マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  •   [No.1271] #120399 「フワンテにつかまった少女」 投稿者:   《URL》   投稿日:2015/04/27(Mon) 20:10:36     54clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    Subject ID:
    #120399

    Subject Name:
    フワンテにつかまった少女

    Registration Date:
    2008-02-26

    Precaution Level:
    Level 2


    Handling Instructions:
    浮遊体#120399が存在している領域は、当局により完全な飛行禁止区域に設定されました。警備員を周辺に展開し、浮遊体#120399に近付こうとする人物がいないかを常に監視してください。浮遊体#120399は静止して動かないため、飛行禁止区域は常に一定の範囲になります。浮遊体#120399の近辺を通過する通常の飛行物、特に空を飛んでいる最中の携帯獣や携帯獣に搭乗したトレーナーが互いに接触することが無いよう警戒を呼びかけてください。

    性質上、浮遊体#120399に物理的に近付くことは困難であり、対象のサンプルを得ることは難しいと考えられています。浮遊体#120399に接近する方法については現在も議論と研究が進められており、その状況については月次で更新されるレポートR-120399-2-Mで確認することができます。これまでに実行が試みられ失敗に終わった接触計画に関しては、レポートR-120399-3-Nに計画単位で取りまとめられています。案件担当者はこれらの資料を自由に参照する権限を持ちます。

    可能であれば、案件担当者は参考人リストL-120399に列挙された人物について情報収集を行ってください。これまでに得られたいくつかの情報は、浮遊体#120399に関わりがあるとされる複数の人間の存在を示唆しています。特にリストL-120399の第4セクションに取りまとめられた2名の失踪者については、浮遊体#120399そのものと何らかの深い関わりを持っている可能性があります。


    Subject Details:
    案件#120399は、カントー地方シオンタウンの上空を浮遊している未確認飛行物体(浮遊体#120399)と、それに掛かる一連の案件です。

    本案件の中心となる浮遊体#120399が最初に確認されたのは、2008年1月中旬のことでした。カントー地方シオンタウンの中心に位置する住宅街である「シオンニュータウン」上空を飛行していたトレーナーが浮遊体#120399を発見し、その様子を見て「フワンテに捕まった女の子がいる」と救急連絡をしたのが切っ掛けとなりました。当初はフワンテによる子供の連れ去り事案と考えられ、専門に組織された救助隊が出動しました。

    救助隊による救出と調査の試みが行われていましたが、その過程で近隣をエアームドに搭乗して飛行していた別のポケモントレーナーとニアミスし、救急隊員一名とトレーナーが軽い怪我を負う事案が発生しました。事案発生時の状況と救助隊による調査の過程で判明した浮遊体#120399の異常な性質から、本件については当局に引き渡す案件だという結論が下されました。通報を受けた局員が現場に駆け付け、初期調査と関係者へのヒアリングを経て案件立ち上げが決定しました。

    浮遊体#120399は、一般的なサイズと風貌をした一体のフワンテと、その足に両手を絡める形で帯同している概ね6歳頃の少女と思われる人間です。フワンテと少女は浮遊したまま時折わずかに動く程度で、自発的に移動したり何らかの行動を起こしたりする素振りをほとんど見せません。後述する浮遊体#120399の性質上、フワンテに帯同している少女がどのような人物かを調査する試みは難航しています。浮遊体#120399は風雨/風雪に晒されても影響を受けているようには見受けられず、その場を離れることはありません。

    浮遊体#120399が持つ特性として、推定で周囲20m以内に異常空間を作り出すというものが挙げられます。浮遊体#120399が展開するこの空間内では、内部には入り込んだあらゆる飛行者の位置/空間認識能力が狂わされ、浮遊体#120399に接近することが著しく困難になります。実際に浮遊体#120399への接近を試みた救助隊員からは「どれだけ前に進んでも、フワンテが同じ速度で遠ざかっていくように見えた」という証言が得られました。これについては、周囲で様子を観察していた他の救助隊員も同様の発言をしています。

    当局が実施した複数回の実験では、あらゆる飛行手段を持ってしても、浮遊体#120399へ接触することは著しく困難かまたは不可能であるという結論が出ています。浮遊体#120399は認識異常を引き起こすだけでなく、実際に空間そのものを変質させている可能性が濃厚です。発見時に生じた救助隊とトレーナーによる衝突事故についても、浮遊体#120399がある程度の意図を持って両者を衝突へ導いた疑義が示されています。

    近隣を通過するトレーナーや飛行免許を持った市民にとって浮遊体#120399の効果は移動の妨げになる虞があるため、周囲一体を飛行禁止にする措置が取られました。浮遊体#120399が少なくとも視覚的にはその場からほとんど移動しない(これまでの観測では、移動範囲は概ね半径60cm以内であるとの結果が出ています)ことから、現在の保全プロトコルは有効に機能していると考えられています。

    浮遊体#120399の正確な起源については明らかになっていません。フワンテが少女を拘束しているのか、少女が自発的にフワンテに掴まっているのか、或いはフワンテは少女から離れようとしているがそれができないのか、いずれについても根拠の無い仮説のレベルに留まっています。浮遊体#120399の起源を探るための調査は現在も進行中です。

    本案件と関連性があると推定される事案が近隣で複数発生しています。注目すべきは浮遊体#120399が存在する「シオンニュータウン」そのもので、当局が調査中の事案に関わっている疑いのある人物が複数居住している他、他の地域と比較して案件/事案の発生頻度が統計的に見て有意なレベルで高いことも判明しています。

    中でも特記すべき重大事案として、2007年末頃に6歳から7歳までの少女3名がほぼ同時期に失踪し、翌年始めにその内の1名が変死体で発見されたというものが挙げられます。残る2名の失踪者のうちの1名について、容姿上の特徴から浮遊体#120399を構成する人間部分に該当するのではないかという意見も上がっています。しかしながらこれまでのところ、いかなる形においても両者を明確に関連付ける証跡は得られていません。


    Supplementary Items:
    本案件に付帯するアイテムはありません。


      [No.1270] #137905 「マイム・ライフ・ライブ」 投稿者:   《URL》   投稿日:2015/04/26(Sun) 20:42:57     48clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    Subject ID:
    #137905

    Subject Name:
    マイム・ライフ・ライブ

    Registration Date:
    2013-09-13

    Precaution Level:
    Level 5


    Handling Instructions:
    映像#137905の出現を事前に予期することは極めて困難なため、現在は映像#137905がどのような原理で出現するかの研究に案件対応の比重が置かれています。過去に録画された映像#137905には異常性が見受けられないため、案件担当者は研究のために閲覧することが許可されています。ただしその場合、事前に様式F-137905-1に沿って閲覧申請を提出し、閲覧の記録を残さなければなりません。

    案件の副担当者として割り当てられた局員はリストL-137905-2に列挙された動画配信サイトを交代で終日巡回し、映像#137905が放送されていないかを監視してください。過去の統計から、放送は日時を問わず前触れなしに開始される事が分かっています。放送を発見した場合は直ちに主担当者へ報告の上、録画を開始してください。報告を受けた主担当者は、警察機関の担当窓口にに事案#137905の発生を連絡してください。放送から24時間以内を基準として発生したすべての不審死事件について、警察機関から概要の報告が行われることになっています。

    映像#137905に登場する携帯獣#137905の身体的特徴から、過去に当局が起票したいくつかの案件に関わっている可能性が示されています。映像#137905-49で発生した重大なセキュリティインシデントから、携帯獣#137905が当局の存在を認知している可能性が極めて濃厚です。携帯獣#137905の収容プロトコルについての議論は現在も継続しています。


    Subject Details:
    案件#137905は、由来不明のバリヤード(携帯獣#137905)が登場するライブ形式の動画(映像#137905)と、それに伴って発生する不審死事件、及びそれらに掛かる一連の案件です。

    2013年初頭頃より、当局に「不審なバリヤードが生放送をしている」という通報が幾つか寄せられました。通報を受けた局員は通報の都度映像を録画し、10本ほどの録画映像が取得できた段階で解析を行うスケジュールを設定しました。最新の映像を録画した後数日が経過してから動画を確認したところ、後に携帯獣#137905と認定されるバリヤードがパントマイムで「人間の頭部を引きちぎっている」と形容できる異様な動作をしている映像が収められていました。

    携帯獣#137905の動作を見た局員は、映像が放送された当日、頭部が切断された状態で死亡している成人男性が発見されるという事件が起きていたことを思い出しました。過去に録画された映像を再度確認したところ、それらはいずれも何らかの形で人間を殺害していると思しき動作をパントマイムで表現しており、そして同日中に映像で表現されたものとまったく同じ方法で殺害されている人間が発見されるという事件が起きていたことが判明しました。局員は直ちに上長へ過去事案を取りまとめて報告し、その危険性から即日中に案件の立ち上げが決定しました。

    上述の通り、映像#137905は携帯獣#137905が何者かを殺害するかのような動作が収録された映像です。映像は「マイム・ライフ・ライブ」(日本語が使用可能なサイトの場合)または「Mime Life Live」(日本語が使用不可能なサイトの場合)というタイトルで出現し、末尾に「#30」のような形式で連番が付与されます。最新の映像に付与された連番から、これまでに計62回の放送が行われたと推定されています。

    映像#137905には不気味で崩れた笑みを浮かべるマスクをつけた携帯獣#137905が登場し、背景は必ず特徴の無い白い部屋になっています。放送開始直後に携帯獣#137905は視聴者へ向かって一礼し、パントマイムを開始します。その後、パントマイムを終えた携帯獣#137905は視聴者に向かって一礼し、その後配信が終了するという流れはすべての映像#137905で共通しています。

    これまでの検証により、映像#137905は事前に収録したものではなく、リアルタイムに録画され放送されたものであることが分かっています。これまでに出現が確認されたのはいずれもライブ配信のための専用サイト(USTREAM/twitch.tv/TwitCasting等)か、ライブ配信機能を備えた一般的な動画配信サイト(YouTube/ニコニコ動画等)です。放送はランダムなタイミングで開始され、概ね30分以内に終了します。

    映像#137905が配信されてから遅くとも24時間以内に、放送されたものと完全に同一の方法で人間が一人殺害されます(事案#137905)。映像の視聴の有無は関連性が無く、映像を視聴できない環境にいた被害者が殺害された事例も複数存在します。被害者は確認された限りで7歳から73歳までの男女で、居住地域や個々人の特徴に一切の法則性が見つかっていません。ただし、いずれも被害者が完全に一人になったタイミングで殺害され、殺害される瞬間を目撃した人物が居ないことが共通しています。

    何らかの特異な技術を用いているのか、映像#137905はサーバーの各種ログを始めとする放送の記録がほとんど残しません。このため情報を得るためには、映像#137905を録画する必要があります。またこれまでに数回、当局の介入による映像#137905の配信中断が試みられました。配信を妨害する事自体には成功しましたが、その後の事案#137905の発生を防ぐことはできませんでした。最後まで放送が行われた時と同様に、ランダムな人物が映像#137905で表現された方法によって殺害されています。このため、映像#137905が開始された時点で、事案#137905の発生を止めることは不可能であるという結論が下されています。

    携帯獣#137905は視聴者に向けて一礼することと、被害者を殺害するパントマイムのパフォーマンスを除いた一切のアクションを取らず声も発さないため、どのようなパーソナリティを持っているのかは明らかになっていません。また、携帯獣#137905がパントマイムのライブ配信を行う意図についても不明です。


    [2014-06-17 Update]
    当局による複数回に渡る放送妨害の後、49回目のライブ放送が行われました(映像#137905-49)。当時制定されていた対応プロトコルに基づいて担当者が放送妨害を試み、放送は開始から12分30秒の時点で強制的に打ち切られました。その際携帯獣#137905は「対象の両腕を引きちぎり、引きちぎった両腕で被害者を激しく殴打する」というパフォーマンスを実演している最中でした。

    放送妨害が行われた翌日、就業時刻を過ぎても担当者は姿を見せませんでした。不審に感じた局員が担当者の自宅を訪ねたところ、映像#137905-49で表現されたものと同一の方法で殺害されている担当者が発見されました。司法解剖による死亡推定時刻は昨日23時頃で、放送から24時間以内に対象が死亡する事案#137905の条件と合致します。

    当局は携帯獣#137905が当局による監視と妨害を把握し、担当者を殺害することで警告を行ったものとの見方を示しています。これに伴い対応プロトコルから放送妨害についての記述が削除され、映像#137905及び携帯獣#137905の起源を探ることに対応の重点が置かれることが決定しました。


    Supplementary Items:
    本案件に付帯するアイテムはありません。


      [No.1269] #117472 「分散ishアーカイブス」 投稿者:   《URL》   投稿日:2015/04/25(Sat) 20:11:17     46clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    Subject ID:
    #117472

    Subject Name:
    分散ishアーカイブス

    Registration Date:
    2007-03-24

    Precaution Level:
    Level 2 [潜在的 Level 4]


    Handling Instructions:
    この案件のために開発されたクローラーのプログラムが、書庫#117472がインターネット上に新たに出現していないかを常に監視しています。書庫#117472の出現が確認された場合、それが確認済のものであるか否かに関わらずダウンロードを行い、案件担当者に宛てて自動的に所在を通知します。通知を受けた案件担当者は様式F-117472-1に沿ってサイト管理者に書庫#117472の削除を依頼し、速やかな対応が為されない場合は手順M-117472-1によりサイトへのアクセス遮断措置を講じます。

    サイト管理者に書庫#117472の投稿者情報を提出するよう通達してください。得られた情報は案件別サーバ#1に保管します。アクセス元については投稿の都度変化していることが分かっていますが、まれに過去と同様の接続情報が得られる場合があります。アクセス元に関する統計情報については、資料D-117472-3を参照してください。資料D-117472-3は月末毎に最新のデータに基づいて更新されることになっています。

    収集された書庫#117472は複数の案件別サーバに分散して保存し、三重の暗号化を施します。本案件の案件別サーバは、複数のサーバが同一のネットワークに参加することが無いよう注意を払う必要があります。書庫#117472の一部をサンプルとしてデコード/展開することは認められていますが、特別な理由が無い限り、保管されている書庫#117472を結合することは許可されません。過去に結合実験を行って得られた情報については、資料D-117472-5を参照してください。


    Subject Details:
    案件#117472は、インターネット上に存在する不特定多数の掲示板やWikiに投稿されるテキスト(書庫#117472)と、それに掛かる一連の案件です。

    出現が確認されたのは2006年11月頃のことで、局員の一人が事案の疑義ありとして日報に記録したことにより当局の知るところとなりました。管理局が確認している最古の出現事例は既に使用されなくなって数年が経過したレンタル式の電子掲示板においてで、合計146の書庫#117472が2日から47日のランダムな期間を挟んで投稿されていました。日報を記録した局員が書庫#117472と投稿者情報を保全し、書庫#117472について初期調査を行った段階で異常性が発覚、案件として起票されることが決定しました。

    書庫#117472は、「ish」によってエンコードされた分割ファイルの断片です。ishは一定のルールに基づいてバイナリデータとテキストデータを相互変換するためのファイルフォーマット及びソフトウェアの名称であり、どのようなファイルであっても変換することが可能です。簡易的なエラー訂正機能を含んでいるため、かつて通信環境が整っていなかった時代に頻繁に使用されていました。性質上データが制御コードを含まないテキストデータに変換されるため、バイナリファイルに相当するデータをテキストのみやり取りが可能な電子掲示板やその他CMSに書き込むことができるという利点があります。

    ish及び互換ソフトウェアを使用して書庫#117472を復元すると、「********.zip」という名称のZIPアーカイブが生成されます(例:000001A3.zip)。「********」には0から9までの数字とAからFまでのアルファベットが入る可能性があります。ネーミングルールから、16進数によりナンバリングされたアーカイブファイルと推測されています。ZIPアーカイブは一般的な形式のもので、展開するとアーカイブファイル名と同様の名前を持つ拡張子の無いファイルが生成されます(例:000001A3)。ファイルサイズが常に4096バイトとなっていることから、巨大なファイルを単純に一定のサイズで分割したものと考えられます。

    一つのファイルにおける情報量の少なさ故に、分割元となったファイルが如何なる存在であったかについては当初複数の仮説が提示されていましたが、調査の過程で263の抜けの無い連番ファイルの確保に成功しました。ネットワークから遮断した環境下ですべてのファイルのデコードと展開を行い、ファイル名が若い順に結合して作成された出力ファイルの検証が行われました。

    検証の結果、データは何らかの携帯獣、それもこれまでに確認されていない未知の種族のデータを分割したものである可能性が非常に高いことが判明しました(携帯獣#117472)。得られたデータからは携帯獣#117472が何らかの特異な能力を持ち、かつ獰猛な攻撃性を持つ種族であることが示唆されています。断片的な情報であり不正確な点が多々あると考えられますが、僅かながら得られた確証はいずれも人類にとって脅威たりえるものでした。

    いくつかの結合結果の分析から、携帯獣#117472はイッシュ地方由来の携帯獣である可能性が示されました。イッシュ地方の支局に在籍する局員に検証結果を送付し、当局と協力関係にある複数の携帯獣学の専門家に解析を依頼しましたが、これまでのところ既知の種族で携帯獣#117472と完全に一致する種族は発見されていません。しかしながら解析の結果はいずれも当局が下した判断と一致するものであり、危険な種族であるということで見解の一致を見ています。

    現段階に於いて、書庫#117472がどのような存在によっていかなる目的で作成されたのかはいずれも分かっていません。不特定多数の電子掲示板にishエンコードした書庫#117472を書き込む理由についても同様です。携帯獣#117472が最終的にどのような能力や形態を取るのかについても不明な点が多く、現状では書庫#117472及び携帯獣#117472の存在を隠蔽することに案件対応の主軸となっています。

    一般的な携帯獣のデータ量とファイルフォーマットの特性からおよそ390,000個の書庫#117472が存在すると推定されますが、本校執筆時点で当局が収集できているのはそのうちの1%にも満たない2,978個に過ぎません。


    Supplementary Items:
    本案件に付帯するアイテムはありません。


      [No.1268] #128617 「オオタチ通信網」 投稿者:   《URL》   投稿日:2015/04/24(Fri) 19:50:03     49clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    Subject ID:
    #128617

    Subject Name:
    オオタチ通信網

    Registration Date:
    2010-10-04

    Precaution Level:
    Level 2


    Handling Instructions:
    対象を収容することは物理的に困難であるため、既存の「通信網」がどのような形で整備されているかを研究する取り組みに焦点が置かれています。新たな進入口#128617を見つけた場合、ポイントをデータベースへ登録してください。これまでに確認されている進入口#128617の一覧については、リストL-128617-1を確認してください。リストL-128617-1は毎日16:00に自動更新されます。

    進入口#128617を塞ぐような行為は新たな進入口#128617の形成を誘発してしまうため、推奨されません。当局の敷地内を含む問題のあるポイントに進入口#128617が形成される事案が発生した場合、速やかにリストL-128617-2に掲載されている支局まで連絡してください。連絡が為された場合、当局と雇用契約を結んでいるオオタチの局員が現地へ向かい、該当する進入口#128617を使用しているオオタチに説得と交渉を行います。これまでのところやり取りに際してトラブルが発生した事は無く、問題なく敷地内から退去することが分かっています。

    局員は当局が要注意ポイントとして指定した進入口#128617を監視し、該当する進入口#128617を出入りするオオタチの様子に注意を払ってください。不審な荷物を運んでいると判断した場合はその場で呼び止め、荷物の内容について検査するようにしてください。過去の事例において、この検査により未然にいくつかの犯罪を防止することに成功しています。


    Subject Details:
    案件#128617は、全世界に張り巡らされていると推定されるオオタチのみが通過可能な洞窟(通信網#128617)と、それに掛かる一連の案件です。

    少なくとも2002年頃から、遺失物が数日後に極めて離れた地域で発見されるという事案が相次いで発生していました。当初は単なる悪戯行為の類と考えられていましたが、報告される件数が増加するにつれて当局が異常事案の疑義有りと判断し、局員が調査に乗り出しました。その過程で、遺失物の発見に各地域に生息するオオタチが度々関与している事が分かり、追跡調査の結果後に通信網#128617と認定される洞窟が発見されました。

    通信網#128617は、その大きさ故にオオタチのみが通行可能な直径30cmから40cm程度の穴(進入口#128617)です。進入口#128617の付近には常に数匹のオオタチが待機しており、荷物(オオタチが持ち運び可能なものに限られます)と大まかな場所を伝えることで、最寄りの進入口#128617まで荷物を輸送します。依頼に基づいて荷物を輸送することもあれば、理由は不明ながらオオタチ自身が荷物を持ち込んで輸送することも確認されています。輸送には恐らくバケツリレー方式が用いられていると推定され、最終目的地に到達するまでに相当数のオオタチの手を介すると考えられています。

    2005年7月下旬、カントー地方シオンタウン第三支局に在籍する局員から「支局の敷地内に進入口#128617が作られている」との連絡が寄せられました。支局では当初、進入口#128617を封鎖し、近隣に生息していたオオタチをすべて捕獲するという対処を行いましたが、別の新たな進入口#128617とオオタチの出現という結果を招きました。物理的な封鎖が難しいと判断した局員が上長と相談の上、オオタチと対話が可能な携帯獣の職員についての問い合わせを全支局宛てに投稿しました。これを受けたジョウト地方ヨシノシティ第二支局の局員が、平時は局間便の輸送担当として勤務しているオオタチの局員にこの課題について連携しました。翌日カントー地方シオンタウン第三支局にオオタチの局員が出張し、進入口#128617近辺にいたオオタチと対話、最終的に敷地内から進入口#128617をすべて取り除くことで合意しました。現在の取扱い手順は、この事案を元にして制定されています。

    過去に複数回行われた通信網#128617を使用した輸送実験により、恐らくほぼ地球規模で通信網が形成されていると考えられています。実験結果の一例としては、実験セッション27が挙げられます。このセッションではシンオウ地方ミオシティにある進入口#128617-224からホウエン地方フエンタウンにある進入口#128617-386まで、およそ52時間で実験用荷物が輸送されたことが確認されました。

    これまで当局が保有する探査用ドローンを用いた内部調査が幾度となく提案され、いくつかの提案においては実際に調査が執り行われました。しかしながら、いずれの実験セッションにおいても通信網#128617の複雑な構造故に調査が難航し、さらに通信網内部に潜んでいるオオタチの敵対行動によってことごとく探査用ドローンを紛失するという結果に終わっています。これ以上の損失を防ぐ意味合いで、探査用ドローンを用いた調査は予め却下されることとなっています。

    通信網#128617そのものについては、そのあまりに長大な規模を除けば、オブジェクトそのものに特段の異常性は無いと考えられています。しかしながら、ほぼ全世界的に通信網が形成されていること、どのような経緯で通信網#128617が構築されたのかが一切分かっていないこと、そして実際のところオオタチが通信網#128617をいかなる目的で利用しているのかが不明であることなどから、決して楽観視することはできません。

    さらに上記に加えて、通信網#128617を利用した犯罪行為が複数確認されています(盗品の輸送/武器や情報の授受等)。これらは当局以外の個人あるいは組織が通信網#128617の性質を相当程度把握し、明確な悪意を持って利用していることを示していると言えます。この事から、裁定委員会は本案件の警戒レベルを「2」(異常性は低いが、注意が必要)とする結論を下しました。


    Supplementary Items:
    本案件に付帯するアイテムはありません。


      [No.1267] #109108 「ドーブルのメッセージ」 投稿者:   《URL》   投稿日:2015/04/23(Thu) 22:11:32     62clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    Subject ID:
    #109108

    Subject Name:
    ドーブルのメッセージ

    Registration Date:
    2004-07-29

    Precaution Level:
    Level 2


    Handling Instructions:
    個体#109108が記述したメッセージはすべて写真として記録し、インデックスのためテキスト化した情報を付けて案件別サーバに保管してください。写真やテキストには何ら異常は認められないため、案件担当者は自由に閲覧する権限が付与されています。必要に応じて複製することも認められています。これまでに記録されたメッセージの一覧については、リストL-109108を参照してください。

    これまでのところ、個体#109108そのものには何ら異常は認められません。保護担当者は、異常性の無いドーブル個体と同様の取り扱いを実施してください。個体#109108がスケッチをするためのキャンバスを要求した場合は、要求に沿ってキャンバスを提供してください。キャンバスのストックは、個体#109108が収容されているジョウト地方エンジュシティ第四支局の備品倉庫にあります。ストックが少なくなった場合、標準的な消耗品補充手順に従って購入してください。


    Subject Details:
    案件#109108は、あるドーブル個体(個体#109108)が不定期に記述するメッセージ群と、それに掛かる一連の案件です。

    2003年10月頃、ジョウト地方キキョウシティ南西部に位置する、一般に「アルフの遺跡」と呼ばれている遺跡群にて、遺跡を管理している団体に宛てて観光客から「遺跡に落書きをしているドーブルがいる」という連絡がなされました。落書きを確認した職員は内容に不審な点を覚え、当局の窓口に通報しました。職員は局員が到着するまでにドーブル(後に個体#109108と認定)を捕獲し、落書きを複数の写真に収めました。これらは後に局員に引き渡され、案件の初期研究において有用な資料となりました。

    個体#109108は外見上一切の特異な点が見られない、解剖学的に正常な♂のドーブル個体です。身長や体重は平均的な成体のドーブルのそれとほぼ同等であり、視覚や聴覚などの感覚機能にも何ら異常は見られません。当局の定める標準的な手順に基づく精密検査及びデータ化した状態での完全スキャンもすべてパスしています。性格は友好的で、保護に当たっている担当局員たちとは良好な関係を築いています。後述するこの個体特有のある行動を除けば、個体#109108は完全に正常なドーブルと言うことができます。

    概ね一週間に一度か二度程度の頻度で、個体#109108は通常のスケッチ行動とは明確な差異がある異常なスケッチ行動(動作#109108)を取ります。動作#109108は一見したところ通常のスケッチ行動と同じに見えますが、書かれるものが絵ではなくテキストによるメッセージ(メッセージ#109108)であるという点で決定的に異なります。メッセージ#109108は多種多様な言語で記述され、時として未知の言語や意味が不明瞭な単語が使用されます。内容はいずれも強い不安や恐怖を想起させる、総じて「何者かが助けを求めているような」と形容される文面です。

    メッセージ#109108の内容と個体#109108の心理状態や健康状態は一切関連しないことが分かっています。収容初期は個体#109108がメッセージ#109108を通して自ら抱える苦痛を訴えているものと考えられていましたが、詳細な検査により個体#109108には何ら問題が無いことが判明し、その仮説は覆されました。メッセージ#109108を記述する前後、及び記述している最中についても、個体#109108は一貫して平静を保っています。このため、個体#109108がメッセージ#109108を書き付ける意図は不明なままです。

    収容初期に実施された複数の実験により、個体#109108には一般的なドーブルと同程度の識字能力しか持たないことが明らかになりました。これにより、個体#109108は何らかの明確な意志を持ってメッセージ#109108を書き付けているのではなく、ある種の「図形」として文字を捉え、その集合としての「絵画」としてメッセージを「描いて」いるものと推測されます。メッセージがどのような理由で個体#109108に認識される(個体#109108が未知の存在からメッセージ#109108を受け取っている/個体#109108が自発的にメッセージを思い浮かべている等)のかは分かっていません。

    以下はこれまでに記録されたメッセージ(和訳済)の抜粋です:


    [メッセージ#109108-1]
    記録日時:2008/11/12(個体#109108の発見時)
    使用言語:日本語
    記載内容:「助けてください」

    [メッセージ#109108-2]
    記録日時:2003/11/20
    使用言語:アルファベットをキリル文字に置換した英語
    記載内容:「ここから出してくれ」

    [メッセージ#109108-3]
    記録日時:2003/11/22
    使用言語:鏡写しにしたハングル文字
    記載内容:「血が止まらないんだ」

    [メッセージ#109108-4]
    記録日時:2003/11/28
    使用言語:不明。既知のいかなる言語体系と一致せず
    記載内容:解読不能

    [メッセージ#109108-5]
    記録日時:2003/12/06
    使用言語:未知の文字で記載されているが、構文は英語と完全に一致する未知の言語
    記載内容:「ここはどこなんだ。何も見えない」
    補遺(2009/02/15追記):
    使用された文字は、2008年にエレクトロニック・アーツ社から発売されたビデオゲームである「Dead Space」の作中で使用された架空文字と判明。ただし、一部の文字にわずかな差異が見られる。

    [メッセージ#109108-9]
    記録日時:2003/12/28
    使用言語:クルド語。書体を90度倒し、縦書きにしたアラビア文字で記述されている
    記載内容:「あの子を返してください」

    [メッセージ#109108-20]
    記録日時:2004/03/10
    使用言語:ラテン語を音写し、日本語のひらがなで記載したもの
    記載内容:「お母さんどこにいるの」

    [メッセージ#109108-25]
    記録日時:2004/04/13
    使用言語:上下反転し、目の部分がすべて空白になっているアンノーン文字で記述された英語
    記載内容:「ひもじい」

    [メッセージ#109108-37]
    記録日時:2004/07/26
    使用言語:現代フランス語の点字
    記載内容:「誰か返事をしてください」

    [メッセージ#109108-46]
    記録日時:2004/11/01
    使用言語:簡体字中国語で書かれたUTF-16のテキストをBase64エンコードしたもの
    記載内容:「痛い、苦しい」

    [メッセージ#109108-52]
    記録日時:2004/12/15
    使用言語:日本語。極度のカイナ訛りで書かれている
    記載内容:「痒い痒い痒い。痒くてかなわない」

    [メッセージ#109108-75]
    記録日時:2005/04/30
    使用言語:8つの記号のみで構成された極めて長大なテキスト。後に難解プログラミング言語の一つと知られる「Brainfuck」のソースコードと判明。コンパイルして実行すると、下記のメッセージが出力される
    記載内容:あいつがすぐ隣の街まで来ています。隣の街にいた仲間からもう15時間連絡がありません。あいつの同族も来ているかもしれません。あいつらは空から来て子供たちをさらっていった、だからあいつらのボ
    補遺:メッセージは明らかに途中で途切れているように見えるが、これ以上の出力は確認できず。


    Supplementary Items:
    本案件に付帯するアイテムはありません。


      [No.1266] #89668 「ピーちゃんを探しています」 投稿者:   《URL》   投稿日:2015/04/22(Wed) 20:20:36     56clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    Subject ID:
    #89668

    Subject Name:
    ピーちゃんを探しています

    Registration Date:
    1998-06-01

    Precaution Level:
    Level 3


    Handling Instructions:
    これまでに「ピーちゃん」と認定された個体(個体#89668)は各々のモンスターボールに収容し、担当者は一般的な携帯獣向けの生育マニュアルに沿って保護に当たってください。個体#89668への呼びかけの際は、必ず「ピーちゃん」と呼びかけてください。実験目的で無い限り、個体#89668同士の接触・交流は認められていません。案件担当者が実験を行う場合は様式F-89668-2に沿って実験計画を作成し、事前に上長からの承認を得てください。承認を得ない実験は、当局の定める罰則規則に沿った処罰を受ける可能性があります。

    事象#89668を引き起こす要因となったポスター(媒体#89668)は、風雨によって破壊された、または紛失した6枚を除いてすべて回収し、カントー地方ニビシティ第二支局に隣接する第五中異常性取得物保管庫のブロック4-Dに保管しています。事象#89668の原因である情報災害の効果は依然として有効であるため、取扱に際して対象を直接視認してはいけません。曇り加工を施した専用のヘルメットを着用の上、事前に上長の承認を得る必要があります。媒体#89668を電子化したものについては、特異な性質が失われていることが分かっています。媒体#89668の閲覧が必要な場合、専用端末から電子化した版にアクセスしてください。

    媒体#89668の制作者(参考人#89668)と定期的なヒアリングを実施することが取り決められています。参考人#89668に対応する局員は事前に資料を十分読み込み、標準的な方法でヒアリングを実施してください。特段の異常が無ければ、規定の質問を終えた段階でヒアリングを終了して構いません。


    Subject Details:
    案件#89668は、視認した人間に対して認知機能の異常を生じさせる紙媒体のポスターと、それに掛かる一連の案件です。

    1997年末頃から1998年初頭にかけて、主としてトキワシティ北部から中部にかけて、以下のような「探しています」のポスター(媒体#89668)が多数貼付されたことが事案のきっかけとなりました。


     ピーちゃんを探しています

     12月4日のお昼頃、お散歩中にはぐれてしまい、行方が分からなくなりました。
     まだ子供のピカチュウです。尻尾の黒い部分が少しだけ大きいのが特徴です。
     ピーちゃん、と呼ぶと返事をしてくれます。チーズが大好きです。
     体が弱いので心配しています。見かけた方保護された方はご連絡ください。
     電話番号 XX-XXXX-XXXX [ポスター作成者である参考人#89668の名前] まで


    媒体#89668には上記のような文面と、自宅で撮影された「ピーちゃん」という名前のピカチュウの写真が掲載されています。ピカチュウは正面を向いた状態で撮影されており、この写真そのものに異常性はありません。文章に記載されている通り小柄で未成熟なことが伺え、尻尾の黒い部分がやや大きくなっているのが分かります。

    異常性が顕在化するのは、人間が媒体#89668を5秒以上直接視認した場合です。このとき媒体#89668に書かれた文章を明確に理解できない(視覚的に文字が読めない/内容が理解できない/日本語を習得していない等)場合、後述する事象#89668は発生しません。文章を理解できる能力があり、かつ媒体#89668を5秒以上視認した場合、事象#89668が発生します。

    事象#89668は、媒体#89668を見た人物がその後最も早いタイミングで目撃した野生の携帯獣を「ピーちゃん」と誤認識する事です。対象がピカチュウでなかったとしても一切関係なく、誤認識は発生します。この時ほとんどの人物は「ピーちゃん」を参考人#89668の元へ届けようと考えます。注意すべきは、この時の動機は個々人によって大きく差異があることです。ある人物は「ピーちゃんが可哀想だから」と情緒的な理由を口にし、別の人物は「お礼がもらえると思ったから」と金銭的な理由を口にします。この動機は個々人の本来的な考え方に依拠するもの、すなわち当人にとって自然な情動であると考えられます。

    この時もう一つの効果として、「ピーちゃん」であると誤認識された携帯獣自身も、自分自身を「ピーちゃん」だと誤認識するというものがあります。結果、人物からの「ピーちゃん」という呼びかけに従順に反応し、名前を呼んだ人物の元まで向かって行きます。以後、携帯獣は永続的に自分自身を「ピーちゃん」であると認識し続けます。

    恐らくあらゆる携帯獣が事象#89668によって「ピーちゃん」と誤認識され得るものと考えられます。これまでに確認された事例としては、ディグダの穴へ進入した折に遭遇したダグトリオを「ピーちゃん」と誤認したもの、望遠鏡で観察したオニドリルを「ピーちゃん」と誤認したもの、ポスターを視認した後ジョウト地方フスベシティまで移動し、その際目撃した野生のエアームドを「ピーちゃん」と誤認したもの、近隣の池で釣り上げたニョロゾを「ピーちゃん」と誤認した例などがあります。

    ポスターの制作者である参考人#89668から、「ピーちゃんでないポケモンをピーちゃんだと主張して譲らない人がたくさん来ている。助けてほしい」と警察に緊急通報が行われました。通報内容から異常事案の発生を察知したオペレータが当局に連絡し、警察とともに参考人#89668の元へ急行しました。局員が駆けつけた時点で10歳から68歳の男女総勢47名が玄関口で言い争いをしており、いずれも帯同させている携帯獣が「ピーちゃん」だと主張していました。携帯獣同士も自分自身が唯一の「ピーちゃん」であると認識していたためか互いに攻撃的な姿勢を見せ、危険な状態となっていました。局員は警官とともに対応に当たり、およそ6時間後に事態の収集が完了しました。この段階で局員は原因がポスターにあると推測、視認しないよう周囲に警戒を呼びかけ、応援の局員と共に回収を行いました。

    後に行われた参考人#89668へのヒアリングにおいて、参考人#89668は媒体#89668に一切の細工をした記憶は無いとのことでした。ポリグラフテストの結果は、この証言の信憑性が高いことを示しています。参考人#89668がこれまで作成してきた文書や図画には何ら異常性が認められないことから、媒体#89668は参考人#89668が意図的に作り出したものではないとの見方が大勢を占めています。

    通報に際して捕獲された携帯獣は、自分自身を「ピーちゃん」であると誤認している事を除けばいたって正常な個体であるため、識別のため個体#89668-1から個体#89668-47と管理用の名称を設定し、全員を隔離して保護しています。個体#89668-1から個体#89668-47を帯同させていた人物らは、個体を「ピーちゃん」だと認識している事を除けば他に異常は見られなかったため、翌日には全員を解放しました。

    参考人#89668が捜索していた本来の「ピーちゃん」は、現在に至るまで未だ行方不明のままです。収容された47体の携帯獣の中に本来の「ピーちゃん」、及びピカチュウは含まれていませんでした。


    [1999-07-21 Update]
    局員の一人がポスターを安全管理手順に沿って閲覧していた際に、ポスターの隅に小さなスタンプが押されていることを発見しました。解像度の都合で内容を視認することが困難だったため、上長に申請の上さらに高い解像度でのスキャンが行われました。スキャンした結果スタンプが鮮明に視認可能となり、以下のようなテキストが押印されていることが分かりました。


     "善意" is so beautiful.


    参考人#89668にヒアリングを実施したところ、このようなスタンプを押した記憶は無いとのことでした。事象#89668との関連性と、スタンプを押した個人あるいは組織についての調査が進められています。


    Supplementary Items:
    本案件に付帯するアイテムはありません。


      [No.1265] #140867 「かつてデデンネだったライチュウ」 投稿者:   《URL》   投稿日:2015/04/21(Tue) 22:21:20     50clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    Subject ID:
    #140867

    Subject Name:
    かつてデデンネだったライチュウ

    Registration Date:
    2014-08-22

    Precaution Level:
    Level 1


    Handling Instructions:
    デデンネ及びライチュウの生息地として知られる地域に在籍している局員は、特異個体#140867と同種の事例が存在していないかを継続的に調査してください。ライチュウを帯同させているトレーナーを目撃した場合、適切な形で許可を得た上で、ライチュウがピカチュウから進化したか、あるいはライチュウの状態で捕獲したかを確認してください。いずれでもないとの回答が得られた場合、対象の個体の精密検査を実施してください。

    野生の特異個体#140867を発見した、または特異個体#140867と推定される個体を発見した場合は、捕獲の上カントー地方トキワシティ第四支局へ移送してください。支局ではこれまでに十数体の特異個体#140867を収容・保護しています。特異個体#140867の収容担当者に割り当てられた局員は、異常性の無いライチュウと同様の手順で特異個体#140867の保護に当たってください。これまでのところ、特異個体#140867特有の措置は必要ないものと見られています。

    特異個体#140867のような通常と異なる系譜を辿って進化を遂げた疑義のある携帯獣を発見した場合、別の案件としての起票を検討してください。現在までに確認された疑義のある携帯獣の一覧については、暫定としてこの案件の関連資料に位置付けられているリストL-140867-1を参照してください。


    Subject Details:
    案件#140867は、通常とは異なる進化の系譜を辿ったことが確認されているライチュウの特異個体(特異個体#140867)と、それに掛かる一連の案件です。一般的に知られている系譜であるピカチュウから進化した個体は、本案件の取扱対象外です。

    特異個体#140867が初めて確認されたのは、2014年6月頃のことです。ポケモンセンターから当局へ「デデンネがライチュウに進化したのを見たとの申し出があった」という通報が寄せられ、対応した局員がポケモンセンターへ照会を行いました。ポケモンセンターの仲介を通じて申し出たトレーナーとの接触に成功し、ライチュウの実在が確かめられました。その後トレーナーからの申し出により、対象のライチュウは当局にて引き取ることが決定されました。

    引き取ったライチュウの精密検査を実施したところ、通常の個体には見られないデータのパターンが確認されました。パターンは本来デデンネが持っているものと酷似しており、トレーナーから得られた「デデンネから進化したライチュウ」という証言と合致するものです。この結果に基づき標準的な耐性確認テストを実施したところ、事前に想定された通り、局員の使役するミニリュウの攻撃を一切受け付けませんでした。この事から、当該個体は標準的なデデンネと同等の属性耐性を持っていると結論付けられ、管理用として「特異個体#140867-1」という名称が与えられました。

    各種モンスターボールや携帯獣図鑑などのデバイスは、対象の個体を一貫してライチュウとして認識します。ただし、携帯獣の持つ種族属性を分析・表示する機能を持つ機器の場合、通常表示されることが期待される「電気」に加え、デデンネの標準的な個体が持っている第二属性である「フェアリー」という分析結果が表示されます。これは先に挙げた耐性確認テストの結果とも矛盾無く一致するものです。

    特異個体#140867-1は外見上一般的なライチュウと明確な区別が付かず、習得可能な技能も一般的な個体に準じます。生活様式や食性、性格に関しても、一般的なライチュウの範疇を出るものではありません。観察可能な数少ない差異として、通常の個体では学習できないとされている前歯を使った協力な打撃攻撃(ポケモンリーグ協会の公式資料では「いかりのまえば」(原文ママ)と呼称される技能)を習得しています。これはデデンネの一部個体に習得が確認されている技能です。

    当局による特異個体#140867-1の収容後、デデンネまたはライチュウの生息域で同様の事例が相次いで報告され、これまでのところ通報があった全個体の収容に成功しています。収容された個体はいずれも通常個体と比較して外見的な相違は見受けられず、特異個体#140867-1と同様の属性及び一部習得技能の差異のみが確認できています。当局によるデデンネがライチュウへ進化を遂げる事象の観測そのものはできていませんが、報告の多さから遠からず観測事例を得られるという期待を持っています。


    [2015-03-21 Update]
    特異個体#140867と類似した事例が各地域から報告されています。報告されたすべての事案の一覧は、リストL-140867-1を参照してください。以下はリストL-140867-1の抜粋です。これらは将来的に事案と案件に分類されることになっているため、識別コードとして「U(unclassified)」を付与しています:

    ・事案#140867-U-3
    野生のラブカスがママンボウに進化したという目撃情報。これまでにそのような進化の系譜は確認されていない。ママンボウの個体は速やかにその場を離れ、現在は行方不明。

    ・事案#140867-U-4
    炎の石に偶発的に接触したニンフィアがブースターに進化したというトレーナーからの申出。ブースターからはニンフィア特有のデータパターンが検出された。現在も定期的なヒアリングを実施中。ブースターの健康状態は至って良好。

    ・事案#140867-U-6
    ♂のビークイン。個体そのものに明確な差異は見られないが、検証に使用したあらゆるデバイスが当該個体を「♂のビークイン」と判定する。通常、ビークインは♀のミツハニーからしか進化しないことで知られている。他とはやや毛色の異なる事案のため、別途案件として起票することが提案されている。

    ・事案#140867-U-9
    トランセルからサナギを破って進化を遂げたところを目撃されたモルフォン。トレーナーにより捕獲されたのち、当局へ引き渡される。バタフリーとモルフォンの種族的近似から通常個体との明確な差異を見出せず調査が難航していたが、本来体内で生成されるモルフォン由来の毒性物質が生成されていないことが判明した。

    ・事案#140867-U-11
    ニョロボンがニョロトノに進化したとのインターネット上の掲示板への書き込み。投稿者のIPアドレスが公衆回線のもの(ポケモンセンターに割り当てられたIPアドレス群の内の一つと判明)だったため情報の信憑性は低いが、1960年代に出版された出所の明らかな、かつ著名な書籍に類似した記述があるため、参考事案として記録。

    ・事案#140867-U-16
    サナギラスから進化したと推定されるフォレトス個体。ジョウト地方ヒワダタウン西部に位置する森林地帯で捕獲。通常致命的な弱点になりうる炎に対して種族的に異常なほどの高い耐性を示し、本来無効化できないはずの電気属性の攻撃をすべて無効化した。その他調査により得られた特徴から、進化元はサナギラスと推測される。


    Supplementary Items:
    本案件に付帯するアイテムはありません。


      [No.1264] #133637 「特筆性の無い人物」 投稿者:   《URL》   投稿日:2015/04/20(Mon) 20:34:50     56clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    Subject ID:
    #133637

    Subject Name:
    特筆性の無い人物

    Registration Date:
    2012-05-07

    Precaution Level:
    Level 1


    Handling Instructions:
    Wikipedia日本語版の標準名前空間に本案件で取り扱う異常なページが作成されていることを確認した、または記事作成の通報があった場合、速やかに記事を保全してください。保全の際は記事本文とノートのすべての履歴を確保すると共に、記事内でWikimedia Commonsにアップロードされた各種メディアファイル(写真/画像/音声/映像等)が使用されている場合はそれらも併せて確保しなければなりません。事象がフェーズ4に入ると数日以内にすべての履歴とメディアファイルが完全に消失するため、作業は速やかに行う必要があります。

    記事の消失を妨害する試みは一定の効果があることが分かっています。案件担当者はリストL-133637に記載されたWikipedia日本語版の管理者またはビューロクラットにコンタクトを取り、削除依頼の審議ページ凍結と対象記事の全保護を依頼してください。過去の傾向からこれらの措置をとった場合も一週間以上の削除妨害は困難なため、いずれにせよ証跡は速やかに保全しなければなりません。保全が完了したあとは、消失フェーズの完遂により記事が削除されることを確認してください。記事の削除確認を持って、事案記録を終了します。

    保全した履歴から投稿者及び削除審議参加者のIPアドレスを抽出し、所有者を記録してください。これまでのところ統計的に有意な結果は見られませんが、いくつかの記録は複数のIPアドレスを特定の個人が使い分けていることを示しています。データの解析を通じて何らかの知見が得られた場合、案件担当者へ報告することが奨励されています。


    Subject Details:
    案件#133637は、インターネット百科事典サイトの「Wikipedia」日本語版に投稿される不審な記事、及び記事の投稿と同時に発生する特定の事案と、それに掛かる一連の案件です。

    2011年11月頃、Wikipedia日本語版の管理者の一人から「通常では起こり得ない動きをした記事が見つかった」との通報が寄せられました。局員が管理者とコンタクトを取り、該当する記事についての詳細をヒアリングしました。その後、別の管理者及び一部のベテラン利用者からも同様の通報がなされ、同サイトにおける事案発生が確定的との判断が下されました。これをもって当局は事案群を取りまとめ単一の案件として起票、担当者が割り当てられました。発生した一連の事象については、事象#133637と命名されました。

    事象#133637は、ほとんど名前の知られていないポケモントレーナーに関する異様なまでに詳細な人物記事が、前触れ無くWikipedia日本語版に投稿されることで開始されます。投稿された記事はWikipedia日本語版における一般的なポケモントレーナーの記事のスタイル(詳細及び最新のスタイルについては、Wikipedia日本語版に存在するプロジェクトの一つである「プロジェクト: ポケモントレーナー」を参照してください)に完全に準拠しており、ベテランの利用者によって執筆が行われたことが伺われる体裁になっています。しかしながら、この時記事の投稿者は該当するトレーナーの記事作成以外の一切の編集履歴・活動履歴を持ちません。また、記事ごとにまったく異なる名義の未知のアカウントが出現します。

    記事の内容は個人の略歴に始まり、携帯獣同士の戦いにおける戦績や旅行の経路について事細かに記述されます。記事は恐らく本人や非常に近しい人物しか知り得ないような個人的な内容にまで踏み込み、時としてプライバシーの侵害に当たるような内容(個人の嗜好・性癖・犯罪歴・病歴・血縁関係・人間関係・信仰する宗教・思想信条等)にも言及されます。いくつかのサンプルを調査した結果、これらはいずれも正確なものであるとの裏付けが取れています。記載内容には多数の出典が付与されますが、出典として用いられる資料はほとんどの場合実在しないものです。このような記事が作成された段階を、本稿では「フェーズ1」とします。

    記事の作成から概ね72時間以内に、記事に対して削除依頼が提出されます。削除依頼は、Wikipedia日本語版で規定された通常の手順に形式的に沿う形で行われます。依頼に先立って記事の初稿執筆者のノートページに記事内容についての問い合わせと、削除依頼の提出予告が書き込まれます。作成後に更新が行われた場合、更新者のノートページに対しても同様の書き込みが行われます。事前連絡を行ってから8時間以内に削除依頼が提出され、記事の削除審議が開始されます。削除依頼の準備が行われている段階を「フェーズ2」、実際に削除審議が開始された段階を「フェーズ3」とします。

    削除依頼では、それまでの投稿履歴が無い未知の利用者が複数出現し、その全員が記事の削除に賛成票を投じます。利用者群の特徴的な動きとして、削除の根拠に挙げるのが常に「ケース E: 百科事典的でない記事」であることです。また、ケースEに該当していることを指摘すると共に、非常に高い頻度で「特筆性が無い」または「著名性が無い」との理由を掲示します。

    これまでに確認された、対象記事の削除審議におけるコメントの一例は下記の通りです:


    ・特筆性無し。即時削除にも反対しません。速やかな削除を希望します
    ・特筆性の無い記事。今後の発展も見込めないですし、削除が妥当でしょう
    ・特筆性の無い一般人。Wikipediaは人物名鑑ではありません
    ・著名でない人物の記事。ポケモントレーナーなんて星の数ほどいます
    ・特筆性の無い一般人に関する記事。有名になってから出直してください
    ・著名とは到底言えないただのトレーナーの記事。速やかな削除を求めます
    ・特筆性の無い人物の記事。このレベルの人を記事にしていたらキリがありません
    ・削除が妥当。このトレーナーには特筆性がまったくありません
    ・削除に賛成します。特筆性の無い記事はWikipediaに相応しくありません
    ・ケースE。特筆性が無いことを確認。削除しても問題ないでしょう


    記事には往々にして「ケース B: 法的問題がある場合」の一つである「ケース B-2:プライバシー問題に関して」による削除が行われるべき内容が含まれていますが、削除審議の場においてケースB-2の適用を求める意見は一切出されません。削除に賛成するアカウントは、常にケースEによる削除を希望します。これまで観測された事例で、ケースEまたは暗黙的にケースEと取れるもの以外の意見が出された例はまったく存在しません。

    このような審議が概ね48時間ほど行われた後、管理者または削除者の権限を持つ未知の利用者が出現し、対象記事の削除と削除審議の凍結を行います。利用者はWikipedia日本語版のシステムによって管理者または削除者の権限が付与された履歴が無いにも関わらず、履歴を含めた記事の全内容を削除することが可能です。本来記録されるはずの削除ログは残らず、システム上からは削除の記録を追跡することができません。そして記事の削除から概ね168時間以内に、対象記事の削除審議ページと、一連の事象に関与したすべての未知の利用者の個人ページ及びノートページが一斉に消失します。記事が削除された段階を「フェーズ4」、最終的に証跡がすべて消失した段階を「フェーズ5」とします。フェーズ5に到達した時点で、事象#133637は終了するものと推測されています。

    当局とWikipedia日本語版の管理者が連携し、事象#133637に対しシステムの機能を用いて幾度となく妨害を行ってきました。しかしながら、それらには事象の進行を遅らせる効果こそありましたが、最終的なフェーズ5への到達を防ぐことには寄与しませんでした。


    ・初稿執筆者への注意/警告
    一貫して無視されます。利用者のノートページも、記事のノートページも同様の結果に終わります。未知のアカウントへのあらゆる対話は完全に無視されることが分かっています。

    ・対象記事の削除
    正規の管理者が記事の即時削除を実行しましたが、原因不明のシステムエラー(対象となる記事は存在しない旨のメッセージが表示される)により完遂できませんでした。記事には正常にアクセスが可能なままです。

    ・対象記事の編集
    編集内容が記事の体裁を損なうもので無ければ、初稿執筆者及びそれに類するアカウントは編集を受け入れます。破壊的な編集、特に大規模な削除を伴う編集が行われた場合は、初稿執筆者が記事をリバートします。

    ・対象記事の白紙化
    記事の白紙化後、平均して5分以内に初稿執筆者及びそれに類するアカウントによってリバートされます。リバート時に記事の要約は付けられません。白紙化した版へのリバートは、元の版へのリバートを招くのみです。

    ・対象記事の全保護
    保護から数時間後に管理者権限を持つ未知のアカウントが出現し、予告無しに保護が解除されます。保護を実行する度に、未知のアカウントが一定の時間を置いて保護を解除します。保護を繰り返すことにより、ある程度の期間保護の状態を保つことが可能です。しかしながら、フェーズ4に到達すると削除が優先されてしまい、保護に失敗します。

    ・初稿執筆者の投稿ブロック
    投稿ブロック後に別のアカウントが出現し、以降の初稿執筆者の作業を代行します。このアカウントも既知のアカウントとは一致しません。以後、アカウントをブロックする毎に別の新たなアカウントが出現します。

    ・初稿執筆者の使用するプロバイダに対する広域ブロック(逆引きが可能な場合)
    異なるアクセスポイントから接続する同種のアカウントが出現します。広域ブロックを実行する度にアクセスポイントが著しく変動します。

    ・削除依頼ページの編集/白紙化/保護
    記事に対する各種処理と同様の結果になります。

    ・削除依頼者の投稿ブロック
    初稿執筆者への投稿ブロックと同様、別のアカウントが出現して作業を代行します。

    ・正規の管理者による削除依頼の即時終了
    ページの凍結が管理者権限を持つ未知のアカウントによって解除されると共に、正規の管理者へ短期ブロックが行われます。これは別の管理者の手で解除することが可能です。

    ・削除された記事の管理者権限による復帰
    対象の記事をarchiveテーブルから探し出すことができず、復帰に失敗します。


    これまで記事作成の対象となったポケモントレーナーは、一切の例外なく全員が行方不明者として届出がされている人物であることが分かっています。Wikipedia日本語版における事象#133637が対象トレーナーの失踪と何らかの関係があるのか、あるいは行方不明者に対してある種機械的に事象#133637が発生しているのかは分かっていません。


    Supplementary Items:
    本案件に付帯するアイテムはありません。


      [No.1263] #124633 「ズバットの大量死」 投稿者:   《URL》   投稿日:2015/04/19(Sun) 18:29:33     48clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    Subject ID:
    #124633

    Subject Name:
    ズバットの大量死

    Registration Date:
    2009-06-30

    Precaution Level:
    Level 2


    Handling Instructions:
    事案#124633がズバットの生息域で発生していないかを当局で監視すると共に、市民やトレーナーからの申し出を確実に記録するようにしてください。前兆と判断できうる申し出、例えばズバットの個体数の顕著な現象などについても、できる限り詳細なヒアリングを行い、現状把握に努めてください。

    ズバットの個体数を安定させるための試みが続けられています。当局で繁殖させたズバットは、成体になった段階で親個体の生息域へ戻してください。これまでのところ、当局の管理下で事案#124633が発生した記録はありません。しかしながら、当局が繁殖させたズバットが事案#124633によって死亡したケースは複数確認されています。個体数安定化を担当するチームからは、繁殖させたズバットにGPS機能付きの個体識別タグを装備させ、当局の手を離れた後の状況を観察する提案が出されています。

    市民やトレーナーからヒアリングを行った結果、事案#124633に関与している疑いのある不審な人物(参考人#124633)が度々目撃されていることが分かっています。参考人#124633の捜索チームに割り当てられた人員は、ズバットの生息域近辺で発見した不審な人物に例外なくヒアリングを試みてください。参考人#124633であると判断した場合、手順M-124633に従って対象に任意同行を求め、最寄りの拠点でヒアリングを実施してください。


    Subject Details:
    案件#124633は、携帯獣である「ズバット」が不明な原因により大量に死亡する複数の事案(事案#124633)と、それに掛かる一連の案件です。

    事案#124633が初めて報告されたのは、2007年7月下旬のことです。カントー地方ハナダシティ北西部に位置する山岳地帯の洞窟にて、付近を散策中のトレーナーから「ズバットが大量に死亡している」という通報がありました。局員が現場へ向かい確認したところ、ズバットの死体が大量に散乱している状態でした。何らかの感染症が発生している疑いが生じたため、駆けつけた局員の判断でその場を隔離、トレーナーを含む初期発見者全員が完全な検疫を受けました。検疫の結果、すべての対象者の健康状態に一切の問題が見られないことが分かったため、翌日全員が解放されました。

    カントー地方ヤマブキシティにあるバイオリサーチセンターから収容チームが派遣され、死亡したズバットの全個体が収容されました。収容された個体は全132体で、いずれも一切の外傷が見られませんでした。死因の調査のため、サンプリングされた10個体が解剖されました。解剖の結果、死亡した個体はいずれも急性の心筋梗塞を起こしており、それが直接の死因となった可能性が高いとの判断が下されました。しかしながら、解剖された個体はいずれも良好な健康状態にあったことが示されており、心筋梗塞を誘発させる原因となるような要素は何一つ見つかりませんでした。

    当初この事案は未解決事案とされ、半年ほど事案一覧上で管理される状態が続いていましたが、その後ジョウト地方ヒワダタウン南東部に存在する洞窟でもほぼ同一の事案が発生、同じく168体のズバットが極端に密集した状態で死亡しているのが発見されました。カントー地方と同様に隔離と検疫、事後調査が行われ、詳細不明の事案として記録されていました。半期ごとの案件棚卸に際して両者の類似性が指摘され、検討の結果単独案件として起票することが決定しました。

    カントー地方の事案もジョウト地方の事案も、法医学的な死因は急性心筋梗塞との見解で一致を見ていますが、急性心筋梗塞を齎した要因については明らかになっていません。また、どちらの事案に関しても一度に100体を越えるズバットが大量死した理由は不明なままです。ズバットの健康状態には問題は見られなかったほか、すべての個体について外傷は一切発見されませんでした。

    興味深い点として、事案が発生した近隣に生息しているズバットを除いた他の携帯獣については、個体数の顕著な減少や不審な大量死は確認されていません。この事から当局では、ズバットに対しての急性心筋梗塞を誘発する未知の要因が存在するか、悪意を持った未知の個人/団体がズバットを未知の方法で大量に殺害しているかのいずれかが事案#124633の原因との見方を示しています。


    [2010-07-06 Update]
    同様の事案が、ホウエン地方ムロタウン北部に存在する洞窟でも発生しました(事案#124633-27として記録)。この事案の通報に際して、ムロタウンのジムに所属する複数のトレーナーから「洞窟周辺でサングラスをかけた不審な人物を目撃した」との証言が寄せられました。人物が目撃された翌日に事案#124633-27が発生したため、何らかの関連性が指摘されています。同様の特徴を持つ人物が、事案#124633-6、事案#124633-11、事案#124633-12、事案#124633-19、事案#124633-22でも目撃されています。

    これを以て当局では対象を参考人#124633と認定し、現在も行方を追っています。


    Supplementary Items:
    本案件に付帯するアイテムはありません。


      [No.1262] #92223 「せかいでもっともうつくしいもの」 投稿者:   《URL》   投稿日:2015/04/18(Sat) 21:37:51     52clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    Subject ID:
    #92223

    Subject Name:
    せかいでもっともうつくしいもの

    Registration Date:
    1999-03-24

    Precaution Level:
    Level 3


    Handling Instructions:
    オブジェクト#92223は移動させることが極端に困難か、または現実的ではないと判断されたため、オブジェクト#92223を囲む形で第24武装収容拠点が建設されました。オブジェクト#92223の性質上、いかなる理由があろうと武装収容拠点の敷地内に携帯獣を進入させてはなりません。武装収容拠点にあるオブジェクト#92223収容フロアでは、常にレベル4対バイオハザード用スーツの着用が義務付けられます。8時間の3交代体制で、常に4名の武装した局員が警備に当たります。オブジェクト#92223それ自体は収容開始から風化や劣化の兆候を一切見せていないため、これ以上の保全措置は必要ありません。

    一般的な重機や火器を使用したオブジェクト#92223の破壊は不可能であるとの結論が出されています。案件担当者が破壊による案件終了提案を出す場合、過去に同一の、または類似した破壊メソッドが失敗に終わっていないことを事前に必ず確認してください。同一のメソッドによる案件終了提案は、メソッドを採用するに当たってより強い根拠が求められます。オブジェクト#92223の性質上、携帯獣を使用した破壊提案はいかなる形であっても通常認められません。


    Subject Details:
    案件#92223は、カントー地方タマムシシティ北部に存在する異常なオブジェクト(オブジェクト#92223)と、それに掛かる一連の案件です。

    1998年10月24日14時過ぎから18時頃にかけて、カントー地方に位置する複数の主要都市(タマムシシティ/ヤマブキシティ/セキチクシティ)にて、ポケモンセンター/警察の緊急チャネル/管理局の窓口に「側にいたはずのポケモンがいなくなった」という市民からの通報が殺到するという事案が発生しました。当局は関係各局と連携して情報収集を行い、その過程で複数の携帯獣が本来のトレーナーの元を離れてタマムシシティ北部方面へ向かっていたことを突き止めました。何らかの異常事案の発生が憂慮されたため、最寄りの拠点であるタマムシシティ第十五支局から複数の局員、及び機動部隊デルタ-エメラルドが出動しました。

    局員と機動部隊デルタ-エメラルドがタマムシシティ北部を捜索中、複数の携帯獣の骨格が融合した未知のオブジェクトを発見しました。局員は直ちに周辺一体を隔離、その過程で近隣に生息する野生のニャースがオブジェクトに接触した際に後述する異常な事象が発生したため、すべての局員と市民に対しオブジェクトの半径5m以内に近付くことを禁じる命令が出されました。その後オブジェクトの隔離作業が完了し、案件#92223が起票、オブジェクトに対しオブジェクト#92223という識別名が付与されました。

    収容されたオブジェクト#92223は、確認した限りで221体186種の携帯獣と、1体の人間(14歳前後の女性と推測)の骨格が有機的に融合して一つになった由来不明の物体です。女性の骨格を中心として、彼女に寄り添うかのように大量の携帯獣の骨格が結合しています。オブジェクトを構成する骨格は外見上本来の生体由来のものとほぼ同一に見えますが、後述する性質から実際の材質は判明していません。骨格同士の結合はあたかもそれらが元々一つの生体であったかのように継ぎ目無く行われており、それぞれを分離させることは不可能です。

    オブジェクト#92223の特異な性質は、接触した生体を瞬時に骨格化させ、自身に取り込むというものです。生体の骨格化は十秒以内に完了し、その間対象の生体は意識を喪失しているように見えます。一体化した骨格はオブジェクト#92223とまったく同じ性質を持ち、接触した生体を同じく骨格化させます。オブジェクト#92223はそれ自体が単一の骨格にしてオブジェクトであり、他の生体をオブジェクト#92223に変質させる性質があると結論付けることができます。

    何らかの理由により、オブジェクト#92223は近隣の携帯獣に働きかけ、自身に接触するよう促すことができるようです。オブジェクト発見の契機となった通報は、この性質により携帯獣がオブジェクト#92223に引き寄せられたためと考えられています。この効果は遮蔽物を設けることでほぼ無効化することができると分かったため、第24武装収容拠点の周囲をコンクリートの壁で覆うという対策が取られました。対策は効果的に作用し、携帯獣を招き寄せる性質については現状完全に無力化されています。

    これまでのところ、オブジェクト#92223は物理的な攻撃に対して極端に高い耐性を示しています。重火器や銃器を用いた破壊の試みは、一切のダメージを与えられず失敗するという結果に終わっています。爆発物を用いた破壊実験時に得られた証跡により、オブジェクト#92223は自身に与えられたエネルギーを吸収、または中和している可能性が浮上しました。このことは、オブジェクト#92223を物理的に損壊することが事実上不可能であることを示唆しています。

    管理局では、オブジェクト#92223の中心に存在する女性の骨格は、かつてカントー地方ヤマブキシティ在住で現在行方不明となっている14歳の少女(失踪者#92223)であるとの見解を持っています。証跡の一つとして、失踪者#92223の部屋からオブジェクトの性質を示唆するような書き置きが見つかっています。以下はその写しです:


     せかいでもっともうつくしいもの それはみんながひとつになること
     せかいでもっともうつくしいもの それはだれにもきずつけられない
     
     ひとつになれば だれもあらそわなくていい
     ひとつになれば だれもきずつかなくていい

     だからわたしは ひとつになりたい
     だからわたしは ひとつになるんだ


    失踪者#92223が如何にしてオブジェクト#92223を作り上げたか、あるいは自らをオブジェクト#92223に変貌させたかは不明です。失踪者#92223が書き置きのような考えに至った経緯も分かっていません。


    Supplementary Items:
    本案件に付帯するアイテムはありません。


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