは戸惑って、俺たちをきょろきょろと見回している。いい気味だ。俺たちが四人で包囲すると、大体の人間はこういう反応をする。
     俺は息を吸い込み、声を張り上げた。
    「お前はぁ、完全にぃ、ほーいされているぅ!」
    「ちょっとセッカ。レイアもサクヤも。……なんで事を面倒にするのかな?」
     だいぶ苛立った様子のキョウキが、毒々しげに笑っている。これはさっさとけりをつけなければならなそうだ。
     真っ赤なスーツの男は、デルビルを出していた。バトルの気配だ。
     しかし、そこで俺は気づいたのだ。
     ピカさんもアギトもユアマジェスティちゃんもデストラップちゃんも、ユディの家に置いてきたことにだ。
    「あっ」
     俺は思わず声を漏らした。キョウキが小さく鼻を鳴らしている。そうか、そういうことか。今の俺たちには、昨日生まれたばかりの小さなイーブイしかいない。相手がデルビル一匹でも、イーブイたちではとても歯が立たないだろう。
     これもまた小さなイーブイを抱いたレイアが、顔を顰めて真っ赤なスーツの男に問いかけている。
    「てめぇ、何モンだ」
     すると、真っ赤なスーツの男は胸を張った。
    「オレはフレア団だ!」
     俺は首を傾げた。
    「……エビフライ団?」
    「フ・レ・ア・だ・ん、だッ!!」
    「……フレアダンダ?」
    「フレア団ッ!!! てっめぇおちょくりやがってもう焼き尽くしてやる!」
     しかし俺の方を向いて顔を真っ赤にしていた男は、気付かなかった。
     青い領巾を引いて、サクヤが男の懐に飛び込んでいたことにだ。
     サクヤのブーツの踵が、男の鳩尾に食い込んだ。

    「ぐぼぉっ……!」
    「うるさい」
     両手に二匹の小さなイーブイ、玻璃と螺鈿を抱いたサクヤが、蹲る男を冷やかな表情で見下ろしている。そして冷たい声を投げかけた。
    「公共の場で騒ぎ立てるな。どういう教育を受けている?」
    「ぐぅ……っ!」
     ほとんどまったく教育を受けていない俺たちがそれを言うのもどうなんだろうと思ったけど、真っ赤なスーツの男の精神にダメージを与えることはできたらしい。俺はすかさずサクヤに便乗する。
    「そうだそうだ、バーカバーカ!」
    「てめぇに馬鹿とは言われたくねぇわ!」
     レイアにツッコミを入れられてしまった。レイアは両肩に小さなイーブイを二匹、真珠と珊瑚をくっつけている。そしてレイアは片手に、俺が思っていたよりも厚みのない本を持っていた。
     俺は嬉しくなって叫んだ。
    「あーっ、れーやが見つけたんだー! さっすがれーや!」
    「……セッカお前、ちょっと空気読め?」
     レイアに諭され、俺は口を噤む。そうだ、俺はイーブイたちのために、ちょっとは空気を読むことにしたのだ。俺はお口をフワンテちゃんにした。メタグロスちゃんでもいいけど。
     レイアが男を睨んでいる。
    「フレア団か。最近たまに見かけるな。……うちのキョウキに何か用か?」
    「やっだぁレイアったら、うちのキョウキだなんて! きょっきょ照れちゃう!」
    「てめぇはなに上機嫌になってんだよ!」
     レイアはキョウキの茶々にもツッコミを入れている。キョウキも、レイアやサクヤや俺が加勢したことでだいぶ機嫌を直したみたいだ。よかったよかった。
     俺たち四人にくっついている八匹の小さなイーブイも、俺たちが男とデルビルを取り囲んで気を強くしているみたいだ。ぷいいぷいいと激しく鳴きたてて威嚇している。ちっちゃくてやっぱり、とってもかわいい。
     さて、男は多勢に無勢だ。どうする?

     サクヤに腹を蹴られて蹲っていた真っ赤なスーツの男は、よろりと立ち上がった。
     その眼がギラギラと光っていた。
     危ない眼だな、と思っていたら、男は叫んだ。
    「……デルビル、火炎放射!」
     急に、そう叫んだのだ。俺もレイアもキョウキもサクヤもびっくりしてしまった。
     でも、男のデルビルはお利口さんだったらしく、いきなりの指示にも戸惑わず、忠実に大きな炎を吐いた。
     熱風が頬を掠めた。
     ごう、と大きな凶暴な音がする。
     その火炎は高く長く吹きあがり、本棚を舐め、本に触れた。火の粉が散る。焼き切れた頁が舞い上がる。焦げたにおいと熱気が、一気に満ちる。
     悲鳴が上がる。
     まずい、と思った。生まれたてのイーブイたちに、火炎放射を防ぐ手立てなどない。いや、違う。この火炎放射は。
     図書館の本を狙っている。
     真っ赤な炎が上がる。
     図書館の、乾いた空気に広がって、熱が嘗め尽くす。ちりりと音がした。
     焦げるにおいがする。炎のにおいがする。
     イーブイを八匹しかもっていない俺たちには、どうしようもなかった。
     本が燃える。
     図書館が燃える。
     次からは、ちょっと出かけるだけでも、ちゃんと戦えるポケモンを連れてこようと思った。
     でも、反省しても遅かった。
     俺たちの目の前では、建物が、書架が、業火に呑まれていたから。


     俺はパニックになって叫んだ。
    「ぴゃああああああ――っれーやきょっきょしゃくやどーしよーっ!!」
    「うるせぇよ! どうにもできるか!」
     怒鳴ったのはレイアである。サクヤも微かに焦りを滲ませて早口で囁く。
    「図書館の人間が、既に警察を呼んである。消防も呼ぶだろう。逃げるぞ。イーブイたちは大丈夫か」
     俺は手の中のイーブイたちを確認した。レイアもキョウキもサクヤも、イーブイの無事を確かめる。俺たちは慌てて出入り口に逃げた。イーブイたちをしっかりと手の中に掴んで、殺到する人混みにもまれながら、外に逃げる。煙がくさい。熱い。熱い。
     悲鳴が上がる。怒鳴り声も上がる。小さな子供も、お年寄りも、怯えて叫んで混乱して。出口に殺到する。足を踏まれる。痛い。体を押されて痛い。
     熱い。
     怖い。
     真っ赤なスーツの男は、デルビルと共に目を光らせて、周囲の人を避けさせていた。燃える図書館の中で、ぼんやりと立っていた。俺はちらりと振り返って、それを見た。
     だから俺は、片割れ三人と一緒にどうにか図書館の外に避難したところで、キョウキにイーブイたちを押し付けた。キョウキが目を見開く。
    「どうしたの」
    「あの兄ちゃん、連れてくる!」
    「なんで?」
     キョウキが緩い口調で問いかけてきた。俺は焦れて叫んだ。
    「大丈夫だから!」
     図書館は、既に窓から炎が溢れている。中にいた人々はほぼ避難を終え、図書館の外には、よろよろと倒れる老人を庇う人、大泣きする子供をあやす人、パニックになって走り回るポケモンたち。
     俺は黒い煙の中に走り込んだ。
     レイアの怒鳴り声が後ろの方から聞こえる。けれど構わず、意を決して熱の中を走り抜ける。
    ――だって、あの人が死んだら嫌じゃないか。
     さっき炎の中で、ぼんやり突っ立っていた。あのままでは死んでしまう。
     ウズは、面倒事を起こすなと言っていた。もし、あの真っ赤な男の人が死んでしまったら、またウズは怒ってひどいことを言って俺たちを泣かすし、警察は来るし、悪いことずくめだ。
     だから、走った。

     ほとんど目も開けられない中で、俺は受付前のうろ覚えの位置に突進した。
     デルビルの唸り声が聞こえる。俺は咄嗟にデルビルの首筋のあたりを思い切り掴み、ほぼ強引に直感で、デルビルを従わせた。俺が素晴らしいトレーナーであることを感じたのかもしれない。デルビルは俺に攻撃もしかけてこなかった。
     俺はそこら辺に落ちていた男の腕だか足だかをむちゃくちゃに掴み取ると、デルビルの首筋を掴み、デルビルに出口へ先導させた。
     男は気を失っているらしかった。とても重いが、文字通り火事場の馬鹿力で引っ張った。
     煙に咳き込み、泣きながら、どこか朦朧とする意識を必死に保ち、デルビルの首筋は離さず、風が、流れている。
     熱い。
     熱い。
     風が。
     紅い風が見えた。



     ひゅう、と鋭い紅い風が切り裂いた。

     ぴりりとした痛みに、はっとしてぼんやりしていた意識を取り直す。
     黒々とした煙が風に吹きはらわれ、視界が熱く紅くなる。
     鎌鼬。
     きゃうん、と悲鳴を上げて、俺を導いてくれていたデルビルがどうと横倒しになった。鋭い風の刃に斬られたのだ。
     俺は熱さを堪えて、深紅の、血塗られたような鎌を持つ、アブソルを見た。
     褐色の肌の少年が、炎を背景に突っ立っている。その赤髪が炎の勢いに、鋭い風に巻き上げられて、揺れていた。
     その口元がにいいと笑ったかと思うと、吐き捨てた。
    「……死ねって言ったのになァ!」
     けたけたと炎と風の中で嗤っている。深紅の色違いのアブソルが、こちらににじり寄ってきている。
     アブソル。
     アブソルはだめだ。ウズが、アブソルを見たら逃げろと言っていた。人もポケモンも、殺されてしまうから。
     逃げなければ――。
     けれど、デルビルが倒れてしまって、方向が分からない。というか、この赤髪の少年の立ち塞がっている俺の正面の方が、出口のような気がしてならない。
     炎は館内に広がって、天井近くまであぶって、焦げて、煙が酷い。
     目も頭も、痛い。
     このままだと俺も焼け死んでしまう。
     ああ、そうか。
     アブソルが来たから。

     通常のものより大きな体躯をした、色違いのアブソルが、のそりのそりと歩み寄ってきて、ねじくれた奇妙な形の角を俺に突きつける。
     殺される。
     俺が熱い頭でぼんやりしていると、少年は笑った。
    「え? なにオマエ、フレア団でもねーのにフレア団助けよーとしてんの? 頭おかしくね? ほっとけほっとけ、弱い奴はいらねーからよ」
     俺の手が汗で滑って、掴んでいた男の腕を取り落としてしまった。すると少年は面白そうに笑う。
    「そーそー見捨てろ、蹴落として生きな。ま、どんだけゴミが足掻こうが、オマエラは死ね」
     アブソルが鋭い鎌を押し付けてくる。
     怖い。
     その鎌は血塗られたように紅かった。
     赤髪の少年はしばらく俺を観察していたみたいだったが、何かを思い出したかのようにふと手を叩いた。
    「あ――そっか、オマエラは、四つ子か…………糞ルシェドウがレンリで言っていた…………なるほどなァ…………オマエが…………オマエラが」
     少年が下卑た笑みを浮かべながら、背を丸め、嘲笑う。
    「オマエラが母ちゃんを殺したんだなァ?」
     そしてなぜか楽しそうに笑っていた。しかし俺は熱さと、アブソルに紅い鎌を突きつけられているための恐怖で、それに構うどころではない。
    「あっはは、あーよくやってくれたよ、オマエラがやらなかったらオレがフロストケイブ乗り込んでたし? まあいいや。アハハハハッ、よくもママンを殺しやがって、とか言って……ギャハハハ――…………死ねよ」
     俺は少年の話なんて、聞いていなかった。
     ただ、死にたくはなかった。死ぬわけにはいかなかった。レイアとキョウキとサクヤが悲しむからだ。

     俺は夢中で、アブソルの角の根元を掴んだ。
     災いを運ぶとかいう不吉なポケモンに触れるのもおぞましかったが、何も考えられなかった。ただ、いつものように、手持ちのガブリアスを手懐けた時のように、先ほどデルビルに手助けをさせたように。直感でポケモンをねじ伏せる。
    ――従え従え従え。
     俺を誰だと思ってる。
     てめぇの主人も相当いかれた奴だが、俺だって何度も旅の中で死にかけた。この程度の炎と風で、てめぇなんぞに屈するものか。従え。
     角を掴んだまま、メェークルやゴーゴートにでも乗るように、俺は巨大なアブソルの背に飛び乗る。この時は真っ赤なスーツの男の存在も忘れていた。
     アブソルが首を振るが、俺はその角を握りしめた手を緩めない。大きな胴を足で締め付け、狼狽えるアブソルを軽く宥める。
     赤髪の少年がぽかんとしている。
    「おいこら……ルシフェル?」
    「――跳べ!」
     思い切り恫喝した。

     紅色のアブソルは、赤髪の少年の頭上を飛び越え、風を巻き起こしながら、燃える図書館から飛び出した。


      [No.1399] 時津風 昼 投稿者:浮線綾   投稿日:2015/11/20(Fri) 11:20:56     49clap [■この記事に拍手する] [Tweet]



    時津風 昼



     風の強い日だった。
     木々の色づいた葉を容赦なく洗い落とし、乾いた枯葉が石畳の上を転がる。
     日は高いらしい。周囲は昼なりに明るいけれど、クノエシティは今日もふわふわと曇って気持ちが良かった。この街の気候は優しい。
     僕は、片割れのレイアとセッカとサクヤと一緒に、小さなイーブイ八匹を連れて、クノエの図書館を目指している。もちろん、調べ物をするためだ。
     ユディの家にはパソコンがあるけれど、あいにく僕ら四つ子はたいへん機械に弱い。インターネットなんてとても使えない。
     僕らはポケモンセンターのボックスすらまともに使えず、モンスターボールの使い方を習得するのにすら難儀したくらいだ。けれどだからこそ、イーブイの双子たちを最後に、僕らはもう新たなポケモンをゲットすることはないだろう。
    ――手持ちのうちの誰かが、死なない限りは。
     そう思ってしまってから、僕はついつい苦笑した。
     悪い癖なのだ。僕はどうしても物事を悪い方へ考え、ひねくれた物の見方をしてしまう。けれど、レイアもセッカもサクヤもまっすぐで純真すぎるから、僕くらいはすべてを疑ってかからなければならないのだ。そうでなければ、そうと知れない仮面をかぶった悪意に、僕たち四つ子は殺されてしまうからだ。
     ポケモンは生き物だ。いつかは死ぬ。トレーナーよりも長く生きるとは限らない。
     昨日生まれたばかりのイーブイたちだって、数年後、十数年後、数十年後には死ぬだろう。その時、僕は泣くだろうか。イーブイだけじゃない、僕のフシギダネもプテラもヌメイルもゴクリンも死ぬ。レイアのヒトカゲもヘルガーもガメノデスもマグマッグも死ぬ。セッカのピカチュウもガブリアスもフラージェスもマッギョも死ぬ。サクヤのゼニガメもボスゴドラもニャオニクスもチルタリスも死ぬ。
     僕ら四つ子も死ぬ。
     生きている者はみんな死ぬ。
     でも、死ぬまでの生き方くらい選ばせてくれてもいいだろう。いつか死ぬから、生きていると言えるのだ。それが生命の在り方であり、ゼルネアスとイベルタルの伝説を受け継ぐカロスの思想。
     だから、僕らは自分で決めたように生きよう。


     僕が一人でにやにやしながら哲学に耽り、レイアのあとをぼんやりとついていっていると、レイアは勝手に図書館へと導いてくれた。相変わらずまじめでいい子だ。
     セッカがおっかなびっくりといった様子で、サクヤは堂々とどこか馴れた様子で、図書館へ突入していく。僕も本のにおいに少しだけ心惹かれながら、図書館に入った。
     風がやむ。図書館の中は温かく、空気がよどみ、においで満ちていた。
     さて、本の探し方なんて知らない。
     片っ端から探すしかないだろう。
     セッカはふらふらと平仮名につられて、児童書コーナーへ入っていった。
     青い領巾のサクヤは、何かあてでもあるのか、新聞コーナーの方へ歩いていった。
     赤いピアスのレイアは暫く逡巡した結果、受付の司書に質問をしに行った。相変わらずレイアは要領の良いことだ。
     さて、僕はどうしようか。

     そこで僕が決めたのは、連れてきた子イーブイたちに決めさせることだった。二匹のイーブイをそっと図書館の床の上に下ろすと、好奇心旺盛な小さなイーブイたちはとことことどこかへ歩き出した。
     僕はイーブイたちをのんびりと追いつつ、書架に視線を走らせる。
     カロスの歴史。地理。地史。文化。衣服図鑑。食事図鑑。グルメマップ。料理本。服の作り方。インテリア。――あまりポケモンには関係なさそうだ。
     けれど、イーブイに任せることにした以上、文句は言えない。お菓子作りの本を何気なく抜き出して眺めていると、足元の瑠璃と琥珀がぷうぷうと鳴いて僕の足にくっついてきた。二匹を抱き上げると、二匹は本の中のきのみタルトに興味津々とみえた。
    「……こんな高価な材料のもの、買えないし、作れないよ」
     けれど僕の言葉はイーブイたちには通じない。僕は問答無用でおいしそうな内容の本をぱたりと閉じ、本棚に押し込んだ。ぷうぷうと文句を言うイーブイたちを無視し、僕は真面目に本を探し出す。
     カロスの伝説。神話。おとぎ話。伝説のポケモン。幻のポケモン。珍しいポケモン。ポケモンのゲットの仕方。ボールの使い分け。ボール工場。ボールの歴史。ポケモン協会の歴史。
     そのとき児童書コーナーの方から、セッカの間抜けな声が聞こえてきた。なにやら、子供のための朗読スペースで絵本か何かを音読しているらしい。思わず笑ってしまった。セッカは相変わらず無垢で純粋で素敵だ。僕はそんなセッカが大好きだ。
     一冊ずつ背表紙を確認しているというのに、全然目当ての本は見つからない。


     正午を過ぎ、片割れたちと一緒に図書館を一度出て、昼食をとった。けれど、誰も目当ての本を見つけられてはいなかった。レイアはポケモンの進化の本の壁にぶち当たっているし、サクヤはなぜか新聞のバックナンバーをひっくり返して止まらなくなっているし、セッカに至っては小さなお子様たちにせがまれて紙芝居を読んでいるのだという。
     僕は片割れ三人を鼻で笑ってあげた。
    「やる気ないだろ?」
    「てめぇに言われたかねぇよ!」
    「マジでそれな!」
    「全員、もっとまじめに探そう」
     サクヤの冷静な一言で、僕らは渋々と図書館へ戻った。


     けれど数時間たっても、誰も収穫はなかった。イーブイたちは退屈しきっているし、レイアはいつの間にか漫画を読みだしているし、サクヤは新聞の山に埋もれているし、セッカは延々と紙芝居を読み上げている。
     そうこうしているうちに、だいぶ午後も回ってしまった。
     僕も完全に飽きてしまった。
     なので、そこら辺の面白い本でも読んで時間を潰そうと思ったのだ。たぶん僕が何もしなくても、レイアかサクヤが閉館までに目当ての本を見つけてくれるだろうと期待して。真面目な作業は彼らに任せるべきだ。
     僕は『カロスの伝説』という本を手に取った。
     さて、図書館は本を借りる場所だと聞いている。本を借りなければと思う。
     僕は基本的には社会のルールを尊重して生きているので、まじめにその本を持ったまま受付に向かった。
    「これ、借りたいんですが」
    「カードをお願いします」
     カード、とは何のことだろうか。僕はキャッシュカードだとかクレジットカードだとかいうものは持っていない。そもそも銀行すら使ったことがない。困り果てて、身分証代わりのトレーナーカードを提示した。
     すると受付の人間は、軽く困った顔をした。
    「えー……っとー……カードをお作りしましょうか?」
    「あ、これとは別に作るんですか」
    「はい、えっと……」
     受付の人はアルバイトだったらしい。他の人に聞きながら、何やらバーコードのついたカードと記入用紙を差し出した。僕はペンでそれにサインをしたりトレーナーIDを記入したりした。
     そしてようやく、その本を借りることに成功した。
    「ありがとうございます。これでやっと本が読めます」
     にっこりと万人受けする愛想笑いを浮かべてお礼を言ったのだが、なぜか受付の人はどこか困ったような顔をした。しかしもう心底どうでもよかったので、僕は閲覧室の方へ行くべく、踵を返した。
     そして、鮮烈な赤に、目が眩んだ。

     真っ赤なスーツ。
     真っ赤な髪。
     真っ赤なサングラス。
     僕はふらりと眩暈を覚えて、古代エンジュの姫君の如く眉間を押さえ、穏やかな色の緑の被衣で視界を覆った。
     その真っ赤な男は、僕のすぐ後ろに立っていた。それもそれで不躾なのだが、何よりその恰好がダサすぎる。品がない。自己主張が強すぎる。目に痛い。自然に悪そうだ。毒々しい。視界に入れたくない。
     しかしその真っ赤な男は、こともあろうか僕に声をかけてきた。
    「……おいお前、その本を寄越せ」
    「……はい?」
     僕は緑の被衣で視界を覆ってその真っ赤人を視界に入れようにしつつ、手にした分厚い本を軽く振った。
    「これですか? 今借りたばかりなんで、ちょっと」
    「いいから。寄越せ。今すぐ返却してオレに寄越せ」
    「嫌です」
     僕は目元を緑で覆ったまま、その場を立ち去ろうとした。
     すると真っ赤人はついてきた。
    「こら! その本は、泣く子も黙るフレア団の参考書なんだぞ! 借りれないと買わなきゃなんないんだぞ!」
    「知りませんがな」
    「おい待て! フレア団に逆らうのか!」
     真っ赤人が僕の肩を掴む。お触り貰いました、罰金いただきます。

     僕は、真っ赤人の真っ赤なサングラスをむしりとった。
     真っ赤人が悲鳴を上げた。
    「うおおおお――いッ!!」
     真っ赤なサングラスの下からは、ヒャッコクの湖面のようなコバルトブルーの美しい瞳が現れた。次いで僕は、その男の真っ赤なカツラを引きちぎる。
     真っ赤人が絹を裂くような悲鳴を上げた。
    「ひぎゃアアアアア――っ!!!」
     そのカツラの下からふわりと現れたのは、いかにも品のよさそうなプラチナブロンドである。
     金髪碧眼の貴公子が、真っ赤なスーツに身を包んでいるのである。
     僕は失笑した。
    「はっ……似合わねー」
    「貴様ああああっ!!」
     図書館の中で騒ぐ金髪碧眼真っ赤スーツの貴公子は、僕の胸ぐらをつかんできた。どうにか真っ赤の面積が減ったので、僕は彼の顔面だけはようやく直視できるようになった。
    「いやあ、見たところ、いかにも血統のよさそうなカロスのお坊ちゃんじゃないですか。そのスーツ、似合いませんよ。本ぐらいお屋敷の書斎にないんですか。なくても買えばいいでしょう?」
     貴公子は地団太を踏んだ。
    「屋敷の書斎にあるのは貴族が教養をひけらかすための特に意味もない装飾ばかり立派な分厚い本や今では特に意味のない昔の法律書やなんかだ! それにオレは今、小遣いを500万使い果たして金欠だ!」
     司書の刺々しい視線にも気づかないらしく、育ちのよさそうな真っ赤スーツの貴公子は怒鳴り散らしている。僕は着物の衿首を掴まれたまま、ほやほやと笑う。
     小さなイーブイ二匹が怯えていないかが若干心配だったが、旅をしていれば面倒事に巻き込まれることは多々ある。今のうちに人間社会の面倒さを知るのも悪くない機会だろう。
     真っ赤な貴公子は、手に提げていたケースを開いた。そこにはモンスターボールが収められていた。
    「貴様、勝負だ。オレが勝ったらその本を渡せ!」
    「嫌ですよ。僕、いま生まれたてのイーブイしか持ってませんもん」
     穏やかに拒否したが、真っ赤な貴公子は聞く耳を持たなかった。むしろ、これは好都合とばかりににやりと笑った。
     真っ赤な貴公子が、真っ赤なボールを投げる。ああ、目に痛い。
    「行け、デルビル」

     そして彼は非常識もいいところに、図書館の中で、炎タイプを持つポケモンを繰り出した。さすがに受付にいた司書が慌てて飛び出してくる。
    「炎タイプは館内で出さないでください! 館内でのバトルは禁止です!」
    「うるさい!」
     真っ赤な貴公子は聞く耳を持たない。
     僕は嘆息した。頼りになる手持ちたちは、ユディの家の庭に置いてきてしまった。今の手持ちは、昨日生まれたばかりのイーブイが二匹。レイアもセッカもサクヤも、イーブイを二匹ずつしか持っていない。
     ポケモンを一匹も連れていないよりはましなのだが、困ったことに、僕らはイーブイたちの使える技を確認していなかった。鳴き声か、尻尾を振るか、体当たりくらいならできるだろうか。タマゴから生まれたポケモンはたまに親の技を引き継いでいるが、そういうことはないのだろうか。
     僕らはイーブイのことは何も知らない。
     けれど、今朝の乱闘を見て奮起していたのか、僕の小さなイーブイたちは果敢にデルビルの前に立ちはだかった。細い四本の足が、微かにぷるぷる震えている。ダークポケモンの唸り声一つにもいちいちびくびくしている。
     そして、僕はのんびりと思った。
    ――ああ、かわいいなぁ。
     震えているくせに、二匹で頑張って戦おうとしている。おやである僕を守ろうというのか。健気なことだ。小さきものは、うつくしい。
     でも、無理だろう。デルビルに噛みつかれ、ふわふわの毛並みを焼き払われることを、この幼いイーブイたちには全くイメージできていないはずだ。
     まだ、バトルは早い。
     あまりに無残に傷つけられれば、イーブイたちはバトルを忌避するようになるだろう。
     そうなれば、イーブイたちは戦力外だ。
     タダ飯食らいの、お荷物だ。
     そうなったら、僕は幼いイーブイ二匹を捨てるだろう。


     僕はぼんやりと立ち尽くしていた。
     低く唸るデルビル、踏ん張る小さな二匹のイーブイ。
     勝利を確信してほくそ笑む、真っ赤なスーツの貴公子。
     さて、どうするか。
     面倒くさいなぁ。
     バトルしたくないし、醜く足掻きたくないし、――というか、本を渡せばいいんじゃないか!
     それを思いついて、僕はにこりと笑った。
     手にしていた重い本を貴公子に差し出した。
    「はい、どうぞ」
    「えっ」
     真っ赤人は目を剝いた。僕は思わず首を傾げる。
    「え、これが欲しいんでしょう? 僕はイーブイたちを戦わせたくありません。なので、これは貴方に差し上げます」
    「えっ」
     真っ赤人は拍子抜けしたらしく、ぽかんと口を開いている。
     戸惑って僕を振り返る小さな二匹のイーブイを優しくつまみあげ、僕はデルビルの横をすり抜け、貴公子に『カロスの伝説』の本を差し出した。
     真っ赤な貴公子はまじまじと本を見つめ、僕を見やり、そして複雑そうな表情をした。僕は根気よく笑顔を作った。
    「先ほどは失礼しました。お詫びします。この本はお渡しします」
    「……えっと」
    「なので、この場は収めてください。デルビルもボールにしまってください。図書館の本に火がついたら大変でしょう」
    「……あー……」
     しかし、貴公子はまだ何か僕に用事があるらしく、デルビルをしまいもせずにもじもじしていた。僕は嘆息する。
    「何か用があるなら、外でお聞きしますので。とりあえず、貴方がこの本をお借りすればいいじゃないですか」
    「……だ、だがな、お前、売られた喧嘩は買えと……。つまり……バトルで……」
    「僕、バトル嫌いなんですよ」
    「……うううるせぇ! さっき散々馬鹿にしといて、本渡しゃ済むなんて思うなよ! ふざけてんなよ、世の中そんな甘くないんだよ!」
     真っ赤な貴公子は、白い顔まで真っ赤にして怒鳴り出した。せっかくサングラスとカツラをむしり取ったというのに、まったく見苦しい。
     僕はいい加減、面倒くさくなっていた。
     そろそろブチ切れたくなっていた。


      [No.1398] 時津風 朝 投稿者:浮線綾   投稿日:2015/11/20(Fri) 11:18:38     57clap [■この記事に拍手する] [Tweet]



    時津風 朝



     たった今、目覚めた。
     そっと瞼を押し上げると、座敷の天井は赤々と照らされていた。
     縁側は鎧戸で閉ざされ、朝日は差し込まない。それでも視界が利くのは、俺の相棒のヒトカゲが枕元で丸くなって眠っているためだ。その尻尾の先の赤い炎が揺らめき、座敷の天井に色と影とを投げかけている。
     ゆっくりと上体を起こす。
     両隣に、温かく柔らかい感触がある。
     俺の両隣とその向こうにさらに一人、計三人、俺が眠っていた。
     こうしてみると、自分でもあまり四つ子の片割れたちの見分けがつかなかった。こんなにじっくり片割れたち三人の寝顔を眺めるのは、何年ぶりだろうか。旅立ちの日の朝以来か。腰まであった髪は短くなっても前髪は鼻にかかっているし、顎は大分すっとして、投げ出された手の指は長い。きっと俺もこいつら三人と同じ姿をしているだろう。
     何となく自分の右隣がキョウキで、左隣がセッカで、その向こうにいるのがサクヤであると見当をつけた。まったくの勘だが。
     顔かたちはそっくりだが、なぜか四つ子の中で朝最初に目覚めるのはいつも必ず俺であり、鎧戸を開けて朝日を座敷に入れるのもいつも必ず俺であり、片割れの三人の布団を引っぺがすのもいつも必ず俺である。そして、鎧戸の勝手が慣れたものと違って――ああそうだ、今はウズの家でなく、ユディの家にいるのだった。
     朝日が、畳の上に差し込む。
     窓を開ければ、風が部屋に吹き込む。
     風の中をのしのしと、これもまた丸くなって眠っているヒトカゲやフシギダネやピカチュウやゼニガメをまたぎ超え、片割れたちの枕元に立った。三人は朝の陽射しの中ですやすやと寝息を立てている。
     片割れたちをくるんでいるふわふわの綿布団を掴み、引き剥がす。そして見ると片割れ三人の浴衣は見事に着崩れていた。肌蹴た胸や腿が涼しい風にさらされている。この三人も、それを見る俺も慣れっこだ。
    「……起きろー」
     セッカと思しき片割れを、軽く蹴る。セッカはふみふみ言いながら転がっていき、キョウキに引っ付いた。
     面白くなってキョウキを蹴る。キョウキはセッカごと転がっていき、サクヤに引っ付いた。
     サクヤを蹴る。
     するとサクヤが、思い切り不機嫌な面でぱちりと目を開いた。そして俺の足首をすさまじい握力で掴んできやがった。思わずにやにや笑ってしまった。
    「起ーきーろーやー」
     爪先でサクヤの柔らかい腹をぐりぐりすると、そいつは跳ね起きた。
     俺は笑いながら、咄嗟にそこら辺に寝ていたキョウキだかセッカだかをひっつかみ、楯にする。サクヤの拳がめり込んだのは、果たしてキョウキだったのかセッカだったのか。俺は知らん。
     とにかくサクヤの攻撃を俺は免れると、未だに眠っている相棒のヒトカゲを拾い上げ、脇に抱えて、廊下の突き当りの洗面所へのんびりと歩いていった。サクヤが起きたのだから、あとの二人もじきに起きるだろう。ざぶざぶと顔を洗い、赤いピアスを身につける。飛沫が跳ねたか、ヒトカゲが文句を言いながらもぞもぞと目覚めた。
     キョウキのフシギダネも、セッカのピカチュウも、サクヤのゼニガメも、あくびをしながら目を覚ました気配である。寝起きの良い彼らは、さっそく自分たちの相棒の眠気を吹っ飛ばしにかかった。
     フシギダネはキョウキにくしゃみを誘発する粉をふりかけ、ピカチュウはセッカに電気ショックをお見舞いし、ゼニガメは賑やかしく喚きながらサクヤの髪を滅茶苦茶に引っ張る。キョウキがくしゃみを連発し、セッカがぴゃああと悲鳴を上げ、サクヤが静かに毒づくのを、俺は座敷に戻ってにやつきつつ見ていた。ほんとこいつら、アホだよな。
     座敷の隅に置いていた大きな籐編みの籠というかバスケットの中の、八匹の子イーブイたちは、その中の数匹は目覚めてぷうぷうと鳴いていた。バスケットの底に毛布を敷いて、その中で八匹を眠らせていたのだ。
    「ぷいー」
    「ぷいい?」
    「おはよ」
     覗き込んで声をかけてやると、小さなイーブイたちは目覚めたものから順にバスケットから飛び出してきた。畳の上を走り回り、それぞれのおやに突進していく。
     今日やらなければならないのは、このイーブイたちのための調査だった。


     風の強い日だった。
     ユディの家の庭木が風にそよいでいる。ざわざわと葉擦れの音が零れてくる。
     庭にいた手持ちのポケモンに朝食を出す。このショップで購入できる茶色いポケモンフーズは、ポケモンのタイプごとに様々な種類がある。俺ら四つ子はお世辞にも裕福とは言えないため、ポケモンたちに与えられるのは最も安価なポケモンフーズだけだ。それに加える形で、道中で収穫したきのみ類。食べられる野草。水道から汲んだ地下水。鉱石を食すものには石なども。
     ポケモンにとってつましい食事だが、それでも野生で暮らしている時よりは量的にも味的にも栄養バランス的にも恵まれているのだろう。ポケモンたちは文句を言わず、黙々と朝食をとっている。
     俺ら四つ子の手持ちの二十四匹、そしてユディの家に暮らす五匹のポケモンたち全員に食事を配り終えたころには、人間のための朝食も整い始めていた。食事室にはぼんやりとしたキョウキとセッカとサクヤがちんまりと椅子に収まっている。
     ユディの母親に促されるまま、俺も食卓についた。
     そして、ぷいぷい騒ぎながら朝食にがっついている八匹の子イーブイをそれとなく見やった。生まれたばかりのイーブイは、人の目の届きやすい食卓の近くで食事をさせているのだ。
    「タマゴから孵ったばっかのポケモンも、普通に食うんだな……」
    「生まれた直後から戦えるからね、ポケモンは。なんにせよ健康そうで助かるよ」
     緑の被衣を頭から被ったキョウキが、ほやほやと笑いながら答える。こいつのこの胡散臭い笑顔はデフォルトだ。五分ほどこいつと会話を続けていれば、いかにこいつが下衆かがわかる。表面上は人当たりが良くても、キョウキの性格は最悪だ。
     とはいえ、別に俺もセッカもサクヤも、キョウキが嫌いなわけではない。むしろその下衆さを好んでいる。いわゆるあれだ、俺らにとても言えないことを平然と言ってのける、そこに痺れる憧れる――というわけでもないが、ある意味でキョウキは俺たちの一つの理想の具現化なのだ。だからキョウキも道化に甘んじている。
    「ブイちゃんたち、ほんと癒されるよなー」
     セッカが行儀悪く食卓に頬をぺたりとつけて、生後一日の八匹のイーブイを見つめている。そのセッカの黒髪を、青い領巾を纏ったサクヤが無言のまま掴んで引っ張る。
     サクヤはサクヤなりに、セッカの行儀の悪さを嗜めているのだろう。しかしいかんせん無言である。セッカにその行動の意図を正確に理解できるわけがねぇだろ、サクヤ。
     セッカがぴゃあぴゃあと騒いだ。
    「いたい!」
    「当然だ」
     サクヤが澄まして答える。セッカはなおも文句を言った。
    「なんなの! サクヤ、今朝も俺のこと殴ったし! 俺に何の恨みがあるの!」
    「さっきはレイアを狙った。そいつがお前を楯にしたんだ。文句ならそいつに言え」
    「レイア酷い!」
     セッカの怒りの矛先がこちらに向いてしまった。
     ここは軽くいなそうと試みたが、怒ったセッカが身を乗り出して俺の髪を引っ張ってくる。むしり取る勢いだ。たまらず怒鳴った。
    「ってぇな禿げるだろうが!」
    「レイアのハーゲ! 禿げちまえ! 禿げろ!」
    「うるせぇ叫ぶな食卓ではおとなしくしろよ!」
    「れーやの方がうっさいもん! あとで勝負な! 負けた方が禿げな!!」
    「やだよ! 誰がんな勝負すっかよふざけんな! っつーかレーヤじゃねぇよレイアだっつってんだろこの舌っ足らずが!!」
     そして俺は、今度こそサクヤに殴り飛ばされた。そしてセッカも本日二度目のサクヤの鉄拳制裁を受けた。
     食卓の傍で食事をとっていた八匹の子イーブイが、唖然としてこちらを見ている。
     ヒトカゲとフシギダネとピカチュウとゼニガメは馴れきった様子で、悠然と朝食にがっついていた。
     キョウキがにこにこと笑っていた。


     セッカは馬鹿だ。
     こいつについては、この一言で十分だ。こいつは自他ともに認める馬鹿だ。普段の表情から発言から行動から、救いようのない馬鹿さがにじみ出ている。もちろん、セッカはそれでいい。俺やキョウキやサクヤが馬鹿にならずに済んでいるのは、セッカが馬鹿だからだ。
     そして、サクヤは四つ子の中で比較的常識を持った存在である。
     いつもは冷静に周囲を観察していて、かと思えば気に入らないことがあればすぐ素手で殴りかかる。つまるところただの電波で天然なツンデレなのだが、とりあえず暴走しがちな他の片割れのストッパーとしては有能といえるだろう。

     キョウキとセッカとサクヤ。これが俺の片割れたちである。
     さて、この下衆と馬鹿とツンデレに囲まれ、俺がどのような労苦を強いられているかは想像に難くないだろう。
     俺は四つ子の中で、良心を司っている。そして最も常識的でまともなトレーナーだ。まじめに日々向上を目指して目標を立て、たゆまず勉強し鍛錬し、一つずつ成果を積み重ねている。地道な苦労人なのである。
     俺たち四つ子はユディと共に、トーストと目玉焼きとベーコンとサラダ、野菜スープという非常に健康的な朝食を口に運んだ。ベーコンが何の肉で目玉焼きが何のタマゴかは、俺の知ったことではない。
     俺はたどたどしく銀のナイフとフォークとスプーンを操りつつ、ぼんやりと思う。
     箸で、白米を食いたい。
     味噌汁が恋しい。
     むしろ醤油を飲みたい。
     こうした料理は、俺たち四つ子の養親であるウズの家でしかなぜか味わうことができなかった。カロスのどこの飲食店に行っても、ほぼパンと油脂しか出てこないのだ。
     ああ、ウズの家の味が懐かしい。けれどキョウキとセッカの二人がウズと喧嘩をしてしまったせいで、俺まで帰れない。片割れたちを責める気はないが、いかんせん脂っこい料理には辟易する。


     俺たち四つ子は基本的に、ポケモンに関しては放任主義だ。
     つまり、ポケモンに何でもかんでも指示を与えるわけではない。もちろん、彼らの野生時代とは全く異なる生活環境を強いることになるため、様々な環境でどのように振舞うかはいちいち教え込まなければならない。けれど、結局どうするのがそのポケモンにとって最もいいかは、ポケモン自身にしかわからないことだと思う。
     ポケモンは、俺たちが生きていくためには必要なものだ。
     俺たちはポケモンを戦わせることで生きている。
     だから、俺たちの手持ちは戦うことが義務付けられている。ポケモンは基本的に戦うことに特化したものが淘汰されているから、大抵のポケモンは何気なくゲットしても、バトル続きの生活には順応してくれる。
     俺たちが手持ちに教えるのは、敵との相性と、敵の急所と、戦略と、そして自分で反省することだ。
     六匹もの手持ちを隈なく管理することは難しい。六匹すべてを鍛え抜くには、トレーナー一人ではどうしても力不足なのだ。だから、ポケモン自身に考えさせる。なぜ負けたのか、どうすれば勝てるのか。
     また、一連の戦略をトレーナーの指示が無くても実行できるよう、毎日反復して練習させる。まず一つの軸を築き上げ、実戦ではその軸から外れない程度にトレーナーが指示を下すようにするのだ。ポケモンは機械ではないから、ある程度の決まったパターンを決めておいた方が、トレーナーの指示からポケモンの行動までに戸惑う隙が生まれにくい。
     そうすれば、自ずとトレーナーごとに、バトルスタイルというものは生まれる。
     強いトレーナーには、型があるものだ。
     なるほど臨機応変なバトルをするのも重要だが、それにはよほどトレーナーと心の通い合った無垢で純真で無茶でアホなポケモンが必要だ。トレーナーの咄嗟の思い付きをポケモンが瞬時に理解するか、あるいは何も考えずに馬鹿正直に指示に従うかしなければ、変態型のバトルはすぐに詰む。
     型に忠実なトレーナーは強い。
     ちなみに俺は、十歳になり旅立つ日が来る前に、テレビ番組で研究に研究を重ねてその解に達したのである。そしてキョウキとセッカとサクヤにそれをレクチャーしたのも俺だった。
     だから俺たち四つ子は、戦闘のスタイルも、ポケモンの鍛え方もほぼ同じだ。


     庭では、子イーブイを除く十六匹のポケモンたちが、それぞれ自主的に模擬戦闘を始めていた。
     俺のヘルガーがぶつかっているのは、キョウキのプテラだった。
     ガメノデスはニャオニクス相手に、接近戦に持ち込もうと奮闘している。
     マグマッグとヌメイルは何となく形状の似た者同士、ぬるぬると戦っている。
     ヒトカゲは相性の悪いゼニガメからわたわたと逃げつつ、猛火を吐き散らしていた。
     ピカチュウはフシギダネの背中の植物にはりついて電流を流し込む。
     フラージェスとチルタリスが空中戦を繰り広げる。
     ゴクリンとマッギョが彼らなりの戦いなのか、ぼんやりと睨み合っている。
     ガブリアスとボスゴドラが、互いに怪獣らしい咆哮を上げながら激しくぶつかり合っていた。
     ポケモンたちの技がぶつかり合い、あちらこちらで爆風を巻き起こす。


     八匹の子イーブイは庭で繰り広げられる乱闘に、縁側で目を白黒させている。俺は縁側に歩み寄ると、その中の薄色と桃色のリボンをした二匹の首筋をつまみあげた。
    「どうだ? ……バトルは怖くないか?」
    「ぷい?」
    「ぷいい」
     薄色のリボンの真珠と、桃色のリボンの珊瑚に問いかける。しかし子イーブイたちには伝わらなかったらしい。小さなイーブイたちはぷいぷいと機嫌よく歌って、庭のポケモンたちを応援している。
     青色のリボンの瑠璃と、黄色のリボンの琥珀を摘み上げるのは、キョウキである。
    「ブイちゃんたちには、バトルなんてまだ早いよねぇ」
    「ぷいいい」
    「ぷう」
    「さっきと言ってること違わねぇか? ポケモンは生まれた直後から戦えんだろ?」
    「レベルの差があるってことさ」
     キョウキはくすくすと笑い、腕の中の小さなイーブイに指先で構っている。

     そこにセッカが縁側に勢いよく飛び込んできたかと思うと、そのセッカの顔面に、赤色のリボンの瑪瑙と緑色のリボンの翡翠が飛びつく。
    「ぎゃあ!」
    「ぷいいー」
    「ぷやああー!」
     セッカはけらけらと笑って小さなイーブイたちを高い高いしている。
    「かわいいー! イーブイ超かわいいー! こんなかわいい子をバトルに出したら、ピカさんみたいにワイルドになっちゃうかもな! まあいっか! 育て!」
    「もったいなくない?」
    「俺、かわいーのも好きだけど、ちびマッチョも大好きだから!」
    「なんだそりゃ」
    「ワンリキーとかドッコラー的な!」
    「てめぇ、格闘タイプにでも進化させる気かよ……」
     セッカの手持ちになった子イーブイ二匹が小さい体躯にムキムキの筋肉を蓄える日を思って、俺は戦慄した。

     サクヤも静かに縁側までやってきて、残されていた水色のリボンの玻璃と濃色のリボンの螺鈿を拾い上げる。サクヤはセッカとは違い、極限まで毛づやを磨き上げそうだと俺は思う。
     はしゃぐ二匹のイーブイを見つめつつ、サクヤは囁いた。
    「……なんにせよ、僕らの手持ちとなったからには、戦ってもらわなくてはならない。体を痛めないよう注意を払いつつ、少しずつ鍛え始めなければ」
    「野山を走り回ればいいと思う!」
     セッカが元気よく叫ぶ。
     キョウキはうーんと唸った。
    「でもさ、このブイちゃんたちは野生じゃなくて、僕らという人の手で孵ったポケモンなんだよね。そのブイちゃんたちに野生を取り戻させるって、難しいと思うんだよね」
    「野生を取り戻す必要はないって! 要は体力つけるだけだって!」
    「早いところ戦力になるに越したことはない。戦力が増えれば、ポケモンセンターのいち利用当たりの戦闘数は稼げる。戦えないポケモンはタダ飯食らいだからな」
     サクヤが、生まれたばかりの無邪気なイーブイを見下ろして淡泊に呟いている。しかしサクヤはそういう奴なので、キョウキもセッカも俺も気にはしない。
     それに、俺たちにとって、この子イーブイたちに一刻も早く戦力となってもらうことは、誇張でも何でもなく死活問題だった。サクヤは間違ったことは言っていない。
    「……サクヤの言う通りだわ」
    「僕も賛意を示すよ」
    「きょっきょが三位? しゃくやが二位ってこと? じゃあ一位は俺で、れーやはビリな! ――じゃ、レッツゴー!」
    「落ち着け。転ぶぞ」
     俺たち四人は申し合わせたように、子イーブイたちだけを連れて、ユディの家を出た。
     外は、風が強かった。


      [No.1397] ありがとうございます! 投稿者:   投稿日:2015/11/17(Tue) 21:10:29     40clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    まずは何につけても感想ありがとうございます。

    > テトのペタペタ日記、完結おめでとうございます。全8話お疲れさまでした。
    念願の完結なのです、嬉しいです。

    > twitterでお題募集を見かけてからずっと、どんな物語が生みだされるのか楽しみにておりました。
    お題をもらったからには書かねば、とがんばりましたw

    > テールナーが美しく描写されていて、嬉しいやら大満足です。でも『スキンシップ』できなかったテトくん、残念でしたね。
    レイコさんからもらったお題のポケモンでしたね。スキンシップの件は残念でした……!

    > テトくんが色々なポケモンにさわりたがる素直さが愛らしく、たまにムズムズして、なんだか憧れと後ろめたさの板挟みになる時もありました。出会う人たちも親切でときどき酸っぱい助言をくれたりすると、遠くから見守ることしかできないテトくんの親みたいなホッとした気分にもなりました。
    > そして純粋に、一度は想像したことがある夢あるポケモンの世界に飛びこんで、最後まで読み進めることができました。
    > テトくんとグレッグル、タマザラシの旅は、語られない白紙の向こうへとまだまだ続いていくんでしょうね。
    難しいことを考えずに没入できるユートピア。そういう夢を私自身ポケモンの世界に抱いてるので、うまく表現できたかな、と思うと嬉しいです。
    テトたちの冒険の続きはみなさまの心の中で……という感じですw きっと足の長いお姉さんと再戦して、タマザラシVSテールナーのカードが組まれていることでしょう、勝てるかどうかはさておき。

    > 心にすてきな気持ちが残る日記をありがとうございました。
    こちらこそ、読んでくださりありがとうございました。


      [No.1396] きみを巣食うもの(八) 投稿者:   投稿日:2015/11/15(Sun) 20:10:15     57clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:カナワ】 【アデク



     アデクは言葉を失った。少年の発した言葉が、まるで見知らぬ国の言語であるかのように、すんなり飲み込むことが出来なかった。
     今にも決壊しそうな激情を理性で押し留め、それでも全部は抑え切れず、少年は辿々しくも烈々と心を散らす。

    「だってふたりは父さんと母さんが死んだのに笑ってたんだ! おれが泣くとすぐ近よってきて、ずっとニコニコしてっ……。ポケモンなんて、乱ぼうだし、何考えてるのか分かんないしっ! いなくなっちゃえばいいんだって、言った……!!」

     自分の勢いに圧倒されたのか、声も無く、放心したようにただただこちらを見つめる老翁。それを好機と、シュヒは今まで他の誰にも言えずにいた己の過ちをぶちまける。今しか言えないだろう、この人にしか受け止めて貰えないだろう気持ちの、全てを。

    「だからおれはもうふたりにも、他のポケモンにだって……きっと、きらわれちゃうから。それなら……“おれが、ポケモンをきらい”って言えばいいって思った」

     アデクは悟る。少年があの二匹を避けていたのは、ポケモンが怖いという理由からだけではなかった。後ろめたさがあったのだ。今度は彼らの心を傷つけてしまったのだという、苦い事実が。
     張り詰めたセピアの双眼がふるりと揺らぐ。泣いてしまうことさえ出来たら少しは楽になれるのにシュヒはまだ、落涙を許されない。もしくは少年自身が、それを許さない。

    「でもね本当は……“ポケモンが、おれをきらい”なんだよ……!」

     それは違う、とアデクは言いたかったし実際、言おうとした。けれど少年の告解はまだ終わっていない。彼を救い出すには、彼の苦悩を全部受け止めなければ始まらない。口を挟むのは最後まで聞き終えてから、それからだ。

    「きっとふたりはおれを……あの時のポケモンが、メイテツとキューコにしたみたいに、する……」

     多大な、思い違い。二匹は彼を傷つけるために近づいて来るのでは無い――アデクは少年の、先の台詞でそのことを確信していた。
     彼らは“弟”を独りにさせまいと、これ以上寂しい思いをさせまいと、常に傍に居ようと、笑顔で包み込もうとしていただけなのだと、そう思う。たとえその彼に嫌われてしまったとしても。
     ポケモンは時に恐ろしい生き物。それは全く以て正しい解釈である。どんなに小さなポケモンでも、その気になれば人間など一捻りで仕留めてしまえるだろう。
     だが同時にポケモンとは、とてつもない優しさを持った、非常なまでに美しい生き物でもあるのだ。時に人間如きの頭や心では、到底想像も理解も及ばないほどに、慈悲深い。
     守りたい、支えたい、救いたい。二匹は多分、たったそれだけを望んでいる。それだけを彼に伝えようとしている。けれど、ポケモンと人間は同じ意思の伝達方法を持たぬがために、少年はもう何年も何年も、彼らを誤解し続けている。
     言葉が通じないというのは、これほどまでに悩ましくもどかしいものだったのかと、アデクは真底悔しくなる。

    「おれ……もうどうしたらいいのか、よく分かんないよ」

     悲哀と恐怖と後悔と。様々な感情の入り乱れで心が震え、肩から腕へ、握り込まれた拳にまでわななきが伝染していく。そんな風に揺らぎ続けるシュヒを、メラルバがじっと見上げた。彼女の水色の双眸に、少年の姿が焼きつく。

    「ポケモンは怖いけど、きらいなんじゃない。でも、おれはポケモンにきらわれてっ……!!」

     面差しを悲痛に歪ませ、シュヒが瞼をきつく閉じた――その時だった。

    「ルバッ」

     アデクの腕の中から突としてメラルバが跳躍し、少年の胸元に飛び付いたのは。

    「!? うわあああっ!!」
    「メラルバ、」

     案の定、戦慄き大声を上げて背中を仰け反らせるシュヒ。反して、アデクは幼虫の起こした思いも寄らぬ暴挙に、呆気に取られる。

    「うわっわ、わ! じ、じーちゃ、たったた助けてっ……」

     今し方していた話の内容が内容だ。瞬く間に青褪める顔面と対照的に、シュヒの脳内で危険信号が真っ赤に点滅する。生命の危機すら覚えて、全身に冷や汗が溢れ出す。

    「お、おれっ……ポケモン、にっ……!」
    「ラルバ〜」

     少年がそれほどまでに自分を怖がっていると露ほども知らない産まれたばかりのメラルバは、彼の腹の辺りを小さな体でもぞもぞと這い回る。それも、とても楽しそうな表情で。

    「じ、じじ、じーちゃん、ってば……!!」

     さっきから何度も助けを求めていると言うのに、翁はぼうっとメラルバに注視しているだけで、うんともすんとも答えてくれない。シュヒは恐怖に支配された心のすぐ隣にある腹を器用に立てて、声を絞り出すべく力を入れた。が。

    「……あいつと同じ、だ」
    「えっ?」

     今まさに腹から声を出そうとしたところで、アデクがこの場に不釣り合いな呟きを漏らしたので、思わず呆れた声に変えさせられてしまった。
     幼虫を捉えながらも、どこか違う者、遠い時を透かし見るような焦点の合っていない目をしていたアデクだったが、少年の微かな疑問の声にはっと意識を取り戻す。

    「あ、いやいや。メラルバ、戻っておいで」

     そして先程までの反応の悪さを取り戻す鋭敏さで、メラルバを引き離してくれた。
     徐々にシュヒの顔色に赤みが差す。落ち着いて来ると少年は、少なからず非難を込めた目つきで翁を一瞥した。




    「メイテツとキューコは、父さんと母さんが大切にしてた、大好きだったポケモンで……メイテツもキューコも、父さんと母さんが大好きで……それなのにおれ……いらない、なんて」

     しばし時が経ち平静を取り戻した少年は、先よりいくらか落とした調子で話し始めた。対峙する老翁は彼が溢す言葉の一つ一つを大切に拾い上げ、じっくり噛み締める。

    「お、おれは……自分がいらないって、自分で思ったんだ」

     それは、以前にも耳にした沈鬱な台詞。あの時は頭に上る血を抑え切れず、出過ぎた真似をしてしまった。幼子相手に残酷極まる掌と言葉とを、叩きつけてしまった。
     しかし少年は、自分でも予期せず与えてしまった厳しい叱責を乗り越えて、それどころか、自分を頼りにやって来てくれた。その想いに、アデクはなんとしてでも答えたかった。だから。

    「メイテツとキューコをいらないって言ったおれなんか、いらないんだ……」

     だから気休めでも綺麗事でも、間違った考えには間違っていると指摘し、真実を伝え、教えなければならなかった。孤独の暗中にいる子供を、温かな陽光の下へ導いてやらなければならなかった。

    「シュヒくん。自分が要らない、と一番思っちゃいけないのは誰か、解るかね」

     少年の言葉が途切れた瞬間を見計らい、アデクは緩やかに問いかけた。悲しみを湛えたまま、けれど優美な答えを求める眼差しで、シュヒはアデクを見返す。

    「自分自身、だよ。自分を要らないなんて、絶対に思ってはならない人は。何故なら“自分”を愛してくれる人が、ポケモンが、悲しむから。自分自身だけじゃなく、自分を産み、育み、守り、愛してくれる者にまで悲しい想いをさせてしまうんだ」

     穏和に答える彼の腕に捉えられている幼虫が、頻りにシュヒに近づこうと彼の方へ手を伸ばす。一人でには音を奏でぬあの楽器に、触れようとしていたカブルモと同じように。

    「それは途方も無く、悲しいことだろう?」

     物悲しい微笑みを浮かべ、アデクは少年の顔を覗き込んだ。シュヒはすぐに返す言葉を見つけられず、青藍を前に口を閉ざす。


    「……じーちゃん、」

     そうしてしばらくし、少年が何事か言いかけた頃。

    「むっ! もう九時か。よい子は眠る時間だな」

     廊下側の壁に掛けられた時計へ目をやったアデクがそんなことを口走ったかと思うと、途端にシュヒを急き立て始めた。

    「さあ、早く歯を磨いてベッドに入りなさい。夜更かしする悪い子はお化けのポケモンが拐いに来るぞ!」
    「ヒイッ! そんな話、しないでよ。眠れなくなるよ!」

     ついさっきまでしんみりしていた空気が一瞬で払拭される、どころか、どんより寒々とした別物にすり変わってしまい、シュヒは即座に背筋を凍らせた。味をしめたのか、わざとおどろおどろしい顔と声でアデクは続ける。

    「今頃はきみの部屋にあるぬいぐるみやテレビにも、お化けのポケモンが潜んでいるかもしれんぞ〜〜」
    「やめてよ、やめてってば!!」
    「もしかすると、きみの影の中にも」
    「じーちゃんっ!!!」
    「ははは! わしもきみの部屋で眠るから、安心しなさい」

     少年の焦る声に怒りが混同し始めたので、アデクはそれ以上彼を脅かすのはやめにした。怪談をするには時期遅れのきらいもあることであるし。

    「…………」

     シュヒは今度は悪寒でガタガタ震える両腕を抱え込み、快活に笑い飛ばしたアデクへ、じとーっと恨みがましい視線を送りつけた。


    「だがその前に、メラルバに食事を与えねばな」

     そう言い瞼を落とした老翁は、身を乗り出していた幼虫を持ち上げ、抱え直す。

    「全ての命は、必ず誰かが待ち望んでいたもの。ゆめゆめ、天寿から外れた所で喪ってはならんのだよ。どんな色、形であろうともな」

     そのように言い含める声がとても温かで、手元の白い毛皮を透く指先がとても優しげで。シュヒは自身の胸が、心が、休まり温もってゆくのをじんわりと感じていた。


    「ごめんなさーいっ、遅くなっちゃった!」

     とそこへ、留守にしていた明るい娘の声が、玄関の方から響き渡って来た。急いで靴を脱ぐ音がした後、廊下に繋がるドアからナズナが顔を覗かせる。男たちに会釈し、彼女はすぐさまリビングへ飛び込んだ。

    「お父さんがメラルバちゃんを見たい見たいって騒いじゃって。メラルバちゃん! 今からご飯作るからねー」

     戻って来た彼女の右手には大きめのトートバッグが提げられている。少女は幼虫に言いながらその頭をそっと撫でると、テーブルへ移動し、鞄から諸々の品を次々取り出していく。

    「世話になるね」
    「いいんですよ! 私が役に立てるなら、いくらでも働きます!」

     台所また借りるねと少年に断ってから、持参した木の実数種類と乳鉢、乳棒とをシンクへ運ぶ。それらを水洗いしつつ、少女は嬉しそうに笑ってアデクに答えた。
     手際よく木の実を細かに切り、乳鉢で混ぜ合わせる作業にナズナが移行したと同時に、シュヒは翁の言いつけ通り歯を磨き終え、就寝の準備を整える。そうして二人におやすみなさいと声をかけ、階段がある玄関へ欠伸をしながら向かった。

    「ラルバ〜、ラルバ〜」

     ドアの向こうに去って行く少年を見送るアデクの胸元で、メラルバが落ち着き無く体を揺らす。

    「メラルバちゃん? どうしたの?」

     木の実のペーストを木製の器に入れ持って来たナズナが、彼女の動作に首を傾げた。すかさず、アデクが少女を呼びつける。

    「ナズナさん、耳を貸してくれ」
    「はい?」

     ふふ、と何かを秘匿するような含み笑いをする翁を不審がりながらも、彼のすぐ傍らに膝をついて少女は耳を傾けた。

    「実はな……、…………」

     そうしてアデクは耳打ちする。
     しばらくののち、ナズナは彼の語った内容に驚きを隠せない様子でいたが、やがて真摯な表情でこくりと一つ、頷いた。








     カーテンは閉ざされ照明も点いていない、真っ暗な子供部屋。南側に置かれたベッドの上で、水色のシーツにくるまりシュヒが、ぶるぶると震えていた。
     理由は単純明快。先頃居間でアデクがした話の所為だ。

    (ふつうのポケモンでも怖いのに……おばけのポケモンが出たらすっごく怖いよ。どうしよう……じーちゃんのいじわる……!)

     考えまいとすればするほど考えてしまい、眠ろうとすればするほど眠れず……そうやって七転八倒してもう既に十数分は経過しているのだが、この様子では彼はまだまだ寝つけそうにない。
     この状態で他に出来ることも無く、こんなことになってしまった原因を作った老翁へ心中で悪態を吐いていた最中、ふと、少年の目線は眼界の右端にある低い棚に吸い寄せられていった。

    「……」

     ベッドと相対する壁際の中央、カーテンの隙間から射し込む月明かりに照らされ、そのテレビラックは仄かに存在感を示している。電源が落ちた真っ黒な画面のテレビの脇には、カントーに住む親戚から貰ったピンク色の妖精ポケモンの人形が、ちょこんと並んでいた。

    「…………」

     モンスターボールの中にならいざ知らず、縫いぐるみやテレビの中、それに影の中にポケモンが入るなど、非常に荒唐な話に思える。アデクを疑いたくはないけれど、果たしてそのようなことが現実に起こり得るのだろうか? 少年は悶々と思考を巡らせた。

     キィィ……

     そんな時、暗闇の奥で何かが軋むような音が立ち、シュヒの肩と心臓は大きく跳ね上がった。

    「ヒイッ!!」

     ついに幽霊ポケモンが自分を見つけ、拐いにやって来たのか。鼓動を激しく打ち鳴らすシュヒの前に直後ゆらりと顔を出したのは、

    「おや、シュヒくん……まだ起きとったのか?」

     少年が上げた大仰な悲鳴に、ややたじろいだ風なアデクであった。

    「じっ、じーちゃん!」
    「夜更かししても無事なところを見ると、お化けポケモンには見つからなかったんだな」

     そう朗らかに言いながら扉を閉め、翁はベッド上の少年へ歩み寄って行く。
     幽霊ポケモンでなかったことに深く安堵したのも束の間、言うに事欠いて、全く冗談になっていない冗談を放ったアデクにシュヒは憤りを覚えた。がば、と被っていたシーツを押しやって上体を起こすなり、食ってかかる。

    「夜ふかししたくてしてるんじゃないよっ。じーちゃんがおどかすから眠れないんだ!」

     詰られ、アデクはすまんすまんと苦笑しつつ頭を下げた。

    「でもさ……ウソなんだよね? ポケモンがさらいに来たり、ぬいぐるみとかテレビとか影とかにいるなんて」
    「さあな。信じる信じないはきみの自由だよ」
    「う……ウソだあ……」

     肯定でも否定でもない物言いに戦慄し、硬直する少年をゆっくりと寝床に横たわらせてやりながら、アデクは柔らかく笑んだ。

    「さ。わしが傍におるから、もう大丈夫……早く眠りなさい」






    「……アデクじーちゃんは電車に乗って、ここに来たんでしょ?」

     睡魔がやって来るまでまだ時間がかかりそうだと判断したシュヒは、脇で壁に凭れ掛かかって座しているアデクに、そのように声をかけた。話しかけられた方もその声色から、彼が未だ現(うつつ)にいることを知ると速やかに対応する。

    「おうよ。ライモンシティからな」
    「ライモンシティかあ。遊園地がある町だよね?」
    「うむ。他にもミュージカルホールあり、スポーツスタジアムあり、ポケモンバトル施設ありの、それは賑やかで大きな街だ」
    「うわあ……なんかすごそう」

     例の事件があってからこれまで、ずっとポケモン嫌いで通っていたシュヒが、カナワタウンを出ることは皆無と言ってもいいほど稀であった。ましてや娯楽都市など、彼がまともに行けば発狂は免れなかっただろう。ミュージカル演者はポケモン、スポーツ選手はトレーナー、バトル施設は言わずもがな。ついでに、遊園地の敷地内にポケモンジムがあるような街なのだから。
     でも、だからこそ。ポケモンとの間に深い溝を築かれていたからこそ少年は憧れ、夢見ていた。いつかはこの小さな田舎町を出て、様々な町へ赴き――そして様々なポケモンと出会い、触れ合える日が来ることを。

    「トレーナーって……旅をして、ポケモンと一緒に強くなるんだよね。じーちゃんも、強くなるために旅をしてるって言ってたでしょ」
    「……昔は、な」

     返って来た返事の意外さに思わず、シュヒは右隣の老翁に頭だけを向けた。今は違うのか、と問いたげな空気を醸す少年に諭すように、そちらへ視線を投げアデクは続ける。

    「今のわしの旅の目的はね。イッシュの人々に、ポケモンと共に過ごす時間の大切さを、伝えることなんだ。それは、トレーナーとして強くなることよりも何倍も何十倍も大切で、ポケモンと共に生きる全ての人間にとって、最も大切なことなのだ」

     闇に溶け込み、二人は共に互いの表情を正確に捉えられない。だがアデクには少年が何度か目瞬きを繰ったことが、シュヒには老翁がゆるやかに瞼を閉ざしたことが、なんとなく理解出来た。

    「もちろん、強くなりたいと思うことも大切だ。きみも、もし強くなりたいと願うなら、覚えておきなさい」

     ひんやりとした空気を揺らしてシュヒは身じろぎし、よく見えないなりに眼下にいる翁の顔を見つめた。青藍が、鮮やかに煌めいた気がする。

    「真の強さとは心の強さ、魂の強さ。誰かのために何かを出来ることを言うんだ。目に見える強さは強い心魂のあるところに、後から勝手についてくるものだ。強さは一人きりでいては身につかない。無数の命に支えられ囲まれて、心が成長する時、手に入るものだということをな」
    「………………」

     言葉を断った後もなお、少年は心を奪われたように茫然と自身を見据えている。アデクは口許だけで笑み、話を継ぎ足した。

    「あいつが、気づかせてくれたことだよ」
    「あの……病気で死んじゃったひと?」

     継がれた台詞の中に聞き覚えのある語句を見つけて、シュヒは問うた。翁が頷く。

    「うむ。雄々しく気高く心優しく……共にがむしゃらに強さを求めた強い、強い奴だった」

     妻か子か、友人か。関係は定かでは無いけれど、彼が甚く大切に想っていたであろう人物。少年はその見知らぬ誰かを、とても眩しく思った。どんな人だったのかと、見てみたくなった。
     しかしアデクのその口振りはまるで、人間に対するものではないように思えて、シュヒはしばし悩んでしまう。それからわずかの間(ま)の後、閃いた。
     人間が、人間と同じくらいに愛情を注ぐ、人間ではない存在(いきもの)――それは、一つしか有り得なかった。

    「ねえ。もしかして、その死んじゃったのって……」
    「そう。あいつとは、人ではない。ポケモンだ。わしの初めてのパートナーだった、大切なポケモン」

     少年は途端、言葉に言い表せない万感の想いを、胸いっぱいに広げた。
     彼と出会ったばかりの頃ならば――初めて彼に、亡くした命の話を聞いた時にその実体を知ったらば、シュヒはきっと反発しただろう。その時の少年は“ポケモン嫌い”だったから。
     でも、今はそうではない。まだポケモンは怖いけれど、アデクを、アデクのポケモンへの想いを全面的に否定することは、今の少年には絶対に出来なかった。彼がいるから、自分は“ポケモン嫌い”の皮を被らずにいられるのだ。
     それに。そのポケモンがいたからアデクはカナワを訪れ、自分の元へ現われたと、そういう風にも言えるはず。見知らぬ翁の相棒に、恩を感じずにはいられなかった。
     相棒から教わったことをイッシュの人々に伝えるため、旅をしていると言う老翁。その教えをたった今、受け取った自分。彼と自分は掛け替えの無い、最愛の命を失った者同士だった。
     そうしてシュヒの思考は自然と、ポケモンを助けて命を落とした両親へと辿り着く。

    「おれも……気づけるのかな。父さんと母さんが、おれに何か、気づかせてくれるのかな……」

     両親が命に代えてポケモンを生かした理由を探ること。遺された自分に、両親が何かを伝えようとしたのかもしれないと感じ取ることが、自分の取るべき行動ではないか。
     そうアデクに言われてから、シュヒは折に触れて思考していた。考えて解ける問題でないことはなんとなく理解していたけれど、何もしないよりは増しなはずと思索を続けてきた。自分も、翁が話してくれたような大切なことを両親の死から得られるのであれば、一刻も早くそれを知りたい。気づきたい。

    「うむ!」

     力強く相槌を返しながらアデクは、ベッドに横たわる少年の頭へ左手を伸ばし、撫でてやる。すると間も無くシュヒの元へ睡魔が訪れて、彼はうとうとと瞼を上下させ始めた。

    「おれ……ポケモン……と……」

     刻々と夢の世界へ誘(いざな)われながらも、少年は、現の世界から自身を見守る老翁へと、絞り出した声で想いを伝える。相手は何もかも心得ているかのように幾度も頷き、微笑んだ。

    (きみは本当は、もうとっくに気がついているだろう)

     自らも辿り着けぬ、心の奥底で、きっと。

     ポケモンを悪者にしたくないがために、自身を悪者に仕立て上げた、優しい少年。ポケモンを不要だと言い傷つけた自分こそが不要だと感じ、責めた、悲しい少年。
     彼は間違い無くこの世界に祝福されている。そのことを、アデクは少年自身の手で気づかせてやりたいと切実に願う。

    「きみが望むなら。きみを愛する者が助けてくれるさ」

     そう声をかけて、シーツが掛けられたシュヒの胸の辺りを、ぽんぽんと軽く優しく叩く。少年は安心感に口許を綻ばせて、小さく頷いた。

    「……うん……」

     救いを求めたのがアデクでない他の人間だったら、ポケモン嫌いの分際で烏滸がましいことを、と見向きもされなかったかも知れない。
     身の程知らずの高望みだったろう。儚い夢物語だったろう。これまでの少年だったら。アデクに出逢わなかったら。あの時彼を、探しに行かなかったら……。
     彼ならなんとかしてくれる。自分の、ポケモンへの恐怖観念も必ず取り去ってくれる。決して高望みでも夢物語でも無くなるはずだと、今のシュヒは一寸の疑いも無く信じることが出来た。

    「ゆっくりおやすみ。シュヒくん」

     翁の口からその言葉が紡がれたと同時に、少年は僅少に残っていた意識を手放した。明くる日への大きな期待と希望を、安らかな寝顔に目一杯に満たして。




    「…………」

     少年が深い眠りに就き、健やかな寝息を立てるようになるまで、アデクはずっと見守っていた。眠れないから、ではない。今夜この家で眠るつもりは、翁には毛頭無かった。
     衣擦れの音をわざと立ててみる。少年が微動だにしないのを確認し、床から腰を上げる。
     自分に出来るのはここまで――そのようにアデクは感じていた。この孤独な少年を本当の意味で救うことが出来るのは、最初から自分ではないと決まっていた。自分には、単なるきっかけを作ることしか許されていなかった。始めから橋渡しという役割だけを、任されていたのだろう。
     荷物を背負いながらベッドを離れ、ドアノブに手をかける。それからドアの隙間から少年を振り向き一言、アデクは言った。


    「さようなら。」

    (きみの見る倖せな夢が、現実となることを、心から願うよ)


     微弱な音を立て、扉が閉まる。
     シュヒは夢の世界からいっときも戻らず、幸せな表情で眠り続けた。








    『始発列車ライモン行き、間もなく発車致します』

     プルルルルルルル……


     闇明け切らぬ午前五時。
     一番線に停車中の車両の案内をする女声アナウンスが途切れると、発車を告げるベルが高らかにプラットホームに鳴り響いた。そこへ青い体の虫ポケモンと、赤い頭髪の老翁が前後して、階段を駆け下りやって来る。

    「カブルー!!」
    「おいおいカブルモ! わしを置いて行くな!」

     最寄りの乗車口から電車に飛び乗り、遅れてやって来るアデクに振り向くと、カブルモはぴょんぴょん飛び跳ねて見せる。

    「カルッ!」
    「おまえは……そんなに電車が気に入ったか!」

     額に薄く汗をかきながらなんとか時間内に電車に乗り込み、先にボックス席の窓際を占領していた甲虫の元へ進む。アデクも隣へ着席し、足下に荷物を置く。ややあってから扉が一斉に閉まり、やがて列車はゆっくりとゆっくりと前進を始めた。
     車窓から見える景色は、未だ夜色に染まっている。それでも、アデクには辺りに広がるのどかなカナワタウンの風景を、ありありと思い描くことが出来た。

     人とポケモンが互いに幸せに暮らし、互いに出来ることを為し、助け合っていた。哀しく理不尽な出来事に見舞われても、懸命に生きようとする命がそこにあった。
     平凡で、何処にでもあるような、小さな田舎町。けれどアデクはこの町を、この町に生きる彼らのことを、この先決して忘れないだろう。

     窓に張り付いていたカブルモが、不意に外へ向けて声を上げた。アデクもほぼ同時に窓の外に見えるものに気がつき、そちらへ大きく手を振る。線路に沿って点在する街灯の内の一つ、その傍に、自転車に跨がりキミズが立っていた。荷台にはミルホッグの姿もある。
     昨夜遅く突然来訪したアデクに快く寝床を貸してくれ、始発列車に間に合うよう取り計らってくれた相手だった。わざわざ見送りに来てくれたのだろう。巡査はにこやかに脱帽し、それを掴んだ右手を頭上でぶんぶんと振った。大鼠も倣い、帽子を脱いで振り回す。
     あっという間に車両はふたりの警官の脇を駆け抜けた。南へひたすら、一直線に。
     颯爽と走り去る六両編成の始発列車へ、キミズとミルホッグが揃って敬礼を捧げた。






     遠くで近くで、マメパトたちの囀りが聞こえる。淡く柔らかな朝の陽射しに包まれた部屋で、シュヒは一人、目を覚ました。
     ぼんやりとした目で辺りを見回す。昨夜そこにいたはずの翁の姿は無い。階下にいるのだろうと解釈して、服を着替えるべくベッドを下りようと体勢を変えた。
     ふと、少年は枕元に何かが置いてあるのに気づいた。目をこすりながら手に取れば、それは少しの文字が書かれた紙切れであった。

    『メラルバをよろしく。
                アデク』

     たった一言、そうとだけ書かれたメモの傍らに紅白色のボールが一つ、置かれていた。


      [No.1097] 追いかける者〜プロローグ 追いかける者 投稿者:咲玖   投稿日:2013/05/17(Fri) 17:43:55     58clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     八坂智志は、同じ説明を同じ日に二度行った。一度目は母親に、二度目は妹に。
     正確には、母親に一度目の説明を終えて、母親が猛り狂って罵声を吐き散らかしているところから逃げ出した先に妹がいたのだ。智志は妹に匿ってもらい、そして当然、妹に説明を求められた。
    「お母さんすごく怒ってるねえ。どうしたの?」
     驚くでもなくおののくでもなく、普段と変わりない絵里子は、兄の説明を聞いてもまだ普段と変わりなかった。
    「大学は辞めたらちょっと損だね。お兄ちゃんの、いい大学だし。ジャーナリストって色々大変そうだし」
     そういう現実的な利害判断を下したのみだった。
    「でさ、ジャーナリストって具体的に何するの」
     妹の部屋に避難した八坂智志は、まだ勝手は分からないがインタビューに付いていってアシスタントをやることになってる、と話した。妹はふーん、と言った。ベッドに寝転んだ体勢のままで。
    「正義をかざしたり、真実を暴いたりは、しないの」
    「まだ分からない」
     妹はベッドに寝転んだまま、ふーんと言った。それから、智志に言うでもなく、漫画を取り出しながら、
    「じゃあ愛とか優しさとかになるのかな……どうなんだろ」
     今読んでいる漫画に答えはなさそうな様子だった。智志はというと、晩ご飯までに母親の機嫌がいくらか直ればいいと思っていた。

     八坂智志は二十二歳ではじめて人生の転換を試みた。が、そのやり方はスマートからは遠かった。スマートが聞いたら裸足で逃げる程にはかけ離れていた。
    「俺を弟子にしてください。雑用係でもなんでもいいです」
     初対面の人間に頭を下げた。
     その人間が書いた本に七日前に感銘を受け、なおかつその人間の事務所が近所にあって、その上智志がその人間に会ったという、そんな理由で。
     下げた頭に鉄拳が降ってくる可能性もあった。が、智志の頭は下がった後、何事も無くきちんと上がった。師事する人間の呆れ顔が、智志の目にアップで映った。白髪に鷹の目、と智志は思った。
    「履歴書、持って来い」
     それが智志の人生を変える予定の出会い――真壁誠大との出会いだった。

    「でもさ、大学辞めることないよね」
     笑う妹に、智志は
    「まだ辞めてない」
     と一応反論する。智志も利得計算からは逃れられなかったのだ。
    「で、どうなるの? 週三でバイトとか、そんな感じ?」
    「いや、まず、次のインタビューの時にアシスタントとして連れてってもらえることになってる」
     言ってから、過分な扱いだと気付く。いくら事務所に人がいないとはいえ、押しかけ女房みたいな智志をいきなりアシスタント扱いとは。
    「ま、何事も経験だよ。頑張りな、兄ちゃん」
     妙に偉そうに、絵里子が言った。虚勢にも見えた。そして、なおも母親の機嫌を気にする智志に、しかし兄ちゃんのやり方って、スマートが裸足で逃げそうだよね――と言ったのだった。

     真壁の事務所の扉を開く。もう一人働いている子がいるらしいが、今は真壁しかいなかった。挨拶をし、中に入る。四方の壁を埋める棚の、ある段にはファイル、ある段にはカセットテープと、ラベルを貼った方をこちらに向けて、整然と並んでいた。
     白いラベルの群れが見つめる中央に、真壁はいた。硬派な記事とは裏腹に、疲弊したサラリーマンのような真壁。だが眼光は鋭く、智志を射った。
    「これ、読んどけ」
     そう言って真壁から渡されたのは、分厚い黒いファイルだった。最初の頁を捲る。『ポケモンを用いた脅迫による連続強姦事件』。
     確かこれは、十年以上前に終わった事件ではなかったか。
     智志の顔色を読んだ真壁が言う。
    「俺は、正義を求めたり、真実を暴いたりはしないんだ。ただ、追いかけるだけだ」
     その追跡に、今日智志は同行する。


      [No.780] 第85話「ポケモンリーグ決勝戦」 投稿者:あつあつおでん   《URL》   投稿日:2011/10/19(Wed) 09:30:18     56clap [■この記事に拍手する] [Tweet]



    「ポケモンリーグ、今日は15日目、時刻は午後8時。いよいよこの時がやってまいりました。先程行われた3位決定戦も中々の盛り上がりを見せました。しかし、ここにいる観客、テレビの視聴者が見たいのは! 今から行われる決勝戦だ! 笑っても泣いてもこれが最後。だからこそ、笑顔で迎え入れよう! それでは、選手入場!」

    「……いくぜ。俺とポケモン達、最後の勝負だ!」

     ダルマは力強くスタジアムに乗り込んだ。雲1つない夜空、瞬く星々、スタジアムを照らすライト……全てが彼のために用意されたような気さえ起させる。

    「久しぶりだなダルマ! 最後はお前と勝負か」

    「ゴロウ! まさかお前が決勝戦の相手なのか?」

     ダルマはトーナメント表と対戦相手を見比べ、目を丸くした。表に書かれていた256人の名前は殆ど消されてしまっている。残るは、ダルマとゴロウ、この2人のみである。決勝戦の相手は、ダルマが初めて戦ったゴロウだったのだ。

    ダルマはふと、スクリーンに注目した。映っているのは手持ちの数である。ダルマが6匹なのに対し、ゴロウは1匹しか表示されていない。

    「な、なんで1匹しか表示されてないんだ……?」

    「それはもちろん、俺が1匹しか持ってねえからだ」

    「1匹……はっ、もしかして?」

    「その通りだ。俺はポケモンをゲットするのが壊滅的に下手だからな、割り切って1匹で戦っていたんだよ。まあ、キョウのおっさんに相当鍛えてもらったから1匹でも全然大丈夫だけどな!」

    「……そうか、なら良い。じゃあそろそろ始めようぜ、これが最後だ」

    「おう。あの時の悔しさ、今こそ晴らしてみせる!」

     ゴロウの目に炎が宿った。戦いの開始を告げる合図である。ダルマは1匹目のボールを手に取った。

    「これより、ポケモンリーグ決勝戦を始めます。対戦者はダルマ、ゴロウ。使用ポケモンは最大6匹。以上、始め!」

    「ブースター、まずはお前だ!」

    「いくぞラッタ!」

     2人はほぼ同時にボールを投げた。出てきたのはラッタとブースターである。ラッタには、体中に傷が入っている。

     ダルマは図鑑を開いた。ラッタはコラッタの進化形で、並以上の素早さを武器とする。全体的に能力が低いものの、特性や技の威力でそれらを補う。技の範囲は狭いが、全く駄目ということもない。単に鋼タイプを出せば止まるわけではないので、注意が必要だ。

    「ダルマ選手はブースター、ゴロウ選手はラッタからです。ゴロウ選手はラッタがやられた瞬間負けとなりますが……な、あれはなんでしょう!」

    「う、どうなってるんだ!」

     ダルマはスクリーンの表示に腰を抜かした。ブースターのレベルは50と示されている。他方、ラッタのレベルは上限の100となっていたのである。ブースターは、そんなラッタの威圧感に委縮してしまっている。

    「れ、レベル100なんて……どの対戦相手も50程度だったのを考えると、とんでもないな。けどそれがなんだって言うんだ。ブースター、手始めに馬鹿力だ!」

    「俺のバトルに手始めなんてねえぞ! 不意打ちだ!」

     ブースターが動き出した途端、ラッタの姿が消えた。すると次の瞬間、ラッタがブースターの背後に現れ、ブースターを殴った。一見普通の攻撃のようだが、ブースターは為す術なく崩れ落ちた。

    「ブースター戦闘不能、ラッタの勝ち!」

     ダルマは思わず唸ってしまった。対するゴロウは完全に勝ち誇った様子である。

    「ブースター! くそー、こりゃかなり厄介だな。……あ、あれ?」

     ダルマはラッタの異変を察知した。体中を炎が包んだかと思えば、ラッタは火傷状態になってしまったではないか。

    「ラッタ、火炎玉で自ら火傷になりました。これはまさか……」

    「根性か!」

    「その通り。1発耐えてどうにかできるなんて思うんじゃないぞ!」

    「へ、へへ。1発耐えるくらい簡単さ、頼むぞスピアー!」

     ダルマはブースターと入れ替わりにスピアーを繰り出した。例のように、右腕にタスキを結んでいる。

    「きあいのタスキか。んなもんで俺達は止まらねえよ、みだれひっかき!」

     ラッタは一気にスピアーに接近、自慢の爪でやたらめったらに引っかいた。火傷をしているとは思えないキレである。なんと2回目の攻撃でスピアーを切り捨ててしまった。ラッタはそのままゴロウの元に戻る。

    「スピアー戦闘不能、ラッタの勝ち!」

    「な、なんだとおおお! みだれひっかきなんて反則だろ」

    「んなことねえよ。相手の意表を突くのは立派な戦略だ」

    「う、反論できない……」

     ゴロウの言葉に、ダルマは唇を震わせながら地面を踏みつけた。彼はしばし首を捻ると、苦渋の色を浮かべた。

    「ええい、こうなったら持久戦だ。キマワリ!」

     ダルマはスピアーとキマワリを交代した。今日もこだわりメガネを装備している。こうして見てみると、どこか別世界の敵と似てなくもない。

    「無駄無駄無駄無駄ぁっ、かえんぐるまだ!」

     ラッタは攻め手にこと欠かない。自らに着火し、キマワリに高速で突っ込んできた。これを食らったキマワリは瞬く間に火だるまとなり、炭を通り越して灰となってしまった。

    「キマワリ戦闘不能、ラッタの勝ち!」

    「やはり耐えないか。けど徐々に体力が削れてきたな。よし、次はキュウコンだ!」

     ダルマはためらわずにキュウコンを投入した。日差しが一気に強くなる。ここまで敵なしのラッタは徐々に火傷のダメージが蓄積しているのか、やや呼吸が荒くなっている。

    「おらおら、今度はからげんき!」

     ラッタの快進撃は止まらない。キュウコンの懐へ駆け、無理に暴れまくったのである。歴戦のキュウコンでさえ話にならず、たまらず気絶した。

    「キュウコン戦闘不能、ラッタの勝ち!」

    「まだまだ、カモネギ!」

     ダルマはすぐさまキュウコンを退かせ、カモネギを送り出した。準決勝と同じく、二刀流で立ち向かう。

    「何匹来ても同じこと、からげんきだ!」

     ラッタの前に茎ではあまりに脆い。ラッタは再度からげんき攻撃を行い、2本の茎でガードしていたカモネギを吹き飛ばした。耐久力のないカモネギは、確認するまでもなく瀕死である。

    「カモネギ戦闘不能、ラッタの勝ち!」

    「なんという戦力差でしょうか。ダルマ選手、あっという間に1対1に持ち込まれました。この絶体絶命のピンチをしのげるのでしょうか」

    「……あー、ここが勝負所だな。時間稼ぎをしてくれた皆のためにも、これは負けられない。出番だ、オーダイル!」

     ダルマは努めて冷静に最後の1匹、オーダイルに全てを託した。迎え撃つラッタは既に火傷のダメージが馬鹿にできないものになっている。息は切れ切れで、持ってあと数ターンと言ったところだ。

    「へっ、最後は最初と同じ相手か。今の俺達は違う、不意打ちだ!」

     最後の対決、先に動いたのはラッタだ。ラッタはまたしても姿を隠してオーダイルの背後を取り、正拳突きをかました。オーダイルは苦痛に顔を歪ませながら、辛うじて耐えてみせた。一方的な展開で沈黙していたスタジアムが、一気に盛り上がる。

    「よし、計画通り。アクアテールを食らえ!」

     オーダイルは背後のラッタに尻尾を叩きつけた。虚を突かれた1発により、ラッタの体は宙を舞う。

    「とどめだ、アクアジェット!」

     すかさずオーダイルは全身に水をまとい、激流の如き砲弾となって追撃した。これを受けたラッタは体勢を崩したまま着地し、それを見たダルマは安堵の表情を浮かべた。スタジアムは再び静まり返り、ジャッジを待つ。

     ところが、予想外の事態が発生した。なんとラッタが起き上がったのである。スタジアムのあちこちに、悲鳴にも似た叫びがこだまする。もちろん、ダルマの顔も凍りついた。

    「……お前は最高の相棒だぜ、ラッタ。終わりにするぞ、からげんき!」

    「うおおおおおおおおおお!」

     ラッタは最後の力を振り絞り、からげんきを叩き込む。ほうほうの体であるオーダイルにはこれを避けることなどできず、地響きを立てながら倒れた。そして、審判の声が全てに幕を下ろすのであった。

    「オーダイル戦闘不能、ラッタの勝ち! よって決勝戦、勝者はゴロウ選手!」



    ・あつあ通信vol.66

    ダメージ計算は6V、ラッタ@火炎玉陽気攻撃素早振り、ブースター意地っ張り攻撃素早振り、キマワリ@メガネ臆病特攻素早振り、スピアー@タスキ陽気攻撃素早振り、キュウコン臆病特攻素早振り、カモネギ@長ネギ陽気攻撃素早振り、オーダイル意地っ張りHP攻撃振り。レベルはラッタが100、その他が50。ブースターへの通常不意打ちを皮切りに、キマワリは火炎車で、スピアーは根性乱れひっかき2発目で、キュウコンは根性空元気で、カモネギも根性空元気で確定1発。オーダイルは根性不意打ちをギリギリ耐えた後激流アクアテールとアクアジェットを255/256の確率で耐えられ、根性空元気で万事休す。ダメージ乱数の選び方がBWで変わってなければ255/256以上の確率で耐えます。まあ、日照り状態の時点で完璧に耐えられてしまうのですが。


    あつあ通信vol.66、編者あつあつおでん


      [No.779] [三章]ポモペ 投稿者:ヨクアターラナイ   投稿日:2011/10/18(Tue) 22:48:07     62clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    pocket
    monster
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                 『バリアー・後編』





                 シオンは女や子供を殴った覚えなど一度もなかった。
                 それでも殴る覚悟をした。
                 目の前を立ち塞がるワカバをグッとにらみつけた。


                 「どうしても退いてくれないのか?」

                 「何度言えば分かるの? 仕事だから、ここは通せないって」


                 ワカバの顔面はすでに殴られた後のように不細工だった。
                 流れるような金髪、色白の肌、細長い手足、小柄な体系、
                 そしてベトベトンのような醜い容貌、顔を隠せば美少女であろう。


                 「じろじろ見ないで。気持ち悪い」

                 「自意識過剰だな。どうしても退かないなら、
                 俺は力ずくで通り抜けてやるぞ?」

                 「力ずく? 笑わせないでよ。
                 アンタみたいなもやしっ子が、無理に決まってんじゃん」


                 ワカバは鼻で笑った。
                 やせ我慢や見栄を張った様子はなく、
                 異様な自信があるようだった。
                 シオンは運動が得意なワケではないが、
                 細身のワカバよりも一回り体が大きい。
                 実はナントカ拳法の免許皆伝取得者、
                 なんてことはありえない。
                 この世がフィクションでもない限りシオンは、
                 ワカバの妨害を切り抜けられると信じていた。

                 そうこう思案している内に、
                 ワカバはおもむろに鉄球を取って見せた。
                 赤と白の鉄球だった。


                 「ああモンスターボール」


                 紅白の鉄球がワカバの手の平から離れた。
                 モンスターボールは大地で真っ二つに割れ、
                 白い光が宙に漂う。
                 みなぎる光が、ポケモンへと変形していく。
                 ベトベトンが現れる予感がした。


                 鉄球の内部から青き竜が姿を披露した。
                 大きな蛇のような小さな龍がいた。
                 その太く、長く、しなやかな体躯が、
                 なめらかな曲線を描いている。
                 尾と首元に瑠璃の玉が飾られ、
                 真珠色をした円錐の頭角をはやし、
                 天使の翼を形作る純白の耳に、
                 黒い光沢のある瞳がキラキラしている。
                 ドラゴンポケモンのハクリューだった。
                 初見だったシオンは、思わず声を漏らした。


                 「びゅっ……ビューティフォー……」


                 目の前で、美術品が鼓動しているかのようだった。
                 宝石が生を受けたかのようだった。
                 瑠璃の化身だった。
                 隣のベトベトン女と見比べるとより輝いて見えた。


                 「彼女が私のポケモンよ、名前はハクリーヌ。
                 これでも力ずくで通るって言える?」


                 青き竜の体長はワカバのおよそ三倍近くあった。
                 良く育てられてるのだと思った。
                 人がポケモンに勝利するケースは少ない。
                 シオンは勝てると思っていない。
                 勝敗よりもハクリーヌを、
                 このまま奪い去ってしまいたかった。


                 「人間が、それもアンタみたいなのが
                 ポケモンに勝てるわけないでしょ。
                 分かったら帰りな」

                 「嫌だ! 俺はこの先へ行く」 

                 「ハクリーヌと闘うつもり? 殺されたいの?」

                 「ああ、相手をしてもらいたいくらいだよ」

                 「そ。じゃあハクリーヌ、そこらへんの地面にたたきつける」


                 青き竜は、尻尾を天にかざすと、ムチのようにしならせた。
                 ビュンと風を切る強い音が、パン!と足元から鈍く轟く。
                 一瞬だけ空間がねじれて見えた。
                 ハクリーヌの尻尾から胴体まで地面に減り込んでいた。
                 一瞬で大地が凹んだ。


                 「次は当てるわ」


                 ワカバはいやらしい笑みを浮かべる。勝ち誇った表情に見えた。
                 シオンは大地を思いっきり踏みつけたが、
                 分厚い鉄のように固く微動だにしない。
                 それをハクリーヌは粘土ようにひしゃげる。

                 もしハクリーヌの一撃を生身の人間が受けたならば、
                 無事では済まないだろう。
                 衝撃を受けた骨格は粉々に砕け、体内の臓器が全て破裂し、
                 肉片と血をまき散らして、原型のない遺体へと成り果てる。
                 途端、死の恐怖に足がすくんだ。


                 「お前は、そんな簡単に人殺しになるつもりか?」

                 「死なないわよ。知らないの『エッチピー』って」


                 いやらしい何かの単語かと勘繰ったが、
                 シオンはすぐに理解した。


                 「『ヒットポイント』だろ? 
                 ポケモンの持ってる体力みたいなもんだよな。それが何だって?」

                 「ポケモンの『技』って『HP』を削るためのもの。
                 でも人間には『HP』がない。よって死なない」


                 シオンは大地に空いた穴をもう一度見つめた。


                 「死ぬって!」

                 「そんなことない、理屈が通ってる」

                 「屁理屈だ! 
                 人間にポケモンの技を試してみたい愚か者の言う屁理屈だ!」

                 「でも、私やるから。仕事だし。アンタが通るって言うのならね」


                 さらりと言ってのけるワカバの言葉が冗談に聞こえなかった。

                 ワカバはトキワシティの門番でもあった。
                 不審者を捕まえ、悪人を街から逃走させない使命を受けていた。
                 強い力を持つ証だった。
                 か弱いから勝てる、女だから、
                 などと浅い読みをし、今になって後悔した。

                 命を賭けてまで突撃したくはない。
                 その一方で、ここを乗り越えねばトレーナーになる時が
                 永久に訪れそうにない。
                 ポケモントレーナーになれないのなら、
                 死んだ方が良いと本気で思っていた。

                 自己暗示をした。
                 目の前の困難を乗り越えたらポケモントレーナーになれる。
                 今、頑張ったなら夕方頃にはポケモントレーナーになっている。
                 黄色い電気ネズミが相棒として、自分の隣にくる。
                 この場を切り抜けて帰ってくるだけで、念願が成就する。
                 苦しみの後に必ず幸せはやってくる。

                 女と竜が視線を投げ、待ち伏せていた。
                 勇気を携え、シオンは腹をくくる。
                 大地を蹴って、走り出した。


                 「はかいこうせん!」


                 ハッキリした声だった。
                 目の前が真っ白になった。
                 張り裂けるような爆音と雷鳴が轟いた、かのようだった。
                 灼熱の炎が体を押し潰す勢いで迫っている、ように感じた。
                 背中から猛スピードで疾走している、ように感じた。
                 燃え上がる烈火の中を延々と落下しているような、
                 そんなイメージがシオンの頭で展開された。
                 熱い炎と凍える風に圧迫されて、見動きは取れず息が苦しい。
                 何処も白しか見当たらない。
                 何が起きているのか分からず、不安と恐怖でいっぱいだった。


                 視界からうっすらと白色が引いていった。
                 青空と大地がかき混ぜられる景色を眺めていた。
                 シオンはごろごろ転がっていた。
                 思い切り力んで、起立すると、その場で崩れるように倒れた。


                 体中を鈍痛が何度も突き刺した。
                 頭から足までズキズキと鮮明に感じとれる。
                 めまいがする。吐き気がする。脳みそが震えているようだ。
                 シオンは深呼吸すると、石のように固まり、眠るように休んだ 。


                 痛みが薄まる。シオンは踏ん張って立ち直る。
                 周囲にワカバとハクリーヌの姿はない。
                 至る所で緑色の屋根の住宅が見つかった。
                 推理する。ハクリーヌの攻撃を受け、
                 シオンはトキワシティまで吹っ飛ばされてしまった。

                 人の限界を余裕で超える圧倒的な威力だった。
                 腹の底にのめり込んだ灼熱が、今更じわじわと伝わってきた。
                 あらがえず無力を感じた凄まじい圧力。
                 軽々と人体を猛スピードで飛来させる大力。
                 簡単に恐怖や不安を覚えさせる能力。
                 心を揺さぶる一撃だった。シオンは感動した。


                 「ふははははは」


                 弱弱しく笑ってしまった。変態になったのかもしれない 。
                 シオンは、強い力に憧れていた。
                 ポケモンは凄くて強くてカッコイイのだと再認識した。
                 それが嬉しかった。
                 たまらなくワカバが羨ましくなった。


                 「ああ、俺も力欲しいなぁ。ポケモン欲しいなぁ。ちくしょう!」


                 もし自分が破壊光線をぶっ放していたら、
                 そんな力があったらと考えただけで気持ちが高ぶった。
                 ちょっとしたヒーローになれそうだった。
                 たまらなくハクリーヌが欲しくなった。


                 「さて。どうしようかな」


                 自分のポケモンが欲しくてたまらない。
                 今すぐにでも手に入れたい。
                 ワカバとハクリーヌに無謀な再挑戦を挑んだ所で、
                 半殺しに遭うのは目に見えている。無策での挑戦を中止した。


                 果たして何をどうすればポケモントレーナーとなれるのか。
                 頭をひねって悩み続けてもさっぱり分からない。
                 奇跡でも起きてくれない限り、
                 ポケモンを手にする自分が想像できない。
                 未だに起きてくれる気配のない奇跡にシオンは失望していた。


                 「普通のポケモントレーナーになるぐらいなのに。
                 ただそれだけのことだってのに。
                 ああ! ちくしょう!」











    つづく?


      [No.778] [二章]ポモペ 投稿者:ヨクアターラナイ   投稿日:2011/10/17(Mon) 08:31:30     61clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

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                 『バリアー・前編』





                  早朝に外出するのはシオンにとって久方ぶりのことだった。
                 傾いた朝日、色の薄い青空、ポッポのさえずり、
                 少し肌寒い春風、新鮮に感じられた。
                 人の見当たらないトキワシティは、ゴーストタウンのように思えた。
                 相変わらず、全ての家が緑色の屋根をしていた。
                 太陽を背にすると、石畳の上に自分の影が濃く映っていた。
                 早足でスニーカーを鳴らし、歩き出した。


                  住宅街を抜けた先に、広葉樹が防壁のようにどこまでも並んでいた。
                 水平に伸びる樹の壁に一か所だけ穴があった。
                 トキワシティの出入り口だと解るなり、シオンは駆け寄った。

                  真っ二つに割れた森の間が一本道となって伸びている。
                 その道を妨げるように突っ立つ人影があった。
                 可愛らしいミニスカート、サラサラの長い金髪、醜く歪んだ顔面、
                 それはベトベトンのような容姿の女性だった。


                 「そこの男子!」


                  シオンは目の前で叫ばれた。不愉快だった。


                 「誰?」

                 「私はヨシノ・ワカバ。ポケモントレーナーよ」

                 「何か用ですか?」

                 「あなたがポケモントレーナーだと証明出来るものを見せなさい。
                 今すぐ!」


                  横柄な態度の女だった。不愉快だった。


                 「どうして俺がそんなことしなくちゃいけないんですか?」

                 「私の仕事だからよ、アルバイト様よ。それに国で決められた規則だし。
                 不審者なら町の外に出すわけにもいかないでしょ? 
                 それとも見せられない理由でもあんの?」


                  上から目線のワカバはシオンを見上げて言った。不愉快だった。


                 「そうじゃないけど……それで、俺は何を見せたらいい?」

                 「例えばポケモントレーナーの証明書」

                 「トレーナーカードは家に置いてきてあるんです」

                 「じゃ、あなたのポケットモンスターを見せて」

                 「俺のポケモンは人見知りなんだよ」

                 「じゃモンスターボール出しなさい」

                 「はい」


                  シオンは金の玉を見せびらかした。愉快だった。


                 「あなた名前は?」

                 「ヤマブキ・シオン」

                 「へぇ……酷い名前」

                 「よく言われます」

                 「今時アンタみたいの珍しいから覚えておくわ。でも、他の街の
                 名前してたってトキワシティから出してあげないから」


                  カッとなって尋ねる。


                 「どうして!」

                 「だって、あなたポケモントレーナーじゃないんでしょ?」

                 「そんなことはない!」

                 「ならそんなだらしない金の玉じゃなくって、トレーナーカード
                 を見せなさい。あなたがトレーナーだって証明できるものを見せなさい」


                  シオンはポケモントレーナーではない。
                 トレーナーだと証明できるものなど持ち合わせてはいない。
                 困ったシオンは、女性を避けて通ろうとした。
                 しかし、右へ行っても左へ行っても、
                 ベトベトンの容貌がシオンの前に立ち塞がった。


                 「お願いです。どいてください」

                 「駄目。もし、それなりに強いポケモン持ってるなら通してあげる」

                 「何で? どうしてトレーナーじゃないってだけで
                 通してくれないんだ? 納得のいく説明をしてくださいよ」


                  ワカバは呆れたと言わんばかりのため息をついた。
                 毒ガス攻撃と思い、シオンは一瞬だけ呼吸を止めた。


                 「いい? よく聞きなさい ここから先には野生のポケモンがいるの。
                 人が襲われんのよ。危険なの。
                 しかもアンタはポケモン扱えない弱者だから超危険なわけ。
                 だから野生のポケモンがいない安全な町の中に戻ってて」

                 「嫌だ、戻らない。
                 俺はこの先にいる野生のポケモンを捕まえに行きたいんだ。
                 町の中じゃ捕まえても許されるポケモンなんて入ってこないから、
                 俺はいつまでたってもトレーナーになれないんだよ」


                  シオンは細い目をじっと睨んだ。
                 何か違和感があった。
                 ふと意見が一致してないと気付いた。
                 シオン自身は事実を述べていたが、
                 ワカバも嘘を吐いているように思えない。
                 おかしな点といえば、目の前にいる女の顔しか見当たらない。


                 「あの、何か矛盾してません?」

                 「何もしてない」

                 「でもポケモン持ってない人は、街の外に出られないんですよね?」

                 「そうよ」

                 「じゃあ、あなたは最初のポケモンをどうやって手に入れたんですか?」

                 「え? 何言っちゃってるの?」


                  ワカバは鼻で笑った。思わず噴き出したようだった。
                 馬鹿にされていた。シオンはムカついていた。


                 「だっておかしいじゃないですか。
                 町に野生のポケモンは来ないんですよ、
                 捕まえていいポケモンがいないんですよ、一体どうやって?」

                 「私は父から貰った」

                 「ああ……なるほど、まぁそうなりますよね」

                 「ええ」

                 「じゃ、あなたの父親はどうやってポケモンを?」

                 「父も親から譲り受けたのよ。
                 でも、私の祖父は野生のポケモンを捕まえてたみたい。
                 昔は法律ってのも厳しくなかったみたいだし、
                 私みたいな仕事する人も少なかったっぽい」

                 「なら今の時代はどうやったら手に入る?」

                 「だからアンタも親に頼みなさいよ」

                 「もしも親がいなかったら?」

                 「しつこい! でも、まぁ、普通は貰うもんでしょ。
                 最初のポケモンは、ナントカ博士から貰ったって話も多いし」

                 「うん、そうだよな。それが普通だ。貰えるもんなんだ」

                 「ええ」

                 「じゃあくれ! 俺の最初のポケモンくれ!」


                  シオンは嬉々として両手を伸ばして見せた。
                 ワカバは眉間にしわを寄せ、汚物を見ているような表情をしていた。


                 「訴えられたいの? 警察に捕まりたいの? それとも死にたい?」

                 「なんだよそれ? 犯罪なのか?」

                 「そうよ死刑よ!」

                 「普通は貰える、って自分で言ったくせに!」

                 「でも普通は赤の他人にあげない。
                 大切な仲間をあげたりなんてしない」


                  ワカバの意見に納得は出来た。
                 そういう反応をすることも予測出来ていた。
                 それなのに怒りがこみ上げる。


                 「自分で言ったくせに。それなら、せめてこの道を通してくれよ」

                 「だから出来ないの。そういう仕事。解ったら帰りなさい」

                 「俺が可哀想だろ!」

                 「別に。全然」


                  シオンの胸の奥で憤怒と興奮が爆発しそうなくらいパンパンに溜まった。
                 ヒステリーを起こして喚き散らしたい衝動に駆られた。
                 こらえる。


                 「なぁ」

                 「しつこい。ストーカー?」

                 「それじゃあさ、他の道教えてくれよ。
                 街の外に出られる道って他にもあるんだろ?」

                 「出入り口なら三つあるわ。でもアンタは街から出られない」

                 「何で」

                 「解らないの? 馬鹿ね。さっきも言ったけど、
                 トレーナーじゃない人間を街の外に出すわけにはいかないの。
                 つまり他の出入り口にも私と同じ仕事の人が見張ってるってワケ。解った?」

                 「いちいち腹の立つ言い方をするよな。
                 それじゃ、その出入り口で俺の邪魔するなら、
                 俺はどこから外へ出ていけばいい?」

                 「そことか、そことか」


                 ワカバは右と左を指して言った。
                 彼女の左右から樹木がどこまでも並んでいる。
                 こんもり茂る常緑広葉樹は、人の入る隙間もない程、
                 ぎゅうぎゅうに敷き詰められて並んでいた。
                 トキワシティを守る樹の城壁のようだった。


                 「通れるワケないだろ!」

                 「そんなこと言ったって私は道を退かないから」


                  渋々シオンは、樹の壁に向かって前進してみた。
                 シオンが樹の壁にぶつかると、
                 ブミュブミュと奇妙な音を鳴らして足踏みをしていた。


                 「やっぱり通れないじゃないか!」

                 「当たり前でしょ? 樹にぶつかってるんだもん。馬鹿じゃないの?」


                  ワカバに頼った自分を反省し、シオンは自力ですべきことを考えてみた。
                 トキワシティの出入り口は、フリーターの妨害によって
                 トレーナーではないシオンは通して貰えない。
                 それ以外の場所は自然の壁によって通り抜けられない。
                 シオンはハッとして言った。


                 「あれ? そういえば俺ってこの町から外に出たことないぞ。一度もだ!」

                 「うーん……まぁ、そうなるわね。ポケモン持ってないワケだし」

                 「何だよそれ! そんな。俺、トレーナーになれないだけじゃなくて、
                 トキワからも出られないのか! 一度だって許されてないぞ!」

                 「だから? それで? 何興奮してんの?」

                 「なんでそこまで露骨にそっけない態度が出来るんだよ!
                  俺、何にも悪いことしてないのに、
                 こんなド田舎の牢獄に閉じ込められて生きてきたんだぞ!」


                  シオンはヒステリーを起こしたように喚き散らした。


                 「自分だけ辛い思いしてるって言いたいんだ?」

                 「そうだ! そのとおりだ!」

                 「……レッド知ってるよね? 伝説のトレーナーのレッド」

                 「うん」

                 「彼ね、マサラタウンに十年間も幽閉されてたそうよ」

                 「……俺は十四年間もだ」

                 「でもマサラっていえば建物が三軒しかないじゃない。
                 図書館の一つだってありゃしないのに」

                 「でもレッドは十年我慢して、
                 その後で色んなところを見て回れたんだろうに。
                 俺は未だにこの街を出ることが出来ない!」

                 「ふぅん。そ、可哀想にね」


                  常に侮辱されている気がして、シオンは常に不愉快だった。
                 顔が熱い。しかし怒鳴る気力も尽きていた。

                  怒りの反面怯えていた。これから永遠にトキワシティという名
                 の牢獄から出られないと思うと末恐ろしくなる。


                 「解ってるだろうけどさ、アンタが何言ったって無駄だからね。
                 どんな目にあってるのかなんて知ったこっちゃないの。
                 私はただ仕事をやってるだけだから。
                 通行したいならトレーナーカード持って出直しなさい」


                  どうしたらポケモントレーナーになれるのか。
                 これからどうしたらいいのか。
                 するべきことが解らず、シオンは困り果てていた。
                 その場に立ち尽くし、ただ途方に暮れるのだった。


      [No.777] 50話 精神戦 投稿者:照風めめ   《URL》   投稿日:2011/10/16(Sun) 09:24:56     67clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    「風見君!」
    「松野さん」
     夜の闇に包まれた駐車場に松野さんが現れた。多少走ったのか肩が上下している。息を整えながら、場を見渡しているようだ。
     俺のサイドは残り五枚で、久遠寺のサイドは残り六枚。俺のバトル場にはギャラドス130/130に、ベンチにはレジアイス90/90、水エネルギーのついたガブリアスLV.X60/140。
     対する久遠寺のバトル場は草エネルギーを二枚つけたハッサム100/100、ベンチポケモンにチェリム60/80。
    「今のところは優勢ね」
    「まだ始まったばかりですけどね。ところで久遠寺が能力者っていうのは?」
     能力者。この前の風見杯で起きた藤原拓哉の例を思い出す。もしかしてやはりまたあのような事が起こりうるのだろうか。
    「やっぱり藤原とかのように……」
     藤原の能力は『相手を消すこと』だった。本人は『次元幽閉』と言っていたが、やはり久遠寺も──。
    「久遠寺さんの能力は『位置検索』よ」
    「は?」
     かなり身構えていたのに帰ってきた答えが意外と小さいことで気が抜けた。しかし位置検索? いや、でも確かに俺の住所を教えていないのに俺の家を知っていたのは説明が行くが……。どうもしっくり来ない。
    「だから、まあ負けたとしても消されたり病院送りとかそんなことはないはずだけど、決して気を抜いちゃダメよ」
     松野さんはグッと目に力を入れてこちらを見る。やはりこの人の目力は恐ろしく強い。思わずシャキンと背筋が伸びる。
    「それに、能力者と戦う事だけで精神的に負担になるんだから。能力者との戦いで一番大事なのは強い心! さあしっかりね」
    「……分かりました」
    「そろそろわたくしのターンを始めてもよくって?」
    「ああ、すまない。始めてくれ」
    「わたくしのターン。ハッサムに達人の帯をつける」
     ハッサムの突出したお腹の辺りに帯が巻かれるが、ちょっと不格好。
     達人の帯は装備したポケモンのHPと与えるワザのダメージを20増やすポケモンの道具だが、達人の帯がついているポケモンが気絶したとき相手が引くサイドは普段より一枚多くなる。久遠寺はそれを承知で打点を増やしに来た。
    「続いてサポーターのハマナのリサーチを発動。このカードの効果はもちろん分かっていらして?」
    「たねポケモンおよび基本エネルギーを合計二枚までデッキから手札に加えるカードだ。馬鹿にするな」
    「ふふっ。その効果でわたくしはストライクとチェリンボを加えますわ」
     しかし加えたところでベンチには出せないはずだ。出したとしても、出した番には進化できないからレジアイスでバトル場に引き出され、俺のギャラドスの餌食になる。久遠寺もそれを分かっているのかポケモンをベンチに出してこない。
    「さ、参りますよ。ハッサムでギャラドスに攻撃。振りぬいてくださって!」
     一つ跳躍してハッサムがギャラドスにハサミを振りぬく。居合切りのような瞬間的な一撃が、ギャラドス30/130の豊富なHPをあっという間に虫の息まで追い詰める。
     振りぬくは自分の場にポケパワーを持つポケモンがいなければ威力が30上がるワザで、更にチェリムのポケボディー、日本晴れによって草タイプであるハッサムの威力が10、達人の帯で20上昇している。よって元のダメージが40のはずの振りぬくが100という強力な威力に変わる。
     気持ちで負けたら飲み込まれる。確かにハッサムの一撃は強力だったが、俺のギャラドスもそれに対して劣らぬ強力な一撃を放つポテンシャルを持っている。焦ることはない!
    「行くぞ、俺のターン!」
     しかし引き札に恵まれない。手札は三枚。まずはあのハッサムをどうするかを考えるんだ。。
     今の俺の場には満身創痍のギャラドス、ベンチには傷を負ったガブリアスLV.Xとレジアイス。レジアイスのポケパワー、レジムーブは手札を二枚トラッシュして相手のベンチの進化していないポケモンをバトル場に出させるモノだ。しかし久遠寺の場にそれに合う条件のポケモンがいないので使えない上、ギャラドスは逃げるエネルギーが多くて逃がすこともできない。
    「俺もハマナのリサーチを発動する。その効果でフカマルと超エネルギーを手札に加え、フカマル(50/50)をベンチに出し、超エネルギーをフカマルにつける」
     これで手札は残り二枚。最低二枚はレジアイスのポケパワーの発動コストとして常にキープしていたいが……。
    「行くぞ、ギャラドスで攻撃だ。テールリベンジ!」
     テールリベンジはトラッシュのコイキングの数×30ダメージを与える変則的なワザ。今のトラッシュにはコイキングが三枚。よって30×3=90ダメージを与えられる。
     ハッサムが両手の鋏でバリケードを作るも、荒々しく振り下ろされたギャラドスの尻尾の一撃に叩きつける。なんとか立ちあがって姿勢を整えるハッサム30/120だが、これで十二分に消耗させてやった。
     調子は悪くない。このまま押し切ってやる。
    「さあ、お前の番だ」



     一見サイドの枚数的にも風見君が有利のように見えるけど、今流れがあるのは確実に久遠寺麗華だ。
     あのハッサム30/120だけで風見君のポケモン二体は気絶させる程のポテンシャルを持っている。
     油断だけはしてはいけない。能力者との戦いは精神戦。先に心が挫けた方が負ける。能力者達は概して強い意思を持っている、もしも油断なんて見せるようでは勝てない。
     とはいえ相手は人間、揺さぶればその強固な意思も崩れるはず。なのだけど、残念ながら風見君はそういった会話能力が無い。力で打ち負かすことを祈るしかない。
    「わたくしのターン。グッズカードのポケドロアー+を二枚発動。このカードは一枚単品で使った時と、二枚同時に使った時で効果が変わるわ。二枚同時に使ったので、わたくしはデッキから好きなカードを二枚加えてシャッフルします」
    「ほう……」
    「そしてサポーターカードのオーキド博士の訪問を発動。山札から三枚引いてその後、手札から一枚デッキの底に戻します」
     手札を増強してきたわね。一気に動いてくるはず。
    「手札からスタジアムカード発動。破れた時空!」
    「破れた時空だと」
     周囲の風景が一変し、禍々しい空と突き出るような槍の柱が現れる。
    「このカードがある限り、互いにその番に場に出たばかりのポケモンを進化させれますわ。私はストライクをベンチに出し、ハッサムに進化させて草エネルギーをつけまして。バトル場のハッサムで攻撃! アクセレート!」
     アクセレートのワザの元々の威力は30だけど、チェリムと達人の帯によって威力は60まで上昇する。加速して踏み出したハッサムがすれ違いざまに一閃、一撃を受けたギャラドス0/130は動きを止め、横に倒れて行く。
    「なんのこれしき! 俺の次のポケモンはガブリアスLV.Xだ」
    「わたくしはサイドを一枚引いてターンエンド」
     久遠寺はギャラドスを倒した、いや、それだけじゃない。
    「風見君! アクセレートの効果に気をつけて!」
    「効果……」
    「アクセレートで相手のポケモンを気絶させたとき、そのハッサムは次の風見君の番ではワザのダメージも効果も与えれないわ」
    「ガブリアスにエネルギーをつけてガードクローをしようとしても、わたくしのハッサムには傷一つ付きませんわ」
    「なるほど、やはりそういうことか。だったらやることは一つだ!」
     風見君の目に強い闘志が宿った。さあ、どんな戦術を見せてくれるのかしら。
    「フカマルをガバイト(80/80)に進化させる。そして俺も破れた時空の効果を使わしてもらうぞ。今進化したばかりのガバイトをガブリアス(130/130)に進化だ! 更に水エネルギーをガブリアスにつける」
     風見君の手札が一気に消費されて残り一枚になる。
    「俺は手札からユクシーをベンチに出す。そしてこの瞬間にポケパワーを発動だ。セットアップ!」
     セットアップは手札が七枚になるまでドローする強力なポケパワーだ。しかし、当のユクシー70/70自体のステータスは乏しく、HPはわずか70
    「手札のスージーの抽選を発動。俺は手札のニドラン♀と不思議なアメをトラッシュしてデッキから四枚ドローする。そしてガブリアスLV.Xのワザを使わしてもらう。蘇生!」
     空いているベンチに白い穴が形成された。そしてその穴の中からギャラドス130/130が、舞い上がるように飛翔して出現する。
    「ガブリアスLV.Xの蘇生は、自分のトラッシュのLV.X以外のポケモンをたねポケモンとしてベンチに出す。俺はその効果によってギャラドスを戻した。ターンエンドだ」
    「一度倒されたポケモンを戻してきたところでどうなるのかしら」
    「どうとでも言え」
     どうやら少しずつ、自分のペースを取り戻してきたようだ。本人に自覚はないかもしれないが、どうも彼は思っているよりも周りに流されやすい。しかしそれは一度だけ。自分のペースを取り戻した彼はもう迷わない。
    「わたくしのターン。手札のポケモン図鑑を発動しますわ」
     ポケモン図鑑は自分のデッキのカードを上から二枚を確認し、片方を手札に。もう片方をデッキの底に戻すグッズカード。グッズなのに新たにカードを手札に加えることが可能という扱いやすさがウリだ。
    「続いてチェリンボ(50/50)をベンチに出します。続いてサポーターのデンジの哲学を発動。手札が六枚になるまで引きます。今のわたくしの手札は0。よって六枚引かせてもらうわ」
     さらに久遠寺は手札を一瞥すると、左から二枚目のカードを抜き取り、バトルテーブルに叩きつける。
    「チェリンボをチェリム(80/80)に進化させます。そしてベンチのハッサムに草エネルギーをつけて、そのガブリアスLV.Xに攻撃をしますわ。アクセレート!」
    「またアクセレートかっ!」
     一気に加速したハッサムが鋏でガブリアスLV.X0/140の腹部を強く打撃するように突進する。わずかに宙に浮いたガブリアスLV.Xは、そのまま受け身も取れずに仰向けに倒れた。
    「サイドを一枚引きますわ。これで追い抜きましたわね?」
     確かにサイドは久遠寺麗華が一枚上回っている。その上、彼女の場には次の番に攻撃を受けないハッサム。ベンチには同じくすぐに攻撃に移れるハッサムがいる。そしてそのハッサムを支援するチェリムが二匹。それに対して風見君のポケモンは、置物と化したユクシーとレジアイス。そして蘇生したばかりのギャラドス、エネルギーが二個ついたガブリアス。状況的には風見君が責められ続けているという感じだ。
     それでも。
    「だったらガブリアスが次の俺のポケモンだ」
     風見君の表情は、どこか純粋なところから来る笑みに包まれていた。



    風見「今回のキーカードはチェリム。
       ベンチにいてこそ活躍するカードだ。
       ポケボディーの日本晴れで炎、草タイプのワザの威力が上がるぞ」

    チェリムLv.30 HP80 草 (破空)
    ポケボディー   にほんばれ
     自分の草ポケモンと炎ポケモンが使うワザの、相手のバトルポケモンに与えるダメージは、すべて「+10」される。
      あまからかふん 20
     自分のポケモン1匹から、ダメージカウンターを2個とる。
    草無無  ソーラービーム 50
    弱点 炎+20 抵抗力 水−20  にげる 1


      [No.776] 4話 サイコカッターを打ち破れ! 投稿者:でりでり   《URL》   投稿日:2011/10/15(Sat) 23:34:39     44clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    「行くぞ、ドロー!」
     喜田のターンが再び始まる。
     俺のサイドは残り四枚、手札は五枚。バトル場には雷エネルギーとエナジーゲインのついたレントラーGL LV.X110/110、ベンチにはガブリアスC80/80と、アグノム40/70。
     一方の喜田はサイド五枚の手札六枚で、バトル場には超エネルギーが一枚、闘エネルギーが二枚、さらに達人の帯がついているエルレイド130/150。ベンチにはペラップ60/60だけだ。サイドでは俺は有利だが、サイコカッターで高火力を弾き出すエルレイドが厄介極まりない。
    「手札のラルトスをベンチに出し、超エネルギーをつける。そしてサポーターのオーキド博士の訪問を発動。デッキからカードを三枚ドローし、手札のカード一枚をデッキの底に戻す」
     四匹目のラルトス60/60が場に現れる。同名のカードは四枚しか入れらないからこれが喜田の最後のラルトスなのは間違いない。
    「更に手札からグッズカード、夜のメンテナンスを発動。トラッシュのポケモンと基本エネルギーを三枚まで選び、デッキに戻してシャッフル。俺が戻すのはラルトス二枚とキルリアだ」
    「ラルトスがデッキに戻った!?」
    「エルレイドでレントラーGL LV.Xを攻撃。サイコカッター! レントラーGL LV.Xの弱点は闘タイプ! 元々の威力80の二倍、160ダメージだ!」
     レントラーのHPは110/110は一撃でやられてしまう。普通は一撃でやられるようなHPちゃうって……!
    「サイドを一枚引いてターンエンド」
    「俺は新しくアグノムをベンチに出す。そして俺の番や!」
     アグノムは壁役だ。あのエルレイドを倒すには犠牲になるポケモンが要る。壁になってもらう間になんとか後続のポケモンを育てなくては。
    「サポーター、アカギの策略を発動。その効果でデッキからハマナのリサーチ、炎エネルギー、エナジーゲインを手札に加え、炎エネルギーとエナジーゲインをガブリアスCにつける」
     今はぐっと耐えるときだ。準備をミスれば勝機はなくなる。
    「ベンチにゴウカザル四90/90を出し、スタジアムカード、ギンガ団のアジトを発動。このカードがある限り、互いのポケモンが手札から進化したときそのポケモンにダメージカウンターを二つ乗せる!」
     ギンガ団のアジトでこの後に立つ喜田のポケモンをある程度妨害出来る。HP満タンのエルレイド二匹目だけは避けたいしな。
    「ターンエンドや」
     準備は整った。さあかかって来い!
    「今度は俺のターン! サポーターカードのミズキの検索を発動。手札を一枚戻してデッキからキルリアを手札に加え、その後デッキをシャッフル。ベンチのラルトスをキルリア(80/80)に進化させる!」
    「スタジアムのギンガ団のアジトの効果によって、進化したキルリアは20ダメージだ」
     これでキルリアのHP60/80。
    「キルリアに闘エネルギーをつけ、エルレイドでアグノムに攻撃! サイコカッター!」
     放たれたサイコカッターの威力は元の威力に加え、達人の帯の効果で20加算され80。残りHPが僅か40のアグノムはもちろん耐えれず気絶してしまう。
     今、喜田がサイドを引いたことによって、これで相手のサイドは三枚になった。
     エルレイドのサイコカッターの効果は攻撃時、自分の伏せてあるサイドを任意の数だけめくり、その枚数×20ダメージを追加出来るものだ。今の喜田のサイドは全てウラだ。つまりサイコカッターでめくれるサイド、加算出来るダメージは最大60。
     エルレイドが最も苦手とする『終盤』へ勝負は差し掛かった。
    「俺の次のポケモンはガブリアスCや」
     今の手札はリョウの検索、ハマナのリサーチ、ポケターン、SPレーダー。
     次のドローがなんであれ、逆転へ繋がるターンとしなければ。
    「俺のターン! 手札のサポーター、リョウの採集を発動。その効果によってトラッシュのゴウカザル四LV.X、炎エネルギーを手札に戻す」
     リョウの採集は、トラッシュのSPポケモン、基本エネルギーを合計二枚まで手札に戻すサルベージ能力を持つサポーターだ。
    「更に手札からSPレーダーを発動。その効果でデッキからガブリアスC LV.Xを手札に加え、バトル場のガブリアスCをレベルアップ! ガブリアスC LV.X(110/110)に炎エネルギーをつけ、エルレイドに攻撃だ。ドラゴンダイブ!」
     ドラゴンダイブの威力は80。このワザを受けたエルレイド50/150のHPはもう少しのところまで削れた。ただ、ドラゴンダイブはエネルギーを二枚トラッシュしなければならないデメリットがある。
    「俺はドラゴンダイブの効果でガブリアスの炎エネルギーを二枚トラッシュしてターンエンドだ」
     ここまでは考えていた通りの流れだ。だが、目の前のエルレイドを倒すための計算が相手の番で狂うかもしれない。大丈夫のはず。とはいえ不安が突っかかる。
    「俺のターン!」
     喜田の表情は変わらない。
    「手札のラルトス(60/60)をベンチに出し、超エネルギーをつける」
     また新しいラルトス。そんなに出してなんのつもりだ。
    「サポーター、ミズキの検索を使う。手札を一枚戻してデッキのエルレイドを手札に加えさせてもらう。そしてベンチのキルリアをエルレイドに進化させる!」
     二匹目のエルレイドがベンチに現れる。一匹倒すのに精一杯なのに、易々と出しやがって!
    「だがスタジアムの効果で、進化したエルレイドに20ダメージだ」
     二匹目のエルレイドのHPを90/130まで削る。俺のささやかな抵抗に、喜田は苦い顔でダメカンをベンチのエルレイドに乗せた。
    「エルレイドでガブリアスC LV.Xを攻撃。サイコカッター! サイドを二枚めくることで計120ダメージだ」
     受けるダメージは60+20+40=120ダメージ。強烈な一撃にガブリアスC LV.X0/110は為す術もなく気絶になる。
    「サイドを一枚引いてターンエンド」
     喜田はサイコカッターによって表側になった不思議なアメを手札に加えていた。
     次のターンにベンチのラルトスを進化させるのかもしれない。
     喜田のサイドは一枚表側(超エネルギー)、もう一枚が裏側。もう俺のLV.Xポケモンが一撃で倒されることはないはずだ
    「行くで、俺のターンや!」
     引いたカードは四枚目のエナジーゲイン。これで俺の手札はエナジーゲイン、炎エネルギー、ハマナのリサーチ、ポケターン、ゴウカザル四LV.X。
    「荒い手やけど、そのエルレイドを今から倒すぜ!」
     俺の宣言に喜田は怪訝そうな顔をする。
     誰だってそうだろう。俺の場にはもうゴウカザル四しか残っていない上に、このまま次のターンになれば喜田のエルレイドにゴウカザル四は一撃で倒されてしまうのだ。だけど手札にはそれを打破出来るカードは揃っている。
    「行くぜ、俺は炎エネルギーとエナジーゲインをゴウカザル四につけて、ゴウカザル四LV.X(110/110)にレベルアップさせる! それだけじゃない。手札のハマナのリサーチを使って俺はデッキのクロバットGを二枚手札に加える」
    「クロバットGを二枚だって!?」
     ただ、デッキからカードを大量に加えたことによって俺のデッキの残量も刻々と少なくなって行ってる。もう三十枚は確実にない、な。
    「クロバットG(80/80)二匹をベンチに出し、この瞬間にクロバットのポケパワーを使うぜ。クロバットのポケパワーはベンチに出した時に使え、相手のポケモン一匹にダメージカウンターを一つのせる。二匹同時にポケパワーを使うことによってエルレイドに二つダメージカウンターを乗せるぜ。フラッシュバイツ!」
    「でもこれだけではエルレイドは……」
     エルレイドの残りHPは30。ゴウカザル四LV.Xのワザでエルレイドを倒すには後、10ダメージ足りない。
    「だからこのカードや。グッズカード、ポケターン発動!」
     喜田の表情にようやく驚きが現れる。
    「ポケターンの効果によって、ベンチのSPポケモンを手札に戻す。戻すカードはもちろんクロバットG」
     わざとらしくクロバットGを喜田に見せてから手札に戻す。まぁ戻すと言っても今の手札はこのクロバットのみだが。
    「そしてもう一度クロバットGをベンチに出してエルレイドにフラッシュバイツ。これで射程圏内や! ゴウカザル四LV.Xで攻撃。爆裂弾! このワザは相手のポケモン二匹に20ダメージを与える。そのエルレイドとベンチのラルトスに20ダメージずつプレゼントや!」
     ようやく苦戦し続けたエルレイドを気絶させることが出来た。今倒したエルレイドは達人の帯がついている。達人の帯がついたポケモンが気絶した場合、相手は二枚サイドを引くことが出来る。よって俺はサイドを二枚引く。
     これで俺と喜田の残りサイドは共に二枚。ようやっとこれで追いついた。
    「暴れた利子はしっかりもろたで!」



    啓史「今日のキーカードはゴウカザル四LV.X!
       ポケパワーで相手のベンチからポケモンを引きずり出し、
       炎の渦で薙ぎ倒せ!」

    ゴウカザル四LV.X HP110 炎 (DPt2-S)
    ポケパワー いかくのおたけび
     自分の番に1回使える。相手のバトルポケモンを、相手のベンチポケモンと入れ替える。入れ替えるベンチポケモンは相手プレイヤーが選ぶ。このパワーは、このポケモンが特殊状態なら使えない。
    炎炎無 ほのおのうず 100
     自分のエネルギーを2個トラッシュ。
    ─このカードは、バトル場のゴウカザル四に重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─
    弱点 水×2 抵抗力 ─ にげる 0


      [No.775] 第84話「ポケモンリーグ準決勝第1試合後編」 投稿者:あつあつおでん   《URL》   投稿日:2011/10/15(Sat) 12:11:36     75clap [■この記事に拍手する] [Tweet]


    「な、なんだ一体……辺りの様子がおかしいぞ」

     ダルマは辺りを見回した。ガラガラが自らの腹部を叩いた途端、雲もないのに雷があちこちに降り注ぎ、大地が唸りだしたのである。ガラガラからは蒸気があふれ、目を光らせ、体が震えている。それを見たカラシは、腹を抱えて笑った。

    「ふふふ……はははははは! はらだいこが決まった。もうお前に勝ち目はないぜ、ダルマ!」

    「どういうことだ!」

    「まあ、そう慌てるなよ。図鑑で調べてみたらどうだ?」

     カラシに促され、ダルマは図鑑をチェックした。はらだいこは、自分の体力の最大値の半分を消費してパワー全開になる技である。例えどれだけ攻撃を下げられても、必ずパワー全開となる。一昔前は非常に強力な技であったが、今ではすっかり見向きもされない。理由としては、ポケモンの耐久力低下によって素の状態でもダメージが大きくなったことが1つ。また、リスクなしで強力な補助技が増えたのも大きい。しかし、中には先制技と組み合わせると言ったポケモンもいるので、油断はできない。

    「パワー全開、か。でも体力が減ったから帰って倒しやすいな。キュウコン、大文字だ!」

    「ふっ、骨ブーメラン」

     キュウコンが再び大文字を放つ。それと同時にガラガラは骨を投げるポーズを取った。だが骨は手に収まったままである。ところがその瞬間、どこかから何かがぶつかる音が2回聞こえてきた。音の1つは破裂音、もう1つは鈍い音である。周囲が騒然とする中、今度は何かが倒れる音が響いた。一同が目を向けると、そこには気絶したキュウコンがいた。審判は慌ててジャッジする。

    「きゅ、キュウコン戦闘不能、ガラガラの勝ち!」

    「ななな、なんということでしょう……。ガラガラ、攻撃してないように見えましたが、実は既に攻撃が終わっていた! つまり、手元にあったのは残像でしょうか。これがカラシ選手の切り札、隠し玉……ダルマ選手、激しく動揺しております」

     実況が言うまでもなく、ダルマは開いた口がふさがらない状態だった。それでもなんとか言葉を絞り出す。

    「くっ。あの音、最初の1回で大文字を打ち破り、もう1回でキュウコンを攻撃したのか。たった1回なのになんてパワーだ……」

    「わかったか、最強は俺だということが」

    「わ、わからないね! 頼むぞキマワリ!」

     ダルマは強がりながらキマワリを投入した。今日もこだわりメガネをかけている。そして焦げている。

    「素直に降参すれば良いものを。骨ブーメランだ」

     ガラガラはまたしても腕を振った。やはり骨は手元に残っているように見える。だが、またしても鈍い音が響いた。先ほどと同じく、そこには伸びているキマワリの姿があった。

    「キマワリ戦闘不能、ガラガラの勝ち!」

    「キマワリ! 半減しても1回で倒されちまっただと……」

     ダルマは力なくキマワリをボールに戻した。彼は何度も深呼吸をし、辛うじて冷静さを保っていた。

    「ようやくわかったか、俺の力が。さて、最後はネギを背負ったカモだったな。せめてもの情けだ、一瞬でかたをつけてやる。そして、決勝に進ませてもらう」

    「……カモネギ、今こそお前に全てを託す!」

     ダルマは最後のボールを全力で投げた。出てきたのはカモネギ。カモネギは出てきて早々ガラガラに襲いかかるが、その圧倒的な力で押し返された。

    「ダルマ選手、最後にカモネギを送り出しましたが……なんと、二刀流です!」

     実況は思わず叫んだ。カモネギの右手にはいつもの茎がある。一方、普段手ぶらの左手には、いつもの茎より一回り長い茎があった。カモネギの闘志を確認したダルマは、カラシを指さしこう言い放った。

    「カラシ、敗れたり! 終わっていない勝負で後のことを考えるなど、負けたも同然! これで終わりだ、リーフブレード!」

    「笑止! つばめがえしで返り討ちだ!」

     カモネギとガラガラは全速力で接近し、互いに剣を構えた。そして、そのまますれ違いざまに斬りつけ合い、駆け抜ける。やがて2匹の足は止まり、背中を向け合った構図となった。どちらが先に倒れるか……全ての視線が2匹に集まる。

    「どうだ……」

     ダルマは両手を合わせて目を閉じた。時間はこれでもかと言う程ゆっくり過ぎていく。カモネギとガラガラは石のように微動だにしない。ダルマとカラシは固唾を呑んで見守り、そして祈る。

     その時、遂にカモネギがふらついてきた。スタジアムは一気にどよめく。カモネギは2本の茎で体を支えた。歯を食いしばり、額から脂汗を噴出するその姿に、一部からすすり泣きが聞こえてくる。

    「……ふん、これで俺の……な、何!」

     カラシが勝利を確信した、まさに最後の瞬間。1匹のポケモンが地に伏せた。ダルマは恐る恐る目を開き、結末を確かめた。ダルマの近くにいるポケモン、すなわちガラガラが倒れている。

    「……が、ガラガラ戦闘不能、カモネギの勝ち! よって準決勝第1試合、勝者はダルマ選手!」

     審判の声が放たれると、スタジアム中から拍手喝采と叫び声が湧き上がってきた。ある者は勝者を称え、ある者は敗者にねぎらいの言葉をかける。涙で顔がくしゃくしゃになった者もいる。全ての者が揺さぶられる戦い……ダルマとカラシはそれを体現してみせたのだ。

    「な、なんという最後だったのでしょうか。スタジアムは静まり返り、実況の私も思わず仕事を忘れてしまいました。これは文句なしで今大会最高のバトルです!」

    「ふううううぅ、終わったかあ。勝てて良かった、本当に良かった!」

     ダルマは腰が抜けたのか、その場に座り込んでしまった。彼はカモネギをすぐさま回収し、カラシに話しかけた。

    「どうだカラシ、あの時勝ったのはまぐれじゃなかったのがわかっただろ?」

    「……ああ、俺の負けだ。だが、不思議と悔しさはない。おそらく、本気で戦って負けたからだろうな」

     カラシはガラガラをボールに収めながら呟いた。これを受け、ダルマは頭をかきむしる。

    「へへ、そう言われると悪い気はしないな。まあ、お前と勝負して負けたからこそ、ここまで来れたと思う。ありがとう」

    「……ふん。その言葉、今回はそっくりそのままもらっておこう。だが次こそは俺が勝つ! せいぜい首を洗って待ってることだ」

    「望むところだ!」

     ダルマとカラシ、2人は再戦を約束した。するともう1度スタジアムからスタンディングオベーションの嵐が起こる。

    「さて、そろそろ故郷に帰らせてもらうぜ。たまには家に顔を出さないとな」

     カラシはそう言い残すと、ボルテージが最高潮の中出口へと歩き出した。そんな彼に、ダルマはこの言葉を送るのであった。

    「か、カラシ! まだ3位決定戦が残っているぞ!」



    ・次回予告

    泣いても笑っても、今度こそ最後の勝負。それはすなわち、ダルマの旅の終わりをも意味する。苦しいことも楽しいこともあったこの旅に、彼は有終の美を飾れるのか。次回、第85話「ポケモンリーグ決勝戦」。ダルマの明日はどっちだっ。


    ・あつあ通信vol.65

    ガラガラとカモネギの戦い……遂に実現しました。まるで宮本武蔵と佐々木小次郎ですね。持ち物とか技とかも意識してみました。しかし素早さ無視をしてしまい、ゲームに忠実なバトルが破綻。2連続で当たらなかったと考えれば良いのでしょうが、いささか違和感が残ってしまう。バトルの難しい点です。

    ダメージ計算は、レベル50、6V、キマワリ@メガネ臆病特攻素早振り、カモネギ@長ネギ陽気攻撃素早振り。キュウコンに対して腹太鼓ガラガラの骨ブーメランが、1発目で626〜738、2発食らうと1252〜1476もの規格外のダメージ。これなんてマダンテ? キマワリは半減にもかかわらず、1発目で198〜233、2発食らうと396〜466で確定1発(キマワリのHPは150)。最後のカモネギのリーフブレードは体力半減ガラガラを中乱数で仕留めます。

    さて、次はいよいよ決勝戦。ポケモンリーグの優勝者は、その後の結末は。そもそも相手は誰なんだ。私も全力を尽くしますので、どうか最後までお付き合いください。

    あつあ通信vol.65、編者あつあつおでん


      [No.774] 幼馴染にバトルサブウェイに強制連行されているんだが 投稿者:久方小風夜   投稿日:2011/10/15(Sat) 04:11:49     120clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    幼馴染にバトルサブウェイに強制連行されているんだが




    1:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 16:21:46.32 ID:OtmR-M@stEr
      正直帰りたい

    2:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 16:22:59.19 ID:be:LL/Oui!]
      これから挑戦?

    3:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 16:24:35.61 ID:OtmR-M@stEr
      そう。スーパーのマルチ
      今幼馴染がポケモン選んでる。俺の手持ちも勝手に決めてる

    4:名無しの王様さん:2011/10/13(木) 16:26:46.04 ID:pUR&In0c_NT
      一緒に戦うトモダチくらい選ばせてほしいよね

    5:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 16:28:30.57 ID:OtmR-M@stEr
      >>4
      戦略があるからとか何とか
      1人でダブルやってろ俺を巻き込むなと

    6:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 16:28:46.08 ID:MgAnE1inCh0
      男? 女?

    7:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 16:30:55.28 ID:OtmR-M@stEr
      >>6
      女
      俺は男

    8:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 16:31:20.04 ID:MgAnE1inCh0
      >>7
      リア充爆発しろ

    9:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 16:31:51.39 ID:be:LL/Oui!]
      >>5
      >>1と一緒にトレイン行きたかったのかなぁ

    10:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 16:30:55.28 ID:OtmR-M@stEr
      >>8
      ないわー
      アイツとだけは絶対ないわー

    11:名無しの王様さん:2011/10/13(木) 16:31:29.42 ID:pUR&In0c_NT
      それにしてもサブウェイに挑戦するにはちょっと遅い時間だね

    12:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 16:32:59.11 ID:OtmR-M@stEr
      >>11
      急に思い立ったんだと
      こっちとしては本当いい迷惑だわ

    13:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 16:33:09.41 ID:OtmR-M@stEr
      あっやべっ

    14:名無しの王様さん:2011/10/13(木) 16:33:31.21 ID:pUR&In0c_NT
      !?

    15:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 16:33:53.39 ID:be:LL/Oui!]
      >>11
      どうしたの!?

    16:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 16:33:56.92 ID:MgAnE1inCh0
      >>11
      何があった?

    17:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 16:34:41.45 ID:OtmR-M@stEr
      ここに書き込んでるのバレたwww

    18:名無しの王様さん:2011/10/13(木) 16:35:43.01 ID:pUR&In0c_NT
      あーあwww

    19:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 16:36:29.10 ID:MgAnE1inCh0
      やっちまったなwww

    20:名無しの外道さん:2011/10/13(木) 16:37:57.21 ID:deAtH_tMo!\
      〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 終 了 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

    19:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 16:39:36.91 ID:OtmR-M@stEr
      「またスレ立てしてるのか。また安価メールとか送ってきたらぶっ殺す」だそうだ
      トレインでのバトルを細かく実況するなら許すって
      本当かわいくねぇこいつ

    20:名無しの王様さん:2011/10/13(木) 16:39:59.81 ID:pUR&In0c_NT
      また?

    21:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 16:41:10.28 ID:MgAnE1inCh0
      おいお前、昔化け物レベルの幼馴染にオタマロ6匹で勝ったことあるだろ

    22:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 16:41:58.29 ID:OtmR-M@stEr
      >>21
      なぜばれたし

    23:名無しの外道さん:2011/10/13(木) 16:42:48.21 ID:deAtH_tMo!\
      >>22
      あいつか!!

    24:名無しの王様さん:2011/10/13(木) 16:42:49.51 ID:pUR&In0c_NT
      >>22
      >>1久しぶりwww

    25:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 16:43:00.18 ID:be:LL/Oui!]
      >>22
      あの人かぁ!
      じゃあもしかして幼馴染って……

    26:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 16:43:55.29 ID:OtmR-M@stEr
      >>25
      おう、あの時の化け物だ

      電車来たから行ってくるな
      仕方ないから実況するわ

    27:名無しの王様さん:2011/10/13(木) 16:44:29.51 ID:pUR&In0c_NT
      いってら

    28:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 16:45:29.51 ID:MgAnE1inCh0
      >>1はオタマロ・マッギョ・モロバレルあたりで挑戦すべき





         ・

         ・

         ・

         ・

         ・





    105:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 21:49:26.21 ID:OtmR-M@stEr
      ライモン帰還ー
      というわけで20戦目で挑戦終了

      幼馴染より「サブウェイクオリティ爆発しろ」とのことです
      まぁ確かに一撃必殺が連続で当たるとやる気なくなるわー

    106:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 21:49:58.27 ID:MgAnE1inCh0
      乙
      すっかり夜も更けたな

    107:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 21:51:37.73 ID:be:LL/Oui!]
      >>1と幼馴染さんお疲れ様ー
      あと1勝でサブマスかー惜しかったねー

    108:名無しの王様さん:2011/10/13(木) 21:52:42.18 ID:pUR&In0c_NT
      >>1乙ー
      2回目の休憩のときに夕飯食べてたデリカはどこにあるんだっけ? 気になる

    109:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 21:53:59.52 ID:OtmR-M@stEr
      >>108
      14勝後のホーム
      あそこのポテトまじ美味い。揚げたて最高
      2人ともひたすらポテト食ってたわ

    110:名無しの外道さん:2011/10/13(木) 21:55:27.49 ID:deAtH_tMo!\
      ポテトなんてどこで食っても同じじゃないか?

    111:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 21:55:38.95 ID:OtmR-M@stEr
      >>110
      屋上

    112:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 21:55:39.26 ID:MgAnE1inCh0
      >>110
      屋上

    113:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 21:55:43.95 ID:be:LL/Oui!]
      >>110
      屋上

    114:名無しの王様さん:2011/10/13(木) 21:55:59.28 ID:pUR&In0c_NT
      >>110
      屋上


    116:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 21:56:39.40 ID:SuPErbR@v0!
      仕事が暇になったので来ました
      あそこのポテトはおいしいですね

      >>110
      屋上

    117:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 21:56:39.40 ID:@LL-Sm\ILe!
      お仕事お休みになっちゃったー
      あそこのポテトおいしいよねえ

      >>110
      屋上

    115:名無しの外道さん:2011/10/13(木) 21:58:56.30 ID:deAtH_tMo!\
      >>111-117
      一体何がお前たちをそこまで駆り立てるんだ

    118:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 21:59:12.19 ID:be:LL/Oui!]
      >>1と幼馴染さんはこれからどうするの? 再挑戦?

    119:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 22:00:59.91 ID:OtmR-M@stEr
      うわもう10時じゃん

      >>118
      俺はもう帰る
      幼馴染は折角だから今からカナワに行くってさ
      ライトアップされてる電車見るんだってよ

    120:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 22:02:52.17 ID:SuPErbR@v0!
      いいですね。今日は確かフリーゲージでしたか

    121:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 22:03:29.14 ID:OtmR-M@stEr
      うわタイミング悪い、電車行ったばっかじゃん
      次のカナワ行き30分後じゃねぇか

    122:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 22:04:58.17 ID:be:LL/Oui!]
      えっもっと頻繁に来なかったっけ電車

    123:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 22:05:23.42 ID:SuPErbR@v0!
      もう夜ですし、日曜以外は本数を減らしていますね

    124:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 22:05:56.41 ID:MgAnE1inCh0
      >日曜以外は本数を減らしていますね
      そうなのか……知らんかった

    125:名無しの王様さん:2011/10/13(木) 22:06:18.50 ID:pUR&In0c_NT
      >日曜以外は本数を減らしていますね
      ちょ、初耳なんだけどそれ

    126:名無しの外道さん:2011/10/13(木) 22:06:21.94 ID:deAtH_tMo!\
      >>123
      何……だと……?

    127:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 22:06:51.30 ID:be:LL/Oui!]
      >>123
      平日ってそんなに本数少なかったんだ……

    128:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 22:07:51.73 ID:@LL-Sm\ILe!
      日曜以外カナワ行かない人多すぎだろオイ

    128:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 22:09:32.85 ID:OtmR-M@stEr
      あれ?

    129:名無しの王様さん:2011/10/13(木) 22:10:53.83 ID:pUR&In0c_NT
      >>1どうかした?

    130:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 22:11:33.44 ID:OtmR-M@stEr
      何か、時刻表にない電車が来たんだけど……

    131:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 22:11:55.77 ID:SuPErbR@v0!
      えっ?

    132:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 22:11:55.77 ID:@LL-Sm\ILe!
      えっ?

    133:名無しの王様さん:2011/10/13(木) 22:12:42.19 ID:pUR&In0c_NT
      なにそれこわい

    134:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 22:13:52.17 ID:@LL-Sm\ILe!
      いやいやおかしいって
      こんな時間に電車ないよ?

    135:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 22:13:55.78 ID:SuPErbR@v0!
      おかしいですね
      今日は臨時の電車もないはず

    136:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 22:15:29.71 ID:OtmR-M@stEr
      しかも何か変な電車だったわ
      妙にレトロと言うか
      中も暗かったし

    137:名無しの外道さん:2011/10/13(木) 22:17:32.84 ID:deAtH_tMo!\
      >>130>>136
      どう考えても罠です本当に(ry

    138:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 22:18:48.26 ID:MgAnE1inCh0
      乗るなよ? 絶対乗るなよ?


      いや振りじゃなくってマジで

    139:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 22:19:52.17 ID:OtmR-M@stEr

      もうあいつ乗って行ったわ……



    140:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 22:20:52.19 ID:be:LL/Oui!]
      >>139
      いやあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

    141:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 22:20:53.26 ID:MgAnE1inCh0
      ちょ、何で乗ったし

      お前も何で乗せたし

    142:名無しの王様さん:2011/10/13(木) 22:21:05.51 ID:pUR&In0c_NT
      >もうあいつ乗って行ったわ……

      >もうあいつ乗って行ったわ……

      >もうあいつ乗って行ったわ……


      (((((((;゜Д゜))))))

    143:名無しの外道さん:2011/10/13(木) 22:21:15.29 ID:deAtH_tMo!\
      な ぜ 乗 っ た

    144:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 22:23:41.69 ID:OtmR-M@stEr
      >>141
      >>143
      俺だって止めたよ
      だって明らかに怪しいし

      でもあいつ聞かねぇんだもん
      早く来たラッキー☆ とか言って

    145:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 22:24:41.24 ID:be:LL/Oui!]
      やだ怖い怖い怖い怖い

    146:名無しの王様さん:2011/10/13(木) 22:24:43.28 ID:pUR&In0c_NT
      とりあえず電話してみようよ

    147:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 22:25:41.84 ID:SuPErbR@v0!
      安否確認は重要ですね

    148:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 22:27:04.29 ID:OtmR-M@stEr
      駄目だライブキャスターつながらない……

    149:名無しの王様さん:2011/10/13(木) 22:27:19.26 ID:pUR&In0c_NT
      ちょ

    150:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 22:27:20.39 ID:@LL-Sm\ILe!
      えっ

    151:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 22:27:48.21 ID:SuPErbR@v0!
      何ですって

    152:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 22:28:52.39 ID:MgAnE1inCh0
      おいおいどうせ釣りなんだろ
      その辺でやめとけよ



      頼むから釣りだと言ってくれよマジで

    153:名無しの外道さん:2011/10/13(木) 22:29:41.82 ID:deAtH_tMo!\
      さ あ 、 も り あ が っ
                        て
                           ま
                             い
                               り
                                ま
                                 し
                                 た

    154:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 22:29:48.27 ID:be:LL/Oui!]
      ( ゜д゜)ポカーン

      (( ;゜д゜))アワワワワ

      (((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル

      (((((((( ;゜Д゜)))))))ガクガクブルブルガタガタブルガタガクガクガクガクガク

    155:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 22:30:42.10 ID:OtmR-M@stEr
     どうしよう
     さすがに心配になってきた

    156:名無しの廃人さん:2011/10/13(木) 22:30:43.29 ID:Un1r@n/L0vE
      a

    157:名無しの王様さん:2011/10/13(木) 22:30:53.05 ID:pUR&In0c_NT
      !

    158:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 22:31:29.38 ID:be:LL/Oui!]
      ( ゜д゜)!

    159:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 22:31:34.95 ID:OtmR-M@stEr
      おっ

    160:名無しの廃人さん:2011/10/13(木) 22:32:42.19 ID:Un1r@n/L0vE
      えっと、このスレで合ってる?
      オタマロ野郎の幼馴染だけど

    161:名無しの王様さん:2011/10/13(木) 22:32:53.20 ID:pUR&In0c_NT
      キタ―――――(゜∀゜)―――――っ!!

    162:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 22:33:00.28 ID:be:LL/Oui!]
      幼馴染さんキターっ!!
      生きてたーっ!!

    163:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 22:33:06.51 ID:MgAnE1inCh0
      化け物さん生きてたか!
      よかったよかった

    164:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 22:33:16.38 ID:SuPErbR@v0!
      無事で何よりです
      今どちらに?

    165:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 22:33:38.26 ID:@LL-Sm\ILe!
      わーよかったー
      みんな心配してたんだよー

    166:名無しの外道さん:2011/10/13(木) 22:33:59.37 ID:deAtH_tMo!\
      で、化け物……いや、>>160はまだ電車の中なのだろうか

    167:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 22:34:00.05 ID:OtmR-M@stEr
      何だ生きてたのか

    168:名無しの廃人さん:2011/10/13(木) 22:35:49.28 ID:Un1r@n/L0vE
      >>163
      >>166
      誰が化け物だコラ(#^ω^)

      >>164
      電車の中
      でも何か異様な雰囲気

      >>167
      死ね

    169:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 22:36:17.05 ID:OtmR-M@stEr
      >>168
      うるせぇオタマロぶつけんぞ

    170:名無しの廃人さん:2011/10/13(木) 22:36:42.94 ID:Un1r@n/L0vE
      >>169
      黙れあれは私の人生最大の汚点だ

    171:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 22:36:51.28 ID:SuPErbR@v0!
      >>168
      異様な雰囲気とは?

    172:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 22:37:38.74 ID:OtmR-M@stEr
      >>170
      現実から目を逸らせるんじゃない

    173:名無しの廃人さん:2011/10/13(木) 22:38:08.51 ID:Un1r@n/L0vE
      >>172
      お前帰ったら覚えてろ

      >>171
      カナワ行きの特急って半地下だよね? 割と早いところで地上に出るよね?

    174:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 22:38:52.28 ID:@LL-Sm\ILe!
      >>173
      そうだよーほとんど地上だよー

    175:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 22:38:55.62 ID:MgAnE1inCh0
      >>1に死亡フラグが立った





      リア充爆ぜろ

    176:名無しの廃人さん:2011/10/13(木) 22:39:49.30 ID:Un1r@n/L0vE
      とっくに地上に出てるはずだけど暗い
      何か窓の外から黒い布張られてるみたいな感じ?
      電車の走る音もしてなくてすごい静か
      でも時折変な放送がかかる
      多分次の停車駅
      よく聞き取れないけどカナワじゃない

    177:名無しの外道さん:2011/10/13(木) 22:39:49.76 ID:deAtH_tMo!\
      >>1、骨くらいは拾ってやる

    178:名無しの王様さん:2011/10/13(木) 22:39:59.28 ID:pUR&In0c_NT
      >>176
      ちょ、待って

    179:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 22:48:20.17 ID:be:LL/Oui!]
      >>176
      もうやめてよぉ!(´;Д;`)

    180:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 22:49:51.20 ID:SuPErbR@v0!
      >>176
      震えが止まらない
      >>160さんは一体今どちらにいらっしゃるのでしょうか?

    181:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 22:51:42.29 ID:@LL-Sm\ILe!
      カナワ行きの特急って確か他の停車駅ないよね
      直通だよね
      車庫への分かれ道はあるけど、この時間は行かないはずだし

      ……
      >>160何に乗ってるの?

    182:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 22:51:57.55 ID:MgAnE1inCh0
      異次元か
      これが異次元なのか

    183:名無しの王様さん:2011/10/13(木) 22:52:49.46 ID:pUR&In0c_NT
      >>182
      何それ行きたい

    184:名無しの外道さん:2011/10/13(木) 22:53:39.54 ID:deAtH_tMo!\
      >>183
      つ【カナワ行きチケット】

    185:名無しの廃人さん:2011/10/13(木) 22:55:28.22 ID:Un1r@n/L0vE
      あ

      停まった

    186:名無しの廃人さん:2011/10/13(木) 22:55:45.28 ID:Un1r@n/L0vE


      おい ここ どこだよ



    187:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 22:56:49.21 ID:OtmR-M@stEr
      降りたのか?

    188:名無しの廃人さん:2011/10/13(木) 22:56:59.95 ID:Un1r@n/L0vE
      >>187
      降りた

    189:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 22:57:47.53 ID:MgAnE1inCh0
      なぜ降りたし

    190:名無しの王様さん:2011/10/13(木) 22:59:15.02 ID:pUR&In0c_NT
      いや、わからないことを確かめるのは大事

      いやでも怖いねすごく怖い((((((;゜Д゜)))))

    191:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 23:00:35.57 ID:SuPErbR@v0!
      >>186
      駅の様子はいかがですか
      まだ電車は停まっていますか

    192:名無しの廃人さん:2011/10/13(木) 23:01:52.91 ID:Un1r@n/L0vE
      >>191
      すごい静か
      人もポケモンも何もいない
      駅舎はぼろいというか何かレトロ
      いつの時代? って感じ

      電車行っちゃった

    193:名無しの外道さん:2011/10/13(木) 23:03:49.37 ID:deAtH_tMo!\
      一体どこなんだそこは

    194:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 23:05:44.39 ID:be:LL/Oui!]
      >>160さんこっちの世界に帰ってきてー(´;Д;`)

    195:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 23:06:39.21 ID:@LL-Sm\ILe!
      駅名の看板は?
      前後の駅も書いてあるかも

    196:名無しの廃人さん:2011/10/13(木) 23:08:51.22 ID:Un1r@n/L0vE
      看板あった
      「グンチョウ」って書いてある
      誰か知ってる?

      前後の駅名は書いてないなあ

    197:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 23:10:23.92 ID:MgAnE1inCh0
      群鳥?

    198:名無しの王様さん:2011/10/13(木) 23:11:51.62 ID:pUR&In0c_NT
      多分群蝶かな
      群蝶紋様ってあるよね

    199:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 23:12:44.49 ID:be:LL/Oui!]
      えっ何それかわいい

    200:名無しの外道さん:2011/10/13(木) 23:14:55.23 ID:deAtH_tMo!\
      紋様か
      他の町と法則は同じだな
      グンチョウタウン(シティ)……現在にも過去にも記憶にないが

    201:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 23:16:41.08 ID:@LL-Sm\ILe!
      前後の駅名ないってどういうこと?
      その駅名も聞いたことないよ

    202:名無しの王様さん:2011/10/13(木) 23:16:48.39 ID:pUR&In0c_NT
      ランダム配置の紋様って美しさを感じないなあ

    203:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 23:17:30.22 ID:OtmR-M@stEr
      黙れ数式厨

    204:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 23:18:10.49 ID:MgAnE1inCh0
      >>196
      何かバタフリーとかアゲハントとかがわらわらしてそうな名前だな

    205:名無しの廃人さん:2011/10/13(木) 23:20:51.00 ID:Un1r@n/L0vE
      >>204
      まぁいないけどね
      夜だし、そもそもポケモンが全然見当たらない
      いつもなら明かりに群がってくるモルフォンとかガーメイルもいない
      ウルガモスたんに会いたいよう一緒に廃人ロードをかっとばしたいよう

    206:名無しの王様さん:2011/10/13(木) 23:21:56.62 ID:pUR&In0c_NT
      廃人ロードって?

    207:名無しの廃人さん:2011/10/13(木) 23:22:05.27 ID:Un1r@n/L0vE
      >>206
      夢の架け橋

    208:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 23:22:38.36 ID:SuPErbR@v0!
      >>206
      男の浪漫

    209:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 23:22:38.52 ID:@LL-Sm\ILe!
      >>206
      風になる場所

    210:名無しの外道さん:2011/10/13(木) 23:22:49.71 ID:deAtH_tMo!\
      >>206
      勝ち組養成所

    211:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 23:23:00.31 ID:MgAnE1inCh0
      >>206
      プラズマ団ホイホイ

    212:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 23:23:37.21 ID:be:LL/Oui!]
      >>206
      大腿筋のトレーニング場?

    213:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 23:23:57.55 ID:OtmR-M@stEr
      >>206
      やめとけ
      お前にはまだ早い

    214:名無しの王様さん:2011/10/13(木) 23:25:00.38 ID:pUR&In0c_NT
      >>207-213
      (´・ω・`)……。

    215:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 23:27:41.82 ID:OtmR-M@stEr
      おいそんなことより聞いてくれ
      ちょっと調べてきたんだけど

      群 蝶 っ て 不 吉 の 象 徴 ら し い

      何でも昔の人は蝶を人の魂を運ぶものと考えていたとか
      ってことは蝶の群れってのは……

    216:名無しの外道さん:2011/10/13(木) 23:27:52.35 ID:deAtH_tMo!\
      >>215
      おい

    217:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 23:28:18.44 ID:be:LL/Oui!]
      >>215
      やめてよぅ(;Д;)

    218:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 23:29:48.33 ID:SuPErbR@v0!
      >>215
      なるほど……
      ということは>>160さんのいらっしゃるところはまさか……

    219:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 23:30:32.29 ID:MgAnE1inCh0
      わかった
      とにかく優先すべきことはそこから一刻も早く逃げることだな

    220:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 23:30:43.84 ID:@LL-Sm\ILe!
      >>215
      わー何か寒気してきたーgkbr

    221:名無しの王様さん:2011/10/13(木) 23:33:52.10 ID:pUR&In0c_NT
      空を飛ぶか、穴を掘るか、テレポートするか……
      とにかく脱出方法を考えよう

    222:名無しの廃人さん:2011/10/13(木) 23:35:59.53 ID:Un1r@n/L0vE
      とりあえず今の状況ね

      タウンマップ→「???」と表示されて詳しいこと不明
      ライブキャスター→つながらない
      携帯→電波弱いけど何とかつながる。スレ見てるから通話とメールはできない
      手持ち→サブウェイメンバー(ドレディア・ヒヒダルマ)とユニラン

      空も飛べないし、もしかしなくても積んでるかも
      このスレが最後の生命線みたい

      怖くなってきた

    223:名無しの外道さん:2011/10/13(木) 23:36:40.44 ID:deAtH_tMo!\
      その絶望した顔を見たい

    224:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 23:37:16.68 ID:MgAnE1inCh0
      >>223
      黙れ変態

    225:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 23:37:30.22 ID:be:LL/Oui!]
      >>223
      おまわりさんこっちです

    226:名無しの王様さん:2011/10/13(木) 23:37:48.41 ID:pUR&In0c_NT
      >>223
      うわぁ……

    227:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 23:37:55.10 ID:@LL-Sm\ILe!
      どう考えてもユニランが最後の癒し

    228:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 23:38:39.03 ID:OtmR-M@stEr
      (・◇・)

    229:名無しの廃人さん:2011/10/13(木) 23:40:32.22 ID:Un1r@n/L0vE
      ユニランを抱きしめてみた
      ちょっと安心した
      泣きそう

    230:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 23:41:49.06 ID:SuPErbR@v0!
      気をしっかり持って
      皆さんがついていますよ

    231:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 23:41:58.52 ID:be:LL/Oui!]
      >>229
      泣かないでー!

    232:名無しの王様さん:2011/10/13(木) 23:42:23.51 ID:pUR&In0c_NT
      >>160にユニランを山ほど届ける簡単なお仕事
      (・◇・)

    233:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 23:43:01.18 ID:SuPErbR@v0!
      >>232
      なるほど
      (・◇・)

    234:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 23:43:29.30 ID:be:LL/Oui!]
      (・◇・)

    235:名無しの外道さん:2011/10/13(木) 23:43:42.06 ID:deAtH_tMo!\
      (・◇・)

    236:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 23:44:01.60 ID:@LL-Sm\ILe!
      (・◇・)(・◇・)

    237:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 23:44:40.32 ID:MgAnE1inCh0
      (・◇・)

    238:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 23:45:43.21 ID:OtmR-M@stEr
      (・◇・)(・◇・)(・◇・)(・◇・)( ・´ー`・)(・◇・)(・◇・)(・◇・)

    239:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 23:47:08.36 ID:MgAnE1inCh0
      >>238
      おいオタマロ混ぜんなwww

    240:名無しの廃人さん:2011/10/13(木) 23:48:27.33 ID:Un1r@n/L0vE
      >>232-237
      みんなありがとう(;ω;`)

      >>238
      お前後で覚えてろ

    241:名無しの王様さん:2011/10/13(木) 23:50:42.29 ID:pUR&In0c_NT
      もうすぐ日付が変わるね……

    242:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 23:51:10.39 ID:be:LL/Oui!]
      >>160さん大丈夫? 寒くない?

    243:名無しの廃人さん:2011/10/13(木) 23:52:55.30 ID:Un1r@n/L0vE
      >>242
      大丈夫、ありがとう(;ω;`)

      とりあえず、線路をたどって歩いて帰ることにするよ
      怖くなったらみんながくれたユニランたち抱きしめる

    244:名無しの外道さん:2011/10/13(木) 23:53:39.02 ID:deAtH_tMo!\
      このまま駅で夜を明かした方がいいような気もするが

    245:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 23:54:42.20 ID:MgAnE1inCh0
      いやでも>>160は一刻も早く帰りたいだろう
      一晩は怖すぎる

    246:名無しのトレーナーさん:2011/10/13(木) 23:55:09.21 ID:OtmR-M@stEr
      >>245
      そもそも夜が明けるという保証がない

    247:名無しの王様さん:2011/10/13(木) 23:55:42.96 ID:pUR&In0c_NT
      >>246
      ぞわっとした

    248:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 23:56:05.53 ID:SuPErbR@v0!
      暗いでしょうから足元にお気をつけて

    249:名無しの廃人さん:2011/10/13(木) 23:57:35.21 ID:Un1r@n/L0vE
      ここ来るまでにトンネルなんてあったっけなぁ
      窓の外暗かったからわかんない

    250:名無しの車掌さん:2011/10/13(木) 23:59:31.29 ID:@LL-Sm\ILe!
      夜のトンネルは怖いね
      ボクは苦手

    251:名無しの王様さん:2011/10/13(木) 23:59:57.29 ID:pUR&In0c_NT
      トンネルかぁ
      何か嫌な感じだね

    252:名無しの外道さん:2011/10/14(金) 00:00:26.38 ID:SzNDrAin0Ti
      日付超えたな
      ID変わったか

    251:名無しの廃人さん:2011/10/14(金) 00:00:52.28 ID:ILosT/MywAY
      うわトンネルの中暗いなぁ
      怖い

      あ、>>160です

    252:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 00:01:48.42 ID:D0.YAa@aaa-
      深夜になると危ないな
      色んな意味で

      >>1は俺です

    253:名無しの廃人さん:2011/10/14(金) 00:02:33.39 ID:ILosT/MywAY
      何かどっかから音楽が聴こえてくる……
      民族的な……太鼓とか……

    254:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 00:03:58.20 ID:MuN[nA_Mfmf
      怖いってばー もう怖いってばー(;Д;)

    255:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 00:04:20.59 ID:HaGEtk_N@i!
      振り返るなよ
      フリじゃないからなマジで

      マジで

    256:名無しの車掌さん:2011/10/14(金) 00:05:51.19 ID:KdASi/m@sI!
      トンネルを歩いている間に電車が来なければよいのですが……

    257:名無しの王様さん:2011/10/14(金) 00:07:32.05 ID:D@n.0_Ni/!!
      トンネル抜けるまで>>160にユニランを送ろう
      (・◇・)

    258:名無しの車掌さん:2011/10/14(金) 00:08:45.58 ID:kaTec\H@tTa
      支援ー
      (・◇・)

    259:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 00:09:18.26 ID:MuN[nA_Mfmf
      (・◇・)(・◇・)

    260:名無しの外道さん:2011/10/14(金) 00:09:47.41 ID:SzNDrAin0Ti
      厳選余りですまないが
      (・◇・)(・◇・)(・◇・)(・◇・)(・◇・)
      (・◇・)(・◇・)(・◇・)(・◇・)(・◇・)
      (・◇・)(・◇・)(・◇・)(・◇・)(・◇・)

    260:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 00:10:45.38 ID:HaGEtk_N@i!
      ユニランがゲシュタルト崩壊してきたwww

      (・◇・)(・◇・)

    261:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 00:11:22.33 ID:MuN[nA_Mfmf
      (・◇・)(・◇・)(・◇・)(・◇・)

    262:名無しの車掌さん:2011/10/14(金) 00:11:52.29 ID:KdASi/m@sI!
      次はランクルスを育てましょうか
      (・◇・)(・◇・)(・◇・)(・◇・)

    263:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 00:11:59.28 ID:D0.YAa@aaa-
      (・◇・)( ・´ー`・)(・◇・)

    264:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 00:13:05.57 ID:HaGEtk_N@i!
      >>263
      もはや安定のオタマロ

    265:名無しの廃人さん:2011/10/14(金) 00:16:52.29 ID:ILosT/MywAY
      トンネルの出口が見えてきた
      不思議な音楽まだ聞こえる
      みんなユニランいっぱいありがとう
      >>1は爆ぜろ

    266:名無しの王様さん:2011/10/14(金) 00:20:08.58 ID:D@n.0_Ni/!!
      >>160が早く他の人に出会えますように
      祈念ユニラン(・◇・)

    267:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 00:22:44.66 ID:MuN[nA_Mfmf
      >>160がこっちに戻ってくれますように
      (・◇・)(・◇・)(・◇・)

    268:名無しの廃人さん:2011/10/14(金) 00:25:58.30 ID:ILosT/MywAY
      トンネル抜けたら人がいた!

    269:名無しの車掌さん:2011/10/14(金) 00:26:04.48 ID:kaTec\H@tTa
      >>268
      お!

    270:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 00:26:52.28 ID:MuN[nA_Mfmf
      >>268
      よかったー!

    271:名無しの王様さん:2011/10/14(金) 00:26:56.62 ID:D@n.0_Ni/!!
      >>268
      祈念ユニランした甲斐があった

    272:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 00:27:00.01 ID:D0.YAa@aaa-
      いやちょっと待て
      それは本当に普通の人間なのか

    273:名無しの車掌さん:2011/10/14(金) 00:27:16.69 ID:KdASi/m@sI!
      >>268
      とりあえず一安心ですね

    274:名無しの外道さん:2011/10/14(金) 00:27:59.32 ID:SzNDrAin0Ti

      >>268
      無事で何よりだ

    275:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 00:28:55.59 ID:HaGEtk_N@i!
      みんなが安心する中
      1人だけ怖いことをいう>>1

    276:名無しの王様さん:2011/10/14(金) 00:29:47.28 ID:D@n.0_Ni/!!
      >>272
      !!

    277:名無しの廃人さん:2011/10/14(金) 00:30:05.59 ID:ILosT/MywAY
      町まで車で送ってくれるって
      親切な人でよかった

    278:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 00:30:51.87 ID:MuN[nA_Mfmf
      >>277
      ちょっと待って

    279:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 00:31:37.45 ID:HaGEtk_N@i!
      >>277
      待て! 乗るな!

    280:名無しの車掌さん:2011/10/14(金) 00:31:48.49 ID:kaTec\H@tTa
      >>277
      乗っちゃダメえぇ!!

    281:名無しの廃人さん:2011/10/14(金) 00:33:37.47 ID:ILosT/MywAY
      何か、変な方向に向かってる気がする……
      不思議な音楽まだ聞こえる
      大きくなってる気がする

    282:名無しの外道さん:2011/10/14(金) 00:34:03.39 ID:SzNDrAin0Ti
      >>281
      おい降りろ
      今すぐ降りろ

    283:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 00:34:48.94 ID:HaGEtk_N@i!
      >>281
      どう見ても連れ去られてる
      あの世に

    284:名無しの車掌さん:2011/10/14(金) 00:35:47.38 ID:KdASi/m@sI!
      >>281
      蝶の群れの一部になれと
      そういうことなのでしょうか……?

    285:名無しの廃人さん:2011/10/14(金) 00:37:49.57 ID:ILosT/MywAY
      停まってくれない
      降りたい
      助けて

    286:名無しの王様さん:2011/10/14(金) 00:38:51.18 ID:D@n.0_Ni/!!
      (((((((;゜Д゜))))))

    287:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 00:40:52.53 ID:D0.YAa@aaa-
      何か除霊できるようなものを
      塩とか煙草とか

    288:名無しの車掌さん:2011/10/14(金) 00:41:37.49 ID:kaTec\H@tTa
      きよめのおふだは?

    289:名無しの廃人さん:2011/10/14(金) 00:43:49.55 ID:ILosT/MywAY
      きよめのおふだない
      のろいのおふだしかない

    290:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 00:44:45.54 ID:HaGEtk_N@i!
      >>289
      逆効果そうだな……

    291:名無しの廃人さん:2011/10/14(金) 00:47:25.98 ID:ILosT/MywAY
      どうしよう
      とりあえず、カバンの中にしろいビードロがあったから吹いてみる

    292:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 00:48:42.89 ID:D0.YAa@aaa-
      なぜにビードロw

    293:名無しの王様さん:2011/10/14(金) 00:49:42.65 ID:D@n.0_Ni/!!
      魔よけになるのかなぁ

    294:名無しの車掌さん:2011/10/14(金) 00:51:51.25 ID:KdASi/m@sI!
      まさに藁をもつかむ思いですね
      効果がありますように(-人-)

    295:名無しの車掌さん:2011/10/14(金) 00:52:39.54 ID:kaTec\H@tTa
      ペコポコ! ペコポコ!

    296:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 00:54:12.50 ID:MuN[nA_Mfmf
      ぺ、ペコポコ! ペコポコ!(;ω;`)

    297:名無しの廃人さん:2011/10/14(金) 00:57:25.39 ID:ILosT/MywAY
      あれ
      何か視界が歪んd

    298:名無しの外道さん:2011/10/14(金) 00:58:02.26 ID:SzNDrAin0Ti
      >>297
      !!?

    299:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 00:59:55.38 ID:MuN[nA_Mfmf
      うわあああぁぁぁぁぁぁぁ
      >>160さあぁぁぁぁぁぁん

    300:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 01:00:53.39 ID:HaGEtk_N@i!
      おい!
      >>160どこ行った!?
      おおおおおぉぉぉぉぉぉい!!

    301:名無しの王様さん:2011/10/14(金) 01:00:58.55 ID:D@n.0_Ni/!!
      ( ゜д゜)ポカーン

      (( ;゜д゜))アワワワワ

      (((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル

      (((((((( ;゜Д゜)))))))ガクガクブルブルガタガタブルガタガクガクガクガクガク

    302:名無しの車掌さん:2011/10/14(金) 01:01:01.01 ID:kaTec\H@tTa
      え
      どうしちゃったの

      ちょっと

    303:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 01:01:29.69 ID:D0.YAa@aaa-
      おいおいマジかよ……
      何があったんだ……

    304:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 01:04:49.21 ID:MuN[nA_Mfmf
      もうやだ
      こわい

    305:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 01:06:30.39 ID:HaGEtk_N@i!
      正直泣きそうだ
      というかスマン泣いてる

    306:名無しの王様さん:2011/10/14(金) 01:08:20.18 ID:D@n.0_Ni/!!
      何があったんだろう……
      >>160は一体どこへ……

      >>305
      僕も泣いてる

    307:名無しの廃人さん:2011/10/14(金) 01:10:00.00 ID:ILosT/MywAY
      aui


    308:名無しの車掌さん:2011/10/14(金) 01:10:32.29 ID:KdASi/m@sI!
      !?


    309:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 01:10:53.35 ID:HaGEtk_N@i!
      <●><●>!?

    310:名無しの王様さん:2011/10/14(金) 01:11:11.11 ID:D@n.0_Ni/!!
      ( ゜Д゜)!!

    311:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 01:11:53.72 ID:D0.YAa@aaa-
      まさか

    312:名無しの廃人さん:2011/10/14(金) 01:12:23.34 ID:ILosT/MywAY


      おい ここ どこだよ



    313:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 01:12:52.95 ID:HaGEtk_N@i!
      きたああぁぁぁぁ!!

    314:名無しの王様さん:2011/10/14(金) 01:13:31.85 ID:D@n.0_Ni/!!
      お帰りー!!
      >>160お帰りー!!

    315:名無しの車掌さん:2011/10/14(金) 01:13:51.17 ID:KdASi/m@sI!
      >>160さんが戻ってらっしゃった!!

    316:名無しの外道さん:2011/10/14(金) 01:14:22.54 ID:SzNDrAin0Ti
      何だと!

    317:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 01:14:39.51 ID:MuN[nA_Mfmf
      うわああぁぁぁぁ>>160さあああぁぁぁぁぁん
      うわあああぁぁぁぁぁ。゜(゜´Д`゜)゜。
      無事でよかったあああぁぁぁぁ

    318:名無しの車掌さん:2011/10/14(金) 01:14:50.59 ID:kaTec\H@tTa
      >>160さん帰ってきた!

    319:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 01:15:59.36 ID:D0.YAa@aaa-
      生きてたのか
      それは何よりだな

    320:名無しの廃人さん:2011/10/14(金) 01:17:16.60 ID:ILosT/MywAY
      ビードロ吹いたら視界が歪んで、気がついたらここにいた

      何だろうここ、どっかの駅
      かなり近代的な感じ
      大きな町の中なのかな?
      人いっぱいいるからちょっと聞いてくる

    321:名無しの王様さん:2011/10/14(金) 01:19:56.40 ID:D@n.0_Ni/!!
      今度は大丈夫そうな予感……!

    322:名無しの車掌さん:2011/10/14(金) 01:20:41.12 ID:KdASi/m@sI!
      一体>>160さんはどこへ行ってしまったのでしょうね?
      大きな町の近代的な駅……しかしライモンではなさそうですし

    323:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 01:22:41.28 ID:HaGEtk_N@i!
      まだこっちの世界じゃないどこかだったりしたら……gkbr

    324:名無しの廃人さん:2011/10/14(金) 01:25:43.95 ID:ILosT/MywAY

      おい、ちょっと聞いてくれ
      衝撃の事実がわかった


      一体自分が今どこにいるのか、駅員さんに聞いてみたんだ
      そしたら何て返されたと思う?





      ここはジョウト地方のコガネシティ、リニアの駅だってさ



    325:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 01:26:01.16 ID:MuN[nA_Mfmf
      ……は?

    326:名無しの車掌さん:2011/10/14(金) 01:26:25.59 ID:KdASi/m@sI!
      え?

    327:名無しの外道さん:2011/10/14(金) 01:26:52.01 ID:SzNDrAin0Ti
      ( ゜Д゜)ハァ?

    328:名無しの車掌さん:2011/10/14(金) 01:27:33.41 ID:kaTec\H@tTa
      ごめん何言ってるかわからない

    329:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 01:28:41. ID:HaGEtk_N@i!
      なるほど、釣りか
      すっかりだまされたぜ




      ……釣りなんだよ、な?

    330:名無しの王様さん:2011/10/14(金) 01:29:00.29 ID:D@n.0_Ni/!!
      ( ゜Д゜)

      (゜Д゜)

    331:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 01:32:28.42 ID:D0.YAa@aaa-
      ライブキャスターつながった!

      どうやらマジでジョウトにいるらしいです
      俺もわけがわからない
      いくらなんでも遠すぎだろJK

    332:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 01:33:35.59 ID:HaGEtk_N@i!
      あ、ありのままに(ry

    333:名無しの王様さん:2011/10/14(金) 01:35:28.53 ID:D@n.0_Ni/!!
      時刻表にない謎の電車に乗る
      →わけのわからない駅に着く
      →どこかへ連れ去られそうになる
      →しろいビードロを吹く
      →ジョウト着

      どこを切り取ってもわけがわからない件

    334:名無しの車掌さん:2011/10/14(金) 01:37:34.64 ID:KdASi/m@sI!
      無事でよかったですが……
      何が起こったのかは謎のままですね……

    335:名無しの車掌さん:2011/10/14(金) 01:38:12.78 ID:kaTec\H@tTa
      ある意味貴重な体験、なのかなぁ……?

    336名無しの外道さん:2011/10/14(金) 01:39:31.26 ID:SzNDrAin0Ti
      ジョウトへ行きたいならダイヤにない列車に乗ればいいのか
      なるほど

    337:名無しの廃人さん:2011/10/14(金) 01:41:53.64 ID:ILosT/MywAY
      みんないっぱいのユニラン本当にありがとう
      無事(?)こっちの世界に帰ってこれました
      とりあえずせっかくだから、オクタン焼きとか食べてのんびりしてから帰るわ

    338:名無しの王様さん:2011/10/14(金) 01:42:45.99 ID:D@n.0_Ni/!!
      >>160乙!
      ゆっくりして疲れをとってきてね

    339:名無しのトレーナーさん:2011/10/14(金) 01:44:44.44 ID:HaGEtk_N@i!
      うん、まぁ



      とりあえず、>>1は今すぐ逃走の準備をすべき










    ネタ元
    「北陸本線の某無人駅」 http://khmb.blog92.fc2.com/blog-entry-3611.html
    「きさらぎ駅」 http://llike.net/2ch/fear/kisaragi.htm


    (執筆:2011/10/15)


      [No.773] 第83話「ポケモンリーグ準決勝第1試合中編」 投稿者:あつあつおでん   《URL》   投稿日:2011/10/14(Fri) 18:21:49     60clap [■この記事に拍手する] [Tweet]


    「ダルマ選手、ブースターを連れ出しました。晴れ下での決定力に定評がありますが、どのような戦いを見せてくれるのでしょうか」

     ダルマが次に繰り出したのはブースターだ。ブースターは体中から熱気を放ち、辺りの空気が揺らぐ。

    「そんな鈍い奴にはこれがお似合いだな、あやしいひかり!」

     勝負が再び動き始めた。まずクロバットがブースターに刺すような光を浴びせた。すると、ブースターの足元がふらついてくる。これに気付いたダルマは、腹から声を出した。

    「ぐっ。負けるなブースター、ほのおのキバだ!」

     ダルマの叫びが通じたのか、ブースターはなんとかクロバットに飛びついた。そして自慢の牙を熱し、クロバットの翼の付け根に噛みつく。クロバットは苦悶の表情を浮かべるが、手がないのでブースターを引き剥がすことができない。故に、クロバットはブースターの攻撃で力尽きた。

    「クロバット戦闘不能、ブースターの勝ち!」

    「ふう、危なかったー」

     ダルマは額の汗を拭った。安堵の表情を浮かべている。一方カラシはやや眉を釣り上げた。

    「ちっ、悪運の強い男だ。キリンリキ、いくぜ」

     カラシは入れ替わりでキリンリキを送り出した。今日2回目の登場である。

    「こうそくいどうだ」

    「仕留めろ、オーバーヒート!」

     先程のように、キリンリキは周囲を駆け回った。そんなキリンリキに狙いを定め、ブースターは全身から熱波を放出。晴れも相まってスタジアムの地面が焦げつく程だ。キリンリキはこれをもろに受けたが、まだ動ける様子である。

    「まだ倒れないのか。ならば電光石火だ!」

    「甘い、バトンタッチ」

     ブースターは急加速してキリンリキに体当たりした。ところが、キリンリキは体を震わせながらも耐えきってしまったではないか。すかさずキリンリキは退場、控えのポケモンと入れ替わる。出てきたのはカイリキー、前回と同じく毒々玉を手にしている。

    「カラシ選手、カイリキーにバトンタッチです。いきなり猛毒を浴びましたが大丈夫でしょうか」

    「カイリキー、インファイトだ」

     カイリキーは有無を言わせずブースターの懐に接近。そこから4本の腕で滅多打ちをした。さすがの攻撃力に、ブースターはたまらず気絶した。

    「ブースター戦闘不能、カイリキーの勝ち!」

    「う、うぐおおお! かなり厄介なことになってきたな。だけど、こいつがいれば逆転できる。スピアー、頼むぞ!」

     ダルマは目をぎらつかせながらスピアーを投入した。今日の試合も、気合いのタスキを持つのはこのスピアーである。

    「無駄無駄、ほのおのパンチ!」

    「なんの、おいかぜだ!」

     先手はやはりカイリキーだ。カイリキーは腕を燃やし、スピアーの腹部に叩きつけた。スピアーはタスキでこらえ、おいかぜを呼び込む。スタジアムに熱を帯びた風が流れてきた。

    「そのままがむしゃ……」

    「遅い、バレットパンチ」

     スピアーが動くよりも先に、カイリキーは弾丸のように飛びとどめのパンチをヒットさせた。スピアーは紙切れの如く地面に落下する。

    「スピアー戦闘不能、カイリキーの勝ち!」

    「へっ、俺の勝ちが見えてきたな。3対3ならこちらが有利、一気にいかせてもらうぜ」

     カラシは左うちわの様子で不敵な笑みを浮かべた。ダルマはと言うと、こちらはふてぶてしく鼻で笑っている。2人の笑い声がスタジアムに染み入る。

    「……今までこんな状況が幾度もあった。いつ負けてもおかしくないシチュエーション。けど、今はピンチじゃない。むしろ俺は今チャンスのまっただ中にいる。もう舞台は整ったからな、出番だキュウコン!」

     ダルマは胸を張ってキュウコンを再登場させた。キュウコンは出てきて早々に行動に移る。

    「大文字だ!」

     キュウコンは大の字の炎を撃った。それはちょうどカイリキーの手足にぴったり命中し、丸焼けにしてしまった。カイリキーは、火が消えると同時に崩れ落ちる。

    「カイリキー戦闘不能、キュウコンの勝ち!」

    「なんだと……どういうことだ!」

     カラシは拳を握り締め、歯ぎしりをした。地面を踏みつけてもいる。ダルマは勝ち誇った顔でこう断言した。

    「どういうことって、最初から俺のチャンスだったんだよ。おいかぜが決まった時点でね」

    「ふん、口だけは達者みたいだな。キリンリキ!」

     カラシはさらに目を釣り上げ、キリンリキを引っ張り出した。ブースターの与えたダメージのせいか、足に力が入っていないように見受けられる。

    「キリンリキはもう虫の息、大文字だ!」

     キュウコンは三度大文字を発射した。キリンリキに避ける力は残っておらず、直撃。キリンリキの姿焼きの完成である。

    「キリンリキ戦闘不能、キュウコンの勝ち!」

    「よっしゃ、あと1匹!」

     ダルマは思わずガッツポーズを取った。おいかぜは止んだが、彼が圧倒的優位なことに変わりはない。この状況で、カラシは最後のボールをじっと見つめる。

    「……遂にこれを使う時が来たか。俺を勝利に導く最後のチャンス、必ず掴んでみせる。ガラガラ!」

     ちょっと間を置いて身を正し、澄ました顔をしながら、カラシはガラガラに全てを託した。これが彼の最後のポケモンである。

    「カラシ選手、いよいよ最後のポケモンです。数々の強敵を蹴散らした力を持ちますすが、この1対3という状況を覆せるのでしょうか」

    「……ここが勝負所、全てに決着をつけよう。キュウコン、大文字で終わりだ!」

    「……甘いぜ」

     キュウコンは渾身の力で大文字を使った。業火はガラガラに迫り、カラシは万事休すと観客の誰もが息を呑んだ。

     ところが、である。ガラガラがひとたび骨を投げつけると、大文字を打ち破ってしまったではないか。溶けんばかりに熱せられた骨が戻ってくると、ガラガラは予想外の動きを見せるのであった。

    「ガラガラ、はらだいこだ!」



    ・次回予告

    ガラガラが使った技により、バトルの状況は一変。ダルマは一気に窮地へ追い込まれてしまった。果たしてこのピンチを切り抜けることができるのか。次回、第84話「ポケモンリーグ準決勝第1試合後編」。ダルマの明日はどっちだっ。


    ・あつあ通信vol.64

    いきなりですがお知らせです。この作品がもうすぐ完結するのは皆さんおわかりだと思います。そこで、たまにはこんなのがあっても良いかなあと考え、以下のような募集をします。

    ・【募集】質問、お便り
    ・【期間】最終話を投稿するまで
    ・【内容】ストーリーのこと、誤字脱字及び技の誤用の報告、作品執筆の過程など、常識の範囲内なら可
    ・【採用したら】後に投稿する総括にて回答
    ・【備考】紙面が最大5000字です。質問数によっては全て答えられない可能性があります。また、質問がなくても総括は投稿します。
    以上。お時間があれば書いてやってください。

    ちなみに、本文の「ちょっと間を置いて身を正し、澄ました顔をしながら」は、某プロ野球監督が発言した「すごいな、カープ。どうやったんだ?」の記事を引用しました。あの監督は前任に比べ散々だけど、ネタ発言はしっかりしてくれる。

    ダメージ計算は、レベル50、6V、ブースター意地っ張り攻撃素早振り、カイリキー@毒々玉意地っ張り攻撃素早振り、スピアー@タスキ陽気攻撃素早振り、ガラガラ@骨陽気攻撃素早振り。ブースターの炎の牙で手負いのクロバットを確定で倒せます。ブースターのオーバーヒートと電光石火をキリンリキは高乱数で耐え、ブースターはカイリキーの根性インファイトで一撃。スピアーはタスキ込みでカイリキーの炎のパンチを耐えます。キュウコンの大文字なら毒々玉込みで倒せます。もちろん後続のキリンリキも1発。なお、ガラガラが骨ブーメランで大文字を打ち破ったのは、「ゲームにおける技が外れる」を表現したものです。

    あつあ通信vol.64、編者あつあつおでん


      [No.772] 第82話「ポケモンリーグ準決勝第1試合前編」 投稿者:あつあつおでん   《URL》   投稿日:2011/10/12(Wed) 14:33:25     66clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    「ポケモンリーグ13日目、今日は準決勝の2試合が行われます。今日勝った選手が、最終日である15日目の決勝戦に参加します。今や、残るトレーナーはたったの4人。しかし、その4人を見ようと今日も観客席は大入り満員です。では、そろそろその期待に応えてもらいましょう。準決勝第1試合、選手入場!」

    「今日勝てば決勝戦か……」

     湧き起こる歓声を浴びながら、ダルマはスタジアムに乗り込んだ。毎回見てきたトーナメント表は敗者の名前が消され、すっかり寂しくなっている。

     そんな中、感傷に浸るダルマに対戦相手が声をかけた。

    「遂に当たったな、ダルマ」

    「カラシ! 準決勝でお前と勝負か、こりゃかなり厳しいな」

    「ふん、まだ残っていたか。俺とぶち当たるまでに負けやしないかと心配した
    が、杞憂だったな」

     ダルマの準決勝の相手、カラシは不敵な笑みを浮かべた。ダルマは苦笑いしながら受け答えする。

    「全くだよ。それより、報酬はもらえたか?」

    「……ああ。想像以上の額だった。しかも正式に四天王候補のオファーまで来た。全てお前のおかげだ、感謝する」

     カラシはダルマに向けて頭を下げた。ダルマは一瞬目を丸くしたが、すぐに落ち着きを取り戻す。

    「はは、どういたしまして」

    「……だが、当然この試合では本気でかかる。手加減なんて考えないことだ。さあ、命を賭けてかかってこい!」

     カラシはこう宣言すると、ボールを手に取った。ダルマも釣られてバトルの準備に入る。2人の様子を確認した審判は、試合開始を叫んだ。

    「これより、ポケモンリーグ本選準決勝第1試合を始めます。対戦者はダルマ、カラシ。使用ポケモンは最大6匹。以上、始め!」

    「キュウコン、いくぞ!」

    「キリンリキ、出番だ!」

     準決勝の幕が、遂に上がった。ダルマの先発はキュウコン、カラシの1匹目はキリンリキである。スタジアムは早速強い日差しが降り注いできた。

    「準決勝が始まりました。カラシ選手はキリンリキ、ダルマ選手はキュウコン。共に各選手の戦術を支えてきたポケモンです。さあ、どちらが先に主導権を握るのでしょうか」

    「キリンリキか、またバトンタッチかな。よし、まずはわるだくみだ!」

    「こうそくいどう!」

     まずはお互い様子見だ。キュウコンは低い笑い声を漏らし、尻尾から熱を噴出した。一方、キリンリキは体の力を抜いて辺りを駆け回る。

    「バトンタッチだ」

    「させるか、大文字!」

     ここで、キリンリキはカラシの元に帰り、別のポケモンと交代した。そうはさせじとキュウコンは大の字の炎を発射。大文字は交代したポケモンに命中したものの、相手は余裕たっぷりの表情である。しかも、とんでもないことが起こった。

    「カラシ選手、素早さを引き継ぎゴルダックに交代してきました。おや……天気が落ち着いてきましたね」

    「な、なんだ? あんまりパワーが出なかったぞ」

     ダルマは図鑑を開いた。ゴルダックはコダックの進化形で、バランスが良いとも中途半端とも言える能力を持つ。このポケモンの特性ノーてんきは天候の効果を無効にするというものである。非常に強力な特性であり、能力差を気にせず使う人も少なからずいる。

    「なるほど、晴れをかき消されたから耐えられたのか。仕方ない、戻れキュウコン。オーダイル!」

    「逃がすな、ハイドロポンプで仕留めろ!」

     ダルマはキュウコンを引っ込めオーダイルを繰り出した。オーダイルは登場早々、ゴルダックの槍の如き水を受けたが、意に介さない様子である。カラシもこれは計算済みなのか、眉1つ動かさない。

    「ふん、その程度で止められるものか。めざめるパワーだ」

    「なんの、つるぎのまい!」

     先手はゴルダックだ。ゴルダックは若草色の光を放った。オーダイルはその顔を苦渋に歪ませるも、懐のオボンで回復。そして戦いの舞いを披露した。

    「もう1発、これで終わりだ!」

    「そうはいくか、地震攻撃!」

     ゴルダックは再びめざめるパワーを使った。オーダイルは脂汗を滴らせたが、踏ん張った。オーダイルは地面を踏みならし、地震波でゴルダックに襲いかかる。ゴルダックはこれを耐えきれず、倒れこんだ。

    「ゴルダック戦闘不能、オーダイルの勝ち!」

    「よし、まずは1匹。……だけど、また日差しが強くなってきたぞ。このままだとやり辛いな。カラシの奴、そこまで見越していたのか?」

     ダルマは額の汗を拭いながら空を見上げた。ゴルダックが倒れたことで、天候はまたかんかん照りになってきている。

    「ふん、俺を舐めたら痛い目見るぜ。クロバット、仕事だ」

     カラシはゴルダックを回収すると、自信に満ちた表情で次のポケモンを投入した。現れたのは、素早さに定評のあるクロバットである。

    「カラシ選手の2匹目はクロバット、さっそうと登場です。オーダイルは激流の特性、つるぎのまいを駆使した攻撃で、数多の強敵を突破してきました。今回はどこまで活躍するのでしょうか」

    「オーダイル、アクアジェット!」

    「無駄だ、アクロバット」

     オーダイルは全身に水をまとい、激流の如くクロバットに攻め込んだ。しかし晴れているせいか、いかんせん火力がない。これを受けとめたクロバットは、華麗に4枚の翼でオーダイルを叩きつける。蓄積ダメージもあり、オーダイルは地に伏せた。

    「オーダイル戦闘不能、クロバットの勝ち!」

    「はっ、これでお前の切り札はいなくなったな。あとは厄介な晴れ使いさえ潰せば俺の勝利は決定的、せいぜいあがくことだ」

    「……おいおい、そんな天狗になったらろくなことにならないぞ。まあ良いか、今はバトルに集中だ。頼むぞ、ブースター!」



    ・次回予告

    準決勝は一進一退の攻防が続く激戦となった。そこでカラシが投入した秘密兵器に、スタジアムが唸りをあげるのであった。次回、第83話「ポケモンリーグ準決勝第1試合中編」。ダルマの明日はどっちだっ。




    ・あつあ通信vol.63

    やはり、カラシは最後の対決を飾るにふさわしい相手です。登場人物が結構のんびりしている中でも、彼はストイックに頑張るのでやりやすいです。

    ダメージ計算は、レベル50、6V、キュウコン臆病特攻素早振り、キリンリキ臆病HP252防御68特攻4特防108素早76振り、ゴルダック控えめHP特攻振り、オーダイル@オボン意地っ張りHP攻撃振り、クロバット陽気攻撃素早振り。キュウコンの悪巧み大文字はノーてんきゴルダックに確定で耐えられます。オーダイルはオボン込みでゴルダックのハイドロポンプとめざぱ草2発を乱数で耐えます。そして剣舞地震でキュウコンの大文字と合わせてゴルダックを確定で倒せます。オーダイルの剣舞激流アクアジェットは晴れ込みでクロバットに耐えられ、返しのアクロバットで落とされます。


    あつあ通信vol.63、編者あつあつおでん


      [No.771] 第81話「ポケモンリーグ6回戦第1試合後編」 投稿者:あつあつおでん   《URL》   投稿日:2011/10/10(Mon) 16:00:10     58clap [■この記事に拍手する] [Tweet]


    「ゆけ、ブースター!」

     ダルマはキュウコンとブースターを交代した。もふもふの体が砂嵐の中でも目立つ。

    「ダルマ選手、次のポケモンはブースターです。このポケモンも大事な場面でさりげない活躍を見せています。今回はバンギラス相手にどう立ち回るのでしょうか」

    「ブースターですか、進化させたのですね」

     ユミは図鑑を開いた。ブースターはイーブイの進化形で、俗に唯一王と呼ばれる。非常に高い攻撃を持つものの、使える物理技が貧弱なことがその由来だ。しかも鈍速低耐久故に動く前にやられることもままある。だが活躍できないわけではない。

    「一気に決めるぞ、馬鹿力!」

     ブースターは機先を制した。素早くバンギラスの頭上に飛び上がり、4本の足で踏みつける。バンギラスは地面にめり込み、たまらず気絶した。

    「バンギラス戦闘不能、ブースターの勝ち!」

    「そんな、バンギラスが1発で倒されるなんて……」
    「へへ、ブースターの攻撃を舐めちゃいけないよ。まあ、馬鹿力はデメリットもあるから連発できないけどね」

    「……油断しましたわ。しかしまだまだ勝負はこれからです、ヌオー!」

     ユミはバンギラスをボールに戻し、ヌオーを繰り出した。相変わらず点のような目が人々を和ませる。もっとも、ダルマにはそのような余裕は見受けられないが。

    「ユミ選手、後続はヌオーです。その耐久から安定した威力のカウンターで、幾多のピンチを切り抜けてきました。ここではどのように動くか」

    「ヌオー、地震攻撃です!」

    「危ない、戻れブースター、キマワリ!」

     ダルマはブースターを回収し、キマワリと入れ替えた。キマワリは出てきて早々地震の衝撃と砂嵐を食らうも、まだまだ元気だ。

    「ダルマ選手、キマワリに交代です。ポケモンリーグではその超火力でここまで無敗、先程もガブリアスをあと1歩まで追い詰めました。既にユミ選手の光の壁は消滅、大活躍が期待できます」

    「キマワリはちょっと不利ですね。戻ってヌオー、メガニウム!」

    「隙あり、にほんばれだ!」

     ここで勝負が大きく動いた。まず、ユミはヌオーからメガニウムにチェンジ。一方キマワリは両手の葉っぱを天に伸ばす。すると砂嵐は収まり、かんかん照りになった。そしてキマワリの体中から煙が立ってきた。

    「日差しが強くなりましたね。しかし、これなら何も問題ないですよ、ひかりのかべ!」

    「チャンスだ、アンコール!」

     メガニウムが再びひかりのかべを使った直後。キマワリは葉っぱで拍手をし、アンコールを促した。メガニウムは照れ笑いをしながらそれに応じる。

    「アンコールが決まったあ! ダルマ選手、大きな好機を手にしました」

    「くっ、仕方ありません。戻ってメガニウム。ヌオー、お願いします!」

    「よし。いくぞ、ソーラービーム!」

     ユミは苦渋の1手を打たざるを得なかった。メガニウムを引っ込め、ヌオーを再登場させたのである。他方、キマワリはお得意の光の束を集め、丸太のような太さの光線を発射した。ひかりのかべで幾分削がれたが、それでも十分な1発がヌオーを焼き尽くす。結果、ヌオーの丸焼きが完成した。

    「ヌオー戦闘不能、キマワリの勝ち!」

    「ふう、あと2匹か。だいぶ楽になってきた」

    「……いけませんね、そろそろ本気を出さなければ。エーフィ、叩き潰してやりな!」

     ユミは次のポケモンを送り出した。出てきたのはエーフィである。スタジアムは急にざわめいてきた。実況も戸惑い気味だ。

    「ユミ選手、5匹目はエーフィです。これで全てのポケモンを使いましたが……何かが変です。まるで別人のような……」

    「つ、遂に豹変したか」

     ダルマは冷や汗を流しながら図鑑をチェックした。エーフィはイーブイの進化形で、高い特攻と素早さを備える。どこかのもふもふより遥かに使いやすいが、攻撃するだけではフーディンに劣る。そのため、補助技を絡めて戦うのが人気である。

     ダルマは豹変したユミをまじまじと見つめた。出会った時から変わらぬ美貌だが、恐怖を感じさせるのが今の彼女である。しかし彼は物怖じすることなく叫んだ。

    「……どんなに変わっても、彼女が俺のライバルであることに疑問の余地はない。だからびびらない。何があっても俺は退かない。かかってこい、ユミ!」

    「はっ、寝言は寝て言いな、サイコキネシス!」

     バトルが再開された。キマワリが動こうとする前に、エーフィはサイコキネシスでキマワリをきつく絞る。ダメージの蓄積していたキマワリはここで倒れた。

    「キマワリ戦闘不能、エーフィの勝ち!」

    「キマワリ、6回戦で遂に土がつきました! 勢いのついたユミ選手を、ダルマ選手は止められるのか?」

    「くっそー、さすがにやるな。ブースター、かたをつけるぞ!」

     ダルマはキマワリをボールに収め、ブースターを投入した。エーフィの攻めは緩むことなく、交代際から攻撃が飛んでくる。

    「雑魚はすっこんでな、サイコキネシス!」

    「あくびで眠らせろ!」

     ブースターはエーフィに雑巾のように扱われる中、なんとかあくびを使った。ところが、なんとブースターが舟を漕ぎだしたではないか。これにはダルマも驚きを隠し得ない。

    「な、なんだ……ブースターがうとうとしているじゃないか!」

    「ふん、何勘違いしてんだい。アタイのエーフィの特性はマジックミラー……そんなちゃちな技なんざ効かないのさ! サイコキネシス!」

     エーフィはブースターを何度も地面に叩きつけた。このたたみかける攻撃に、ブースターはぼろきれのようになってしまった。

    「ブースター戦闘不能、エーフィの勝ち!」

    「まずいな、追いつかれてきた。頼む、スピアー!」

     ダルマはブースターとスピアーをバトンタッチさせた。スピアーにはきあいのタスキが巻いてある。

    「無駄無駄無駄無駄、サイコキネシス!」

    「おいかぜだ!」

     エーフィは思考を停止したかのようにサイコキネシス1本で攻める。スピアーはタスキでこれをしのぎ、おいかぜを辺りに吹かせた。スピアーの動きがにわかに俊敏になる。

    「今だ、シザークロス!」

     おいかぜに乗ったスピアーはエーフィに接近、自慢の針で切りつけた。効果は抜群、無双状態のエーフィを見事に止めた。

    「エーフィ戦闘不能、スピアーの勝ち!」

    「はあはあ……あと1匹、メガニウムだけか」

    「ちっ、いけすかないね。メガニウム、出番だよ!」

     ユミは唇を噛みながら最後のポケモン、メガニウムを呼び出した。

    「ユミ選手、最後に残ったのはメガニウム。ダルマ選手は3匹と、大きくリードしています」

    「シザークロスだ!」

    「甘いね、ギガドレイン!」

     スピアーはさっきと同じくメガニウムを切り裂く。その時、メガニウムはスピアーの針を通じて養分を吸い取った。ほうほうの体だったスピアーは、しなびたキノコのように崩れ落ちる。

    「スピアー戦闘不能、メガニウムの勝ち!」

    「や、ヤバい。あと2匹しかいないぞ。けどおいかぜがあるから大丈夫、オーダイル!」

     ダルマはボールを強く握り締めると、切り札オーダイルを降臨させた。すかさず彼は指示を送る。

    「これで最後だ、冷凍パンチ!」

     オーダイルは右腕に冷気を込め、メガニウムを殴りつけた。これが決定打となり、メガニウムは地響きをあげて倒れこんだ。

    「……メガニウム戦闘不能、オーダイルの勝ち! よって勝者、ダルマ選手!」

    「よっしゃ、準決勝進出だ!」

     勝利が決まったダルマは、思わず雄叫びをあげた。それを受け、テレビカメラが一斉にダルマに注目する。

    「ダルマ選手、見事6回戦も勝利しました。残すところあと2試合、今大会のダークホースは優勝にまた1歩歩み寄りました」

     実況と外野が大騒ぎする中、ユミがダルマに近寄ってきた。ダルマはふと身構える。

    「ダルマ様、さすがでした!」

    「ありがとう。あ、元に戻った?」

    「はい。……ダルマ様、ありがとうございます。ダルマ様がライバルになってくれたおかげで、勝つためになりふり構わず戦えました。もうどんな自分だって受け入れられます」

    「はは、そりゃ良かった。ん、でも試合前は目が泳いでいたような……?」

    「そ、それは関係ありません! では私はこれで失礼します!」

     ユミはさっとダルマに背を向け、そそくさとスタジアムを後にした。ダルマは首をかしげながらオーダイルに尋ねるのであった。

    「なあオーダイル。俺、何か変なこと言ったかな?」



    ・次回予告

    準決勝、ここまで残ったのはたった4人。その中にダルマはいるのだ。ここまで戦いぬいた彼に対抗するのは、あのトレーナーであった。次回、第82話「ポケモンリーグ準決勝第1試合前編」。ダルマの明日はどっちだっ。



    ・あつあ通信vol.62

    今日のポケモン紹介はダルマのオーダイルです。意地っ張りHP攻撃振り、技はアクアジェット、剣舞、何か、何か。作中で何度も戦ってますが、剣舞からの物理エースです。ギャラドスには使えない激流剣舞アクアジェットで並のポケモンをことごとく倒します。進化するまではかませ役も結構ありましたが、今ではキュウコン、キマワリに並ぶ主力に。種族値合計がパーティで1番なだけはある。ブースターもこれくらい活躍させたいです。

    ダメージ計算は、レベル50、6V、ブースター意地っ張り攻撃素早振り、ヌオー意地っ張りHP攻撃振り、エーフィ臆病特攻素早振り、スピアー陽気攻撃素早振り。ブースターの馬鹿力でバンギラスが確定1発。キマワリにヌオーの地震は確定4発、キマワリのサンパワーソーラービームは壁があってもヌオーを確定1発。エーフィのサイコキネシスでダメージ受けたキマワリが確定1発、ブースターが確定2発。スピアーの虫の知らせシザークロスでエーフィが確定1発、メガニウムには耐えられます。そしてオーダイルの冷凍パンチでメガニウムを倒せます。


    あつあ通信vol.62、編者あつあつおでん


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